JP2005319913A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の摩擦材及び複数の摩擦材押圧手段を有するディスクブレーキ装置において、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対して適切な制御を行うことができるディスクブレーキ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 ディスクブレーキ装置1であって、ディスクロータの少なくとも一面側に位置する複数の異なる摩擦材と当該複数の摩擦材を押圧する複数の摩擦材押圧手段(ピストン)6a〜6iを有するキャリパと、摩擦材の温度を検出する温度検出手段(温度センサ)5と、目標制動力を発生するように、温度検出手段5で検出した摩擦材の温度に基づいて複数の摩擦材の各押圧力を設定する押圧力設定手段3とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の異なる摩擦材を有するディスクブレーキ装置に関する。
ディスクブレーキ装置は、車輪と共に回転するディスクロータを左右両側からブレーキパッドで挟み、ピストンの作動によって2つのブレーキパッドをディスクロータに接触させることによって、制動力を発生させる。ディスクブレーキ装置には、ブレーキ性能を向上させるために、特性の異なる複数の摩擦材を有するブレーキパッドを備えるものがある。そのため、ディスクブレーキ装置には、複数の摩擦材をそれぞれ押圧するために、各摩擦材に対応させて複数のピストンが必要となる。複数の摩擦材及び複数のピストンを備えるディスクブレーキ装置には、例えば、ブレーキパッドに摩擦係数の異なる2つの摩擦材が配設され、低い摩擦係数の摩擦材を第1ピストンで押圧し、高い摩擦係数の摩擦材を第2ピストンで押圧するものがある(特許文献1参照)。このディスクブレーキ装置では、ブレーキペダルの操作に応じたマスタシリンダからの油圧が低い場合には第1ピストンによる軸力を小さくして高い摩擦係数の摩擦材によるディスクロータへの押圧力を弱め、ブレーキ鳴きを低減させている。また、ディスクブレーキ装置では、マスタシリンダからの油圧が高くなると第1ピストンによる軸力を大きくして高い摩擦係数の摩擦材によるディスクロータへの押圧力を強め、大きな制動力を発生させている。
実開昭60−71738号公報
しかしながら、従来のディスクブレーキ装置では、ブレーキ鳴きを低減するために、高い摩擦係数の摩擦材よる押圧力を弱めると、制動力が低下してしまう。つまり、従来のディスクブレーキ装置では、制動力を低下させることなく、ブレーキ鳴きを低減することができない。このように、従来のディスクブレーキ装置では、複数のピストンにより複数の摩擦材に対して適切な制御ができないので、ブレーキペダルの操作に応じた制動力を発生させながらブレーキ鳴き等のブレーキ性能の向上を図ることができなかった。
そこで、本発明は、複数の摩擦材及び複数の摩擦材押圧手段を有するディスクブレーキ装置において、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対して適切な制御を行うことができるディスクブレーキ装置を提供することを課題とする。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータの少なくとも一面側に位置する複数の異なる摩擦材と当該複数の摩擦材を押圧する複数の摩擦材押圧手段を有するキャリパと、摩擦材の温度を検出する温度検出手段と、目標制動力を発生するように、温度検出手段で検出した摩擦材の温度に基づいて複数の摩擦材の各押圧力を設定する押圧力設定手段とを備えることを特徴とする。
このディスクブレーキ装置は、キャリパにディスクロータの左右両側から挟み込む摩擦材が取り付けられ、両側の少なくとも一方側に複数の摩擦材及び複数の摩擦材押圧手段を有する構成となっている。複数の摩擦材は、それぞれ異なる特性を有しており、温度に応じて状態(摩擦係数等)がそれぞれ変化する。また、ディスクブレーキ装置は、温度検出手段を備えており、この温度検出手段により摩擦材の温度を検出する。ディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段により、複数の摩擦材によって発生する合計した制動力が目標制動力となるように、摩擦材の温度に基づいて各摩擦材に対して押圧力をそれぞれ設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、各摩擦材が個別の押圧力でディスクロータをそれぞれ押圧する。このように、ディスクブレーキ装置では、温度によって変化する摩擦材の状態に適した押圧力を摩擦材毎に発生させることができるので、目標制動力を発生させることができるとともにブレーキ性能も向上させることができる。
なお、目標制動力は、ディスクブレーキ装置で発生させる目標となる制動力であり、例えば、運転者のブレーキペダルに対する操作量に応じた油圧、ABS[Anti-Lock Brake System]等のブレーキを車両で制御する制御装置からの制動力信号である。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、車速を検出する車速検出手段を備え、押圧力設定手段は、温度検出手段で検出した摩擦材の温度及び車速検出手段で検出した車速に基づいて、複数の摩擦材の各押圧力をブレーキ鳴きが発生する可能性の低い押圧力に設定する構成としてもよい。
このディスクブレーキ装置は、車速検出手段を備えており、この車速検出手段により車速を検出する。複数の摩擦材は、摩擦材の押圧力、摩擦材の温度、車速に応じたブレーキ鳴きの発生条件をそれぞれ有しており、ブレーキ鳴きが発生する可能性が高くなる押圧力、温度、車速の条件がある。そこで、ディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段により、複数の摩擦材によって発生する合計した制動力が目標制動力となるように、摩擦材毎のブレーキ鳴きの発生条件を考慮し、各摩擦材の温度及び車速に基づいて各摩擦材に対してブレーキ鳴きが発生する可能性の低い押圧力をそれぞれ設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、押圧力を変化させることによってブレーキ鳴きの発生条件から外れるようにする。このように、ディスクブレーキ装置では、目標制動力を発生させることができるとともに、ブレーキ鳴きも低減できる。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、前記摩擦材に対する押圧力を検出する押圧力検出手段を備え、押圧力設定手段は、押圧力検出手段で検出した摩擦材に対する押圧力が鳴き発生押圧力範囲内かつ温度検出手段で検出した摩擦材の温度が鳴き発生温度範囲内かつ車速検出手段で検出した車速が鳴き発生車速範囲内の場合、ブレーキ鳴きが発生する可能性が高いと判定し、複数の摩擦材の各押圧力を規定範囲外の押圧力に設定する構成としてもよい。
このディスクブレーキ装置では、更に押圧力検出手段を備えており、この押圧力検出手段により各摩擦材の押圧力を検出する。上記したように、複数の摩擦材は、摩擦材の押圧力、摩擦材の温度、車速に応じたブレーキ鳴きの発生条件をそれぞれ有しており、ブレーキ鳴きが発生する可能性が高くなる押圧力、温度、車速の鳴き発生範囲をそれぞれ有している。そこで、ディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段により、摩擦材の押圧力、摩擦材の温度及び車速が各鳴き発生範囲内か否かをそれぞれ判定し、全てが鳴き発生範囲内の場合にはブレーキ鳴きが発生する可能性が高いと判定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材によって発生する合計した制動力が目標制動力となるように、各摩擦材に対して通常設定する規定範囲外の押圧力(すなわち、ブレーキ鳴きが発生する可能性の低い押圧力であり、基準となる押圧力を増減させた押圧力である)をそれぞれ設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、押圧力を変化させることによって鳴きの発生押圧力範囲から外れるようにする。その結果、ブレーキ鳴きが低減する。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段は、ブレーキ鳴きが発生する可能性が高いと判定した摩擦材の押圧力を減少させ、当該押圧力を減少させる摩擦材以外の摩擦材の押圧力を減少させた押圧力分増加させる構成にすると好適である。
このディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材のうちのある摩擦材をブレーキ鳴きが発生する可能性が高いと判定すると、その判定した摩擦材に対して基準より減少させた押圧力を設定し、それ以外の摩擦材に対して減少分を増加させた押圧力を設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、全ての摩擦材の合計押圧力としては変化させない。そのため、ディスクブレーキ装置全体として要求されている目標制動力を出力させることができる。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段は、温度検出手段で検出した摩擦材の温度に基づいて、摩擦係数が低下する温度になった摩擦材の押圧力を減少させ、当該押圧力を減少させる摩擦材以外の摩擦材の押圧力を増加させる構成としてもよい。
このディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段により、複数の摩擦材によって発生する合計した制動力が目標制動力となるように、各摩擦材の温度に基づいて摩擦係数が低下する温度になった摩擦材に対しては基準より減少させた押圧力を設定し、それ以外の摩擦材に対しては減少させた分を補うために基準より増加させた押圧力を設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、複数の摩擦材のうち摩擦係数が低下する摩擦材の使用を制限し、それ以外の摩擦材を主に使用する。このように、ディスクブレーキ装置では、温度に応じて摩擦係数が低下することによるフェード現象を抑えるとともに、十分な制動力を発生させることもできる。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段は、押圧力を増加させた摩擦材が摩擦係数が低下する温度になった場合、当該押圧力を増加させた摩擦材の押圧力を減少させ、押圧力を減少させた摩擦材の押圧力を増加させる構成としてもよい。
摩擦係数が低下する温度になった摩擦材の押圧力を減少させるとともにそれ以外の摩擦材の押圧力を増加させた後、このディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段により、その押圧力を増加させた摩擦材が摩擦係数が低下する温度になった場合、複数の摩擦材によって発生する合計した制動力が目標制動力となるように、その押圧力を増加させた摩擦材に対しては基準より減少させた押圧力を設定し、押圧力を減少させた摩擦材に対しては減少させた分を補うために基準より増加させた押圧力を設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、複数の摩擦材のうち摩擦係数が低下する摩擦材の使用を制限し、それ以外の摩擦材を主に使用する。この場合、フェードとなる温度に達した摩擦材は、押圧力を低減させることにより温度が低下し、摩擦係数が低下しない温度となっている。そのため、押圧力を増加させた摩擦材がフェードとなる温度に達した場合でも、その摩擦材の押圧力を減少させ、摩擦係数が低下しない温度になっている摩擦材によって目標制動力を発生させることができる。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段は、温度検出手段で検出した摩擦材の温度に基づいて、摩耗量が多くなる温度になった摩擦材の押圧力を減少させ、当該押圧力を減少させる摩擦材以外の摩擦材の押圧力を増加させる構成としてもよい。
このディスクブレーキ装置では、押圧力設定手段により、複数の摩擦材によって発生する合計した制動力が目標制動力となるように、各摩擦材の温度に基づいて摩耗量が多くなる温度になった摩擦材に対しては基準より減少させた押圧力を設定し、それ以外の摩擦材に対しては減少させた分を補うために基準より増加させた押圧力を設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、複数の摩擦材のうち摩耗量が多くなる摩擦材の使用を制限し、それ以外の摩擦材を主に使用する。このように、ディスクブレーキ装置では、温度に応じて摩耗量が増加するのを抑え、摩擦材の寿命を延ばすとともに、十分な制動力も発生させることもできる。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材が摩耗量が多くなる温度となった場合、摩耗量の少ない摩擦材よりも摩耗量の多い摩擦材の押圧力を減少させる構成としてもよい。
このディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材が摩耗量が多くなる温度となった場合、押圧力設定手段により、摩耗量が多い摩擦材に対しては摩耗量の少ない摩耗材より減少させた押圧力を設定する。そして、ディスクブレーキ装置では、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対してそれぞれ設定した各押圧力を出力させ、摩耗量の多い摩擦材ほど使用を制限する。このように、ディスクブレーキ装置では、摩耗し易い摩耗材ほど摩耗量を低減でき、摩擦材全体の寿命を延ばすことができる。
本発明によれば、複数の摩擦材及び複数の摩擦材押圧手段を有するディスクブレーキ装置において、複数の摩擦材押圧手段により複数の摩擦材に対して適切な制御を行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るディスクブレーキ装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係るディスクブレーキ装置を、自動車に搭載されるディスクブレーキ装置に適用する。本実施の形態に係るディスクブレーキ装置は、各キャリパに特性の異なる2つの摩擦材及び9つのピストンを備え、各摩擦材を個別の押圧力とするために、各ピストンに対して目標軸力(目標ピストン変位)をそれぞれ設定する。特に、本実施の形態に係るディスクブレーキ装置では、ブレーキ鳴きの低減、ブレーキ効きの安定化及び摩擦材の摩耗量抑制を目的として各ピストンの目標軸力を設定する。
図1〜図3を参照して、ディスクブレーキ装置1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るディスクブレーキ装置の制御部分の構成図である。図2は、本実施の形態に係るディスクブレーキ装置のピストン及びブレーキパッドの構成の一例を示す図であり、(a)が側面図であり、(b)が正面図である。図3は、本実施の形態に係るディスクブレーキ装置のピストン及びブレーキパッドの構成の他の例を示す図であり、(a)が側面図であり、(b)が正面図である。
ディスクブレーキ装置1は、ドライバによるブレーキペダルに対する操作に応じて制動力を発生させる装置である。ディスクブレーキ装置1では、ブレーキ性能を向上させるために、特性の異なる2つの摩擦材を用いている。そのため、ディスクブレーキ装置1では、2つの摩擦材をそれぞれ均一に押圧するために、各キャリパに9つのピストンを備えている。特に、ディスクブレーキ装置1では、ブレーキ鳴きの低減、ブレーキ効きの安定化及び摩擦材の摩耗量抑制等のブレーキ性能を高次元にトータルに実現させるために、その各輪に設けられた9つのピストンを個別に制御する。そのために、ディスクブレーキ装置1は、主なものとして、ディスクロータ(図示せず)、キャリパ2、ブレーキ性能制御装置3、車速センサ4、温度センサ5、第1〜第9軸力センサ6a〜6i、第1〜第9変位センサ7a〜7iを備えている。
なお、本実施の形態では、ブレーキ性能制御装置3が特許請求の範囲に記載する押圧力設定手段に相当し、車速センサ4が特許請求の範囲に記載する車速検出手段に相当し、温度センサ5が特許請求の範囲に記載する温度検出手段に相当し、第1〜第9軸力センサ6a〜6iが特許請求の範囲に記載する押圧力検出手段に相当する。
ディスクブレーキ装置1には、各車輪に平行してディスクロータがそれぞれ配設され、各ディスクロータに対してキャリパ2がそれぞれ設けられる。キャリパ2には、ディスクロータの両側にブレーキパッド20が配設されている。車両のインナ側のブレーキパッド20のディスクロータ側とは反対側に、9つのピストン22a〜22iが設けられている。さらに、キャリパ2には、ブレーキ性能制御装置3からの第1〜第9制御信号に応じて第1〜第9ピストン22a〜22iを作動させるために、第1〜第9アクチュエータ23a〜23iが設けられている。キャリパ2では、各ピストン22a〜22iによりインナ側のブレーキパッド20を押圧し、そのインナ側のブレーキパッド20によりディスクロータを押圧する。さらに、キャリパ2は、ディスクロータからの反力を受けてインナ側に移動し、アウタ側のブレーキパッド20でもディスクロータを押圧する。
ブレーキパッド20は、第1摩擦材20aと第2摩擦材20b及び裏金20cからなり、摩擦材20a,20bがディスクロータ側に配置され、摩擦材20a,20bの裏面に裏金20cが取り付けられている。第1摩擦材20aは、高い摩擦係数を有する摩擦材である。第2摩擦材20bは、第1摩擦材20aよりも低い摩擦係数を有する摩擦材である。第1摩擦材20aと第2摩擦材20bの配置及び形状としては、例えば、図2に示すようなパターンと図3に示すようなパターンがある。図2に示すパターンでは、第1摩擦材20aと第2摩擦材20bは、ディスクロータの回転方向に沿って長い長方形状であり、ディスクロータの回転方向の長さが同じであり、ディスクロータの半径方向の長さが異なる。第1摩擦材20aは、ディスクロータの外周側に配置され、ディスクロータの半径方向の長さが摩擦材全体の略3分の1である。第2摩擦材20bは、ディスクロータの内周側に配置され、ディスクロータの半径方向の長さが摩擦材全体の略3分の2である。図3に示すパターンでは、第1摩擦材20aと第2摩擦材20bは、ディスクロータの半径方向に沿って長い長方形状であり、同じ大きさである。第1摩擦材20aは、ディスクロータの回転方向の中央に1つだけ配置される。第2摩擦材20bは、ディスクロータの回転方向の入口側と出口側にそれぞれ1つづつ配置される。以下の説明では、図2に示すパターンの配置及び形状とする。
各ピストン22a〜22iは、キャリパ2に設けられた9つのシリンダボア(図示せず)に摺動自在にそれぞれ設けられている。各ピストン22a〜22iは、ディスクロータの回転方向に沿って3列で配列されるとともに半径方向に沿って3列で配列される。第1〜第3ピストン22a〜22cは、ディスクロータの回転方向の出口側に配され、ディスクロータの内周側から第1ピストン22a、第2ピストン22b、第3ピストン22cの順に配されている。第4〜第6ピストン22d〜22fは、ディスクロータの回転方向の中央に配され、ディスクロータの内周側から第4ピストン22d、第5ピストン22e、第6ピストン22fの順に配されている。第7〜第9ピストン22g〜22iは、ディスクロータの回転方向の入口側に配され、ディスクロータの内周側から第7ピストン22g、第8ピストン22h、第9ピストン22iの順に配されている。したがって、第1摩擦材20aは第3ピストン22c、第6ピストン22f、第9ピストン22iに押圧され、第2摩擦材20bは第1ピストン22a、第2ピストン22b、第4ピストン22d、第5ピストン22e、第7ピストン22g、第8ピストン22hに押圧される(図2(b)参照)。
各ピストン22a〜22iには、各軸力センサ6a〜6iと各変位センサ7a〜7iがそれぞれ取り付けられている。各軸力センサ6a〜6iでは、各ピストン22a〜22iの軸力をそれぞれ検出し、その検出値を第1〜第9軸力信号として各アクチュエータ23a〜23iにそれぞれ送信するとともにブレーキ性能制御装置3にも送信する。各変位センサ7a〜7iでは、各ピストン22a〜22iの変位量をそれぞれ検出し、その検出値を第1〜第9変位信号として各アクチュエータ23a〜23iにそれぞれ送信するとともにブレーキ性能制御装置3にも送信する。
車速センサ4は、各車輪にそれぞれ取り付けられる。車速センサ4では、車輪の回転速度を検出し、その検出値を車速信号としてブレーキ性能制御装置3に送信する。なお、ブレーキ性能制御装置3において各輪の回転速度に基づいて車速を演算するが、車速センサ4以外の他の車速センサを用いてもよい。温度センサ5は、各キャリパ2のブレーキパッド20の第1摩擦材20aと第2摩擦材20bにそれぞれ取り付けられる。温度センサ5では、各摩擦材20a,20bの温度を検出し、その検出値を温度信号としてブレーキ性能制御装置3に送信する。
図1、図2及び図4〜図6を参照して、ブレーキ性能制御装置3について説明する。図4は、図1の鳴き低減部で保持する鳴き発生マップの一例であり、(a)が第1摩擦材に対する鳴き発生マップであり、(b)が第2摩擦材に対する鳴き発生マップである。図5は、図1の効き安定部で保持する摩擦係数マップの一例である。図6は、図1の摩耗抑制部で保持する摩耗特性マップの一例である。
ブレーキ性能制御装置3は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等からなる電子制御ユニットである。ブレーキ性能制御装置3では、各種センサ4,5,6a〜6i,7a〜7iから検出信号を取り入れ、各種検出信号に基づいて第1摩擦材20aと第2摩擦材20b(ひいては、第1〜第9ピストン22a〜22i)に対する目標軸力をそれぞれ設定し、各車輪に設けられたキャリパ2の第1〜第9ピストン22a〜22iにより摩擦材20a,20bを独立して制御する。ちなみに、第1摩擦材20aの目標軸力は第3ピストン22c、第6ピストン22f、第9ピストン22iの目標軸力を合わせたものであり、第2摩擦材20bの目標軸力は第1ピストン22a、第2ピストン22b、第4ピストン22d、第5ピストン22e、第7ピストン22g、第8ピストン22hの目標軸力を合わせたものである。特に、ブレーキ性能制御装置3では、ブレーキ鳴き、ブレーキ効き、磨耗の3つのブレーキ性能を高次元でトータルに成立させるために、目標軸力(目標ピストン変位)にこれらのブレーキ性能を向上させるための制御量を加味している。そのために、ブレーキ性能制御装置3には、基準目標軸力算出部30、目標軸力算出部31、目標ピストン変位算出部32、鳴き低減部33、効き安定部34及び摩耗抑制部35が構成される。
基準目標軸力算出部30では、ドライバのブレーキペダルの操作量に応じた制御油圧を取り入れ、この制御油圧に基づいて各ピストン22a〜22iの基準目標軸力をそれぞれ算出する。基準目標軸力は、9つのピストン22a〜22iに対して同じ値が設定される。
目標軸力算出部31では、基準目標軸力に対して目標軸力を変化させるピストンの目標軸力変化量を鳴き低減部33、効き安定部34及び摩耗抑制部35からそれぞれ取り入れる。鳴き低減部33、効き安定部34及び摩耗抑制部35では、以下に示す式(1)の条件を満たすように目標軸力変化量をそれぞれ設定する。そして、目標軸力算出部31では、ピストン22a〜22i毎に、目標軸力変化量が設定されているピストンに対しては基準目標軸力にその目標軸力変化量を加味して目標軸力を算出し、目標軸力変化量が0のピストンに対しては基準目標軸力をそのまま目標軸力とする。目標軸力は、車輪毎に、9つのピストン22a〜22iに対して個別の値がそれぞれ設定される。したがって、目標軸力としては、36個の値が設定される。
Figure 2005319913
μiは、第1摩擦材20a又は第2摩擦材20bの摩擦係数である。Fiは、各ピストン22a〜22iの軸力である。Riは、ディスクロータの中心から各ピストンの中心までの長さ(半径)である。
目標ピストン変位算出部32では、ピストン22a〜22i毎に、目標軸力算出部31で算出した目標軸力に基づいて目標ピストン変位を算出する。そして、目標ピストン変位算出部32では、車輪毎に、各ピストン22a〜22iの目標ピストン変位を第1〜第9制御信号として各アクチュエータ23a〜23iにそれぞれ送信する。ピストン変位は、目標軸力に対応して36個の値が設定される。
鳴き低減部33では、車速センサ4からの車速信号により車速を取り入れる。また、鳴き低減部33では、各温度センサ5からの温度信号により各摩擦材20a,20bの温度を取り入れる。さらに、鳴き低減部33では、各軸力センサ6a〜6iからの軸力信号により各ピストン22a〜22iの軸力を取り入れ、各摩擦材20a,20bに対する軸力をそれぞれ算出する。第1摩擦材20aに対する軸力は第3ピストン22c、第6ピストン22f、第9ピストン22iの各軸力を積算した合計軸力であり、第2摩擦材20bに対する軸力は第1ピストン22a、第2ピストン22b、第4ピストン22d、第5ピストン22e、第7ピストン22g、第8ピストン22hの各軸力を積算した合計軸力である。
鳴き低減部33では、第1摩擦材20aに対する鳴き発生マップMN1及び第2摩擦材20bに対する鳴き発生マップMN2をROMに保持している(図4参照)。摩擦材毎に鳴きの発生する条件(温度、軸力、車速)が異なっており、鳴きが発生する温度、軸力、車速の条件が全て満たされると鳴きが発生し、1つでも条件から外れると鳴きが発生しないかあるいは鳴きが小さい。鳴き発生マップMN1,MN2は、摩擦材20a,20b毎に、鳴き発生条件をマップ化したものであり、実験やシミュレーション等によって予め設定したものである。図4に示す鳴き発生マップMN1,MN2はその一例である。
鳴き発生マップMN1は、第1摩擦材20aの鳴きが発生する鳴き発生車速(例えば、20km/h前後)に対して設定され、鳴き発生軸力範囲と鳴き発生温度範囲からなる鳴き発生領域が設定されている。鳴き発生マップMN2は、第2摩擦材20bの鳴きが発生する鳴き発生車速(例えば、60km/h前後)に対して設定され、鳴き発生軸力範囲と鳴き発生温度範囲からなる鳴き発生領域が設定されている。鳴き発生マップMN1,MN2には、図4に示すように、鳴き発生領域が3段階で設定されており、黒塗り領域が鳴きが発生する確率が最も高く、斜線領域がその次に確率が高く、白塗り領域が確率が最も低い。鳴き発生マップMN1,MN2に対する条件判定ではこの3段階の領域のいずれの領域で判定してもよいが、鳴きを確実に低減するためには確率が最も低い白塗り領域で判定を行うとよい。なお、摩擦材は鳴きが発生する条件が1つの場合もあれば複数の場合もあり、複数の場合には1つの摩擦材に対して複数の鳴き発生マップがある。
鳴き低減部33では、第1摩擦材20aに対する鳴き発生マップMN1に基づいて、車速が鳴き発生車速範囲内か、第1摩擦材20aの合計軸力が鳴き発生軸力範囲内か、第1摩擦材の20aの温度が鳴き発生温度範囲内かをそれぞれ判定する(図4(a)参照)。鳴き低減部33では、鳴き発生マップMN1に対する3つの判定条件を全て満たす場合、第1摩擦材20aの軸力が鳴き発生マップMN1の鳴き発生軸力範囲から外れるように、第1摩擦材20aの目標軸力変化量を算出する。この際、鳴き低減部33では、第1摩擦材20aに対する軸力が0になるように目標軸力変化量を設定してもよいし、あるいは、第1摩擦材20aに対する軸力が基準より少なくなるように目標軸力変換量を設定してもよい。さらに、鳴き低減部33では、式(1)の条件を満たすように、第2摩擦材20bの目標軸力変化量を算出する。この際、鳴き低減部33では、第1摩擦材20aに対する軸力を減らした分の軸力が増えるように、第2摩擦材20bに対して目標軸力変化量を設定する。
さらに、鳴き低減部33では、第2摩擦材20bに対する鳴き発生マップMN2に基づいて、車速が鳴き発生車速範囲内か、第2摩擦材20bの合計軸力が鳴き発生軸力範囲内か、第2摩擦材の20bの温度が鳴き発生温度範囲内かをそれぞれ判定する(図4(b)参照)。鳴き低減部33では、鳴き発生マップMN2に対する3つの判定条件を全て満たす場合、第2摩擦材20bの軸力が鳴き発生マップMN2の鳴き発生軸力範囲から外れるように、第2摩擦材20bの目標軸力変化量を算出する。この際、鳴き低減部33では、第2摩擦材20bに対する軸力が0になるように目標軸力変化量を設定してもよいし、あるいは、第2摩擦材20bに対する軸力が基準より少なくなるように目標軸力変換量を設定してもよい。さらに、鳴き低減部33では、式(1)の条件を満たすように、第1摩擦材20aの目標軸力変化量を算出する。この際、鳴き低減部33では、第2摩擦材20bに対する軸力を減らした分の軸力が増えるように、第1摩擦材20aに対して目標軸力変化量を設定する。
なお、第1摩擦材20aに対する鳴き発生条件と第2摩擦材20bに対する鳴き発生条件とが重なる場合、鳴き発生マップMN1に対する3つの判定条件及び鳴き発生マップMN2に対する3つの判定条件を両方とも満たす可能性がある。その場合、第1摩擦材20aに対する軸力と第2摩擦材20bに対する軸力の一方を増加させ、他方を減少させることにより、摩擦材20a,20bの軸力が鳴き発生軸力範囲からそれぞれ外れるようにする。また、鳴き発生マップMN1に対する3つの判定の少なくとも1つを満たさない場合かつ鳴き発生マップMN2に対する3つの判定の少なくとも1つを満たさない場合、各摩擦材20a,20bに対する目標軸力変化量を0とする。
そして、鳴き低減部33では、第1摩擦材20aに対する目標軸力変化量から第3ピストン22c、第6ピストン22f、第9ピストン22iの目標軸力変化量をそれぞれ設定し、第2摩擦材20bに対する目標軸力変化量から第1ピストン22a、第2ピストン22b、第4ピストン22d、第5ピストン22e、第7ピストン22g、第8ピストン22hの目標軸力変化量をそれぞれ設定する。鳴き低減部33では、各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量を目標軸力算出部31に出力する。これにより、第1摩擦材20aの鳴き発生条件又は/及び第2摩擦材20bの鳴き発生条件を満たす場合でも、その摩擦材の軸力がその鳴き発生条件から外れるので、ブレーキ鳴きが低減するかあるいは無くなる。
効き安定部34では、各温度センサ5からの温度信号により摩擦材20a,20b毎の温度を取り入れる。
効き安定部34では、第1摩擦材20aに対する摩擦係数マップMK1及び第2摩擦材20bに対する摩擦係数マップMK2をROMに保持している(図5参照)。摩擦材はある温度以上になると摩擦係数が減少するフェード特性を有しており、摩擦材毎にフェード特性が異なる。摩擦係数マップMK1,MK2は、摩擦材20a,20b毎に、温度に対する摩擦係数の変化をマップ化したものであり、実験やシミュレーション等によって予め設定したものである。図5には、各摩擦材20a,20bの摩擦係数マップMK1,MK2の一例を示す。摩擦係数マップMK1では、第1摩擦材20aの摩擦係数は全体的に高く、フェードする摩擦係数フェード温度T1が高温側である。摩擦係数マップMK2では、第2摩擦材20bの摩擦係数は全体的に第1摩擦材20aよりも低く、フェードを開始する摩擦係数フェード温度T2が第1摩擦材20aの摩擦係数フェード温度T1よりも低温側である。また、第1摩擦材20aは、第2摩擦材20bより、摩擦係数がフェードする割合が小さく、フェード性能が良好な摩擦材である。
効き安定部34では、まず、第2摩擦材20bの温度が摩擦係数フェード温度T2−αより高いか否かを判定し、次に、第1摩擦材20aの温度が摩擦係数フェード温度T1−αより高いか否かを判定する。なお、摩擦係数フェード温度T1,T2自体で判定するのではなく、α℃,β℃引いた温度で判定することにより、摩擦係数のフェードが開始する前に、目標軸力を変化させてフェード現象を未然に防止する。例えば、α,βは、数℃〜十数℃程度であり、同じ温度でもよい。
第2摩擦材20bの温度が摩擦係数フェード温度T2−α以下の場合、効き安定部34では、各摩擦材20a,20bに対する目標軸力変化量を0とする。
第2摩擦材20bの温度が摩擦係数フェード温度T2−αより高くかつ第1摩擦材20aの温度が摩擦係数フェード温度T1−α以下の場合、効き安定部34では、第2摩擦材20bの軸力が基準より減るように(軸力が0になるようにしてよい)、第2摩擦材20bの目標軸力変化量を設定する。さらに、効き安定部34では、式(1)の条件を満たすように、第1摩擦材20aの目標軸力変化量を算出する。この際、効き安定部34では、第2摩擦材20bに対する軸力を減らした分の軸力が増えるように、第1摩擦材20aに対して目標軸力変化量を設定する。
第1摩擦材20aの温度が摩擦係数フェード温度T1−αより高い場合、効き安定部34では、第1摩擦材20aの軸力が基準より減るように(軸力が0になるようにしてよい)、第1摩擦材20aの目標軸力変化量を設定する。さらに、効き安定部34では、式(1)の条件を満たすように、第2摩擦材20bの目標軸力変化量を算出する。この際、効き安定部34では、第1摩擦材20aに対する軸力を減らした分の軸力が増えるように、第2摩擦材20bに対して目標軸力変化量を設定する。
そして、効き安定部34では、鳴き低減部33と同様に、摩擦材20a,20bに対する各目標軸力変化量から各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量をそれぞれ設定し、設定した各目標軸力変化量を目標軸力算出部31に出力する。これにより、摩擦材20a,20bのいずれか一方において摩擦係数がフェードする温度になっている場合でも、その摩擦材に対する軸力が減少され、他方の摩擦材に対する軸力が増加されるので、摩擦係数のフェードの影響を抑えることができる。そのため、ブレーキの効きを安定化させることができ、制動力も低下しない。
摩耗抑制部35では、車速センサ4からの車速信号により車速を取り入れる。また、摩耗抑制部35では、各温度センサ5からの温度信号により摩擦材20a,20b毎の温度を取り入れる。
摩耗抑制部35では、第1摩擦材20aに対する摩耗特性マップ及び第2摩擦材20bに対する摩耗特性マップをROMに保持している(図6参照)。摩擦材は温度と車速に応じて摩耗量が変わり、摩擦材毎に摩耗特性が異なっている。摩耗特性マップは、車速毎に、温度に対する摩耗量の変化をマップ化したものであり、実験やシミュレーション等によって予め設定したものである。図6には、第1摩擦材20aの摩耗特性マップMM1の一例を示す。摩耗特性マップMM1は、低速用マップMMa、中速用マップMMb、高速用マップMMcからなり、各マップに温度に対する摩耗量が設定されている。この設定される摩耗量は、基準の回転速度で回転しているディスクロータに摩擦材を基準軸力で押圧した場合の摩耗量である。
各マップMMa,MMb,MMcにおいて摩耗量が最も多くなる領域(破線の楕円で示される領域)は、各車速において摩耗特性が悪い領域である。摩耗特性マップMM1では、マップMMa,MMb,MMcに対応して摩耗量増加車速範囲が設けられ、マップMMa,MMb,MMc毎に摩耗特性が悪い領域の温度範囲を示す摩耗量増加温度範囲が設けられる。ちなみに、第2摩擦材20bに対しても同様の摩耗特性マップが設定されるが、第1摩擦材20aの摩耗特性マップMM1とは異なったマップとなり、例えば、高温側に摩耗特性が悪い領域がくるようなマップとなる。
摩耗抑制部35では、第1摩擦材20aに対する摩耗特性マップを用いて、車速が第1摩擦材20aの摩耗量増加車速範囲内かかつ第1摩擦材20aの温度が第1摩擦材20aの摩耗量増加温度範囲内かを判定する。さらに、摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bに対する摩耗特性マップを用いて、車速が第2摩擦材20bの摩耗量増加車速範囲内かかつ第2摩擦材20bの温度が第2摩擦材20bの摩耗量増加温度範囲内かを判定する。ここでは、摩耗特性マップは車速毎にマップが設定されているので、その車速毎に設定されたマップに対してそれぞれ上記判定を行う。
第1摩擦材20aに対する判定条件のみ満たす場合、摩耗抑制部35では、第1摩擦材20aの軸力が基準より減るように(軸力が0になるようにしてもよい)、第1摩擦材20aの目標軸力変化量を設定する。さらに、摩耗抑制部35では、式(1)の条件を満たすように、第2摩擦材20bの目標軸力変化量を算出する。この際、摩耗抑制部35では、第1摩擦材20aに対する軸力を減らした分の軸力が増えるように、第2摩擦材20bに対して目標軸力変化量を設定する。
第2摩擦材20bに対する判定条件のみ満たす場合、摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bの軸力が基準より減るように(軸力が0になるようにしてもよい)、第2摩擦材20bの目標軸力変化量を設定する。さらに、摩耗抑制部35では、式(1)の条件を満たすように、第1摩擦材20aの目標軸力変化量を算出する。この際、摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bに対する軸力を減らした分の軸力が増えるように、第1摩擦材20aに対して目標軸力変化量を設定する。
第1摩擦材20aに対する判定条件及び第2摩擦材20bに対する判定条件を共に満たす場合、摩耗抑制部35ででは、各摩擦材20a,20bの摩耗特性マップから現在の車速と温度における摩耗量をそれぞれ抽出し、各摩擦材20a,20bの摩耗量を比較する。そして、摩耗抑制部35では、摩耗量の多い摩擦材の軸力が基準より減るように、その摩擦材の目標軸力変化量を設定する。さらに、摩耗抑制部35では、式(1)の条件を満たすように、摩耗量の少ない摩擦材の目標軸力変化量を算出する。この際、摩耗抑制部35では、摩耗量の多い摩擦材に対する軸力を減らした分の軸力が増えるように、摩耗量の少ない摩擦材に対して目標軸力変化量を設定する。
第1摩擦材20aに対する判定条件及び第2摩擦材20bに対する判定条件を共に満たさなかった場合、摩耗抑制部35では、各摩擦材20a,20bに対する目標軸力変化量を0とする。
そして、摩耗抑制部35では、鳴き低減部33と同様に、摩擦材20a,20bに対する各目標軸力変化量から各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量をそれぞれ設定し、設定した各目標軸力変化量を目標軸力算出部31に出力する。これにより、温度と車速の条件により摩耗量の少ない摩擦材を優先的に用いるので、摩擦材20a,20bの摩耗量を抑えることができる。
図1を参照して、ディスクブレーキ装置1の動作について説明する。特に、鳴き低減部33における処理については図7のフローチャートに沿って説明し、効き安定部34における処理については図8のフローチャートに沿って説明し、摩耗抑制部35における処理については図9のフローチャートに沿って説明する。図7は、図1の鳴き低減部での処理の流れを示すフローチャートである。図8は、図1の効き安定部での処理の流れを示すフローチャートである。図9は、図1の摩耗抑制部での処理の流れを示すフローチャートである。
ドライバがブレーキペダルを操作すると、ディスクブレーキ装置1では、その操作量に応じた制御油圧がブレーキ性能制御装置3に入力される。ブレーキ性能制御装置3では、その制御油圧に基づいて、基準目標軸力を算出する。さらに、ブレーキ性能制御装置3では、車輪毎に、鳴き低減部33による各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量、効き安定部34による各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量、摩耗抑制部35による各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量を基準目標軸力にそれぞれ加味し、各ピストン22a〜22iの目標軸力をそれぞれ算出する。そして、ブレーキ性能制御装置3では、車輪毎に、各ピストン22a〜22iの目標軸力から各ピストン22a〜22iの目標ピストン変位をそれぞれ算出し、その各目標ピストン変位を第1〜第9制御信号として各アクチュエータ23a〜23iにそれぞれ送信する。
各制御信号を受信すると、各アクチュエータ23a〜23iでは、各目標ピストン変位となるように、各ピストン22a〜22iの作動を油圧制御する。この際、各アクチュエータ23a〜23iでは、各軸力センサ6a〜6iからの軸力信号と各変位センサ7a〜7iの変位信号に基づいて、各目標ピストン変位となるようにフィードバック制御する。すると、各ピストン22a〜22iでは、各目標ピストン変位になるようにそれぞれ変位し、インナ側のブレーキパッド20における第1摩擦材20aと第2摩擦材20bとを個別に設定した軸力により押圧する。やがて、インナ側のブレーキパッド20の第1摩擦材20aと第2摩擦材20bがディスクロータにそれぞれ接触し、そのブレーキパッド20がディスクロータを押圧する。さらに、ディスクブレーキ装置1では、キャリパ2がディスクロータからの反力を受けてインナ側に移動し、キャリパ2のアウタ側のブレーキパッドでもディスクロータを押圧し、制動力を発生させる。
この際、鳴き低減部33では、制御油圧に基づいてブレーキがオンしたと判断すると(S10)、車速センサ4からの車速信号に基づいて車速を取得し(S11)、各温度センサ5からの温度信号に基づいて各摩擦材20a,20bの温度を取得し(S12)、各軸力センサ6a〜6iからの軸力信号に基づいて各ピストン22a〜22iの軸力を取得する(S13)。鳴き低減部33では、各ピストン22a〜22iの軸力から、第1摩擦材20aに対する合計軸力及び第2摩擦材20bに対する合計軸力を算出する。
鳴き低減部33では、第1摩擦材20aの鳴き発生マップを用いて、第1摩擦材20aの合計軸力が鳴き発生軸力範囲内か否かを判定し(S14)、鳴き発生軸力範囲内でない場合にはS18の処理に移行する。第1摩擦材20aの合計軸力が鳴き発生軸力範囲内の場合、鳴き低減部33では、第1摩擦材20aの鳴き発生マップを用いて、車速が鳴き発生車速範囲内か否かを判定し(S15)、鳴き発生車速範囲内でない場合にはS18の処理に移行する。車速が鳴き発生車速範囲内の場合、鳴き低減部33では、第1摩擦材20aの鳴き発生マップを用いて、第1摩擦材20aの温度が鳴き発生温度範囲内か否かを判定し(S16)、鳴き発生温度範囲内でない場合にはS18の処理に移行する。
S16にて第1摩擦材20aの温度が鳴き発生温度範囲内の場合、鳴き低減部33では、第1摩擦材20aの目標軸力を減少させるとともにその減少させた分を第2摩擦材20bの目標軸力で増加させるように、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量をそれぞれ算出する(S17)。
鳴き低減部33では、第2摩擦材20bの鳴き発生マップを用いて、第2摩擦材20bの合計軸力が鳴き発生軸力範囲内か否かを判定し(S18)、鳴き発生軸力範囲内でない場合にはS22の処理に移行する。第2摩擦材20bの合計軸力が鳴き発生軸力範囲内の場合、鳴き低減部33では、第2摩擦材20bの鳴き発生マップを用いて、車速が鳴き発生車速範囲内か否かを判定し(S19)、鳴き発生車速範囲内でない場合にはS22の処理に移行する。車速が鳴き発生車速範囲内の場合、鳴き低減部33では、第2摩擦材20bの鳴き発生マップを用いて、第2摩擦材20bの温度が鳴き発生温度範囲内か否かを判定し(S20)、鳴き発生温度範囲内でない場合にはS22の処理に移行する。
S20にて第2摩擦材20bの温度が鳴き発生温度範囲内の場合、鳴き低減部33では、第2摩擦材20bの目標軸力を減少させるとともにその減少させた分を第1摩擦材20aの目標軸力で増加させるように、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量をそれぞれ算出する(S21)。
さらに、鳴き低減部33では、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量から各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量をそれぞれ算出した後、制御油圧に基づいてブレーキがオフしたか否かを判断する(S22)。そして、鳴き低減部33では、ブレーキがオフするまでS11〜S21の処理を繰り返し実行し、ブレーキがオフすると処理を終了する。ちなみに、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量及び各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量をS11の処理の前に0に初期化しており、S17の処理とS18の処理の両方の処理が行われない場合には各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量は0となっている。
鳴き発生マップにおける鳴き発生条件を満たすような温度、軸力、車速となっている場合、ブレーキ性能制御装置3では、鳴き低減部33で設定した各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量により、各摩擦材20a,20bに対する軸力を変化させる。これにより、鳴き発生条件を満たしていた摩擦材の軸力が鳴き発生条件の鳴き発生軸力範囲から外れ、その摩擦材による鳴きが低減するかあるいは無くなる。この際、一方の摩擦材の軸力の変化量を補うように他方の摩擦材の軸力を変化させるので、ブレーキパッド20全体としての制動力は低下しない。
また、効き安定部34では、制御油圧に基づいてブレーキがオンしたと判断すると(S30)、各温度センサ5からの温度信号に基づいて各摩擦材20a,20bの温度を取得する(S31)。
効き安定部34では、第2摩擦材20bの摩擦係数マップを用いて、第2摩擦材20bの温度が摩擦係数フェード温度T2−αより高いか否かを判定し(S32)、摩擦係数フェード温度T2−αより高くない場合にはS36の処理に移行する。第2摩擦材20bの温度が摩擦係数フェード温度T2−αより高い場合、効き安定部34では、第1摩擦材20aの摩擦係数マップを用いて、第1摩擦材20aの温度が摩擦係数フェード温度T1−βより高いか否かを判定する(S33)。
S33にて第1摩擦材20aの温度が摩擦係数フェード温度T1−βより高くない場合、効き安定部34では、第2摩擦材20bの目標軸力を減少させるとともにその減少させた分を第1摩擦材20aの目標軸力で増加させるように、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量をそれぞれ算出する(S34)。
S33にて第1摩擦材20aの温度が摩擦係数フェード温度T1−βより高い場合、効き安定部34では、第1摩擦材20aの目標軸力を減少させるとともにその減少させた分を第2摩擦材20bの目標軸力で増加させるように、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量をそれぞれ算出する(S35)。
さらに、効き安定部34では、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量から各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量をそれぞれ算出した後、制御油圧に基づいてブレーキがオフしたか否かを判断する(S36)。そして、効き安定部34では、ブレーキがオフするまでS31〜S35の処理を繰り返し実行し、ブレーキがオフすると処理を終了する。ちなみに、鳴き低減部33と同様に、S31の処理の前に目標軸力変化量0を初期化しており、S34の処理とS35の処理の両方の処理が行われない場合には各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量は0となっている。
摩擦係数マップにおける摩擦係数フェード温度(判定では、α,βを考慮している)より摩擦材の温度が高くなっている場合、ブレーキ性能制御装置3では、効き安定部34で設定した各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量により、各摩擦材20a,20bに対する目標軸力を基準から変化させる。これにより、摩擦係数フェード温度より高い温度になった摩擦材に対する軸力が減少し、その摩擦材における摩擦係数のフェード現象を抑えることができる。この際、他方の摩擦材に対する軸力を増加させるので、ブレーキパッド20全体としての制動力は低下しない。
また、摩耗抑制部35では、制御油圧に基づいてブレーキがオンしたと判断すると(S40)、車速センサ4からの車速信号に基づいて車速を取得し(S41)、各温度センサ5からの温度信号に基づいて各摩擦材20a,20bの温度を取得する(S42)。
摩耗抑制部35では、第1摩擦材20aの摩耗特性マップを用いて、車速が摩耗量増加車速範囲内か否かを判定し(S43)、摩耗量増加車速範囲内でない場合にはS50の処理に移行する。車速が摩耗量増加車速範囲内の場合、摩耗抑制部35では、第1摩擦材20aの摩耗特性マップを用いて、第1摩擦材20aの温度が摩耗量増加温度範囲内か否かを判定し(S44)、摩耗量増加温度範囲内でない場合にはS50の処理に移行する。第1摩擦材20aの温度が摩耗量増加温度範囲内の場合、摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bの摩耗特性マップを用いて、車速が摩耗量増加車速範囲内か否かを判定する(S45)。車速が摩耗量増加車速範囲内の場合、摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bの摩耗特性マップを用いて、第2摩擦材20bの温度が摩耗量増加温度範囲内か否かを判定する(S46)。
S45にて車速が摩耗量増加車速範囲内でない場合またはS46にて第2摩擦材20bの温度が摩耗量増加温度範囲内でない場合、摩耗抑制部35では、第1摩擦材20aの目標軸力を減少させるとともにその減少させた分を第2摩擦材20bの目標軸力で増加させるように、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量をそれぞれ算出し、S53の処理に移行する(S47)。
S45にて車速が摩耗量増加車速範囲内の場合かつS46にて第2摩擦材20bの温度が摩耗量増加温度範囲内の場合、摩耗抑制部35では、各摩擦材20a,20bの摩耗特性マップから現在の車速と各摩擦材20a,20bの温度での各摩擦材20a,20bの摩耗量を抽出し、各摩擦材20a,20bの摩耗量を比較する(S48)。そして、摩耗抑制部35では、摩耗量の多い摩擦材の目標軸力を減少させるとともにその減少させた分を摩耗量の少ない摩擦材の目標軸力で増加させるように、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量をそれぞれ算出し、S53の処理に移行する(S49)。
摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bの摩耗特性マップを用いて、車速が摩耗量増加車速範囲内か否かを判定し(S50)、摩耗量増加車速範囲内でない場合にはS53の処理に移行する。車速が摩耗量増加車速範囲内の場合、摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bの摩耗特性マップを用いて、第2摩擦材20bの温度が摩耗量増加温度範囲内か否かを判定し(S51)、摩耗量増加温度範囲内でない場合にはS53の処理に移行する。
S50にて車速が摩耗量増加車速範囲内の場合かつS51にて第2摩擦材20bの温度が摩耗量増加温度範囲内の場合、摩耗抑制部35では、第2摩擦材20bの目標軸力を減少させるとともにその減少させた分を第1摩擦材20aの目標軸力で増加させるように、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量をそれぞれ算出し、S53の処理に移行する(S52)。
さらに、摩耗抑制部35では、各摩擦材20a,20bの目標軸力変化量から各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量をそれぞれ算出し、制御油圧に基づいてブレーキがオフしたか否かを判断する(S53)。そして、摩耗抑制部35では、ブレーキがオフするまでS41〜S52の処理を繰り返し実行し、ブレーキがオフすると処理を終了する。ちなみに、鳴き低減部33と同様に、S41の処理の前に目標軸力変化量0を初期化しており、S47の処理、S49の処理とS52の処理の全ての処理が行われない場合には各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量は0となっている。
摩耗特性マップにおける摩耗特性が悪化する領域に含まれるような車速、温度となっている場合、ブレーキ性能制御装置3では、摩耗抑制部35で設定した各ピストン22a〜22iの目標軸力変化量により、各摩擦材20a,20bに対する目標軸力を基準から変化させる。これにより、摩耗特性が悪化する領域に含まれる車速、温度となっている摩擦材に対する軸力が減少し、その摩擦材の摩耗量の増加を抑えることができる。この際、他方の摩擦材に対する軸力を増加させるので、ブレーキパッド20全体としての制動力は低下しない。
このディスクブレーキ装置1によれば、特性の異なる2つの摩擦材20a,20bに対してそれぞれ独立して軸力を設定することができ、ブレーキ性能を向上させるために各摩擦材20a,20b(各ピストン22a〜22i)の軸力を個別に変化させることができる。そのため、ディスクブレーキ装置1では、ブレーキ鳴き、ブレーキ効き、磨耗等のブレーキ性能を高次元でトータルに成立させることができるとともに、ブレーキペダルの操作に応じた制動力を発生させることができる。
特に、ディスクブレーキ装置1では、鳴き発生マップの鳴き発生領域を外すように摩擦材20a,20bに対する軸力を制御することにより、ブレーキ鳴きを低減することができる。また、ディスクブレーキ装置1では、摩擦係数マップの摩擦係数がフェードする温度より摩擦材の温度が高くなるとその摩擦材に対する軸力を減少させるように制御することにより、摩擦係数のフェード現象を抑えることができ、ブレーキ効きが安定化する。また、ディスクブレーキ装置1では、摩耗特性マップの摩耗量が悪化する領域に含まれる摩擦材に対する軸力を減少させるように制御することにより、その摩擦材の摩耗量の増加を抑えることができる。さらに、ディスクブレーキ装置では、各摩擦材20a,20bのうちの一方の軸力を変化させる場合には他方の摩擦材によりその軸力の変化量を補うように制御しているので、ブレーキパッド20全体としての制動力を保持でき、制動力が低下しない。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態ではディスクブレーキ装置を自動車に適用したが、自動車二輪車等のディスクブレーキ装置を搭載する他のものにも適用可能である。
また、本実施の形態ではディスクロータの一面側のブレーキパッドを押圧するピストンのみを備える構成としたが、ディスクロータの一面側のブレーキパッドと他面側のブレーキパッドをそれぞれ押圧するピストンを備える構成としてもよい。
また、本実施の形態では摩擦係数が異なる第1摩擦材と第2摩擦材を備える構成としたが、他の特性が異なる摩擦材を用いてもよいし、あるいは、摩擦材の個数、配置、形状等も適宜構成してよい。
また、本実施の形態では1つのブレーキパッドに対して3×3の9つのピストンを備える構成としたが、ブレーキパッドの形状や大きさ、ピストン半径及び摩擦材の個数、配置、形状等を考慮し、ピストンの個数や配置を適宜設定してよい。
また、本実施の形態では鳴き低減部、効き安定部、摩耗抑制部を有し、各処理部で目標軸力変化量を設定する構成としたが、この3つの処理部を全て有するのではなく、2つの処理部あるいは1つの処理部のみを有する構成としてもよい。また、振動抑制等のこれら以外のブレーキ性能を向上させるための目標軸力変化量を設定する処理部を有する構成としてもよい。
また、本実施の形態では目標制動力としてドライバのブレーキペダルの操作量(制御油圧)としたが、車両にABS、車間制御等のブレーキを車両側で制御するためのシステムが搭載されている場合にはそのシステムからの制御信号も目標制動力としてもよい。
また、本実施の形態では温度センサによって摩擦材の温度を検出する構成としたが、GPSによる車両の位置情報や車速情報を用いて制動エネルギから摩擦材の温度を推定するようにしてもよい。
また、本実施の形態では鳴き発生マップ、摩擦係数マップ、摩耗特性マップをROMに保持する構成としたが、通信ネットワーク等から受信する構成としてもよいし、あるいは、鳴き、摩擦係数、摩耗量等を検知する検知手段を車両に備え、鳴き、摩擦係数、摩耗量等を検知手段で検知したときの車速、温度、軸力からマップを更新していく構成でもよい。
本実施の形態に係るディスクブレーキ装置の制御部分の構成図である。 本実施の形態に係るディスクブレーキ装置のピストン及びブレーキパッドの構成の一例を示す図であり、(a)が側面図であり、(b)が正面図である。 本実施の形態に係るディスクブレーキ装置のピストン及びブレーキパッドの構成の他の例を示す図であり、(a)が側面図であり、(b)が正面図である。 図1の鳴き低減部で保持する鳴き発生マップの一例であり、(a)が第1摩擦材に対する鳴き発生マップであり、(b)が第2摩擦材に対する鳴き発生マップである。 図1の効き安定部で保持する摩擦係数マップの一例である。 図1の摩耗抑制部で保持する摩耗特性マップの一例である。 図1の鳴き低減部での処理の流れを示すフローチャートである。 図1の効き安定部での処理の流れを示すフローチャートである。 図1の摩耗抑制部での処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1…ディスクブレーキ装置、2…キャリパ、3…ブレーキ性能制御装置、4…車速センサ、5…温度センサ、6a〜6i…第1〜第9軸力センサ、7a〜7i…第1〜第9変位センサ、20…ブレーキパッド、20a…第1摩擦材、20b…第2摩擦材、20c…裏金、22a〜22i…第1〜第9ピストン、23a〜23i…第1〜第9アクチュエータ、30…基準目標軸力算出部、31…目標軸力算出部、32…目標ピストン変位算出部、33…鳴き低減部、34…効き安定部、35…摩耗抑制部

Claims (8)

  1. ディスクロータの少なくとも一面側に位置する複数の異なる摩擦材と当該複数の摩擦材を押圧する複数の摩擦材押圧手段を有するキャリパと、
    前記摩擦材の温度を検出する温度検出手段と、
    目標制動力を発生するように、前記温度検出手段で検出した摩擦材の温度に基づいて前記複数の摩擦材の各押圧力を設定する押圧力設定手段と
    を備えることを特徴とするディスクブレーキ装置。
  2. 車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記押圧力設定手段は、前記温度検出手段で検出した摩擦材の温度及び前記車速検出手段で検出した車速に基づいて、前記複数の摩擦材の各押圧力をブレーキ鳴きが発生する可能性の低い押圧力に設定することを特徴とする請求項1に記載するディスクブレーキ装置。
  3. 前記摩擦材に対する押圧力を検出する押圧力検出手段を備え、
    前記押圧力設定手段は、前記押圧力検出手段で検出した摩擦材に対する押圧力が鳴き発生押圧力範囲内かつ前記温度検出手段で検出した摩擦材の温度が鳴き発生温度範囲内かつ前記車速検出手段で検出した車速が鳴き発生車速範囲内の場合、ブレーキ鳴きが発生する可能性が高いと判定し、前記複数の摩擦材の各押圧力を規定範囲外の押圧力に設定することを特徴とする請求項2に記載するディスクブレーキ装置。
  4. 前記押圧力設定手段は、ブレーキ鳴きが発生する可能性が高いと判定した摩擦材の押圧力を減少させ、当該押圧力を減少させる摩擦材以外の摩擦材の押圧力を減少させた押圧力分増加させることを特徴とする請求項3に記載するディスクブレーキ装置。
  5. 前記押圧力設定手段は、前記温度検出手段で検出した摩擦材の温度に基づいて、摩擦係数が低下する温度になった摩擦材の押圧力を減少させ、当該押圧力を減少させる摩擦材以外の摩擦材の押圧力を増加させることを特徴とする請求項1に記載するディスクブレーキ装置。
  6. 前記押圧力設定手段は、前記押圧力を増加させた摩擦材が摩擦係数が低下する温度になった場合、当該押圧力を増加させた摩擦材の押圧力を減少させ、前記押圧力を減少させた摩擦材の押圧力を増加させることを特徴とする請求項5に記載するディスクブレーキ装置。
  7. 前記押圧力設定手段は、前記温度検出手段で検出した摩擦材の温度に基づいて、摩耗量が多くなる温度になった摩擦材の押圧力を減少させ、当該押圧力を減少させる摩擦材以外の摩擦材の押圧力を増加させることを特徴とする請求項1に記載するディスクブレーキ装置。
  8. 前記押圧力設定手段は、複数の摩擦材が摩耗量が多くなる温度となった場合、摩耗量の少ない摩擦材よりも摩耗量の多い摩擦材の押圧力を減少させることを特徴とする請求項7に記載するディスクブレーキ装置。
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