以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1(a)は本第1実施形態に係るPDPの前面基板の1つの表示セルを示す斜視図、図1(b)は図1(a)に示すA−A’線による断面図、図1(c)は背面基板の1つの表示セルを示す斜視図である。PDPにおいては、前面基板と背面基板とが相互に平行に設けられている。図1(a)及び(b)に示すように、本第1実施形態におけるPDPの前面基板においては、ガラス基板101が設けられており、その表面には複数の凹み部301がマトリクス状に形成されている。ガラス基板の表面に垂直な方向から見て、凹み部301の形状は矩形である。凹み部301の深さは、後述のバス電極とブラックストライプの重なり部に相当する前面基板表面の盛り上がり部の盛り上がり量の実測値をフィードバックして、この盛り上がり量が最小となる値に設定されることが望ましい。但し、初期段階では、例えば、後述のバス電極の膜厚に相当する5乃至10μmとする。この凹み部301の深さの決定方法は、以下の各実施形態においても同様とする。後述のバス電極とブラックストライプの重なり部に相当する盛り上がり部の盛り上がり量の実測値をフィードバックして、を解消する例えば、後述のバス電極の膜厚に相当する5乃至10μmである。このガラス基板101の表面に互いに平行な線形状の複数本の維持電極107が形成されている。それらの維持電極107はパネルの水平方向(横方向)に延びており、夫々の維持電極107はガラス基板上に列方向に配置された複数個の凹み部301を覆うように設けられている。維持電極107は、例えばITOで形成されている。また、夫々の維持電極107に重なるように、維持電極107の導電性を補うバス電極108が設けられている。夫々のバス電極108はガラス基板上に列方向に配置された複数個の凹み部301上を通るよう覆うようパネルの水平方向(横方向)に延びている。バス電極108の膜厚は、例えば5乃至10μmである。これらの維持電極107、バス電極108及びガラス基板101を覆うように、誘電体層109が設けられている。誘電体層109表面には、ガラス基板101上に設けられた凹み部301の形状を反映して、その表面に凹み部が形成されている。
誘電体層109表面には、互いに平行な複数本のブラックストライプ110が設けられている。このブラックストライプ110の膜厚は、例えば、5乃至10μmである。ブラックストライプ110はバス電極108が延びる方向と直交する方向に延びている。図1(b)に示すように、ブラックストライプ110は、バス電極108との重なり部分において、誘電体層109の凹み部に埋め込まれるように設けられている。更に、誘電体層109及びブラックストライプ110を覆うように、誘電体層111が設けられており、その誘電体層111を放電から保護する保護層112が設けられている。この保護層112表面には、その下層にあるバス電極108、ブラックストライプ110及びこれらの重なり部分を反映して、夫々盛り上がり部300a、300b及び300が形成されている。
また、図1(c)に示すように、本第1実施形態におけるPDPの背面基板においては、ガラス基板102が設けられており、その表面に互いに平行な線形状の複数本のアドレス電極103が設けられている。これらのアドレス電極103は、前面基板における維持電極107及びバス電極108が延びる方向と直交する方向に設けられている。これらのアドレス電極及びガラス基板102を覆うように誘電体層104が設けられている。この誘電体層104の表面に隔壁105が井桁状(格子状)に設けられている。この隔壁105は、放電空間(表示セル)を区画する。これらの誘電体層104の表面及び隔壁105の側面には、放電により発生する紫外線により発光する蛍光体106が設けられている。そして、前面基板及び背面基板の空間に隔壁105により確保された放電空間(表示セル)には、例えばヘリウム、ネオン若しくはキセノン等又はこれらの混合ガスからなる放電ガスが充填されている。
次に、上述の如く構成された本第1実施形態に係るPDPの効果について説明する。図18に示す従来のPDP前面基板においては、盛り上がり部200は、盛り上がり部200a及び200bと比較して、バス電極108又はブラックストライプ110の膜厚に相当する分だけ盛り上がっている。本第1実施形態に係るPDP前面基板においては、図1(a)及び(b)に示すように、バス電極108及びブラックストライプ110の重なり部300の下のガラス基板101に、バス電極108又はブラックストライプ110の膜厚と等しい深さの凹み部301を設けている。これにより、盛り上がり部300は、盛り上がり部300a及び300bと同じ高さとなる。即ち、前面基板には、各部の高さが均一な格子状の盛り上がり部が形成される。一方、背面基板には、各部の高さが均一な格子状の隔壁105が形成されている。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成するときに、前面基板の持ち上がり部と背面基板の隔壁105が当接し、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
なお、本第1実施形態においては、バス電極108及びブラックストライプ110の膜厚を5乃至10μmとする例を示したが、本発明はこれに限定されず、PDPの電気的な設計に基づいた任意の値とすることができる。また、凹み部301の深さは、盛り上がり部300a及び300bに対する盛り上がり部300の高さの実測値をフィードバックして、盛り上がり部300a及び300bに対する盛り上がり部300の高さが最小となる値に設定することが望ましい。更に、凹み部301の底部に対して開口部が広くなるように側面に傾斜をもうけることにより、凹み部301上に形成されるバス電極108の断線の発生を防止することもできる。
次に、本発明の第2の実施形態として、第1実施形態に係るPDPの製造方法について説明する。図2(a)乃至(f)は、本発明の第1実施形態に係るPDPの前面基板の製造方法をその工程順に示した斜視図である。図2(a)に示すように、ガラス基板101に凹み部301を形成する。凹み部301の形成工程は、先ず、ガラス基板101にラミネーターを使用してドライフィルムレジスト(図示せず、以下、DFRという)を貼り付ける。DFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングし、フッ化水素酸を使用したエッチングによって凹み部301を形成した後、DFRを剥離する。凹み部301の深さは、例えば、5乃至10μmとする。
次に、図2(b)に示すように、凹み部301を表面に設けたガラス基板101上に複数本の維持電極107を形成する。維持電極107の形成工程においては、例えばスパッタ法を使用してITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、図2(c)に示すように、夫々の維持電極107に重なるように、維持電極107よりも幅が小さいバス電極108を形成する。バス電極の膜厚は、例えば5乃至10μmである。バス電極108の形成工程においては、先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板101及び維持電極107を覆うようにベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を使用して所望のパターンに露光し、現像し、焼成する。この時、ガラス基板101表面の凹み部301の形状を反映してバス電極108は部分的に凹んだ形状となる。次に、図2(d)に示すように、ガラス基板101、維持電極107及びバス電極108を覆うように誘電体層109を形成する。誘電体層109の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成する。誘電体層109の焼成後の表面は、下地の形状を反映して、バス電極108に相当する場所が盛り上がっている。但し、ガラス基板101表面に設けている凹み部301に相当する場所においては、凹み部301の深さがバス電極108の膜厚と同等であるため、盛り上がりがない。
次に、図2(e)に示すように、誘電体層109上に複数本のブラックストライプ110を形成する。これらのブラックストライプ110の膜厚は、例えば5乃至10μmとし、下層のバス電極108が延びる方向と直交する方向に形成する。また、ブラックストライプ110は凹み部301に相当する場所で下地のバス電極108と重なるように形成する。ブラックストライプ110の形成工程においては、先ず、黒色顔料を含む感光性有機材料等のブラックストライプ材料を誘電体層109表面にベタ状に印刷し、乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、次に焼成する。次に、図2(f)に示すように、誘電体層109及びブラックストライプ110を覆うように誘電体層111を形成する。誘電体層111の形成工程は、図2(d)に示した誘電体層109の形成工程と同様とする。次に、誘電体層111上に蒸着法により酸化マグネシウム等からなる保護層112を形成する。
次に背面基板の製造方法を説明する。本第1実施形態に係るPDPの背面基板の製造方法は、従来のPDPの背面基板の製造方法と同様である。即ち、図1(c)に示すように、ガラス基板102上にアドレス電極103を形成する。先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板102表面にベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を使用して所望のパターンに露光し、現像し、焼成する。次に、ガラス基板102及びアドレス電極103を覆うように誘電体層104を形成する。誘電体層104の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成を行う。次に、誘電体層104上に、例えばサンドブラスト法を使用して隔壁105を形成する。隔壁105の形成工程においては、先ず、ガラスペーストを誘電体層104上にベタ状に印刷して乾燥させる。次に、ラミネーターを使用してDFRをガラスペースト上に貼り付け、このDFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、サンドブラストによってガラスペーストの不要部を除去し、DFRを剥離した後、焼成する。次に、誘電体層104の表面及び隔壁105の側面を覆うように蛍光体層106を形成する。
このようにして作製された前面基板及び背面基板を重ね合わせ、前面基板上に形成された保護層112に、背面基板上に形成された隔壁105を当接させる。このとき、アドレス電極103が延びる方向が、維持電極107及びバス電極108の延びる方向に対して直交するようにする。次に、前面基板と背面基板とを重ね合わせた状態で熱処理を施し、前面基板と背面基板の端部同士をフリットにより融着する。これにより、前面基板、背面基板及びフリットにより囲まれた空間を気密的に封止する。その後、この空間内を排気し、例えばヘリウム、ネオン若しくはキセノン等又はこれらの混合ガスからなる放電ガスを充填する。このように、PDPを作製する。
次に、上述の如く構成された本第2実施形態に係るPDPの製造方法の効果について説明する。図2(a)乃至(f)に示すように、前面基板の製造工程において、ガラス基板101上に凹み部301を形成する工程を設けることで、バス電極108とブラックストライプ110との重なり部分に対応する盛り上がり部300を、バス電極108及びブラックストライプ110に夫々対応する盛り上がり部300a及び300bと同じ高さにすることができる。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
なお、本第2実施形態に係るPDPの製造方法においては、ガラス基板101上に凹み部301を設ける工程においてエッチングによる方法を使用したが、サンドブラスト法を使用してもよい。
次に、第2実施形態に係る変形例について説明する。図3は、図2(c)に示すB−B’線による断面図である。前述の第2実施形態においては、フッ化水素酸を使用したエッチングによりガラス基板101上に凹み部301を形成する。これに対して、本第2実施形態の変形例においては、ガラス基板101の凹み部301に対応する場所に凸部が設けられている雄の金型をガラス基板101に対向させ、800乃至900℃に加熱しながらこの金型をガラス基板101に押し当てる。冷却後に、金型を除去することによりガラス基板101上に金型の凸部に対応した凹み部301を形成する。このとき、図3に示すように、凹み部301の形状を、底部に対して開口部が広くなるよう側面が傾斜した形状とする。次に、ガラス基板101表面に維持電極107を形成する。第2実施形態に係る変形例におけるこれ以降の工程は第2実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第2実施形態の変形例に係るPDPの製造方法の効果について説明する。ガラス基板101表面に金型の形状を転写する方法を使用して、凹み部301の形状を、底部に対して開口部が広くなるよう側面が傾斜した形状とすることができる。従って、凹み部301とその他のガラス基板101表面との段差におけるバス電極108へのストレス集中を防止することができ、断線による障害発生を低減することができる。本第2実施形態の変形例における上記以外の効果は、前述の第2実施形態と同様である。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図4は本第3実施形態に係るPDPの前面基板の1つの表示セルを示す斜視図である。PDPにおいては、前面基板と背面基板とが相互に平行に設けられている。図3に示すように、本第3実施形態におけるPDPの前面基板においては、ガラス基板101が設けられており、その表面に互いに平行な線形状の複数本の維持電極107が形成されている。それらの維持電極107はパネルの水平方向(横方向)に延びている。維持電極107は、例えばITOで形成されている。また、夫々の維持電極107に重なるように、維持電極107の導電性を補うバス電極108が設けられている。バス電極108の膜厚は、例えば5乃至10μmである。これらの維持電極107、バス電極108及びガラス基板101を覆うように、誘電体層109が設けられている。誘電体層109表面には、互いに平行な複数本のブラックストライプ110が設けられている。このブラックストライプ110の膜厚は、例えば、5乃至10μmである。ブラックストライプ110はバス電極108の延びる方向と直交する方向に延びている。これらのブラックストライプ113は、バス電極108との重なり部分において、寸断されるように設けられている。即ち、ブラックストライプ113は、バス電極108との重なり部分には設けられていない。更に、誘電体層109及びブラックストライプ110を覆うように、誘電体層111が設けられており、その誘電体層111を放電から保護する保護層112が設けられている。この保護層112表面には、その下層にあるバス電極108及びブラックストライプ110の形状を反映して、夫々盛り上がり部300a及び300bが形成されている。
本第3実施形態における上記以外の背面基板及びPDPの構成は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第3実施形態に係るPDPの効果について説明する。図18に示す従来のPDP前面基板においては、盛り上がり部200は、盛り上がり部200a及び200bと比較して、バス電極108又はブラックストライプ110の膜厚に相当する分だけ盛り上がっていた。本第3実施形態に係るPDP前面基板においては、図4(a)及び(b)に示すように、誘電体層109表面において、ブラックストライプ110はバス電極108の所で寸断されており、従来の盛り上がり部200に相当する盛り上がり部は形成されない。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
なお、本第3実施形態においては、バス電極108及びブラックストライプ110の膜厚を5乃至10μmとする例を示したが、本発明はこれに限定されず、PDPの電気的な設計に基づいた任意の値とすることができる。
次に、本発明の第4の実施形態として、第3実施形態に係るPDPの製造方法について説明する。図5(a)乃至(d)は、本発明の第4実施形態に係るPDPの前面基板の製造方法をその工程順に示した斜視図である。図5(a)に示すように、ガラス基板101上に複数本の維持電極107を形成する。維持電極107の形成工程においては、例えばスパッタ法を使用してITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、夫々の維持電極107に重なるように、維持電極107よりも幅の小さいバス電極108を形成する。バス電極の膜厚は、例えば5乃至10μmである。バス電極108の形成工程においては、先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板101及び維持電極107を覆うようにベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を使用して所望のパターンに露光し、現像し、焼成を行う。次に、図5(b)に示すように、ガラス基板101、維持電極107及びバス電極108を覆うように誘電体層109を形成する。誘電体層109の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成する。誘電体層109の焼成後の表面は、下地の形状を反映して、バス電極108に相当する場所が盛り上がっている。次に、図5(c)に示すように、誘電体層109上に複数本のブラックストライプ110を形成する。これらのブラックストライプ110の膜厚は、例えば5乃至10μmとし、下層のバス電極108が延びる方向と直交する方向に形成する。また、ブラックストライプ110は下地のバス電極108上に対応する場所には形成しない。ブラックストライプ110の形成工程においては、先ず、黒色顔料を含む感光性有機材料等のブラックストライプ材料を誘電体層109表面にベタ状に印刷し、乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成する。次に、図2(d)に示すように、誘電体層109及びブラックストライプ110を覆うように誘電体層111を形成する。誘電体層111の形成工程は、図2(b)に示した誘電体層109の形成工程と同様とする。最後に、誘電体層111上に蒸着法により酸化マグネシウム等からなる保護層112を形成する。
本第4実施形態における上記以外の背面基板の製造方法及びPDPの製造方法は、前述の第2実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第4実施形態に係るPDPの製造方法の効果について説明する。図5(a)乃至(d)に示すように、前面基板の製造工程において、バス電極108と重なる部分にブラックストライプ110を設けないことにより、バス電極108とブラックストライプ110との重なり部分に対応する盛り上がり部を無くすことができる。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図6は本第5実施形態に係るPDPの前面基板の1つの表示セルを示す斜視図である。PDPにおいては、前面基板と背面基板とが相互に平行に設けられている。図6に示すように、本第5実施形態におけるPDPの前面基板においては、ガラス基板101が設けられており、その表面には互いに平行な複数本の溝302が設けられている。溝302の深さは、例えば、後述のバス電極の膜厚に相当する5乃至10μmである。また、溝の幅は、バス電極の幅と同一とする。これらの溝302はパネルの水平方向(横方向)に延びている。これらの溝302を埋めるようにバス電極108が設けられている。これらのバス電極108及びガラス基板101表面の一部を覆うように、互いに平行な線形状の複数本の維持電極107が形成されている。それらの維持電極107はパネルの水平方向(横方向)に延びている。維持電極107は、例えばITOで形成されている。これらの維持電極107及びガラス基板101を覆うように、誘電体層109が設けられている。誘電体層109表面には、ブラックマトリクス114が井桁状(格子状)に設けられており、格子の一方向がバス電極108と平行方向に延びている。このブラックマトリクス114の膜厚は、例えば、5乃至10μmである。更に、誘電体層109及びブラックマトリクス114を覆うように、誘電体層111が設けられており、その誘電体層111を放電から保護する保護層112が設けられている。この保護層112表面には、その下層にあるブラックマトリクス114の形状を反映して盛り上がり部300bが形成されている。
本第5実施形態における上記以外の背面基板及びPDPの構成は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第5実施形態に係るPDPの効果について説明する。図18に示す従来のPDP前面基板においては、盛り上がり部200は、盛り上がり部200a及び200bと比較して、バス電極108又はブラックストライプ110の膜厚に相当する分だけ盛り上がっている。本第5実施形態に係るPDP前面基板においては、図6に示すように、ガラス基板101表面に溝302が設けられ、この溝302に埋没してバス電極が設けられることにより、従来の盛り上がり部200に相当する盛り上がり部は形成されない。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
なお、本第5実施形態においては、バス電極108及びブラックマトリクス114の膜厚を5乃至10μmとする例を示したが、本発明はこれに限定されず、PDPの電気的な設計に基づいた任意の値とすることができる。
次に、本発明の第6の実施形態として、第5実施形態に係るPDPの製造方法について説明する。図7(a)乃至(f)は、本発明の第6実施形態に係るPDPの前面基板の製造方法をその工程順に示した斜視図である。図7(a)に示すように、ガラス基板101に溝302を形成する。溝302の形成工程は、先ず、ガラス基板101にラミネーターを使用してDFRを貼り付ける。DFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングし、フッ化水素酸を使用したエッチングによって溝302を形成した後、DFRを剥離する。溝302の深さは、例えば、5乃至10μmとする。次に、図7(b)に示すように、溝302を埋めるようにバス電極108を形成する。溝302の深さが5乃至10μmであるため、バス電極の膜厚も5乃至10μmとなる。バス電極108の形成工程においては、先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板101及び維持電極107を覆うようにベタ状に塗布し、スキージにより不要部分の電極材料を除去し、焼成する。次に、図7(c)に示すように、バス電極108及びガラス基板101の一部を覆うように複数本の維持電極107を形成する。維持電極107の形成工程においては、例えばスパッタ法によりITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、図7(d)に示すように、ガラス基板101及び維持電極107を覆うように誘電体層109を形成する。誘電体層109の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成する。次に、図2(e)に示すように、誘電体層109上にブラックマトリクス114を井桁状(格子状)に形成する。このブラックマトリクス114の膜厚は、例えば5乃至10μmとし、下層のバス電極108と格子の一方向が平行となる方向に形成する。ブラックマトリクス114の形成工程においては、先ず、黒色顔料を含む感光性有機材料等のブラックマトリクス材料を誘電体層109表面にベタ状に印刷し、乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成する。次に、図7(f)に示すように、誘電体層109及びブラックマトリクス114を覆うように誘電体層111を形成する。誘電体層111の形成工程は、図7(d)に示した誘電体層109の形成工程と同様とする。次に、誘電体層111上に蒸着法により酸化マグネシウム等からなる保護層112を形成する。
本第6実施形態における上記以外の背面基板の製造方法及びPDPの製造方法は、前述の第2実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第6実施形態に係るPDPの製造方法の効果について説明する。図7(a)乃至(f)に示すように、前面基板の製造工程において、ガラス基板113上に溝302を形成する工程を設けることで、バス電極108をガラス基板101に埋没して設けることができ、バス電極108とブラックストライプとの重なり部分に対応する盛り上がり部を無くすことができる。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。なお、本第6実施形態に係るPDPの製造方法においては、ガラス基板101上に溝302を設ける工程においてエッチングによる方法を使用したが、サンドブラスト法を使用してもよい。
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図8は本第5実施形態に係るPDPを示す斜視図である。PDPにおいては、前面基板と背面基板とが相互に平行に設けられている。図6に示すように、本第7実施形態におけるPDPの前面基板においては、ガラス基板101が設けられており、その表面には互いに平行な複数本の溝302及び303が設けられている。溝302及び303の深さは、例えば5乃至10μmである。これらの溝302及び303はパネルの水平方向(横方向)に延びている。溝302を埋めるようにバス電極108が設けられている。バス電極108は、例えば銅、アルミニウム等の金属で形成されている。また、溝303を埋めるようにブラックストライプ110が設けられている。バス電極108及びガラス基板101表面の一部を覆うように、維持電極107が設けられている。維持電極107はパネルの水平方向(横方向)に延びている。維持電極107は、例えばITOで形成されている。これらのブラックストライプ110、維持電極107及びガラス基板101を覆うように、誘電体層109が設けられており、その誘電体層109を放電から保護する保護層112が設けられている。
本第7実施形態における上記以外の背面基板及びPDPの構成は、前述の第1実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第7実施形態に係るPDPの効果について説明する。本第7実施形態に係るPDP前面基板においては、図8に示すように、ガラス基板101表面に溝302及び303が設けられ、溝302に埋没してバス電極が設けられ、溝303に埋没してブラックストライプ110が設けられていることにより、保護層112の表面は平坦になる。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
なお、本第7実施形態においては、バス電極108及びブラックストライプ110の膜厚を5乃至10μmとする例を示したが、本発明はこれに限定されず、PDPの電気的な設計に基づいた任意の値とすることができる。
次に、本発明の第8の実施形態として、第7実施形態に係るPDPの製造方法について説明する。図9(a)乃至(e)は、本発明の第6実施形態に係るPDPの前面基板の製造方法をその工程順に示した斜視図である。図9(a)に示すように、ガラス基板101に溝302及び303を互いに平行に形成する。溝302及び303の形成工程は、先ず、ガラス基板101にラミネーターを使用してDFRを貼り付ける。DFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングし、フッ化水素酸を使用したエッチングによって溝302及び303を形成した後、DFRを剥離する。溝302及び303の深さは、例えば、5乃至10μmとする。次に、図9(b)に示すように、溝302を埋めるようにバス電極108を形成する。溝302の深さが5乃至10μmであるため、バス電極の膜厚も5乃至10μmとなる。バス電極108の形成工程においては、先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板101及び維持電極107を覆うようにベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を使用して所望のパターンに露光し、現像し、焼成する。次に、図9(c)に示すように、溝303を埋めるようにブラックストライプ110を形成する。ブラックストライプ110の形成工程においては、先ず、黒色顔料を含む感光性有機材料等のブラックストライプ材料をガラス基板101表面にベタ状に印刷し、乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成する。次に、図9(d)に示すように、バス電極108及びガラス基板101の一部を覆うように維持電極107を形成する。維持電極107の形成工程においては、例えばスパッタ法によりITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、図9(e)に示すように、ガラス基板101、維持電極107及びブラックストライプ110を覆うように誘電体層109を形成する。誘電体層109の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成する。次に、誘電体層109上に蒸着法により酸化マグネシウム等からなる保護層112を形成する。
本第8実施形態における上記以外の背面基板の製造方法及びPDPの製造方法は、前述の第2実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第8実施形態に係るPDPの製造方法の効果について説明する。図9(a)乃至(e)に示すように、前面基板の製造工程において、ガラス基板113上に溝302及び303を形成して、バス電極108及びブラックストライプ110をガラス基板101に埋没して設けることができ、保護層112表面を平坦にすることができる。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
なお、本第8実施形態に係るPDPの製造方法においては、ガラス基板101上に溝302を設ける工程においてエッチングによる方法を使用したが、サンドブラスト法を使用してもよい。
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。図10は本第9実施形態に係るPDPを示す斜視図である。PDPにおいては、前面基板と背面基板とが相互に平行に設けられている。図10に示すように、本第9実施形態におけるPDPの前面基板においては、ガラス基板101が設けられており、その表面に互いに平行な線形状の複数本の維持電極107が形成されている。それらの維持電極107はパネルの水平方向(横方向)に延びている。維持電極107は、例えばITOで形成されている。また、夫々の維持電極107に重なるように、維持電極107の導電性を補うバス電極108が設けられている。バス電極108の膜厚は、例えば5乃至10μmである。これらの維持電極107、バス電極108及びガラス基板101を覆うように、誘電体層109が設けられている。誘電体層109表面には、互いに平行な複数本のブラックストライプ110が設けられている。このブラックストライプ110の膜厚は、例えば、5乃至10μmである。ブラックストライプ110はバス電極108の延びる方向と直交する方向に延びている。更に、誘電体層109及びブラックストライプ110を覆うように、誘電体層111が設けられており、その誘電体層111を放電から保護する保護層112が設けられている。この保護層112表面には、その下層にあるバス電極108、ブラックストライプ110及びこれらの重なり部分を反映して、夫々盛り上がり部が形成されている。
また、本第9実施形態に係るPDPの背面基板においては、ガラス基板102が設けられており、その表面には複数個の凹み部304が設けられている。凹み部の深さは、例えば、後述の前面基板におけるバス電極の膜厚に相当する5乃至10μmである。これらの凹み部304は、前面基板における保護層112表面における、その下層にあるバス電極108とブラックストライプ110の重なり部分を反映した盛り上がり部に対応する位置にマトリクス状に設けられている。ガラス基板102の表面に互いに平行な線形状の複数本のアドレス電極103が設けられている。これらのアドレス電極103が設けられている場所には、凹み部304は設けられていない。また、アドレス電極103は、前面基板における維持電極107及びバス電極108の延びる方向と直交する方向に延びている。これらのアドレス電極及びガラス基板102を覆うように誘電体層104が設けられている。この誘電体層104表面には、下地のガラス基板102に設けられている凹み部304の形状を反映して、凹み部が設けられている。更に、この誘電体層104の表面に隔壁105が井桁状(格子状)に設けられている。この隔壁105の頂部においては、下地のガラス基板102に設けられている凹み部304の形状を反映して、凹み部が設けられている。この隔壁105は、放電空間(表示セル)をアドレス電極103毎に区画する。これらの誘電体層104表面及び隔壁105側面には、放電により発生する紫外線により発光する蛍光体106が設けられている。そして、前面基板及び背面基板の空間に隔壁105により確保された放電空間(表示セル)には、例えばヘリウム、ネオン若しくはキセノン等又はこれらの混合ガスからなる放電ガスが充填されている。
次に、上述の如く構成された本第9実施形態に係るPDPの効果について説明する。本第9実施形態に係るPDPの前面基板においては、保護層112表面が、下層にあるバス電極108とブラックストライプ110の重なり部分を反映して、バス電極108又はブラックストライプ110の膜厚5乃至10μmに相当する分だけ盛り上がっている。また、背面基板においては、ガラス基板102表面に凹み部304を設けていることにより、隔壁105頂部に凹み部304の形状を反映させた凹み部が設けられている。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、前面基板の盛り上がり部200は背面基板における隔壁105に設けられている凹み部に吸収されて、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。なお、本第9実施形態においては、バス電極108及びブラックストライプ110の膜厚を5乃至10μmとする例を示したが、本発明はこれに限定されず、PDPの電気的な設計に基づいた任意の値とすることができる。このとき、背面基板におけるガラス基板102に設けられている凹み部304の深さは、バス電極108又はブラックストライプ110の膜厚に合わせた値とする。
次に、本発明の第10の実施形態として、第9実施形態に係るPDPの製造方法について説明する。図11(a)乃至(e)は、本発明の第10実施形態に係るPDPの背面基板の製造方法をその工程順に示した斜視図である。図11(a)に示すように、ガラス基板102に凹み部304を形成する。凹み部304の形成工程は、先ず、ガラス基板102にラミネーターを使用してDFRを貼り付ける。DFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングし、フッ化水素酸を使用したエッチングによって凹み部304を形成した後、DFRを剥離する。凹み部304の深さは、例えば、5乃至10μmとする。次に、図11(b)に示すように、ガラス基板102上にアドレス電極103を形成する。先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板102表面にベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を使用して所望のパターンに露光し、現像し、焼成する。次に、図11(c)に示すように、ガラス基板102及びアドレス電極103を覆うように誘電体層104を形成する。誘電体層104の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成する。この時、ガラス基板102表面の凹み部304の形状を反映して誘電体層104は部分的に凹んだ形状となる。次に、図11(d)に示すように、誘電体層104上に、例えばサンドブラスト法を使用して隔壁105を形成する。隔壁105の形成工程においては、先ず、ガラスペーストを誘電体層104上にベタ状に印刷して乾燥させる。次に、ラミネーターを使用してDFRをガラスペースト上に貼り付け、このDFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、サンドブラストによってガラスペーストの不要部を除去し、DFRを剥離した後、焼成する。このとき、図11(d)に示すように、隔壁105頂部においては、ガラス基板102の凹み部304に対応する部分が凹んだ形状となる。次に、誘電体層104の表面及び隔壁105の側面を覆うように蛍光体層106を形成する。
次に、前面基板の製造方法について説明する。本第10実施形態に係るPDPの前面基板の製造方法は、従来のPDPの前面基板の製造方法と同様である。即ち、図10に示すように、先ず、ガラス基板101上に複数本の維持電極107を形成する。維持電極107の形成工程においては、例えばスパッタ法によりITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、夫々の維持電極107に重なるように、維持電極107よりも幅の小さいバス電極108を形成する。バス電極の膜厚は、例えば5乃至10μmである。バス電極108の形成工程においては、先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板101及び維持電極107を覆うようにベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法により所望のパターンに露光し、現像し、焼成する。次に、ガラス基板101、維持電極107及びバス電極108を覆うように誘電体層109を形成する。誘電体層109の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成する。次に、誘電体層109上に複数本のブラックストライプ110を形成する。これらのブラックストライプ110の膜厚は、例えば5乃至10μmとし、下層のバス電極108の延びる方向と直交する方向に形成する。ブラックストライプ110の形成工程においては、先ず、黒色顔料を含む感光性有機材料等のブラックストライプ材料を誘電体層109表面にベタ状に印刷し、乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成する。次に、誘電体層109及びブラックストライプ110を覆うように誘電体層111を形成する。誘電体層111の形成工程は、前述の誘電体層109の形成工程と同様とする。最後に、誘電体層111上に蒸着法により酸化マグネシウム等からなる保護層112を形成する。
このようにして作製された前面基板及び背面基板を重ね合わせ、前面基板上に形成された保護層112に、背面基板上に形成された隔壁105を当接させる。このとき、アドレス電極103が延びる方向が、維持電極107及びバス電極108の延びる方向に対して直交するようにする。次に、前面基板と背面基板とを重ね合わせた状態で熱処理を施し、前面基板と背面基板の端部同士をフリットにより融着する。これにより、前面基板、背面基板及びフリットにより囲まれた空間を気密的に封止する。その後、この空間内を排気し、例えばヘリウム、ネオン若しくはキセノン等又はこれらの混合ガスからなる放電ガスを充填する。このように、PDPを作製する。
次に、上述の如く構成された本第10実施形態に係るPDPの製造方法の効果について説明する。図11(a)乃至(e)に示すように、背面基板の製造工程において、ガラス基板102上に凹み部304を形成する工程を設けることで、その上に設けられている隔壁105の頂部にも凹み部を設けることができる。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、前面基板の盛り上がり部200は背面基板における隔壁105に設けられている凹み部に吸収されて、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。
なお、本第10実施形態に係るPDPの製造方法においては、ガラス基板102上に凹み部304を設ける工程においてエッチングによる方法を使用したが、サンドブラスト法を使用してもよい。
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。図12は本第11実施形態に係るPDPを示す斜視図である。PDPにおいては、前面基板と背面基板とが相互に平行に設けられている。図12に示すように、本第11実施形態におけるPDPの前面基板の構成は、第9実施形態と同様である。本第11実施形態に係るPDPの背面基板においては、ガラス基板102が設けられており、ガラス基板102の表面に互いに平行な線形状の複数本のアドレス電極103が設けられている。これらのアドレス電極103は、前面基板における維持電極107及びバス電極108の延びる方向と直交する方向に延びている。これらのアドレス電極及びガラス基板102を覆うように誘電体層104が設けられている。その表面には複数個の凹み部305が設けられている。凹み部の深さは、例えば、後述の前面基板におけるバス電極の膜厚に相当する5乃至10μmである。これらの凹み部305は、前面基板における保護層112表面の盛り上がり部に対応する位置にマトリクス状に設けられている。更に、この誘電体層104の表面に隔壁105が井桁状(格子状)に設けられている。この隔壁105の頂部においては、下地の誘電体層104に設けられている凹み部305の形状を反映して、凹み部が設けられている。この隔壁105は、放電空間(表示セル)をアドレス電極103毎に区画する。これらの誘電体層104表面及び隔壁105側面には、放電により発生する紫外線により発光する蛍光体106が設けられている。そして、前面基板及び背面基板の空間に隔壁105により確保された放電空間(表示セル)には、例えばヘリウム、ネオン若しくはキセノン等又はこれらの混合ガスからなる放電ガスが充填されている。
次に、上述の如く構成された本第11実施形態に係るPDPの効果について説明する。本第11実施形態に係るPDPの背面基板においては、誘電体層104表面に凹み部305を設けていることにより、隔壁105頂部に凹み部305の形状を反映させた凹み部が設けられている。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、前面基板の盛り上がり部は背面基板における隔壁105に設けられている凹み部304に吸収されて、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。本第11実施形態における上記以外の効果は、前述の第9実施形態と同様である。
次に、本発明の第12の実施形態として、第11実施形態に係るPDPの製造方法について説明する。図13(a)乃至(d)は、本発明の第12実施形態に係るPDPの背面基板の製造方法をその工程順に示した斜視図である。図13(a)に示すように、ガラス基板102上にアドレス電極103を形成する。先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板102表面にベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を使用して所望のパターンに露光し、現像し、焼成する。次に、図13(b)に示すように、ガラス基板102及びアドレス電極103を覆うように凹み部305を有する誘電体層104を形成する。誘電体層104の形成工程においては、先ず、ガラスペーストを誘電体層104上にベタ状に印刷して乾燥させる。次に、ラミネーターを使用してDFRをガラスペースト上に貼り付け、このDFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、サンドブラストによってガラスペーストの不要部を除去し、DFRを剥離した後、焼成する。次に、図13(c)に示すように、誘電体層104上に、例えばサンドブラスト法を使用して隔壁105を形成する。隔壁105の形成工程においては、先ず、ガラスペーストを誘電体層104上にベタ状に印刷して乾燥させる。次に、ラミネーターを使用してDFRをガラスペースト上に貼り付け、このDFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、サンドブラストによってガラスペーストの不要部を除去し、DFRを剥離した後、焼成する。このとき、図13(d)に示すように、隔壁105頂部においては、誘電体層104の凹み部305に対応する部分が凹んだ形状となる。次に、誘電体層104の表面及び隔壁105の側面を覆うように蛍光体層106を形成する。
本第12実施形態における上記以外の前面基板の製造方法及びPDPの製造方法は、前述の第10実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第12実施形態に係るPDPの製造方法の効果について説明する。図13(a)乃至(d)に示すように、背面基板の製造工程において、誘電体層104上に凹み部305を形成する工程を設けることで、その上に設けられている隔壁105の頂部にも凹み部を設けることができる。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、前面基板の盛り上がり部は背面基板における隔壁105に設けられている凹み部に吸収されて、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。なお、本第12実施形態に係るPDPの製造方法においては、誘電体層104上に凹み部304を設ける工程においてサンドブラスト法を使用したが、エッチングによる方法を使用してもよい。
次に、本発明の第13の実施形態について説明する。図14は本第13実施形態に係るPDPを示す斜視図である。PDPにおいては、前面基板と背面基板とが相互に平行に設けられている。図14に示すように、本第13実施形態におけるPDPの前面基板の構成は、第9実施形態と同様である。本第13実施形態に係るPDPの背面基板においては、ガラス基板102が設けられており、ガラス基板102の表面に互いに平行な線形状の複数本のアドレス電極103が設けられている。これらアドレス電極103は、前面基板における維持電極107及びバス電極108が延びる方向と直交する方向に延びている。これらのアドレス電極及びガラス基板102を覆うように誘電体層104が設けられている。また、この誘電体層104の表面に隔壁105が井桁状(格子状)に設けられている。隔壁105の頂部には複数個の凹み部306が設けられている。凹み部の深さは、例えば、後述の前面基板におけるバス電極の膜厚に相当する5乃至10μmである。これらの凹み部305は、前面基板における保護層112表面の盛り上がり部200に対応する位置にマトリクス状に設けられている。この隔壁105は、放電空間(表示セル)をアドレス電極103毎に区画する。これらの誘電体層104表面及び隔壁105側面には、放電により発生する紫外線により発光する蛍光体106が設けられている。そして、前面基板及び背面基板の空間に隔壁105により確保された放電空間(表示セル)には、例えばヘリウム、ネオン若しくはキセノン等又はこれらの混合ガスからなる放電ガスが充填されている。
次に、上述の如く構成された本第13実施形態に係るPDPの効果について説明する。本第13実施形態に係るPDPの背面基板においては、隔壁105頂部に凹み部306が設けられている。従って、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、前面基板の盛り上がり部200は背面基板における隔壁105に設けられている凹み部304に吸収されて、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。本第13実施形態における上記以外の効果は、前述の第9実施形態と同様である。
次に、本発明の第14の実施形態として、第13実施形態に係るPDPの製造方法について説明する。図15(a)乃至(d)は、本発明の第14実施形態に係るPDPの背面基板の製造方法をその工程順に示した斜視図である。図15(a)に示すように、ガラス基板102上にアドレス電極103を形成する。先ず、金属ペースト等の電極材料をガラス基板102表面にベタ状に印刷して乾燥させる。その後、フォトリソグラフィ法を使用して所望のパターンに露光し、現像し、焼成する。次に、図15(b)に示すように、ガラス基板102及びアドレス電極103を覆うように誘電体層104を形成する。誘電体層104の形成工程においては、ガラスペースト等の誘電体材料をベタ状に印刷した後、乾燥させ、焼成する。次に、図15(d)に示すように、誘電体層104上に、例えばサンドブラスト法を使用して凹み部306を有する隔壁105を形成する。隔壁105の形成工程においては、先ず、ガラスペーストを誘電体層104上にベタ状に印刷して乾燥させる。次に、ラミネーターを使用してDFRをガラスペースト上に貼り付け、このDFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングして、凹み部306に対応する場所を開口する。次にフッ化水素酸を使用したエッチングにより、凹み部306を形成する。次に、再度ラミネーターを使用してDFRをガラスペースト上に貼り付け、このDFRをフォトリソグラフィ法によりパターニングする。次に、サンドブラストによってガラスペーストの不要部を除去し、DFRを剥離し、焼成する。次に、誘電体層104の表面及び隔壁105の側面を覆うように蛍光体層106を形成する。
本第14実施形態における上記以外の前面基板の製造方法及びPDPの製造方法は、前述の第10実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本第14実施形態に係るPDPの製造方法の効果について説明する。図15(a)乃至(d)に示すように、背面基板の製造工程において、隔壁105の頂部に凹み部306を設けることにより、前面基板と背面基板を貼り合わせてPDPを構成した場合、前面基板の盛り上がり部は背面基板における隔壁105に設けられている凹み部306に吸収されて、隔壁105の頂部と保護層112はとの間に生じる隙間を低減することができる。このため、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。なお、本第14実施形態に係るPDPの製造方法においては、隔壁105の頂部に凹み部306を設ける工程においてエッチングによる方法を使用したが、サンドブラスト法を使用してもよい。
次に、本発明の第15の実施形態について説明する。図16は本第15実施形態に係るプラズマ表示装置の構成を示すブロック図である。図15に示すように、本第15実施形態に係るプラズマ表示装置においては、PDP401が設けられており、その駆動回路として、駆動用電源421、コントローラ422、スキャンドライバ423、走査線パルスドライバ424、維持ドライバ425及びアドレスドライバ426が設けられている。PDP401は第1実施形態に係るPDPである。駆動用電源421は、例えば、5Vの論理電圧Vdd、約70Vのアドレス電圧Vd及び約170Vの維持電圧Vsを生成すると共に、維持電圧Vsに基づいて、約400Vのプライミング電圧Vp、約100Vの走査ベース電圧Vbw及び約180Vのバイアス電圧Vswを生成する。論理電圧Vddはコントローラ422に供給され、アドレス電圧Vdはアドレスドライバ426に供給され、維持電圧Vsはスキャンドライバ423及び維持ドライバ425に供給され、プライミング電圧Vp及び走査ベース電圧Vbwはスキャンドライバ423に供給され、バイアス電圧Vswは維持ドライバ425に供給される。コントローラ422は、外部から供給される映像信号Svに基づいて、スキャンドライバ制御信号、走査パルスドライバ制御信号、維持ドライバ制御信号及びデータドライバ制御信号を生成する回路である。スキャンドライバ制御信号はスキャンドライバ423に供給され、走査パルスドライバ制御信号は走査パルスドライバ424に供給され、維持ドライバ制御信号は維持ドライバ425に供給され、アドレスドライバ制御信号はアドレスドライバ426に供給される。
また、PDP401及びその駆動回路の前段にアナログ・インターフェイス回路491と、デジタル信号処理回路492とが設けられている。また、交流100Vから装置各部に直流電流を供給する電源回路493が設けられている。アナログ・インターフェイス回路491は、Y/C分離回路及びクロマ・デコーダ494と、アナログ・デジタル変換器(ADC)495と、画像フォーマット回路496と、逆ガンマ変換回路497と同期信号制御回路498とから構成されている。
Y/C分離回路及びクロマ・デコーダ494は、この表示装置がテレビ受像機の表示部として使用される場合には、アナログの映像信号Avを赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の各輝度信号に分解する回路である。ADC495は、この表示装置がコンピュータ等のモニタとして使用される場合に、アナログのRGB信号ARGBをデジタルのRGB信号に変換し、この表示装置がテレビ受像機の表示部として使用される場合に、Y/C分離回路及びクロマ・デコーダ494から供給されるR、G、B各色の輝度信号をデジタルのR、G、B各色の輝度信号に変換する回路である。画像フォーマット変換回路496は、PDP401の画素構成とADC495から供給されるデジタルのR、G、B各色の輝度信号の画素構成とが相違している場合に、デジタルのR、G、B各色の輝度信号の画素構成をPDP401の画素構成に適合するように変換する回路である。逆ガンマ変換回路497は、CRTディスプレイのガンマ特性に適合するようにガンマ補正されているデジタルのRGB信号又は画像フォーマット変換回路496からのデジタルのR、G、B各色の輝度信号の特性をPDP401の線形なガンマ特性に適合するように逆ガンマ補正する回路である。同期信号制御回路498は、アナログの映像信号AVとともに供給される水平同期信号に基づいて、ADC95のサンプリングクロック信号及びデータクロック信号を生成する回路である。
次に、上述の如く構成された本第15実施形態に係るプラズマ表示装置の効果について説明する。本第15実施形態に係るプラズマ表示装置においては、第1実施形態に係るPDPを使用することにより、行方向及び列方向に隣接する表示セル(放電空間)において、誤点灯及び誤消灯等の誤動作を改善することができる。なお、本第15実施形態に係るプラズマ表示装置においては、第1実施形態に係るPDPを使用したが、本発明はこれに限定されず、第3、第5、第7、第9、第11、第13の実施形態に係るPDPを使用しても第1実施形態に係るPDPを使用した場合と同様の効果が得られる。