JP2005319412A - 複層塗膜の形成方法及び複層塗膜 - Google Patents

複層塗膜の形成方法及び複層塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】
環境に対する負荷が少なく、かつ、黄変、ワキ、ピンホール等の外観不良を引き起こさないクリヤー塗膜を有する複層塗膜の形成方法、及び、その方法により得られる複層塗膜を提供する。
【解決手段】
本発明は、カチオン電着塗膜を有する基材上に、水性中塗り塗料、水性ベース塗料及び粉体クリヤー塗料によって複層塗膜を形成する方法であって、水性中塗り塗料を塗布する工程(I)、上記工程(I)によって形成された中塗り塗膜上に水性ベース塗料を塗布する工程(B)、上記工程(B)によって形成されたベース塗膜上にプライマーを塗布する工程(P)、及び、上記工程(P)によって形成されたプライマー塗膜上に粉体クリヤー塗料を塗装する工程(C)からなり、上記工程(B)の直後及び/又は上記工程(P)の直後に加熱硬化工程(H)を行うことを特徴とする複層塗膜の形成方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複層塗膜の形成方法及び複層塗膜に関する。
自動車車体及び自動車用部品は、電着塗装、中塗り塗装、ベース塗装、及び、クリヤー塗装により得られる複層塗膜を有することが一般的である。近年、VOC削減の観点から、これらの塗装に用いる塗料の溶剤の低減が求められており、粉体塗料によるクリヤー塗装が検討されている。
しかし、未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を一度に焼き付ける2コート1ベークにおいては、ベース塗膜に含まれる水分・溶剤等の揮散が生じるためにクリヤー塗膜のワキ、ピンホール、黄変等が生じるという問題があった。特に、粉体クリヤー塗料を使用した場合、加熱溶融の初期段階から溶融粘度が高いため、上述のような揮発性化合物が塗膜中を通過することが困難となり、従来の溶剤型クリヤー塗料を使用した場合よりもこれらの問題が顕著に現れるものであった。
特許文献1では、水性塗料の塗装方法、特に、3ウエット塗装システムにおいて、黄変することなく、優れた外観を有する塗膜を形成するために、水性塗料を塗布して形成された塗膜の単位面積1mmにおける揮発性の塩基性物質の合計量を、7×10mmol以下になるように塗膜形成することを前提とする塗膜形成方法が開示されているが、塗料組成面からの検討であり、塗装工程面からのアプローチはなされていない。
特許文献2では、自動車車体のオーバークリヤーコートを提供するために、アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(I)を特定の割合で含む透明プライマーを上塗り塗膜の上に塗装し、かつ、オーバークリヤーコー卜塗料をその上に塗装することによって、付着性に優れた塗膜が得られることを開示しているが、水性3ウエット塗装システムは示唆すらなく、ましてや黄変性について塗装工程面からアプローチしたものではなかった。
このような問題を解決する方法として、ベース塗膜の加熱硬化を行うことによって、揮発性化合物を取り除いた後に粉体クリヤー塗料を塗布する方法が考えられる。しかしながら、このような方法を行うと、硬化したベース塗膜と粉体クリヤー塗料との付着性が低いために、充分な密着性及び塗膜強度を有するクリヤー塗膜を得ることが困難になるという問題があった。
特開2002−126625号公報 特開2002−86061号公報
本発明は、上記に鑑み、環境に対する負荷が少なく、かつ、黄変、ワキ、ピンホール等の外観不良を引き起こさないクリヤー塗膜を有する複層塗膜の形成方法、及び、その方法により得られる複層塗膜を提供することを目的とするものである。
本発明は、カチオン電着塗膜を有する基材上に、水性中塗り塗料、水性ベース塗料及び粉体クリヤー塗料によって複層塗膜を形成する方法であって、水性中塗り塗料を塗布する工程(I)、上記工程(I)によって形成された中塗り塗膜上に水性ベース塗料を塗布する工程(B)、上記工程(B)によって形成されたベース塗膜上にプライマーを塗布する工程(P)、及び、上記工程(P)によって形成されたプライマー塗膜上に粉体クリヤー塗料を塗装する工程(C)からなり、上記工程(B)の直後及び/又は上記工程(P)の直後に加熱硬化工程(H)を行うことを特徴とする複層塗膜の形成方法である。
上記プライマーは、溶剤型であり、アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)からなるものであってもよい。
上記プライマーは、水性型であってもよい。
上記粉体クリヤー塗料は、懸濁式粉体塗料であることが好ましい。
上記基材は、自動車車体又は自動車用部品であることが好ましい。
本発明は、上記複層塗膜の形成方法により得られることを特徴とする複層塗膜でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複層塗膜の形成方法は、カチオン電着塗膜を有する基材上に、水性中塗り塗料、水性ベース塗料及び粉体クリヤー塗料によって複層塗膜を形成する方法である。すなわち、溶剤系の塗料を使用することなく複層塗膜を形成する方法であるため、環境に対する負荷が小さいものである。本発明においては、環境に対する負荷を低減することが重要な目的となるため、中塗り塗料、及び、ベース塗料も水性のものを使用する。
水性塗料を使用すると、水中に樹脂を分散させるために、樹脂中のカルボン酸基等を中和するためのアミン化合物等が使用される。加熱硬化時にアミン化合物等が蒸散することによりクリヤー塗膜の黄変、ワキ、ピンホール等の外観不良が起こりやすくなる。本発明は、このような外観不良の発生を防止できる方法でもある。
本発明は、上述したような外観不良を防止するために、粉体クリヤー塗料を塗布する前に水性ベース塗料及び水性中塗り塗料の加熱硬化を行って塗膜を形成する方法である。つまり、粉体クリヤー塗料を塗布する前に加熱硬化を行うことにより上記アミン化合物等を蒸散させ、その後粉体クリヤー塗料を塗布することにより粉体クリヤー塗膜の外観不良を抑制することができるものである。また、加熱硬化したベース塗膜と粉体クリヤー塗膜の付着性は良好ではないため充分な密着性を保持することができなかったが、本発明の方法に従ってベース塗膜上にプライマーを塗布することにより、粉体クリヤー塗料の付着性を高め、良好なクリヤー塗膜を得ることができる。
本発明において、加熱硬化工程(H)は、水性ベース塗料を塗布する工程(B)及び/又はベース塗膜上にプライマーを塗布する工程(P)の直後に行うものである。つまり、本発明においては、(i)ベース塗料の塗布後にプライマーを塗布して加熱硬化する、(ii)ベース塗料の塗布後に加熱硬化してプライマーを塗布する、及び、(iii)ベース塗料の塗布後に加熱硬化してプライマーを塗布後も加熱硬化する、のいずれかの方法によってベース塗膜の加熱硬化を行うものである。
上述のように少なくともどちらか一方の塗布直後に加熱硬化工程(H)を行うことによって、溶媒、アミン化合物等の蒸散が効果的に行われ、黄変、ワキ、ピンホール等の外観不良を生じることなくクリヤー塗膜を形成することができる。上記加熱硬化工程(H)は、工程(B)直後及び工程(P)の直後の両方で行ってもよいが、工程削減の観点からどちらか一方で行うことが好ましい。
本発明の複層塗膜の形成方法においては、水性中塗り塗料の塗布後加熱硬化を行うものであっても、未硬化のままウエットオンウエットで水性ベース塗料を塗布するものであってもよい。なお、本明細書において未硬化とは、例えば、プレヒートを行った後の状態を含む概念である。上記プレヒートは、塗布した後に、例えば、室温〜100℃未満で1〜10分間放置又は加熱し、水分や溶剤を揮散させる工程である。
上記加熱硬化工程(H)における加熱条件としては特に限定されず、130〜180℃で25分程度加熱することが好ましい。また、上記加熱硬化工程(H)を行う前にベース塗膜及び/又はプライマー塗膜は、上述の条件でプレヒートされていることが好ましい。
このような本発明の態様としては、図1〜6に示したようなものを挙げることができる。図1〜6における実線は塗布後に加熱硬化を行い、その後次の塗膜を形成している界面を示し、点線は塗布後未硬化のまま次の塗膜を形成している界面を示すものである。
図1は、水性ベース塗料の塗布直後に加熱硬化工程を行うものであり、図2は、プライマーの塗布直後に加熱硬化工程を行うものであり、図3は、水性ベース塗料及びプライマーの塗布直後に加熱硬化工程を行うものである。また、図4は、水性中塗り塗料の塗布直後及び水性ベース塗料の塗布直後に加熱硬化工程を行うものであり、図5は、水性中塗り塗料の塗布直後及びプライマーの塗布直後に加熱硬化工程を行うものであり、図6は、水性中塗り塗料の塗布直後、並びに、水性ベース塗料及びプライマーの塗布直後に加熱硬化工程を行うものである。
これらのいずれの方法においても、得られる複層塗膜は、黄変、ワキ、ピンホール等の外観不良を起こさない良好なものである。
本発明において使用されるプライマーとして特に限定されず、水性型であっても、溶剤型であってもよいが、アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)を含むものであることが好ましい。上記樹脂(A)を含むプライマーを塗布することによって、粉体クリヤー塗料の付着性が向上し、良好なクリヤー塗膜を得ることができる。
上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)は、アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体(A−1)及びエポキシ基含有ラジカル重合性単量体(A−2)を単量体成分として用いて共重合することによって得ることができる。ただし、上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)として、アルコキシシリル基を含有しエポキシ基を含有しない樹脂とアルコキシシリル基を含有せずにエポキシ基を含有する樹脂とが混合したものを使用することもできるし、これらの樹脂とアルコキシシリル基及びエポキシ基をともに含有する樹脂とが更に混合しているものを使用することも可能である。
上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)全体として、アルコキシシリル基及びエポキシ基が含有されていればよいことを意味するものである。上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)は、アクリル共重合体であることが好ましいことから、上記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体(A−1)としては、下記一般式(1):
Figure 2005319412
(式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Yは同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシル基、又は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表す。Yの少なくとも1つは、炭素数1〜4のアルコキシル基である。)で表されるものを使用することが好ましい。上記Rの炭素数1〜6の炭化水素基としては、直鎖又は分枝状の2価のアルキル基、アルケニル基、アリール基等を挙げることができる。上記Yで表されるアルコキシ、アルキル、アラルキル基としては直鎖又は分枝状であってよい。
上記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体(A−1)の具体例としては、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体(A−2)としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキサニルメチルメタクリレート等のエポキシ基含有アクリル単量体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体(A−1)及び上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体(A−2)以外の単量体成分としては特に限定されないが、水酸基含有ラジカル重合性単量体(A−3)を用いることが好ましい。上記水酸基含有ラジカル重合性単量体(A−3)としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;プラクセルFM−1(商品名、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加物、ダイセル化学工業社製);ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、その他の単量体(A−4)としては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類やビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n、i及びt−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n、i及びt−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体類;アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体(A−1)は、単量体成分中、下限5質量%、上限50質量%の範囲内で含まれることが好ましい。配合量が5質量%未満では、得られるプライマー塗膜の付着性及び耐水性が低下する。50質量%を超えると、親水性が大きくなりすぎ、貯蔵安定性に劣る。
上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体(A−2)は、単量体成分中、下限10質量%、上限50質量%の範囲内で含まれることが好ましい。配合量が10質量%未満では、得られるプライマー塗膜の付着性が低下する。50質量%を超えると、貯蔵安定性に劣る。その他の単量体のうち上記水酸基含有ラジカル重合性単量体(A−3)は、単量体成分中、下限5質量%、上限40質量%の範囲内で含まれることが好ましい。5質量%未満では、硬化性に劣り、40質量%以上では耐水性に劣る場合がある。
上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)は、上述した単量体成分をラジカル重合開始剤の存在下で共重合して得ることができる。アルコキシシリル基及びエポキシ基をそれぞれ別々に含有する樹脂を使用する場合には、上記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体(A−1)並びに所望により水酸基含有ラジカル重合性単量体(A−3)及びその他の単量体(A−4)を共重合させたもの、並びに、上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体(A−2)並びに所望により水酸基含有ラジカル重合性単量体(A−3)及びその他の単量体(A−4)を共重合させたものを混合して使用することができる。上記共重合方法としては特に限定されず、通常のラジカル重合等の溶液重合等により行うことができ、例えば、重合温度100〜140℃、重合時間3〜8時間で行うことができる。
上記ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記ラジカル重合開始剤は、上述した単量体の全量に対して、下限3質量%、上限15質量%の範囲内で使用するのが好ましい。上記共重合を行う際には、添加剤として連鎖移動剤等を添加してもよい。
上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)は、数平均分子量(Mn)が下限1000、上限8000の範囲内であるものが好ましい。1000未満では得られるプライマー塗膜の性能、耐候性が低下し、8000を超えると作業性に劣る。また、分子中にアルコキシシリル基を1〜15個有することが好ましい。上記アルコキシシリル基が1個未満では、得られるプライマー塗膜の付着性及び耐水性が低下する。15個を超えると、親水性が大きくなり、貯蔵安定性に劣る。エポキシ基は分子中に2〜10個有することが好ましく、エポキシ当量は下限100、上限800の範囲内であることが好ましい。上記エポキシ当量が100未満であると、得られるプライマー塗膜が硬くなりすぎ、耐候性が悪くなり、800を超えると、硬化性が充分でなくなる。
上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)は、更に、水酸基を1〜12個有することが好ましく、水酸基価としては5〜200mgKOH/gが好ましい。上記水酸基価が5mgKOH/g未満であると、密着性が劣り、200mgKOH/gを超えると、得られるプライマー塗膜の耐水性が充分でなくなる。分子中に水酸基を4〜10個有し、エポキシ基を3〜8個有し、また、水酸基価が10〜150mgKOH/gであり、エポキシ当量が200〜600であるアルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)が特に好ましい。なお、本明細書において、酸価及び水酸基価は、固形分換算の値であり、数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
本発明において使用するプライマーは、上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)を、上記プライマー中の樹脂成分全量に対して、下限3質量%、上限30質量%の範囲内で含有することが好ましい。上記含有量が3質量%未満であると、付着性及び耐水性に劣る。上記含有量が30質量%を超えると、貯蔵安定性に劣る。
上記プライマーにおいて、上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)以外の成分としては特に限定されず、例えば、アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有しない通常の樹脂成分等を挙げることができる。上記通常の樹脂成分としては、水酸基含有アクリル樹脂又はポリエステル樹脂とメラミン系硬化剤を組み合わせたもの等を挙げることができる。
上記水酸基含有アクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、水酸基含有アクリル単量体と他のエチレン性不飽和基含有単量体とを通常の方法により共重合することによって得られるもの等を挙げることができる。
上記他のエチレン性不飽和基含有単量体としては特に限定されず、例えば、上記その他の単量体(A−4)として挙げたもののほか、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリエステル樹脂としては特に限定されず、例えば、多価カルボン酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分としたアルコール成分とを通常の方法により重縮合することにより得られるもの等を挙げることができる。
上記酸成分としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びこれらの無水物;2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸類;これらの対応するヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アルコール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物;1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等の側鎖を有する脂肪族グリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有アクリル樹脂又は上記ポリエステル樹脂は、酸価が100mgKOH/g以下であることが好ましい。上記酸価が100mgKOH/gを超えると、上記水酸基含有アクリル樹脂又は上記ポリエステル樹脂の粘度が高くなりすぎて取扱いが困難となり、高固形分プライマーを調製することが困難になる。上記酸価は、2〜50mgKOH/gであることがより好ましい。
上記水酸基含有アクリル樹脂又は上記ポリエステル樹脂は、水酸基価が5〜200mgKOH/gであることが好ましい。上記水酸基価が5mgKOH/g未満であると、プライマーの硬化性が不足し、200mgKOH/gを超えると、得られるプライマー塗膜の耐水性が低下する。上記水酸基価は、30〜200mgKOH/gであることがより好ましい。
上記水酸基含有アクリル樹脂又は上記ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が500〜30000であることが好ましい。上記数平均分子量(Mn)が500未満であると、得られるプライマー塗膜の強度又は耐水性が低下し、30000を超えると、上記水酸基含有アクリル樹脂及び上記ポリエステル樹脂の粘度が高くなりすぎて取扱いが困難となり、高固形分プライマーを調製することが困難になる。上記数平均分子量(Mn)は、500〜25000であることがより好ましい。
上記水酸基含有アクリル樹脂又は上記ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が−20℃〜60℃であることが好ましい。上記ガラス転移温度(Tg)が−20℃未満であると、得られるプライマー塗膜が軟弱なものになり、60℃を超えると、プライマー塗膜が不均一になりやすく、また、硬くなりすぎクラックの原因となりやすい。上記ガラス転移温度(Tg)は、0℃〜40℃であることがより好ましい。
上記メラミン系硬化剤は、アミノ樹脂及び/又はブロックポリイソシアネート化合物であることが好ましい。上記アミノ樹脂としては特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、尿素樹脂等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂が一般的である。
上記メラミン樹脂は、アルキルエーテル化してアルキルエーテル化メラミン樹脂とすることができ、このうちメトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂が好ましい。
上記メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂において、メトキシ基を単独で有するものとしては、サイメル325、サイメル327、サイメル370、メトキシ基とブトキシ基との混合タイプとしては、サイメル202、サイメル204、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267(いずれも商品名、三井サイテック社製)、ブトキシ基を単独で有するものとしては、マイコート506(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N60、ユーバン20SE(いずれも商品名、三井化学社製)等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記ベンゾグアナミン樹脂についても同様に置換されたものが使用できる。
上記ブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックしたものである。上記ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基をもつ化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート類;ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化されたXDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12MDI)等の水添ジイソシアネート類;これらのジイソシアネート化合物の2量体、3量体、更に高分子量のポリイソシアネート類;トリメチロールプロパン等の多価アルコール若しくは水、又は、低分子量ポリエステル樹脂との付加物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ブロック剤としては特に限定されず、例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;m−クレゾール、キシレノール等のフェノール類;メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;ε−カプロラクタム等のラクタム類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケトン類;チオフェノール等のメルカプタン類;チオ尿素等の尿素類;イミダゾール類;カルバミン酸類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物を上記ブロック剤でブロックする方法としては特に限定されず、例えば、通常の方法により、フリーのイソシアネート基がなくなるまで反応させる方法等を挙げることができる。
上記ブロックポリイソシアネート化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、デスモジュールシリーズ(商品名、住友バイエルウレタン社製)、バーノックDシリーズ(商品名、大日本インキ化学工業社製)、タケネートBシリーズ(商品名、武田薬品工業社製)、コロネート2500シリーズ(商品名、日本ポリウレタン工業社製)等を挙げることができる。これらの中でも、オキシム、ラクタム又はジケトンでブロックしたものが好ましい。
本発明で用いられるプライマーは、上記水酸基含有アクリル樹脂又はポリエステル樹脂の水酸基価に対して、上記水酸基価の当量以上のイソシアナート基が含まれるように配合するのが好ましい。具体的に、上記メラミン系硬化剤の配合は、上記水酸基含有アクリル樹脂又はポリエステル樹脂と上記メラミン系硬化剤との質量比を8/2〜5/5とするのが好ましく、7/3〜6/4とするのがより好ましい。ポリイソシアネート化合物の場合、上記水酸基価の当量の0.8〜1.5倍の範囲の配合であれば差し支えない。上記水酸基価の当量の0.8倍未満であると、プライマー塗膜の硬化性が充分でなく、軟弱なプライマー塗膜しか得られず、硬度のみならずプライマー塗膜の耐薬品性及び耐汚染性も低下し、1.5倍を超えると、ポリイソシアネート化合物を配合しただけの効果が得られないばかりか、プライマー塗膜の強度、硬度、耐薬品性等が低下し、黄変性や耐候性も低下しやすい。好ましくは、1.0〜1.2倍である。
上記メラミン系硬化剤には、一般的に、硬化触媒が用いれらる。上記ブロックポリイソシアネート化合物をメラミン系硬化剤として用いる場合の硬化触媒としては特に限定されず、例えば、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズオクテート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物類;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機スズ化合物類が一般的である。
上記アミノ樹脂をメラミン系硬化剤として用いる場合には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等の有機ホスホン酸類;これらのアミン塩等の硬化触媒を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化触媒の配合量は、全樹脂固形分に対し、0.01〜3.0質量%が好ましい。
上記プライマーには、架橋密度を上げ、耐水性の向上を図るためのメラミン・ホルムアルデヒド樹脂、プライマー塗膜の耐候性向上のための紫外線吸収剤や光安定剤等、レオロジーコントロールのためのマイクロジェルや表面調整剤、粘度調整等のための希釈剤等を配合してもよい。
上記紫外線吸収剤、光安定剤としては特に限定されず、例えば、チヌビン−900(チバガイギー社製)、サノールLS−292(三共社製)等を挙げることができる。上記希釈剤としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;ハイドロカーボン、エステル等の溶剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記希釈剤の配合量は、上記希釈剤を添加したプライマーの総質量に対し、上限60質量%の範囲内であることが好ましく、20〜55質量%の範囲内がより好ましい。
上記プライマーは、プライマー塗膜の透明感を損なわず、ベース塗膜等の色調に影響を及ぼさない範囲で顔料を含むものであってもよい。上記顔料の配合量は、上記プライマーの全固形分に対して10質量%以下が好ましい。
上記顔料としては特に限定されず、例えば、酸化鉄、酸化鉛、カーボンブラック、コールダスト、二酸化チタン、タルク、硫酸化バリウム、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属顔料(例えば、アルミニウムフレーク等)、有機顔料(例えば、フタロシアニンブルー、シンカシヤレッド等)、パールマイカ等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記プライマーの調製法としては特に限定されず、上述した各配合物を攪拌機等を用いて攪拌することにより行うことができ、上記顔料を含む場合は、ニーダー、ロール等を用いて混練することにより行うこともできる。上記プライマーの固形分含有量は、下限25質量%、上限70質量%の範囲内であることが好ましい。上記下限は、35質量%がより好ましく、上記上限は、65質量%がより好ましい。また、塗布時における固形分含有量は、下限10質量%、上限65質量%の範囲内であることが好ましく、上記下限は、15質量%がより好ましく、上記上限は、50質量%がより好ましい。
上記プライマーの塗装方法としては特に限定されず、例えば、通称「リアクトガン」と言われるエアー静電スプレー;通称「マイクロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用いることにより行うことができる。上記プライマーにより得られるプライマー塗膜の乾燥膜厚は、下限5μm、上限30μmの範囲内であることが好ましい。上記上限は15μmであることがより好ましく、上記下限は7μmであることがより好ましい。上記乾燥膜厚が5μm未満であると、充分な粉体クリヤー塗料との付着性を発揮することができない。一方、上記膜厚が30μmを超えると、塗装時にタレ、ワキ等の不具合が起こることがある。
本発明において使用される粉体クリヤー塗料としては、原料を溶融混練した後粉砕することにより得られる粉砕式粉体塗料、又は、乳化重合、懸濁重合等により得られる懸濁式粉体塗料等の従来公知の粉体塗料を挙げることができるが、仕上がり外観の観点から懸濁式粉体塗料が好ましい。
上記粉体クリヤー塗料は、塗膜形成性樹脂を有してなるものである。上記塗膜形成性樹脂としては特に限定されず、粉体塗料分野において通常使用されるものを挙げることができる。具体的には、熱硬化性樹脂を挙げることができる。上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
上記塗膜形成性樹脂として上記熱硬化性樹脂を使用する場合、硬化剤、硬化促進剤を含有することが好ましい。好ましい組み合わせとしては、以下のような例を挙げることができる。
例えば、塗膜形成性樹脂として熱硬化性グリシジル基含有アクリル樹脂を使用する場合、硬化剤として多価カルボン酸等を使用することができる。また、塗膜形成用樹脂として熱硬化性ポリエステル樹脂を使用する場合、硬化剤としてブロックイソシアネー卜化合物等を使用することができる。
上記懸濁式粉体塗料としては、熱硬化性樹脂及び有機溶剤を含む熱硬化性樹脂溶液を、水溶性高分子を含む水溶液中に分散して懸濁液を調製し、該懸濁液の分散相中の有機溶剤を留去して分散相を固化し、固化した分散相粒子を懸濁液から分離して得られる熱硬化性粉体塗料であって、上記熱硬化性樹脂溶液に、熱硬化性樹脂として樹脂F及び樹脂Gが含まれており、樹脂F及び樹脂Gが、(a)(樹脂FのSP値)−(樹脂GのSP値)が0.1〜1.0、(b)樹脂Fのガラス転移温度が50〜100℃、数平均分子量が2000〜4000、(数平均分子量/100+ガラス転移温度)の値が90以上、(c)樹脂Gのガラス転移温度が20〜70℃、数平均分子量が1000〜4000、(数平均分子量/100+ガラス転移温度)の値が89以下、(d)樹脂F/樹脂Gの固形分質量の比が5/95〜50/50であり、かつ熱硬化性粉体塗料の140℃昇温試験における粘度が40mPa・秒以下であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料等を挙げることができる。上述のように、樹脂FのSP値は、樹脂GのSP値よりも大きいので、分散相粒子において、樹脂Fは相対的に粒子の外側に位置し、樹脂Gは相対的に粒子の内側に位置する。上述のように、樹脂Fの(数平均分子量/100+ガラス転移温度)の値は90以上であり、樹脂G(数平均分子量/100+ガラス転移温度)の値は89以下であるので、樹脂Fは、樹脂Gに比べ固い樹脂である。従って、本発明の熱硬化性粉体塗料は、比較的軟らかな樹脂Gの周囲に比較的固い樹脂Fが配置している。このため、耐ブロッキング性に優れるとともに、粒子全体としては溶融粘度が低くなるため塗膜の平滑性に優れている。
樹脂Fと樹脂GのSP値の差が0.1より小さい場合には、貯蔵時における耐ブロッキング性が低下する。また、SP値の差が1.0より大きい場合には、樹脂Fと樹脂Gの相溶性が悪くなるため、得られる塗膜の外観が低下する。
樹脂F及び樹脂Gのガラス転移温度及び数平均分子量は、上記の範囲より低いと、耐ブロッキング性が低下するおそれがある。また、上記の範囲より高くなると、溶融粘度が上昇し、塗膜外観が低下するおそれがある。また、樹脂F及び樹脂Gのガラス転移温度及び数平均分子量が上記の範囲を外れると、樹脂F及び樹脂Gの互いの相溶性が悪くなるため、塗膜外観が低下するおそれがある。
樹脂F/樹脂Gの固形分質量比は、5/95〜50/50である。樹脂Fの含有量が低くなると、耐ブロッキング性が低下するおそれがある。樹脂Fの含有量が多くなると、溶融粘度が上昇し、塗膜外観が低下するおそれがある。
上記熱硬化性粉体塗料の140℃昇温試験における粘度は、40mPa・秒以下であることが好ましい。この粘度がこの範囲よりも高くなると、良好な塗膜の平滑性が得られず、塗膜外観が悪くなるおそれがある。
また、樹脂Fの140℃昇温試験における粘度は、500mPa・秒以上であることが好ましい。この粘度がこの範囲よりも低くなると、耐ブロッキング性が低下するおそれがある。
また、樹脂Gの140℃昇温試験における粘度は、300mPa・秒以下であることが好ましい。この粘度がこの範囲よりも高くなると、溶融粘度が上昇し、塗膜外観が低下するおそれがある。
上記硬化剤は、熱可塑性樹脂溶液に固体の状態で分散して含まれていることが好ましい。また、樹脂F及び樹脂Gの好ましい具体例としては、エポキシ基含有アクリル樹脂が挙げられる。また、硬化剤としては、カルボン酸基又はカルボン酸無水物基含有化合物が挙げられる。
上記エポキシ基含有アクリル樹脂としては特に限定されず、具体的には、1分子内に2つ以上のエポキシ基を有するアクリル樹脂であれば特に限定されず、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メチルグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマーを必須として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン等の上記エポキシ基含有モノマーと反応しないモノマーを常法に従って重合させたもの等を挙げることができる。
上記エポキシ基含有アクリル樹脂の樹脂固形分のエポキシ当量は、100〜1000g/eq、好ましくは150〜600g/eq、さらに好ましくは200〜400g/eqである。上記エポキシ当量が100g/eqより小さい場合は、得られる塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがある。また、上記エポキシ当量が1000g/eqより大きい場合は、得られる塗膜の性能が低下するおそれがある。
上記硬化剤としては、室温で結晶性固体である多価カルボン酸化合物を挙げることができる。
ここで、「室温」とは、25℃を意味する。上記多価カルボン酸化合物としては、特に限定されず、具体的には、脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸等の多価カルボン酸化合物、及びそれらの酸無水物化合物等を挙げることができる。
上記脂肪族多価カルボン酸化合物としては特に限定されず、例えば、デカンジカルボン酸、アジピン酸、マレイン酸、マロン酸、エチルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、グルタル酸、メチルグルタル酸、ジメチルグルタル酸、セバチン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、1,11−ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンカルボン酸、3−iso−オクチルヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、トリカルバリン酸等を挙げることができる。芳香族多価カルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸等を用いることができる。また、これらの酸無水物化合物としては、例えば、コハク酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸無水物等を挙げることができる。
また、多価カルボン酸化合物としては、上記のもの以外に合成によって得られた多価カルボン酸化合物も、室温で結晶性固体であれば用いることができる。このような合成多価カルボン酸化合物としては、具体的には、多価アルコールと酸無水物との反応によって得られるものを挙げることができ、例えば、ブタンジオールとコハク酸無水物から得られるブタンジオールスクシネート、ヘキサンジオールとコハク酸無水物から得られるヘキサンジオールスクシネート、ノナンジオールとコハク酸無水物から得られるノナンジオールスクシネート、及びネオペンチルグリコールとトリメリット酸無水物とコハク酸無水物との1対1対1付加物等を挙げることができる。
また、上記硬化剤は、上記多価カルボン酸化合物と、この多価カルボン酸化合物と種類の異なるカルボン酸化合物とを混合したものであってもよい。この種類の異なるカルボン酸化合物としては、上記多価カルボン酸化合物のところで述べた室温で結晶性固体である多価カルボン酸化合物の他に、室温で非晶質固体及び液体である多価カルボン酸化合物や室温での形態が限定されないモノカルボン酸化合物等を挙げることができるが、具体的には、セバチン酸、ラウリル酸、ステアリル酸や8−エチルオクタデカン酸等の脂肪族モノカルボン酸化合物、ノナンジオールとヘキサヒドロフタル酸無水物との1対2付加物等の室温で液体のものを用いることができる。上記カルボン酸化合物は、2種類以上であってもよい。
多価カルボン酸化合物と、この多価カルボン酸化合物と種類の異なるカルボン酸化合物の混合方法は、特に限定されるものではないが、それぞれの粒径を小さくして混合する方法や、溶剤等に溶解し液状にして混合する方法が好ましい。
上記硬化剤のカルボキシル基と上記エポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ基とのモル比は、5/10〜11/10が好ましく、より好ましくは7/10〜10/10である。上記モル比が上記範囲外である場合は、得られた塗膜の硬化性が充分でないおそれがある。
上記熱硬化性粉体塗料には、必要に応じて、顔料、各種添加剤等のその他の成分を含むことができる。上記顔料としては、具体的には、二酸化チタン、弁柄、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料等の着色顔料、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料等を挙げることができる。
また、上記添加剤としては、具体的には、AEROSIL 130、AEROSIL 200(日本アエロジル株式会社製)等の流動付与剤、ジメチルシリコーンやメチルシリコーン等のシリコーン類及びアクリルオリゴマー、及びベンゾインやベンゾイン誘導体等のベンゾイン類等の表面調整剤、硬化促進剤(又は硬化触媒)、帯電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料分散剤等を挙げることができる。
上記熱硬化性粉体塗料の体積平均粒子径は、特に限定されないが、製造効率及び得られる塗膜の平滑性の観点から、5〜30μmであることが好ましい。体積平均粒子径が5μmより小さい場合は、製造効率や塗装時の塗着効率が低下するおそれがある。また、30μmより大きい場合は、得られる塗膜の平滑性が低下するおそれがある。
上記熱硬化性粉体塗料の製造方法は、上記熱硬化性粉体塗料を製造することができる方法であり、熱硬化性樹脂及び有機溶剤を含む熱硬化性樹脂溶液を、水溶性高分子を含む水溶液中に分散して懸濁液を調製し、該懸濁液の分散相中の有機溶剤を留去して分散相を固化し、固化した分散相粒子を懸濁液から分離することを特徴としている。
有機溶剤としては、実質的に水と混和しないもの、すなわち水に対する溶解度が10質量%以下のものを用いることが好ましい。例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル等を用いることができる。
熱可塑性樹脂溶液中の樹脂の固形分質量は、特に限定されるものではないが、例えば、10〜90質量%となるように調製することが好ましい。上記の熱可塑性樹脂溶液を、水溶性高分子を含む水溶液中に分散して懸濁液を調製する。懸濁液中には、上記硬化性樹脂溶液が分散され、分散相が形成される。この分散相の粒子の粒子径は、種々の方法により制御することができる。例えば、水溶性高分子の曇点を利用して、分散相粒子の粒子径を制御することができる。この場合、使用する水溶性高分子としては、曇点を示さない水溶性高分子と、30〜90℃の範囲に曇点を示す水溶性高分子の2種類が少なくとも用いられる。
上記曇点を示さない水溶性高分子の具体例としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度が85%以上の部分ケン化ポリビニルアルコールや、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等、その水溶液を加温しても、100℃以下で曇点現象を示さないものを挙げることができる。上記曇点を示さない水溶性高分子は、1種類だけで用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子の具体例としては、ケン化度が85%より小さいポリビニルアルコール部分ケン化物、部分ホルマー化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の部分的に疎水性基を含有するポリビニルアルコール系重合体、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエーテル及び、エチレングリコールプロピレングリコールブロック共重合体等、その水溶液を加温して30〜90℃の範囲内で曇点現象を示すものを挙げることができる他、上記曇点を示さない水溶性高分子に対して電解質を添加することによって30〜90℃の範囲内に曇点を付与したものを挙げることができる。
水溶液中における水溶性高分子の濃度としては、0.02〜20質量%程度が好ましい。また、曇点を示さない水溶性高分子と30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子の固形分質量の比は、99/1〜10/90の範囲であることが好ましい。曇点を利用して粒子径を制御をする場合、以下の工程(1)〜(3)により熱硬化性粉体塗料を製造することが好ましい。
(1)曇点未満の温度で懸濁液を調製する工程曇点未満の温度で上記懸濁液を調製する。なお、30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子を2種類以上混合して用いる場合には、温度の低い方の曇点が支配的になる。従って、使用する水溶性高分子のうち最も低い曇点未満の温度で、懸濁液を調製する樹脂A及び樹脂Bについて、それぞれ熱硬化性樹脂溶液を調製した場合には、これらを別々に水溶性高分子の水溶液に添加してもよいが、好ましくは、添加前にそれぞれの熱硬化性樹脂溶液を混合して1つの溶液とした後、これを水溶性高分子の水溶液に添加することが好ましい。
(2)上記懸濁液を曇点未満の温度範囲内で昇温し、分散相の一次粒子を形成する工程曇点未満の温度範囲内で昇温することにより、分散相の一次粒子を形成する。この時の一次粒子の体積平均粒子径は、15μm以下であることが好ましい。一次粒子の粒子径は、任意にサンプリングして測定することができる。
(3)一次粒子を含んだ懸濁液を、曇点以上の温度に昇温し、一次粒子を凝集させて二次粒子を形成するとともに、二次粒子中の有機溶剤を系外に留去して粒子を固化する工程曇点以上の温度に昇温することにより、一次粒子を凝集させて、二次粒子を形成する。これによって、粒子径を所望の粒子径に制御する。二次粒子中の有機溶剤を系外に留去して粒子を固化させ、固化した粒子を懸濁液から分離する。有機溶剤の留去は、昇温及び/又は減圧によって行うことができる。粒子中には熱硬化性樹脂が含有されているので、有機溶剤を留去する温度をできるだけ低くすることが好ましい。このような観点からは、減圧により、有機溶剤を留去する温度を低くして行うことが好ましい。
なお、工程(2)において、有機溶剤の一部を予め留去しておくことが好ましい。留去する方法としては、工程(3)と同様に系を減圧することにより、有機溶剤を留去する温度を低くして行うことが好ましい。分散相粒子内の有機溶剤の量が、30質量%以下になるように留去しておくことが好ましい。
固化して得られた粒子は、濾過又は遠心分離のような通常の固液分敵の方法を用いて分離することができる。分離後、粒子を水洗・乾燥することにより、最終的な熱硬化性粉体塗料を得ることができる。
なお、曇点を利用しない場合は、曇点未満の温度で懸濁液を調製し、分散相中の有機溶剤を留去して分散相を固化した後、固化した分散相粒子を懸濁液から分離して、熱硬化性粉体塗料を製造することができる。なお、使用する水溶性高分子は、曇点を示さない水溶性高分子であってもよいし、30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子であってもよい。さらには、これらを混合して用いてもよい。
上記粉体クリヤー塗料の塗装方法としては特に限定されないが、上述の静電塗装機を用いて塗装されることが好ましい。上記粉体クリヤー塗料により得られるクリヤー塗膜の膜厚は、下限30μm、上限80μmの範囲内であることが好ましい。上記上限は60μmであることがより好ましく、下限は40μmであることがより好ましい。上記膜厚が30μm未満であると、ベース塗膜等による凹凸が隠蔽できない。一方、上記膜厚が80μmを超えると、塗装時にワキ等の不具合が起こることもある。
本発明で使用する水性中塗り塗料としては特に限定されず、例えば、メラミン硬化系又はイソシアネート硬化系の中塗り塗料等の公知の中塗り塗料を使用することができる。具体的には(D)酸価が10〜100、水酸基価が20〜300でかつ数平均分子量が800〜10000のポリエステル樹脂、及び、(E)水性アミノ樹脂を主成分とすることを特徴とする水性中塗り塗料等を挙げることができる。
成分(D)は酸価が10〜100、水酸基価が20〜300でかつ数平均分子量が800〜10000のポリエステル樹脂である。当該ポリエステル樹脂としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2,2ジメチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等の多官能アルコール及び必要に応じて併用する一価アルコール又は分子中に1個のグリシジル基を有するモノエポキシ化合物(例えばカージュラE(商品名、シェル化学製))をアルコール成分とし、無水フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多塩基酸、及び必要に応じて併用する安息香酸やt−ブチル安息香酸等の一塩基酸を酸成分として、上記アルコール成分と上記酸成分を縮合してなるオイルフリーポリエステル樹脂、又は上記アルコール成分及び上記酸成分に加えてヒマシ油、脱水ヒマシ油、桐油、サフラワー油、大豆油、アマニ油、トール油、ヤシ油等、及び、それらの脂肪酸のうち1種又は2種以上の混合物である油成分を、上記酸成分及びアルコール成分に加えて、三者を反応させて得られる油変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。またアクリル樹脂をグラフト化したホリエステル樹脂やウレタン変性ポリエステル樹脂も成分(D)として使用することができる。
上記成分(D)は酸価が10〜100、好ましくは15〜50、水酸基価が20〜300、好ましくは50〜250である。酸価が10より小さくなると水性化が不十分となり、水酸基価20より小さくなると硬化性が不十分であり、また酸価が100、水酸基価が300を超えると塗膜の耐水性、酎薬品性が低下するのでいずれも好ましくない。さらに成分(D)の数平均分子量は800〜10000が好ましく、特に1000〜8000が適している。数平均分子量が800より小さくなると塗膜の硬度や耐水性が低下し、また10000より大きくなると静電塗装時の微粒化が困難で、塗膜の平滑性が低下するので、いずれも好ましくない。
上記成分(D)に塩基性物質を添加してカルボキシル基の50%以上を中和して水性として使用する。
上記成分(E)は水性アミノ樹脂である。これは成分(D)の架橋剤であって、例えば、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−メチロールメラミン及びそれらのメチルエーテル化物、尿素−ホルムアルアヒド縮合物、尿素−メラミン共縮合物等を挙げることができる。
上記成分(E)は水に溶解するか又は水中に層分離や沈降することなく安定に分散する程度に親水性である。上記成分(E)としては上記のうちメラミンが好ましい。
また、上記成分(D)と(E)からなる水性中塗り塗料は、塗装作業性、得られる中塗塗膜の膜厚保持性及び物理強度向上等のため、酸化チタン、硫黄バリウム、炭酸カルシウム、クレー等の無機顔料や、これに加えて着彩のための各種顔料を上記成分(D)と(E)との合計樹脂固形分100質量部に対して、1〜200質量部含有することが好ましい。
上記中塗り塗料を塗布する方法としては特に限定されず、上述の静電塗装機で好適に塗布することができる。
上記中塗り塗膜の乾燥膜厚は、用途により変化するが、20〜40μmであることが好ましい。上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にタレや焼き付け硬化時にワキ等の不具合が起こることがあり、下限を下回ると、外観が低下するおそれがある。
本発明において使用される水性ベース塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤、顔料及びその他の添加剤からなるものを挙げることができる。上記塗膜形成性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらはアミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。顔料分散性や作業性の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とメラミン樹脂との組み合わせが好ましい。
上記水性ベース塗料は、光輝性顔料を配合してメタリックベース塗料として用いることもできるし、光輝性顔料を配合せずにレッド、ブルー又はブラック等の着色顔料及び/又は体質顔料を配合してソリッド型ベース塗料として用いることもできる。具体的にはアクアレックス2000(日本ペイント社製 水性ベース塗料、商品名)等を挙げることができる。
上記水性ベース塗料の塗装方法としては特に限定されず、被塗物が自動車車体等である場合には、意匠性を高めるために、エアー静電スプレーによる多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、又は、エアー静電スプレーと上記の回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法により行うことが好ましい。
上記ベース塗膜の乾燥膜厚は、用途により変化するが、5〜35μmであることが好ましい。上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こることがあり、下限を下回ると、色ムラが発生するおそれがある。
本発明の複層塗膜の形成方法における基材は、カチオン電着塗膜を有するものである。上記カチオン電着塗膜としては特に限定されず、従来公知のカチオン電着塗料により得られるものを挙げることができる。上記基材としては特に限定されず、例えば、金属、プラスチック、発泡体等を挙げることができるが、なかでもカチオン電着塗装が好適に行われることから、金属製品が特に好ましい。上記金属製品としては特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛、及び、これらの金属を含む合金等を挙げることができるが、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び自動車部品が好ましい。これらの金属製品は、予めリン酸塩、クロム塩等で化成処理されたものが特に好ましい。
本発明は、上記複層塗膜の形成方法によって得られる複層塗膜でもある。
本発明の複層塗膜の形成方法は、粉体クリヤー塗料を使用することによりVOCを低減した方法である。また、本発明によって、クリヤー塗膜の外観不良の原因となる揮発性物質を除去するために硬化したベース塗膜上にも、良好な付着性を示すクリヤー塗膜を形成することができる。
本発明の複層塗膜の形成方法により、環境に優しく、かつ、黄変等の外観不良を引き起こさない複層塗膜を得ることができる。これは、本発明において粉体クリヤー塗料を使用することによりVOCを削減し、かつ、プライマー塗料を塗布することにより、硬化したベース塗膜上にも良好な付着性を有するクリヤー塗膜を形成することができるためである。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味し、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
製造例1
水性ホワイト中塗り塗料の調製
ネオペンチルグリコール19.6質量部、トリメチロールプロパン18.5質量部及び無水フタル酸46.7質量部を180℃で7時間反応させてなるポリエステル樹脂にイソホロンジイソシアネート15.7質量部を120℃で反応させた後、さらに無水トリメリット酸5.2質量部を加えて180℃で1時間反応させて、数平均分子量が2350、酸価が40及び水酸量基化が100のウレタン変性ポリエステル樹脂を得た。これをジメチルエタノールアミンで当量中和して、ウレタン変性ポリエステル樹脂(D1)とした。なお、ポリイシシアネートの使用量はポリエステル樹脂に対して17質量%である。
水性アミノ成分(E1)としてサイメル703(商品名、三井サイテック製メラミン樹脂)を用いた。
表1に示した組成により水性中塗塗料を得た。顔料としては酸化チタン白を配合した。これらの顔料は成分の一部及び脱イオン水と−緒に容器に仕込み、ガラスビーズを分散メディアとして1時間分散し、ツブゲージで測定した粒子経が5μm以下となるようにした。また、有機溶剤としてはジエチレングリコールモノエチルエーテルを使用した。(D1)(E1)成分の配合量は固形分(質量部)である。
Figure 2005319412
製造例2
プライマー(溶剤系)の調製
水酸基含有アクリル樹脂(A3)
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応槽に、トルエン400質量部とn−ブタノール100質量部とを仕込み105℃に昇温した。この反応槽に、滴下ロートを用い、スチレン100質量部、メタクリル酸メチル300質量部、アクリル酸エチル440質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル140質量部、メタクリル酸20質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート20質量部及びトルエン300質量部とからなる溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後30分間にわたり105℃で保持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3質量部及びトルエン200質量部を添加した。この添加終了後、更に2時間、105℃にて反応を継続させ、数平均分子量(Mn)18000、酸価13mgKOH/g(固形分換算)及び水酸基価60mgKOH/g(固形分換算)の水酸基含有アクリル樹脂(A3)を含む不揮発分50%の樹脂溶液を得た。
アルコキシシリル基及びエポキシ基含有アクリル樹脂(A4)
温度計、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた1Lの反応漕の内部を窒素ガスで置換し、ソルベッソ100(エッソスタンダード石油製、芳香族系炭化水素溶剤)260質量部を仕込み125℃に昇温した。この反応漕に滴下ロートを用い、スチレン100質量部、メタクリル酸グリシジル190質量部、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル64質量部、メタクリル酸イソブチル96質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50質量部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート55質量部、ソルベッソ100を55質量部とからなる溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後30分間にわたり125℃で保持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5質量部、ソルベッソ100を10質量部とからなる溶液を30分間で滴下した。この滴下終了後、更に1時間、125℃にて反応を継続させ、数平均分子量3000、エポキシ当量374(固形分換算)、水酸基価50mgKOH/g(固形分換算)、アルコキシシリル基含有モノマー10質量%のアクリル樹脂(A4)を含む不揮発分59%の樹脂溶液を得た。
表2に示した配合で各配合物を仕込み、ディスパー攪拌して、本発明で用いられるプライマー(溶剤系)を得た。なお、表中、ユーバン20N−60(商品名、三井化学社製)とは、不揮発分60%のメラミン樹脂であり、表面調整剤1とは、モダフロー(商品名、モンサント社製)である。
Figure 2005319412
製造例3
プライマー(水系)の調製
樹脂A3及び樹脂A4の有機溶剤を留去して固形樹脂とし、この固形樹脂を原料として、表に示す塗料配合の各原料をディスパー攪拌して、本発明で用いられるプライマー(水系)を得た。表面調整剤2とは、BYK−190(商品名、ビックケミー社製)である。
Figure 2005319412
製造例4
懸濁式粉体の調製
(樹脂の調製)攪拌装置、温度調節器、及び還流管を備えた反応容器に、キシレン63質量部を仕込み、130℃に加熱し、窒素雰囲気下で3時間かけて、表に示す配合組成のモノマー及び開始剤の混合物を滴下した。
表に示す記号は以下のとおりである。
GMA:グリシジルメタクリレート、St:スチレン、MMA:メチルメタクリレート、HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、IBMA:イソブチルメタクリレート、t−BPO:t−ブチルパーオクトエート、表1及び表2に示す配合量の単位は質量部である。
滴下後3時間保温した後、室温まで冷却して、樹脂F1及びG1を得た。各樹脂の固形分濃度が65質量%となるようにキシレンの留去等により調整した。
また、各樹脂について、SP値、ガラス転移温度(Tg)、数平均分子量(Mn)をそれぞれ測定した。
SP値は、濁度法により測定した。Tgは、DSC220C(セイコー電子工業社製、昇温条件5℃/分)で測定した。数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトゲラフィー)により測定した。以上のようにして測定した特性値を表4に示す。
Figure 2005319412
紛体クリヤー塗料1(懸濁式粉体塗料)の調製
(硬化剤分散液の調製)1,10−デカンジカルボン酸75質量部及びセバチン酸25質量部を混合し、これをキシレンに分散させた後、サンドグラインドミルにて粉砕して、硬化剤分散液(固形分30質量%)を調製した。
表5に示す塗料配合で、熱硬化性粉体塗料を製造した。塗料配合の原料をサンドグラインドミルで混合し、原料溶液を調製した後、これをゴーセノールGH−20(日本合成化学社製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、曇点なし)6質量部、ゴーセノールKL−05(日本合成化学社製ポリビニルアルコール、ケン化度80%、曇点約良80℃)3質量部、ヒドロキシプロピルセルロース(曇点約50℃)1質量部、及びイオン交換水90質量部からなる高分子水溶液に添加した。得られた混合物をホモジナイザーを用いて25℃にてさらに攪拌混合し、体積平均粒子径が5.0μmの分散相の粒子を含む懸濁液を調製した。
得られた懸濁液にイオン交換水300質量部を加えて希釈し、これを攪拌装置、温度調節器、還流管、及び減圧装置を備えた容器に移した。上記懸濁液を30Torrまで減圧した後35℃まで加熱した。その後さらに減圧度を140Torrとした後、57℃まで加熱して一次粒子を凝集させ、体積平均粒子径が10μmの二次粒子とした。粒子径はコールターカウンター(コールターエレクトリクス社製)によって測定した。その後、二次粒子である分散相中の有機溶剤を系外に完全に留去することによって分散相を固化した。
表5における「YF3919」は、東芝シリコーン社製ポリシロキサン系表面調整剤である。紫外線吸収剤はTINUVIN928(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)、酸化防止剤は、TINUVIN144(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)である。また、「硬化剤分散液」は、上記の硬化剤分散液の調製で作製したものである。
Figure 2005319412
製造例5
粉体クリヤー塗料2(粉砕式粉体塗料)の調製
粉砕式粉体塗料の調製
従来の乾式法により熱硬化性粉体塗料を製造した。具体的には、樹脂F1及び樹脂G1の有機溶剤を留去して、固形樹脂とし、この固形樹脂を原料として、表5に示す塗料配合の各原料をヘンシェルミキサーを用いて混合し、さらに溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて設定温度約95℃で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却して再びへンシェルミキサーで粗粉砕し、次いでハンマーミルで粉砕した後、ジェットミルを用いて微粉砕した。
得られた粉体を篩を用いて分級し、質量平均粒子径が10μmの熱硬化性粉体塗料を得た。なお、粉砕式粉体塗料の「硬化剤」は、1,10−デカンジカルボン酸75質量部及びセバチン酸25質量部を混合し、体積平均粒子経3μmに粉砕したものである。
実施例1
市販の冷間圧延鋼板(SPCC−SD、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)に「パワーニクス110」(日本ペイント社製カチオン電着塗料)を用いて乾燥膜厚20μmになるように電着塗装し、水洗後、170℃で20分間加熱して焼き付けた。次に、水性ホワイト中塗り塗料1を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレーで2ステージ塗装し、80℃で3分間プレヒートを行った。
得られた試験板に、アクアレックスAR−2000シルバー(AR2000♯1C0:商品名、日本ペイント社製メタリック水性ベース塗料)を室温25℃、湿度75%の条件下で、乾燥膜厚15μmとなるようにメタリックベルCOPES−IV型(ABBインダストリー社製水系塗料塗装用回転霧化式静電塗装機)によって2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバルセッティングを行った。2回目の塗布後、5分間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で3分間のプレヒートを行った。
次に、プライマー1を乾燥膜厚10μmとなるようにメタリックベルCOPES−IV型によって塗装した。80℃で3分間プレヒートを行った後、145℃で25分間加熱して焼き付けた。
得られた試験板に、粉体クリヤー塗料1を乾燥膜厚50、60、70、・・・、150μmと膜厚が勾配になるように静電塗装し、145℃で25分間加熱して焼き付けた。
実施例2〜16、及び、比較例1〜8
表1〜4に示したような塗料、プレヒート条件、焼き付け条件に従って、試験板を作製した。
実施例1〜16、及び、比較例1〜8により得られた試験板を以下の項目について評価した。結果を表1〜4に示す。
黄変値
硬化時の塗膜の着色度(黄変性)を評価するために、色差計(製品名「SM−T45」:スガ試験機製)にてb値を測定した。b値は塗膜の黄色度を示すものであり、表1〜4中のΔb値は水性メタリックベースの塗布又は塗装工程終了時のb値と粉体クリヤー塗料硬化後のb値との差である。Δb値が小さいほど焼付時のクリヤーの着色度(黄変性)が小さいことを示し、0.5以下が合格である。測定はクリヤー膜厚が50μmの試験板について行った。
クリヤーワキ限界膜厚
クリヤーのワキ限界膜厚
クリヤー塗料の乾燥膜厚がそれぞれ50、60、70、・・・・、150μmと勾配になるように塗装した試験板を目視にて観察し、ワキ(ピンホール)が生じないクリヤー塗膜の膜厚の上限を測定した。得られた数値が大きいほどワキが発生しにくいことを示す。
光沢
得られた塗膜について、「ウェーブスキャン−T」(製品名:BYKカードナー社製)を用いて、G値を測定することにより光沢を評価した。良好なものほど小さい値となり9以下が合格である。測定はクリヤー膜厚が50μmの試験板について行った。
付着性
得られた複層塗膜に、基材に達するまで2mm角で碁盤目状にカットを入れ、60℃で72時間水に浸漬した後、カット部にニチバンテープを貼り、剥がした後のテープへの付着数を測定した。試験はクリヤー膜厚が50μmの試験板について行った。
○:0/100
△:10/100未満
×:10/100以上
Figure 2005319412
Figure 2005319412
Figure 2005319412
Figure 2005319412
実施例により得られた複層塗膜は、経時で黄変が起こりにくく、ワキの抑制効果に優れ、更に、良好な塗膜外観を有することが示された。特に、プライマーを塗装しなかった比較例により得られた複層塗膜の粉体クリヤー塗膜は、付着性が不充分であるのに対し、実施例により得られた粉体クリヤー塗膜の付着性は良好であることが示された。
本発明の複層塗膜の形成方法は、粉体クリヤー塗料を使用することによってVOCを削減することができるため環境に優しく、かつ、プライマー塗料を塗布することによって硬化したベース塗膜上にも良好な付着性を有するクリヤー塗膜を形成することができるため、黄変等の外観不良を引き起こさない複層塗膜を得ることができる方法である。
本発明の複層塗膜の形成方法により得られる複層塗膜の模式図。 本発明の複層塗膜の形成方法により得られる複層塗膜の模式図。 本発明の複層塗膜の形成方法により得られる複層塗膜の模式図。 本発明の複層塗膜の形成方法により得られる複層塗膜の模式図。 本発明の複層塗膜の形成方法により得られる複層塗膜の模式図。 本発明の複層塗膜の形成方法により得られる複層塗膜の模式図。
符号の説明
1 電着塗膜
2 中塗り塗膜
3 ベース塗膜
4 プライマー塗膜
5 クリヤー塗膜

Claims (6)

  1. カチオン電着塗膜を有する基材上に、水性中塗り塗料、水性ベース塗料及び粉体クリヤー塗料によって複層塗膜を形成する方法であって、
    水性中塗り塗料を塗布する工程(I)、
    前記工程(I)によって形成された中塗り塗膜上に水性ベース塗料を塗布する工程(B)、
    前記工程(B)によって形成されたベース塗膜上にプライマーを塗布する工程(P)、及び、
    前記工程(P)によって形成されたプライマー塗膜上に粉体クリヤー塗料を塗装する工程(C)からなり、
    前記工程(B)の直後及び/又は前記工程(P)の直後に加熱硬化工程(H)を行うことを特徴とする複層塗膜の形成方法。
  2. プライマーは、溶剤型であり、アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(A)からなるものである請求項1記載の複層塗膜の形成方法。
  3. プライマーは、水性型である請求項1記載の複層塗膜の形成方法。
  4. 粉体クリヤー塗料は、懸濁式粉体塗料である請求項1、2又は3記載の複層塗膜の形成方法。
  5. 基材は、自動車車体又は自動車用部品である請求項1、2、3又は4記載の複層塗膜の形成方法。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の複層塗膜の形成方法により得られることを特徴とする複層塗膜。
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