JP2005323298A - 平衡型弾性表面波フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 平衡型の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの保証減衰量を改善する手段を得る。
【解決手段】 縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタであって、両外側のIDT電極の一方の側の櫛形電極を圧電基板上に形成したリード電極で接続すると共に入力端子に接続し、他方の櫛形電極を接地し、中央に配置した2つのIDT電極の一方を他方に対して位相関係が180度異なるように電極指を接続し、且つこれら2つのIDT電極を並列接続し、前記リード電極と反対側にある中央の2つのIDT電極の櫛形電極よりそれぞれ平衡出力を取り出して平衡型弾性表面波フィルタを構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は平衡型弾性表面波フィルタに関し、特に保証減衰量を改善した平衡型弾性表面波フィルタに関するものである。
近年、弾性表面波フィルタ(以下、SAWフィルタと称す)は通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を有することから特に携帯電話機等に多く用いられている。最近の携帯電話機ではデジタル回路とアナログ回路とを非常に小さな空間に収容するため、発生するノイズを低減すると共に他の回路からのノイズを極力避けるようにすることが重要である。このため、RF回路、IF回路の入出力回路を平衡型化してノイズを低減する手段が採用され、それに伴いRF及びIF回路等に用いられるデバイスにも平衡型化が要求されている。
図6はRF回路に用いられる2段縦続接続型の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタ(以下、二重モードSAWフィルタと称す)の構成を示す図で、アンテナに接続する側(IN)は不平衡回路、IC回路に接続する側(OUT1−OUT2)は平衡回路として構成した例である。圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極21、22、23を近接配置すると共に、該IDT電極21、22、23の両側にグレーティング反射器(以下、反射器と称す)24、25を配設して第1の二重モードSAWフィルタF1を形成する。ここで、IDT電極21、22、23はそれぞれ互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極から形成されている。さらに、同一圧電基板上に第1の二重モードSAWフィルタF1と同様に、IDT電極21’、22’、23’、反射器24’、25’からなる第2の二重モードSAWフィルタF2を形成し、第1及び第2の二重モードSAWフィルタF1、F2を縦続接続してSAWフィルタを構成する。
図6では入力側を不平衡入力とするためIDT電極22’の一方のくし形電極を入力端子IN(Port1)に、他方のくし形電極を接地する。そして、出力側を平衡出力とするためIDT電極22の一方のくし形電極を出力端子OUT1(Port2)に、他方のくし形電極を出力端子OUT2(Port3)に接続する。ここで、二重モードSAWフィルタを2段縦続接続してSAWフィルタを構成したのは減衰傾度、保証減衰量を増して要求される規格を満たすためである。
W−CDMA方式のRFフィルタを想定して、中心周波数を1GHz帯に設定し、圧電基板は38.7°Y−XLiTaO、中央のIDT電極の対数は20対、両側のIDT電極の対数は14.5対、交差幅45λ(λは波長)、反射器の本数はそれぞれ100本、電極膜厚は8%λとして、図6に示した不平衡−平衡型二重モードSAWフィルタの諸特性をシミュレーションにより求めた。図6のポート1を入力、ポート2、3をそれぞれ出力とした3ポートsパラメータを用い、ポート1からポート2への伝送量s21と、ポート1からポート3への伝送量s31とを求めた。
図7の(a)は通過域の近傍の減衰特性、(b)は広帯域の減衰特性を示す図である。また、図8(a)、(b)は伝送量s21とs31との振幅の差、即ち振幅平衡度(dB)を示す図で、(a)は通過域近傍の振幅平衡度、(b)は広帯域の振幅平衡度である。図8(c)、(d)は伝送量s21とs31との位相の差、即ち位相平衡度(deg)を示す図で、(a)は通過域近傍の位相平衡度、(b)は広帯域の位相平衡度である。
周知のように振幅平衡度が0(dB)に近いほどSAWフィルタのポート2−ポート3間の平衡度が良く、帯域外の位相平衡度(deg)が0(deg)に近接しているものが良い。
図6に示した平衡型SAWフィルタの減衰特性を改善するものとして、特開2002−330053、特開2003−209456等が開示されている。前者の特許は図9に示すように、図6の構成においてポート3(OUT2)の周囲を囲むように電極26を形成し、該電極26を接地する構成となっている。このような構成とすることにより、二重モードSAWフィルタF1とF2とを縦続接続するリード電極27、27’からの影響を減少させ、SAWフィルタの平衡度を改善することができる。
図10は図9の構成のSAWフィルタの減衰特性で、図10(a)は通過域の近傍の減衰特性、(b)は広帯域の減衰特性を示す図である。図7と比べて通過域近傍の減衰量、広帯域の減衰量とも改善されることが分かる。図11(a)、(b)は図9の構成のSAWフィルタの通過域近傍及び広帯域の振幅平衡度(dB)である。また、図11(c)、(d)は通過域近傍及び広帯域の位相平衡度(deg)である。図8と図11とを比較すると位相平衡度が大きく改善され、そのことが減衰特性の改善に大きく寄与していることがわかる。
さらに、平衡型SAWフィルタの減衰特性を改善するものとして、図12に示す構成のSAWフィルタが提案されている。この構成は図6の構成において、二重モードSAWフィルタF1の中央のIDT電極22を、その中央で二分割してIDT電極28a、28bを形成し、IDT電極28a、28bの位相関係が180度異なるように電極指を配置し、且つこれらのIDT電極28a、28bを直列接続して構成する。このような構成にすると平衡出力OUT1、OUT2ともIDT電極28a、28bの、圧電基板の中央に対して外寄りの櫛形電極から取り出すことができ、電極パターンも対称に構成することが可能となり、平衡型SAWフィルタの減衰特性が改善される。
特開2002−330053号公報 特開2003−209456号公報
しかしながら、図9の構成では平衡出力の保証減衰量が若干不足であり、図12の構成では平衡出力側の出力インピーダンスが、図6の構成の出力インピーダンスの4倍となり、次段のIC回路とのマッチングに適さないという問題があった。
本発明は、保証減衰量を改善するため、圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って4つのIDT電極を近接して配置すると共に、該4つのIDT電極の両側にグレーティング反射器を配設した縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタであって、両外側のIDT電極の一方の側の櫛形電極をそれぞれ接地すると共に、他方の側の櫛形電極同志を圧電基板1上に形成したリード電極にて接続し、これと入力端子と接続し、中央に配置した2つのIDT電極の一方を他方に対して位相関係が180度異なるように電極指を配置し、且つこれら2つのIDT電極を並列接続し、前記リード電極と反対側にある中央の2つのIDT電極の櫛形電極よりそれぞれ平衡出力を取り出して平衡型弾性表面波フィルタを構成することを特徴とする。
本発明の二重モードSAWフィルタは、中央のIDT電極を2つに分割し、互いの位相関係を180度異なるようにし、且つ2つのIDT電極を並列接続して構成するため、振幅平衡度及び位相平衡度を改善できるので、保証減衰量を大きく改善できるという利点がある。
図1は本発明に係る平衡型二重モードSAWフィルタの実施の形態の概略図を示す平面図であって、圧電基板1の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って4つのIDT電極2、3a、3b、4を近接して配置すると共に、該4つのIDT電極2、3a、3b、4の両側に反射器5a、5bを配設する。そして、IDT電極2、4の圧電基板1の中央に対して外寄りに位置する(図中上部)櫛形電極をそれぞれ接地すると共に、他方の櫛形電極同志を圧電基板1上に形成したリード電極にて接続し、入力端子IN(port1)と接続する。さらに、中央に配置した2つのIDT電極3a、3bの一方を他方に対して位相関係が180度異なるように電極指を配置し、且つIDT電極3a、3bを並列接続し、圧電基板1の中央に対して外寄りに位置するIDT電極3a、3bの櫛形電極(図中上部)をそれぞれ平衡出力OUT1(port2)、OUT2(port3)に接続して、平衡型二重モードSAWフィルタを構成する。
つまり、中央のIDT電極3aの電極指上にはある瞬間に図中左から+、−、+、−の電荷が生じ、図中上部の櫛形電極には「+」の電荷が、図中下部の櫛形電極には「−」の電荷が発生する。このとき、中央のIDT電極3bの電極指上には左から+、−、+、−の電荷が生じ、図中上部の櫛形電極には「−」の電荷が、図中下部の櫛形電極には「+」の電荷が発生する。そこで、IDT電極3aの上部の櫛形電極とIDT電極3bの下部の櫛形電極とを接続し、IDT電極3aの下部の櫛形電極とIDT電極3bの上部の櫛形電極とを接続して、IDT電極3a、3bを並列接続した平衡型出力を構成する。
IDT電極3a、3bを並列接続する手法としてはワイヤボンディングを用いても構成してもよいが、小型化、低コスト化を図るにはSAWフィルタを収容するパッケージの積層基板に予め接続用のリード電極パターンを形成しておけばよい。即ち、セラミックパッケージは複数のセラミック基板を積層して形成するので、一層のセラミック基板にはIDT電極3aの上部の櫛形電極とIDT電極3bの下部の櫛形電極とを接続するためのリード電極を形成し、他の一層にはIDT電極3aの下部の櫛形電極とIDT電極3bの上部の櫛形電極とを接続するためのリード電極を形成したセラミックパッケージ用い、SAWフィルタをこれにフリップチップ実装すれば、IDT電極3a、3bの並列接続が容易に構成できる。
本発明の特徴は二重モードSAWフィルタの中央の2つのIDT電極3a、3bの位相関係を180度異なるように電極指を配置し、且つこれらのIDT電極3a、3bを並列接続することにより、二重モードSAWフィルタの平衡側出力インピーダンスを、入力側のインピーダンスと同じとしたところにある。つまり、図12のIDT電極28a、28bを直列接続して構成した場合は前述したように入力インピーダンスは4倍程度異なるのに対し、本発明では入出力インピーダンスを同一にすることができるのである。そして、平衡出力OUT1、OUT2を圧電基板1の外寄りから取り出すことが出来るので、接続用のリード電極(ホットライン)より離して配設できるし、電極パターンも対称構成とすることが可能であるので、振幅平衡度(dB)、位相平衡度(deg)を改善することがで、減衰特性を改善することができた。
図2は第2の実施の形態の構成を示す平面図であって、圧電基板上1に図1で示した平衡型二重モードSAWフィルタF1を形成すると共に、該平衡型二重モードSAWフィルタF1と併置して、同一基板1上に3つのIDT電極6、7、8とその両側にグレーティング反射器9a、9bを配置して構成する二重モードSAWフィルタF2を形成し、二重モードSAWフィルタF1、F2を縦続接続してSAWフィルタを構成する。IDT電極7の圧電基板1の外寄りの櫛形電極(図中下部)を入力端子INに接続すると共に、他方の櫛形電極を接地し、IDT電極6、8とIDT電極2、3との圧電基板1の中央寄りの櫛形電極同志を、圧電基板1上に形成したリード電極にて導通し、入力不平衡−出力平衡型のSAWフィルタを構成する。
図3は、図7の場合と同じパラメータを用いてシミュレーションにより求めた減衰特性で、同図(a)は通過域近傍の減衰特性、同図(b)は広帯域の減衰特性である。ただし、図2の中央のIDT電極3a、3bはそれぞれ10対で、合計20対である。図3の実線が本発明になるSAWフィルタの減衰特性、破線は比較のために重ね書きした図10で示した減衰特性である。この図から明らかなように、本発明のSAWフィルタは従来のSAWフィルタの減衰特性を大きく改善されていることが分かる。
図4は振幅平行度(dB)特性で、同図(a)は通過域近傍の振幅平衡度、同図(b)は広帯域の振幅平衡度を示す図である。この図も図11(a)、(b)と比較すると広範囲の周波数で0(dB)に近接し、振幅平衡度が大きく改善されていることが分かる。
図5は位相平衡度(deg)特性で、同図(a)は通過域近傍の位相平衡度、同図(b)は広帯域の振幅平衡度を示す図である。この図も図11(c)、(d)と比較すると帯域外の周波数で0(deg)に近接し、位相平衡度が大きく改善されていることが分かる。
以上では縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタについて説明したが、1次−5次二重モードSAWフィルタ、1次−3次−5次多重モードSAWフィルタ等に適用してもよく、その場合には中央に配置するIDT電極をニ分割し、一方のIDT電極を他方に対して位相関係が180度異なるように電極指を配置し、これらを並列接続すれば良い。
また、平衡側出力OUT1−OUT2のインピーダンスを入力側のインピーダンスより大きくする場合には、IDT電極3a、3bの一部を間引きすればよい。
本発明に係る平衡型縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの構造を示した概略平面図である。 本発明に係る平衡型縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタと縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタとを縦続接続して構成したフィルタである。 減衰特性を示す図で、(a)は通過域近傍の減衰特性、(b)は広帯域の減衰特性を示す図である。 振幅平衡度を示す図で、(a)は通過域近傍の振幅平衡度、(b)は広帯域の振幅平衡度を示す図である。 位相平衡度を示す図で、(a)は通過域近傍の位相平衡度、(b)は広帯域の位相平衡度を示す図である。 従来の平衡型縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの構造を示した概略平面図である。 減衰特性を示す図で、(a)は通過域近傍の減衰特性、(b)は広帯域の減衰特性を示す図である。 (a)は通過域近傍の振幅平衡度、(b)は広帯域の振幅平衡度、(c)は通過域近傍の位相平衡度、(d)は広帯域の位相平衡度を示す図である。 従来の平衡型縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの構造を示した概略平面図である。 減衰特性を示す図で、(a)は通過域近傍の減衰特性、(b)は広帯域の減衰特性を示す図である。 (a)は通過域近傍の振幅平衡度、(b)は広帯域の振幅平衡度、(c)は通過域近傍の位相平衡度、(d)は広帯域の位相平衡度を示す図である。 従来の平衡型縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの構造を示した概略平面図である。
符号の説明
1 圧電基板
2、3a、3b、4、6、7、8 IDT電極
5a、5b、9a、9b グレーティング反射器
F1、F2 二重モードSAWフィルタ





Claims (3)

  1. 圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って4つのIDT電極を近接して配置すると共に、該4つのIDT電極の両側にグレーティング反射器を配設した縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタであって、
    両外側のIDT電極の一方の側の櫛形電極をそれぞれ接地すると共に、他方の側の櫛形電極同志を圧電基板1上に形成したリード電極にて接続し、これを入力端子とし、
    中央に配置した2つのIDT電極の一方は他方に対して位相関係が180度異なるように電極指を配置したものであり、且つこれら2つのIDT電極を並列接続し、前記リード電極と反対側にある中央の2つのIDT電極の櫛形電極よりそれぞれ平衡出力を取り出したことを特徴とする平衡型弾性表面波フィルタ。
  2. 圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って4つのIDT電極を近接して配置すると共に、該4つのIDT電極の両側にグレーティング反射器を配設した第1の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタと、
    前記第1の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタと併置して3つのIDT電極を近接して配置すると共に、これらのIDT電極の両側にグレーティング反射器を配設した第2の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタとを縦続接続し、
    第1及び第2の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの両外側のIDT電極の圧電基板の中央に対して外寄りにある櫛形電極をそれぞれ接地し、第2の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの中央のIDT電極の一方の櫛型電極を入力端子、他方を接地し、
    第1の縦結合1次−3次二重モードSAWフィルタの中央に配置した2つのIDT電極の一方は他方に対して位相関係が180度異なるように電極指を配置したものであり、且つこれら2つのIDT電極を並列接続し、圧電基板に対して外寄りにある中央の2つのIDT電極の櫛形電極よりそれぞれ平衡出力を取り出したことを特徴とする平衡型弾性表面波フィルタ。
  3. リード電極パターンを積層セラミック基板を用いて配線し、SAWフィルタをフリップチップ実装することにより並列接続構成を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の平衡型弾性表面波フィルタ。



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