JP2005317371A - 電気絶縁性樹脂組成物、ならびに、これを用いたシート状未硬化物、回路基板用未硬化積層体、回路基板用硬化積層体 - Google Patents

電気絶縁性樹脂組成物、ならびに、これを用いたシート状未硬化物、回路基板用未硬化積層体、回路基板用硬化積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた柔軟性、基板密着性を有するとともに、高い耐熱性、耐湿性を併せ持ち、ハンダ付け時の高熱処理にも耐え、自動車の高温と振動の過酷な環境下においても長期間にわたって安定使用が可能な電気絶縁層を形成することができる電気絶縁性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】電気絶縁性樹脂組成物において、ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体を部分水添してなる部分水添ポリマーからなるゴム状高分子化合物(A)と、末端に一つ以上の反応性二重結合を有する重合性モノマー(B)とを配合することで、優れた柔軟性、密着性、耐湿性、耐熱劣化性を有する電気絶縁層を形成することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プリント配線基板等の回路基板における電気絶縁材料として好適に使用することのできる電気絶縁性樹脂組成物、および、これを用いたシート状未硬化物、回路基板用未硬化積層体、回路基板用硬化積層体に関し、特に優れた柔軟性を有すると同時に高い耐熱性も併せ持つ電気絶縁層を形成することができる電気絶縁性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、放熱性の優れた金属ベース基板に用いて好適な電気絶縁性樹脂組成物であり、はんだ耐熱性に優れ、高温・多湿の過酷な環境下においても長期間にわたって安定使用が可能な電気絶縁層を形成することができる電気絶縁性樹脂組成物に関する。
近年、家電製品や産業機器、OA機器、車載用電子機器の小型化、省スペース化、高付加価値化が求められ、従来よりも過酷な温度・湿度・電気的環境下において使用に耐えうる絶縁材料が要求されており、特に電気絶縁性、耐電圧性、放熱性及び部品のはんだ付け部分での接続信頼性の高い電気絶縁材料が望まれている。
このような過酷な環境において使用される回路基板として、放熱性の高いアルミや銅などの金属基板上に電気絶縁層を設け、その上に導電回路を配設した金属ベース基板が多く使われている。
このような金属ベース基板においては、電気絶縁層としてエポキシ樹脂が多く利用されているが、エポキシ樹脂自体は熱伝導性が低いため、導電回路で発熱した熱を金属基板に効率よく伝達させることができない。そこで、エポキシ樹脂に熱伝導性の無機フィラーを高充填することによって、電気絶縁層の熱伝導性を改善している。
しかしながら、熱伝導率向上を目的として無機フィラーの配合率を高めると、電気絶縁層の柔軟性が低下して脆くなる上、電気絶縁層の金属基板に対する密着性も低下するという問題があった。また、金属ベース基板にハンダ付けを行う際、200℃以上の高温で処理を行うが、無機フィラーの配合率が高いと、ハンダ付け時の高熱によって電気絶縁層にクラックが生じ、耐電圧性が低下する要因ともなっていた。
このため、電気絶縁層の柔軟性や接着性を改良する対策として、特許文献1は、−40℃の弾性率が2×1010Pa以下の樹脂組成物を用いた金属ベース回路基板を開示しており、このような低弾性率の樹脂組成物として、ゴム成分を分散させたエポキシ樹脂を開示している。特許文献1は、ゴム成分を分散させたエポキシ樹脂の具体例として、CTBN(carboxyl-terminated butadiene-acrylonitrile rubber)変性エポキシ樹脂、変性ポリアミンの可とう性硬化剤を配合したエポキシ樹脂等を例示している。しかしこのような低弾性率のエポキシ樹脂を用いて得た電気絶縁層中にはイオン性不純物が含まれるため、作成した回路は、耐イオンマイグレーション性や吸水性などの電気的、物理的な特性の低下が避けられなかった。
また、特許文献2には、熱伝導性、耐湿性、耐熱性、絶縁信頼性、耐クラック性に優れた絶縁接着層材料として、エポキシ樹脂に、ガラス転移点が0℃以下で分子量10万〜200万のエポキシ基などの反応性基を有するアクリルゴムやNBRを添加した低弾性率熱伝導性接着剤組成物が開示されている。このようなエポキシ硬化タイプの絶縁接着層材料は、室温で手で触ってもべた付くことがないよう、樹脂を半硬化させた状態(Bステージ状態)とすることによって取り扱い性を向上させている。しかしながら、エポキシ硬化タイプの絶縁接着層材料は、Bステージ状態での材料寿命が短く、管理、保管など難しい問題が多かった。また、特許文献2に記載の樹脂組成では、無機フィラーの配合率を高めると、電気絶縁層の柔軟性が低下して脆くなるため、無機フィラーを高充填できないなどの問題があった。
一方、ラジカル重合反応を利用したタイプの電気絶縁層材料として、特許文献3は、ポリブタジエン樹脂またはポリイソプレン樹脂と、不飽和ポリブタジエン又はポリイソプレン含有ポリマーを含む熱硬化性組成物を開示している。しかし、特許文献3では、使用するポリブタジエン樹脂又はポリイソプレン樹脂や、不飽和ブタジエン又はイソプレンとして、主に1,2−付加体を用いるため、得られる硬化物は非常に硬く、基板への接着強度も低いといった問題があった。
その他、特許文献4は、エポキシ変性ゴムとアリル基含有化合物とビスマレイミド等の硬化性樹脂成分とを有する組成物をラジカル重合する方法を開示している。しかしながら、特許文献4は、信号処理のスピードを向上させるため比誘電率の低い材料を提供することを主目的としているため、得られる電気絶縁層の接着性は非常に低いという欠点がある。またエポキシ変性ゴムの配合割合が少ないため、柔軟性を要求される用途に対しては硬度が高すぎ、無機フィラーの大量配合を行うと脆さがはなはだしく絶縁信頼性に欠け、放熱用絶縁材料としては、実際は使用困難なものである。
特開平11−8450号公報 特開平10−242606号公報 特開平8−208856号公報 特開2001−81429号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、優れた柔軟性、基板密着性を有するとともに、高い耐熱性、耐湿性を併せ持ち、ハンダ付け時の高熱処理にも耐え、自動車の高温と振動の過酷な環境下においても長期間にわたって安定使用が可能な電気絶縁層を形成することができる電気絶縁性樹脂組成物、および、これを用いたシート状未硬化物、回路基板用未硬化積層体、回路基板用硬化積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究の結果、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体を部分水添してなる部分水添ポリマーからなるゴム状高分子化合物(A)と、末端に一つ以上の反応性二重結合を有する重合性モノマー(B)とを含有する電気絶縁性樹脂組成物が、優れた柔軟性、密着性、耐湿性、耐熱劣化性を備えた電気絶縁層を形成することができることを見出し、本発明を成すに至った。すなわち、本発明の電気絶縁性樹脂組成物は、部分水添されたゴム状高分子化合物を用いることを特徴とする。
従来は、ゴム状高分子化合物と重合性モノマーとを重合させた場合、ゴム状高分子化合物の不飽和基の一部が未反応の状態で残存していた。この未反応不飽和基が、ハンダ付け時の高熱によって酸化したり、高温の環境下で使用する際、酸化劣化により電気絶縁層の絶縁性を劣化させる要因となっていたが、本発明においては、共役ジエン化合物に由来する不飽和基をその一部を残して重合反応前に予め水添することにより、電気絶縁層の加熱による耐酸化劣化性を大幅に向上することができる。
本発明においては、ゴム状高分子化合物において、共役ジエン化合物に由来する二重結合の70%以上が水添されていることが好ましい。また、本発明においては、電気絶縁性樹脂組成物中に、さらに熱伝導性無機フィラーを含有せしめることが好ましい。
また、本発明のシート状未硬化物は、回路基板における電気絶縁層を形成するために使用される未硬化のシート状材料である。本発明のシート状未硬化物としては、繊維シートに本発明の電気絶縁性樹脂組成物を含浸させて得られるプリプレグシート、または、可剥離性フィルムの上に、本発明の電気絶縁性樹脂組成物から形成された未硬化電気絶縁層を形成した接着シートを挙げることができる。本発明のプリプレグシートは、金属層(配線層用金属導体箔または金属基材)の上に敷設後に硬化して電気絶縁層となるシート状未硬化物であり、また、本発明の接着シートは、未硬化電気絶縁層から可剥離性フィルムを剥がした上で、当該未硬化電気絶縁層を金属層の上に転着し、これを硬化することにより電気絶縁層となるシート状未硬化物である。
更に、本発明の未硬化積層体は、回路基板の製造に使用される積層体であって、本発明の電気絶縁性樹脂組成物から得られた未硬化電気絶縁層と、金属層(配線層用金属導体箔または金属基材)からなる積層体である。すなわち、本発明の未硬化積層体は、電気絶縁層と、金属基材または配線層用金属導体箔から選ばれる1層とを同時に形成するために使用されるものである。本発明の未硬化積層体としては、金属基材となる金属板の上に、本発明の電気絶縁性樹脂組成物から得られる未硬化電気絶縁層を形成した2層構造の積層体、または、配線層となる金属導体箔の上に、本発明の電気絶縁性樹脂組成物から得られる未硬化電気絶縁層を形成した2層構造の積層体を挙げることができる。
また、本発明の硬化積層体は、回路基板の製造に使用される積層体であって、電気絶縁性樹脂組成物を硬化してなる電気絶縁層の少なくとも一方の面に、金属層(配線層用金属導体箔または金属基材)を有する積層体である。本発明の硬化積層体としては、金属基材、電気絶縁層および金属導体箔の順に積層してなる3層構造の硬化積層体、金属導体箔および電気絶縁層の順に積層してなる2層構造の硬化積層体、ならびに、金属導体箔、電気絶縁層および金属導体箔の順に積層してなる3層構造の硬化積層体を挙げることができる。金属基材、電気絶縁層および金属導体箔の順に積層してなる3層構造の硬化積層体は、金属ベース基板の製造に利用されるものである。また、金属導体箔および電気絶縁層の順に積層してなる2層構造の硬化積層体や、金属導体箔、電気絶縁層および金属導体箔の順に積層してなる3層構造の硬化積層体は、通常のプリント配線板材料として片面回路基板、両面回路基板、多層回路基板の内層回路等に利用されるものである。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物は、部分水添されたゴム状高分子化合物を用いるため、水添されずに残った不飽和基は、ほぼ完全に重合性モノマーとの重合反応に使われる。したがって、電気絶縁層に残存する未反応の不飽和基の量を大幅に低減することができ、電気絶縁層の加熱による耐酸化劣化性を大きく向上させることができる。
また、ゴム状高分子化合物を使用することで、放熱性を高めるためアルミナなどの熱伝導性無機フィラーを充填しても柔軟性を維持して加工性の良い電気絶縁材料を得ることができる。また、樹脂組成を組み合わせることで電気絶縁材料の接着性、耐電圧、柔軟性等を要求特性に応じて提供することができる。
また、ラジカル重合反応や熱重合反応を利用するため、エポキシ樹脂のようなBステージ管理がまったく不要で、保存安定性が飛躍的に高まり、取り扱いが容易になる。また、硬化積層体製造時の硬化時間を短縮でき、生産性の向上や省エネルギーに役立つ。
〔I〕電気絶縁性樹脂組成物
本発明の電気絶縁性樹脂組成物は、少なくとも部分水添されたゴム状高分子化合物(A)と、重合性モノマー(B)とを含有する組成物である。
ゴム状高分子化合物(A)としては、ビニル芳香族化合物(i)と共役ジエン化合物(ii)との共重合体を部分水添してなる部分水添ポリマーを用いる。このような部分水添ポリマーを使用することにより耐熱性および耐熱劣化性を向上することができる。
(i)のモノマー成分であるビニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルピリジン、t−ブチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
(ii)のモノマー成分である共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
ゴム状高分子化合物として用いる共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。ブロック共重合体の場合、(i)のモノマー成分から誘導されるポリマーブロックをA、(ii)のモノマー成分から誘導されるポリマーブロックをBとすると、A−B−AまたはA−Bで表されるブロック共重合体が例示できる。
共重合体において、(i)のモノマー成分と(ii)のモノマー成分の合計を100重量%とした場合、(i)のモノマー成分の割合が、50重量%未満であることが望ましく、更に望ましくは10重量%〜30重量%であることが好ましい。(i)のモノマー成分の割合を50重量%未満とすることにより、弾性率や柔軟性、耐熱性を確保することができ、金属層への接着性が向上する。共役ジエンの重合形態は1、4−結合が主体の構造であると得られる硬化物の柔軟性が高まるため好ましい一方、1,2−ビニル結合が多くなるとゴム的性質が薄れ硬度が上り好ましくない。
本発明において、部分水添ポリマーの水添率は、70%以上であることが好ましい。水添率が70%未満であると、得られる絶縁層の熱安定性や耐久性が劣る場合がある。本発明において、より好ましい水添率は80%以上であり、この範囲では長期間の熱安定性と一層の柔軟性且つ接着性の優れた絶縁材料が得られる。部分水添ポリマーの水添率の上限値については、特に限定はないが、99%以下であることが好ましい。水添率が高くなると、硬化温度を上げるなどして更に硬化条件を厳しくする必要はあるが、硬化物の熱安定性を更に高めることができると同時に、柔軟性と接着性を向上することができる。
また、上記部分水添ポリマー中に、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、エポキシ基等の極性基や、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合等の結合を導入してなる変性物も、本発明におけるゴム状高分子化合物(A)として使用することができる。上記部分水添ポリマー中に、極性基や、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合等の結合を導入することによって、金属層との接着性を向上させることができるため、好ましい。
本発明に用いるゴム状高分子化合物の分子量Mwは、30,000から300,000であることが好ましい。より好ましくは、分子量50,000から150,000である。
本発明においては、上記ゴム状高分子化合物を単独で使用してもよいが、モノマー構成比や、分子量の異なる2種以上のゴム状高分子化合物を併用することも可能である。2種以上のゴム状高分子化合物を併用することは、それにより、電気絶縁性樹脂組成物の相溶性、接着性、柔軟性等を調節することができるため、好ましい。
重合性モノマー(B)としては、末端に一つ以上の反応性二重結合を有する重合性モノマーを用いる。重合性モノマーは、分子中の末端部分に反応性二重結合を一つ以上有する化合物であり、ラジカル重合、熱重合により硬化が可能な化合物を用いる。このような化合物としては、例えば、末端にビニル、アリル、メタアリル、アクリル、メタクリルの様な高い反応性を示す二重結合を有する化合物や、共役ジエンおよび非共役ジエン等を用いることができる。
このような重合性モノマーの具体例としては、ジビニルヘプタン、ジビニルオクタン、ジビニルノナン、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、メチルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ブタジエン、イソブチレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等を例示することができる。特に、イソボロニルアクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートや、これらの分子中に含まれる芳香族環に水素添加することにより得られる環状脂肪族系の化合物のように、分子内に環状構造を含むモノマーを用いることが好ましい。環状脂肪族化合物、芳香族環化合物、複素環化合物のような環状構造を含むモノマーを用いることによって、相溶性、耐熱性を一層向上させることができる。
更に、上述の重合性モノマーにカルボン酸基、アミノ基、水酸基、エポキシ基等の極性基や、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合等の結合が導入しておくことは、それらにより、金属との接着性を向上させることができるため好ましい。
重合性モノマーの分子量は特に限定されるものではないが、分子量Mwが50〜500であることが好ましく、100〜350であることがより好ましい。
重合性モノマーは電気絶縁性樹脂組成物内で主にフロー性と架橋反応に関係するため、使用する組成により相溶性を十分に考慮する必要が有る。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物においては、ゴム状高分子化合物(A)および重合性モノマー(B)との相溶性の良いオリゴマーを添加することで得られる硬化物は、オリゴマーがゴム状高分子化合物、重合性モノマーの相溶化剤として働き、3成分が一層均一に重合した組織構造となるため、高温度での局部的加熱減量が起こらず、そのため絶縁層中に微小ボイドが生じないためか、熱劣化後の耐電圧特性を更に改善することができ、耐熱性が要求される用途などに好適に利用することができる。また、常温で固体のオリゴマーを使用する場合、プリプレグの粘着性を抑えることができ、積層材料の製造においてべた付きがなく作業性が良くなるという効果も得られる。
オリゴマーとしては、分子内に、芳香族、環状脂肪族または複素環のような環状構造を有する化合物を用いることが好ましい。オリゴマーの分子中に含まれる環状骨格例としては、クマロン、インデン、ロジン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トリシクロデカン、ノルボルネン、イソシアヌル酸、トリアジン等が挙げられる。これらのなかでも、ロジン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、トリシクロデカン、ノルボルネン等の脂環構造(環状脂肪族)を有するオリゴマーは、芳香族系や複素環系のオリゴマーと比べて相溶化作用が高く、硬化物の耐熱性をより一層向上することができるため、好ましい。
本発明に用いるオリゴマーとしては、環状構造を有する重合性モノマーの重合体、または、環状構造を有する重合性モノマーと脂肪族系不飽和化合物との共重合体、ないし、それらのエステル化合物を用いることができる。
具体的な化合物例としては、(1)環状脂肪族系化合物である5−エチリデン−2−ノルボルネンやジシクロペンタジエン、または、芳香族ビニル化合物であるスチレンやビニルトルエンと、脂肪族系不飽和化合物である1,4−ヘキサジエン、イソブチレンおよび1,3−ペンタジエン等との共重合体、(2)ロジン誘導体のような縮合重合体又はそのエステル化物、(3)ダイマー酸または変性物、(4)クマロンインデン樹脂のような共重合体、(5)トリアリルイソシアヌレートの重合体等を例示することができ、このうち(1)〜(3)の化合物がより好ましい。
オリゴマーは、分子中に1つ以上の不飽和結合を有することが好ましい。反応性不飽和結合を有するオリゴマーを用いることによって、電気絶縁性樹脂組成物の相溶性と反応の均一性を一層高めることができる。
更に、上述のオリゴマーにカルボン酸基、アミノ基、水酸基、エポキシ基等の極性基や、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合等の結合を導入しておくことは、それらにより、金属との接着性を向上させることができるため好ましい。
オリゴマーの分子量Mwは、300から10000であることが好ましく、400から1000であることがより好ましい。ゴム状高分子化合物と重合性モノマーの分子量の中間に相当する分子量を有するオリゴマーを用いることによって、電気絶縁性樹脂組成物の相溶性を一層高めることができる。
電気絶縁性樹脂組成物の未硬化物の粘着性を低下させるという品質安定性の観点からは、常温で固体のオリゴマーを使用することが好ましい。
本発明においては、特に無機フィラーを大量に充填する場合などには、有機成分の硬化後のD硬度を75以下とすることにより、優れた柔軟性、密着性、耐湿性、耐熱劣化性を備えた電気絶縁層を形成することができ好ましい。
「D硬度」はJIS K−7215の試験方法に従い測定した値を意味する。また、ここでいう「有機成分」とは、電気絶縁性樹脂組成物中に含まれる全ての有機化合物が含むものであり、前述の(A)成分、(B)成分の他、オリゴマー成分や、後述する重合開始剤、各種添加剤等が含まれる。
上述の(A)成分、(B)成分の好ましい配合割合は、有機成分の種類によっても異なるため、一概に規定することは難しいが、D硬度を75以下に調整するためには、(A)成分を主成分として配合することが好ましい。具体的には、(A)成分および(B)成分の合計100重量%に対し、(A)成分を50〜95重量%、(B)成分を50〜5重量%の割合で配合することが好ましい。また、オリゴマーを添加する場合は、(A)成分を50〜80重量%、(B)成分を40〜10重量%、オリゴマー成分を40〜10重量%の割合で含有せしめることが好ましい。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物においては、熱伝導性を向上させるため、熱伝導性無機フィラーを添加することが好ましい。熱伝導性無機フィラーとして、シリカ、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素などがあり、配合に最適な粒子径、粒度分布、形状、充填量を決定し配合することができる。熱伝導性無機フィラーの配合量は、電気絶縁性樹脂組成物の体積(熱伝導性無機フィラーを含む)に対して、体積分率で40%から90%、好ましくは50%から75%の割合で配合する。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物は、ラジカル重合反応や熱重合反応によって硬化させることができ、いずれの反応方法も採用することができるが、ラジカル重合反応によって硬化させる場合は、電気絶縁性樹脂組成物にラジカル重合開始剤を添加する。
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物であるジアシルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、モノパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、過安息香酸、t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビス系化合物であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−1−シクロヘキサンニトリル等を例示できるがこれに制限されるものでは無い。
ラジカル重合開始剤の添加量は、前記(A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して0.1から10重量部であり、1から5重量部の範囲で添加すると良好な硬化物を得ることができるため好ましい。
また、エポキシシラン、アミノシラン、メタクリロキシシランに例示されるシラン系カップリング剤、またはチタネート系、アルミ系カップリング剤等で予め無機材料に表面処理を施すか、電気絶縁性樹脂組成物の中に配合することにより、熱伝導性無機充フィラー、ガラスクロス、銅箔などと樹脂組成物との接着力を向上させることができる。
また、電気絶縁性樹脂組成物をガラスクロス等に含浸させたり、可剥離性フィルム、金属導体箔や金属基板等の支持体上に塗工する際に、電気絶縁性樹脂組成物の流動性を調節するため、有機溶媒を使用して本発明の電気絶縁性樹脂組成物を希釈してもよい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を適宜選択して使用する。
その他、各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、イオンマイグレーションを抑制するためのイオン吸着剤や、酸化劣化防止のために老化防止剤を使用することができる。また、難燃剤を添加して難燃性を上げることもできる。
以上説明した各成分を、均一に混合することによって、本発明の電気絶縁性樹脂組成物を調製することができる。
〔II〕回路基板用硬化積層体およびその形成材料
本発明の電気絶縁性樹脂組成物は、公知の回路基板における電気絶縁材料として限定なく使用することのできるものであるが、特に金属ベース基板における電気絶縁材料として好適に使用することができるため、以下、金属ベース基板を中心に説明する。
本発明の金属ベース基板用硬化積層体の形成方法は特に限定されず、例えば、金属基材の上に電気絶縁性樹脂組成物を直接塗布し、該電気絶縁性樹脂組成物の塗膜の上に金属導体箔を配置して電気絶縁性樹脂組成物を加熱加圧硬化したり、あるいは、金属導体箔の上に電気絶縁性樹脂組成物を直接塗布し、該電気絶縁性樹脂組成物の塗膜の上に金属基材を配置して電気絶縁性樹脂組成物を加熱加圧硬化することによって形成することができる。また、ガラスクロス等に電気絶縁性樹脂組成物を含浸させたプリプレグシートを、金属基材と金属導体箔の間に挟んで加熱加圧硬化することによって形成してもよい。また、可剥離性フィルムの上に電気絶縁性樹脂組成物を塗布して未硬化の電気絶縁層を形成し、この未硬化電気絶縁層から可剥離性フィルムを剥がして金属基材と金属導体箔の間に挟んで未硬化電気絶縁層を配置し、未硬化電気絶縁層を加熱加圧硬化して形成してもよい。
そのほか本発明の電気絶縁性樹脂組成物は、以下に述べるような回路基板用硬化積層体として使用する事もできる。例えば、本発明の電気絶縁性樹脂組成物の硬化物からなる電気絶縁層の少なくとも一方の面に、金属導体箔を設けてなる回路基板用積層体として用いても良い。
電気絶縁層の一方の面に金属導体箔を設けた片面回路基板用積層体を製造する場合は、上述のプリプレグシート又は接着シートの片面に金属導体箔を組み合わせて、熱プレスなどで加熱硬化させることにより製造することができる。また、金属導体箔の上に電気絶縁性樹脂組成物を用いて塗膜(未硬化電気絶縁層)を形成した未硬化積層体を形成し、これを加熱硬化させることによっても製造することができる。
また電気絶縁層の両面に金属導体箔を設けた両面回路基板用積層体を製造する場合は、上述のプリプレグシート又は接着シートの両面に金属導体箔を配置した状態で、あるいは、未硬化積層体の場合は、金属導体箔を形成した面の反対側にさらに金属導体箔を配置した状態で、熱プレスなどで加熱硬化させることで得られる。
硬化後の電気絶縁層の厚さは、10〜300μmが好ましく、特に50〜150μmの範囲にあることが好ましい。
金属基材としては、アルミニウム、銅等の金属材料が使用できる。金属基材の厚さは、0.1mm〜5mm、好ましくは0.5mm〜3mmである。
配線層形成用の金属導体箔としては、銅、アルミニウム等の金属箔が使用できる。金属導体箔の厚さは、5〜500μm、好ましくは35〜300μmである。
次に、本発明の回路基板用硬化積層体を形成するための形成材料について説明する。本発明の回路基板用硬化積層体を形成するための形成材料の主な供給形態としては、(1)回路基板における電気絶縁層を形成するために使用されるシート状未硬化物、および、(2)回路基板において、電気絶縁層と、金属基材または配線層用金属導体箔から選ばれる1層とを形成するための2層構造の未硬化積層体が挙げられる。なお、これらの形成材料については、金属ベース基板用硬化積層体の製造に好適に利用することができるものであるが、その用途はこれに限定されるものではない。
(1)のシート状未硬化物としては、(i)プリプレグシート、および、(ii)可剥離性フィルムの上に電気絶縁性樹脂組成物を塗布して未硬化電気絶縁層を形成した接着シートを挙げることができる。
(i)のプリプレグシートは、繊維シートに本発明の電気絶縁性樹脂組成物を含浸させたものである。使用に際しては、プリプレグシートの片面または両面に金属導体箔を重ねた状態、あるいは、プリプレグシートの一方の面に金属導体箔を配置し、もう一方の面に金属基材を配置した状態で、この積層体を加熱圧着することによって、ガラスクロス等に浸み込んだ電気絶縁性樹脂組成物を硬化させ、電気絶縁層を形成する。プリプレグシートの両面に金属導体箔を重ねて、電気絶縁性樹脂組成物を硬化させた硬化積層体は、多層回路基板の内層回路等に利用できる。
プリプレグシートの作成に用いる繊維シートとしては、有機または無機の織布または不織布を用いることができる。無機繊維シートとしては、ガラスクロス、ガラス不織布、アルミナクロス等を用いることができる。また、有機繊維シートとしては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、耐熱性ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、炭素繊維などからなるクロスや不織布などの繊維シートを用いることができる。
プリプレグシートは、本発明の電気絶縁性樹脂組成物を有機溶媒などで適当な濃度に希釈し、これをガラスクロス等に含浸させた後、乾燥させることによって形成することができる。ガラスクロス等の厚さは30〜200μmが好ましく、60〜100μmがより好ましく用途に応じて電気絶縁性樹脂組成物の付着量を調整する事が出来る。
また、(ii)の接着シートは、可剥離性フィルムの上に、本発明の電気絶縁性樹脂組成物からなる未硬化の電気絶縁層を形成した接着シートである。実際の使用時には、可剥離性フィルムを剥がして未硬化の電気絶縁層を金属基材や金属導体箔の間に挟んだ後、加熱加圧硬化させることで金属ベース基板等に利用ができる。更には金属導体箔を片面または両面に重ねた状態で加熱圧着することによって多層回路基板における内層回路用の硬化積層体として利用できる。
この接着シートは、例えば、本発明の電気絶縁性樹脂組成物を可剥離性フィルム上に塗工し、得られた塗膜を乾燥することで得ることができる。この可剥離性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンフィルム、フッ素樹脂系フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリアセチルセルロース等がある。これらのフィルムにシリコーン樹脂等で剥離性を付与したものが好ましく使用される。該フィルムは厚さ10〜200μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。
また、(2)の未硬化積層体としては、(i)回路基板における金属基材となる金属板の上に、本発明の電気絶縁性樹脂組成物から得られる未硬化電気絶縁層を形成した2層構造の積層体、または、(ii)回路基板における配線層となる金属導体箔の上に、本発明の電気絶縁性樹脂組成物から得られる未硬化電気絶縁層を形成した2層構造積層体を挙げることができる。このような未硬化積層体を製造する場合、金属基材または金属導体箔の上に、本発明の電気絶縁性樹脂組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥することで製造することができる。
金属導体箔の上に未硬化電気絶縁層を形成した未硬化積層体の場合は、未硬化電気絶縁層を金属基材の上に配置した状態で加熱加圧して、未硬化電気絶縁層を金属基材に貼り付けることにより、金属基材、電気絶縁層および金属導体箔からなる3層積層体を形成する。また、未硬化電気絶縁層の上にさらに金属導体箔を重ねた状態で加熱圧着することによって多層回路基板における内層回路用の硬化積層体として利用できる。
また、金属基材の上に未硬化電気絶縁層を形成した積層体の場合は、未硬化電気絶縁層の上に金属導体箔を配置した状態で加熱加圧して、未硬化電気絶縁層を金属導体箔に貼り付けることにより、金属基材、電気絶縁層および金属導体箔の順に積層してなる3層積層体を形成する。
上述の(1)シート状未硬化物、(2)未硬化積層体における未硬化電気絶縁層には必要に応じて保護フィルムを設けることができ、使用時には剥がして用いる。保護フィルムには、上述の剥離性のフィルムなどが用いられる。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
下記表1に記載のゴム状高分子化合物を用いて、実施例1〜6および比較例1、2の電気絶縁性樹脂組成物を調製した。
Figure 2005317371
St:スチレン
EB:エチレン−ブチレン
Bd:ブタジエン
(実施例1)
トルエン100重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物Cを70重量部、およびモノマーG(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)を30重量部を溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて混練し、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。
得られた電気絶縁性樹脂組成物を、厚さ35μmの銅箔の片面にバーコータで塗布した後、80℃の加熱オーブン中で10分間乾燥して溶媒を飛散させ100μmの電気絶縁層とした。ついで、厚さ1.0mmのアルミ基板の上に、銅箔に塗った電気絶縁層を重ね合わせて、熱プレスで180℃、5MPaで30分間加熱加圧硬化し、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
(実施例2)
トルエン100重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物Aを60重量部、オリゴマーE(ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ヨウ素価=190、軟化点=145℃、分子量 400)を20重量部、およびモノマーG(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)20重量部を溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて混練し、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。得られた電気絶縁性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
(実施例3)
トルエン130重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物Dを70重量部、およびモノマーG(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)を30重量部溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて混練し、有機成分を混練した。ついで、該有機成分40体積%に対し、熱伝導性無機フィラー(アルミナ、平均粒径10μm、BET比表面積2.0m2/g)60体積%を添加し、遠心脱泡攪拌機で5分間攪拌することによって、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。得られた電気絶縁性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
(実施例4)
トルエン130重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物D60重量部、オリゴマーF(脂環族系炭化水素樹脂、臭素価=55、軟化点=140℃、分子量 500)を20重量部、およびモノマーG(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)20重量部を溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて混練し、有機成分を混練した。ついで、該有機成分40体積%に対し、熱伝導性無機フィラー(アルミナ、平均粒径10μm、BET比表面積2.0m2/g)60体積%を添加し、遠心脱泡攪拌機で5分間攪拌することによって、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。得られた電気絶縁性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
(実施例5)
トルエン130重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物A70重量部、およびモノマーH(トリアリルイソシアヌレート)30重量部を溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて有機成分を混練した。ついで、該有機成分40体積%に対し、熱伝導性無機フィラー(アルミナ、平均粒径10μm、BET比表面積2.0m2/g)60体積%を添加し、遠心脱泡攪拌機で5分間攪拌することによって、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。得られた電気絶縁性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
(実施例6)
トルエン130重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物A60重量部、オリゴマーE(ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ヨウ素価=190、軟化点=145℃、分子量 400)20重量部、およびモノマーG(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)20重量部を溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて有機成分を混練した。ついで、該有機成分40体積%に対し、熱伝導性無機フィラー(アルミナ、平均粒径10μm、BET比表面積2.0m2/g)60体積%を添加し、遠心脱泡攪拌機で5分間攪拌することによって、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。得られた電気絶縁性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
(比較例1)
トルエン130重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物B70重量部、およびモノマーG(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)30重量部を溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて混練し、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。得られた電気絶縁性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
(比較例2)
トルエン130重量部に対し、表1に記載のゴム状高分子化合物B70重量部、およびモノマーG(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)30重量部を溶解させた後、アクリル系シランカップリング剤2.7重量部およびラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)3.0重量部を加えて有機成分を混練した。ついで、該有機成分40体積%に対し、熱伝導性無機フィラー(アルミナ、平均粒径10μm、BET比表面積2.0m2/g)60体積%を添加し、遠心脱泡攪拌機で5分間攪拌することによって、電気絶縁性樹脂組成物を調製した。得られた電気絶縁性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、アルミ基板、電気絶縁層、銅箔の3層からなる積層板を作成した。
実施例1〜6、および比較例1、2の積層板を、下記の評価方法によって評価した。結果を表2に示す。
〈Tピール強度試験〉
積層板の銅箔をエッチングして幅10mmのパターンを形成したサンプルを作製し、基板と銅箔が垂直になるように50mm/分の速度で引き剥がす際のTピール強度(N/cm)を測定した。
〈ハンダ耐熱試験〉
180℃および220℃の異なった硬化温度条件で作成した50×50mmの積層板のについて、25×50mmについて銅箔を除去してサンプルを作製し、300℃のハンダ槽にサンプルを浮かべて、目視によって膨れ、ひび割れ等の有無が観察されるまでの時間を測定した。
Figure 2005317371
部分水添ポリマーを用いた実施例1〜6は、Tピール強度が高く、電気絶縁層の基板への密着性が高いことが分かる。一方非水添ポリマーを用いた比較例1、2は、実施例と比較すると密着性が劣っている。
またハンダ耐熱試験では、部分水添ポリマーを用いた実施例1〜6は180℃および220℃の硬化温度条件で4分間以上のハンダ耐熱性を示した。これに対し、非水添ポリマーを用いた比較例1および2では、硬化温度条件によりハンダ耐熱試験で4分間保持を示すものとしないものが確認され、ひび割れが生じ易い傾向が見られた。この結果から、非水添ポリマーを用いた比較例1および2では、ポリマー中にブタジエン部位が多く残存しているため過度に硬化反応が進み易くなったことが推測できる。これらの結果から、部分水添ポリマーを用いることにより、耐熱性と柔軟性のバランスに優れた硬化物が得られることが分かる。
以上のように、本発明にかかる電気絶縁性樹脂組成物は、優れた柔軟性、密着性、耐湿性を有するとともに、ハンダ付け時の高熱処理にも耐えうる耐熱劣化性を有し、高温・多湿の過酷な環境下においても長期間にわたって安定使用が可能であるため、プリント配線基板等の回路基板における電気絶縁材料として有用であり、特にエアコンや産業用モータのインバータなど発熱量の大きな用途や自動車のエンジンルーム等に搭載される電気機器のように、高温、振動条件下において使用される電気機器の回路基板等に好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体を部分水添してなる部分水添ポリマーからなるゴム状高分子化合物(A)と、末端に一つ以上の反応性二重結合を有する重合性モノマー(B)と、を含有することを特徴とする電気絶縁性樹脂組成物。
  2. 前記部分水添したゴム状高分子化合物(A)の水添率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁性樹脂組成物。
  3. さらに、熱伝導性無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電気絶縁性樹脂組成物。
  4. 金属層の上に敷設後に硬化されることにより電気絶縁層となるシート状未硬化物であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気絶縁性樹脂組成物を、繊維シートに含浸させてなるシート状未硬化物。
  5. 可剥離性フィルムの上に未硬化電気絶縁層が形成されてなり、前記未硬化電気絶縁層が金属層の上に転着後に硬化されることにより電気絶縁層となるシート状未硬化物であって、
    前記未硬化電気絶縁層が請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気絶縁性樹脂組成物から形成されていることを特徴とするシート状未硬化物。
  6. 金属層の上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気絶縁性樹脂組成物から得られる未硬化電気絶縁層を有することを特徴とする回路基板用未硬化積層体。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気絶縁性樹脂組成物を硬化してなる電気絶縁層の少なくとも一方の面に、金属層を有することを特徴とする回路基板用硬化積層体。
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