JP2005317362A - プロトン伝導性高分子膜の製造方法およびそれを使用した固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池に有用な高分子電解質膜の製造法であって、優れた特性を有するプロトン伝導性高分子膜を安定的かつ安価に製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 高分子フィルムを有機溶媒中でスルホン化剤と接触させてスルホン化する際に、高分子フィルム表面に孔を有する高分子フィルムを使用することを特徴とするプロトン伝導性高分子膜の製造方法により達成される。この製造方法とすることで、スルホン化時に多量のスルホン化剤が不必要で、かつ、生産性の高いプロトン伝導性高分子膜の製造方法となる。
【選択図】 なし
【解決手段】 高分子フィルムを有機溶媒中でスルホン化剤と接触させてスルホン化する際に、高分子フィルム表面に孔を有する高分子フィルムを使用することを特徴とするプロトン伝導性高分子膜の製造方法により達成される。この製造方法とすることで、スルホン化時に多量のスルホン化剤が不必要で、かつ、生産性の高いプロトン伝導性高分子膜の製造方法となる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プロトン伝導性高分子膜の製造方法、並びに、それを使用した固体高分子形燃料電池に関するものである。
プロトン伝導性高分子膜は、固体高分子形燃料電池、湿度センサー、ガスセンサー、エレクトロクロミック表示素子などの電気化学素子の主要な構成材料である。これら電気化学素子のなかでも、固体高分子形燃料電池は、将来の新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。高分子化合物からなるプロトン伝導性高分子膜を電解質膜として使用する固体高分子形燃料電池(PEFCまたはPEMFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体、家庭用コージェネレーションシステム、および民生用小型携帯機器などへの適用が検討されている。とくに、メタノールを燃料とする直接メタノ‐ル形燃料電池(DMFC)は、単純な構造と燃料供給やメンテナンスの容易さ、さらには高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話やノート型パソコンなどの民生用小型携帯機器への応用が期待されている。
実用的な安定性を有するプロトン伝導性膜として、ナフィオン(Nafion)(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が開発され、PEFCをはじめとする多くの電気化学素子への応用が提案されている。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、高いプロトン伝導度を有し、耐酸性、耐酸化性などの化学的安定性に優れている。しかし、製造が困難で、非常に高価であるという欠点がある。さらに、民生用携帯機器に搭載される燃料電池の燃料として有望視されているメタノールなどの水素含有液体などの透過(クロスオーバーともいう)が大きく、いわゆる化学ショート反応が起こる。これにより、カソード電位が低下するだけでなく、燃料効率の低下が起こり、セル特性低下の主要因となっている。従って、このようなパーフルオロカーボンスルホン酸膜を直接メタノール形燃料電池の電解質膜として用いるには課題が多い。
このような背景から、製造が容易で、より安価なプロトン伝導性高分子膜として、芳香族系高分子化合物のスルホン化物などからなる非パーフルオロカーボンスルホン酸型プロトン伝導性高分子膜が種々提案されている。しかし、高いプロトン伝導度が要求されるPEFCの電解質膜として使用するには、プロトン伝導度が不充分である。また、それを改善するために、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、機械的特性の低下(強度低下、伸び低下)や、水溶性になったり、膜の吸水率が上昇して著しく膨潤するなどハンドリング性が著しく損なわれる。また、小型携帯機器用燃料電池の燃料として有望なメタノールに対しても、これと同様の傾向を示し、その使用が制限される恐れがある。
さらに、特許文献1には、スルホン化ポリフェニレンサルファイドなどのスルホン化芳香族系高分子膜の製造方法が開示されている。このスルホン化芳香族高分子膜の製造方法において、スルホン化剤としてクロロスルホン酸、溶媒としてジクロロメタンを使用することが記載されている。しかし、この製造方法で得られたスルホン化高分子膜も、高いプロトン伝導度を得るためにスルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、メタノールの透過が大きくなることが容易に想定される。このように、直接メタノール形燃料電池の電解質膜には、プロトン伝導度を低下させずにメタノール透過を抑制することが要求されているが、プロトン伝導度とメタノール遮断性がトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立させることは難しい。
一方、特許文献2には、高分子の多孔質支持体に、電解質モノマーを充填して、高分子量化する高分子電解質膜について開示されている。また、特許文献3には、厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜支持体の連通孔内部にイオン伝導性物質を導入燃料として使用するメタノールや水に対する膨潤を多孔質支持体によって抑制するため、それらの透過(クロスオーバー)が抑制されるとされている。しかしながら、その製造工程が複雑であるため、製造コストの面で課題があるとされている。また、充分なプロトン伝導性を発現させるためには、電解質部分のプロトン伝導性置換基の含有量を高く設定する必要があり、この部分での耐久性や、電解質と支持体界面の耐久性に懸念がある。
炭化水素系高分子化合物からなる高分子電解質膜は、上述のように特性上の問題、製造プロセス上の問題点が多かった。
国際公開第02/062896号パンフレット
再公表WO00/54531号公報
特開2002−203576号公報
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池に有用な高分子電解質膜の製造方法であって、優れた特性を有するプロトン伝導性高分子膜を安定的かつ安価に製造する方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、高分子フィルムを有機溶媒中でスルホン化剤と接触させてスルホン化する際に、高分子フィルム表面に孔を有する高分子フィルムを使用するプロトン伝導性高分子膜の製造方法に関する。この製造方法とすることで、スルホン化時に多量のスルホン化剤が不必要で、かつ、生産性の高いプロトン伝導性高分子膜の製造方法となる。さらに、本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法において、高分子フィルムは、高分子フィルムの膜厚に対して、0.2%以上40%以下の深さの孔を高分子表面に有することにより、短時間でスルホン化が可能となり、製造コストが安価なプロトン伝導性高分子膜の製造方法となる。さらに、本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法において、高分子フィルムは、0.0001μm2以上10000μm2以下の断面積の孔を高分子表面に有することにより、スルホン化時に多量の溶媒が不必要となり、製造コストが安価なプロトン伝導性高分子膜の製造方法となる。本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法において、スルホン化剤が、クロロスルホン酸であることにより、短時間でのスルホン化が可能となり、製造コストが安価なプロトン伝導性高分子膜の製造方法となる。さらに本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法において、有機溶媒が、1−クロロブタンであることにより、得られたプロトン伝導性高分子膜は、固体高分子形燃料電池の電解質膜として使用したときに、高い耐久性を示す。さらに本発明のプロトン伝導性高分子膜の炭化水素系高分子化合物が、ポリフェニレンサルファイドであることにより、安価で、かつ高いメタノール遮断性を有するので、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池用の電解質膜として有用である。さらに、本発明の、本発明の製造方法により得られたプロトン伝導性高分子膜を使用した固体高分子形燃料電池は、高いプロトン伝導度、高い耐久性を有するため、固体高分子形燃料電池として優れている。さらに本発明の製造方法により得られたプロトン伝導性高分子膜を使用した直接メタノール形燃料電池は、高いプロトン伝導度、高いメタノール遮断性を有すため、直接メタノール形燃料電池として優れている。
本発明によれば、高分子フィルムを有機溶媒中でスルホン化剤と接触させてスルホン化する際に、高分子フィルム表面に孔を有する高分子フィルムを使用することを特徴とするプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、実質的に製造コストが小さくなるような方法で、安定した特性を有するスルホン化高分子膜を提供することができる。また、この製造方法により得られたスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜などのスルホン化高分子膜は固体高分子形燃料電池用プロトン伝導性高分子膜として有用である。
本発明の高分子フィルムを有機溶媒中でスルホン化剤と接触させてスルホン化する際に、高分子フィルム表面に孔を有する高分子フィルムを使用するプロトン伝導性高分子膜の製造方法について説明する。
本発明における高分子フィルム表面の孔とは、高分子表面に対して凹状の部分であり、高分子フィルムを延伸処理し孔を形成する方法、高分子フィルム表面にレーザー光を照射することにより孔を形成する方法、高分子フィルム表を溶媒に浸漬して孔を生じさせる方法、針で高分子フィルム表面に孔を作製する方法などにより形成することができる。特に、高分子フィルム表面への孔の形成の容易さや、孔の深さ、形状の制御を考慮すると、高分子フィルム表面に孔を形成する方法としては、高分子フィルムを延伸処理し孔を形成する方法が好ましい。
本発明の高分子フィルム表面の孔の深さは、スルホン化剤および/または有機溶媒が高分子フィルム表面の孔へ浸透し、高分子フィルムの内部まで効率的にスルホン化を行い、かつ得られるプロトン伝導性高分子膜が安定した特性を出すために、高分子フィルムの膜厚に対して、0.1%%以上50%以下の深さである。高分子フィルム表面の孔の深さが、高分子フィルムの膜厚に対して、0.1%より短い場合、スルホン化剤および/または有機溶媒の高分子フィルム内部への拡散が不十分となり、得られるプロトン伝導性高分子膜のプロトン伝導度が不十分となる傾向がある。一方、高分子フィルム表面の孔の深さが、高分子フィルムの膜厚に対して、50%より長い場合、得られるプロトン伝導性高分子膜の機械的強度が不十分となる傾向がある。さらに、得られるプロトン伝導性高分子膜の機械的強度、プロトン伝導度などの点を考慮すると、高分子フィルム表面の孔の深さは、高分子フィルムの膜厚に対して、0.2%以上45%以下の深さであることがより好ましい。さらに好ましいのは、0.3%以上40%以下の深さである。
さらに、スルホン化剤および/または有機溶媒が高分子フィルム表面の孔へ浸透し、高分子フィルムの内部まで効率的にスルホン化を行い、かつ得られるプロトン伝導性高分子膜が安定した特性を出すためには、高分子フィルムは、0.00001μm2以上50000μm2以下の断面積の孔を高分子表面に有することが好ましい。高分子フィルム表面の孔の断面積が、0.00001μm2より小さい場合、スルホン化剤および/または有機溶媒の高分子フィルム内部への拡散が不十分となり、得られるプロトン伝導性高分子膜のプロトン伝導度が不十分となる傾向がある。一方、高分子フィルム表面の孔の断面積が、50000μm2より大きい場合、得られるプロトン伝導性高分子膜の機械的強度が不十分となる傾向がある。さらに、得られるプロトン伝導性高分子膜の機械的強度、プロトン伝導度などの点を考慮すると、高分子フィルムは、0.0001μm2以上10000μm2以下の断面積の孔を高分子表面に有することがより好ましい。さらに好ましい高分子表面の孔の断面積は、0.0005μm2以上5000μm2以下である。
本発明の高分子フィルム表面の孔については、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、光波干渉式表面粗さ計などを使用し測定することができる。
本発明のスルホン化剤としては、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄−トリエチルフォスフェート、濃硫酸、トリメチルシリルクロロサルフェートなどの公知のスルホン化剤を使用することが好ましい。工業的入手の容易さやスルホン酸基の導入の容易さや得られるプロトン伝導性高分子膜の特性を考慮すると、これらのスルホン化剤の使用が好ましい。とくに本発明においては、スルホン酸基の導入の容易さや得られた膜の特性、工業的入手の容易さなどから、クロロスルホン酸を使用するのがより好ましい。
本発明に使用可能な溶媒としては、その分子構造式中に3個以上の炭素原子及び、少なくとも1個以上の塩素原子を含む有機溶媒であることが好ましく、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1,4−ジクロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、クロロシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記溶媒のなかでも、工業的入手の容易さや得られるプロトン伝導性高分子膜の特性などの点から、1−クロロブタン、1,4−ジクロロブタンが好ましい。
また、本発明の高分子フィルムはハンドリング性、工業的入手の容易さ、得られたプロトン伝導性高分子膜の特性などから、下記式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリフェニレンサルファイドを主たる構成成分とすることが好ましい。
−[Ar−S]n− (1)
(式中、Arは下記一般式(2)〜(4)で表される2価の芳香族単位、nは1以上の整数)
(式中、Arは下記一般式(2)〜(4)で表される2価の芳香族単位、nは1以上の整数)
前記高分子フィルムのArの一部は、必要に応じて以下の構造単位を含有していても構わない。
(1)芳香族単位の水素原子の一部がアルキル、フェニル、アルコキシ、ニトロ、ハロゲン基から選択されるいずれかで置換されたもの、
(2)3官能フェニルフルフィド単位
(3)架橋あるいは分岐単位
また、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、表面活性剤などの添加剤を適量含有することもできる。
本発明において、前記高分子フィルムの厚さは、用途に応じて任意の厚さを選択することが可能である。均一にフィルム内部までスルホン酸基を導入することや、プロトン伝導性高分子膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、フィルム厚みは薄い程良い。一方、メタノール遮断性やハンドリング性を考慮すると、フィルム厚みは薄すぎると好ましくない。これらを考慮すると、フィルムの厚みは、1.2〜350μmであるのが好ましい。前記フィルムの厚さが1.2μmより薄いと、高分子フィルムに孔を形成することが困難であるとともに、破損が生じるなどハンドリング性がわるくなる傾向があり、350μmをこえると、内部まで均一にスルホン化するのが困難になるとともに、得られたプロトン伝導性高分子膜の内部抵抗も大きくなり、プロトン伝導度が低下する恐れがある。
スルホン化剤の使用量としては、高分子化合物中の芳香族単位に対して、0.5〜30当量、さらには0.5〜15当量であるのが好ましい。スルホン化剤の使用量が、0.5当量よりも少ない場合には、スルホン酸基の導入量が少なくなり、得られるプロトン伝導高分子膜の特性が不充分となる傾向がある。一方、30当量を超える場合には、高分子フィルムが化学的に劣化し、得られるプロトン伝導性高分子膜の機械的強度が低下し、ハンドリングが困難となったり、スルホン酸基の導入量が多くなりすぎて、メタノール遮断性が低下するなど、かえってプロトン伝導性高分子膜の実用的な特性が損なわれる傾向がある。
溶媒中のスルホン化剤の濃度は、スルホン酸基の目標とする導入量や反応条件(温度・時間)を勘案して適宜設定すればよい。具体的には、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましい範囲は、0.2〜5重量%である。0.1重量%より低いとスルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位とが接触しにくくなり、所望のスルホン酸基が導入できなかったり、導入するのに時間がかかりすぎたりする傾向がある。一方、10重量%をこえるとスルホン酸基の導入が不均一となったり、得られたプロトン伝導性高分子膜の機械的特性が損なわれる傾向がある。
また、接触させる際の反応温度、反応時間についてはとくに限定はないが、0〜100℃、さらには10〜30℃、0.5時間以上、さらには2〜100時間の範囲で設定するのが好ましい。反応温度が、0℃より低い場合は、設備上冷却等の措置が必要になるとともに、反応に必要以上の時間がかかる傾向があり、100℃をこえると反応が過度に進行したり、副反応を生じたりして、膜の特性を低下させる傾向がある。また、反応時間が、0.5時間より短い場合は、スルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位との接触が不充分となり、所望のスルホン酸基が導入しにくくなる傾向があり、反応時間が100時間をこえる場合は、生産性が著しく低下する傾向を示すとともに、膜特性の大きな向上は期待できなくなる傾向がある。実際には、使用するスルホン化剤や溶媒などの反応系、目標とする生産量などを考慮して、所望の特性を有するプロトン伝導性高分子膜を効率的に製造することができるように設定すればよい。
さらに具体的な事例をあげて説明する。高分子フィルム表面に孔を形成する方法として高分子フィルムを延伸処理し孔を形成する方法、高分子化合物としてポリフェニレンサルファイドフィルム、溶媒として1−クロロブタンを使用し、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を使用する場合には、高分子フィルム表面の孔の深さが、フィルム表面から0.1μm以上、高分子フィルム表面の孔の平均断面積は、0.0001μm2以上、クロロスルホン酸の添加量がポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して0.5当量以上、1−クロロブタン溶液中のクロロスルホン酸濃度が、0.1重量%以上、反応温度が20℃以上、反応時間が5時間以上、の条件で、所望のイオン交換容量を有するポリフェニレンサルファイドからなるプロトン伝導性高分子膜を調製することができる。
このとき、所定量・所定濃度のクロロスルホン酸/1−クロロブタン溶液を調製し、それにポリフェニレンサルファイドフィルムを浸漬させることにより、ポリフェニレンサルファイドフィルム中の芳香族単位中の水素原子と−SO2Cl基が置換される。さらにこれを水と接触させることにより、−SO2Cl基が加水分解され、スルホン酸基(−SO3H)になるとともに、残存する1−クロロブタンやクロロスルホン酸が除去され、スルホン酸基含有ポリフェニレンサルファイドが得られる。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、連続的に実施してもよい。すなわち、被処理物である高分子化合物からなるフィルムを延伸処理をする工程に供給し、さらに、スルホン化剤との反応槽に供給し、必要に応じて、洗浄工程や乾燥工程を連続的に実施してもよい。この方法によって、プロトン伝導性高分子膜の生産性が向上する。
また、高分子フィルムを反応槽内でスルホン化剤と接触させることによって、フィルム(膜)形状のままスルホン酸基を導入することができる。したがって、従来の均一反応系でスルホン化高分子を合成した後、膜形状に加工する方法と比較して、反応物の回収・精製・乾燥などの工程、溶媒へのスルホン化高分子の溶解や支持体への塗布、溶媒除去などの工程が省略できるため好ましい。さらに、フィルムを連続供給するため、その生産性は著しく向上する。
また、反応槽に浸漬したフィルムに付着および/または包含されたスルホン化剤を除去・洗浄することを連続的に実施することにより、スルホン化剤による周辺機器の腐食の防止やフィルムのハンドリング性が改善する。除去・洗浄の条件は、使用するスルホン化剤や高分子化合物の種類を考慮して適宜設定すればよいが、水洗により、残存したスルホン化剤を不活性化したり、アルカリを使用して中和処理してもよい。
さらに、得られたプロトン伝導性高分子膜を連続して乾燥することによって、プロトン伝導性高分子膜を実際に使用可能な形態で回収することができる。乾燥条件は、使用する高分子フィルムの種類や得られるプロトン伝導性高分子膜の特性を考慮して適宜設定すればよい。スルホン酸基が強い親水性を示すため、洗浄過程において、含水して著しく膨潤している恐れがある。そのため、乾燥時に収縮し、皺や脹れなどが生じる恐れがある。したがって、乾燥時にはプロトン伝導性高分子膜の面方向に適度なテンションをかけて乾燥することが好ましい。また、急激な乾燥を抑制するため、湿度の調節下で徐々に乾燥してもよい。
使用するスルホン化剤やスルホン化の反応条件によっては、例えば、高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイドを使用した場合、高分子フィルム中のスルフィド単位(−S−)がスルホキシド単位(−SO−)やスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、スルホキシド単位(−SO−)がスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、フェニレン単位の水素が−Clなどの置換基で置換される副反応が生じる可能性がある。しかし、得られたプロトン伝導性高分子膜の特性を著しく低下させるものでなけば、前記副反応の結果生じた構造単位が含まれていても構わない。
前記方法で製造したプロトン伝導性高分子膜の特性をさらに向上させるために、電子線、γ線、イオンビーム等の放射線を照射させることが好ましい。
つぎに、本発明のプロトン伝導性高分子膜を使用した固体高分子形燃料電池(直接メタノール形燃料電池)について、一例として、図面を引用して説明する。
図1は、本発明のプロトン伝導性高分子膜を使用した固体高分子形燃料電池(直接メタノール形燃料電池)の要部断面図である。
これは、プロトン伝導性高分子膜1と、1の膜に接触する触媒担持ガス拡散電極2、セパレーター4に形成された燃料ガスまたは液体、並びに、酸化剤を送り込む流路3、の構成よりなるものである。
プロトン伝導性高分子膜1に、触媒担持ガス拡散電極2を接合する方法は、従来検討されている、パーフルオロカーボンスルホン酸膜からなるプロトン伝導性高分子膜や高分子化合物からなるプロトン伝導性高分子膜(例えば、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリサルホン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンサルファイドなど)で行われる公知の方法が適用可能である。
具体的には、市販のガス拡散電極(米国E−TEK社製、など)を用いる方法が例示できるが、これに限定されるものではない。
実際の方法としては、パーフルオロカーボンスルホン酸高分子のアルコール溶液(アルドリッチ社製ナフィオン溶液など)や本発明のプロトン伝導性高分子膜を構成するスルホン化高分子化合物、あるいは、公知のスルホン化高分子化合物(例えば、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリサルホン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンサルファイドなど)の有機溶媒溶液などをバインダーとして、本発明のプロトン伝導性高分子膜1の両面に、触媒担持ガス拡散電極2の触媒層側の面を合わせ、ホットプレス機やロールプレス機などのプレス機を使用して、一般的には120〜250℃程度のプレス温度で接合できる。また必要に応じて、バインダーを使用しなくても構わない。さらに、下記に示すような材料を使用して触媒担持ガス拡散電極2を調製し、プロトン伝導性高分子膜1に接合させて使用しても構わない。
ここで、触媒担持ガス拡散電極2を調製するのに使用する材料としては、触媒として燃料の酸化反応および酸素の還元反応を促進する、白金、ルテニウムなどの金属あるいはそれらの合金、触媒の担体・導電材として、微粒子の炭素材料(例えば、カーボンナノホーン、フラーレン、活性炭、カーボンナノチューブなど)などの導電性物質など、結着剤として、撥水性を有する含フッ素樹脂など、必要に応じて、上記材料の支持体として、カーボンクロスやカーボンペーパーなど、更に、含浸・被覆材として、パーフルオロカーボンスルホン酸高分子が例示できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記のような方法で得られたプロトン伝導性高分子膜1と、触媒担持ガス拡散電極2の接合体を、燃料ガスまたは液体、並びに、酸化剤を送り込む流路3が形成された一対のグラファイト製などのガスセパレーター4などの間に挿入することにより、本発明のプロトン伝導性高分子膜からなる固体高分子形燃料電池(直接メタノール形燃料電池)が得られる。これに燃料ガスまたは液体として、水素を主たる成分とするガスや、メタノールを主たる成分とするガスまたは液体を、酸化剤として、酸素を含むガス(酸素あるいは空気)を、それぞれ別個の流路3より、触媒担持ガス拡散電極2に供給することにより、該固体高分子形燃料電池は作動する。このとき燃料としてメタノールを使用する場合には、直接メタノール形燃料電池となる。
本発明の固体高分子形燃料電池を単独で、あるいは複数積層して、スタックを形成し、使用することや、それらを組み込んだ燃料電池システムとすることもできる。
さらに、本発明のプロトン伝導性高分子膜を使用した直接メタノール形燃料電池について、一例として、図面を引用して説明する。
図2は、本発明のプロトン伝導性高分子膜からなる直接メタノール形燃料電池の要部断面図である。これは、プロトン伝導性高分子膜5と、5の膜の両側には触媒担持電極6が接合され、膜−電極接合体が構成される。この膜−電極接合体は、燃料(メタノールあるいはメタノール水溶液)充填部8や供給部8を有する燃料(メタノールあるいはメタノール水溶液)タンク7の両側に必要数が平面状に配置される。さらにその外側には、酸化剤流路10が形成された支持体9が配置され、これらに狭持されることによって、直接メタノール形燃料電池のセル、スタックが構成される。
前記の例以外にも、本発明のプロトン伝導性高分子膜は、特開2001−313046号公報、特開2001−313047号公報、特開2001−93551号公報、特開2001−93558号公報、特開2001−93561号公報、特開2001−102069号公報、特開2001−102070号公報、特開2001−283888号公報、特開2000−268835号公報、特開2000−268836号公報、特開2001−283892号公報などで公知になっている直接メタノール形燃料電池の電解質膜として、使用可能である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
(実施例1)<高分子フィルムの調製>
炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイド(大日本インキ工業株式会社製、DIC−PPS LD10p11)を使用した。
ポリフェニレンサルファイドのペレットを、スクリュー温度290℃、Tダイ温度280℃の条件で溶融押し出しし、膜厚50μm、幅120mmのポリフェニレンサルファイドフィルムを得た。
<延伸処理による高分子フィルムへの孔の形成>
ポリフェニレンサルファイドフィルムの両端部を固定すると共に、このフィルムについてその固定部位を除く方向の自由な収縮を許しながら一軸方向へ、室温下、延伸速度0.2m/minで延伸処理を行い、膜厚30μmの延伸処理ポリフェニレンサルファイドフィルムを得た。
<高分子フィルム表面の孔の確認・孔の断面積の確認>
この延伸処理後のポリフェニレンサルファイドフィルムを金蒸着し、ポリフェニレンサルファイドフィルムに導電性を付与した。このサンプルを用いて、フィルム表面の孔の有無を走査電子顕微鏡(SEM)により観察した。走査電子顕微鏡写真を図3および図4に示した。
図3および図4の写真右下に実験条件が印字されている。印字された実験条件の文字の真上に有る、等間隔に並んだ11点を結んだ線分の長さが、図3では50μmであり、図4では20μmである。図3には、直径3〜13μmの孔(単純計算で断面積がおよそ7〜133μm2)が、10個程度、観察される。図4には、直径2〜12μmの孔(単純計算で断面積がおよそ3〜113μm2)が4個程度、観察される。孔の陰影から判断して、少なくとも、50μmの0.1%(0.05μm)よりも大きい深さが観察される。
(実施例1)<高分子フィルムの調製>
炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイド(大日本インキ工業株式会社製、DIC−PPS LD10p11)を使用した。
ポリフェニレンサルファイドのペレットを、スクリュー温度290℃、Tダイ温度280℃の条件で溶融押し出しし、膜厚50μm、幅120mmのポリフェニレンサルファイドフィルムを得た。
<延伸処理による高分子フィルムへの孔の形成>
ポリフェニレンサルファイドフィルムの両端部を固定すると共に、このフィルムについてその固定部位を除く方向の自由な収縮を許しながら一軸方向へ、室温下、延伸速度0.2m/minで延伸処理を行い、膜厚30μmの延伸処理ポリフェニレンサルファイドフィルムを得た。
<高分子フィルム表面の孔の確認・孔の断面積の確認>
この延伸処理後のポリフェニレンサルファイドフィルムを金蒸着し、ポリフェニレンサルファイドフィルムに導電性を付与した。このサンプルを用いて、フィルム表面の孔の有無を走査電子顕微鏡(SEM)により観察した。走査電子顕微鏡写真を図3および図4に示した。
図3および図4の写真右下に実験条件が印字されている。印字された実験条件の文字の真上に有る、等間隔に並んだ11点を結んだ線分の長さが、図3では50μmであり、図4では20μmである。図3には、直径3〜13μmの孔(単純計算で断面積がおよそ7〜133μm2)が、10個程度、観察される。図4には、直径2〜12μmの孔(単純計算で断面積がおよそ3〜113μm2)が4個程度、観察される。孔の陰影から判断して、少なくとも、50μmの0.1%(0.05μm)よりも大きい深さが観察される。
なお、この、金蒸着する操作は、表面の孔を確認するためだけの作業である。以下の<プロトン伝導性高分子電解質膜の調整>においては、延伸処理後のポリフェニレンサルファイドフィルムであって、「金蒸着されていない」フィルムを使用するのは言うまでも無い。
<プロトン伝導性高分子電解質膜の調製>
溶媒として1‐クロロブタンを用い、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を用い、高分子フィルムとして延伸処理を行ったポリフェニレンサルファイドフィルムを使用した。
<プロトン伝導性高分子電解質膜の調製>
溶媒として1‐クロロブタンを用い、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を用い、高分子フィルムとして延伸処理を行ったポリフェニレンサルファイドフィルムを使用した。
225mLのガラス瓶に、1−クロロブタン48.38g、クロロスルホン酸0.48gを秤量し、スルホン化反応溶液を調製した。高分子フィルムとして表面へ孔を形成したポリフェニレンサルファイドフィルムを0.11g秤量し、スルホン化反応溶液に浸漬し、室温で20時間放置した(クロロスルホン酸は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して4当量)。
室温で20時間放置後のポリフェニレンサルファイドフィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後のポリフェニレンサルファイドフィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、プロトン伝導性高分子膜として、スルホン酸基が導入されたポリフェニレンサルファイド膜(以下、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜)を得た。
このプロトン伝導性高分子膜のイオン交換容量を次の方法で測定した。約10mm×40mmのスルホン化高分子膜を25℃における塩化ナトリウム飽和水溶液に浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間反応させた。25℃まで冷却した後、サンプルをイオン交換水に漬けて充分に洗浄し、そのイオン交換水に指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え、これを0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し、サンプルのイオン交換容量を算出した。結果を表1に示す。
さらに、プロトン伝導性高分子膜のプロトン伝導度を次の方法で測定した。スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜を直径16mmの円形状に切出し、余分な水分を濾紙で拭き取ってから測定に供した。試験体の表裏面に白金電極を取り付け、これらを2極密閉系の金属製のセルに設置した後、室温下で電圧0.5Vの条件で、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz)により、膜抵抗を測定し、膜厚プロトン伝導度を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)実施例1と同様の方法で得たポリフェニレンサルファイドフィルムを実施例1と同様な方法で延伸処理を行ったポリフェニレンサルファイドフィルム、溶媒として1‐クロロブタン、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を使用した。
(実施例2)実施例1と同様の方法で得たポリフェニレンサルファイドフィルムを実施例1と同様な方法で延伸処理を行ったポリフェニレンサルファイドフィルム、溶媒として1‐クロロブタン、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を使用した。
225mLのガラス瓶に、1−クロロブタン45.79g、クロロスルホン酸0.69gを秤量し、スルホン化反応溶液を調製した。高分子フィルムとして表面へ孔を形成したポリフェニレンサルファイドフィルムを0.11g秤量し、スルホン化反応溶液に浸漬し、室温で20時間放置した(クロロスルホン酸は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して6当量)以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
(比較例1)
<高分子フィルム>
炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイド(大日本インキ工業株式会社製、DIC−PPS LD10p11)を使用した。
ポリフェニレンサルファイドのペレットを、スクリュー温度290℃、Tダイ温度280℃の条件で溶融押し出しし、膜厚30μm、幅120mmのポリフェニレンサルファイドフィルムを得た。
<高分子フィルム表面の孔の確認>
このポリフェニレンサルファイドフィルムを金蒸着し、ポリフェニレンサルファイドフィルムに導電性を付与した。このサンプルを用いて、フィルム表面の孔の有無を走査電子顕微鏡により観察した。走査電子顕微鏡写真を図5に示した。図5の写真右下に実験条件が印字されている。印字された実験条件の文字の真上に有る、等間隔に並んだ11点を結んだ線分の長さが、図5では50μmである。図5には、直径0.01〜100μmの孔(断面積がおよそ0.0001〜10000μm2μm2)は観察されない。
(比較例1)
<高分子フィルム>
炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイド(大日本インキ工業株式会社製、DIC−PPS LD10p11)を使用した。
ポリフェニレンサルファイドのペレットを、スクリュー温度290℃、Tダイ温度280℃の条件で溶融押し出しし、膜厚30μm、幅120mmのポリフェニレンサルファイドフィルムを得た。
<高分子フィルム表面の孔の確認>
このポリフェニレンサルファイドフィルムを金蒸着し、ポリフェニレンサルファイドフィルムに導電性を付与した。このサンプルを用いて、フィルム表面の孔の有無を走査電子顕微鏡により観察した。走査電子顕微鏡写真を図5に示した。図5の写真右下に実験条件が印字されている。印字された実験条件の文字の真上に有る、等間隔に並んだ11点を結んだ線分の長さが、図5では50μmである。図5には、直径0.01〜100μmの孔(断面積がおよそ0.0001〜10000μm2μm2)は観察されない。
なお、この、金蒸着する操作は、表面の孔を確認するためだけの作業である。以下の<プロトン伝導性高分子電解質膜の調整>においては、延伸処理していないポリフェニレンサルファイドフィルムであって「金蒸着されていない」フィルムを使用するのは言うまでも無い。
<プロトン伝導性高分子電解質膜の調製>
上記<高分子フィルム>の項で作製したこのポリフェニレンサルファイドフィルムを延伸処理を行わずそのまま使用した。溶媒として1‐クロロブタンを用い、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を使用した。
<プロトン伝導性高分子電解質膜の調製>
上記<高分子フィルム>の項で作製したこのポリフェニレンサルファイドフィルムを延伸処理を行わずそのまま使用した。溶媒として1‐クロロブタンを用い、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を使用した。
225mLのガラス瓶に、1−クロロブタン40.87g、クロロスルホン酸0.41gを秤量し、スルホン化反応溶液を調製した。ポリフェニレンサルファイドフィルムを0.09g秤量し、スルホン化反応溶液に浸漬し、室温で20時間放置した(クロロスルホン酸は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して4当量)以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
(比較例2)比較例1と同様の方法で得たポリフェニレンサルファイドフィルムを延伸処理を行わずそのまま使用した。溶媒として1‐クロロブタン、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を使用した。
(比較例2)比較例1と同様の方法で得たポリフェニレンサルファイドフィルムを延伸処理を行わずそのまま使用した。溶媒として1‐クロロブタン、スルホン化剤としてクロロスルホン酸を使用した。
225mLのガラス瓶に、1−クロロブタン42.64g、クロロスルホン酸0.64gを秤量し、スルホン化反応溶液を調製した。ポリフェニレンサルファイドフィルムを0.10g秤量し、スルホン化反応溶液に浸漬し、室温で20時間放置した(クロロスルホン酸は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して6当量)以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
1 プロトン伝導性高分子膜
2 触媒担持ガス拡散電極
3 流路
4 セパレーター
5 プロトン伝導性高分子膜
6 触媒担持ガス拡散電極
7 燃料タンク
8 燃料充填部
9 支持体
10 酸化剤流路
2 触媒担持ガス拡散電極
3 流路
4 セパレーター
5 プロトン伝導性高分子膜
6 触媒担持ガス拡散電極
7 燃料タンク
8 燃料充填部
9 支持体
10 酸化剤流路
Claims (8)
- 高分子フィルムを有機溶媒中でスルホン化剤と接触させてスルホン化する際に、高分子フィルム表面に孔を有する高分子フィルムを使用することを特徴とするプロトン伝導性高分子膜の製造方法。
- 前記高分子フィルムは、高分子フィルムの膜厚に対して、0.1%以上50%以下の深さの孔を高分子表面に有することを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性高分子膜の製造方法。
- 前記高分子フィルムは、0.0001μm2以上10000μm2以下の断面積の孔を高分子表面に有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子膜の製造方法。
- 前記スルホン化剤が、クロロスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子膜の製造方法。
- 前記有機溶媒が、1−クロロブタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子膜の製造方法。
- 前記高分子フィルムが、ポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子膜の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたプロトン伝導性高分子膜を使用した固体高分子形燃料電池。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたプロトン伝導性高分子膜を使用した直接メタノール形燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004133992A JP2005317362A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | プロトン伝導性高分子膜の製造方法およびそれを使用した固体高分子形燃料電池 |
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JP2004133992A JP2005317362A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | プロトン伝導性高分子膜の製造方法およびそれを使用した固体高分子形燃料電池 |
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JP2005317362A true JP2005317362A (ja) | 2005-11-10 |
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JP2004133992A Pending JP2005317362A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | プロトン伝導性高分子膜の製造方法およびそれを使用した固体高分子形燃料電池 |
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JP (1) | JP2005317362A (ja) |
-
2004
- 2004-04-28 JP JP2004133992A patent/JP2005317362A/ja active Pending
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