JP2005320578A - パルスめっき皮膜、その製造方法、それに用いるパルスめっき装置とパルスめっき用電源装置 - Google Patents

パルスめっき皮膜、その製造方法、それに用いるパルスめっき装置とパルスめっき用電源装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 めっき粒子の粒径がnmオーダーであり、エッジ効果が抑制されているパルスめっき皮膜とその製造方法、それに用いるパルスめっき装置とパルスめっき用電源装置を提供する。
【解決手段】 めっき浴中に陽極と陰極を対向配置し、両極間にパルス電力を印加して陰極にパルスめっき皮膜を製造する方法において、
パルス電力の印加時に、陽極と陰極の間に非ファラデー電流を流し、かつ、パルス電力における1回のパルス周期は、非ファラデー電流が流れる時間帯より長い時間をオン時間とし、非ファラデー電流が流れる時間帯内の時間をオフ時間とするパルスめっき皮膜の製造方法。
【選択図】 図5

Description

本発明はパルスめっき皮膜、その製造方法、それに用いるパルスめっき装置とパルスめっき用電源装置に関し、更に詳しくは、めっき皮膜を構成するめっき粒子が従来に比べて極めて微細であり、めっき皮膜の組成が均一化していて、膜厚の精度は高くそのばらつきは小さい新規なパルスめっき皮膜と、その製造方法、ならびにその皮膜製造に用いるパルスめっき装置とそのための電源装置に関する。
材料本来の性質を保持しながら表面を改質して新たな機能を発現させるために、各種の表面処理方法が試みられている。それら表面処理のうち、電気めっき方法は操作が簡単であり、しかも膜厚制御が行いやすいので、例えば各種の電子材料の開発分野においても広く適用されている。
この電気めっき法は、直流電流を用いる直流めっき法とパルス電流を用いるパルスめっき法に大別されるが、パルスめっき法は、直流めっき法に比べて、高電流密度でのめっき皮膜形成が可能である。
そのため、直流めっき法に比べると、めっき成分の拡散律速の場合に観察される針状結晶や樹枝状結晶(デンドライト)の析出が抑制されて平滑なめっき皮膜の形成が可能となり、また、析出する結晶粒の微細化とめっき皮膜の緻密化や高硬度化が実現する。すなわち、パルスめっき法は、直流めっき法に比べてめっき皮膜の性能向上という点で有利である。
しかしながら、パルスめっき法では、直流めっき法の場合以上に、形成されるめっき皮膜に対して陰極(被めっき材)近傍の電位分布が強く影響する。そのため、例えば陰極の端部では、そこにパルス電流が局部的に集中して端部における電流密度が高くなる現象、いわゆるエッジ効果が発現し、その結果、端部におけるめっき皮膜が厚くなり、また合金めっきの場合は組成分布が生じるという問題が発生する。
このエッジ効果の抑制とめっき皮膜の膜厚の均一化のためには、被めっき材である陰極の端部近傍に絶縁性の遮蔽板を当該陰極の表面に対して垂直に設置することの有効性が提案されている(非特許文献1を参照)。
この方法によれば、陰極と遮蔽板で囲まれた領域における等電位線が陰極に近づくにつれて平行になり、陰極へ流れ込む電流の分布に偏りがなくなる。その結果、陰極表面への金属イオンの移動が一様になるので、エッジ効果が低減すると考察されている。
ところで、近年、Pbフリーのはんだ材料の開発が進められているが、そのようなはんだ材料の1つとしてAu−Sn合金箔がある。このAu−Sn合金は、AuとSnの析出電位が大幅に異なるので、従来は溶製したのち箔体化して製造されていたが、最近では、対象材料の表面に電気めっき法でAu−Sn合金の薄膜を直接形成することが試みられている。
その1例として、Au−Sn合金のめっき皮膜をパルスめっきで形成することが提案されている(特許文献1を参照)。
この特許文献1の技術では、めっき浴に例えばSn安定化剤などの添加剤を添加した状態で、オン時間が2〜5ms、オフ時間が3〜9msを1周期とするパルス電流を印加することにより、Au−Sn合金のめっき皮膜を形成している。
しかしながら、そこで形成されているめっき皮膜の組織はデンドライトになっていて、その表面は平滑とはいえない。また、添加剤の一部がめっき皮膜の中に残留していることが想定されるので、めっき皮膜の組織は必ずしも均一化しているとはいえないと考えられる。
なお、溶着剤としての用途を考えた場合、上記したAu−Sn合金のめっき皮膜の場合、それを構成するめっき粒子は微細であればあるほど好適である。溶製品に比べて融点が低くなるので、溶着作業が行いやすくなるからである。
一方、めっき皮膜を構成するめっき粒子の結晶粒径の制御に関しては、めっき浴にシアン化合物、スルファミン酸、酸化剤、酸化防止剤、pH緩衝剤、安定化剤などの各種添加剤を添加する方法が開示されている(特許文献2を参照)。
しかしながら、この方法の場合、これらの添加剤がめっき皮膜の中に取込まれて一部残留し、めっき皮膜の組成の不均一性を招いたり、皮膜性能の劣化を引き起こしたりする場合がある。また、めっき浴には各種の添加剤が含まれているので、環境規制の関係でめっき浴に対しては所定の廃液処理をすることが必要になる。
このようなことから、添加剤の使用は極力抑制しためっき粒子の粒径制御が好ましいことになるが、この点からすると、上記した特許文献2の先行技術には問題がある。
化学工学論文集、786〜793頁、第22巻 第4号(1996) 米国特許第6,245,208 B1 特開平8−53790号公報
本発明者らは、直流めっきに対するパルスめっきの有用性を確認したうえで、その実用化とめっき皮膜の制御に関する研究を進めるに当り、研究の課題を次のように設定した。
第1の課題は、めっき皮膜を構成するめっき粒子の粒径を極力微細にする、具体的にはnmオーダーに制御することである。
第2の課題は、エッジ効果を抑制することである。
第3の課題は、各種の添加剤の使用を極力抑制してもなおかつ、第1の目的を実現することである。
本発明は、上記した課題およびそれに関連して生起する課題が達成されているパルスめっき皮膜とその製造方法、ならびにそのために用いるパルスめっき装置とパルスめっき用電源装置の提供を目的とする。
本発明者らは上記した目的を達成するために、まず後述するように、パルスめっきのメカニズムに関する検討を行い、そこから引き出した考察に基づいて鋭意研究を重ねた結果、本発明のめっき皮膜、その製造方法、それに用いるパルスめっき装置とパルスめっき用電源を開発するに到った。
すなわち、本発明においては、まず、
微細なめっき粒子の集合組織から成る層を基本単位とし、前記基本単位の複数層が積層された構造であることを特徴とするパルスめっき皮膜、とくに、前記めっき粒子の粒径が
10〜500nmであり、かつ前記基本単位の厚みが0.1〜2μmであるパルスめっき皮膜が提供される。
また、本発明においては、
めっき浴中に陽極と陰極を対向配置し、両極間にパルス電力を印加して前記陰極にパルスめっき皮膜を製造する方法において、
前記パルス電力の印加時に、前記陽極と前記陰極の間に非ファラデー電流を流し、かつ、前記パルス電力における1回のパルス周期は、前記非ファラデー電流が流れる時間帯より長い時間をオン時間とし、前記非ファラデー電流が流れる時間帯内の時間をオフ時間とすることを特徴とするパルスめっき皮膜の製造方法が提供される。
また、本発明においては、
めっき槽と、前記めっき槽に収容されためっき浴と、前記めっき浴に浸漬されて互いに対向配置された陽極と陰極を備えるめっき装置において、
前記陽極が、主陽極と、前記主陽極の両側部に間隔を置いて配置され、かつ、前記主陽極よりも低電位で動作する2個の補助陽極とから成ることを特徴とするパルスめっき装置が提供される。
更に、本発明においては、
直流電源と、前記直流電源をスイッチングして、一対のめっき用電極間にパルス電力を印加するスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオン/オフ駆動する発振器と、前記スイッチング素子のオフ駆動時に、前記一対のめっき用電極間に逆電流が流れるように前記一対のめっき用電極間に並列接続されたダイオードと、前記ダイオードと前記直流電源との間に介装されたシャント抵抗とを備えていることを特徴とするパルスめっき用電源装置が提供される。
本発明の電源装置は、パルスオフ時に両極間に陰極から陽極へ逆電流が流れるような回路構成になっており、またシャント抵抗値も大きいので、パルスオン時には、両極間に非ファラデー電流が流れる。そして、オン時間を非ファラデー電流域の時間帯よりも長くしているので、めっき粒子の核生成が完了し、その結果、良質なめっき皮膜の形成が実現する。
また、めっき装置における陽極を、主陽極とその両側部に配置される補助陽極で構成し、しかも補助陽極を主陽極よりも低電位で動作させるようにしたので、主陽極からの電気力線は陰極の端部近傍に集中しなくなり、そのため、エッジ効果が大幅に抑制される。
最初に、Au−Sn合金から成る本発明のパルスめっき皮膜の顕微鏡写真を示す。
図1は本発明のパルスめっき皮膜の断面全体を示す走査電顕写真である。
図1から明らかなように、厚み60μmのめっき皮膜にデンドライトの析出は認められず、また皮膜表面は極めて平滑な状態になっている。
図2は、陰極(被めっき材)の表面近傍に形成されているめっき皮膜の一部を示す走査電顕写真である。
図2から明らかなように、このめっき皮膜は厚みが1.50μm程度の層を基本単位としており、この基本単位の複数が順次積層して成る積層構造として形成されている。
図2における上記した基本単位は、後述するパルスめっき用電源装置を用い、それを作動したときの1周期のパルス電力の印加によって形成される。したがって、この基本単位の厚みは、後述するパルス電力の印加時におけるオン時間とオフ時間の長短によって基本的には規定される。
図3は、上記した基本単位の組織を示す走査電顕写真である。
図3から明らかなように、基本単位は粒径が50nm程度のめっき粒子の集合組織になっている。
このように、本発明のめっき皮膜は、図1〜図3で示したように、デンドライトは析出していないこと、表面は平滑であること、層状の基本単位の積層構造であること、各基本単位は非常に微細なめっき粒子の集合組織になっていることで特徴づけられる。
そのため、このめっき皮膜は次のような効果を発揮する。
まず、めっき粒子の粒径がnmオーダと微細であるため、その結晶性はアモルファスライクである。そのため、めっき皮膜は、結晶方位に基づいて発現する機械的な異方性や物理的特性における異方性が小さくなっていて、特性的には略等方性を示す。
また、このめっき皮膜に例えば回路パターンの形成を目的としてエッチング処理を施した場合、皮膜を構成するめっき粒子が微細であるため、エッチング処理によって表出した端部の形状はシャープとなり、回路パターンを設計基準に則った形状に加工することができる。すなわち、微細な回路パターンであってもそれを形成することができる。
更に、めっき皮膜は微細なめっき粒子の集合組織になっているので、当該めっき皮膜における残留応力は小さくなる。そのため、パルスめっき時にめっき浴に添加する応力緩和剤などの添加量を低減することができ、その後の廃液処理時の負荷を軽減することができる。
このめっき皮膜において、基本単位を構成するめっき粒子の粒径が大きすぎると、残留応力の増加や皮膜特性の異方性化などが起こりはじめ、また小さすぎると、そのようなめっき粒子の析出に適用するパルスの条件設定が複雑化するので、このようなことを勘案して、めっき粒子の粒径はパルスのオン時間を制御して10〜500nmに設定することが好ましい。
また、基本単位の厚みが厚すぎると、めっき皮膜における残留応力が増加して各基本単位間での剥離などが起こる虞れもあり、逆に薄すぎると、陰極(被めっき材)の影響を受けてめっき歪みが大きくなる虞れがあるので、基本単位の厚みは、全体のパルスめっき時間を制御して0.1〜2μmに設定することが好ましい。
このパルスめっき皮膜は、次のような技術思想に基づいて形成されている。
まず、パルスめっきの機構は、従来から次のように理解されている。
めっき浴中に陽極と陰極(被めっき材)を対向配置して、両極間に所定のパルス電圧を印加すると、パルスのオン時にめっき浴中の金属イオンは陰極に析出する。そしてパルスのオフ時に、金属イオンの析出は停止する。この挙動を反復させることにより、めっき層の厚み成長が進み、所定時間の経過後には、所定厚みのパルスめっき皮膜が形成される。
上記した従来のパルスめっきの機構に関する定説は、両極が対向配置されているめっき浴の部分を抵抗成分として位置づけ、それゆえパルスオン時からただちに所定値のファラデー電流が流れるという想定を前提としている。
しかしながら、本発明者らは、上記した従来の定説に関して検討し、次の点に着目した。
すなわち、第1の着目点は、めっき浴は、水と、金属イオンを有する無機物または錯化物と、各種添加剤とから構成されているが、それらの構成物質にはそれぞれ固有の比誘電率を有しているために、パルス電圧の印加時においては、とくにパルスオン時には、両極間にはある種の過渡現象である非ファラデー電流が流れ、所定時間の経過後、定常のファラデー電流が流れ、そして、この非ファラデー電流が流れる過程で、めっき粒子の核生成が開始・進行するということである。
第2の着目点は、従来のパルスめっきは両極間を抵抗成分とする等価回路で表現していたが、本発明者らは、両極間を抵抗成分と容量成分の並列回路と位置づけたことである。
すなわち、パルスオンすると、荷電状態の金属イオンは陰極に析出するが、このとき同時に充電する。したがって、陽極と陰極間に閉回路が形成されていない場合には、放電電流は流れることなく、電荷は陰極に蓄積される。すなわち、両極間には、等価回路的にコンデンサが形成されていることになると考えられるからである。
したがって、陽極と陰極間に、パルスオフ時に陰極の放電電流が流れる閉回路を形成すれば、陰極の放電電流が陽極に流れることになり、放電後は、めっき浴はパルスオン時以前の状態、すなわち、めっき浴の分極がなくなり、電気的に中和である安定状態になる。
このような着目点に基づき、本発明者らは次のような考察を行った。
まず、第1の着目点からは、非ファラデー電流域で生成するめっき粒子の核を充分に成長させることは、次のファラデー電流域でのめっき粒子の成長を円滑に進行させ、その結果として、良質なめっき皮膜の形成が可能になるとの着想を抱いた。そして、この着想に基づき、パルスオン時には、核生成を完了させてから定常のファデー電流域でのめっきを進行させることが有効であると考察したのである。
また、第2の着目点からは、陽極と陰極間にパルスオフ時に陰極の放電電流が流れる閉回路を形成すると、パルスオン時に充電された電荷が放電されてめっき浴は無極性になり、電気的に中和な状態、すなわち安定状態になり、放電の完了後に再度パルスオンを行うと、めっき初期時のめっき粒子が析出し、このオン/オフ動作を反復することにより、そのめっき粒子で構成される層が積層されて成るめっき皮膜が形成されると考察したのである。
このような考察に基づいて、本発明者らは、図4で示したようなめっき装置とめっき用電源装置を組み立てた。
図4において、本発明のパルスめっき装置Aは、めっき槽1と、それに収容されている所定のめっき浴(図示しない)と、めっき浴に浸漬され、互いに対向配置されている陽極2と陰極3で構成されている。
そして、陽極2は、主陽極2Aと、この主陽極2Aの両側部に離隔して配置された2個の補助陽極2B,2Bで構成されていることを特徴とする。
一方、本発明のパルスめっき用電源装置B1,B2は、いずれも、直流電源4と、この直流電源をスイッチングするスイッチング素子5と、スイッチング素子に接続されてそのオン/オフ駆動を指令する発振器6と、陽極2と陰極3の間に並列接続され、陰極3の放電電流を陽極2への逆電流として流せるような極性で接続されたダイオード7と、このダイオード7と直流電源1の間に介装されているシャント抵抗8で構成されている。
この電源装置B1,B2の特徴は次の点にある。すなわち、従来のパルスめっき用電源は、通常、スイッチング素子と直流電源の間にコンデンサを並列接続して両極間への印加電圧の立上げを早くし、またパルスオフ時に陰極から陽極への逆電流が流れることを防止するために、トランジスタ7に大きな抵抗を直列接続していたのであるが、本発明の電源装置B1,B2は、いずれも、上記したコンデンサを配置せず、また、上記した直列接続の抵抗を配置していないところに特徴がある。
とくに、トランジスタ7のスナバー抵抗を除去し、また、シャント抵抗8を0.01〜10Ωと従来に比べて非常に大きくすることにより、パルスオフ時における陰極の放電電流が陽極に流れるようにした点が回路設計上の特徴点である。
これら電源装置のうち、電源装置B1は主陽極2Aと陰極3に接続され、電源装置B2は補助電極2B,2Bと陰極3に接続されている。
ここで、補助陽極2B,2Bは、当該補助陽極と陰極3の端部との間に電場を形成し、その電場内に、主陽極2Aと陰極3間に形成されている電気力線と、主陽極2Aの側部やその近傍の背面から回り込んで来る電気力線が進入することを防ぎ、もって陰極3の端部におけるエッジ効果を抑制するために配置される。
その場合、補助陽極2B,2Bは主陽極2Aよりも低電位で作動させることが必要である。例えば、主陽極の電位に対し、5〜50%程度の電位で作動させる。仮に、補助陽極2B,2Bの方が主陽極2Aよりも高電位で作動させると、主陽極2Aから陰極3への電気力線は陽極3の中央部に偏奇して集中するようになり、今度は陰極の端部近傍におけるめっき皮膜の膜厚が薄くなり、かつ陰極中央部における膜厚が厚くなり、いずれにしても膜厚のばらつきが大きくなるからである。
なお、補助陽極2B,2Bは、それぞれ、主陽極2Aの両側部から当該主陽極の厚みに対し、0.5〜1.5倍程度の間隔を置いて配置することが好ましい。めっき皮膜の膜厚のばらつきを1%以下におさえることができるからである。
以上の装置において、例えば、電源装置B1における直流電源4を作動し、発振器6を作動したときの両極間における電圧・電流波形の測定結果の1例を図5に示す。
図5から明らかなように、この電源装置B1では、パルスオンしてから約10秒の時間、陽極2Aと陰極3の間に非ファラデー電流が流れ、それ以後は約120mAのファラデー電流が流れている。
また、オン時間130秒、オフ時間10秒となるように発振器6を作動し、そのときの陽極2Aと陰極3の間における電流・電圧波形の1例を図6に示す。
図6から明らかなように、両極間にはパルスオフ時に陰極から陽極への逆電流が流れていて、本発明者らの前記した考察の正しさが裏付けられている。
本発明のめっき皮膜の製造に際しては、上記した装置を用い、電源装置B1,B2を作動する。このときの主陽極2A、補助陽極2B,2Bにおける電流・電圧波形の1例を図7に示す。
図7から明らかなように、主陽極2Aには非ファラデー電流が流れており、時間経過とともにめっき粒子における核生成が進行していることが想定される。
一方、補助陽極の場合、その電位は主陽極のそれに比べて0.5V程度低電位を維持しているが、パルスオンから約1秒経過すると、補助陽極から陰極へ流れる電流はゼロとなっている。すなわち、この電極構造の場合、パルスオン以後所定時間が経過すると、補助陽極と陰極端部間に電場は形成されるが、電流は流れなくなるのである。
このことと、上記した非ファラデー電流域の時間帯のことを考慮して、本発明においては、パルスオンの時間は非ファラデー電流が流れる時間帯よりも長い時間に設定される。
しかし、パルスオンの時間をあまり長くすると、めっき粒子の粗大化が進み、形成されためっき皮膜の緻密化が阻害され、めっき浴中の添加剤の取り込み量も増加するので、最大でも600秒までとする。
具体的には10〜600秒に設定される。このようなオン時間であれば、めっき粒子の核生成が完了しており、しかも陰極端部へ流れる電流がゼロになり、そのため、パルスオン時にはエッジ効果を招くことなく良質なめっき皮膜が形成されるからである。
また、パルスオフの時間は、非ファラデー電流が流れる時間帯の範囲内に設定される。しかし、パルスオフ時間を短くしすぎると、パルスオフ時の放電が充分でないため、めっき浴の一部は分極した準安定状態になるために、パルスオン時には非ファラデー電流が流れずにファラデー電流が流れ、直流でのめっき時と同じように、めっき皮膜の構造にはデンドライトが析出する。そのために、放電時間、すなわちパルスオフ時間は、短くても0.1秒までとする。具体的には、0.1〜20秒に設定される。
本発明は、例えば、Sn、Sn−Cu−Ag、Sn−Zn−Bi,Au−SnのようなPbフリーのはんだめっき皮膜の形成に適用できる。また、Ni−Fe−Co−Mo磁性合金に適用して固定ディスク(HDD)の磁気ヘッドや記録媒体の製造にとっても有用であり、Ni−Co合金では、MEMSでの電極と、CDとDVDの記録媒体の原盤の製造に適用することができ、マイクロマシン成形用の金型の表面改質などに適用することができ、その工業的価値は大である。
本発明のパルスめっき皮膜の断面を示す走査電顕写真である。 パルスめっき皮膜の層構造を示す走査電顕写真である。 パルスめっき皮膜における基本単位の組織を示す走査電顕写真である。 本発明のめっき装置と電源装置を示す回路図である。 陽極と陰極間の電圧・電流波形の1例を示すグラフである。 パルス電力印加時における陽極と陰極間の電流・電圧波形の1例を示すグラフである。 主陽極と補助陽極における電流・電圧波形の1例を示すグラフである。
符号の説明
1 めっき槽
2 陽極
2A 主陽極
2B 補助陽極
3 陰極
4 直流電源
5 スイッチング素子
6 発振器
7 ダイオード
8 シャント抵抗
A パルスめっき装置
1,B2 パルスめっき用電源

Claims (9)

  1. 微細なめっき粒子の集合組織から成る層を基本単位とし、前記基本単位の複数層が積層された構造であることを特徴とするパルスめっき皮膜。
  2. 前記めっき粒子の粒径が10〜500nmであり、かつ前記基本単位の厚みが
    0.1〜2μmである請求項1のパルスめっき皮膜。
  3. 前記めっき粒子が金属または合金めっきの粒子である請求項1または2のパルスめっき皮膜。
  4. めっき浴中に陽極と陰極を対向配置し、両極間にパルス電力を印加して前記陰極にパルスめっき皮膜を製造する方法において、
    前記パルス電力の印加時に、前記陽極と前記陰極の間に非ファラデー電流を流し、かつ、前記パルス電力における1回のパルス周期は、前記非ファラデー電流が流れる時間帯より長い時間をオン時間とし、前記非ファラデー電流が流れる時間帯内の時間をオフ時間とすることを特徴とするパルスめっき皮膜の製造方法。
  5. めっき槽と、前記めっき槽に収容されためっき浴と、前記めっき浴に浸漬されて互いに対向配置された陽極と陰極を備えるめっき装置において、
    前記陽極が、主陽極と、前記主陽極の両側部に間隔を置いて配置され、かつ、前記主陽極よりも低電位で動作する2個の補助陽極とから成ることを特徴とするパルスめっき装置。
  6. 前記補助陽極と前記主陽極の側部との間隔が、前記主陽極の厚みに対し0.5〜
    1.5倍の長さである請求項5のパルスめっき装置。
  7. 直流電源と、前記直流電源をスイッチングして、一対のめっき用電極間にパルス電力を印加するスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオン/オフ駆動する発振器と、前記スイッチング素子のオフ駆動時に、前記一対のめっき用電極間に逆電流が流れるように前記一対のめっき用電極間に並列接続されたダイオードと、前記ダイオードと前記直流電源との間に介装されたシャント抵抗とを備えていることを特徴とするパルスめっき用電源装置。
  8. 前記シャント抵抗の抵抗値が0.01〜10Ωである請求項7のパルスめっき用電源装置。
  9. 前記発振器は、一対のめっき用電極間に非ファラデー電流が流れる時間帯より長い時間で前記スイッチング素子をオン駆動させ、前記一対のめっき用電極間に非ファラデー電流が流れる時間帯内で前記スイッチング素子をオフ駆動させる請求項7または8のパルスめっき用電源装置。
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