JP2005325168A - 導電性ゴムローラー - Google Patents

Abstract

【課題】転写ローラーや帯電ローラーあるいは現像ローラー等の導電性ゴムローラーであって、温度や湿度の影響による電気的特性の変化の少ない導電性ゴムローラーを提供する。
【解決手段】導電性芯材上にゴム層が成形されている導電性ゴムローラーにおいて、該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、ハイドロタルサイトを１０〜９０質量部含有し、且つ、ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、プロピレンオキサイドユニットを０．１〜２．０質量部含有し、更に、該ゴム材料中の該ハイドロタルサイトの分子式がＭｇ_４．３Ａｌ_２（ＯＨ）_１２．６ＣＯ_３であり該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、アクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有する。
【選択図】図１

Description

本発明は、電子写真複写装置、プリンター、または静電記録装置等の画像形成装置において使用される導電性ゴムローラーに関するものである。

複写機、プリンターなど、電子写真方式の画像形成装置の多くに帯電ローラー、転写ローラー、現像ローラー等の導電性ローラーが用いられている。これらのゴムローラーに導電性を付与するのにカーボンブラックなどの導電性の充填材を加える方法、あるいはアクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性のゴム材料を配合する方法が挙げられる（特許文献１）。上記ローラーに導電性を付与するのにカーボンブラックなどの導電性の充填材を加える方法は電圧値による抵抗値の依存性や、ロットによる抵抗値のバラツキが大きい為、その抵抗値が比較的安定した後者のイオン導電性のアクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴムや、イオン導電剤を付与したゴム材料を用いる手段が主流となっている（例えば特許文献２）。しかし、これらの材料は温度・湿度の環境変化による抵抗値変動が大きくなってしまうことが問題となっている為、これからの複写機、プリンターの高速化等の要求から、導電性ゴムローラーにはさらなる温度や湿度の影響による電気的特性の変化を少なくした特性が求められている。
特開２００２−２８７５６号公報 特開２００２−１６７５１号公報

従って本発明の課題は、転写ローラーや帯電ローラーあるいは現像ローラー等の導電性ゴムローラーにおいて、温度や湿度の影響による電気的特性の変化を少なくした導電性ゴムローラーを提供することとする。

本発明では、導電性芯材上にゴム層が成形されている導電性ゴムローラーにおいて、該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、ハイドロタルサイトを１０〜９０質量部含有し、且つ、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、プロピレンオキサイドユニットを０．１〜２．０質量部含有することにより、上記の課題を解決した。更に、本発明は、該ゴム材料中の該ハイドロタルサイトの分子式がＭｇ_４．３Ａｌ_２（ＯＨ）_１２．６ＣＯ_３であり、該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、アクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有することを特徴とするものである。

以上に示したように、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、該ゴム層が、ハイドロタルサイトを１０〜９０質量部含有し、且つ、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してプロピレンオキサイドユニットを０．１〜２．０質量部含有する。更に、該ゴム材料中の該ハイドロタルサイトの分子式がＭｇ_４．３Ａｌ_２（ＯＨ）_１２．６ＣＯ_３であり、該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、アクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有している場合、温度や湿度の影響による電気的特性の変化が小さくなる。

従って上記導電性ゴムローラー用ゴム組成物を用いた導電性ゴムローラーは電子写真技術の画像形成に用いられる転写ローラーなどに好適に使用することができる。

以下、本発明について詳細に説明する。

図２に、本発明に係る導電性ゴムローラーを画像形成装置に利用した一例を示す。ここでは転写ローラーについての説明であるが、帯電ローラーあるいは現像ローラー等他のローラータイプの部品に対しても適用可能である。同図に示す画像形成装置は、電子写真方式の、プロセスカートリッジを使用したレーザプリンタであり、同図はその概略構成を示す縦断面図である。また、同図に示す画像形成装置には、転写ローラーを有する転写装置が装着されている。

同図に示す画像形成装置は、像担持体として、ドラム型の電子写真感光体（以下「感光ドラム」という。）１を備えている。感光ドラム１は、接地された円筒アルミニウム基体の外周面に、有機光導電体（ＯＰＣ）からなる感光層を設けたものである。この感光ドラム１は、駆動手段（不図示）により、矢印Ｒ１方向に所定のプロセススピード（周速度）、例えば５０ｍｍ／ｓｅｃで回転駆動される。

感光ドラム１表面は、接触帯電部材としての帯電ローラー２によって均一に帯電される。帯電ローラー２は、感光ドラム１表面に接触配置されており、感光ドラム１の矢印Ｒ１方向の回転に伴って矢印Ｒ２方向に従動回転する。帯電ローラー２には、帯電バイアス印加電源（高圧電源）により振動電圧（交流電圧ＶＡＣ＋直流電圧ＶＤＣ）が印加され、これにより感光ドラム１表面は、−６００Ｖ（暗部電位Ｖｄ）に一様に帯電処理される。帯電後の感光ドラム１表面は、レーザスキャナから出力されてミラーによって反射されたレーザ光３、すなわち、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光により走査露光を受ける。これにより、感光ドラム１表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像（明電部位Ｖｌ＝−１５０Ｖ）が形成される。

その静電潜像は、現像装置４の現像スリーブに印加された現像バイアスによって、負に帯電されたトナーが付着され、トナー像として反転現像される。

一方、給紙部（不図示）から給搬送された紙等の転写材７が、転写ガイドにガイドされて、感光ドラム１と転写ローラー６との間の転写部（転写ニップ部）Ｔに、感光ドラム１上のトナー像とタイミングを合わせるようにして供給される。転写部Ｔに供給された転写材７は、転写バイアス印加電源により転写ローラー６に印加された転写バイアスによって、表面に感光ドラム１上のトナー像が転写される。このとき、転写材７に転写されないで感光ドラム１表面に残ったトナー（残留トナー）は、クリーニング装置９によって除去される。

転写部Ｔを通った転写材７は、感光ドラム１から分離されて定着装置１０へ導入され、ここでトナー像の定着処理を受け、画像形成物（プリント）として画像形成装置本体（不図示）外部に排出される。

本発明を実証する導電性ゴムローラー（図１）は以下のようにして作製した。

［導電性ゴムローラー］
ゴム組成物は、ゴム主成分のポリマー成分１００質量部に対してハイドロタルサイトを１０〜９０質量部含有し、且つ、ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してプロピレンオキサイドユニットを０．１〜２．０質量部含有し、更に該ハイドロタルサイトの分子式がＭｇ_４．３Ａｌ_２（ＯＨ）_１２．６ＣＯ_３であり、且つ、ゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してアクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有した物の混合物とし、これにカーボンブラック等の導電材他の助剤や硫黄等の加硫剤、スルフィド系の加硫促進剤、発泡剤を混合したものである。

押出し機（不図示）を用いてゴム組成物を押出し、未加硫のチューブ状の導電性ゴム成形物を得た後、加硫缶にて１６０℃×３０分の加硫を行ない、チューブ状の導電性ゴム成形物を作製し、次いでφ４〜１０ｍｍの導電性芯材を前記チューブ状の導電性ゴム成形物の内径部に圧入し、ローラー状の成形体を得た。この成形体を、研磨砥石ＧＣ８０を取り付けた研磨機（不図示）に固定し、研磨条件として回転速度を２０００ＲＰＭ、送り速度を５００ｍ／分とし、外径がφ１７ｍｍになるように研磨し、導電性ゴムローラーを作製した。

なお、各実施例及び比較例で使用した資材は以下の通りである。

更に、実施例及び比較例では結合アクリロニトニル量が２５質量％以下である低ニトリルのアクリロニトリルブタジエンゴムを使用したが、本発明はこれに限られる物ではない。
ハイドロタルサイト（１）［ＤＨＴ−４Ｃ：協和化学工業（株）］
ハイドロタルサイト（２）［ＤＨＴ−４Ａ：協和化学工業（株）］
アクリロニトリルブタジエンゴム ［商品名：ＤＮ４０１ 日本ゼオン（株）社製］
エピクロルヒドリンゴム ［商品名 ：ゼクロン３１０６ 日本ゼオン（株）社製］
プロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル
［商品名：ゼオスパン８０３０ 日本ゼオン（株）社製］
（ローラーの電気抵抗及び環境変動量の測定方法）
ローラー抵抗は、導電性ローラーの軸体に片側４．９Ｎの荷重が両方に掛かるようにし、外径３０ｍｍのアルミニウム製のドラムに圧着し、回転させた状態で、軸体と該ドラムとの間に２ｋＶの電圧を印加して測定した。この測定をＬ／Ｌ（１５℃×１０％ＲＨ），Ｎ／Ｎ（２３℃×５５％ＲＨ），Ｈ／Ｈ（３５℃×８５％ＲＨ）の各環境下にて４８時間の放置後に測定した。環境変動量はＬＬとＨＨでの抵抗値の違いを桁で表した。環境変動量は１．４桁未満が好ましい。

［実施例１〜５］
該ゴム層は、ゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してハイドロタルサイトを１０〜９０質量部含有し、且つ、ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してプロピレンオキサイドユニットを０．１〜２．０質量部含有した。更に、該ゴム材料中の塩基性アルミニウム・マグネシウム・カーボネートハイドレートの無水和物である該ハイドロタルサイト（１）の分子式がＭｇ_４．３Ａｌ_２（ＯＨ）_１２．６ＣＯ_３であり、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してアクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有したものを選択し、実施例１〜５とした。

［比較例１〜５］
ハイドロタルサイトを１０質量部以下、または９０質量部以上含有させた場合（比較例１と２）、プロピレンオキサイドユニットを０質量部含有した場合（比較例３）、アクリロニトリルブタジエンゴムを０質量部、プロピレンオキサイドユニットを２質量部以上含有させ、且つ、エチレンオキサイドユニットを６４．０質量部以上含有させた場合（比較例４）、更に、該ゴム材料中の塩基性アルミニウム・マグネシウム・カーボネートハイドレートの水和物である該ハイドロタルサイト（２）の分子式がＭｇ_４．３Ａｌ_２（ＯＨ）_１２．６ＣＯ_３・３．３Ｈ_２Ｏのものを使用した場合であり、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してアクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有した場合（比較例５）を選択し、比較例１〜５とした。

この結果からゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してハイドロタルサイトを１０〜９０質量部含有し、且つ、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してプロピレンオキサイドユニットを０．１〜２．０質量部含有し、且つ、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対してアクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有した範囲内では、環境変動量が小さくなることがわかる。これらの結果は表１に記載されている。

また、比較例１〜５の範囲の場合には環境変動量が実施例よりも大きくなる。これらの結果は表２に記載されている。

温度や湿度の影響による電気的特性の変化の少ない導電性ゴムローラーが得られ、転写ローラーや帯電ローラーあるいは現像ローラー等の導電性ゴムローラーとしての利用が期待される。

本発明に係る転写ローラーの全体断面図である。 本発明に係る画像形成装置の全体断面図である。

符号の説明

１…感光ドラム
２…帯電装置
３…露光手段
４…現像装置
５…トナー
６…転写ローラー
７…転写材（記録媒体）
８…クリーニングブレード
９…廃トナー容器
１０…定着装置
６１…芯金
６２…弾性層

Claims (5)

1. 導電性芯材上にゴム層が成形されている導電性ゴムローラーにおいて、該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、ハイドロタルサイトを１０〜９０質量部含有し、且つ、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、プロピレンオキサイドユニットを０．１〜２．０質量部含有することを特徴とする導電性ゴムローラー。
2. 該ゴム材料中の該ハイドロタルサイトの分子式が Ｍｇ_４．３Ａｌ_２（ＯＨ）_１２．６ＣＯ_３であることを特徴とする請求項１に記載の導電性ゴムローラー。
3. 該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、アクリロニトリルブタジエンゴムを１０〜９８質量部含有することを特徴とする請求項１に記載の導電性ゴムローラー。
4. 該ゴム層が、該ゴム層のゴム材料中のポリマー成分１００質量部に対して、エチレンオキサイドユニットを１．５〜６４．０質量部含有することを特徴とする請求項１に記載の導電性ゴムローラー。
5. 該ゴム層が発泡体で構成されることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の導電性ゴムローラー。