JP2005323488A - モータ回転情報検出方法及びモータ回転情報検出装置 - Google Patents

モータ回転情報検出方法及びモータ回転情報検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モータの回転開始時や停止直前など回転速度が遅い場合であれ、モータ停止時における制動時間の長期化を招くことなく、回転情報を精度よく検出することのできるモータ回転情報検出方法及びモータ回転情報検出装置を提供する。
【解決手段】電流検出部4で検出されたモータ電流iの波形から、回転信号生成部6にてリップル成分のパルス信号を生成する。このパルス信号に基づいて、回転量推定部8でモータMの回転量が推定される。また、モータ端子間電圧検出部3で検出されたモータ端子間電圧Vmと、電流検出部4で検出されたモータ電流iとから、逆起電圧推定部5で逆起電圧Vgを推定する。そして、逆起電圧積分演算部7で、逆起電圧Vgに対して上記パルスのパルス周期ごとに積分演算を行い、この積分演算の結果に基づいて、回転量判定、補正部9において上記回転量推定部8で推定されたモータMの回転量に対して補正を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータ回転情報検出方法及びモータ回転情報検出装置に関し、詳しくはブラシを有する直流モータにあって、該モータに流れる電流、または該モータの端子間電圧などのモータ駆動波形に基づきその回転情報を検出する方法及び装置に関する。
自動車には、快適性や利便性のために、直流ブラシモータを使ったシステムが数多く搭載されている。例えば、空調装置には、吹き出し口やエアミックス量を変えるためのドアを動かす直流モータが幾つか搭載されている。また、ドアミラーの位置やシートの位置の操作、パワーウインドシステムにあっては窓の位置の操作などにも、そのアクチュエータとして直流モータが使われている。さらには、ヘッドライトの光軸をステアリングの切れ角に応じて変更するシステムなど、今後もこうした直流モータが使われる用途は拡大されつつある。
このように、これらのシステムでは、ドアの位置、ミラーの位置、シートの位置、窓の位置、ヘッドライトの位置と、それら駆動対象の位置を直流モータによって制御する。このため、何らかの手法で駆動対象の位置、すなわちモータの回転情報を検出することが重要である。
ここで従来、上記駆動対象の位置(モータの回転情報)を検出する方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、ホールセンサ等を用いてモータの回転量を計測することによって位置を特定する方法や、ポテンショメータにより位置を特定する方法が知られている。しかし、このような方法では、上記ホールセンサやポテンショメータ等のセンサを必要とするため、センサ自身及びセンサの取り付けによるコストの増大や信号線数の増加、さらにはセンサの寿命による信頼性の低下等が無視できないものとなる。
そこで従来は、こうしたセンサを不要として、具体的にはモータに流れる電流に含まれるリップル成分を抽出し、この抽出したリップル成分に基づいてモータの回転量を得る方法なども提案されている(例えば特許文献2参照)。図18及び図19に、こうしてモータの回転量を検出するための構成、並びにその検出態様について例示する。
すなわち、上記態様でモータの回転量を得るためには、図18に示すように、ブラシBを備えるモータMへの給電回路中にモータMと直列に抵抗Roを介挿し、この介挿した抵抗Roの端子間電圧を抽出することで、モータMに流れる電流iを検出する。このとき、この検出される電流iは、図19(a)に示されるように、所定周期のリップル成分に対して、ブラシBと整流子の各セグメントとが切り替わる際の不連続性に起因するサージ成分が加わったものとなる。そして、このモータに流れる電流iを上記リップル成分の周期(周波数域)に対応したバンドパスフィルタBPFに通すことにより、そのフィルタ出力BPFoとして、図19(b)に示されるように、上記サージ成分やその他のノイズ成分が除去された信号を得る。すなわち、モータMに流れる電流iのリップル成分に対応した信号を得る。さらに、この電流iのリップル成分に対応した信号BPFoを比較器CPを通じて所定のしきい値電圧Vthのもとに2値化することにより、図19(c)に示される態様でモータMの回転角度に対応したパルス信号CPoが得られる。そして、このパルス信号CPoの数を数えることで、モータMの回転量や回転数(回転速度)等の回転量が検出されるようになる。
このように、モータMに流れる電流iに含まれるリップル成分やサージ成分を抽出することができれば、これに基づいてモータの回転量が得られるようになる。
またこのほかにも、モータの回転情報を検出する方法としては、モータの端子間電圧に含まれる逆起電圧成分の極性とモータの回転方向とが相関することを利用して同モータの回転方向を検出する方法などが提案されている(例えば特許文献3、特許文献4を参照)。特許文献3及び4に記載される方法において採用されている回路構成の一例を、それぞれ図20及び図21に示す。
これら方法について簡単に説明すると、まず、特許文献3に記載の方法(図20参照)は、モータMへの電流供給を停止した状態での、すなわちモータMに流れる電流量を制御するトランジスタQをオフにした状態でのモータMの端子間電圧の極性に基づき同モータMの回転方向を検出する方法である。なお、トランジスタQは、矩形波発振回路OSCからアンド回路Aを介して入力される制御信号に基づいてモータMに流れる電流量を制御するものであり、この図20において、リレーRはモータMに印加される電圧の方向を切り換えるものである。一方、特許文献4に記載の方法(図21参照)は、モータの端子間インピーダンスを高めた(ハイインピーダンス化した)状態での、すなわちモータMに流れる電流量や電流の方向等を制御するトランジスタQ1〜Q4を全てオフした状態でのモータMの端子間電圧の極性に基づき同モータMの回転方向を検出する方法である。いずれの方法においても、モータの端子間インピーダンスがハイインピーダンス化され、モータに電流が流れていない状態で同モータの回転情報(回転方向)の検出が行われる。
ここで、モータの端子間電圧Vmと、モータに流れるモータ電流i、そして逆起電圧Vgとは、図22に示すモータMの等価回路から、次式の関係が成り立つ。
Vg=Vm−r・i−L(di/dt) …(1)
この式において、Lはモータの内部インダクタンスに、rはモータの内部抵抗にそれぞれ相当する。ただし、上記方法では、モータに電流が流れていない状態で回転情報の検出が行われるため、上記式(1)は次式(2)
Vg=Vm …(2)
のように簡略化され、モータの端子間電圧Vmの極性に基づいてモータMの回転方向を検出することができるようになる。このように、モータの端子間インピーダンスをハイインピーダンス化することで、モータの端子間電圧の極性に基づいてモータの回転方向を得ることが可能になる。
特開2003−049586号公報 特開2002−010667号公報 特許第2844081号 特許第3458436号
ところが、上記図18及び図19に示した従来の方法では、全ての回転域でモータの回転情報(回転量)を検出することができるとはいえず、例えば回転開始時や回転停止直前などの低回転域にあっては、モータに流れる電流に含まれるリップル成分やサージ成分の振幅が大きく低下し、ノイズにまみれてしまう。このため、これらリップル成分やサージ成分から回転パルスを検出することができなくなり、またノイズの影響によって誤パルスを生じる可能性さえある。このように回転パルスが誤って検出されると、実際の回転量も誤って推定され、制御対象の位置を正確に検出することができなくなる。
また、この方法において、モータに流れる電流に含まれるリップル成分やサージ成分に基づいて回転パルスを検出できたとしても、回転パルスのみでは、モータの回転方向を判定することができない。例えば、モータの停止時に逆回転現象(揺れ戻し)が発生した場合には、その回転パルスがモータの回転量に加算されてしまい、誤った回転量が検出されることとなる。
そこで、上述したモータの端子間電圧の極性に基づいて同モータの回転方向を検出する方法(例えば特許文献3、特許文献4を参照)を用いてモータ停止時の揺れ戻しを検出することも考えられるが、その場合、今度は別の課題が生ずることになる。すなわち、こうした方法では、モータの端子間インピーダンスがハイインピーダンス化された状態を一定期間以上、十分長く確保する必要があるため、モータ停止時にこれを行うと、モータの制動時間が長期化するという問題が生じてしまう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、モータの回転開始時や停止直前など回転速度が遅い場合であれ、モータ停止時における制動時間の長期化を招くことなく、回転情報を精度よく検出することのできるモータ回転情報検出方法及びモータ回転情報検出装置を提供することを目的とする。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載のモータ回転情報検出方法では、直流ブラシモータのモータ駆動波形に基づいて同モータの回転情報を検出する方法として、前記モータの端子間電圧と同モータに流れる電流とから逆起電圧を求めるとともに、該求めた逆起電圧を前記モータ駆動波形の周期成分に対応する時間だけ積分し、この積分値に基づいて前記モータの回転量を検出することとする。
通常、上記逆起電圧は、モータの回転速度に比例する。したがって、この逆起電圧を求めるとともにこれを積分演算すれば、その算出される積分値はモータの回転量に比例した値となる。また、上記逆起電圧の正負を判定すれば、モータの回転方向も分かるため、その積分値は、モータの回転方向についての情報をも含んだ回転量を示すことともなる。このため、こうした積分値に基づいてモータの回転量を検出する上記方法によれば、モータの回転開始時や停止直前など、回転速度が遅い場合であっても、その回転方向をも含めてより精度の高いモータ回転量の検出を行うことができるようになる。
また、請求項1に記載のモータ回転情報検出方法において、請求項2に記載の発明のように、前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形の数に基づいて前記モータの回転量を推定するとともに、前記積分値の絶対値と所定のしきい値との対比によって前記周期成分波形の取り漏らしの有無、及びノイズによる同周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断し、これら判断に基づいて前記推定したモータの回転量を補正することとすれば、特にモータの回転開始時や停止直前など、回転速度が遅い場合に懸念される上記周期成分波形(パルス信号)の取り漏らしや、ノイズによる同周期成分波形(パルス信号)のオーバーカウント等が生じたとしても、これを適正に補正することが可能となる。
またこの場合には、特に請求項3に記載の発明によるように、前記所定のしきい値として、前記積分値の近似した複数の値の平均値、すなわち取り漏らしがないと判断されるいくつかの積分値の平均値(1パルス分の積分値の平均値)の絶対値よりも大きい第1しきい値と同平均値の絶対値よりも小さい第2しきい値との2つのしきい値を定め、前記積分値の絶対値が前記第1しきい値よりも大きいか否かに基づき前記周期成分波形の取り漏らしの有無を判断し、前記積分値の絶対値が前記第2しきい値よりも小さいか否かに基づき前記周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断する方法を採用することで、上記低速回転時の周期成分波形(パルス信号)の取り漏らしや、ノイズによる同周期成分波形(パルス信号)のオーバーカウントに対する耐性をより高めることができるようになる。
また、これら請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法において、請求項4に記載の発明のように、前記積分値の正負に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記推定したモータの回転量を補正することとすれば、モータ停止時の回転の揺れ戻しについても、その回転量を求める上での適正な補正が行われるようになる。
なおこのことは、請求項5に記載の発明においても同様である。すなわち、前記求められる逆起電圧の極性に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記推定したモータの回転量を補正するようにしてもよい。
また、請求項2〜5のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法において、請求項6に記載の発明のように、前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形としては、同モータ駆動波形のリップル成分波形及びサージ成分波形の一方を用いることができ、さらに請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法において、前記直流ブラシモータのモータ駆動波形としては、請求項7に記載の発明のように、
・直流ブラシモータに流れる電流の波形を用いる。
あるいは請求項8に記載の発明のように、
・直流ブラシモータの端子間電圧の波形を用いる。
等々の方法が有効である。
一方、請求項9に記載のモータ回転情報検出装置では、直流ブラシモータのモータ駆動波形に基づいて同モータの回転量を検出するモータ回転情報検出装置として、前記モータの端子間電圧を検出するモータ端子間電圧検出部と、同モータに流れる電流を検出するモータ電流検出部と、これら検出される端子間電圧及び電流に基づいて前記モータに発生する逆起電圧を推定する逆起電圧推定部と、この推定される逆起電圧を前記モータ駆動波形の周期成分に対応する時間だけ積分演算する逆起電圧積分演算部と、前記モータ駆動波形からその周期成分波形を抽出して前記モータの回転量を推定する回転量推定部と、この推定されるモータの回転量と前記積分演算された値とに基づいて前記モータの回転量を判定、補正する回転量判定、補正部とを備える構成とする。
モータ回転情報検出装置としてこのような構成を採用することにより、上記請求項1に記載の方法を容易且つ的確に実現することができるようになる。すなわち、モータの回転開始時や停止直前など、回転速度が遅い場合であっても、その回転方向をも含めてより精度の高いモータ回転量の検出を行うことができるようになる。
また、請求項9に記載のモータ回転情報検出装置にあっても、請求項10に記載の発明によるように、前記回転量判定、補正部は、前記逆起電圧積分演算部にて積分演算された値の絶対値と所定のしきい値との対比によって前記周期成分波形の取り漏らしの有無、及びノイズによる同周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断し、これら判断に基づいて前記回転量推定部にて推定されたモータの回転量を補正するもの、として構成することで、特にモータの回転開始時や停止直前など、回転速度が遅い場合に懸念される上記周期成分波形(パルス信号)の取り漏らしや、ノイズによる同周期成分波形(パルス信号)のオーバーカウント等が生じたとしても、これを適正に補正することが可能となる。
そしてこの場合にも、特に請求項11に記載の発明によるように、前記回転量判定、補正部は、前記所定のしきい値として、前記逆起電圧積分演算部にて積分演算された値の近似した複数の値の平均値、すなわち取り漏らしがないと判断されるいくつかの積分値の平均値(1パルス分の積分値の平均値)の絶対値よりも大きい第1しきい値と同平均値の絶対値よりも小さい第2しきい値との2つのしきい値を有し、前記積分演算された値の絶対値が前記第1しきい値よりも大きいか否かに基づき前記周期成分波形の取り漏らしの有無を判断し、前記積分演算された値の絶対値が前記第2しきい値よりも小さいか否かに基づき前記周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断するもの、として構成すれば、上記低速回転時の周期成分波形(パルス信号)の取り漏らしや、ノイズによる同周期成分波形(パルス信号)のオーバーカウントに対する耐性をより高めることができるようになる。
また、これら請求項9〜11のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置において、請求項12に記載の発明によるように、
・前記回転量判定、補正部は、前記逆起電圧積分演算部にて積分演算された値の正負に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記回転量推定部にて推定されたモータの回転量を補正する。
あるいは請求項13に記載の発明によるように、
・前記回転量判定、補正部は、前記逆起電圧推定部にて推定される逆起電圧の極性に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記回転量推定部にて推定されたモータの回転量を補正する。
といった構成を採用することで、モータ停止時の回転の揺れ戻しについても、その回転量を求める上での適正な補正が行われるようになる。
他方、上記請求項9〜13のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置において、請求項14に記載の発明によるように、前記逆起電圧推定部は、前記検出されるモータの端子間電圧をVm、同モータに流れる電流をi、前記モータに固有の内部抵抗をrとし、前記逆起電圧をVgとするとき、演算「Vg=Vm−r・i」を実行して前記逆起電圧Vgを推定するもの、として構成すれば、例えばCPU等の演算装置を用いて逆起電圧Vgを推定することができるため、抵抗等の回路素子の部品数が削減されるとともに、より柔軟性の高い設計が実現可能ともなる。
また、上記請求項9〜14のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置において、請求項15に記載の発明によるように、前記モータ電流検出部は、前記モータを駆動するモータ駆動トランジスタと並列接続されたカレントミラー構成の電流センストランジスタを有し、該電流センストランジスタに流れる電流に基づいて前記モータに流れる電流を検出するもの、として構成すれば、モータに流れる電流は適切なカレントミラー比で縮小されるかたちで検出されるようになる。このため、従来採用されていた抵抗などの電流検出素子による発熱が大幅に低減され、上記各回路素子をICチップ化することが可能になる。すなわち、外付け部品が減少され、よりコンパクトな回路設計が期待できるようになる。
そして、請求項9〜15のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置においても、請求項16に記載の発明のように、前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形としては、同モータ駆動波形のリップル成分波形及びサージ成分波形の一方を採用することができ、さらに請求項9〜16のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置において、前記直流ブラシモータのモータ駆動波形としては、請求項17に記載の発明のように、
・直流ブラシモータに流れる電流の波形。
あるいは請求項18に記載の発明のように、
・直流ブラシモータの端子間電圧の波形。
等々を採用することが有効である。
他方、請求項19に記載のモータ回転情報検出装置では、直流モータの端子間電圧を検出するモータ端子間電圧検出部と、該モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧に基づいて前記モータの回転方向を検出する回転方向検出部とを備えるモータ回転情報検出装置として、前記モータの制動運転期間におけるモータ停止直前からそれ以降の期間に限って前記回転方向検出部による回転方向の検出を有効化する検出区間設定手段をさらに備える構成とする。
発明者らは、モータの制動運転期間において、特に同期間におけるモータ停止直前からそれ以降の期間において当該モータに流れる電流量が少なくなることに着目し、上記構成とすることで、モータの端子間インピーダンスをハイインピーダンス化することなく高い精度が確保され、モータの端子間電圧の極性に基づきモータの回転方向を検出することができることを見出した。すなわち、こうした構成によれば、モータの回転開始時や停止直前など回転速度が遅い場合であれ、モータ停止時における制動時間の長期化を招くことなく、モータの回転方向(回転情報)を精度よく検出することができるようになる。
そしてこの場合、請求項20に記載の発明によるように、前記検出区間設定手段を、前記モータの制動運転期間において前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が一定値に収束したことに基づき前記回転方向検出部による回転方向の検出を有効化するものとすることで、その有効化がより適切なタイミングで行われることとなり、ひいてはより精度の高いモータ回転方向の検出が可能になる。
さらにこの場合、請求項21に記載の発明によるように、前記検出区間設定手段に、前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が収束したときの電圧レベル、及び前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が収束する時間の少なくとも一方が設定されるようにし、前記検出区間設定手段を、該設定される電圧レベルもしくは時間に基づいて前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が一定値に収束したか否かを判断して前記回転方向検出部による回転方向の検出を有効化するものとして構成することで、モータ端子間電圧が一定値に収束したか否かの判断をより簡単に且つ適正に行うことができるようになり、ひいてはより容易にモータ回転方向を精度よく検出することができるようになる。
また、これら請求項19〜21のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置における前記回転方向検出部としては、例えば請求項22に記載の発明によるように、前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧を所定のしきい値をもとに2値化する2値化手段を有して構成され、該2値化手段による2値化信号に基づいて前記モータの回転方向を検出するもの、を採用することが有効である。こうした構成によれば、デジタル方式での信号処理が可能となり、アナログ方式で信号処理を行うときよりも高い精度で複雑な演算を行うことができるようになる。また、マイクロコンピュータ等を利用することで、ハードウェアの変更や追加のみならず、ソフトウェアの変更や追加を通じて、モータの過渡応答特性、追従性、負荷変動などにも柔軟に対応することができるようになる。
さらに、請求項23に記載の発明によるように、請求項22に記載のモータ回転情報検出装置において、前記回転方向検出部を、前記2値化手段の2値化対象となる端子間電圧に適宜のフィルタリング処理を施すフィルタ手段をさらに備えるものとすれば、前記2値化手段による2値化に先立ち、端子間電圧に含まれる不要なノイズ成分(例えばモータの回転に起因するサージやリップル、あるいはモータ駆動信号等)が取り除かれ、前記2値化手段による2値化信号としてSN比(信号対雑音比)の高い信号が得られるようになる。そして、この2値化信号を通じて上記モータ回転方向の検出をより高い精度にて行うことができるようになる。
また、上記請求項22または23に記載のモータ回転情報検出装置において、請求項24に記載の発明によるように、前記モータに、制動運転期間においても同モータを回転させない程度の電流が供給されるようにし、前記回転方向検出部を構成する2値化手段のしきい値を、前記モータの制動運転期間における端子間電圧の収束値に相当する値として設定されるものとして構成すれば、より簡素な構成にしてモータ回転方向を精度よく検出することができるようになる。
ただしこの場合、前記モータの制動運転期間における端子間電圧の収束値がノイズ等の外乱によりふらつくことが懸念されるため、請求項25に記載の発明によるように、前記2値化手段としては、前記2値化の際のしきい値に設けられた所定のヒステリシス幅に応じてヒステリシス動作するものを採用することがより望ましい。こうした構成とすることで、前記モータの回転方向を検出するために設けられた前記2値化手段のしきい値について生じるチャタリング、ひいてはパルス割れ等が抑制され、より高い信頼性をもってモータ回転方向の検出を行うことができるようになる。
また、請求項26に記載の発明では、上記請求項22または23に記載のモータ回転情報検出装置において、前記回転方向検出部を、前記2値化手段による2値化信号を遅延させた遅延信号を生成する遅延手段を有し、該遅延手段により生成される遅延信号に基づいて前記モータの回転方向を検出するものとして、さらに前記モータに、制動運転期間においても同モータを回転させない程度の電流が供給されるようにし、前記回転方向検出部を構成する2値化手段のしきい値を、前記モータの無電流状態での端子間電圧に相当する値として設定されるものとするとともに、前記遅延手段の遅延時間を、前記制動運転期間の電流供給に起因するモータ停止遅れを相殺するように設定されるものとして構成するようにする。
モータ駆動波形に含まれる周期成分波形(例えばサージ)の強度低下を抑制する等の目的により、制動運転期間においてもモータを回転させない程度の電流を供給することが考えられる。そしてこの場合、制動運転期間においても電流が供給されるため、同モータの制動運転期間における端子間電圧の収束値は無電流状態での端子間電圧よりも高いレベルとなる。そのため、前記2値化手段のしきい値を同モータの無電流状態での端子間電圧に相当する値として設定した場合、このしきい値について生じるチャタリングは抑制されることになる。ただし、制動運転期間の電流供給に起因して前記モータの停止タイミングが幾らか遅れることにもなるため、同モータの停止直前の期間においてモータ回転方向が誤検出されることが懸念される。この点、上記構成によれば、遅延手段を通じてモータ停止遅れが相殺されるため、モータ停止直前の期間における上記誤検出を好適に抑制もしくは回避することができ、ひいてはモータの回転方向をより高い精度にて検出することができるようになる。すなわち、制動運転期間に電流供給が行われる場合であれ、また電流供給が行われない場合であれ、モータ回転方向の検出を好適に行うことができるようになる。
また、請求項27に記載の発明によるように、この請求項26に記載のモータ回転情報検出装置において、前記遅延手段の遅延時間を、例えば検出対象となる前記モータの特性で決まる、前記2値化手段の2値化対象となる端子間電圧の前記制動運転期間における収束前の変化特性と、例えば制動運転期間に前記モータに供給される電流量で決まる、同制動運転期間における端子間電圧の収束値と、に基づいて設定されるものとすれば、前記遅延手段に対する遅延時間の設定をより容易に且つ適正に行うことができるようになる。
そして、請求項28に記載の発明によるように、上記請求項19〜27のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置を、前記回転方向検出部により前記モータの制動運転期間におけるモータ停止時の揺れ戻し期間を検出し、該揺れ戻し期間における前記モータの回転量を加味して前記モータの回転位置を検出するものとして構成すれば、モータ停止時に逆回転現象(揺れ戻し)が生じた場合であれ、同モータの回転位置を高精度に検出することが可能になる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るモータ回転情報検出装置を具体化した第1の実施の形態について、図1〜図10に基づき説明する。
図1は、本実施の形態のモータ回転情報検出装置の構成の概略を示すブロック図である。
同図1に示すように、この装置の検出対象となる直流モータMは一対のブラシBを介して、モータ駆動電源E1と、モータMの端子間電圧Vmを検出するモータ端子間電圧検出部3、そしてモータMに流れる電流iを検出する電流検出部4とに接続され、モータ駆動電源E1によって給電されながら、モータ回転制御部2によってその回転が制御される。
本実施の形態では、モータ端子間電圧検出部3で検出されるモータの端子間電圧Vmと電流検出部4で検出されるモータ電流iとを、共に逆起電圧推定部5に取り込み、この逆起電圧推定部5によって、モータMに発生する逆起電圧Vgを算出するようにしている。一般に、モータの逆起電圧Vgを検出する方法としては、図2に示すように、モータMと図示するような抵抗値を持つ抵抗とでブリッジ回路を構成し、このブリッジ回路の出力端子間の電圧を検出することで逆起電圧Vgを検出する方法がある。この回路では、モータMが回転していない状態にあっては、ブリッジを構成する両辺の抵抗の分圧値がつり合って出力端子間の電圧がゼロになるが、モータMが回転すると、逆起電圧Vgが生じてブリッジが不平衡となり、出力端子間にこの逆起電圧Vgに対応した電圧が生じるようになる。すなわち、この出力端子間の電圧からモータの逆起電圧Vgが求められる。
ところが、このようにブリッジ回路を構成して逆起電圧Vgを求める場合、少なくともモータ側の抵抗には大電流が流れて、発熱するようになる。このため、このような抵抗はICチップに内蔵することができず、結局は外付け部品数が増加してしまう。
そこで、本実施の形態では、逆起電圧Vgの検出方法として、図1に示したように、モータの端子間電圧Vmとモータに流れるモータ電流iとに基づき、CPUなどの演算装置を用いて逆起電圧Vgを求めるようにしている。なお、前述したように、モータの端子間電圧Vm、モータに流れるモータ電流i、そして逆起電圧Vgとは、先の図22に示すモータMの等価回路から、式(1)の関係が成り立つ。
Vg=Vm−r・i−L(di/dt) …(1)
ここで、Lはモータの内部インダクタンス、rはモータの内部抵抗である。したがって、上記モータの端子間電圧Vm及びモータ電流iが検出されれば、この微分方程式の解として上記逆起電圧Vgを算出(推定)することができるようになる。
なお、モータMの内部インダクタンスLによる電圧降下は一般に小さい。このため、上記式(1)においてこの項を省略するようにしてもよい。すなわち、次式(3)
Vg=Vm−r・i …(3)
を実行して逆起電圧Vgを推定するようにしてもよい。これにより、上記逆起電圧Vgの推定もさらに簡略化されるようになる。
本実施の形態の装置(図1)では、こうして逆起電圧推定部5で逆起電圧Vgが推定されると、その結果が逆起電圧積分演算部7に入力される。逆起電圧VgはモータMの回転数に比例するため、この逆起電圧Vgの積分値は、モータMの回転量に比例するものとなる。
一方、先の電流検出部4で検出されたモータ電流iは、回転信号生成部6に取り込まれる。この回転信号生成部6では、モータ電流iの波形からリップル成分等の周期成分波形を抽出してパルス信号を生成している。ここで、リップル成分の周波数はモータMの回転速度に比例するため、このリップル成分波形に基づいて生成されたパルス信号から、モータの回転量や回転速度などの回転情報を推定することができる。
こうして回転信号生成部6で生成されたパルス信号は、逆起電圧積分演算部7と回転量推定部8とに入力される。
そして、逆起電圧積分演算部7では、逆起電圧Vgに対して、回転信号生成部6にて生成されたパルス信号ごとにそのパルス周期に相当する時間分だけ積分演算が行われる。ここで、パルス信号ごとに積分演算をさせるためには、一つのパルスの立ち上がりで前の積分演算結果をリセットするとともに、新たに演算をスタートするようにしている。このようにパルス周期ごとに逆起電圧Vgに対しての積分演算が繰り返される。こうしてパルス周期ごとに算出された逆起電圧積分値は回転量判定、補正部9に取り込まれる。
ところで通常、モータMの回転速度に応じた周期でパルス信号が生成されるが、モータMの停止直前の最後のパルスは、そのパルス周期が無限大となるため、次のパルスの立ち上がりが検出されない。そこで本実施の形態では、モータが停止したと考えられる十分な所定の時間が経過しても次のパルスの立ち上がりが検出されなければ、モータMが停止したと判定し積分演算を終了させるようにしている。
なお、モータMの停止判定手法としては、他にも例えば、
a.モータが停止したと考えられる十分な所定時間が経過しても次のパルスの立ち上がりが検出されず、しかもその時点での積分値が変化していないこと。あるいは、
b.モータが停止したと考えられる十分な所定時間が経過しても次のパルスの立ち上がりが検出されず、しかもモータMが制動運転状態にあること。
を条件に、モータMが停止したと判定するようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、何らかの原因でパルスの取り漏らしが連続的に発生するような場合であっても、誤ってモータMの運転状態(停止・回転)を判断することなく、積分演算を継続させることができる。
一方、回転信号生成部6で生成されたパルス信号は回転量推定部8に入力される。この回転量推定部8では、パルス信号の数やその周期時間等に基づいてモータMの回転量を得る。そして、この回転量推定部8で推定されたモータMの回転量も回転量判定、補正部9に取り込まれる。
回転量判定、補正部9は、逆起電圧積分演算部7で算出された逆起電圧Vgの積分値に基づいて、回転量推定部8で推定されたモータMの回転量に対してそれが適正か否かの判定、並びに補正を行う部分である。前述のように、モータMの起動時や停止直前など、回転速度が遅いときには、モータ電流iに含まれるリップル成分が小さいため、リップル成分が正確に抽出されない場合がある。また逆に、ノイズを誤って抽出する場合もある。これらいずれの場合であれ、モータMの実際の運転状況を反映したパルス信号は適正に生成されない。具体的には、例えばリップル成分が適正に抽出されない場合は、パルス信号の取り漏らしを生じ、また、ノイズによる誤パルスが生成された場合は、パルス信号のオーバカウントを生じることとなる。また、モータMの停止時に逆回転現象(揺れ戻し)によりモータMが逆回転した場合は、この逆転した回転量は正回転の回転量として推定されてしまう。このように、パルス信号のみに基づいて推定されたモータMの回転量は、必ずしも正確なものではない。
そこで、回転量判定、補正部9では、このような場合、逆起電圧Vgの積分値に基づいてモータMの回転量を補正することで、上記のような不都合の発生を避けるようにしている。ちなみに、後に詳細に説明するように、パルス周期ごとに算出される逆起電圧Vgの積分値の大小で、パルスの取り漏らしやオーバカウントを検出することができるとともに、その逆起電圧Vgの積分値の正負を判定することで、モータMの回転方向も検出することができる。
こうして回転量判定、補正部9で補正されたモータMの回転量は、モータ回転制御部2に取り込まれ、ここでモータMの制御目標値とが一致するように、同モータ回転制御部2を通じてモータMに対する制御指令が与えられる。また、このモータ回転制御部2に取り込まれたモータMの回転量は、必要に応じて、図示しない外部の制御装置等に転送される。
図3は、図1に示した本実施の形態のモータ回転情報検出装置の構成をさらに詳細に示したブロック図である。本実施の形態では、スイッチング素子としての4つの電界効果トランジスタ(FET)M1、M2、M3及びM4を用いて、モータMの駆動回路としてのブリッジ回路(Hブリッジ)を形成している。これらトランジスタM1〜M4の各々は、ゲート駆動回路2bを通じてその導通状態(オンまたはオフ)が制御される。
すなわちここでは、ゲート駆動回路2bを通じて、トランジスタM2とM3とがオン、そしてトランジスタM1とM4とがオフとされたとき、モータMが正転し、またトランジスタM2とM3とがオフ、トランジスタM1とM4とがオンとされたとき、モータMが逆転するものとする。また、モータMの定常運転状態から、トランジスタM1とM2とがオフ、M3とM4とがオンにされることによって、モータMは制動運転状態となる。
次に、この図3に示す電流検出部4について詳細に説明する。
本実施の形態で採用する電流検出部4は、カレントミラーC1、C2を利用してモータ電流iを検出するように構成されている。すなわち同図3に示すように、モータ駆動回路に設けられてモータMを駆動するトランジスタM3に対しては、ゲート駆動電圧とソース電圧とがそれぞれ共通化されたセンストランジスタM5が設けられ、このトランジスタM5のドレイン側に抵抗R1が接続されている。また同様に、トランジスタM4に対しても、ゲート駆動電圧とソース電圧とが共通化されたセンストランジスタM6が設けられ、このトランジスタM6のドレイン側に抵抗R2が接続されている。
このように、トランジスタM3とM5とでカレントミラーC1が形成され、トランジスタM4とM6とでカレントミラーC2が形成される。そして、これらのカレントミラーC1及びC2によって、モータ電流iが所定のカレントミラー比(例えば1:m)で減少される。例えば、モータMが正回転している状態では、モータ電流iはトランジスタM3のドレイン電流となり、このトランジスタM3のドレイン電流に対し、トランジスタM5のドレイン電流は「i/m」となる。また同様に、モータMが逆回転している状態では、モータ電流iはトランジスタM4のドレイン電流となり、このトランジスタM4のドレイン電流に対し、トランジスタM6のドレイン電流は「i/m」となる。
すなわち、上記抵抗R1またはR2の両端の電圧を検出することによって、トランジスタM5またはM6のドレイン電流が検出され、その電流のm倍としてモータ電流iが検出されるようになる。なお、カレントミラー比は抵抗R1またはR2を流れる電流が十分に小さければ、適宜任意の値に設定することができる。
本実施の形態ではこのように、カレントミラーC1、C2を利用してモータ電流iを検出しているため、抵抗R1、R2での発熱が大幅に低減され、これら抵抗R1、R2をICチップに内蔵することも可能となる。
こうして上記抵抗R1及びR2を用いて検出されたモータ電流iは、演算増幅器A3(モータMの正転時)及び演算増幅器A2(モータMの逆転時)によって差動増幅されて、それぞれAD変換器5a及びマルチプレクサ4aに取り込まれる。
ここで、マルチプレクサ4aは、回転制御部2aを通じて認識されるモータMの回転方向に応じて演算増幅器A2またはA3からの出力信号を選択的に回転信号生成部6に出力する。すなわち、モータMが正転している場合は、演算増幅器A3と回転信号生成部6とが接続され、モータMが逆転している場合は、演算増幅器A2と回転信号生成部6とが接続されるようになる。
本実施の形態では、この回転信号生成部6は、モータ電流iのリップル成分を抽出する回転信号抽出用フィルタ6aと比較器6bとを備えて構成されている。ここで、フィルタ6aはバンドパスフィルタ(BPF)特性のスイッチトキャパシタフィルタ(SCF)などからなり、その周波数通過帯域がモータMの回転速度に応じて可変制御されている。またこのフィルタ6aによって抽出されたリップル成分は、比較器6bを通じて2値化されてパルス信号となる。そして、このパルス信号がCPUによって実現される逆起電圧積分演算部7と回転量推定部8とに取り込まれ、この回転量推定部8を通じてモータMの回転量が推定されるようになる。
一方、演算増幅器A2、A3によって出力されるモータ電流iは、演算増幅器A1を通じて検出されるモータMの端子間電圧Vmとともに、AD変換器5aに取り込まれ、デジタル信号に変換される。そして、このデジタル信号に基づき逆起電圧算出部5bで上述の逆起電圧Vgが算出される。なお、これらAD変換器5a及び逆起電圧算出部5bによって、先の逆起電圧推定部5(図1)が構成されている。
この逆起電圧推定部5で推定された逆起電圧Vgは、逆起電圧積分演算部7に入力され、この逆起電圧積分演算部7において、回転信号生成部6で生成されたパルス信号のパルス周期ごとにその積分値が演算される。そして、その演算の結果が回転量判定、補正部9に取り込まれ、これに基づいて回転量推定部8で推定されたモータMの回転量に対して判定、並びに補正が行われることは前述の通りである。
また、この図3において、先のモータ回転制御部2(図1)は、それぞれ上述した回転制御部2aとゲート駆動回路2bとによって構成されている。このうち、回転制御部2aは、上記検出されるモータMの回転量に基づきゲート駆動回路2bに対してモータMの回転・停止、または正転・逆転等の指令を与える部分である。ゲート駆動回路2bでは、この与えられた指令に基づいて上述した各トランジスタに対するゲート駆動信号を生成出力することとなる。また、回転制御部2aでは、上記マルチプレクサ4aに対しても、モータMの回転方向に応じて、上記演算増幅器A2またはA3のいずれの出力を選択すべきかを指令する。
上記説明したモータ回転検出装置を用いて、本実施の形態では、モータ電流iに含まれるリップル成分から回転態様に対応したパルス信号を抽出して、この抽出したパルス信号に基づいてモータMの回転量を推定している。そしてさらに、逆起電圧Vgに対して上記パルス信号のパルス周期ごとに積分演算を行い、この積分演算の結果に基づき、必要に応じて、上記推定したモータMの回転量を補正している。以下、その具体的な判定、補正方法について説明する。
図5は、モータMの定速運転時及び制動運転時における逆起電圧Vgの波形についてその一例を示すものである。同図5に示すように、モータMが定速運転から制動運転に移行したとき、その回転速度が徐々に低下するため、回転速度に比例して逆起電圧Vgも低下する。一方、回転速度が低下すると、回転速度と反比例してリップル成分のパルス区間も長くなる。このため、個々のパルス周期ごとに算出される逆起電圧Vgの積分値はほぼ一定になる。例えば、図5において、逆起電圧Vgの積分値として、パルス区間T1とT2とのそれぞれに対応する面積(図示斜線部分)は、ほぼ同一になっている。なおここで、逆起電圧Vgの波形上に重畳されているパルスのパルス区間は、リップル成分のパルス周期に対応するものである。
ところで、上記逆起電圧Vgは、モータMの回転速度に比例するが、モータMや検出回路等の製造ばらつき、経年変化、温度変化などの様々な要因により、その比例定数が変動することがある。このため、本実施の形態では上述のように、リップル成分のパルス周期ごとに逆起電圧を積分するようにしている。
こうしてリップル成分のパルスごとに演算された積分値を、図6に例示する。同図6から明らかなように、モータMの定速運転時や制動運転時などの運転状態にかかわらず、各パルス周期ごとの積分値はわずかにばらつきながらほぼ一定になっている。そこでまず、所定個数のこれら積分値から1パルス分の積分値の平均値を求める。
ただし、図6に示す最後のパルス周期における積分値は、上記求めた1パルス分の積分値の平均値よりも小さい値または大きい値となっている。
このうち、上記最後のパルス周期における積分値が小さい値を示すのは、このパルス周期の途中でモータMが停止したことに起因している。すなわち、パルス周期の途中でモータMが停止した場合、逆起電圧Vgはゼロとなるため、そのときの積分値も上記1パルス分の積分値の平均値より小さい値となって現れる。したがって、このように積分値が小さい値を示す場合は、最後のリップル成分のパルスの取り漏らしはなかったこととなる。またこのとき、観測されたパルス信号の数に基づいて推定される回転量は、実際の回転量と同じであると判定することができる。
一方、上記最後のパルス周期における積分値が大きい値を示すのは、何らかの原因でパルスの取り漏らしがあったことに起因している。すなわちこの場合、その直前のパルス周期についての積分演算が継続されることとなり、この積分時間が長くなった分だけ積分値が大きな値となる。したがって、このように積分値が通常より大きい値として現れる場合は、パルスの取り漏らしがあって、観測されたパルス信号の数に基づいて推定される回転量が、実際の回転量より少なくなっていると判定することができる。
そこで本実施の形態では、こうして推定される回転量が実際の回転量より少ないと判定される場合、すなわちパルスの取り漏らしがあったと判定される場合は、この推定される回転量に対して補正を行うようにしている。
このように、各パルス周期の積分値と1パルス分の積分値の平均値とを比較することによって、パルスの取り漏らしの有無を判定することができる。ただし、理想的にはパルス周期ごとの積分値は一定であることが望ましいが、実際にはわずかながらばらつきが存在している。そこで、このばらつきによる誤判定を回避するために、1パルス分の積分値の平均値を基準として上下にそれぞれ、こうしたばらつきをカバーし得る第1しきい値と第2しきい値とを設けている。そして、上記パルス周期ごとの積分値とこれら第1しきい値及び第2しきい値との比較によってパルスの取り漏らしの有無が判定される。
図7は、モータ停止直前におけるパルス周期ごとの逆起電圧積分値の推移例を示している。同図7に示すように、モータMが正回転するときの1パルス分の積分値の平均値を基準に、この平均値の略1.5倍となる第1しきい値とこの平均値の略半分となる第2しきい値とをそれぞれ設定している。勿論、これら第1しきい値と第2しきい値とは、パルス周期ごとの各積分値のばらつき範囲をカバーできれば、適宜他の値に設定するようにしてもよい。
このように、パルスごとの積分値のばらつきをカバーするように第1しきい値と第2しきい値とを設定することで、モータMの通常の運転状態では、パルス周期ごとの積分値はこれらしきい値の範囲内に収まるようになる。ところが、先の図6にも示されるように、モータMが停止する直前のパルス周期における積分値は、これら第1しきい値と第2しきい値との範囲から外れることもある。
すなわち、同図7に示すように、パルスPLS1の立ち上がりでスタートされた積分演算では、このパルスPLS1のパルス周期において積分値が累積加算される。そして、パルスPLS2の立ち上がりが検出された時点での積分値がパルスPLS1のパルス周期における積分値と見なされる。また、パルスPLS2の立ち上がりで積分演算がリセットされ、積分値が再びゼロから累積加算される。しかし、このパルスPLS2はモータ停止直前の最後のパルスであるため、次のパルスの立ち上がりが検出されることはない。そこで、本実施の形態では、パルスの立ち上がりから所定時間以内に次のパルスの立ち上がりが検出されなければ、モータMが停止したと判定し、積分演算を停止するとともに、この時点での積分値をこのパルス周期での積分値とする。このため、上記パルスPLS1のパルス周期における積分値は第1しきい値と第2しきい値との範囲内に収まることとなるが、モータMの停止直前の上記パルスPLS2の場合は、そのパルス周期における積分値が第1しきい値よりも大きい値(積分値b)または第2しきい値よりも小さい値(積分値a)となる。
そして、第2しきい値よりも小さい積分値aについては、モータMが正回転で停止し、パルスの取り漏らしはないと判定される。また、第1しきい値よりも大きい積分値bについては、モータMが正回転で停止し、1パルス分の取り漏らしがあったと判定される。ここで、例えば2パルス分の取り漏らしがあった場合は、積分値bは1パルス分の積分値の平均値の2倍以上となるため、そのときの積分値bの値で取り漏らされたパルスの数も推定できる。
このように、図3に示した本実施の形態の装置では、回転量推定部8で推定されたパルス数(回転量)mに対し、回転量判定、補正部9では、上記判定結果に基づいてパルス数の補正を行う。すなわち、上記判定において推定される取り漏らしのパルス数がnであった場合、補正後のパルス数(回転量)は「m+n」パルス分となる。
また、本実施の形態では、パルス周期ごとの積分値の正負を判定することによって、モータMの回転方向も判別するようにしている。例えば、モータMの停止時に逆回転する現象(揺れ戻し)を生じた場合は、逆起電圧Vgが負となるため、この逆起電圧Vgの積分値も負となる。そこで、揺れ戻しなどによりモータMが逆回転する場合においても、上記正回転の場合と同様に、1パルス分の積分値の平均値を基準に、第1しきい値と第2しきい値を設けている。なお、第1しきい値と第2しきい値の絶対値は上記モータMの正回転の場合と同様である。そして、積分値が負と判定された場合は、この積分値の絶対値と上記第1しきい値及び第2しきい値の絶対値とを比較する。例えば、積分値が第2しきい値よりも小さい場合(図7の積分値c)は、モータMが逆回転で停止し、パルスの取り漏らしはないと判定され、また積分値が第1しきい値よりも大きい場合(図7の積分値d)は、モータMが逆回転で停止し、パルスの取り漏らしがあったと判定される。
ただし、第2のしきい値よりも小さい積分値cの場合は、パルスの取り漏らしはなかったと判定されるものの、モータMが逆回転し、この逆回転した1パルスは正回転したものとカウントされるため、観測されたパルス数mに対して、モータMの実際の回転量は「m−2」パルス分となる。このように、モータMが逆回転した場合は、取り漏らしの有無にかかわらずマイナス補正を行う必要がある。
また、第1しきい値よりも大きい積分値dの場合は、上記積分値bの場合と同様に、この積分値dの値によって取り漏らされたパルスの数を推定することができる。そして、ここでも、回転量推定部8で推定されたパルス数(回転量)mに対し、回転量判定、補正部9では取り漏らされたパルスの数nに応じて補正を行う。ただし、モータMが逆回転しているため、マイナス補正を行わなければならない。すなわちこの場合、補正後の回転量は「m−(n+2)」パルス分となる。
以上、モータMの停止直前のパルスPLS2のパルス周期における積分値に基づき、回転量判定、補正部9を通じて実行されるモータMの回転方向及び取り漏らしの有無の判定及び補正方法について説明した。次に、同じく回転量判定、補正部9を通じて実行されるノイズなどによる誤パルスのオーバカウントに対する判定及び補正方法について説明する。
モータMの起動時または停止直前など回転速度が遅い場合は、リップル成分の振幅が小さいため、ノイズ成分と区別することができず、ノイズ成分による誤パルスを生じることもある。そして、このような誤パルスでも、上記回転量推定部8ではオーバカウントされてしまうため、誤った回転情報が検出されてしまう。そこで、本実施の形態では、このノイズによるオーバカウントの有無についても併せて判定するようにしている。
図8は、誤パルスが生じた場合の積分値の推移例を示している。
いま、図8(a)に示すように、パルスPLS1の立ち上がりから、積分値が累積加算され、そして第2しきい値よりも小さい積分値P1で誤パルスが発生したとする。このとき、本実施の形態では、あるパルスの立ち上がりで先のパルスに対応する積分値が第2しきい値よりも小さい場合は、このパルスが誤パルスであると判定するようにしている。このため、この積分値P1に対応する時点で検出されるパルスは誤パルスと判定される。
なお上述したように、次のパルスの立ち上がりでそれまでの積分値がリセットされる。しかし本実施の形態では、次のパルスの立ち上がり時点での積分値が第2しきい値よりも小さい場合は、積分値をリセットせずに積分演算を継続するようにしている。このため、パルスPLS1の立ち上がりからパルスPLS2の終了まで、積分演算が継続される。そしてその間に、パルスの立ち上がりに対応して、第2しきい値よりも小さい積分値が1回だけ検出されることとなるため、この検出結果に基づいて1パルス分の誤パルスが発生している旨を判定することができる。このとき、回転量判定、補正部9では、回転量推定部8で推定されたパルス数(回転量)mに対してマイナス補正を行うこととなり、補正後の回転量は「m−1」となる。
また、図8(b)に示すように、第2しきい値よりも大きい積分値P2で誤パルスが発生する場合もある。このときには、誤パルスの立ち上がりの時点でパルスPLS1に対応する積分値P2が第2しきい値を越えているため、積分値はリセットされ、新たな積分演算がスタートする。そして、パルスPLS2の立ち上がりの時点で、誤パルスのパルス区間に対応する積分値P3は第2のしきい値より小さいため、上述の理由により積分演算は継続される。この場合も、パルスPLS1の立ち上がりからパルスPLS2の終了までの間に、パルスの立ち上がりに対応して、第2のしきい値よりも小さい積分値が1回だけ検出されることとなるため、この検出結果に基づいて1パルス分の誤パルスが発生している旨を判定することができる。このときも回転量判定、補正部9では、回転量推定部8で推定されたパルス数(回転量)mに対してマイナス補正を行うこととなり、補正後の回転量は「m−1」となる。なおこの場合には、パルスPLS2が誤パルスとして判定されるようになるが、実際に発生した誤パルスの数として正確に検出されるため、実使用上は何ら問題がない。また、nパルス分の誤パルスが検出される場合には、補正後の回転量も「m−n」となる。
以下、図9及び図10を併せ参照して、主に回転量判定、補正部9を通じて実行される、揺れ戻しによるモータの逆回転、パルスの取り漏らし及び誤パルスによるオーバカウントなどに対する補正処理を総括する。
図9に示されるように、いま、ステップS1の処理として、パルス信号の立ち上がりに基づき、逆起電圧積分演算部7によって逆起電圧Vgに対する積分演算が開始されると、同逆起電圧積分演算部7では、さらにステップS2の処理として、上記積分演算に併せて、次のパルスの立ち上がりの有無を判断する。そして、予め設定されたパルス周期に対応した所定時間以内に次のパルスの立ち上がりが検出される場合は、この立ち上がりが検出された時点での積分値を、先のパルスのパルス周期に対応する積分値として回転量判定、補正部9に与える。そしてこの場合には、回転量判定、補正部9により、図10に示すステップS3の処理として、この積分値の正負判定が実行される。一方、図9のステップS2において上記所定時間以内に次のパルスの立ち上がりが検出されなかった場合、逆起電圧積分演算部7は、モータMが停止したと判断し、ステップS22の処理として、積分演算を終了するとともに、該所定時間が経過した時点での積分値を、このパルス周期に対応する積分値として回転量判定、補正部9に与える。そしてこの場合、回転量判定、補正部9では、ステップS23の処理として、この積分値の絶対値と前述の第1しきい値との比較を実行する。
ここでまず、図9を参照して、モータMが停止したと判定された場合において、モータMの停止直前の最後のパルスについての判定、並びに補正方法について説明する。
上記ステップS23の処理として、逆起電圧積分演算部7から与えられた積分値の絶対値と第1しきい値との比較を行った回転量判定、補正部9は、この積分値の絶対値が第1しきい値よりも大きいと判断される場合、次のステップS24でパルスの取り漏らしがあったと判定する。そして同回転量判定、補正部9は、ステップS25でさらにこの積分値の正負を判定する。ここで、この積分値が正であった場合は、ステップS26で正回転方向でのパルスの取り漏らしがあったと判定し、次のステップS27の処理として、前述したプラス補正を実行する。すなわち、回転量推定部8で検出されたパルス数「m」に対して、回転量判定、補正部9で判定された取り漏らしのあったパルスの数「n」が加算され、補正後のパルス数は「m+n」となる。一方、上記ステップS25で積分値が負であると判定される場合、回転量判定、補正部9は、ステップS28で逆回転方向でのパルスの取り漏らしがあったと判定し、次のステップS29の処理として、前述したマイナス補正を実行する。すなわち、検出されたパルス数「m」から、取り漏らされたと判定されたパルスの数「n」が前述の態様で減算され、補正後のパルス数は「m−(n+2)」となる。
また、上記ステップS23で積分値の絶対値が第1しきい値より小さいと判定される場合、回転量判定、補正部9は、ステップS30で、さらにこの積分値の正負の判定を行う。そして、この積分値が正であった場合、回転量判定、補正部9は、ステップS31の処理として回転量推定部8で推定されたパルス数(回転量)は正しいと判定し、同推定された回転量に対して何らの補正も行わない。他方、上記ステップS30で積分値が負であると判断される場合は、ステップS32の処理として、前述のマイナス補正を実行する。すなわち、回転量推定部8で推定されたパルス数「m」から、「1」回転分だけ逆回転した分のパルス数が減算され、補正後のパルス数は「m−2」となる。
次に、上記ステップS2で所定時間以内に次のパルスの立ち上がりが検出された場合の判定、補正処理について、図10を参照して説明する。
この図10において、ステップS3では上述のように、積分値の正負判定が行われる。そして、この積分値が正であった場合、回転量判定、補正部9は、ステップS4でモータMが正回転していると判定する。そしてこの場合には、ステップS5の処理としてこの積分値と第1しきい値とを比較し、積分値が第1しきい値よりも大きいと判断される場合は、ステップS6でパルスの取り漏らしがあったと判定し、次のステップS7の処理として、前述したプラス補正を実行する。すなわち、回転量推定部8で推定されたパルス数「m」に対して、回転量判定、補正部9で判定された取り漏らしのあったパルス数が「n」が加算され、補正後のパルス数は「m+n」となる。
一方、上記ステップS5において、積分値が第1しきい値よりも小さいと判断される場合、回転量判定、補正部9は、ステップS8でさらにこの積分値と第2しきい値との比較を行う。そして、この積分値が第2しきい値よりも小さいと判断される場合、回転量判定、補正部9は、ステップS9にてノイズによるオーバカウントがあったと判定し、次のステップS10の処理として、前述したマイナス補正を実行する。すなわち、回転量推定部8で推定されたパルス数「m」から、回転量判定、補正部9で判定されたオーバカウント分のパルス数「n」が減算され、補正後のパルス数は「m−n」となる。
また、上記ステップS8において、積分値が第2しきい値よりも大きいと判断された場合、回転量判定、補正部9は、ステップS11にてオーバカウントはなかったと判定する。すなわち、ステップS12の処理としては、何らの補正も行わない。
他方、上記ステップS3にて積分値が負であると判定される場合、回転量判定、補正部9は、ステップS13の処理として、モータMが逆回転し、揺れ戻しによる逆転方向のパルスが発生したと判定する。そしてこの場合、回転量判定、補正部9は、ステップS14にて、この積分値の絶対値と第1しきい値とを比較する。ここで、この積分値の絶対値が第1しきい値より大きいと判断される場合は、ステップS15でパルスの取り漏らしがあったと判定し、次のステップS16の処理として、前述したマイナス補正が実行される。すなわち、回転量推定部8で検出されたパルス数「m」から、回転量判定、補正部9で判定された取り漏らしのあったパルス数「n」が前述の態様で減算され、補正後のパルス数は「m−(n+2)」となる。
また、上記ステップS14において、積分値の絶対値が第1しきい値よりも小さいと判断される場合、回転量判定、補正部9は、ステップS17にて、この積分値の絶対値と第2しきい値との比較を行う。そして、この積分値の絶対値が第2しきい値よりも小さいと判断される場合は、ステップS18にて、ノイズによるオーバカウントがあったと判定し、次のステップS19の処理として、前述したマイナス補正を実行する。すなわち、回転量推定部8で検出されたパルス数「m」から、回転量判定、補正部9で判定されたオーバカウント分のパルス数「n」が前述の態様で減算され、補正後のパルス数は「m−n」となる。
また、上記ステップS17において、積分値の絶対値が第2しきい値よりも大きいと判断される場合、回転量判定、補正部9は、ステップS20においてオーバカウントはなかったと判定する。ただし、モータMが逆転しているため、この逆回転した分について、ステップS21の処理として、前述したマイナス補正を実行する。すなわち、回転量推定部8で検出されたパルス数「m」に対して、補正後のパルス数は「m−2」となる。
このように、逆起電圧Vgに基づいて、逆起電圧積分演算部7で算出されるパルス周期ごとの積分値の大小、正負に基づいて、回転量判定、補正部9では、回転量推定部8で推定されたパルス数(回転量)に対して判定、補正処理を実行する。これによって、モータMの回転量が正確に検出されるようになる。そして、回転量判定、補正部9を通じて得られた回転量等の回転情報は、モータ回転制御部2に取り込まれ、これら回転情報に基づいてモータMの制御目標値と一致するように、同モータ回転制御部2を通じてモータMに対する制御指令が与えられる。また前述のように、この取り込まれたモータMの回転量は、必要に応じて、外部の制御装置等に転送される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、モータの端子間電圧とモータに流れる電流とから算出した逆起電圧Vgを、モータに流れる電流の波形から抽出したリップル成分波形の周期ごとに積分演算を行い、この積分演算の結果に基づいてモータの回転量を検出することとした。モータの逆起電圧Vgは、モータの回転速度に比例するため、この逆起電圧の積分値は、モータの回転量に比例する値となる。また、モータが回転していれば、その回転速度に比例して確実に逆起電圧が発生するため、この逆起電圧の積分値も、モータの回転速度にかかわらず算出される。このため、モータの起動時や停止直前など回転速度が遅い場合において、モータに流れる電流のリップル成分の振幅の低下やノイズなどによる不都合が発生した場合であれ、この逆起電圧の積分値に基づいてモータの回転量を正確に推定することができるようになる。
(2)また、逆起電圧積分演算部7によってモータに生じる逆起電圧Vgに対して、モータに流れる電流のリップル成分の周期ごとに積分演算を行い、これら積分値に基づいて、回転量推定部8で推定されたモータの回転量を補正することとした。これにより、モータの始動時や停止直前においてパルスの取り漏らしやノイズによるオーバカウント、また逆回転現象(揺れ戻し)によるモータの逆回転などの不都合が発生した場合であれ、モータの回転量を正確に検出することができるようになる。
(3)上記モータ電流iについてはこれを、カレントミラーC1及びC2を用いて抽出するようにした。これにより、電流検出用の抵抗R1及びR2がICチップに内蔵できるようになり、電流検出部4、ひいてはモータ回転情報検出装置全体としての設計のコンパクト化が図られるようになる。
(第2の実施の形態)
次に、図11〜図17を参照しつつ、本発明に係るモータ回転情報検出装置を具体化した第2の実施の形態について説明する。
図11は、本実施の形態のモータ回転情報検出装置の構成の概略を示すブロック図である。
同図11に示すように、この装置は、大きくは、モータ正逆転回路(Hブリッジ)11と、回転制御部12a、ゲート駆動回路12b、駆動波形検出部13、回転信号抽出部14、回転パルス生成部15、揺れ戻し検出回路16とを有して構成されている。このうち、モータ正逆転回路11は、スイッチング素子としての4つの電界効果トランジスタ(FET)M11〜M14によるHブリッジで構成され、モータ駆動電源E2により給電が行われる。
そして、この装置の検出対象となる直流モータMは一対のブラシBを介して、同モータMに流れる電流の大きさや方向を可変とするモータ正逆転回路11と、同モータMの端子間電圧を検出する駆動波形検出部13とに接続され、回転制御部12aによってその回転が制御される。
すなわち、駆動波形検出部(モータ端子間電圧検出部)13は、モータMの各端子から端子間電圧信号を取り込み、増幅器13aを通じてその信号を出力する。そして、回転信号抽出部14は、駆動波形検出部13により検出された信号(端子間電圧信号)を取り込み、ローパスフィルタLPF1及びハイパスフィルタHPF1を通じてその信号波形からキャリア周波数成分、すなわちモータ正逆転回路11の駆動信号成分やリップル成分を除去し、周期成分波形としてサージ成分のみを抽出する。そして、回転パルス生成部15は、回転信号抽出部14により抽出された周期成分波形を取り込んで、増幅器15aを通じて増幅するとともに、比較器15bを通じて所定のしきい値のもとにこれを2値化してパルス信号を生成する。さらに、このパルス信号は、ワンショット回路15cによって所定の幅のパルスとされた後、回転制御部12aに取り込まれる。そして、この回転制御部12aは、例えばカウンタ(図示略)等を通じてそのパルス信号からモータMの回転量や回転速度等の回転情報を検出し、その回転情報に基づいて例えばモータMの回転位置をレジスタ等に記憶される目標位置に一致させるべくゲート駆動回路12b及びモータ正逆転回路11を通じてモータMの回転量や回転方向等を制御する。
図12(a)〜(d)を併せ参照して、この回転制御部12aによるモータMの回転制御態様の一例について説明する。
ここでは、回転制御部12aがモータ正逆転回路11のHブリッジを用いてパルス幅変調(PWM)制御を行うことにより、モータMの回転量や回転方向等が制御される。すなわち、回転制御部12aからトランジスタM11〜M14に関する駆動信号(パルス幅変調信号)がゲート駆動回路12bに与えられ、ゲート駆動回路12bがその駆動信号に基づいてトランジスタM11〜M14をそれぞれ駆動する。
図12(a)〜(d)は、トランジスタM11〜M14に関する駆動信号(パルス幅変調信号)の一例を示すタイムチャートであり、この図12において、信号UL、UR、DL、DRは、それぞれトランジスタM11〜M14に対する駆動信号を示している。すなわち、定常運転期間においては、トランジスタM11及びM14を例えばデューティ比「100%」で、またトランジスタM12及びM13をこれと逆相(デューティ比「0%」)でそれぞれ駆動してモータMを正転させる。一方、制動運転期間においては、トランジスタM11及びM14を例えばデューティ比「45%」で、またトランジスタM12及びM13をこれと逆相(デューティ比「55%」)でそれぞれ駆動する。なおこれは、モータ駆動波形に含まれる周期成分波形(例えばサージ)の強度低下を抑制すべく、制動運転期間におけるトランジスタM11及びM14のデューティ比を、逆転方向であるものの、モータの慣性等により逆転には至らないデューティ比として、通常の「50%」よりも若干低い「45%」に設定した例である。また、ここでいうデューティ比は、基本周期Tに対する論理ハイレベルの期間tの割合、と定義される比率である(図13参照)。
また、図11において、揺れ戻し検出回路16は、モータMの停止時における逆回転現象(揺れ戻し)を検出するものである。詳しくは、この揺れ戻し検出回路16は、駆動波形検出部13により検出された端子間電圧信号を取り込み、ローパスフィルタ(フィルタ手段)LPF2を通じてその信号に適宜のフィルタリング処理を施してから増幅器16aを通じてそれを増幅するとともに、比較器(2値化手段)16bを通じて所定のしきい値のもとにこれを2値化する。この比較器16bによる2値化信号は、遅延回路16cにより所要の時間だけ遅延され、スイッチング素子16dのオン・オフ動作に基づき所望の期間に限って回転制御部12aに取り込まれる。そして、回転制御部12aにより、その2値化信号に基づき回転方向が検出される。すなわち、モータ停止時における逆回転現象(揺れ戻し)も、ここで検出されることになる。なお、本実施の形態においては、揺れ戻し検出回路16や回転制御部12aを含め、モータMの回転方向を検出する部分が回転方向検出部に相当する。そして、本装置では、この回転方向検出部にて検出される揺れ戻し期間におけるモータMの回転量も加味して、モータMの回転位置を高精度に検出するようにしている。
図14に、遅延回路16cの一例を回路図として示す。
同図14に示されるように、この遅延回路16cは、遅延時間に相当するパルス幅が設定されるワンショット回路1cと、フリップフロップ回路(D−FF)2cとを有して構成されている。なお、フリップフロップ回路2cにおいて、入力端子(D)が論理ローレベルにあるときに反転クロック端子(CLK)で立下がりエッジが検出されると、同回路の出力が論理ローレベルとなり、また入力端子(D)が論理ハイレベルにあるときに反転クロック端子(CLK)で立下がりエッジが検出されると、同回路の出力が論理ハイレベルとなる。一方、反転クロック端子(CLK)で立上がりエッジが検出されたとしても、入力端子(D)のレベルにかかわらず、同回路の出力レベルは不変である。
図15(a)〜(c)は、この遅延回路16cの動作例を示すタイムチャートである。
同図15(a)〜(c)に示されるように、例えばモータ停止時における逆回転現象(揺れ戻し)により、比較器16bの出力が論理ローレベルから論理ハイレベルになると、この立上がりエッジをトリガとして、ワンショット回路1cから予め設定されたパルス幅trrのパルスが出力される。次いで、このパルスがフリップフロップ回路2cの反転クロック端子(CLK)に入力されると、同パルスの立下がりエッジをトリガとして、フリップフロップ回路2cの出力が論理ハイレベルに切り替わる。こうして、遅延回路16cにより、比較器16bの出力をパルス幅trrだけ遅延させた遅延信号が生成されることになる。
ところで、モータの端子間インピーダンスをハイインピーダンス化することで、モータの端子間電圧の極性に基づいてモータの回転方向が得られるようになることは前述したとおりである。ところが、モータの制動運転期間、特に同期間におけるモータ停止直前からそれ以降の期間においては、同モータにほとんど電流が流れなくなるため、この期間に限れば、逆起電圧Vgとモータ端子間電圧Vmとの間に、次式(4)の近似が成り立つ。
Vg≒Vm …(4)
したがって、上記制動運転期間におけるモータ停止直前からそれ以降の期間に限って選択的に検出区間を設定することによって、モータの端子間インピーダンスをハイインピーダンス化することなく、モータの端子間電圧の極性に基づいてモータの回転方向を得ることが可能になる。
揺れ戻し検出回路16は、こうした原理に基づいてモータMの停止時における逆回転現象(揺れ戻し)を検出するものであり、以下、図16を併せ参照して、この揺れ戻し検出回路16による逆回転現象(揺れ戻し)の検出態様の一例について説明する。なお、この図16は、トランジスタM11及びM14(図1)のデューティ比を「100%」にしてモータMを約「100μs(マイクロ秒)」(定常運転期間)だけ定速駆動した後に、同デューティ比を「45%」に変更して制動運転に切り替えたときのシミュレーション結果を示すタイムチャートである。ここで、横軸は時間(sec)を、縦軸は電圧(V)及びモータ回転速度(rpm)を、それぞれ示している。また、特性線L1(実線)はローパスフィルタLPF2の出力(モータMの端子間電圧)を、特性線L2(一点鎖線)はモータMの回転速度を、特性線L3(二点鎖線)はモータMの逆起電圧を、それぞれ示すものである。
同図16に示されるように、モータMを制動運転に切り替えた直後には、同モータMに突入電流が流れ込むことに起因してフィルタLPF2に過渡応答(過渡現象)が生じる。そして、同フィルタLPF2の出力(特性線L1)は一時的に「0V」を超え、上記比較器16b(図1)による2値化信号が、論理ローレベルから論理ハイレベルに切り替わる。しかしこのとき、実際のモータMの回転方向に変化はなく正転を続けているため、この2値化信号に基づきモータMの回転方向が検出されると、誤ってモータMの回転方向が検出されることになる。
そこで、本実施の形態に係る装置では、フィルタLPF2の出力が一定値に収束したことに基づき回転方向検出部による回転方向の検出を有効化するようにしている。なお、本実施の形態においては、この有効化を行う部分が検出区間設定手段に相当する。
具体的には、回転制御部12aによりスイッチング素子16dのオン/オフ制御を行い、通常はオフ状態にされているスイッチング素子16dをフィルタLPF2の出力が一定値に収束したことに基づいてオン動作させ、この期間に限って比較器16bによる2値化信号が回転制御部12aに取り込まれるようにする。この際、フィルタLPF2の出力が一定値に収束したか否かの判断は、例えばフィルタLPF2の出力が収束したときの電圧レベルや制動運転の切替から同出力が収束するまでの時間を回転制御部12aに予め設定しておき、電圧レベルのモニタや経過時間の計時を通じてそれらが設定値に到達したか否かを検知するかたちで行う。すなわち、同出力の収束の有無は、対応するパラメータが予め設定された設定値に到達したか否か(検知の有無)に基づき容易に且つ適正に判断されることになる。
また、上記フィルタLPF2の出力は、タイミングt1で「0V」(モータMの無電流状態での端子間電圧)になるが、ここで検出対象となるモータMには、制動運転期間においても同モータMを回転させない程度(デューティ比「45%」)の電流が供給されているため、ここではまだ収束せず、「0V」よりも高いレベルVfで収束することになる。このように、比較器16b(図1)のしきい値を「0V」に設定することで、このしきい値とフィルタLPF2の出力の収束値Vfとの間に幾らかレベル差が設けられ、チャタリングの抑制が図られている。ただし、制動運転期間においても電流が供給されることに基づいてモータMの停止タイミングが本来の停止タイミングであるタイミングt1から幾らか遅れるようにもなる。すなわち、同モータMは、タイミングt1よりも遅いタイミングt2で停止することになる。このため、タイミングt1〜t2の期間においては、モータMが正転し続けているにもかかわらず、比較器16bによる2値化信号として論理ハイレベルの信号が出力されることになり、この2値化信号に基づきモータMの回転方向が検出されると、誤ってモータMの回転方向が検出されることになる。
そこで、本実施の形態に係る装置では、遅延回路16cの遅延時間を、上記制動運転期間の電流供給に起因するモータ停止遅れを相殺するように、すなわちタイミングt1〜t2の時間だけ遅延させるように設定し、実際に逆回転現象(揺れ戻し)が起きるタイミングt2にて比較器16bによる2値化信号が論理ハイレベルに反転するようにしている。こうして、モータ停止遅れが相殺されることにより、モータ停止直前の期間における上記誤検出が抑制もしくは回避されるようになる。すなわち、制動運転期間に電流供給が行われる場合であれ、また電流供給が行われない場合であれ、モータ回転方向の検出を適正に行うことができるようになる。またここでは、上記遅延回路16cの遅延時間を、フィルタLPF2の出力の収束前の変化特性(時定数)と、同フィルタLPF2の出力の収束値と、に基づいて設定されるものとする。このうち、フィルタLPF2の出力の収束前の変化特性(時定数)は、基本的に、検出対象となるモータMの特性で一義的に定まるものである。また一方、同フィルタLPF2の出力の収束値も、モータMの負荷等には依存せずに、基本的には、制動運転期間におけるモータMへの電流供給量で一義的に定まる。このため、これらに基づいて遅延回路16cの遅延時間を設定することで、遅延回路16cに対する遅延時間の設定をより容易に且つ適正に行うことができるようになる。
このように、本実施の形態に係る上記装置によれば、モータの回転開始時や停止直前など回転速度が遅い場合であれ、モータ停止時における制動時間の長期化を招くことなく、モータの回転方向(回転情報)を精度よく検出することができるようになる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(4)モータMの制動運転期間におけるモータ停止直前からそれ以降の期間に限って回転方向検出部による回転方向の検出を有効化する検出区間設定手段を備える構成とした。これにより、モータの回転開始時や停止直前など回転速度が遅い場合であれ、モータ停止時における制動時間の長期化を招くことなく、モータの回転方向(回転情報)を精度よく検出することができるようになる。また、制動運転への切替時に生じる突入電流の影響についてもこれが好適に回避されるようになる。
(5)さらに、CPU等の演算装置やAD(アナログデジタル)変換器などの回路規模の増大を最小限に抑えつつ、モータ停止時における逆回転現象(揺れ戻し)を検出することができるようになる。
(6)また、この検出区間設定手段を、モータMの制動運転期間においてフィルタLPF2の出力が一定値に収束したことに基づき回転方向検出部による回転方向の検出を有効化するものとした。これにより、その有効化がより適切なタイミングで行われることとなり、ひいてはより精度の高いモータ回転方向の検出が可能になる。
(7)さらに、この検出区間設定手段に、フィルタLPF2の出力が収束したときの電圧レベルや同出力の収束する時間が設定されるようにし、同検出区間設定手段を、その設定される電圧レベルもしくは時間に基づいてフィルタLPF2の出力が一定値に収束したか否かを判断して回転方向検出部による回転方向の検出を有効化するものとした。これにより、フィルタLPF2の出力(モータ端子間電圧信号)が一定値に収束したか否かの判断をより簡単に且つ適正に行うことができるようになり、ひいてはより容易にモータ回転方向を精度よく検出することができるようになる。
(8)また、上記回転方向検出部として、モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧を所定のしきい値をもとに2値化する比較器16bを有して構成され、該比較器16bによる2値化信号に基づいてモータMの回転方向を検出するもの、を採用することとした。こうした構成によれば、デジタル方式での信号処理が可能となり、アナログ方式で信号処理を行うときよりも高い精度で複雑な演算を行うことができるようになる。また、例えば上記回転制御部12a等としてマイクロコンピュータ等を利用することで、ハードウェアの変更や追加のみならず、ソフトウェアの変更や追加を通じて、モータの過渡応答特性、追従性、負荷変動などにも柔軟に対応することができるようになる。
(9)また、この回転方向検出部を、比較器16bの2値化対象となる端子間電圧信号に適宜のフィルタリング処理を施すローパスフィルタLPF2をさらに備える構成とした。こうした構成によれば、比較器16bによる2値化に先立ち、端子間電圧信号に含まれる不要なノイズ成分(例えばモータMの回転に起因するサージやリップル、あるいはモータ駆動信号等)が取り除かれ、比較器16bによる2値化信号としてSN比(信号対雑音比)の高い信号が得られるようになる。そして、この2値化信号を通じてモータMの回転方向の検出をより高い精度にて行うことができるようになる。
(10)さらに、比較器16bのしきい値をモータMの無電流状態での端子間電圧「0V」に設定するようにしたため、モータMの定常運転時の回転方向に応じて比較器16bのしきい値を変更したり、もしくはこれに準じた処理を行ったりする必要がなくなり、モータMの回転情報を検出する際の利便性に優れた構成ともなっている。
(その他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、それぞれ以下のように変更して実施することもできる。
・上記第1の実施の形態では、モータ停止時の回転の揺れ戻しの有無を逆起電圧積分演算部7を通じて演算される積分値に基づいて判定するようにしたが、逆起電圧推定部5を通じて推定される逆起電圧Vgの値も回転量判定、補正部9に取り込むようにし、該逆起電圧Vgの極性に基づいてこうした回転の揺れ戻しの有無を判定するようにしてもよい。
・周期成分波形であるパルスの取り漏らしの有無や、ノイズによる同パルスのオーバーカウントの有無等の判断を1つのしきい値との対比に基づいて行うことができる場合には、該1つのしきい値のみを用いるようにしてもよい。
・上記第1の実施の形態では、モータMの内部抵抗rが既知で固定の値として用いることとしたが、実際には、製造のばらつきや抵抗の温度特性等の影響によって、その抵抗値が変動する可能性もある。したがって、こうした抵抗値のばらつきを補正すべく、特に上記式(3)を採用する場合には、この内部抵抗rを個別に求めるようにしてもよい。その具体的な方法としては、
(イ)モータMが回転し得ない程度にその端子間電圧Vmを小さくした状態。
あるいは、
(ロ)モータMの回転を機械的に停止させた状態。
で、演算
r=Vm/i …(5)
を実行して上記内部抵抗rを求めるようにする。また、モータの定常回転時での端子間電圧Vm1及びモータ電流i1と、モータの制動運転への切り替え直後における端子間電圧Vm2及びモータ電流i2とをそれぞれ求めて、次式の連立方程式
Vg=Vm1−r・i1
Vg=Vm2−r・i2 …(6)
の解としてモータの内部抵抗rを求めるようにしてもよい。これらにより、同内部抵抗rの抵抗値のばらつきの影響が好適に抑制され、より正確に逆起電圧Vgを求めることができるようになる。しかも、こうしてモータMの内部抵抗rを求めるようにすれば、同一の回転情報検出装置を別のモータにも応用することができるようになる。
・上記第1の実施の形態では、モータMの定常運転時において、上記式(1)、あるいは式(3)の解として逆起電圧Vgを推定したが、モータMが定常運転状態にある場合に限らず、制動運転状態にある場合であっても、これらの式を用いて逆起電圧Vgを求めるようにしてもよい。このようなモータMの制動運転時には、図4に示すように、モータに流れる電流iの方向が図中の実線矢印の方向から破線矢印の方向に変化するが、このときには抵抗R1で検出される電流も負の値となるため、上記と同様、式(1)、あるいは式(3)を用いて逆起電圧Vgを算出することができる。
・上記第1の実施の形態では、モータ電流iから抽出されたリップル成分に基づいてモータ回転量を検出することとしたが、このリップル成分に限らず、サージ成分など、他の周期成分に基づいてモータ回転量を検出するようにしてもよい。
・上記第1の実施の形態では、モータに流れる電流の波形からリップル成分を抽出し、モータ回転量を検出することとしたが、これに限らず、モータの端子間電圧など他のモータ駆動波形からリップル成分やサージ成分などの周期成分を抽出してモータ回転量を検出するようにしてもよい。
・図7から図10では、正転方向の回転から停止させる場合の補正方法について説明したが、逆転方向の回転から停止させる場合の補正方法も同様に実行でき、同様の効果を得ることができる。
・上記第2の実施の形態では、比較器16b(図1)のしきい値を「0V」に設定する場合について説明したが、このしきい値をフィルタLPF2の出力の収束値Vf(図16)に設定することもできる。こうした構成にすれば、遅延回路16cが不要となり、より簡素な構成でモータ回転方向を精度よく検出することができるようになる。ただし、モータMの定常運転時の回転方向を反転させた場合、フィルタLPF2の出力の収束値は正転時とは異なる「−Vf」になる。このため、この種の装置において、こうした事態にも対応するためには、例えばモータMの定常運転時の回転方向に応じて比較器16bのしきい値を変更したり、もしくはこれに準じた処理を行ったりすることが望ましい。
・また、こうした構成では、フィルタLPF2の出力の収束値がノイズ等の外乱によりふらつくことが懸念されるため、比較器16bとして、しきい値に設けられた所定のヒステリシス幅に応じてヒステリシス動作する比較器、いわゆるヒステリシス・コンパレータを採用することがより望ましい。こうすることで、比較器16bのしきい値となる収束値Vfについて生じるチャタリング、ひいてはパルス割れ等が抑制され、より高い信頼性をもってモータMの回転方向の検出を行うことができるようになる。
・また、上記第2の実施の形態において、制動運転期間におけるトランジスタM11及びM14のデューティ比を「50%」とすれば、すなわち制動運転期間においてはモータMに電流を供給しないようにすれば、電流供給に起因するモータ停止遅れは生じなくなる。このため、遅延回路16cを割愛した構成とすることも可能となり、より簡素な構成でモータ回転方向を精度よく検出することができるようになる。図17に、この場合のシミュレーション結果をタイムチャートとして示す。なお、この図17においても、特性線L1(実線)はローパスフィルタLPF2の出力(モータMの端子間電圧)を、特性線L2(一点鎖線)はモータMの回転速度を、それぞれ示すものである。
・上記第2の実施の形態において遅延回路16cの構成は、図14に例示したものに限られることなく任意である。
・また、同第2の実施の形態においては揺れ戻し検出回路16や回転制御部12aを含んで構成される回転方向検出部の構成も、モータ端子間電圧に基づいてモータの回転方向を検出するものであればよく任意である。
・さらに、上記第2の実施の形態では、モータ端子間電圧が一定値に収束したことに基づき回転方向検出部による回転方向の検出を有効化するようにしたが、これも必須の構成ではない。要は、モータ端子間電圧に基づいてモータの回転方向を検出する回転方向検出部を備えて且つ、同モータの制動運転期間におけるモータ停止直前からそれ以降の期間に限ってその回転方向検出部による回転方向の検出を有効化する検出区間設定手段をさらに備える構成であれば、上記(4)の効果と同様もしくはそれに準じた効果は得ることができる。
本発明にかかるモータ回転情報検出装置の第1の実施の形態についてその構成の概略を示すブロック図。 逆起電圧を検出するブリッジ回路例を示す回路図。 同第1の実施の形態のモータ回転情報検出装置の構成をより詳細に示すブロック図。 同第1の実施の形態のモータ回転情報検出装置の主にモータ電流検出部についてその構成を示す回路図。 モータに生じる逆起電圧の波形例を示すタイムチャート。 パルスごとに演算された積分値の推移例を示すタイムチャート。 モータ停止直前におけるパルス周期ごとの逆起電圧積分値の推移例を示すタイムチャート。 (a)は積分値が第2しきい値より小さい段階で誤パルスが発生した場合の積分値の推移を示すタイムチャート。(b)は積分値が第2しきい値を越えている段階で誤パルスが発生した場合の積分値の推移を示すタイムチャート。 モータの反転、パルスの取り漏らし及び誤パルスによるオーバカウントなどに対する補正処理についてその処理手順を示すフローチャート。 モータの反転、パルスの取り漏らし及び誤パルスによるオーバカウントなどに対する補正処理についてその処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかるモータ回転情報検出装置の第2の実施の形態についてその構成の概略を示すブロック図。 (a)〜(d)は、モータ正逆転回路(Hブリッジ)に関する駆動信号(パルス幅変調信号)の一例を示すタイムチャート。 デューティ比の定義を示すタイムチャート。 遅延回路の一例についてその構成の概略を示す回路図。 (a)〜(c)は、同遅延回路の動作例を示すタイムチャート。 制動運転期間においてもモータを回転させない程度の電流を供給するようにした場合のシミュレーション結果を例示するタイムチャート。 制動運転期間においてはモータに電流を供給しないようにした場合のシミュレーション結果を例示するタイムチャート。 モータ電流からその周期成分を抽出する従来の方法について、その一例を示す回路図。 (a)、(b)及び(c)は、図18に例示した回路によるモータ電流からの周期成分の抽出態様を示すタイムチャート。 従来のモータ回転情報検出装置の一例についてその構成の概略を示す回路図。 従来のモータ回転情報検出装置の別の例についてその構成の概略を示す回路図。 回転情報の検出対象とするモータの等価回路を示す回路図。
符号の説明
2…モータ回転制御部、2a…回転制御部、2b…ゲート駆動回路、3…モータ端子間電圧検出部、4…電流検出部、4a…マルチプレクサ、5…逆起電圧推定部、5a…AD変換器、5b…逆起電圧算出部、6…回転信号生成部、6a…回転信号抽出用フィルタ、6b…比較器、7…逆起電圧積分演算部、8…回転量推定部、9…回転量判定、補正部、11…モータ正逆転回路(Hブリッジ)、12a…回転制御部、12b…ゲート駆動回路、13…駆動波形検出部、13a…増幅器、14…回転信号抽出部、15…回転パルス生成部、15a…増幅器、15b…比較器、15c…ワンショット回路、16…揺れ戻し検出回路、16a…増幅器、16b…比較器、16c…遅延回路、16d…スイッチング素子、A1〜A3…演算増幅器、B…ブラシ、C1,C2…カレントミラー、HPF1…ハイパスフィルタ、LPF1、LPF2…ローパスフィルタ、M…モータ、M1〜M6、M11〜M14…トランジスタ(電界効果トランジスタ)。

Claims (28)

  1. 直流ブラシモータのモータ駆動波形に基づいて同モータの回転量を検出する方法であって、
    前記モータの端子間電圧と同モータに流れる電流とから逆起電圧を求めるとともに、該求めた逆起電圧を前記モータ駆動波形の周期成分に対応する時間だけ積分し、この積分値に基づいて前記モータの回転量を検出する
    ことを特徴とするモータ回転情報検出方法。
  2. 請求項1に記載のモータ回転情報検出方法において、
    前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形の数に基づいて前記モータの回転量を推定するとともに、前記積分値の絶対値と所定のしきい値との対比によって前記周期成分波形の取り漏らしの有無、及びノイズによる同周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断し、これら判断に基づいて前記推定したモータの回転量を補正する
    ことを特徴とするモータ回転情報検出方法。
  3. 前記所定のしきい値として、前記積分値の近似した複数の値の平均値の絶対値よりも大きい第1しきい値と同平均値の絶対値よりも小さい第2しきい値との2つのしきい値を定め、前記積分値の絶対値が前記第1しきい値よりも大きいか否かに基づき前記周期成分波形の取り漏らしの有無を判断し、前記積分値の絶対値が前記第2しきい値よりも小さいか否かに基づき前記周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断する
    請求項2に記載のモータ回転情報検出方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法において、
    前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形の数に基づいて前記モータの回転量を推定するとともに、前記積分値の正負に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記推定したモータの回転量を補正する
    ことを特徴とするモータ回転情報検出方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法において、
    前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形の数に基づいて前記モータの回転量を推定するとともに、前記求められる逆起電圧の極性に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記推定したモータの回転量を補正する
    ことを特徴とするモータ回転情報検出方法。
  6. 前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形として、同モータ駆動波形のリップル成分波形及びサージ成分波形の一方を用いる
    請求項2〜5のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法。
  7. 前記直流ブラシモータのモータ駆動波形として、同直流ブラシモータに流れる電流の波形を用いる
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法。
  8. 前記直流ブラシモータのモータ駆動波形として、同直流ブラシモータの端子間電圧の波形を用いる
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出方法。
  9. 直流ブラシモータのモータ駆動波形に基づいて同モータの回転量を検出するモータ回転情報検出装置において、
    前記モータの端子間電圧を検出するモータ端子間電圧検出部と、同モータに流れる電流を検出するモータ電流検出部と、これら検出される端子間電圧及び電流に基づいて前記モータに発生する逆起電圧を推定する逆起電圧推定部と、この推定される逆起電圧を前記モータ駆動波形の周期成分に対応する時間だけ積分演算する逆起電圧積分演算部と、前記モータ駆動波形からその周期成分波形を抽出して前記モータの回転量を推定する回転量推定部と、この推定されるモータの回転量と前記積分演算された値とに基づいて前記モータの回転量を判定、補正する回転量判定、補正部とを備える
    ことを特徴とするモータ回転情報検出装置。
  10. 前記回転量判定、補正部は、前記逆起電圧積分演算部にて積分演算された値の絶対値と所定のしきい値との対比によって前記周期成分波形の取り漏らしの有無、及びノイズによる同周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断し、これら判断に基づいて前記回転量推定部にて推定されたモータの回転量を補正する
    請求項9に記載のモータ回転情報検出装置。
  11. 前記回転量判定、補正部は、前記所定のしきい値として、前記逆起電圧積分演算部にて積分演算された値の近似した複数の値の平均値の絶対値よりも大きい第1しきい値と同平均値の絶対値よりも小さい第2しきい値との2つのしきい値を有し、前記積分演算された値の絶対値が前記第1しきい値よりも大きいか否かに基づき前記周期成分波形の取り漏らしの有無を判断し、前記積分演算された値の絶対値が前記第2しきい値よりも小さいか否かに基づき前記周期成分波形のオーバーカウントの有無を判断する
    請求項10に記載のモータ回転情報検出装置。
  12. 前記回転量判定、補正部は、前記逆起電圧積分演算部にて積分演算された値の正負に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記回転量推定部にて推定されたモータの回転量を補正する
    請求項9〜11のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  13. 前記回転量判定、補正部は、前記逆起電圧推定部にて推定される逆起電圧の極性に応じた前記モータの回転方向の特定に基づいて同モータの回転の揺れ戻しの有無を判断し、該判断に基づいて前記回転量推定部にて推定されたモータの回転量を補正する
    請求項9〜11のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  14. 前記逆起電圧推定部は、前記検出されるモータの端子間電圧をVm、同モータに流れる電流をi、前記モータに固有の内部抵抗をrとし、前記逆起電圧をVgとするとき、演算
    Vg=Vm−r・i
    を実行して前記逆起電圧Vgを推定する
    請求項9〜13のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  15. 前記モータ電流検出部は、前記モータを駆動するモータ駆動トランジスタと並列接続されたカレントミラー構成の電流センストランジスタを有し、該電流センストランジスタに流れる電流に基づいて前記モータに流れる電流を検出する
    請求項9〜14のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  16. 前記モータ駆動波形から抽出される周期成分波形が、同モータ駆動波形のリップル成分波形及びサージ成分波形の一方である
    請求項9〜15のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  17. 前記直流ブラシモータのモータ駆動波形が、同直流ブラシモータに流れる電流の波形である
    請求項9〜16のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  18. 前記直流ブラシモータのモータ駆動波形が、同直流ブラシモータの端子間電圧の波形である
    請求項9〜16のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  19. 直流モータの端子間電圧を検出するモータ端子間電圧検出部と、該モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧に基づいて前記モータの回転方向を検出する回転方向検出部とを備えるモータ回転情報検出装置であって、
    前記モータの制動運転期間におけるモータ停止直前からそれ以降の期間に限って前記回転方向検出部による回転方向の検出を有効化する検出区間設定手段をさらに備える
    ことを特徴とするモータ回転情報検出装置。
  20. 前記検出区間設定手段は、前記モータの制動運転期間において前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が一定値に収束したことに基づき前記回転方向検出部による回転方向の検出を有効化する
    請求項19に記載のモータ回転情報検出装置。
  21. 前記検出区間設定手段には、前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が収束したときの電圧レベル、及び前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が収束する時間の少なくとも一方が設定され、前記検出区間設定手段は、該設定される電圧レベルもしくは時間に基づいて前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧が一定値に収束したか否かを判断して前記回転方向検出部による回転方向の検出を有効化する
    請求項20に記載のモータ回転情報検出装置。
  22. 前記回転方向検出部は、前記モータ端子間電圧検出部により検出される端子間電圧を所定のしきい値をもとに2値化する2値化手段を有して構成され、該2値化手段による2値化信号に基づいて前記モータの回転方向を検出するものである
    請求項19〜21のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
  23. 前記回転方向検出部は、前記2値化手段の2値化対象となる端子間電圧に適宜のフィルタリング処理を施すフィルタ手段をさらに備える
    請求項22に記載のモータ回転情報検出装置。
  24. 前記モータには、制動運転期間においても同モータを回転させない程度の電流が供給され、前記回転方向検出部を構成する2値化手段のしきい値は、前記モータの制動運転期間における端子間電圧の収束値に相当する値として設定される
    請求項22または23に記載のモータ回転情報検出装置。
  25. 前記2値化手段は、前記2値化の際のしきい値に設けられた所定のヒステリシス幅に応じてヒステリシス動作するものである
    請求項24に記載のモータ回転情報検出装置。
  26. 前記回転方向検出部は、前記2値化手段による2値化信号を遅延させた遅延信号を生成する遅延手段をさらに備え、該遅延手段により生成される遅延信号に基づいて前記モータの回転方向を検出するものであり、
    前記モータには、制動運転期間においても同モータを回転させない程度の電流が供給され、前記回転方向検出部を構成する2値化手段のしきい値が、前記モータの無電流状態での端子間電圧に相当する値として設定されるとともに、前記遅延手段の遅延時間が、前記制動運転期間の電流供給に起因するモータ停止遅れを相殺するように設定される
    請求項22または23に記載のモータ回転情報検出装置。
  27. 前記遅延手段の遅延時間は、前記2値化手段の2値化対象となる端子間電圧の前記制動運転期間における収束前の変化特性と、同制動運転期間における端子間電圧の収束値と、に基づいて設定される
    請求項26に記載のモータ回転情報検出装置。
  28. 前記回転方向検出部により前記モータの制動運転期間におけるモータ停止時の揺れ戻し期間を検出し、該揺れ戻し期間における前記モータの回転量を加味して前記モータの回転位置を検出する
    請求項19〜27のいずれか一項に記載のモータ回転情報検出装置。
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