JP2005326465A - 光偏向器 - Google Patents

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Abstract


【課題】 ミラーの光学特性の低下を防いで、動作中の光偏向器の性能を維持する。
【解決手段】 微少ミラーの特に高速動作時における反射面の歪み(動撓み)を常時観察・検出し、さらにはその結果を基に駆動系へ帰還し、反射面の動撓みを制御し、ミラーの光学特性の低下を防いで、動作中の光偏向器の性能を維持する。また、ねじり梁に歪みゲージを有する場合、ねじり梁の形状によっては歪みゲージに許容される面積が小さく、形成されない場合がある。このような場合にも微少ミラーの振動状態を外部検出器を用いずに校正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、入射光を偏向する光偏向器、及びそれを用いた光学機器、そしてねじり揺動体に関するものである。
従来、高速動作を必要とする機械要素においては、その慣性が駆動スピードの大きな阻害要素となっている。特に、所定角度内を回転振動する機械要素では慣性モーメントを低減する必要があるが、その際、駆動する機械要素の剛性を低下させないように配慮するのが一般的である。そのような目的で機械要素を中空構造とする方法や補強材(リブ)を固着する方法が広く知られている。
ところで、近年において半導体デバイスの高集積化に代表されるようにマイクロエレクトロニクスの発展に伴い、様々な機器が高機能化とともに小型化されてきている。例えば、光偏向器を用いて光走査を行うレーザービームプリンタ、ヘッドマウントディスプレイ等の画像表示装置、バーコードリーダー等の入力デバイスの光取り入れ装置等においてもより一層の小型化が要求されている。これらの要求を満たす光偏向器として、例えば、マイクロマシンニング技術を用いて微小ミラーをねじり梁で支持しねじり振動させる構成で光を走査する光偏向器が提案されている。
この種の光偏向器に用いる微小ミラーには、高速駆動で高剛性という二つの性能が求められている。特に、微小ミラーの剛性が不足している場合、駆動時に微小ミラーが自重による慣性力を受けてミラー面が大きく撓んでしまう。この動撓みは、ミラーの光学特性を著しく低下させ、光偏向器の性能を損なってしまう。また、この種の光偏向器においてはアクチュエータの発生力が制限されている場合が多く、高速駆動のために弾性支持部のバネ剛性を高くすると、偏向角が著しく低下してしまう課題がある。そのため、可動部分である微小ミラーの慣性モーメントを低減させることが光偏向角を大きくするために必要であった。そこでその解決策として特許文献1で開示されている、高速駆動可能で、低発生力のアクチュエータでも大きな偏向角がとれ、反射面の静的平面性が優れ、高速動作時にも歪が少ない小型の光偏向器の製造方法により効果をあげてきた。
微小ミラーの振動状態を検出する場合は、特許文献2などで開示されるように、ねじり梁に歪ゲージを備えることにより偏向ビーム検出などの外部検出器を用いずとも、コンパクトな構成で検出することができる。歪ゲージ(ピエゾ抵抗素子)としては、単結晶シリコン基板上にp型半導体層あるいはn型半導体層を形成したピエゾ抵抗素子や、金属層からなる歪ゲージを挙げることができる。
また可動板に形成された反射面の裏側の面に磁性体からなる可動コアを、その面と対面する場所にコイルを周回させた固定コアとを持ち、コイルを通電することで可動コアと固定コアの間に生じる異磁極または同磁極間の磁力(の吸引力または反発力)によって揺動動作を行う光偏向器が特許文献3に記載されている。
特開2003−131161号公報 特開平5−119280号公報 特開2002−323669号公報
本発明は微小ミラーが持つ前述の課題を、従来の微小ミラーの特に高速動作時における反射面の歪(動撓み)を常時観測・検出し、さらにはその結果を基に駆動系へ帰還し反射面の動撓みを抑制することで解決し、ミラーの光学特性の低下を防いで、動作中の光偏向器の性能を維持することを目的とするものである。
また、ねじり梁に歪ゲージを有する場合、ねじり梁の形状によっては歪ゲージに許容される面積が小さく、形成できない場合がある。このような場合にも微小ミラーの振動状態を外部検出器を用いずに構成することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、微小ミラーをねじり振動させる構成で光を走査する光偏向器おいて、その微小ミラー面(反射面)の動的歪の状態をそれに応じた抵抗値の変化量として検出するために、歪の現象が顕著に現れる微小ミラー面の四隅付近に歪ゲージを構成し、前記歪ゲージの抵抗値の変化を検出するたわみ検出回路と、検出した抵抗値変化によって微小ミラー面の動的撓み量を調整することで微小ミラーの光学特性を保持する制御回路を少なくとも有することを特徴とする。
可動部の揺動に伴う微小ミラー面の動撓み量を、前記可動板上に構成した歪ゲージの抵抗値の変化として捉えることで精密に検出することができるため、前記微小ミラーによる光偏向器としての光学的性能を損なわないための動撓み量と常時比較し、補正することも可能になるため、その結果、光学特性を低下させずに安定した光走査が行える光偏向器を実現することが出来た。また、ねじり梁上に歪ゲージを形成できない場合にも、コンパクトな構成で光偏向器の走査角を所望の値にすることが可能な光偏向器を実現することができた。また、光偏向器の振動周波数や光偏向器の可動板に加わる角加速度を算出することが可能な光偏向器を実現することができた。
本実施形態においてミラー面の動撓み状況は、ミラー面に構成した歪ゲージで検出される抵抗値の変化量に対応して一義的に定まるため、結果的に歪ゲージの抵抗値を知ることは微小ミラー面の動撓み状況を知ることになる。したがって、抵抗値の変化量が最大となる時、それは撓み量が最大の時ということになる。よって、その抵抗値の変化量を監視することで動撓みの程度を見極めることができ、予め光偏向器としての性能が確保される動撓み量と歪ゲージの抵抗値の関係がわかっていれば、その検出量を基に駆動系を制御することで、ミラーの光学特性を低下させずに、安定した光走査が行える光偏向器を提供することができる。
また、この動撓みの周波数はすなわち光偏向器の振動周波数と同一であり、これを算出することにより、光偏向器の振動周波数を検出することが可能である。
また、この動撓み量は、可動板のねじり偏向角に応じて増加・減少する量であり。これを算出することにより、可動板のねじり偏向角すなわち光偏向器の走査角を検出することが可能である。
また、この動撓み量は、光偏向器の可動板に加わる角加速度に応じて増加・減少する量であり。これを算出することにより、光偏向器に加わる角加速度を検出することが可能である。
ここで、図1〜図4に基づいて、可動板に構成する歪ゲージの方向について説明する。図1は本発明で用いる光偏向器の一例であり、全体構成を示す斜視図である。図1において、光偏向器1は支持基板2に可動板5の両端がねじり揺動運動軸に相当する弾性支持体(ねじりバネ)3で支持された構造となっている。弾性支持体3は可動板5をA軸(つまりねじり軸)を中心に弾性的にB方向、つまり時計回り方向と反時計回り方向の両方向のねじり振動を自在に支持するものである。また、可動板5の一方の面は反射面4となっていて可動板5のB方向へのねじれにより反射面4に入射する入射光を所定変位角偏向するものである。なお、可動板5ははその両端がそれぞれねじれバネ3と接続しているため、支持基板2によって支持されている。また可動板5は、ねじり揺動するがA軸を中心に回転はしない。
なお、本件は可動板の駆動方法については特に規定するものではないが、ここでは特許文献3で開示されている、可動板に形成された反射面の裏側の面に磁性体からなる可動コアを、その面と対面する場所にコイルを周回させた固定コアとを持ち、コイルを通電することで可動コアと固定コアの間に生じる異磁極または同磁極間の磁力(の吸引力または反発力)によって揺動動作を行う光偏向器について考えることにする。ここで図2は図1で説明した光偏向器にアクチュエータ部を取り付けた状態の一例で、可動板のねじり軸方向から見た時の側面図である。可動板5の反射面4が構成されている面の裏側に磁性体からなる可動コア6を取り付け、可動コア6を吸引し可動板5にトルクを発生させるためのコイルを周回させた固定コア7(いわゆる電磁石)が支持基板2の外側に、可動板5の反射面4とは反対側の面(すなわち、可動コア6を取り付けた面)に対面する状態で設置されており、このコイルに通電することにより電磁力で可動板5が駆動される。なお固定コア7の取り付け方法は、支持基板部2をホルダーによって保持し、固定コア7を設置した別基板と接合すればよい。
このような光偏向器において、前記可動板の前面(反射面側)のうち反射面が形成されていない領域の四隅に歪ゲージR1〜R4を形成する。これらR1〜R4は、その抵抗値の変化から可動板の動たわみ量を検出するためのホイートストン・ブリッジ回路を構成するものであり、光偏向器が駆動されていない状態では平衡状態となるように調整されたものである。
図3(a)〜(c)は光偏向器を真上から見た時の図である。また図3(a)’、(b)’は固定コアに通電し、可動部を揺動させた時の可動板の前面(反射面側)の動たわみの状態を図3(a)、(b)のねじれ軸の方向から見た場合の可動板の変形状態を表した図である。ここで、それぞれの場合に可動板上に構成した歪ゲージに作用する引張り応力と圧縮応力の方向について考えてみる。まず、可動部が図3の(a)の矢印Aの方向に振れた時、可動板は図3(a)’のように変形するため、歪ゲージR1およびR2には引張り方向の力が作用し、R3およびR4には圧縮方向の力が作用することになる。一方、可動部が図3の(b)の矢印Bの方向に振れた時、可動板は図3(b)’のように変形するため、歪ゲージR1およびR2には圧縮方向の力が作用し、R3およびR4には引張り方向の力が作用することになる。ここで、可動面に構成する歪ゲージの方向であるが、図3の(c)のようにそれぞれのゲージの長手方向成分を可動板の動撓み方向と一致するように配置する。このような向きに構成することにより、可動部が図3(a)の矢印Aの方向に振れた時、歪ゲージR1およびR2を構成するゲージは、そのゲージの全長の大部分を占める長手方向へのたわみによる引張り応力を強く受けることになり、その抵抗値増加する。またR3およびR4に対しては、そのゲージの全長の大部分を占める長手方向へ作用する圧縮応力を強く受けることになり、その抵抗値は減少する。同様に、可動部が図3(b)の矢印Bの方向に振れた時には上記とは全く逆になるため、R3およびR4の抵抗値が増加するのに対し、R1およびR2の抵抗値は減少することになる。この結果、図4のようにR1〜R4で構成されたホイートストン・ブリッジ回路(たわみ検出回路)のVout=V13−V24は図3(a)の時負電圧、図3(b)の時正電圧となり、その撓み状態に応じてVoutの大きさも変化する。
以上により、可動面の動撓みによって生じる引張り応力および圧縮応力が働く方向に沿って歪ゲージを構成することで、それらの応力を鋭敏に捕らえることができ、可動面の動撓みの程度を知ることが出来るようになった。
さらに、図5を用いて可動面の動撓み状況を検知し、それを制御する方法について説明する。501は図4において説明した、光偏向器の可動板上に構成した歪ゲージR1〜R4からなるホイートストン・ブリッジ回路とその出力を増幅して取り出す差動アンプからなるたわみ検出回路である。502はたわみ検出回路で検出した可動板の撓み量から光偏向器の走査角を算出する算出回路である。503は算出回路502の演算によって求められた光偏向器の走査角を帰還し、光偏向器の固定コアに新規の駆動信号を印加する光偏向器駆動回路(電源)部である。
ここで、ねじれ制御部の動作であるが、予め動撓みの程度すなわち歪ゲージの抵抗値と視覚的等の手段によって、微小ミラーの光学特性と動たわみ量との対応を調べテーブル化しておくことで、可動板に構成した歪ゲージの抵抗値の変動の最大値が光偏向器の性能維持のための限度を超えたかどうかの判別が出来、もし超えた場合には、可動板の振れ角(変位角)を小さくすることで動撓みを軽減し、光学的性能を回復することが出来るから、駆動電圧を低下させる方向に制御すればよいことになる。また、歪ゲージの抵抗値の変動の最大値が光偏向器の性能維持のための限度に達していない状況であれば、必要に応じて駆動回路の出力電圧を増加させて可動板の変位角を大きく、すなわち入射光の偏向角を大きくとることが出来るようになる。また、単に光偏向器の走査角を所望の値にする為に用いることも可能である。
本実施例では算出回路502を用いて光偏向器の走査角を検出したが、同様に光偏向器の振動周波数を検出することも可能である。また、走査角と振動周波数との双方を検出することも可能である。また、光偏向器の可動板に加わる角加速度を算出することが可能である。
光偏向器の構成概略図。 微小ミラーの可動原理の一例を説明するための概略側面図。 (a)(b)微小ミラーが傾いた時に可動面に作用する引張り応力および圧縮応力の方向を説明するための図。(c)可動面に歪ゲージを構成する際のゲージの方向を説明するための図。 可動面の動撓みを検出するためのホイートストン・ブリッジの構成図。 微小ミラーの動撓みの制御方法を説明するブロック図。
符号の説明
1 光偏向器
2 支持基板
3 弾性支持体(ねじりバネ)
4 反射面(微小ミラー面)
5 可動板
A ねじり軸
B ねじれ方向

Claims (7)

  1. 支持基板に可動板が弾性支持部で支持され、該可動板の一方の面には反射面が形成され、該可動板を弾性支持部のねじり軸を中心にねじり揺動させることによって、該反射面に入射する入射光を偏向する光偏向器であって、該可動板に歪ゲージを有することを特徴とする光偏向器。
  2. 該可動板の該ねじり軸を挟んで両側に歪ゲージを形成したことを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。
  3. 請求項2に記載の歪ゲージ対を2組形成し、ホイートストンブリッジを構成したことを特徴とする光偏向器。
  4. 前記歪ゲージを用いて可動板のたわみ量を検出する、たわみ検出回路を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の光偏向器。
  5. 前記たわみ検出回路で検出した可動板のたわみ量から、前記可動板のねじり偏向角を算出する偏向角算出手段を有することを特徴とする請求項4に記載の光偏向器。
  6. 前記たわみ検出回路で検出した可動板のたわみ量から、前記光偏向器の振動周波数を算出する振動周波数算出手段を有することを特徴とする請求項4に記載の光偏向器。
  7. 前記たわみ検出回路で検出した可動板のたわみ量から、前記光偏向器に加わる角加速度を算出する角加速度算出手段を有することを特徴とする請求項4に記載の光偏向器。
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