JP2005319955A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルト層の外周にベルト補強層が配設された空気入りラジアルタイヤにおいて、高速耐久性を確保しつつ、優れた乗心地性能を発揮する空気入りラジアルタイヤを提供すること。
【解決手段】スチールコード9がタイヤ赤道線Cに対して互いに逆向きに傾斜して交差するように積層された2枚のベルトプライ7、8からなるベルト層6と、ベルト層6の外周側に配設されるベルト補強層10とを備える空気入りラジアルタイヤであって、ベルト補強層10は、タイヤ赤道線Cに対して傾斜して配列されたナイロンコード11を有するとともに、ベルト補強層10の幅方向端部が、ベルトプライ8の内周側に折り返されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、少なくとも2枚のベルトプライからなるベルト層と、そのベルト層の外周側に配設されたベルト補強層とを備える空気入りラジアルタイヤに関する。
通常、空気入りラジアルタイヤは、トレッド部のカーカス層外周側にベルト層を備え、たが効果による補強を行っている。かかるベルト層は、一般に、コードがタイヤ赤道線に対して互いに逆向きに傾斜して交差するように積層された少なくとも2枚のベルトプライから構成されている。当該空気入りラジアルタイヤでは、ベルト層の幅方向両側においてコード端部が高速走行時の遠心力による大きな歪み変形を繰り返し受けるため、エッジセパレーションが発生するという問題があった。
そこで、従来、図5に示すように、タイヤ赤道線Cに平行に配列したコード16を有するベルト補強層17を、ベルト層15の外周に配設することが行われている。これにより、ベルト層15のコード端部の歪み変形を抑制して、高速耐久性の向上を図っている。しかしながら、当該構成ではトレッド部の剛性の増加が不可避であり、乗心地性能が低下するという問題があった。
また、下記特許文献1では、図6に示すように、タイヤ赤道線Cに平行に配列したコード16を有するベルト補強層18を、ベルト層15の幅方向両側の外周に配設することが提案されている。しかしながら、当該構成は、ベルト層15の幅方向中央を補強するものではなく、高速走行時のベルト層15の浮き上がりや、ベルト折れ不良の発生を抑制する効果に乏しいという問題があった。
下記特許文献2では、図7に示すように、外周側ベルトプライ15aの外周にベルト補強層19を配設しつつ、内周側ベルトプライ15bの幅方向両側の外周にベルト補強層20を配設しており、しかも、ベルト補強層19のコード16をタイヤ赤道線Cに対して5°〜30°の角度で傾斜させるとともに、ベルト補強層20のコード16をその逆向きに傾斜させることが提案されている。しかしながら、当該構成は、図8に示すように、エッジセパレーションが発生した場合に、その亀裂12が進展してしまうという問題があった。
特開平5−201203号公報 特開2001−310605号公報
そこで、本発明の目的は、ベルト層の外周側にベルト補強層が配設された空気入りラジアルタイヤにおいて、高速耐久性を確保しつつ、優れた乗心地性能を発揮する空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、コードがタイヤ赤道線に対して互いに逆向きに傾斜して交差するように積層された少なくとも2枚のベルトプライからなり、トレッド部下方に配設されたベルト層と、そのベルト層の外周側に配設されたベルト補強層とを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強層は、タイヤ赤道線に対して傾斜して配列されたコードを有するとともに、そのベルト補強層の幅方向端部が、少なくとも最外周に位置する前記ベルトプライの内周側に折り返されている。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤによれば、ベルト補強層が有するコードが、タイヤ赤道線に対して傾斜して配列されていることにより、該コードがタイヤ赤道線に平行に配列された場合と比べて、トレッド部の剛性が低下して、乗心地性能が確保される。また、ベルト補強層の幅方向端部を、少なくとも最外周に位置するベルトプライの内周側に折り返すことにより、ベルト層のコード端部の歪み変形を抑制して高速耐久性を高めることができ、しかも、エッジセパレーションが発生した場合に、亀裂の進展がベルト補強層の折り返し部内周側において妨げられるため、高速耐久性能が好適に確保される。
上記において、前記ベルト補強層の幅方向端部が、最内周に位置する前記ベルトプライの内周側に折り返されたものが好ましい。
ベルト補強層の幅方向端部が、最内周に位置するベルトプライの内周側に折り返されることにより、優れた乗心地性能を確保しつつ、ベルト層を構成する全てのベルトプライのコード端部の歪み変形を抑制して、より効果的に高速耐久性を高めることができる。
上記において、前記ベルト補強層が有する前記コードが、最外周に位置する前記ベルトプライが有する前記コードの傾斜方向と逆向きに傾斜して配列されたものが好ましい。
ベルト補強層が有するコードが、最外周に位置するベルトプライが有するコードの傾斜方向と逆向きに傾斜して配列されていることにより、剛性バランスが効果的に確保され、安定したコニシティが得られる。また、最外周に位置するベルトプライのコード端部における歪み変形の抑制効果が高められ、高速耐久性をより効果的に向上しうる。なお、ここでいうコニシティとは、JIS D 4233において定義されたものをいう。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る空気入りラジアルタイヤの一例を示す断面図である。図2は、ベルト層およびベルト補強層の構造を示す平面図である。
図1に示す空気入りラジアルタイヤは、ビードワイヤの収束体であるビード1aとビードフィラー1bとが配設されたビード部1と、一対のビード部1から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2間に設けられたトレッド部3とを備える。一対のビード部1の間には、ポリエステル等のコードをタイヤ赤道線Cに対して略90°の角度で平行配列した、少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層4が配され、カーカス層4の内周側には空気圧保持のためにインナーライナー層5が配されている。
カーカス層4の外周側には、たが効果による補強を行うためのベルト層6が配されており、ベルト層6は内外に積層された2枚のベルトプライ7、8から構成されている。各ベルトプライは、所定のピッチに整列したスチールコード9の配列体を、ゴム組成物でコーティングして形成される。以下、内周側に配されたベルトプライを1stベルト7と呼び、外周側に配されたベルトプライを2ndベルト8と呼ぶ。本実施形態では、1stベルト7が2ndベルト8よりも幅広に設定されており、1stベルト7と2ndベルト8との幅方向端部間の距離d1は4mmに設定されている。
スチールコード9は、タイヤ赤道線Cに対して傾斜して配列されており、1stベルト7と2ndベルト8との間でスチールコード9が互いに逆向きに交差するように配設されている。タイヤ赤道線Cに対するスチールコード9の傾斜角度は、特に限定されるものではなく、20°前後であるものが例示される。なお、本発明においてベルトプライを構成するコード配列体は、スチールコードからなるものに限られず、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機系繊維等からなるものでもよい。通常、これらコードにはゴムとの接着性を高めるべく、表面処理や接着処理等がなされている。
ベルト層6の外周側には、所定のピッチに整列したナイロンコード11の配列体を、ゴム組成物でコーティングして形成される補強プライからなるベルト補強層10が配設されている。本発明では、ナイロンコード11がタイヤ赤道線Cに対して傾斜して配列されている。タイヤ赤道線Cに対するナイロンコード11の傾斜角度αは、3°〜45°が好ましく、より好ましくは、15°〜30°である。傾斜角度αが3°未満である場合、トレッド部3の剛性低下が小さく、乗心地性の改善効果に乏しい。一方、傾斜角度αが45°を超える場合、ベルト層6のスチールコード端部の歪み変形を抑制する効果に乏しい。また、ナイロンコード11は、本実施形態のように2ndベルト8のスチールコード9の傾斜方向と逆向きに傾斜して配列されたものが好ましい。これにより、剛性バランスが確保され、安定したコニシティが得られる。
なお、本発明において補強プライを構成するコード配列体は、ナイロンコードからなるものに限られず、ケブラーやアラミド等の有機繊維からなるものでもよい。また、図2では、スチールコード9の配列ピッチよりも、ナイロンコード11の配列ピッチの方が大きいものとして記載されているが、これらは簡略的に表現したものであって、本発明における配列ピッチの大小関係は特に限定されるものではない。
図1および図2に示すように、ベルト補強層10の幅方向端部は、1stベルト7の内周側に折り返されている。これにより、スチールコード9の端部の歪み変形を抑制して、高速耐久性を高めることができる。しかも、エッジセパレーションが発生した場合には、図3に示すように、亀裂12の進展がベルト補強層10の折り返し部内周側において妨げられるため、高速耐久性が好適に確保される。
本実施形態では、1stベルト7の幅方向端部と、ベルト補強層10の折り返された幅方向端部との距離d2が10mmに設定されている。即ち、ベルト補強層10の折り返し部分が2ndベルト8の内周側にまで配されており、その結果、2ndベルト8のスチールコード9の端部における歪み変形をより効果的に抑制することができる。なお、本発明は、距離d2が距離d1より短いものでも構わない。
上記構成にかかるベルト層6およびベルト補強層10は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、幅方向に平坦な被成形面を有する成形台または成形ドラムの外周面に、ベルト補強層10となる補強プライを貼り付け、その外周面に2ndベルト8、1stベルト7を順次貼り付ける。次に、補強プライの端部を1stベルト7の内周側に折り返した後、それらを上下逆転させる。上記において、補強プライの端部を折り返す工程は、補強プライおよびベルト層6を所定の内周面形状を有する成形型内を通過させることで行うものでもよく、手動または自動の折り返し機構を用いるものでもよい。
[他の実施形態]
(1)本発明は、ベルト補強層の幅方向端部が、少なくとも最外周に位置するベルトプライの内周側に折り返されていればよく、例えば、図4a、bに示すように、ベルト補強層10の幅方向端部が2ndベルト8の内周側であって、1stベルト7の外周側に配されたものでもよい。かかる場合、ベルト補強層10が有するナイロンコード11が、2ndベルト8のスチールコード9の傾斜方向と逆向きに傾斜して配列されていることが特に好ましい。これにより、ベルト補強層10の折り返し部分におけるナイロンコード11が、1stベルト7のスチールコード9の傾斜方向と逆向きとなるため、スチールコード9の端部の歪み変形の抑制効果が好適に高められる。また、上述したように、剛性バランスが確保され、安定したコニシティが得られる。
上記のベルト層6およびベルト補強層10の製造は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、成形台または成形ドラムにベルト補強層10となる補強プライを貼り付ける。次に、その補強プライの外周面に2ndベルト8を貼り付ける。そして、上記と同様にして補強プライの端部を2ndベルト8の内周側に折り返した後、1stベルト7を貼り付け、それらを上下逆転させる。
(2)前述の実施形態では、ベルト補強層10が1枚の補強プライからなる例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、ベルト補強層が2枚以上の補強プライが内外に積層されて構成されたものでもよい。かかる場合、ベルト補強層が有するコードは、剛性バランスを確保するため、タイヤ赤道線Cに対して互いに逆向きに傾斜して交差するように積層されたものが好ましい。また、ベルト補強層を構成する全ての補強プライの幅方向端部が、ベルトプライの内周側に折り返される必要はなく、一部の補強プライの幅方向端部を折り返すものでもよい。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、下記項目の評価には、ホイールサイズ15×6JJのリムに装着したタイヤサイズ195/65R15 91Hのテストタイヤを用いた。
(1)乗心地性能
リム組みしたテストタイヤを実車(国産車、2名乗車)に装着し、良路および悪路を走行してフィーリング試験による官能評価を行った。フィーリング試験では、乗員にテストタイヤの種類をふせておき、実車走行の後に10点満点における採点を行わせた。点数が多いほど乗心地が良好であることを示す。
(2)高速耐久性能
欧州経済委員会規則第30(Reguration No30 Uniform Provisions Cncerning the Approval of Pneumatic Tyresfor Motor Vehicl and Their Trairers)の付則7で、荷重/速度性能試験手順として定められた速度記号H(210km/h)のタイヤについての条件に準拠してテストを行なった。高速耐久性は、走行速度を10分毎に10km/h増分させる方式で、タイヤが故障するまでドラム試験機にて高速走行させて評価した。従って、速度が大きいほど高速耐久性に優れていることを示す。
カーカス層の外周に、スチールコードがタイヤ赤道線に対して互いに逆向きに24°で傾斜して交差するように積層された2枚のベルトプライからなるベルト層を配設し、更にベルト層の外周に、ナイロンコード(940dtex/2)が配列されたベルト補強層を配設した。図5に示すようにタイヤ赤道線に対する傾斜角度が0°(平行)であるものを従来例とし、該傾斜角度を変化させたものを実施例とした。
Figure 2005319955
表1に示すように、実施例2〜4では、ナイロンコードの傾斜によってトレッド部の剛性が低下するため、従来例および実施例1に比べて乗心地性能に優れていることがわかる。また、実施例1〜3のテストタイヤにおいては、速度記号Hの規定速度(210km/h)を上回る220km/h以上の速度になるまで故障が発生せず、高速耐久性能が確保されていることがわかる。但し、実施例4は、ナイロンコードの傾斜角度が比較的大きいことにより、スチールコード端部の歪み変形の抑制効果が比較的低いことがわかる。なお、実施例2、3が、乗心地性能および高速耐久性能を好適に両立しており、ナイロンコードの傾斜角度が3°〜45°の範囲にあるものが好ましいことがわかる。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤの一例を示す断面図 ベルト層およびベルト補強層の構造を示す平面図 ベルト層およびベルト補強層の幅方向端部の断面図 別形態に係るベルト層およびベルト補強層の構造を示す断面図 別形態に係るベルト層およびベルト補強層の構造を示す平面図 従来のベルト層およびベルト補強層の構造を示す平面図 従来のベルト層およびベルト補強層の構造を示す平面図 従来のベルト層およびベルト補強層の構造を示す平面図 従来のベルト層およびベルト補強層の幅方向端部の断面図
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス層
6 ベルト層
7 1stベルト
8 2ndベルト
9 スチールコード
10 ベルト補強層
11 ナイロンコード
C タイヤ赤道線
α ナイロンコードの傾斜角度

Claims (3)

  1. コードがタイヤ赤道線に対して互いに逆向きに傾斜して交差するように積層された少なくとも2枚のベルトプライからなり、トレッド部下方に配設されたベルト層と、そのベルト層の外周側に配設されたベルト補強層とを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層は、タイヤ赤道線に対して傾斜して配列されたコードを有するとともに、そのベルト補強層の幅方向端部が、少なくとも最外周に位置する前記ベルトプライの内周側に折り返されたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ベルト補強層の幅方向端部が、最内周に位置する前記ベルトプライの内周側に折り返された請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記ベルト補強層が有する前記コードが、最外周に位置する前記ベルトプライが有する前記コードの傾斜方向と逆向きに傾斜して配列された請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
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