JP2005320493A - 圧縮成形用ポリエステル樹脂及びプリフォームの製造方法 - Google Patents

圧縮成形用ポリエステル樹脂及びプリフォームの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 合成樹脂供給装置の保持手段及び案内手段等の搬送手段に蓄積物を形成することがなく、長期にわたって安定して圧縮成形装置に溶融樹脂塊を供給可能な圧縮成形用ポリエステル樹脂を提供することである。
【解決手段】 絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下の量であることを特徴とする圧縮成形用ポリエステル樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、圧縮成形用ポリエステル樹脂に関し、より詳細には、圧縮成形機への溶融樹脂塊を供給する手段に樹脂が付着する原因となる成分が低減され、圧縮成形機へのスムーズな供給が可能な圧縮成形用ポリエステル樹脂及び生産性に優れたプリフォームの製造方法に関する。
飲料等を充填するための容器としては、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂から成るものが広く使用されており、かかる容器は、合成樹脂の射出成形により有底プリフォームを予め形成し、このプリフォームをその延伸温度に予備加熱し、ブロー金型中で軸方向に引張り延伸すると共に、周方向にブロー延伸する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなプリフォームの製法として、成形機中での滞留時間が短く樹脂の劣化が少ないと共に、底部にゲート部が存在しないことから、樹脂の圧縮成形で製造することも既に知られている。例えば、熱可塑性樹脂溶融物を押出し、且つほぼ定量の溶融塊に切断する工程と、雄型と雌型とを相対的に移動可能に配置し、溶融塊を型内に供給する工程と、型内の残留空気を排出しながら、有底胴部と口部とを備えた成形物に圧縮成形する工程と,圧縮成形物を冷却固化し、成形物を型外に排出する工程とから成るプリフォームの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
このような圧縮成形によるプリフォームの成形においては、雄型手段と雌型手段とを閉状態にして両者間に成形型空間を規定する前に、雌型手段又は雄型手段に合成樹脂を供給することが必要であり、かかる合成樹脂の供給は、例えば、押出ノズルの押出開口から切り離された溶融状態の合成樹脂をそのまま保持して成形装置の所要部位まで搬送することを可能にする合成樹脂供給装置が提案されている(特許文献3)。
特開平4−154535号公報 特開2000−25729号公報 特開2000−280248号公報
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートのような通常のポリエステル樹脂を、上記合成樹脂供給装置を用いて圧縮成形機への溶融樹脂塊の供給を行った場合に、運転開始後ある程度の時間が経過すると、溶融樹脂塊を確実に圧縮成形機に供給できない場合が生じた。
この原因について調査した結果、圧縮成形によるプリフォームの連続成形に際して、成形機の運転開始時点からある程度の時間が経過すると、合成樹脂供給装置の溶融樹脂塊の保持手段(ホルダー)及び溶融樹脂塊を、圧縮成形型に案内する案内手段(スロート)に特定の成分が付着してこれが蓄積し、この蓄積物が溶融樹脂塊の落下を妨げることに起因して、溶融樹脂塊の落下のタイミングが変化してしまうことがわかった。
従って本発明の目的は、合成樹脂供給装置の保持手段及び案内手段等の搬送手段に蓄積物を形成することがなく、長期にわたって安定して圧縮成形装置に溶融樹脂塊を供給可能な圧縮成形用ポリエステル樹脂を提供することである。
本発明の他の目的は、合成樹脂供給装置における保持手段及び案内手段等の搬送手段に蓄積物を形成することなく、長期にわたって安定して溶融樹脂塊を圧縮成形機に供給して、生産性よくプリフォームを成形可能な製造方法を提供することである。
本発明によれば、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下の量であることを特徴とする圧縮成形用ポリエステル樹脂が提供される。
本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂においては、
1.固有粘度が0.8乃至1.3dL/gの範囲にあること、
2.ポリエステル樹脂中の重量平均分子量500〜2000範囲の低分子量成分が1.1重量%以下であること、
が好ましい。
本発明によればまた、ポリエステル樹脂から成る溶融樹脂塊を圧縮成形金型に供給し、これを圧縮成形してプリフォームを製造する方法において、前記溶融樹脂塊を、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80%重量以下の量のポリエステル樹脂から形成することを特徴とするプリフォームの製造方法が提供される。
本発明のプリフォームの製造方法においては、溶融樹脂塊の固有粘度が0.8乃至1.3dL/gの範囲にあることが好ましい。
本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂によれば、圧縮成形機への溶融樹脂塊の供給を行う供給装置におけるホルダー及びスロートへの付着物がなく、長期にわたって連続運転を行ってもホルダー及びスロートへの付着物の蓄積がないため、溶融樹脂塊の落下のタイミングが変化することがなく、安定して圧縮成形機への溶融樹脂塊の供給が可能となる。
また、使用するポリエステル樹脂に固有の絡み合い点間重合度を基準に、この絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下に抑制されているポリエステル樹脂を使用することにより、効率よく圧縮成形によりプリフォームを成形することが可能となり、生産性に優れた製造方法を提供することが可能となる。
本発明においては特に、固有粘度が0.8乃至1.3dL/gの範囲のものであることが望ましく、これにより溶融樹脂塊のドローダウン傾向を抑制すると共に、カッターマークの発生を抑制することも可能となる。
本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂においては、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下の量であることが重要な特徴である。
前述した通り、ポリエステル樹脂から成るプリフォームを圧縮成形により成形する場合、圧縮成形機へポリエステル樹脂の溶融樹脂塊(ドロップ)を供給するのに、供給装置が用いられており、この供給装置における溶融樹脂塊を保持する保持手段(ホルダー)及び保持手段から圧縮成形型への案内となる案内手段(スロート)に、溶融樹脂塊との接触回数を重ねることにより付着物が蓄積し、成形機の運転開始からある程度の時間が経過すると、この蓄積物に溶融樹脂塊(ドロップ)が引っかかり、溶融樹脂塊の落下のタイミングが変化して、設定された圧縮成形機とのタイミングが合わなくなり、溶融樹脂塊が圧縮成形型に確実に供給できないという問題が生じていた。
本発明者等は、かかる蓄積物が溶融樹脂塊中のどのような成分であるかを分析したところ、ポリエステル樹脂中に含有されるモノマー成分、オリゴマー成分、高分子量成分が付着し、上記溶融樹脂塊の落下タイミングの変化においては、特にオリゴマー成分及び高分子量成分がその直接的な原因であることが判った。
ポリエステル樹脂中のオリゴマー成分は、ポリエステルボトル等をヒートセットする際、ヒートセット金型に移行して蓄積し、この蓄積物によりボトル表面の光沢の低下をもたらすことが知られているが、一般に高分子成分が移行して蓄積することは知られておらず、圧縮成形に用いられる溶融ポリエステル樹脂塊に固有のものであると考えられる。
本発明者等はかかる事実に鑑み、ホルダー及びスロートに付着した高分子量成分について鋭意研究した結果、蓄積物における高分子量成分は、使用するポリエステル樹脂の絡み合い点間重合度以下の重量平均分子量を有する高分子量成分であることを見出したのである。
一般に高分子液体の粘性挙動は、臨界重合度Ne(絡み合い点間重合度)を超えると急激に変化し、高分子の重合度NがN<Neでは、溶融粘度ηは重合度Nに比例するのに対し、N>Neの場合には溶融粘度ηは重合度Nの3乗の値に比例するようになる。このことは、後述する実施例で用いた種々のポリエステル樹脂の固有粘度と溶融粘度の関係を示した図1から明らかであり、臨界重合度(図1の直線A及びBの交点)を境に急激にその粘性が増加するのである。
従って、本発明においては、圧縮成形に用いるポリエステル樹脂の溶融樹脂塊の粘性を高く維持し、溶融樹脂塊から溶出しやすい高分子量成分である、絡み合い点間重合度以下の分子量成分の含有量を80重量%以下とすることにより、ホルダー等への高分子量成分の付着を顕著に低減し得ることを見出したのである。
本発明において、絡み合い点間重合度以下の分子量成分の含有量が80重量%を境にホルダー等への付着物の蓄積を顕著に低減し得ることは、後述する実施例の結果からも明らかである。すなわち、絡み合い点間重合度における分子量が1.0×10であるポリエステル樹脂において、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下のポリエステル樹脂を用いた場合には、ホルダー及びスロートの両方において、連続成形を2時間行った後においてもほとんど付着が生じていないのに対し(実施例1乃至9)、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%よりも大きいポリエステル樹脂を用いた場合には、ホルダー及びスロートの両方において、付着物が生じ、圧縮成形金型への落下のタイミングがずれているのである(比較例1乃至6)。
また、前述したようにヒートセットの際にオリゴマー成分が金型表面に付着するには、モノマー成分が介在していることが知られており、本発明における高分子量成分においても同様に、溶出したモノマー成分、オリゴマー成分を介在して高分子量成分が付着すると考えられ、事実ホルダー等の蓄積物にはオリゴマー成分も検出されていることから、本発明においては、高分子成分付着のバインダーとなるポリエステル樹脂中の重量平均分子量500〜2000範囲の低分子量成分が1.1重量%以下の範囲であることが好ましい。 このように特定範囲の低分子量成分の量を抑制することにより、それ自体の溶出による付着を抑制することは勿論、高分子量成分の付着を抑制することも可能となって、ホルダー等の蓄積物を低減させて、溶融樹脂塊の落下のタイミングを長期にわたって安定化させることが可能となるのである。
このことは後述する実施例の結果から、すなわち、ポリエステル樹脂中の重量平均分子量500〜2000範囲の低分子量成分が1.1%を超える場合(比較例2,3,5,6)、付着物の抑制効果が劣ることが明らかである。
(ポリエステル樹脂の合成)
本発明のポリエステル樹脂は、前述した通り、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下、特に75重量%以下の量であり、このような分子量分布を満足するように合成する以外はドライブレンド、二軸混練など従来公知の方法により調製することができる。
尚、絡み合い点間重合度は、ポリエステル樹脂の化学的組成によって決定され、一概に規定することはできないが、ホモポリエチレンテレフタレートの場合では、1.0×10の重量平均分子量を境に粘性が急激に変化することから、1.0×10の重量平均分子量以下の分子量成分をポリエステル樹脂中80重量%以下に制御する。
また、前述したように、重量平均分子量500〜2000の範囲の低分子量成分も絡み合い点間重合度以下の高分子量成分のバインダーに成ると共に、それ自体も溶出して付着することから、ポリエステル樹脂中1.1重量%、特に0.8重量%以下に制御されていることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂としては、これに限定されるものでないが、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール又はそのエステル形成性誘導体とを主体とする原料を、触媒の存在下に液相重合及び固相重合させることにより得られたものであることが好ましい。
ポリエステル樹脂の合成は、一般に、高純度テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)とを直接反応させてポリエチレンテレフタレート(PET)を合成する方法により行われ、通常2つの工程に分けられており、(A)TPAとEGとを反応させて、ビス−β−ヒドロキエチルテレフタレート(BHET)又はその低重縮合体を合成する工程、(B)BHET又はその低重縮合体からエチレングリコールを留去して重縮合を行う工程から成っている。
BHET又はその低重縮合体の合成はそれ自体公知の条件で行うことができ、例えばTPAに対するEGの量を1.1〜1.5モル倍として、EGの沸点以上、例えば220〜260℃の温度に加熱して、1〜5kg/cm の加圧下に、水を系外に留去しながら、エステル化を行う。この場合、TPA自体が触媒となるので、通常触媒は必要ないが、それ自体公知のエステル化触媒を用いることもできる。
第二段階の重縮合工程では、第一段階で得られたBHET又はその低重縮合体にそれ自体公知の重縮合触媒を加えた後、反応系を260〜290℃に保ちながら徐々に圧力を低下させ、最終的に1〜3mmHgの減圧下に撹拌し、生成するEGを系外に留去しながら、反応を進行させる。反応系の粘度によって分子量を検出し、所定の値に達したら、系外に吐出させ、冷却後チップとする。重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、アンチモン化合物等が使用されるが、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシドなどのゲルマニウム化合物を用いることが、結晶化温度域を前述した範囲に保つ上で好ましい。
本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂においては、エステル反復単位の大部分、一般に70モル%以上、特に80モル%以上をエチレンテレフタレート単位を占めるものが好ましく、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃で、融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃にある熱可塑性ポリエステルが好適である。
ホモポリエチレンテレフタレートが耐熱圧性の点で好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し得る。テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
ポリエステル樹脂を結晶化するに伴い内部に含有される環状三量体等の低分子量成分は外部にはみだし、低分子量成分の含有量は減少する。この結晶化温度は、低分子量成分の含有量の減少に関して最適範囲があり、一般にホモポリエチレンテレフタレートの場合で、100乃至140℃、特に115乃至125℃の範囲が適当であり、また処理時間は100乃至180分間、特に120乃至150分間が適当である。ポリエステル樹脂ペレットの結晶化のための熱処理は、例えば加熱窒素ガス等の加熱不活性ガスを用いて、流動床または固定床で行うことができ、また真空加熱炉内で行うこともできる。
次いで、この結晶化されたポリエステル樹脂のペレットを固相重合させる。この固相重合に際しては、溶融重合の場合とは異なり、固有粘度の増大に伴って、低分子量成分及び絡み合い点間重合度以下の分子量成分の低下を生じる。また、一般に固相重合温度の上昇に伴って低分子量成分及び絡み合い点間重合度以下の分子量成分の含有量が低下し、重合時間の増大に伴って低分子量成分及び絡み合い点間重合度以下の分子量成分の含有量が低下する。固相重合は、一般に160乃至260℃の温度、特に180乃至200℃の温度で2乃至10時間、特に4乃至6時間行うことが好ましい。固相重合時の加熱は、温度を変更する以外は結晶化の場合と同様であってよい。この固相重合時にもポリエステル樹脂の結晶化はある程度進行する。
尚、本発明の圧縮成形ポリエステル樹脂においては、一般に用いられている溶融重合で得られる固有粘度が0.65乃至0.8の範囲にある分子量分布を有しているポリエステル樹脂を用いても良いが、溶融樹脂のドローダウン傾向があり、また絡み合い点間重合度以下の分子量成分の存在と相俟ってホルダー等の搬送治具に密着して効率よく圧縮成形機に供給できない傾向を防止する点から、固有粘度が0.8乃至1.3dL/gの範囲の分子量分布を有しているポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。
すなわち、固有粘度が0.8dL/gよりも小さい場合には、溶融樹脂のドローダウンが生じやすく、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%よりも大きい場合にはホルダー等の搬送治具に密着して効率よく圧縮成形機に供給することが困難になる(比較例1乃至4)。一方、固有粘度が1.3dL/gよりも大きい場合には、圧縮成形の際、樹脂の流動性が劣り、プリフォームにカッターマークに起因する傷が生じるおそれがある。
固有粘度が0.8乃至1.3dL/gの範囲の分子量分布を有しているポリエステル樹脂は、上述したように、ポリエステル樹脂をペレタイズし、このペレットをポリエステル樹脂の結晶化温度に加熱して、ポリエステル樹脂の結晶化を行わせた後、固相重合させて得るのが好ましい。
(プリフォームの製造方法)
本発明のプリフォームの製造方法は、前述した通り、圧縮成形機に供給される溶融樹脂塊を、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80%重量以下の量のポリエステル樹脂から形成すること以外は、従来公知の圧縮成形法により成形することができる。
このように、使用するポリエステル樹脂に固有の絡み合い点間重合度を基準に、この絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下、特に75重量%以下のポリエステル樹脂を用いることにより、長時間連続運転を行っても、圧縮成形機への溶融樹脂塊の供給装置におけるホルダー及びスロート等の溶融樹脂塊の搬送手段に付着物の蓄積がなく、搬送手段の頻繁な清掃の必要がなく、生産効率よくプリフォームを製造することが可能となる。
また、前記ポリエステル樹脂の固有粘度は、上述したように0.8乃至1.3dL/gの範囲が好ましく、より一層、ホルダー及びスロート等の溶融樹脂塊の搬送手段に付着物の蓄積がなく、搬送手段の頻繁な清掃の必要がなく、生産効率よくプリフォームを製造することが可能となる。
すなわち、押出機により本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂の溶融物を連続的に押し出すと共に、合成樹脂供給装置の切断手段(カッター)によりこれを切断して、溶融状態にあるプリフォーム用の前駆成形体である溶融樹脂塊(ドロップ)を製造し、この溶融樹脂塊を保持手段(ホルダー)で保持し、圧縮成形機のキャビティ型に案内手段(スロート)を介して投入した後、これをコア型で圧縮成形し、冷却固化することによりプリフォームを成形する。この際前述した通り、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下であることが、供給装置におけるホルダー及びスロートへの高分子量成分及びオリゴマーの付着を防止し、溶融樹脂塊の搬送性を向上すると共に、成形性を確保するための樹脂の流動性の点で重要である。
また本発明のプリフォームの製法においては、溶融ポリエステル樹脂の溶融押出温度が、ポリエステル樹脂の融点(Tm)を基準として、Tm+5℃乃至Tm+40℃、特にTm+10℃乃至Tm+30℃の範囲であることが、一様な溶融押出物を形成すると共に、樹脂の熱劣化やドローダウンを防止する上で好ましい。
また溶融樹脂の混練を押出機で行う際、ベントを引いて行うことが特に好ましく、これによりオリゴマー成分、絡み合い点間重合度以下の分子量成分の溶出を抑制し、溶融押出物の粘着を抑制してホルダー及びスロートへの付着を防止することが可能となる。
図2及び図3は、本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂を用いてプリフォームを成形する際に用いる成形装置を示す説明図であり、図2は成形システムの全体を示す図であり、図3は、図2のX部分における断面図であり、溶融樹脂塊を落下させるために切断・保持手段が溶融樹脂塊を挟持している状態を示す部分断面図である。
全体を1で示す圧縮成形装置は、矢印Aで示す方向に回転駆動する比較的大径の回転円盤38を含み、この回転円盤38の周縁には、周方向に等間隔をおいて複数個の成形型40が配設されている。成形型40の各々は、雌型48及び雄型50から成り、成形型40が溶融樹脂塊の供給位置に位置すると、雄型は開位置に上昇し、雌型48内に剛性樹脂供給装置20の切断・保持機構22から溶融樹脂塊34が供給される。成形型40が成形域に位置すると、雄型50が閉位置に下降し、雌型48と雄型50の協働により溶融樹脂塊34が所要形状のプリフォームに圧縮成形される。成形型40が搬出位置に至ると雄型50は開位置に上昇して、成形されたプリフォームが取り出される。
更に、詳細に説明すると、押出機から押出されたストランドを切断手段28で切断してなる溶融樹脂塊34をホルダー30及びプッシャー32から成る切断・保持手段で保持する。成形型40が供給位置に至ると、プッシャー32が移動して溶融樹脂塊34が下方に落下する。雌型48にはスロート56が設けられており、このスロート56を介して溶融樹脂塊34が雌型48内に安定して供給される。本発明においては特にホルダー及びスロートに溶融樹脂塊からのオリゴマー成分や高分子量成分の付着が抑制されているので、溶融樹脂塊の落下のタイミングが一定であり、安定して成形型に溶融樹脂塊を長期にわたって供給することが可能となるのである。
本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂を用いて成形されたプリフォームは、延伸ブロー成形されることにより、ボトル、広口カップ等の延伸成形容器に成形される。
延伸ブロー成形においては、本発明の圧縮成形用ポリエステル樹脂を用いて成形されたプリフォームを延伸温度に加熱し、このプリフォームを軸方向に延伸すると共に周方向に二軸延伸ブロー成形して二軸延伸容器を製造する。
尚、プリフォームの成形とその延伸ブロー成形とは、コールドパリソン方式の他、プリフォームを完全に冷却しないで延伸ブロー成形を行うホットパリソン方式にも適用できる。
延伸ブローに先立って、必要により、プリフォームを熱風、赤外線ヒーター、高周波誘導加熱等の手段で延伸適正温度まで予備加熱する。その温度範囲はポリエステルの場合85乃至120℃、特に95乃至110℃の範囲あるのがよい。
このプリフォームを、それ自体公知の延伸ブロー成形機中に供給し、金型内にセットして、延伸棒の押し込みにより軸方向に引っ張り延伸すると共に、流体の吹込みにより周方向へ延伸成形する。金型温度は、一般に室温乃至190℃の範囲にあることが好ましいが、後述するようにワンモールド法で熱固定を行う場合は、金型温度を120乃至180℃に設定することが好ましい。
最終のポリエステル容器における延伸倍率は、面積倍率で1.5乃至25倍が適当であり、この中でも軸方向延伸倍率を1.2乃至6倍とし,周方向延伸倍率を1.2乃至4.5倍とするのが好ましい。
本発明のポリエステル容器は、それ自体公知の手段で熱固定することもできる。熱固定は、ブロー成形金型中で行うワンモールド法で行うこともできるし、ブロー成形金型とは別個の熱固定用の金型中で行うツーモールド法で行うこともできる。熱固定の温度は120乃至180℃の範囲が適当である。
また他の延伸ブロー成形方法として、本出願人にかかる特許第2917851号公報に例示されるように、プリフォームを、1次ブロー金型を用いて最終成形品よりも大きい寸法の1次ブロー成形体とし、次いでこの1次ブロー成形体を加熱収縮させた後、2次ブロー金型を用いて延伸ブロー成形を行って最終成形品とする二段ブロー成形法を採用してもよい。
I.測定
1.固有粘度
150℃4時間以上乾燥させたポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂ということがある)のペレットを0.20g計量し、1,1,2,2−テトラクロロエタンとフェノールの重量比が50:50の混合溶媒を20ml用いて120℃で20分間撹拌して完全に溶解させる。溶解後、常温まで冷却し、グラスフィルターを通した溶液を30℃に温調されたウベローデ粘度計((株)草野科学機械製作所社製)を用いて固有粘度を求めた。
2.絡み合い点間分子量以下の分子量成分含有率
(1)まず、分子量の異なる4種のPET樹脂に対し、上記方法により固有粘度を測定した。次いでにキャピログラフ(東洋精機(株)製)を用いて、歪み速度608(1/sec.)、温度270℃における溶融粘度を測定した。得られた溶融粘度を、固有粘度に対してプロットし(図1)、傾きの変わる点から絡み合いのはじまる固有粘度を求めた。
(2)1,1,1,3,3,3,-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(セントラル硝子(株)社製)とクロロホルム(高速液体クロマトグラフ用:キシダ化学(株)社製)の重量比が50:50の混合溶媒で、3mgのPET樹脂のペレット片を完全に溶解させた後、検出器として光散乱、示差屈折計、差圧粘度検出器を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC;Integrated System For GPC/SEC:旭テクネイオン(株)社製、Triple Detector Module TriSEC Model 302:Viscotek製)を用いて固有粘度−分子量の検量線を求めた。
(3)上記(1)で求めた絡み合いのはじまる固有粘度と(2)で求めた固有粘度−分子量の検量線から、絡み合いのはじまる分子量、すなわち絡み合い点間分子量を算出した。
(4)上記(2)と同じゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて、成形に用いるPET樹脂試料の分子量分布の積分曲線を求め、絡み合い点間分子量以下の成分の含有率を算出した。
3.分子量500〜2000の成分含有率
上記ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて測定した分子量分布の積分曲線から、重量平均分子量が500〜2000の成分の含有率を求めた。
II.評価
1.ホルダー・スロートへの付着
圧縮成形機を2時間運転後、ホルダー、スロートを取り外し、上記混合溶媒10mlで2回洗浄して付着物を採取した。この溶液を蒸発、乾燥・固化し、同じ混合溶媒で2.5mlにメスアップし、上記ゲルパーミエションクロマトグラフィにて高分子量成分、低分子量成分の有無を確認した。評価の基準は次の通りである。
○ :付着物がなかった
△ :高分子量成分、低分子量成分が極微量存在したが、タイミング変化への影響はなかった。
× :高分子量成分、低分子量成分が存在し、タイミング変化が生じた。
2.溶融樹脂塊の落下タイミングの変化
付着成分量が増加すると、溶融樹脂塊がホルダーから離れにくくなるなどして、姿勢を保持したままキャビティに収納されにくくなる。成形開始2時間後、これを目視で観測して、タイミング変化の有無を評価した。評価の基準は次の通りである。
○ :タイミング変化無し。
△ :多少のタイミング変化があったが、溶融樹脂塊がキャビティ内に収納された。
× :タイミング変化があり、溶融樹脂塊がキャビティ内に収納されなかった。
3.ドローダウン
固有粘度が低い場合、溶融樹脂塊のドローダウンによりホルダーによる安定搬送が困難になる。成形開始2時間後、これを目視で観察して、タイミング変化への影響を評価した。
○ :ドローダウン無し。
△ :ドローダウンが多少あるが、タイミング変化への影響はない。
× :ドローダウンがあり、タイミング変化への影響が大きい。
(実施例1〜9及び比較例1〜6)
固有粘度、絡み合い点間分子量以下の成分含有率、重量平均分子量500〜2000の成分含有率が表1に示す値であるポリエチレンテレフタレートを150℃4時間以上乾燥させた後、圧縮成形機に供給してプリフォームの2時間連続成形を行った。
評価結果を表1に併せて示す。
Figure 2005320493
ポリエステル樹脂における固有粘度と溶融粘度の関係を示す図である。 本発明のプリフォームの製造方法に用いる成形装置を示す説明図であり、成形システムの全体を示す図である。 図2のX部分における断面図であり、溶融樹脂塊を落下させるために切断・保持手段が溶融樹脂塊を挟持している状態を示す部分断面図である。

Claims (5)

  1. 絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下の量であることを特徴とする圧縮成形用ポリエステル樹脂。
  2. 固有粘度が0.8乃至1.3dL/gの範囲にある請求項1記載の圧縮成形用ポリエステル樹脂
  3. ポリエステル樹脂中の重量平均分子量500〜2000範囲の低分子量成分が1.1重量%以下である請求項1記載の圧縮成形用ポリエステル樹脂。
  4. ポリエステル樹脂から成る溶融樹脂塊を圧縮成形金型に供給し、これを圧縮成形してプリフォームを製造する方法において、前記溶融樹脂塊を、絡み合い点間重合度以下の分子量成分が80重量%以下の量のポリエステル樹脂から形成することを特徴とするプリフォームの製造方法。
  5. 前記溶融樹脂塊の固有粘度が0.8乃至1.3dL/gの範囲にある請求項4記載のプリフォームの製造方法。
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