JP2005323418A - 電気自動車の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車輪前方の路面状態を予測して車輪駆動力の制御を行うことで、加速スリップが発生してからの駆動力制御の場合に懸念される不自然な車両挙動の発生を防止する。
【解決手段】車輪前方の路面反射率Rの時系列データを基にRの変化量ΔRを演算する。このΔRと、Rの急変を判定するための設定値ΔRsとを対比し、ΔR≧ΔRsであるt1〜t2間において、トルク増加率抑制判断をONとする。路面反射率計測地点から車輪接地点までの距離Lを車輪速Vwで除算して得られる時間dtoだけt1よりも遅れた瞬時(車輪接地点が路面反射率急変区間に到達する瞬時)を基準にして、これよりも余裕時間dt1だけ前の瞬時t3と、瞬時t1より上記のdtoだけ遅れた瞬時からt1〜t2間の時間を加算して得られる瞬時(車輪接地点が路面反射率急変区間から外れる瞬時)を基準にして、これよりも余裕時間dt2だけ後の瞬時t4との間に、トルク増加率抑制信号DをONとし、アクセル開度対応の基準モータトルクToに対してその変化率に実線で示す制限を与える。
【選択図】図3

Description

本発明は、電動モータにより車輪を駆動して走行する電気自動車につき、車輪の駆動スリップを未然に防止する駆動力制御技術に関するものである。
車両の加速時における車輪の駆動スリップは、路面と車輪タイヤとの間の摩擦係数を益々低下させ、車両挙動に悪影響を及ぼす。
これを防止する技術としては、ガソリンエンジン搭載車などにおいて従来から広く用いられており、特許文献1にも記載のようなトラクションコントロール装置を装備することが考えられる。
このトランクションコントロール装置は、車両の加速時に車輪が、路面μに対する駆動力の過大によってスリップした場合、車輪駆動力を低下させて駆動スリップ傾向を抑制し、これにより駆動スリップ傾向が解消されたとき車輪駆動力を元の値に向け戻すものである。
かかるトラクションコントロール装置は、電動モータにより車輪を駆動する電気自動車においても同様に適用可能であり、この場合トランクションコントロールに際しての車輪駆動力の低下、復帰制御は、車輪を駆動する電動モータの駆動力を低下、復帰制御することにより達成する。
特開昭59−018251号公報
しかし、従来のトラクションコントロール装置により車輪の駆動スリップを抑制する場合、以下に説明するごとくスリップ率が低減するまでに長い時間を要し、この間は車両挙動に悪影響が及ぶという問題点があった。
つまり、一般に路面と車輪タイヤとの間における摩擦係数とスリップ率との関係においては、ある一定量を超えたスリップ量が発生した場合、スリップ率の増加に伴い摩擦係数が低下することが広く知られている。
このため、一旦車輪にスリップが生ずると、車輪駆動力(駆動トルク)を一定に保ったとしても、車輪の駆動スリップ率が急速に増大し、これと同時に路面との間のグリップ力が急速に失われるという悪循環が発生し、車両の走行に有害な影響を与えることがあった。
このような状況下でトランクションコントロールを実行しても、このトランクションコントロールが、スリップ率を基準に制御が行われているため、トラクションコントロールが開始されるのはスリップ量が或る程度増大した後となり、トラクションコントロールが有効に作動するのは上述したような悪循環に入ってしまった後となるケースがしばしば生じる。
このような場合においては、既に路面と車輪タイヤとの間における摩擦係数が低下しているため、速やかに車輪駆動力を低下させたとしても、タイヤ等を含めた車輪の回転慣性として蓄えられたエネルギーが速やかに路面とタイヤの摩擦力により消費されないため、スリップ率が低減するまでに長い時間を要することになる。
このように従来のトラクションコントロールにおいては、制御の開始に当たりスリップ率がある程度増大することが前提とされているため、路面とタイヤとの間の摩擦係数が低下した後でないと有効性がなく、また、スリップ率が低減するまでに長い時間を要するという問題点があった。
かかる現象は、路面摩擦係数の変化量が激しい部分、すなわち路面摩擦係数が急激に低下する部分を通過する場合に一層顕著となり、スリップ率が低減するまでには更に長い時間を要することになる。
本発明は、上記の問題がとりもなおさず、車輪が駆動スリップを発生してから車輪の駆動力制御を行うことに起因するとの事実認識に基づき、
これに代え、路面の状態の変化を予測してそれに対応した車輪の駆動力制御とすることにより、上記の問題を生ずることのない駆動力制御装置を提案することを目的とする。
この目的のため本発明による電気自動車の駆動力制御装置は、請求項1に記載のごとく、
電動モータにより車輪を駆動して走行する電気自動車に対し、
前記車輪が通過する路面の状態を、車輪通過直前箇所において光学的に連続検出する光学的路面状態検出手段と、
該手段による光学的検出結果を基に、路面区間距離に対する路面の光学的変化が設定値以上であるか否かを判定する光学的変化判定手段と、
該手段により、路面の光学的変化が設定値以上であると判定された場合、少なくとも前記車輪が該当路面区間を通過している間、前記電動モータによる該車輪の駆動力の変化を抑制する車輪駆動力変化抑制手段とを設けた構成に特徴づけられる。
かかる本発明の構成によれば、光学的路面状態検出手段により路面の状態を、車輪通過直前箇所において光学的に連続検出し、光学的変化判定手段がこの光学的検出結果を基に、路面区間距離に対する路面の光学的変化が設定値以上であると判定する場合、少なくとも車輪が該当路面区間を通過している間、車輪駆動力変化抑制手段が電動モータによる車輪駆動力の変化を抑制することができる。
このため、車輪が駆動スリップを発生してから車輪の駆動力制御を行うのではなく、車輪が通過する路面の状態変化を予測し、路面状態変化が急である場合は、車輪が少なくとも該当路面区間を通過している間、車輪の駆動力変化を抑制するような駆動力制御であることとなり、
路面状態変化が急であって、車輪が該当路面区間を通過している間に車輪駆動力を大きく変化させるとスリップの発生が予測されるもとでは、少なくとも該当路面区間において車輪の急な駆動力変化が行われるのを防止し、これにより車輪のスリップを回避することができる。
ところで本発明によれば、車輪が駆動スリップを発生してから車輪の駆動力制御を行って上記のスリップ防止を達成するのではなく、路面状態の急変を予測し、この予測した該当路面を車輪が通過している間に車輪駆動力の急変を防止して車輪スリップを、スリップ発生前から未然に回避するため、
前記したトラクションコントロールの場合のように、スリップ率の収束までに長い時間を要して、この間車両の挙動不安定が続くという問題を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる駆動力制御装置を具えた電気自動車の駆動制御システムを示す。
電気自動車は左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RL、右後輪1RRを具え、これらを個々の電動モータ2FL,2FR,2RL,2RRにより駆動して走行するものとする。
電動モータ2FL,2FR,2RL,2RRはそれぞれ、個々のインバータ(INV)3FL,3FR,3RL,3RRを介して共通なバッテリ4に接続し、インバータ3FL,3FR,3RL,3RRはそれぞれ、モータコントローラ5からのトルク指令Tfl,Tfr,Trl,Trrに応動して、バッテリ4からの電力により対応する電動モータ2FL,2FR,2RL,2RRを、モータトルクがトルク指令Tfl,Tfr,Trl,Trrとなるよう駆動するものとする。
トルク指令Tfl,Tfr,Trl,Trrを決定するモータコントローラ5には、
運転者が操作して車両の要求駆動力を指令するアクセルペダル等のアクセル手段6から発せられたアクセルペダル開度(APO)に関する信号と、
路面反射率分析手段7FL,7FR,7RL,7RRからの、以下に詳述するモータトルク増加率抑制信号Dfl,Dfr,Drl,Drrとを入力する。
上記の路面反射率分析手段7FL,7FR,7RL,7RRおよびモータトルク増加率抑制信号Dfl,Dfr,Drl,Drrを説明するに、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RL、および右後輪1RRの所定距離(L)前方にそれぞれ反射率計測手段8FL,8FR,8RL,8RRを配置し、これらを車体に固設する。
反射率計測手段8FL,8FR,8RL,8RRは、本発明における光学的路面状態検出手段に相当し、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RL、および右後輪1RRが通過する路面のLだけ前方の状態(反射率Rfl,Rfr,Rrl,Rrr)を走行中連続的に検出するものとする。
反射率計測手段8FL,8FR,8RL,8RRで検出した路面反射率Rfl,Rfr,Rrl,Rrrをそれぞれ、対応する路面反射率分析手段7FL,7FR,7RL,7RRに入力し、これら路面反射率分析手段7FL,7FR,7RL,7RRは、後で詳述するが、路面反射率Rfl,Rfr,Rrl,Rrrの急変を判定し、かかる路面反射率の急変時にモータトルク増加率抑制信号Dfl,Dfr,Drl,Drrを、反射率急変路面区間通過タイミングに調時してモータコントローラ5へ出力する。
モータコントローラ5は、基本的にはアクセル手段6からのアクセル開度APOに応じた車両の要求駆動力を各輪のトルク(駆動力)指令Tfl,Tfr,Trl,Trrに通常通りの制御により振り分けるが、モータトルク増加率抑制信号Dfl,Dfr,Drl,Drrが入力される時、対応する車輪のトルク(駆動力)指令Tfl,Tfr,Trl,Trrの増加率に制限を加えて抑制する。
従って路面反射率分析手段7FL,7FR,7RL,7RRは、本発明における光学的変化判定手段および車輪駆動力変化抑制手段に相当する。
図1から明らかなように、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RL、および右後輪1RRに係わる駆動力制御系は全て同じであるから、車輪駆動力制御系は1輪分に関して代表的に表すと図2のごときものとなる。
なお図2では、図1におけると同様の部分を、図1の対応部分に付した符号のプリフィックスのみにより示し、図1との対応関係が判りやすくなるようにした。
この図2および図3につき本発明の駆動力制御を更に詳述する。
本実施例では前記した通り、路面の光学的変化を路面9の反射率変化(図2に反射率の異なる箇所を9aで例示した)によって検出するが、このような反射率変化を検出するものとしては例えば、周知のCCDレーザ式センサ等を用いることができる。
CCDレーザ式センサは本来、物体の変位を計測するものであるが、物体の反射率に応じてレーザ発光時間を自動可変する回路を用いることで、反射率に応じたフィードバック制御に使われるゲイン等に基づき反射率を推定することができ、また、このようなフィードバック制御を行わない場合でも、CCDレーザ式センサの受光量から反射率の計測が可能である。
図2に示すように、上記のCCDレーザ式センサで構成することを可とする路面反射率計測手段8を車輪1の転動方向前方に所定距離Lだけ離して配置し、この路面反射率計測手段8を図示せざる車体に固設することにより、車輪1の接地点から車両走行方向Lだけ前方における路面9の反射率R(路面状態)を光学的に計測し、その結果を路面反射率信号として反射率分析手段7に送信するものとする。
反射率分析手段7は、路面反射率計測手段8からの光学的な反射率R(路面状態)信号を基に以下のような分析を行い、車輪1の前方に反射率の大きく異なる箇所9aがあった場合は、トルク増加率抑制信号Dをモータコントローラ5へ送信するものとする。
反射率分析手段7による分析処理を図3に基づき以下に詳述するに、反射率分析手段7は先ず、光学的な反射率R(路面状態)信号を基に、図3に例示するような路面反射率Rの時系列データを作成する。
次いで反射率分析手段7は、路面反射率Rの変化量ΔRを演算する。路面反射率Rの変化量ΔRに関しては、時間に対する路面反射率Rの微分、若しくは、演算サイクル中における路面反射率Rの差分演算により求めることができるが、いずれにしても、これら時間や演算サイクルと車輪1の車輪速Vw(図2参照)とから車輪1の転動距離が判ることから、路面反射率Rの変化量ΔRは路面区間距離に対する路面反射率Rの光学的変化を表す。
なお本発明で制御対象とする時間が、車速変化を無視しても十分成立する僅かな時間であることから、路面反射率Rの変化量ΔRは直接的に、車両の走行距離すなわち空間に対する路面反射率Rの微分、若しくは、路面反射率Rの差分演算による求めてもよいことは言うまでもない。
そして反射率分析手段7は、上記のようにして得られた路面反射率Rの変化量ΔRと、路面反射率Rの急変を判定するための図3に例示した設定値ΔRsとを対比し、ΔR≧ΔRsである瞬時t1〜t2間において、図3のごとくトルク増加率抑制判断をONとする。
反射率分析手段7は次いで、車輪1が路面反射率変化量の大きな区間9aを通過する期間を以下のようにして推定する。
すなわち路面反射率計測手段8から車輪接地点までの水平距離Lを車輪速Vwで除算して得られる時間dtoだけ瞬時t1よりも遅れた瞬時(車輪接地点が路面反射率急変区間に到達する瞬時)を基準にして、これよりも余裕時間dt1だけ前の瞬時t3と、
瞬時t1よりも上記のdtoだけ遅れた瞬時からt1〜t2間の時間を加算して得られる瞬時(車輪接地点が路面反射率急変区間から外れる瞬時)を基準にして、これよりも余裕時間dt2だけ後の瞬時t4との間を、
車輪1が路面反射率変化量の大きな区間9aを通過する期間であると推定し、この間トルク増加率抑制信号Dを図3に示すようにONとして、これをモータコントローラ5に送信するものとする。
なお、反射率分析手段7およびモータコントローラ5との間に通信遅れ等による時間的な誤差が伴う場合は、これら時間的誤差を加味した時間の差し引きして、車輪1が路面反射率変化量の大きな区間9aを通過する期間に正確に調時してトルク増加率抑制信号Dをモータコントローラ5に送信することは言うまでもない。
かようにトルク増加率抑制信号Dを入力されるモータコントローラ5は、基準モータトルク演算部5aと、トルク増加率抑制部5bと、トルク指令値記憶部5cとで構成する。
基準モータトルク演算部5aは、アクセル手段6からのアクセル開度信号APOに基づき求めた車両の要求駆動力を得るために必要な該当車輪1の基準トルク(基準駆動力)Toを求め、
トルク増加率抑制部5bは、トルク増加率抑制信号Dがない間、基準トルク(基準駆動力)Toをそのままモータトルク指令Tとしてインバータ3に供給し、バッテリ4からの電源により電動モータ2を基準トルク(基準駆動力)Toが発生するよう制御する。
図3の瞬時t3〜t4間に例示するごとくトルク増加率抑制信号Dがある(ONである)場合、トルク増加率抑制部5bは、基準トルク(基準駆動力)Toの増加方向における時間変化率に制限を施す。
つまりトルク増加率抑制部5bは、基準トルク(基準駆動力)Toの増加方向における時間変化率が設定値未満であれば、t3〜t4間にトルク増加率抑制信号Dがあっても(ONであっても)基準トルク(基準駆動力)Toをそのままモータトルク指令Tとしてインバータ3に供給し、バッテリ4からの電源により電動モータ2を基準トルク(基準駆動力)Toが発生するよう制御するが、
基準トルク(基準駆動力)Toの増加方向における時間変化率が図3のt3〜t4間において破線で示すように設定値(実線で図示した)以上である場合は、基準トルク(基準駆動力)Toの増加方向における時間変化率をこの設定値に抑制してモータトルク指令Tを図3に実線で示すように定め、これをインバータ3に供給して電動モータ2の駆動力制御に供する。
なお上記のような制御に当たっては、一定時間前のトルク指令Tを記憶しておく必要があり、この記憶をトルク指令値記憶部5cにおいて行うこととする。
以上の構成になる実施例の駆動力制御装置によれば、
光学的路面状態検出手段である路面反射率計測手段8により路面9の状態(上記では反射率)を、車輪通過直前箇所において光学的に連続検出し、光学的変化判定手段である反射率分析手段7が、この光学的検出結果を基に、路面区間距離に対する路面の光学的変化ΔRが設定値ΔRs以上であると判定する場合、少なくとも車輪1が該当路面区間を通過している間、車輪駆動力変化抑制手段である反射率分析手段7が電動モータ2による車輪駆動力の変化を抑制するため、
車輪が駆動スリップを発生してから車輪の駆動力制御を行うのではなく、車輪が通過する路面の状態変化を予測し、路面状態変化が急である場合は、車輪が少なくとも該当路面区間を通過している間、車輪の駆動力変化を抑制するような駆動力制御であることとなる。
つまり本実施例によれば、車輪が駆動スリップを発生してから車輪の駆動力制御を行って上記のスリップ防止を達成するのではなく、路面状態の急変を予測し、この予測した該当路面を車輪が通過している間に車輪駆動力の急変を防止して車輪スリップを、スリップ発生前から未然に回避するため、
トラクションコントロールの場合のように、スリップ率の収束までに長い時間を要して、この間車両の挙動不安定が続くという問題を解消することができる。
なお上記の実施例では、一対のレーザとCCDを用いて路面反射率を計測する場合につき説明したが、これに限られるものではなく、路面状態を光学的に検出できるものであればなんでもよく、
例えば波長の違う複数対のレーザとCCDを用い、それぞれの反射率の分析を総合的に行うことで路面の色情報を得る方法を用いることも可能である。
また上記の実施例では、車輪が反射率の大きく異なる路面区間(図3のt1〜t2)においてだけでなく、その前後領域においても(図3の時間dt1,dt2においても)車輪の駆動力変化を抑制するようになしたことで、上記の作用効果を一層確実なものにすることができる。
更に上述した実施例では車輪の駆動スリップ抑制を重視し、トルク増加率抑制判断は路面反射率の変化量ΔRに基づいて行い、その変化前後における反射率の大小関係の情報は利用していないが、路面反射率から路面摩擦係数の大小判別が可能である場合においては、以下のような制御を行うこともできる。
つまり、路面摩擦係数が低下する方向の変化があった場合には車輪スリップ発生が予想されることから上記実施例の制御を行うものとするが、路面摩擦係数が低下しない場合、若しくは、路面摩擦係数が増加する方向に変化する場合、上記実施例で示したトルク増加率抑制判断をONとしない、すなわち基準トルクToの変化割合の抑制を行わないこととし得る。
この場合、路面摩擦係数が低下しないや、増加する状況において、無駄に駆動力の増大抑制が行われることがなくなり、これらの状況のもとで車両の加速性能が犠牲になる弊害を回避することができる。
なお、一般的なトラクションコントロール装置と本発明の駆動力制御装置とを併用する制御も可能であり、この場合、トラクションコントロールによる電動モータのトルク制限がなされている状況において路面反射率の変化から路面摩擦係数が増加方向へ変化する時、トラクションコントロールを解除、若しくは、トラクションコントロールによる駆動トルクの制限を低減するトランクションコントロール制限手段を設ける。
これにより、路面摩擦係数が増加方向に変化する状況のもとで無駄なトランクションコントロールを前もって抑制することができ、加速性能を向上させることが可能となる。
何れの実施例においても、4輪を個々の電動モータにより駆動して走行する車両について説明したが、車輪の駆動形態は本発明の駆動力制御装置を用いるに当たって何ら制約になるものではなく、本発明は、前輪または後輪の2輪のみを共通な電動モータにより駆動したり、4輪を1個の電動モータで駆動する電気自動車に対しても適用可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施例になる駆動力制御装置を具えた電気自動車の駆動系を、その制御システムと共に示す概略説明図である。 同制御システムを1輪に関して模式的に示した機能別ブロック線図である。 同制御システムの動作タイムチャートである。
符号の説明
1,1FL,1FR,1RL,1RR 車輪
2,2FL,2FR,2RL,2RR 電動モータ
3,3FL,3FR,3RL,3RR インバータ
4 電動モータ用バッテリ
5 モータコントローラ
5a 基準モータトルク演算部
5b トルク増加率抑制部
5c トルク指令値記憶部
6 アクセル手段
7,7FL,7FR,7RL,7RR 反射率分析部
8,8FL,8FR,8RL,8RR 反射率計測手段
9 路面

Claims (6)

  1. 電動モータにより車輪を駆動して走行する電気自動車において、
    前記車輪が通過する路面の状態を、車輪通過直前箇所において光学的に連続検出する光学的路面状態検出手段と、
    該手段による光学的検出結果を基に、路面区間距離に対する路面の光学的変化が設定値以上であるか否かを判定する光学的変化判定手段と、
    該手段により、路面の光学的変化が設定値以上であると判定された場合、少なくとも前記車輪が該当路面区間を通過している間、前記電動モータによる該車輪の駆動力の変化を抑制する車輪駆動力変化抑制手段とを具備してなることを特徴とする電気自動車の駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の電気自動車の駆動力制御装置において、
    前記車輪駆動力変化抑制手段は、前記車輪が前記該当路面区間の前後を含む路面を通過している間も車輪駆動力の変化を抑制するものであることを特徴とする電気自動車の駆動力制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の電気自動車の駆動力制御装置において、
    前記光学的路面状態検出手段は、路面の反射率を検出する手段であることを特徴とする電気自動車の駆動力制御装置。
  4. 請求項1または2に記載の電気自動車の駆動力制御装置において、
    前記光学的路面状態検出手段は、路面の色を検出する手段であることを特徴とする電気自動車の駆動力制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気自動車の駆動力制御装置において、
    前記光学的変化判定手段は、路面区間距離に対する路面の光学的変化が設定値以上であると判定するとき、該大きな光学的変化が路面摩擦係数の低下を示すものか否かをも判定するものであり、
    前記光学的変化判定手段が該路面摩擦係数の低下であると判定する場合、前記車輪駆動力変化抑制手段は前記車輪駆動力の増加方向における変化を抑制し、前記光学的変化判定手段が該路面摩擦係数の低下でないと判定する場合、前記車輪駆動力変化抑制手段は前記車輪駆動力の増加方向変化の抑制を解除するものであることを特徴とする電気自動車の駆動力制御装置。
  6. 前記車輪が駆動スリップ傾向になるとき車輪駆動力の低下により該駆動スリップ傾向を解消するトランクションコントロール装置を具えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気自動車の駆動力制御装置において、
    前記光学的変化判定手段は、路面区間距離に対する路面の光学的変化が設定値以上であると判定するとき、該大きな光学的変化が路面摩擦係数の低下を示すものか否かをも判定するものであり、
    前記光学的変化判定手段が該路面摩擦係数の低下であると判定する場合、前記車輪駆動力変化抑制手段は前記車輪駆動力の増加方向における変化を抑制するものであり、
    前記光学的変化判定手段が該路面摩擦係数の低下でないと判定する場合、前記トランクションコントロール装置による車輪駆動力低下制御を解除、または、制限するトランクションコントロール制限手段を設けたことを特徴とする電気自動車の駆動力制御装置。
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