JP2005321623A - 光学素子、光学素子の製造方法、及び極端紫外線露光装置 - Google Patents

光学素子、光学素子の製造方法、及び極端紫外線露光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄が不要となり、撥水性や撥油性、防汚染性を発揮することができ、光学特性に対する影響を最小限に抑えることができる光学素子を提供する。
【解決手段】 表面に保護膜を形成したい光学素子本体1と、有機分子を含む溶剤2(開放された容器に収納)を、密閉容器3に入れる。そして、密閉容器3を加熱炉4に入れて所定温度に加熱し、有機分子を蒸発させる。このようにすると、有機分子の蒸気が密閉容器3内の空間を満たし、光学素子本体1の表面において、表面の活性水素基と有機分子に含まれる反応基が化学反応して、光学素子表面に保護膜用有機分子の単分子膜が形成される。有機分子としては、フッ化炭素基を分子の少なくとも一端に有し、活性水素基と反応する官能基を分子の残りの少なくとも一つの端に有する有機分子を使用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表面に保護膜が形成された光学素子、その製造方法、及びこの光学素子を使用した極端紫外線露光装置に関するものである。
近年、半導体集積回路や液晶素子の微細化に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代えてこれより短い波長(数nm〜数十nm)の極端紫外線光(EUVと称することがある)を使用した投影リソグラフィ技術が開発されている(例えば、D. Tichenor, et al.、「SPIE」、1995年、第2437巻、p.292参照)。このEUVリソグラフィ技術は、従来の波長193.4nm程度の光線を用いた光リソグラフィでは実現不可能な、70nm以下の解像力を得られる技術として期待されている。
EUV光の波長領域での物質の複素屈折率nは、n=1−δ−ik(δ、k:実数、iは複素記号)で表わされる。この屈折率の虚部kはEUV光の吸収を表す。δ、kは1に比べて小さいため、この領域での屈折率は1に非常に近い。したがって従来のレンズのような透過屈折型の光学素子を使用できない。屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光を位相を合わせて多数重畳させて全体として高い反射率が得られる多層膜反射鏡等の光学素子が使用される。
13.4nm付近の波長域では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜を用いると垂直入射で67.5%の反射率を得ることができ、波長11.3nm付近の波長域では、Mo層とベリリウム(Be)層を交互に積層したMo/Be多層膜を用いると垂直入射で70.2%の反射率を得ることができる(例えば、C. Montcalm、「Proceedings of SPIE」、1998年、第3331巻、p.42参照)。
これら光学素子を長期保管した場合、保管環境中に含まれる水や有機物・無機物が前記光学素子表面に付着して、酸化などの化学変化を起こしたり汚れを発生させる。化学変化が生じた場合には恒久的に、汚れた場合も保管の度に光学素子の分光特性に変化が生じてしまう。そのため光学素子の品質保持のためには、厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄を行うことが必要となる。これら厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄が、コスト高や生産効率の低下をもたらす原因である。
このような問題に対処するために、従来、フッ化炭素や炭化水素を含む樹脂膜を保護膜として光学素子の表面に成膜し、フッ化炭素や炭化水素に起因する表面自由エネルギー低下を利用して、撥水性や撥油性、そして防汚染性を光学素子に生じさせる方法が知られている。この方法によれば、光学素子表面への水や有機物・無機物の吸着が少なくなるので、光学素子表面の化学反応を抑制する効果が生じる。
D. Tichenor, et al.、「SPIE」、1995年、第2437巻、p.292 C. Montcalm、「Proceedings of SPIE」、1998年、第3331巻、p.42
しかし、上記の樹脂膜はマイクロメートルから数十ナノメートルオーダーの厚さを持っており、光学特性に影響を与える。すなわち、樹脂膜もまた屈折率や吸収を持つため、厚い樹脂膜は、保護したい光学素子の反射率や透過率というような光学特性を大きく変化させてしまう。そのため、樹脂膜を光学素子の保護膜として利用する場合には、光学素子を実際に光学系に組み込んで使用する際に、保護膜の樹脂膜を剥がすという方法と、樹脂膜を光学薄膜の一部として光学素子最表層に組み込む方法が用いられている。
樹脂膜を光学素子の保護膜としてつけ、光学素子を実際に使用する際に樹脂膜を剥がす方法では、光学素子を傷つけることなく樹脂膜を剥がす方法が問題になる。特に、多層膜同士、又は多層膜とその下の基材との密着力の弱い光学素子では、光学素子を傷つけることなく樹脂膜を剥がすことは困難である。また、長期保管において光学素子の劣化を定期的に検査する場合、保護膜である樹脂膜が邪魔となり、光学素子の特性が調べられないという問題がある。よって、検査の度に保護膜を剥離・付着するという作業を行わなければならず、面倒な工程が付加されることとなる。
一方、樹脂膜を光学薄膜の一部として光学素子最表層に組み込むことは、樹脂膜の吸収が無視できなくなる短波長で用いる光学素子においては、実現性に問題がある。
さらに、上記の厚い樹脂膜は、塗布・湿式引き上げ・スピンコート・真空蒸着・スパッタ法などで作製されていたが、これらは大がかりな装置を必要として、作製工程が複雑になるという問題がある。更に、形状の複雑な光学素子には樹脂膜をつけることが難しいという問題もある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、新規な保護膜を備えることにより、厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄が不要となり、撥水性や撥油性、防汚染性を発揮することができ、光学特性に対する影響を最小限に抑えることができる光学素子、及びその製造方法、さらにはこの光学素子を使用した極端紫外線露光装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための第1の手段は、光学素子本体の表面を保護膜で覆われた光学素子であって、前記保護膜は、フッ化炭素基を分子の少なくとも一端に有し、活性水素基と反応する官能基を分子の残りの少なくとも一つの端に有する有機分子を、前記光学素子本体の表面全体に供給することにより前記光学素子本体上の活性水素基と前記官能基とを化学反応させて、前記光学素子本体の表面に固着させたものであることを特徴とする光学素子(請求項1)である。
光学素子本体として典型的なものは、前述のようにガラスなどの光学材料基板上に屈折率の異なるSi、Mo、C、Sr、Y、Ru、Rhなどの金属、BCなどの炭化物、その他化合物が交互に積層されたもので、分光特性を任意に変えたミラーなどの極端紫外線露光装置用の光学素子である。又、活性水素基として典型的なものは、−OH(水酸基)や−NH−(イミノ基)である。
本手段においては、フッ化炭素基を分子の少なくとも一端に有し、活性水素基と反応する官能基を分子の残りの少なくとも一つの端に有する有機分子を光学素子の表面全体に供給することにより光学素子上の活性水素基と前記官能基とを化学反応させ、前記光学素子の表面を有機分子のフッ化炭素基で覆った保護膜を作製する。これにより、フッ化炭素基に起因して光学素子の表面自由エネルギーが低下して、撥水性や撥油性、そして防汚染性を光学素子に生じさせることができる。また、吸着反応に大きく関与する活性な活性水素基を不活性なフッ化炭素基で置換することができ、汚れ・化学反応の原因となる有機・無機分子の吸着を抑えることができる。
本手段における保護膜により、光学素子を長期保管する際にも厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄が不要となり、たとえ、汚れたとしても、光学素子の表面自由エネルギーが低下しているため、汚れ物質である有機・無機分子と光学素子表面との結合力が小さいので、有機溶剤をしみ込ました拭き布で拭くだけで簡単に汚れを取ることができる。
本手段においては、保護膜の膜厚が薄くても保護膜は光学素子表面と化学結合しているため、力学的には剥がれにくく、光学素子の保護膜として十分な耐性を有している。本発明の保護膜が光学素子の特性に与える影響は小さいので、長期保管において、保護膜を剥がすことなく光学素子の劣化を定期的に検査することができる。
又、本手段の保護膜は前述のような耐性を有するため、その耐性の範囲内で、保護膜を剥離せず光学素子を利用することも可能である。光学素子を長期使用している際に環境中に含まれる水や有機物・無機物が光学薄膜表面に付着する場合に、保護膜を剥離せず光学素子を利用しても、これらの付着を抑えることができる。
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記保護膜の膜厚が10nm以下であることを特徴とするもの(請求項2)である。
前記第1の手段においては、保護膜の膜厚が薄くても保護膜は光学素子表面と化学結合しているため、力学的には剥がれにくく、光学素子の保護膜として十分な耐性を有している。よって、保護膜の厚さを、従来の方法では不可能であった10nm以下とすることができ、これにより、光学素子の特性に与える保護膜の影響を小さくすることができる。
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって前記保護膜が単分子有機分子膜であることを特徴とするもの(請求項3)である。
前記第1の手段、第2の手段においては、保護膜の膜厚が薄くても保護膜は光学素子表面と化学結合しているため、力学的には剥がれにくく、光学素子の保護膜として十分な耐性を有している。よって、保護膜を単分子有機分子膜とすることができ、これにより、光学素子の特性に与える保護膜の影響を小さくすることができる。
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記保護膜の前記光学素子本体表面に対する被覆率が1以下であることを特徴とするもの(請求項4)である。
前記第1の手段から第3の手段においては、保護膜用有機分子の被覆率が1より小さく、平均膜厚が単分子以下でも、光学素子表面の表面自由エネルギーが下がって、吸着反応に大きく関与する活性な活性水素基を不活性なフッ化炭素基で置換することができていれば、水や有機・無機分子の吸着を抑えることができる。
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第1の手段から第4の手段のいずれかであって、前記保護膜が、紫外領域の光を照射することによって除去可能なものであることを特徴とするもの(請求項5)である。
前記第1の手段から第4の手段においては、保護膜と光学素子とは、光学素子上の活性水素基と有機分子の反応基とが化学反応してできた化学結合により結合されている。この化学結合が、紫外領域の光を照射することによって切断可能なものであれば、保護膜を容易に除去することができる。
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第5の手段の光学素子を製造する方法であって、前記有機分子を前記光学素子本体の表面全体に供給する方法が、前記有機分子の蒸気が満たされた空間に前記光学素子本体を配置する方法であることを特徴とする光学素子の製造方法(請求項6)である。
本手段によれば、保護膜用有機分子の蒸気が満たされた空間に光学素子を配置し、必要に応じて加熱するだけで、保護膜を成膜できるため、製造工程も簡単で、塗布・湿式引き上げ・スピンコート・真空蒸着・スパッタ法と比べ、大がかりな装置を必要としない。又、気相反応を利用しているため形状の複雑な光学素子にも保護膜をつけることも容易である。
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第1の手段から第6の手段のいずれかの光学素子を、光学系中に有することを特徴とする極端紫外線露光装置(請求項7)である。
本手段においては、第1の手段から第6の手段のいずれかの光学素子を、光学系中に有するので、それぞれの手段の説明において説明した作用効果を得ることができる。
本発明によれば、新規な保護膜を備えることにより、厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄が不要となり、撥水性や撥油性、防汚染性を発揮することができ、光学特性に対する影響を最小限に抑えることができる光学素子、及びその製造方法、さらにはこの光学素子を使用した極端紫外線露光装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態の例を説明する。図1は、本発明の実施の形態である光学素子を製造する方法の例を説明するための図である。表面に保護膜を形成したい光学素子本体1と、前記第1の手段で説明したような有機分子を含む溶剤2(開放された容器に収納)を、密閉容器3に入れる。そして、密閉容器3を加熱炉4に入れて所定温度(例えば50〜150℃)に加熱し、有機分子を蒸発させる。
このようにすると、有機分子の蒸気が密閉容器3内の空間を満たし、光学素子本体1の表面において、表面の活性水素基と有機分子に含まれる官能基が化学反応して、光学素子表面に保護膜用有機分子の単分子膜が形成される。密閉容器に光学素子を入れておく時間は、反応が完了する時間であれば良く、有機分子としてメトキシシリル基やハロゲン化シリル基を用いる場合には2時間程度である。ただ、単分子保護膜の上に、更に保護膜用有機分子の膜が形成される速度は、光学素子表面に保護膜用有機分子の単分子膜が形成される速度に比べて格段に遅いため密閉容器3に光学素子本体1を入れておく時間を厳密に制御しなくてもよい。
本実施の形態において、保護膜を形成する有機分子、つまり保護膜用有機分子は、分子の少なくとも一端にCF(CF(CH−(n,mは0以上の整数、0のときは、その置換基が無いことを意味する)のようなフッ化炭素基を有し、分子の残りの少なくとも一つの端に活性水素基と反応する基、例えば−Si−OCH(メトキシシリル基)、−Si−Cl(クロロシリル基)等を有するものである。
例えば、CF(CF(CHSiX3−a(OCH(n,mは0以上の整数、XはH、Cl、アルキル基、フッ化炭素基、aは1、2又は3)で、例として以下のような有機分子を利用することができる。
CFCHCH(OCH
CFCHCHSi(OCH
CFCHCHSiCH(OCH
CFCHCHSi(CH(OCH
CFCHCHSiCl
CF(CFCHCH(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSi(CH(OCH
CF(CFCHCHSiCl
CF(CFCHCH(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSi(CH(OCH
CF(CFCHCHSiCl
このような有機分子を、蒸気として、蒸気が密閉容器3内の空間を満たし、光学素子本体1の表面において、表面の活性水素基と有機分子に含まれる官能基が化学反応して、光学素子表面に保護膜用有機分子の単分子膜が形成されるようにする。
その際、前処理として、紫外線オゾン洗浄や他の洗浄法により光学素子本体1の表面を洗浄し、活性水素基を活性化しておくと、有機分子と光学素子本体1との密着力が増すので好ましい。
有機分子として好適なものは、メトキシシリル基を有するフッ化炭素シラン分子であるが、活性水素基と反応する基であれば、特に限定されない。保護膜用有機分子を溶かす溶媒は、3M社製フロリナート(商品名)のように活性水素基や保護膜用有機分子と反応しない不活性非極性溶媒が適当である。
密閉容器3の加熱温度は、有機分子としてメトキシシリル基やクロロシリル基を用いる場合には、50〜150℃の温度とすれば、常圧で活性水素基と反応させることができる。しかし、これらの温度と圧力は、用いる有機分子に応じて適当に決定すればよい。すなわち、これらの有機分子が、光学素子本体1の表面の活性水素基とさえ反応すればよく、有機分子の官能基が活性水素基と反応する温度と圧力に設定されればよい。ただし、200℃以上になるとフッ化炭素が分解し始めるので注意が必要である。
図2に、有機分子としてCF(CFCHCHSi(OCHを用いた場合の保護膜の形成の様子を示す。光学素子本体1の表面には図2(a)に示すように水酸基が存在するが、この水酸基がCF(CFCHCHSi(OCHと反応することにより、図2(b)に示すように、光学素子本体1の表面に保護膜5が、単分子膜として化学結合により固定される。
このような工程で作製された保護膜においては、図2(b)に示すように、保護膜用有機分子の一方の端にあるメトキシシリル基が光学素子本体1の表面に固定されるため、分子の他方の端になるフッ化炭素基が、光学素子の表面側に位置することになる。金属やその自然酸化物の表面自由エネルギーが200から800×10−3N/mであるのに対し、フッ化炭素基が表面である固体の表面自由エネルギーが20から5×10−3N/mであり、フッ化炭素基が光学素子の表面側に位置することにより、フッ化炭素基に起因した光学素子の表面自由エネルギーの低下が起き、撥水性や撥油性、そして防汚染性を光学素子に生じさせることができる。また、吸着反応に大きく関与する活性な活性水素基を不活性なフッ化炭素基で置換することができ、汚れの原因となる有機・無機分子の吸着を抑えることができる。光学素子表面への水や有機物・無機物の吸着が少なくなるので、光学特性の劣化を抑制する効果が生じる。
本実施の形態により形成される保護膜により、光学素子を長期保管する際にも厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄が不要となり、たとえ、汚れたとしても、光学素子の表面自由エネルギーが低下しており 汚れ物質である有機・無機分子と光学素子表面との結合力が小さいため、有機溶剤をしみ込ました拭き布で拭くだけで簡単に汚れを取ることができる。
上記の工程で作製された保護膜は単分子厚であるが、かならずしも膜厚が単分子厚である必要はない。
光学素子の表面が酸化物である場合、その表面は水酸基で覆われているため問題がないが、極端紫外露光装置用光学素子の光学薄膜において用いられるSiなどの金属でも、それらの表面酸化によって一部存在している水酸基などが保護膜用有機分子が反応する活性水素基となる。この場合、これら膜表面の活性水素基は少ないので、保護膜の被覆率が1より小さくなることがある。しかし、保護膜用有機分子の被覆率が1より小さく、平均膜厚が単分子以下でも、光学素子表面の表面自由エネルギーが下がって、吸着反応に大きく関与する活性な活性水素基を不活性なフッ化炭素基で置換することができていれば、水や有機・無機分子の吸着を抑えることができる。当然、膜厚が単分子厚以上であっても、保護膜の撥水性や撥油性、そして防汚染性などの性能が落ちるわけでない。
しかし、保護膜もまた屈折率や吸収をもつために、光学的膜厚が薄いほど光学素子の光学特性に与える影響は小さくなる。そのため、保護膜の膜厚は防汚染性といった性能を損なわない範囲で薄いほうが良く、保護膜用有機分子の分子鎖を短くするなどにより幾何膜厚を小さくしたり、単分子以下である方が望ましい。屈折率や吸収の小さい保護膜用有機分子を選ぶことも好ましい。
一方、保護膜を取り除いて光学素子を使用したい場合には、化学結合を切るような適当な強さの紫外光や極端紫外光の照射、例えばオゾン存在下でのUVランプによる紫外線連続照射や数J/cmのエキシマレーザー照射などの簡単な方法で保護膜を容易に取り除くことも可能である。
以下、本発明の実施の形態の1例であるEUV露光装置について、図3を参照して説明する。EUV露光装置は、主にEUV光源21および照明光学系22とマスク24のステージ25、投影光学系23、ウエハ26のステージ27で構成される。マスク24には描画するパターンの等倍あるいは拡大パターンが形成されている。投影光学系23は複数の反射鏡23a〜23d等で構成され、マスク24上のパターンをウエハ26上に結像するようになっている。反射鏡23a〜23dの表面には反射率を高めるための多層光学薄膜が形成されている。
投影光学系23は輪帯状の視野を有し、マスク24の一部をなす輪帯状の領域のパターンを、ウエハ26上に転写する。マスク24も反射型のものが用いられる。露光の際は、EUV光源21よりのEUV光28aを照明光学系22によって照明用EUV光28bとし、マスク24上に照明用EUV光28bを照射し、その反射EUV光28cを、投影光学系23を通してウエハ26上に入射させる。マスク24とウエハ26を一定速度で同期走査させることで、所望の領域(例えば、半導体チップ1個分の領域)を露光するようになっている。
本実施の形態においては、反射鏡23a〜23dとして、本発明の多層膜ミラーを使用しているので、各ミラーにおいて、厳密な保管環境管理や頻繁な洗浄が不要となり、撥水性や撥油性、防汚染性を発揮するでき、光学特性に対する影響を最小限に抑えることができる。
なお、本発明の多層膜ミラーの保護膜は、EUV光が照射されると除去されてしまい、EUV露光特性には何ら影響を及ぼさない。
本発明の実施の形態である光学素子を製造する方法の例を説明するための図である。 有機分子としてCF(CFCHCHSi(OCHを用いた場合の保護膜の形成の様子を示す図である。 本発明の実施の形態の1例であるEUV露光装置の概要を示す図である。
符号の説明
1…光学素子本体、2…有機分子を含む溶剤、3…密閉容器、4…加熱炉、5…保護膜、21…EUV光源、22…照明光学系、23…投影光学系、23a〜23d…反射鏡、24…マスク、25…マスクステージ、26…ウエハ、27…ウエハステージ、28a…EUV光、28b…照明用EUV光、28c…反射EUV光

Claims (7)

  1. 光学素子本体の表面を保護膜で覆われた光学素子であって、前記保護膜は、フッ化炭素基を分子の少なくとも一端に有し、活性水素基と反応する官能基を分子の残りの少なくとも一つの端に有する有機分子を、前記光学素子本体の表面全体に供給することにより前記光学素子本体上の活性水素基と前記官能基とを化学反応させて、前記光学素子本体の表面に固着させたものであることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子であって、前記保護膜の膜厚が10nm以下であることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光学素子であって、前記保護膜が単分子有機分子膜であることを特徴とする光学素子。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の光学素子であって、前記保護膜の前記光学素子本体表面に対する被覆率が1以下であることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の光学素子であって、前記保護膜が、紫外領域の光を照射することによって除去可能なものであることを特徴とする光学素子。
  6. 請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の光学素子を製造する方法であって、前記有機分子を前記光学素子本体の表面全体に供給する方法が、前記有機分子の蒸気が満たされた空間に前記光学素子本体を配置する方法であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  7. 請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の光学素子を、光学系中に有することを特徴とする極端紫外線露光装置。
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