JP2005320361A - 金属加工用潤滑剤、金属加工用固形潤滑膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 揮発性のベース液中に多塩基酸と炭素数10以上のアルコールとを含有させた金属加工用潤滑剤。この金属加工用潤滑剤を被加工材たる金属の表面に塗布し、ベース液を揮発させて、(1)金属表面にミクロな凹凸を形成させ、(2)多塩基酸とアルコールとの会合体を形成させ、更に、(3)この会合体を含有する高密着性の固形潤滑膜を完成させる、金属加工用固形潤滑膜の形成方法。
【選択図】なし
Description
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、揮発性のベース液たる有機溶媒中に、二塩基酸以上の多塩基酸と、炭素数10以上の炭素鎖を持つアルコールとを含有させた、金属加工用潤滑剤である。
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る有機溶剤が人体に対して影響の少ないものであり、及び/又は、引火点が40°C以上のものである、金属加工用潤滑剤である。
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る金属加工用潤滑剤における二塩基酸以上の多塩基酸の含有濃度が0.5〜20重量%の範囲内であり、アルコールの含有濃度が1〜40重量%の範囲内であり、かつ、両者の合計含有濃度が50重量%未満である、金属加工用潤滑剤である。
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る二塩基酸以上の多塩基酸が、リン酸又はジカルボン酸のいずれか1種以上である、金属加工用潤滑剤。である
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記前記第1発明〜第4発明のいずれかに係るアルコールが飽和炭素鎖を持ち、又は2個以下の不飽和結合を含む炭素鎖を持つ、金属加工用潤滑剤である。
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第1発明〜第5発明に係る金属加工用潤滑剤を被加工材たる金属の表面に塗布し、前記ベース液を揮発させて以下の(1)〜(3)の作用を発現させる、金属加工用固形潤滑膜の形成方法である。
(1)金属表面において二塩基酸以上の多塩基酸と金属との塩形成反応を起こさせ、かつ金属表面にミクロな凹凸を形成させる。
(2)二塩基酸以上の多塩基酸とアルコールとの高濃度化に基づき、両者間にエステル結合に到らない状態の会合体を形成させる。
(3)ベース液の十分な揮発により、前記会合体を含有する高密着性の固形潤滑膜を完成させる。
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、前記第6発明に係る金属加工用潤滑剤を金属の表面に塗布した後、非加熱条件下ないし50°C以下の加熱条件下でベース液を揮発させる、金属加工用固形潤滑膜の形成方法である。
第1発明の金属加工用潤滑剤は、基本的には、ベース液たる有機溶媒と、二塩基酸以上の多塩基酸と、炭素数10以上の炭素鎖を持つアルコールとからなる一液処理型の潤滑剤であり、金属表面に塗布してベース液を揮発させるだけで良いので、成膜プロセスが簡易である。
ベース液に用いる有機溶剤としては、人体に対して影響の少ないもの、及び/又は、引火点が40°C以上のものが特に好ましい。このような有機溶剤としては、インドデカン、D−リモネン、ケロシン等を例示することができる。
金属加工用潤滑剤に含有させる多塩基酸とアルコールとは、上記のように成膜前に十分に濃縮されるので、ベース液中においては、濃度が薄くても構わない。金属加工用潤滑剤におけるこれらの成分の含有濃度は、第3発明に規定するような範囲のものとすることができる。このような範囲であると、金属加工用潤滑剤の流動性が塗布に適した程度に保たれ、ベース液の揮発に過剰な時間を要すると言う不具合も回避できる。
ベース液に含有される二塩基酸以上の多塩基酸の種類は特段に限定されないが耐腐食性、金属表面定着性、高級アルコールとの親和性等の理由から、例えば、燐酸、ジカルボン酸のいずれか1種類以上が特に望ましい。特に好ましいジカルボン酸として、蓚酸を例示することができる。
炭素数10以上の炭素鎖を持つアルコールの内でも、2個以下の不飽和結合を含む炭素鎖を持つアルコールが好ましく、飽和炭素鎖を持つアルコールが特に好ましい。このような条件に該当しないアルコールを用いると、常温域では固化せず、皮膜の形成がなされず、油膜状となる恐れがある。
第6発明の金属加工用固形潤滑膜の形成方法によれば、前記いずれかの金属加工用潤滑剤を金属表面に塗布し、ベース液を揮発させるので、(1)金属表面において多塩基酸と金属との反応によりミクロな凹凸を形成させることができ、次に、(2)多塩基酸とアルコールとの高濃度化に基づき、両者間にエステル結合に到らない状態の会合体を形成させることができ、かつ(3)ベース液の十分な揮発により、前記会合体を含有する高密着性の固形潤滑膜を完成させることができる。
金属加工用潤滑剤のベース液たる有機溶剤は非加熱条件下(常温又は室温下)でも迅速に揮発するが、有機溶剤の引火点を下回る温度域で加熱して有機溶剤の揮発を一層促進することもできる。このような加熱条件として、一般的には、50°C以下程度が好ましい。
本発明に係る金属加工用潤滑剤は、揮発性のベース液たる有機溶媒中に、少なくとも二塩基酸以上の多塩基酸と炭素数10以上のアルコールとを含有させたものである。金属加工用潤滑剤における二塩基酸以上の多塩基酸と炭素数10以上のアルコールとのそれぞれの好ましい含有濃度は後述の通りであるが、この両者の合計含有濃度は、良好な液性状の維持等の観点から、50重量%未満であることが好ましい。
金属加工用潤滑剤のベース液は、揮発性の有機溶媒である。有機溶剤の種類は限定されず、殆どの有機溶剤が使用可能であるが、トルエン、キシレン、スチレン、ソルベントナフサ等の芳香族系、ヘキサン、シクロヘキサン、イソドデカン等の炭化水素系、メチレンクロライド、トリクレン、パークレン等の塩素系、C4からC6のアルコール類、リモネン等の植物系テルペン等が例示される。これらのいずれか1種のみを用いても良いし、いずれか2種以上を混合して用いても良い。
本発明において用いる多塩基酸は、二塩基酸以上のものである限りにおいて、特段に限定されない。特に好ましい多塩基酸として、リン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を例示することができ、このうち、リン酸及び蓚酸がとりわけ好ましい。リン酸としては、五酸化二燐、正燐酸、ポリ燐酸、メタ燐酸等を例示することができる。
本発明において用いるアルコールは、炭素数10以上のアルコールである限りにおいて、特段に限定されない。炭素数が10未満のアルコールは、塑性加工用金型への持ち込み性や、潤滑性能において、不十分である。このような面からは、炭素数12以上のアルコールが特に好ましい。
本発明に係る金属加工用固形潤滑膜の形成方法は、上記いずれかの金属加工用潤滑剤を被加工材たる金属の表面に塗布し、ベース液を揮発させて、(1)金属表面におけるミクロな凹凸の形成、(2)多塩基酸とアルコールとの会合体の形成、(3)上記会合体を含有する高密着性の固形潤滑膜の形成、の各作用を発現させるものである。
89%正燐酸:3wt/vol%、ステアリルアルコール:10wt/vol%、セチルアルコール:10wt/vol%、ノルマルヘキサノール(溶剤):5wt/vol%、d−リモネン(溶剤):20wt/vol%、イソドデカン(溶剤):残wt/vol%の組成からなる金属加工用潤滑剤を調製した。
下記の「表1」における「実施例1」〜「実施例5」の欄にそれぞれ示す組成の金属加工用潤滑剤を調製した。表1中において、「石油系溶剤」とはケロシンである。
上記の実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4に係る試験片の表面に形成した潤滑膜について、それらの密着性を評価するため、摺動試験機を用いて繰り返し十回の摺動試験を実施し、摩擦係数を測定した。
前記の「表1」における「実施例1」〜「実施例5」の欄にそれぞれ示す組成の金属加工用潤滑剤を調製し、これらをそれぞれ、前記の実施例Aの場合と同じ方法で、前記S−25Cの鉄材に塗布し、溶剤を揮発させて試験片の表面に固形皮膜を形成させた。一方、前記比較例1〜比較例4をそれぞれ同上のS−25Cの鉄材に対して実施し、その表面に潤滑膜を形成させた。
上記の実施例Cにおける実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4に係る摩擦係数の測定結果を下記の「表4」に示す。比較例4については、第2回目の摺動試験の際に試験片8が破断し、以後の摺動試験を実施できなかった。
上記の実施例Dにおける実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4に係る成形荷重の測定と、加工面12の状態の観察結果を下記の「表5」に示す。
2 ベース液
3 多塩基酸
4 アルコール
5 金属
6 固形皮膜
7 凹凸
8 試験片
9 金型
10 鉄材
11 鉄材
12 加工面
Claims (7)
- 揮発性のベース液たる有機溶媒中に、二塩基酸以上の多塩基酸と、炭素数10以上の炭素鎖を持つアルコールとを含有させたことを特徴とする金属加工用潤滑剤。
- 前記有機溶剤が人体に対して影響の少ないものであり、及び/又は、引火点が40°C以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の金属加工用潤滑剤。
- 前記金属加工用潤滑剤における二塩基酸以上の多塩基酸の含有濃度が0.5〜20重量%の範囲内であり、アルコールの含有濃度が1〜40重量%の範囲内であり、かつ、両者の合計含有濃度が50重量%未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属加工用潤滑剤。
- 前記二塩基酸以上の多塩基酸が、リン酸又はジカルボン酸のいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属加工用潤滑剤。
- 前記アルコールが飽和炭素鎖を持ち、又は2個以下の不飽和結合を含む炭素鎖を持つことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の金属加工用潤滑剤。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の金属加工用潤滑剤を被加工材たる金属の表面に塗布し、前記ベース液を揮発させることにより、以下の(1)〜(3)の作用を発現させることを特徴とする金属加工用固形潤滑膜の形成方法。
(1)金属表面において二塩基酸以上の多塩基酸と金属との塩形成反応を起こさせ、かつ金属表面にミクロな凹凸を形成させる。
(2)二塩基酸以上の多塩基酸とアルコールとの高濃度化に基づき、両者間にエステル結合に到らない状態の会合体を形成させる。
(3)ベース液の十分な揮発により、前記会合体を含有する高密着性の固形潤滑膜を完成させる。 - 前記金属加工用潤滑剤を金属の表面に塗布した後、非加熱条件下ないし50°C以下の加熱条件下で前記ベース液を揮発させることを特徴とする請求項6に記載の金属加工用固形潤滑膜の形成方法。
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JP2009095772A (ja) * | 2007-10-17 | 2009-05-07 | Harashin Industry Co | 塑性加工用潤滑液の塗布装置 |
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2004
- 2004-05-06 JP JP2004137167A patent/JP2005320361A/ja active Pending
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