JP2005325746A - 車両用排熱回収システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ランキンサイクルにおいて、ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを有効に制御する装置を備えた車両用排熱回収システムを安価に提供する。
【解決手段】ランキンサイクル10には、ポンプ11、ボイラ12、膨張機13及び冷凍サイクル1と共有するコンデンサ3が設けられ、冷媒であるフロンR134aが循環されている。ポンプ11の吸入側には、バイパスライン14の一端が設けられ、バイパスライン14の他端がポンプ11の吐出側に接続されている。バイパスライン14には流量調整バルブ15が設けられている。ボイラ12の出口には、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒートを検出する感温筒17が設けられ、連結管16によって感温筒17と流量調整バルブ15とが接続されている。連結管16には、使用冷媒と同じフロンR134aが封入されている。
【選択図】図1
【解決手段】ランキンサイクル10には、ポンプ11、ボイラ12、膨張機13及び冷凍サイクル1と共有するコンデンサ3が設けられ、冷媒であるフロンR134aが循環されている。ポンプ11の吸入側には、バイパスライン14の一端が設けられ、バイパスライン14の他端がポンプ11の吐出側に接続されている。バイパスライン14には流量調整バルブ15が設けられている。ボイラ12の出口には、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒートを検出する感温筒17が設けられ、連結管16によって感温筒17と流量調整バルブ15とが接続されている。連結管16には、使用冷媒と同じフロンR134aが封入されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両用排熱回収システムに関する。
この種の車両用排熱回収システムとしては、自動車など車両の内燃機関の排熱を回収して発電機の動力に利用したランキンサイクルと、空調用の冷凍サイクルとを備えるものが、例えば特許文献1に開示されている。
図5はこのような車両用排熱回収システムの構成図である。
冷凍サイクル20においては、エンジン22によって駆動されたコンプレッサ23がフロン等の冷媒ガスの圧縮を行う。コンプレッサ23から吐出された高温高圧の冷媒ガスは、ランキンサイクル30を循環する冷媒と混合した後、コンデンサ24で冷却凝縮され、再び冷凍サイクル20とランキンサイクル30とに分配される。冷凍サイクル20に分配された冷媒は、膨張弁25で減圧され、その後、蒸発器26において車内へ供給される空気と熱交換されてガスとなり、再びコンプレッサ23へと吸入される。
一方、ランキンサイクル30においては、ポンプ31から吐出されたフロン等の冷媒が、ボイラ32においてエンジン冷却水33と熱交換されることによって冷媒ガスとなり、膨張機34へと送られて膨張される。この際、膨張機34において動力が発生し、この動力及びエンジン22の動力によって発電機35が駆動されて発電が行われる。膨張機34で膨張された冷媒ガスは、冷凍サイクル20を循環する冷媒と混合した後、コンデンサ24で冷却凝縮され、再び冷凍サイクル20とランキンサイクル30とに分配される。ランキンサイクル30に分配された冷媒は、再びポンプ31に吸入される。
図5はこのような車両用排熱回収システムの構成図である。
冷凍サイクル20においては、エンジン22によって駆動されたコンプレッサ23がフロン等の冷媒ガスの圧縮を行う。コンプレッサ23から吐出された高温高圧の冷媒ガスは、ランキンサイクル30を循環する冷媒と混合した後、コンデンサ24で冷却凝縮され、再び冷凍サイクル20とランキンサイクル30とに分配される。冷凍サイクル20に分配された冷媒は、膨張弁25で減圧され、その後、蒸発器26において車内へ供給される空気と熱交換されてガスとなり、再びコンプレッサ23へと吸入される。
一方、ランキンサイクル30においては、ポンプ31から吐出されたフロン等の冷媒が、ボイラ32においてエンジン冷却水33と熱交換されることによって冷媒ガスとなり、膨張機34へと送られて膨張される。この際、膨張機34において動力が発生し、この動力及びエンジン22の動力によって発電機35が駆動されて発電が行われる。膨張機34で膨張された冷媒ガスは、冷凍サイクル20を循環する冷媒と混合した後、コンデンサ24で冷却凝縮され、再び冷凍サイクル20とランキンサイクル30とに分配される。ランキンサイクル30に分配された冷媒は、再びポンプ31に吸入される。
しかしながら、ランキンサイクル30において、ボイラ32で加熱された冷媒のスーパーヒートがある値より小さい場合、ボイラ32を流れる冷媒量を低下させてスーパーヒートを上昇させる必要があるが、ボイラ32に供給される冷媒量を調節することができないため、ボイラ32で加熱された冷媒のスーパーヒートを制御できないといった問題点があった。これにより、スーパーヒートがある値以下になると、膨張機34における膨張時に冷媒が気液二相状態になって、膨張機の効率が低下したり、膨張機の耐久性が悪化したりするおそれがある。つまり、冷媒が膨張機34において膨張される際に、気液二相状態にならないような値以上になるように、ボイラ32で加熱された冷媒のスーパーヒートを制御する必要がある。
また、ボイラ32で加熱された冷媒のスーパーヒートをある値以上に保つためには、ボイラ32での吸熱量に合わせてポンプ31の冷媒吐出流量を調節する必要がある。そのため、インバータを設けてポンプ31のモータ回転数を制御したり、ポンプ31と並列の電子制御バイパスバルブを設けたりしてバルブ開度を調整することもできるが、インバータや電子制御バイパスバルブは高価であるため、システム全体のコストが上昇したり、システム全体の構成が複雑化したりするといった問題点があった。
また、ボイラ32で加熱された冷媒のスーパーヒートをある値以上に保つためには、ボイラ32での吸熱量に合わせてポンプ31の冷媒吐出流量を調節する必要がある。そのため、インバータを設けてポンプ31のモータ回転数を制御したり、ポンプ31と並列の電子制御バイパスバルブを設けたりしてバルブ開度を調整することもできるが、インバータや電子制御バイパスバルブは高価であるため、システム全体のコストが上昇したり、システム全体の構成が複雑化したりするといった問題点があった。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、ランキンサイクルにおいて、ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを有効に制御する装置を備えた車両用排熱回収システムを安価に提供することを目的とする。
この発明に係る車両用排熱回収システムは、車両における排熱を用いて冷媒を加熱するボイラ、ボイラで加熱された冷媒を膨張させる膨張機、膨張機で膨張された冷媒を冷却するコンデンサ、コンデンサで冷却された冷媒を循環するポンプ、及び膨張機の動力によって駆動される負荷機を有するランキンサイクルと、冷媒を圧縮するコンプレッサ、コンプレッサで圧縮された冷媒を冷却するランキンサイクルと共有するコンデンサ、コンデンサで冷却された冷媒を減圧する減圧装置、及び減圧装置で減圧された冷媒を加熱する蒸発器を有する冷凍サイクルとを備え、ランキンサイクルは、ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを検出するスーパーヒート検出手段と、ポンプの吐出側と吸入側とを連通する経路であって、経路を流れる冷媒の流量を調整するための流量調整手段を有するバイパスラインとを備え、スーパーヒート検出手段によって検出された検出値に基づいて、流量調整手段がバイパスラインを流れる冷媒の流量を調整することにより、ボイラを流れる冷媒の流量を調整することを特徴とする。
ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを検出し、その検出値に基づいてボイラを流れる冷媒の流量を調節するので、ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを有効に制御することができる。
ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを検出し、その検出値に基づいてボイラを流れる冷媒の流量を調節するので、ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを有効に制御することができる。
コンデンサは、ランキンサイクル及び冷凍サイクルのそれぞれに独立して設けられ、ランキンサイクルと冷凍サイクルとは互いに独立したサイクルである車両用排熱回収システムにも適用することができる。
また、負荷機は、膨張機で発生した動力、及び各サイクル以外の動力源からの動力のうち、少なくとも一つの動力によって駆動されるようにしてもよい。つまり、負荷機は、車両のエンジン等、膨張機以外からの動力を用いて駆動されるようにしてもよい。このように構成することで、膨張機からの動力だけでは負荷機の駆動が不安定である場合にも、エンジン等からの動力を用いて負荷機を駆動することができる。したがって、極めて安定し
て負荷機を駆動することができる。
また、負荷機は、膨張機で発生した動力、及び各サイクル以外の動力源からの動力のうち、少なくとも一つの動力によって駆動されるようにしてもよい。つまり、負荷機は、車両のエンジン等、膨張機以外からの動力を用いて駆動されるようにしてもよい。このように構成することで、膨張機からの動力だけでは負荷機の駆動が不安定である場合にも、エンジン等からの動力を用いて負荷機を駆動することができる。したがって、極めて安定し
て負荷機を駆動することができる。
この発明によれば、ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートに基づいて、ボイラを流れる冷媒の流量を調節するようにしたため、ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを有効に制御することができる。
以下、この発明の一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この実施の形態に係る車両用排熱回収システムは、図1に示されるように、冷凍サイクル1及びランキンサイクル10を備えている。
冷凍サイクル1には、コンプレッサ2、コンデンサ3、減圧装置である膨張弁4及び蒸発器5が設けられている。コンプレッサ2は、伝達ベルト6を介して、エンジン7の動力によって駆動され、冷凍サイクル1内を、冷媒であるフロンR134aが循環するようになっている。
一方、ランキンサイクル10には、ポンプ11、ボイラ12、膨張機13及び冷凍サイクル1と共有するコンデンサ3が設けられ、冷媒であるフロンR134aが循環されている。ポンプ11の吸入側には、バイパスライン14の一端が設けられ、バイパスライン14の他端がポンプ11の吐出側に接続されている。バイパスライン14には流量調整手段である流量調整バルブ15が設けられている。ボイラ12の出口には、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒート検出手段である感温筒17が設けられ、連結管16によって感温筒17と流量調整バルブ15とが接続されている。連結管16には、使用冷媒と同じフロンR134aが封入されている。
膨張機13は、コンプレッサの吐出側と吸入側とを実質的に逆に接続した構造であり、吸入される冷媒によって駆動される。その際に発生した動力によって発電機18を駆動させることができるように、膨張機13と発電機18とが連結されている。例えば、膨張機13の出力軸に発電機18の入力軸が連結され、膨張機13からの動力によって発電機18が回転されるように構成してもよい。さらに、発電機18は、伝達ベルト19を介して、エンジン7の動力によっても駆動できるようになっている。ここで、発電機18は負荷機を構成する。
この実施の形態に係る車両用排熱回収システムは、図1に示されるように、冷凍サイクル1及びランキンサイクル10を備えている。
冷凍サイクル1には、コンプレッサ2、コンデンサ3、減圧装置である膨張弁4及び蒸発器5が設けられている。コンプレッサ2は、伝達ベルト6を介して、エンジン7の動力によって駆動され、冷凍サイクル1内を、冷媒であるフロンR134aが循環するようになっている。
一方、ランキンサイクル10には、ポンプ11、ボイラ12、膨張機13及び冷凍サイクル1と共有するコンデンサ3が設けられ、冷媒であるフロンR134aが循環されている。ポンプ11の吸入側には、バイパスライン14の一端が設けられ、バイパスライン14の他端がポンプ11の吐出側に接続されている。バイパスライン14には流量調整手段である流量調整バルブ15が設けられている。ボイラ12の出口には、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒート検出手段である感温筒17が設けられ、連結管16によって感温筒17と流量調整バルブ15とが接続されている。連結管16には、使用冷媒と同じフロンR134aが封入されている。
膨張機13は、コンプレッサの吐出側と吸入側とを実質的に逆に接続した構造であり、吸入される冷媒によって駆動される。その際に発生した動力によって発電機18を駆動させることができるように、膨張機13と発電機18とが連結されている。例えば、膨張機13の出力軸に発電機18の入力軸が連結され、膨張機13からの動力によって発電機18が回転されるように構成してもよい。さらに、発電機18は、伝達ベルト19を介して、エンジン7の動力によっても駆動できるようになっている。ここで、発電機18は負荷機を構成する。
次に、この実施の形態に係る車両用排熱回収システムの動作について説明する。
エンジン7が稼動すると、エンジン7の動力が、伝達ベルト6によってコンプレッサ2に伝わり、コンプレッサ2を駆動する。コンプレッサ2が駆動されると、フロンR134aが、コンプレッサによって圧縮され、高温高圧の状態で吐出される。コンプレッサ2から吐出されたフロンR134aは、ランキンサイクル10の膨張機13で膨張されたフロンR134aと合流した後、コンデンサ3によって冷却凝縮される。その後、フロンR134aは、ランキンサイクル10と冷凍サイクル1とに分配される。冷凍サイクル1へ分配されたフロンR134aは、膨張弁4によって膨張され、蒸発器5において加熱されてガスとなる。再びコンプレッサ2に吸入されることで、冷凍サイクル1を循環する。
蒸発器5において、フロンR134aは車内へ向かう空気と熱交換されることによって加熱される。熱交換された空気は冷気として車内に供給される。
エンジン7が稼動すると、エンジン7の動力が、伝達ベルト6によってコンプレッサ2に伝わり、コンプレッサ2を駆動する。コンプレッサ2が駆動されると、フロンR134aが、コンプレッサによって圧縮され、高温高圧の状態で吐出される。コンプレッサ2から吐出されたフロンR134aは、ランキンサイクル10の膨張機13で膨張されたフロンR134aと合流した後、コンデンサ3によって冷却凝縮される。その後、フロンR134aは、ランキンサイクル10と冷凍サイクル1とに分配される。冷凍サイクル1へ分配されたフロンR134aは、膨張弁4によって膨張され、蒸発器5において加熱されてガスとなる。再びコンプレッサ2に吸入されることで、冷凍サイクル1を循環する。
蒸発器5において、フロンR134aは車内へ向かう空気と熱交換されることによって加熱される。熱交換された空気は冷気として車内に供給される。
次に、上記一連の動作についてのフロンR134aの熱力学的状態変化を、図2に示されるモリエル線図を用いて説明する。
点eの状態にあるフロンR134aのガスが、コンプレッサ2によって圧縮されると、点fの状態に変化する。コンデンサ3によって冷却凝縮されると、飽和蒸気線と交わる点cから気液二相の状態となり、飽和液線と交わる点gにおいて完全に液化して、液体の点hの状態になる。膨張弁4において減圧されると、気液二相の点iの状態になる。蒸発器5によって加熱されると、最初のガスの状態の点eに戻る。
点eの状態にあるフロンR134aのガスが、コンプレッサ2によって圧縮されると、点fの状態に変化する。コンデンサ3によって冷却凝縮されると、飽和蒸気線と交わる点cから気液二相の状態となり、飽和液線と交わる点gにおいて完全に液化して、液体の点hの状態になる。膨張弁4において減圧されると、気液二相の点iの状態になる。蒸発器5によって加熱されると、最初のガスの状態の点eに戻る。
一方、ランキンサイクル10において、ポンプ11から吐出された液体のフロンR134aは、ボイラ12によって、エンジンの冷却水8と熱交換されてガスとなる。
この動作についてのフロンR134aの熱力学的状態変化を、図2を用いて説明すると、ボイラ12によるエンジンの冷却水8との熱交換によって、フロンR134aは点aの状態から点bの状態に変化する。その過程の飽和液線と交わる点a’からフロンR134aは気液二相の状態となり、飽和蒸気線と交わる点b’においてフロンR134aは完全にガスとなる。点bはスーパーヒートの状態である。
この動作についてのフロンR134aの熱力学的状態変化を、図2を用いて説明すると、ボイラ12によるエンジンの冷却水8との熱交換によって、フロンR134aは点aの状態から点bの状態に変化する。その過程の飽和液線と交わる点a’からフロンR134aは気液二相の状態となり、飽和蒸気線と交わる点b’においてフロンR134aは完全にガスとなる。点bはスーパーヒートの状態である。
ここで、ボイラ12から出たフロンR134aのスーパーヒートが小さい場合、例えば図2の点b”の状態を考える。この場合、膨張機13でフロンR134aのガスが膨張されると、図2の破線b”−c”上を状態変化する。破線b”−c”が飽和蒸気線と交わる点d”から点c”の状態では、フロンR134aは気液二相状態になる。このため膨張機13の効率は低下し、膨張機13の耐久性も悪化する。これを防止するためには、膨張機13での膨張において、フロンR134aが気液二相状態にならないようにスーパーヒートをある値以上(図2において点bより右側)に保つ必要がある。そこで、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒートを感温筒17で検出し、その検出値に基づいて流量調整バルブ15の開度を調節する。これにより、ボイラ12を流れるフロンR134aの流量が調節されて、スーパーヒートをある値以上に保ち、膨張機13での膨張において、フロンR134aが気液二相状態にならないようにすることができる。
次に、冷媒流量の調節方法を、図3及び4に基づいて説明する。
図3に示されるように、ボイラ12から出たフロンR134aのスーパーヒートがある値以上の場合は、感温筒17に連結する連結管16内の圧力P1が上昇し、ポンプ11の吐出圧力P2とばね15bとの合力より大きくなる。これによりダイヤフラム15aが押し下げられ、流量調整バルブ15は全閉となって、ポンプ11から吐出されたフロンR134aの全量がボイラ12に送られる。
図4に示されるように、ボイラ12から出たフロンR134aのスーパーヒートがある値以下(図2において点bより左側の状態)の場合は、感温筒17と連結する連結管16内の圧力P1が低下し、ポンプ11の吐出圧力P2とばね15bとの合力より小さくなる。これによりダイヤフラム15aを押し上げられ、流量調整バルブ15の開度が感温筒17の検出値に基づいて調整される。流量調整バルブ15が開くと、ポンプ11から吐出されたフロンR134aの一部が、バイパスライン14内を矢印Aの方向に流れ、ポンプ11の吸入側に戻る。この結果、ボイラ12へ送られるフロンR134aの流量が減少するため、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒートを上昇させることができる。
図3に示されるように、ボイラ12から出たフロンR134aのスーパーヒートがある値以上の場合は、感温筒17に連結する連結管16内の圧力P1が上昇し、ポンプ11の吐出圧力P2とばね15bとの合力より大きくなる。これによりダイヤフラム15aが押し下げられ、流量調整バルブ15は全閉となって、ポンプ11から吐出されたフロンR134aの全量がボイラ12に送られる。
図4に示されるように、ボイラ12から出たフロンR134aのスーパーヒートがある値以下(図2において点bより左側の状態)の場合は、感温筒17と連結する連結管16内の圧力P1が低下し、ポンプ11の吐出圧力P2とばね15bとの合力より小さくなる。これによりダイヤフラム15aを押し上げられ、流量調整バルブ15の開度が感温筒17の検出値に基づいて調整される。流量調整バルブ15が開くと、ポンプ11から吐出されたフロンR134aの一部が、バイパスライン14内を矢印Aの方向に流れ、ポンプ11の吸入側に戻る。この結果、ボイラ12へ送られるフロンR134aの流量が減少するため、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒートを上昇させることができる。
このようにしてスーパーヒートがある値に保たれた状態、例えば図2の点bの状態であるフロンR134aは、膨張機13に吸入されて膨張される。この場合、フロンR134aは図2の点bから点cの状態に変化するため、膨張の過程で気液二相状態になることはない。つまり、スーパーヒートをある値以上(図2の点bより右側の状態)に保つ必要がある。
膨張機13によって膨張されたフロンR134aは、冷凍サイクル1のコンプレッサ2から吐出されたフロンR134aと合流した後、コンデンサ3によって冷却凝縮される。その後、フロンR134aは、ランキンサイクル10と冷凍サイクル1とに分配される。ランキンサイクル10へ分配されたフロンR134aは、再びポンプ11に吸入されることで、ランキンサイクル10を循環する。
膨張機13で発生した動力によって、発電機18が駆動されて発電が行われる。また、伝達ベルト19を介してのエンジン7の動力も用いて発電機18を駆動する。発電機18で発生した電力は、図示しないバッテリーに一旦蓄電された後、車両に備えられた各種電気機器(ポンプ11も含む)の駆動に用いられるようにしてもよい。また、バッテリーに蓄電されることなく直接各種電気機器の駆動に用いられるようにしてもよい。
膨張機13によって膨張されたフロンR134aは、冷凍サイクル1のコンプレッサ2から吐出されたフロンR134aと合流した後、コンデンサ3によって冷却凝縮される。その後、フロンR134aは、ランキンサイクル10と冷凍サイクル1とに分配される。ランキンサイクル10へ分配されたフロンR134aは、再びポンプ11に吸入されることで、ランキンサイクル10を循環する。
膨張機13で発生した動力によって、発電機18が駆動されて発電が行われる。また、伝達ベルト19を介してのエンジン7の動力も用いて発電機18を駆動する。発電機18で発生した電力は、図示しないバッテリーに一旦蓄電された後、車両に備えられた各種電気機器(ポンプ11も含む)の駆動に用いられるようにしてもよい。また、バッテリーに蓄電されることなく直接各種電気機器の駆動に用いられるようにしてもよい。
このように、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒートを感温筒17が検出し、この検出値に基づいて流量調整バルブ15の開度を調整してボイラ12を流れるフロンR134aの流量を調節するようにしたので、ボイラ12で加熱されたフロンR134aのスーパーヒートを制御することができる。これにより、膨張機13においてフロンR134aを膨張する際に、フロンR134aが気液二相状態になるのを防ぐことができる。
尚、この実施の形態においては、冷凍サイクル1及びランキンサイクル10が1つのコンデンサ3を共有し一つの冷媒を使用した車両用排熱回収システムを用いて説明したが、このような車両用排熱回収システムに限定されるものではない。実施の形態1のコンデンサ3を、冷凍サイクル1及びランキンサイクル10のそれぞれに設けられた独立のコンデンサとし、冷凍サイクル1とランキンサイクル10とが互いに独立したサイクルである車両用排熱回収システムにも適用することができる。
この場合、それぞれのサイクルには異なる冷媒を用いることができる。
例えば、冷凍サイクル1の冷媒には二酸化炭素等の公知の冷凍サイクル用の冷媒も採用することができる。
ランキンサイクル10の冷媒には、プロパンやイソブタン等の炭化水素を採用することができる。また、炭化水素のほかに、混合冷媒も採用できる。混合冷媒としては、例えば、混合冷媒407cや混合冷媒R410Aが好ましく採用され、混合冷媒R410Aが特に好ましく採用される。当然、ランキンサイクル10に使用される公知の冷媒も採用できる。
例えば、冷凍サイクル1の冷媒には二酸化炭素等の公知の冷凍サイクル用の冷媒も採用することができる。
ランキンサイクル10の冷媒には、プロパンやイソブタン等の炭化水素を採用することができる。また、炭化水素のほかに、混合冷媒も採用できる。混合冷媒としては、例えば、混合冷媒407cや混合冷媒R410Aが好ましく採用され、混合冷媒R410Aが特に好ましく採用される。当然、ランキンサイクル10に使用される公知の冷媒も採用できる。
この実施の形態においては、発電機18による発電量を略一定にするために、駆動源として膨張機13による駆動力の他にエンジン7からの駆動力も用いたが、膨張機13による駆動力のみを用いて発電するようにしてもよい。また、いずれの動力を用いるか選択できるようにしてもよい。このようにするには、例えばクラッチ等を設け、発電機18と駆動源との動力伝達の遮断ができるようにすればよい。
この実施の形態においては、エンジンを冷却した冷却水8とランキンサイクル10の冷媒とをボイラ12において熱交換しているが、エンジンの冷却水8以外の排熱、例えばエキゾーストパイプ等、車両における排熱と熱交換するようにしてもよく、複数の排熱と熱交換するようにしてもよい。
この実施の形態においては、コンプレッサ2はエンジン7によって駆動されるが、モータ等の他の駆動源によって駆動されるものを用いてもよい。また、ランキンサイクル10や冷凍サイクル1には、それぞれ公知の他の構成要素を適宜追加したり、公知の手法を用いて変更したりすることができる。
この実施の形態においては、負荷機として発電機18を例にして説明したが、発電機に限定されるものではない。例えば、コンプレッサやラジエータの冷却ファンにしてもよいし、エンジンと協働して駆動輪を回すようにしてもよい。すなわち、運動エネルギーによって駆動される機械であれば負荷機として使用することができる。
この実施の形態においては、連結管16に使用冷媒と同じフロンR134aを封入しているが、フロンR134aに限定されるものではなく、さらに使用冷媒と同じ冷媒に限定されるものでもない。例えば、ランキンサイクル10に使用されている他の冷媒と同じ炭化水素、混合冷媒、二酸化炭素等を封入してもよいし、使用されている冷媒とは異なる他の冷媒を封入するようにしてもよい。
この実施の形態においては、膨張機13として、コンプレッサの吐出側と吸入側とを実質的に逆に接続した構造のものを使用したが、この構造のものに限定されるものではない。公知の膨張機を適宜使用することができる。
1 冷凍サイクル、2 コンプレッサ、3 コンデンサ、 4 膨張弁、5 蒸発器、6,19 伝達ベルト、7 エンジン、8 エンジン冷却水、10 ランキンサイクル、11 ポンプ、12 ボイラ、13 膨張機、14 バイパスライン、15 流量調整バルブ、16 連結管、17 感温筒、18 発電機。
Claims (3)
- 車両における排熱を用いて冷媒を加熱するボイラ、前記ボイラで加熱された冷媒を膨張させる膨張機、前記膨張機で膨張された冷媒を冷却するコンデンサ、前記コンデンサで冷却された冷媒を循環するポンプ、及び前記膨張機の動力によって駆動される負荷機を有するランキンサイクルと、
前記冷媒を圧縮するコンプレッサ、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を冷却する前記ランキンサイクルと共有する前記コンデンサ、前記コンデンサで冷却された冷媒を減圧する減圧装置、及び前記減圧装置で減圧された冷媒を加熱する蒸発器を有する冷凍サイクルと
を備え、
前記ランキンサイクルは、
前記ボイラで加熱された冷媒のスーパーヒートを検出するスーパーヒート検出手段と、
前記ポンプの吐出側と吸入側とを連通する経路であって、前記経路を流れる前記冷媒の流量を調整するための流量調整手段を有するバイパスラインと
を備え、
前記スーパーヒート検出手段によって検出された検出値に基づいて、前記流量調整手段が前記バイパスラインを流れる前記冷媒の流量を調整することにより、前記ボイラを流れる前記冷媒の流量を調整することを特徴とする車両用排熱回収システム。 - 前記コンデンサは、前記ランキンサイクル及び前記冷凍サイクルのそれぞれに独立して設けられ、
前記ランキンサイクルと前記冷凍サイクルとは互いに独立したサイクルである請求項1に記載の車両用排熱回収システム。 - 前記負荷機は、前記膨張機で発生した動力、及び前記各サイクル以外の動力源からの動力のうち、少なくとも一つの動力によって駆動される請求項1または2に記載の車両用排熱回収システム。
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