JP2005321291A - 荷重センサ内蔵車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両にコンパクトに荷重センサを設置できて、車輪にかかる荷重を安定して検出できる荷重センサ内蔵車輪用軸受を提供する。
【解決手段】 複列の転走面4が内周面に形成された外方部材1と、この外方部材1の転走面4と対向する転走面5を形成した内方部材2とを設ける。対向する転走面4,5間に複列の転動体3を介在させて、車体に対して車輪を回転自在に支持する。内方部材2に結合された等速ジョイント13の外輪13aに被検出部10を配置する。この被検出部10に対向して、被検出部10の変化を検出することで車輪用軸受に作用する荷重を検出する検出部11を外方部材1に配置し、荷重センサ9とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 複列の転走面4が内周面に形成された外方部材1と、この外方部材1の転走面4と対向する転走面5を形成した内方部材2とを設ける。対向する転走面4,5間に複列の転動体3を介在させて、車体に対して車輪を回転自在に支持する。内方部材2に結合された等速ジョイント13の外輪13aに被検出部10を配置する。この被検出部10に対向して、被検出部10の変化を検出することで車輪用軸受に作用する荷重を検出する検出部11を外方部材1に配置し、荷重センサ9とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、車輪の軸受部にかかる荷重を検出する荷重センサを内蔵した車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車の安全走行のために、各車輪の回転速度を検出するセンサを車輪用軸受に設けたものがある。このような車輪用軸受において、温度センサ,振動センサ等のセンサを設置し、回転速度のほかに、自動車の運行に役立つ他の状態を検出できるようにしたものも提案されている(例えば特許文献1,2)。特許文献1に開示された車輪用軸受では、回転側である内方部材の外周面の2列の転走面間に回転センサの被検出部が設けられると共に、この被検出部に対向してその回転を検出する回転センサの検出部が固定側である外方部材に設けられている。
また、特許文献2に開示された車輪用軸受では、回転側である内方部材の外周面の2列の転走面間にトルクセンサの被検出部を構成するコイルと圧電素子が設けられると共に、内輪のねじりによる変位によって圧電素子が発生する電位差に伴ってコイルに発生する磁界を検出するトルクセンサの検出部が固定側である外方部材に設けられている。
特開2002−340922号公報
特開2003−207402号公報
従来の一般的な自動車の走行安全性確保対策は、各部の車輪の回転速度を検出することで行われているが、車輪の回転速度だけでは十分でなく、その他のセンサ信号を用いてさらに安全面での制御を可能とすることが求められている。そこで、車両走行時に各車輪に作用する荷重から姿勢制御を図ることも考えられる。例えばコーナリングにおいては外側車輪に大きな荷重がかかり、また左右傾斜面走行では片側車輪に、ブレーキングにおいては前輪にそれぞれ荷重が偏るなど、各車輪にかかる荷重は均等ではない。また、積載荷重不均等の場合にも、各車輪にかかる荷重は不均等になる。
このため、車輪にかかる荷重を随時検出できれば、その検出結果に基づき、事前にサスペンション等を制御することで、車両走行時の姿勢制御(コーナリング時のローリング防止、ブレーキング時の前輪沈み込み防止、積載荷重不均等による沈み込み防止等)を行うことが可能となる。しかし、車輪に作用する荷重を検出するセンサの適切な設置場所がなく、荷重検出による姿勢制御の実現が難しい。
また、今後ステアバイワイヤが導入されて、車軸とステアリングが機械的に結合しないシステムになってくると、車軸方向荷重を検出して運転手が握るハンドルに路面情報を伝達することが求められる。
また、特許文献2に示したトルクセンサを内蔵した車輪用軸受では、等速ジョイントとの結合に用いられるスプライン結合の影響には触れられていない。特許文献2では、内方部材の外周面の2列の転走面の列間にトルクを検出するセンサが配置されており、そのセンサ位置に対応する内方部材内周面にスプラインを設けた構造になっている。エンジンからの駆動力は等速ジョイントによって車輪用軸受に伝達されるが、等速ジョイントと車輪用軸受との結合にはスプライン結合が一般的に用いられている。スプライン結合にガタがあるとトルク出力のヒステリシスが増加する。また、このガタを詰めるために等速ジョイント側のスプラインには数度の角度が付けれ、車輪用軸受に設けられたスプラインに嵌合する際にはこの捩れによりガタを減らすことが可能となる。しかし、スプラインの捩れる方向と一致したトルク伝達の場合にはセンサ部にトルクに比例した歪が生じるが、逆方向のトルク伝達の場合にはこの捩れが緩む方向に働き、センサ部にトルクが正確に伝わらず感度が低下したり直線性が崩れたりする。また、スプライン結合は接触部が不定であり、場合によってはトルクセンサを通り越してトルクが伝達される場合もありうる。
この発明の目的は、このような課題を解消し、車両にコンパクトに荷重センサを設置できて、車輪にかかる荷重を安定して検出できる荷重センサ内蔵車輪用軸受を提供することである。
この発明の荷重センサ内蔵車輪用軸受は、複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体と、外方部材と内方部材間の両端を密封する密封装置とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、前記内方部材に結合された等速ジョイントの外輪に配置された被検出部と、この被検出部に対向して前記外方部材に配置され前記被検出部の変化を検出することで車輪用軸受に作用する荷重を検出する検出部とでなる荷重センサを設けたことを特徴とする。
この構成によると、等速ジョイント外輪に荷重センサの被検出部を配置したことで、車両にコンパクトに荷重センサを設置できると共に、内方部材と等速ジョイント外輪とが例えばスプライン結合により結合される結合部の影響を抑えて、エンジンから車輪に伝達される荷重を安定して正確に検出できる。また、複列の転動体位置よりもアウトボード側に被検出部を設けた荷重センサに比べて、被検出部の外径を小径にできるため、被検出部に加わる応力が増してセンサ感度も向上する。
この構成によると、等速ジョイント外輪に荷重センサの被検出部を配置したことで、車両にコンパクトに荷重センサを設置できると共に、内方部材と等速ジョイント外輪とが例えばスプライン結合により結合される結合部の影響を抑えて、エンジンから車輪に伝達される荷重を安定して正確に検出できる。また、複列の転動体位置よりもアウトボード側に被検出部を設けた荷重センサに比べて、被検出部の外径を小径にできるため、被検出部に加わる応力が増してセンサ感度も向上する。
この発明において、前記荷重センサが磁歪式センサであって、等速ジョイントの外輪に配置された磁歪材からなる被検出部と、外方部材に配置されたコイル巻線からなる検出部とでなるものとしても良い。
磁歪材とコイルを用いた磁歪式センサであると、車輪用軸受に作用する荷重を、感度良く安定して検出することができる。また、被検出部が磁歪材であると、等速ジョイントの外輪への配置が容易に行える。
磁歪材とコイルを用いた磁歪式センサであると、車輪用軸受に作用する荷重を、感度良く安定して検出することができる。また、被検出部が磁歪材であると、等速ジョイントの外輪への配置が容易に行える。
この発明において、前記磁歪材がFe−Al合金であってその表面に略45度方向に複数の溝が形成されたものであり、前記荷重センサがトルク値として荷重を検出する磁歪式トルクセンサであっても良い。
略45度方向の溝が設けられていると、被検出部の表面に略45度方向のせん断力が働き、溝に沿った方向に引張または圧縮の異なる応力が作用する。このように作用する応力変化を検出できれば、トルク検出が可能になる。また、磁歪材がFe−Al合金であると、優れた磁歪特性が得られる。
略45度方向の溝が設けられていると、被検出部の表面に略45度方向のせん断力が働き、溝に沿った方向に引張または圧縮の異なる応力が作用する。このように作用する応力変化を検出できれば、トルク検出が可能になる。また、磁歪材がFe−Al合金であると、優れた磁歪特性が得られる。
この発明において、前記磁歪材がFe−Al合金であって、その表面に複数の軸方向溝が形成された部分と前記軸方向溝が形成されない部分とがあり、前記検出部が、前記磁歪材からなる被検出部の前記軸方向溝が形成された部分と形成されない部分の磁気抵抗値をぞれぞれ検出する2つの検出コイルを有し、前記荷重センサは、前記2つの検出コイルで検出される磁気抵抗差を取って軸方向荷重を検出するものであっても良い。
前記軸方向溝が形成されていると、車輪にかかる軸方向荷重を間接的に測定できる。
前記軸方向溝が形成されていると、車輪にかかる軸方向荷重を間接的に測定できる。
この構成の場合に、Fe−Al合金がクラッド鋼からなり、クラッド鋼のFe−Al合金層と等速ジョイント外輪とを溶接接合しても良い。また、Fe−Al合金が、等速ジョイント外輪の表層にAlを拡散して形成したもの、またはFeにAlを拡散したリングを固着したものであっても良い。
この発明において、等速ジョイントの外輪の前記被検出部が設けられた軸方向範囲付近における回転中心部に除肉部を設けても良い。除肉部を設けると、作用する応力が増し、その結果、検出感度が向上する。なお、除肉部を設ける場合、強度上で支障のない範囲で設けることが必要である。
この発明において、荷重検出用の検出部内に、回転速度を検出する回転検出手段を設けても良い。この構成の場合、回転検出手段を荷重センサの検出部に含めた構造とできるので、配線の本数を削減できると共に、回転検出手段の密閉構造内への組込みが可能となって、回転検出手段の防水対策ともなる。
この発明の荷重センサ内蔵車輪用軸受は、複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体と、外方部材と内方部材間の両端を密封する密封装置とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、前記内方部材に結合された等速ジョイントの外輪に配置された被検出部と、この被検出部に対向して前記外方部材に配置され前記被検出部の変化を検出することで車輪用軸受に作用する荷重を検出する検出部とでなる荷重センサを設けたため、車両にコンパクトに荷重センサを設置できて、車輪にかかる荷重を安定して検出することができる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。この実施形態の荷重センサ内蔵車輪用軸受装置は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受に適用した例である。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向外側寄りとなる側をアウトボード側と言い、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。図1(A)では、左側がアウトボード側、右側がインボード側となる。
図1(A)において、この車輪用軸受は、内周に複列の転走面4を有する外方部材1と、これら転走面4にそれぞれ対向する転走面5を外周に有する内方部材2と、これら複列の転走面4,5間に介在させた複列の転動体3とを備える。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受とされていて、上記各転走面4,5は断面円弧状であり、各転走面4,5は接触角が背面合わせとなるように形成されている。転動体3はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。
図1(A)において、この車輪用軸受は、内周に複列の転走面4を有する外方部材1と、これら転走面4にそれぞれ対向する転走面5を外周に有する内方部材2と、これら複列の転走面4,5間に介在させた複列の転動体3とを備える。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受とされていて、上記各転走面4,5は断面円弧状であり、各転走面4,5は接触角が背面合わせとなるように形成されている。転動体3はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。
外方部材1は固定側の部材となるものであって、図1(A)のようにナックル(図示せず)に固定するための車体取付フランジ1aを外周に有し、全体が一体の部材とされている。前記車体取付フランジ1aは、車体(図示せず)に設置されたナックルに周方向複数箇所のボルト(図示せず)で締結される。車体取付フランジ1aのボルト挿入孔12はねじ加工されており、上記ボルトはナックルに設けられた貫通孔を貫通して、ボルト挿入孔12に先端の雄ねじ部分が螺合する。なお、ボルト挿入孔12をねじ孔とする代わりに、単にボルトが挿通される孔とし、ナット(図示せず)でボルトを締め付けるようにしても良い。
内方部材2は回転側の部材となるものであって、車輪取付フランジ2aを外周に有するハブ輪2Aと、このハブ輪2Aのインボード側の端部外径面に嵌合した別体の内輪2Bとからなり、ハブ輪2Aには等速ジョイント13の外輪13aが連結されている。ハブ輪2Aおよび内輪2Bに、各列の転走面5がそれぞれ形成される。ハブ輪2A内には、等速ジョイント13の外輪13aに一体に形成されたステム14が挿通され、ステム14の先端に設けた雄ねじ部15にナット16をねじ込むことで、等速ジョイント外輪13aがハブ輪2Aに連結される。ハブ輪2Aの内径面にはスプライン溝2bが形成されており、このスプライン溝2bにステム14のスプライン溝14bがスプライン嵌合する。内輪2Bは、ハブ輪2Aのインボード側端部に設けられた加締部2Aaにより、ハブ輪2Aに対して軸方向に締め付け固定される。
内外の部材2,1間に形成される環状空間のアウトボード側およびインボード側の各開口端部は、それぞれ密封装置である接触式のシール7,8で密封されている。特にインボード側のシール8のリップ部8aを、等速ジョイント外輪13aの外周に設けた段差面13bに摺接させることにより、インボード側のシール性が確保されている。
等速ジョイント外輪13aの外径面において、ハブ輪2Aのインボード側端面(この例では加締部2Aa)との接触部からインボード側に隣接する部分には、磁歪材からなる被検出部10が設けられる。また、外方部材1の内周の前記被検出部10に対して径方向に対向する位置には、コイル巻線11a,11bを有する検出部11が台座17を介して設けられ、前記被検出部10と検出部11とで荷重センサ9が構成される。前記被検出部10としては、磁歪材であるFe−Al合金からなるリング状部材が用いられ、等速ジョイント外輪13aの外径面に溶接あるいは拡散接合される。被検出部10としてFe−Al合金を固着した等速ジョイント外輪13aは、焼入れ処理を施した後で、Fe−Al合金の表面を研削してから表面をショットピーニングすることにより、残留応力を高めるようにしても良い。
被検出部10の表層には、図2に示すように軸方向に対して±45度の傾斜角度をなす複数条の傾斜溝10aが円周方向に並べて2列に形成されている。その傾斜溝10aの溝深さは0.1mmから0.5mm程度にすることが好ましい。
検出部11は、コイル巻線11a,11bとヨーク11cからなり、各列の傾斜溝10aにコイル巻線11a,11bの1つがそれぞれ対向している。各コイル巻線11a,11bは、樹脂からなるボビン11dに巻いた状態でヨーク11c内に組み込まれている。検出部11からはケーブル19が引き出されるが、図1(B)に平面図で示すように、外方部材1のインボード側端に設けたU字状切り欠き20の位置にケーブル19を合わせてから検出部11を圧入することで、ケーブル19に邪魔されることなく検出部11を外方部材1に容易に取付けることができる。なお、U字状切り欠き20を封止するために、U字状切り欠き20の形状に合わせた弾性部材21(たとえばゴム材)にケーブル19を挿貫させた後、この弾性部材21がU字状切り欠き20に差し込まれる。U字状切り欠き20の部分の密封性をより高めるために、さらに接着剤や熱固着剤を用いても良い。この処理の後で、シール8の金属環8b(図1(B))が外方部材1の外周に圧入固着される。これにより、U字状切り欠き20の上にシール金属環8bの一部が重なることになり、U字状切り欠き20の防水性を高めることができる。
なお、弾性部材21を、その表面が外方部材1の外径面からはみ出す厚みとすることにより、防水効果をより一層高めることができる。他の防水対策として、シール8の金属環8bと外方部材1との接触部にゴム等の弾性部材を全周に渡って介在させても良い。
荷重センサ9はトルクセンサとして機能する。ハブ輪2Aに成形されたスプライン2bと等速ジョイント13のステム14に形成されたスプライン14bとの嵌合部と、等速ジョイント13の外輪13aとの間に生じる捩れトルクにより、磁歪材からなる被検出部10の表面には45度方向のせん断応力が働き、2列の傾斜溝10aに沿った方向には引張、圧縮の異なる応力がかかる。その応力変化を対向する検出部11のコイル巻線11a,11bで磁気抵抗変化として捉えることによりトルクが検出可能である。
図3に、その検出部11の検出回路例を示す。この検出回路は、コイル巻線11aと抵抗とからなる第1の直列回路22と、コイル巻線11bと抵抗とからなる第2の直列回路部23とを並列に接続したものからなり、第1の直列回路部22とこれに並列に接続される第2の直列回路部23とに、発信器24から数十kHzの交流電圧が印加される。第1のコイル巻線11aにかかる分割電圧は、整流器25およびローパスフィルタ26で直流電圧に変換されて差動増幅器27の第1入力端子に入力される。また、第2のコイル巻線11bにかかる分割電圧も、別の整流器25およびローパスフィルタ26で直流電圧に変換されて、差動増幅器27の第2入力端子に入力される。差動増幅器27はこれら2入力の差分を増幅して出力する。この出力は等速ジョイント13の外輪13aにかかるトルクを検出したものとなり、結果的にハブ輪2Aにかかるトルクを測定したことになる。トルクの値とタイヤ半径が分かれば、タイヤにかかる進行方向荷重を容易に算出できる。
上記検出回路による電気的な処理は、外方部材1に設けた回路基板(図示なし)上で処理するか、ナックル(図示なし)に回路基板を固定して処理をしても良い。さらには、この回路基板を、自動車のECU側に内蔵することも可能である。このようにして検出回路で処理されたトルク情報は、図示しない送信手段によって車体側の受信手段にワイヤレスで送信することも可能である。この場合、検出回路を実装した回路基板への電力供給もワイヤレスで行うことも可能である。
この実施形態の荷重センサ内蔵車輪用軸受装置によると、このように、等速ジョイント13の外輪13aに磁歪材からなる被検出部10を固着したため、車両にコンパクトに荷重センサを設置できると共に、スプライン結合のガタや、スプライン結合の隙間を詰めるためにスプラインに数度の角度を付けたことによる影響がトルク出力に出るのを抑えることができる。その結果、スプライン結合部の捩れる方向と逆向きのトルクを伝達する場合であっても、検出部11で得られるセンサ出力の直線性が確保され、車輪にかかる荷重を安定して検出できる。また、複列の転動体3の位置よりもアウトボード側に被検出部10を設けた場合に比べて、被検出部10の外径を小径にできるため、被検出部10に加わる応力が増してセンサ感度も向上する。なお、等速ジョイント13の外輪13aに固着した被検出部10の回転中心部を、強度的に持つ範囲で除肉(図1の2点鎖線部31)しても良く、この場合には荷重センサ9の感度向上が可能となる。
図4は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の荷重センサ内蔵車輪用軸受装置は、図1〜図3に示した第1の実施形態において、荷重センサ9で軸方向荷重を検出するようにしたものである。すなわち、この実施形態では、図2に示した磁歪材からなる被検出部10の表層に形成した45度傾斜した2列の傾斜溝10aに代えて、被検出部10の一側部の表層に軸方向に向けた複数条の軸方向溝10bを円周方向に並べて1列に形成したものである。被検出部10の他側部の表層は溝の形成されていない磁歪表面部28とされている。軸方向溝10bの溝深さは0.1mmから0.5mm程度にすることが好ましい。上記被検出部10の軸方向溝11bと磁歪表面部28とに、検出部11のコイル巻線11a,11bの1つがそれぞれ対向している。その他の構成は第1の実施形態の場合と同じである。
この実施形態の荷重センサ内蔵車輪用軸受装置では、等速ジョイント13とハブ輪2Aとの間で軸方向に圧縮または引張する荷重が加わると、被検出部10に引張力または圧縮力が働く。この時、コイル巻線11a,11bの磁気抵抗は、引張、圧縮の力の大きさにより変化するが、軸方向溝10bに対向するコイル巻線11aの方が感度は良く、磁歪表面部28に対向するコイル巻線11bは温度補償用として機能する。各コイル巻線11a,11bで検出される信号は、図3に示した検出回路で第1の実施形態の場合と同じ処理が行われ、これにより軸方向荷重の検出が可能となる。ここで得られる荷重センサ9の軸方向荷重の出力を情報として取込むことにより、自動車の走行安定性制御やステアバイワイヤシステムでの路面情報伝達に応用が可能となる。
この実施形態の場合も、被検出部10となる磁歪材として、たとえばバルク材やクラッド鋼などのFe−Al合金を用いることが可能である。これ以外にも、等速ジョイント外輪13aの表層にAlを拡散してFe−Al合金とすることで、被検出部10を設けても良い。Alを金属表層に拡散させる方法として、等速ジョイント外輪13aとAl粉末を入れた密閉容器を900℃前後に加熱することが行われる。この場合のAl拡散深さは、処理方法・時間によって変えることもできるが、数十μmから100μm程度の範囲で処理される。
上記Al拡散処理は、等速ジョイント外輪13aの母材である構造用鋼に次第に濃度が濃くなるように傾斜的にAlを拡散分布させて行う。これにより、等速ジョイント外輪13aの機械的強度を低下させることなく、磁歪特性の高い磁歪拡散層のFe−Al合金を得ることができる。Alを傾斜的な濃度となるように表面から分布させるために、Alは高温雰囲気下で表面から拡散させる。これにより、等速ジョイント外輪13aの母材である鋼材に、表面から中心方向へ緩やかなカーブの濃度曲線を描きながら、次第にAlの濃度が薄くなる層を形成することが可能である。この傾斜的濃度の拡散層は、肉盛溶射の場合のようなポアのない均一な合金層に形成され、疲労による早期亀裂の発生が大幅に抑制される。また、熱処理時の割れも発生しない。
また、Fe−Al合金のバルク材から作成された磁歪材であれば、脆いために加工性が低下するが、上記の拡散処理によると、ハブ輪2Aの機械加工終了後にAlの拡散処理を行うことから、通常の鋼材と同じ加工性を有し、生産性が著しく向上する。そのため低コストにできる。等速ジョイント外輪13a全体をAl拡散処理する代わりに、リング状の鋼材にAl拡散処理を施してから、等速ジョイント外輪13aに固着するようにしても良い。Fe−Alクラッド鋼を使用する場合には、母材となる炭素鋼部を削除したFe−Al合金層のみを被検出部10として等速ジョイント外輪13aに固着しても良い。この場合、Fe−Al合金と炭素鋼からなる等速ジョイント外輪13aとの溶接性が良いので、かえって好都合である。
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の荷重センサ内蔵車輪用軸受装置は、図1ないし図3に示す第1の実施形態において、荷重センサ9のほかに、車輪の回転を検出する回転センサ29を設けたものである。この回転センサ29はアクティブ方式のものであって、磁気エンコーダ30と磁気センサ31とで構成される。磁気エンコーダ30は、N極,S極を円周方向に交互に着磁させた磁石30aを、断面L字状のリング状芯金30bの立板部一側面に固定してなるアキシアル型のものであり、その芯金30bの円筒部を内輪2Bの外径面に圧入固着することにより、磁気エンコーダ30が内方部材2に取付けられる。磁気センサ31は、荷重センサ9の検出部11に組み込まれる。すなわち、検出部11の台座17の内部空間に、前記磁気エンコーダ30の磁石30aに対して軸方向に対向するように磁気センサ31を内蔵した樹脂からなるセンサケース32が固着される。磁気センサ31としては、ホールICやMR素子を用いることができる。台座17は荷重センサ検出部11のヨーク11cと一体とした構成でも良い。
この実施形態の荷重センサ内蔵車輪用軸受装置では、車輪の軸受部にかかる荷重だけでなく、車輪の回転も検出することができる。また、この実施形態では、荷重センサ検出部11を磁気センサ31を含めた一体構造にすることで、配線の本数の削減と、回転センサ29の密閉構造内への組込みとが可能となり、結果的に回転センサ29の防水対策にもなる。
図6は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の荷重センサ内蔵車輪用軸受装置は、図5に示す実施形態において、ハブ輪2Aの加締部2Aaで内輪2Bを軸方向に締め付け固定していたのに代えて、等速ジョイント外輪13aの外径面の段差面13cと、等速ジョイント外輪13aのステム14の雄ねじ部15に螺合するナット16とで内輪2Bを軸方向に締め付け固定するようにしたものである。等速ジョイント外輪13aの上記段差面13cは、荷重センサ被検出部10の固着部からステム14へと外径が縮径変化する部分の側面であり、前記ナット16の締め付けで前記段差面13cが内輪2Bのインボード側幅面に押し当てられることにより、内輪2Bがハブ輪2Aに対して軸方向に締め付け固定される。その他の構成は図5の実施形態と同じである。
1…外方部材
2…内方部材
3…転動体
4,5…転走面
7,8…シール(密封装置)
9…荷重センサ
10…被検出部
10a…傾斜溝
10b…軸方向溝
11…検出部
11a,11b…コイル巻線
13…等速ジョイント
13a…外輪
28…磁歪表面部
29…回転センサ(回転検出手段)
30…磁気エンコーダ
31…磁気センサ
33…除肉部
2…内方部材
3…転動体
4,5…転走面
7,8…シール(密封装置)
9…荷重センサ
10…被検出部
10a…傾斜溝
10b…軸方向溝
11…検出部
11a,11b…コイル巻線
13…等速ジョイント
13a…外輪
28…磁歪表面部
29…回転センサ(回転検出手段)
30…磁気エンコーダ
31…磁気センサ
33…除肉部
Claims (8)
- 複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体と、外方部材と内方部材間の両端を密封する密封装置とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、
前記内方部材に結合された等速ジョイントの外輪に配置された被検出部と、この被検出部に対向して前記外方部材に配置され前記被検出部の変化を検出することで車輪用軸受に作用する荷重を検出する検出部とでなる荷重センサを設けたことを特徴とする荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。 - 請求項1において、前記荷重センサが磁歪式センサであって、等速ジョイントの外輪に配置された磁歪材からなる被検出部と、外方部材に配置されたコイル巻線からなる検出部とでなる荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。
- 請求項2において、前記磁歪材がFe−Al合金であってその表面に略45度方向に複数の溝が形成されたものであり、前記荷重センサがトルク値として荷重を検出する磁歪式トルクセンサである荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。
- 請求項2において、前記磁歪材がFe−Al合金であって、その表面に複数の軸方向溝が形成された部分と前記軸方向溝が形成されない部分とがあり、前記検出部が、前記磁歪材からなる被検出部の前記軸方向溝が形成された部分と形成されない部分の磁気抵抗値をぞれぞれ検出する2つの検出コイルを有し、前記荷重センサは、前記2つの検出コイルで検出される磁気抵抗差を取って軸方向荷重を検出するものである荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。
- 請求項4において、Fe−Al合金がクラッド鋼からなり、クラッド鋼のFe−Al合金層と等速ジョイント外輪とを溶接接合した荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。
- 請求項4において、Fe−Al合金が、等速ジョイント外輪の表層にAlを拡散して形成したもの、またはFeにAlを拡散したリングを固着したものである荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、等速ジョイントの外輪の前記被検出部が設けられた軸方向範囲付近における回転中心部に除肉部を設けた荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、荷重検出用の検出部内に、回転速度を検出する回転検出手段を設けた荷重センサ内蔵車輪用軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004139355A JP2005321291A (ja) | 2004-05-10 | 2004-05-10 | 荷重センサ内蔵車輪用軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019219169A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 日本精工株式会社 | トルク測定装置 |
KR102171408B1 (ko) * | 2019-05-17 | 2020-10-29 | 허용수 | 멀티트랙 엔코더를 이용한 주행환경 실시간 예측 스마트휠 센서모듈 |
DE112021001706T5 (de) | 2020-03-18 | 2023-01-12 | Fanuc Corporation | Drehwellenstruktur mit kraftsensor und roboter |
-
2004
- 2004-05-10 JP JP2004139355A patent/JP2005321291A/ja active Pending
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JP7067297B2 (ja) | 2018-06-15 | 2022-05-16 | 日本精工株式会社 | トルク測定装置 |
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