JP2005316483A - 画像再形成可能な媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】用済みとなった紙書類の廃棄は、経済面でも環境面でも大きな問題となっている。そのような問題に対処するために、所望の画像を記録するための新規な画像再形成可能な媒体を提供する。
【解決手段】画像再形成可能な媒体であって、基材と、フォトクロミック物質と、を含み、媒体がカラーコントラストが無い状態を示しているときに、画像形成用光線に露光させて露光領域と非露光領域とを与えると、それらの間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像が形成され、それを可視時間の間、目視可能とするものであり、一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、カラーコントラストの有る状態を無い状態へと変化させて、一時的画像を消去するもので、多数回の一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを実施することが可能である、媒体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像再形成可能な媒体に関する。
紙書類のほとんどのものは、読んだ後直ぐに用済みとなる。紙は安価なものではあるが、用済みとなる紙書類の量が膨大であるので、それら用済みとなった紙書類の廃棄は、経済面でも環境面でも、大きな問題となっている。
以下の文献類(特許文献1〜特許文献6及び非特許文献1〜非特許文献4)により、背景技術の情報が得られる。
マーチン(Martin)ら、米国特許第5,710,420号明細書 マッキュー(McCue)ら、米国特許第6,500,245B1号明細書 特開2003−131339号公報「可逆画像表示媒体、方法および装置(Reversible Image Display Medium, Method and Device)」 サエバ(Saeva)、米国特許第3,961,948号明細書 フォーチャー(Foucher)ら、米国特許第6,358,655B1号明細書 フォーチャー(Foucher)ら、米国特許第6,365,312B1号明細書 セバスチャン V.カナッカナット(Sebastian V.Kanakkanatt)、「フォトイレージング・ペーパー・アンド・サーモカラリング・フィルム(Photoerasing Paper and Thermocoloring Film)」、SPIE、第3227巻、p.218〜224(1997). アンリ ブア−ローラン(Henri Bouas−Laurent)ら、「オーガニック・フォトクロミズム(Organic Photochromism)」、ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー(Pure Appl.Chem.)、第73巻、第4号、p.639〜665(2001). I.カワシマ(Kawashima)ら、「20.4:フォトンモード・フルカラー・リライタブル・イメージ・ユージング・フォトクロミック・コンパウンズ(Photon−Mode Full−Color Rewritable Image Using Photochromic Compounds)」、SID03ダイジェスト(SID03 DIGEST)、p.851〜853(2003). H.ハットリ(Hattori)ら、「ディベロップメント・オブ・ペーパーライク・リライタブル・レコーディング・メディア・アンド・システムズ(Development of Paper−like Rewritable Recording Media and Systems)」、アジア・ディスプレイ/IDW ’01(Asia Display/IDW ’01)、p.15〜18(2001).
本発明は、上述の問題に対処するために、各種の実施態様により、所望の画像を記録するための新規な媒体、そのような媒体を調製するための新規な方法、および新規な画像形成方法を提供するものである。
各種実施態様において、画像形成方法を提供するが、それに含まれるのは、
(a)基材とフォトクロミック物質とを含む画像再形成可能な媒体(a reimageable medium)を備える工程であって、ここでその媒体が、カラーコントラストの有る状態(color contrast)およびカラーコントラストの無い状態(absence of color contrast)を示すことが可能である、工程と、
(b)その媒体を予め定められた画像(predetermined image)に対応する画像形成用光線(imaging light)に露光させて、露光領域(exposed region)と非露光領域(non−exposed region)とを与える工程であって、
ここで、露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像(temporary image)を可視時間(visible time)の間、目視可能とする、工程と、
(c)その一時的画像を、画像消去時間(image erasing time)の間、屋内の周囲条件(an indoor ambient condiion)に置くことによって、カラーコントラストの有る状態をカラーコントラストの無い状態へと変化させて、画像消去装置(image erasure device)を使用することなく、その一時的画像を消去する工程と、
(d)場合によっては、手順(b)と(c)とを多数回繰り返して、その媒体中で、一時的画像形成と一時的画像消去のさらなるサイクルを多数回実施する工程と、である。
各種実施態様において、画像形成方法を提供するが、それに含まれるのは、
(a)白紙基材(white paper substrate)とフォトクロミック物質とを含む、2面を有する可撓性媒体を備える工程であって、ここでその媒体が、両方の面に画像再形成可能であり、ここでその媒体が、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことが可能である、工程と、
(b)その媒体を予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域とを与える工程であって、ここで、露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像を可視時間の間、目視可能とする、工程と、
(c)その一時的画像を、画像消去時間の間、屋内の周囲条件に置くことによって、カラーコントラストの有る状態をカラーコントラストの無い状態へと変化させて、画像消去装置を使用することなく、その一時的画像を消去する工程と、
(d)場合によっては、手順(b)と(c)とを多数回繰り返して、その媒体中で、一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを多数回実施する工程と、である。
さらなる実施態様においては、画像再形成可能な媒体を提供するが、それに含まれるのは、
基材と、
フォトクロミック物質とであって、
ここでその媒体が、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことが可能であり、
ここでその媒体の有する特性が、その媒体がカラーコントラストが無い状態を示しているときに、予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域とを与えると、その露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像が形成され、それを可視時間の間、目視可能とするものであり、
ここでその媒体の有する特性が、その一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、そのカラーコントラストの有る状態をカラーコントラストの無い状態へと変化させて、一時的画像を消去するもので、そのような条件としては以下の場合を全て含み、
(i)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇である(darkness)場合、
(ii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で屋内に通常の明るさがある(ambient light)場合、および
(iii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇であるのと、周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方である場合、そして、
ここでその媒体が、多数回の一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを実施することが可能である。
本発明の別な実施態様には、画像再形成可能な媒体を含み、それに含まれるのは、
紙基材と、
フォトクロミック物質とであって、
ここでその媒体が可撓性であって2つの面を有し、そしてそのフォトクロミック物質がその2つの面の上にあってその2つの面のいずれをも画像再形成可能とし、
ここでその媒体が、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことが可能であり、
ここでその媒体の有する特性が、その媒体がカラーコントラストが無い状態を示しているときに、予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域とを与えると、その露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像が形成され、それを可視時間の間、目視可能とするものであり、
ここでその媒体の有する特性が、その一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、そのカラーコントラストの有る状態をカラーコントラストの無い状態へと変化させて、一時的画像を消去するもので、そのような条件としては以下の場合を全て含み、
(i)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇である場合、
(ii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で屋内の通常の明るさがある場合、および
(iii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇であるのと、周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方である場合、そして、
ここでその媒体が、多数回の一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを実施することが可能である。
さらなる実施態様においては、予め定められた波長範囲(wavelength scope)を有する画像形成用光線を受けるための画像再形成可能な媒体が提供され、その媒体に含まれるのが、
基材と、
複数の異なった形態の間を可逆的に変換することが可能なフォトクロミック物質であって、ここで1つの形態が、予め定められた波長範囲と重なる吸収スペクトルを有する物質と、
吸収極大を有する光吸収帯(light absorption band)を示す光吸収性物質であって、その光吸収帯がその1つの形態の吸収スペクトルと重なる物質と、
である。
本発明のまた別な実施態様は、予め定められた波長範囲を有する画像形成用光線を受けるための画像再形成可能な媒体が含まれ、その媒体に含まれるのが、
基材と、
複数の異なった形態の間を可逆的に変換することが可能なフォトクロミック物質であって、ここで1つの形態が、予め定められた波長範囲と重なる吸収スペクトルを有する物質と、
吸収極大を有する光吸収帯を示す光吸収性物質であって、その光吸収帯がその1つの形態の吸収スペクトルと重なる物質と、
であり、
ここでその媒体が、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことが可能であり、
ここでその媒体の有する特性が、その媒体がカラーコントラストが無い状態を示しているときに、予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域とを与えると、その露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像が形成され、それを可視時間の間、目視可能とするものであり、
ここでその媒体の有する特性が、その一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、そのカラーコントラストの有る状態をカラーコントラストの無い状態へと変化させて、一時的画像を消去するもので、そのような条件としては以下の場合を全て含み、
(i)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇である場合、
(ii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で屋内の通常の明るさがある場合、および、
(iii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇であるのと、周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方である場合、そして、
ここでその媒体が、多数回の一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを実施することが可能である。
実施態様において、予め定められた波長範囲を有する画像形成用光線を受けるための画像再形成可能な媒体を調製するための方法を提供するが、その方法に含まれるのが、
媒体の一部として複数の異なった形態の間を可逆的に変換することが可能なフォトクロミック物質を組み込む工程であって、ここで1つの形態が、予め定められた波長範囲と重なる吸収スペクトルを有する、工程と、
媒体の一部として吸収極大を有する光吸収帯を示す光吸収性物質を組み込む工程であって、その光吸収帯がその1つの形態の吸収スペクトルと重なる物質である、工程と、
であり、
ここでその媒体が、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことが可能であり、
ここでその媒体の有する特性が、その媒体がカラーコントラストが無い状態を示しているときに、予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域とを与えると、その露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像が形成され、それを可視時間の間、目視可能とするものであり、
ここでその媒体の有する特性が、その一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、そのカラーコントラストの有る状態をカラーコントラストの無い状態へと変化させて、一時的画像を消去するもので、そのような条件としては以下の場合を全て含み、
(i)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇である場合、
(ii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で屋内の通常の明るさがある場合、および、
(iii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇であるのと、周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方である場合、そして、
ここでその媒体が、多数回の一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを実施することが可能である。
「予め定められた画像(predetermined image)」および「一時的画像(temporary image)」の中で使用されている「画像(image)」という用語は、人の目に写るようにしたいどのような表示であってもよく、この「画像」は、たとえば文字、写真(picture)、絵画(graphic)またはそれらの組合せなどであってよい。
「周囲温度(ambient temperature)」という用語は、約15〜約30℃の範囲の温度を指す。
本発明の方法には、基材およびフォトクロミック物質を含む画像再形成可能な媒体を提供することが含まれるが、ここでその媒体は、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことができる。その画像再形成可能な媒体を、予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域とを与えるが、ここで、露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在して、予め定められた画像に対応する一時的画像を裸眼で目視可能とする。
その一時的画像を消去するために、本発明の方法では、その一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に置くことによって、カラーコントラストのある状態をカラーコントラストの無い状態に変化させて、画像消去装置を使用することなく、その一時的画像を消去するが、ここで、その一時的画像は、観察者がその一時的画像を見るのに充分な可視時間の間は目視可能であるが、ここで、その可視時間は、場合によっては、本明細書において一時的画像形成および一時的画像消去と記述する手順を多数回繰り返して、その媒体の中で一時的画像形成および一時的画像消去のさらなるサイクルを多数回繰り返して実施するような特徴を可能とする範囲に限定する。実施態様においては、この画像再形成可能な媒体は、「自己消去性(self−erasing)」と考えてよい。
画像形成用光線は、単一波長または波長帯を有する、各種適切な予め定められた波長範囲(predetermined wavelength scope)とすることができる。実施態様においては、この画像形成用光線は、紫外光線波長範囲約200nm〜約475nm、特に365nmの単一波長かまたは約360nm〜約370nmの波長帯から選択される、単一波長または狭い波長帯を有する紫外光線である。それぞれの一時的画像形成では、画像再形成可能な媒体を、約10ミリ秒〜約5分、特に約30ミリ秒〜約1分の範囲の時間範囲で、画像形成用光線に露光させる。画像形成用光線の強度範囲は、約0.1mW/cm〜約100mW/cm、特に約0.5mW/cm〜約10mW/cmである。
実施態様においては、予め定められた画像に対応する画像形成用光線は、たとえば、コンピュータによって発光ダイオード(LED)アレイスクリーン上に発生させることが可能であり、LEDスクリーンの上に媒体を好適な時間置くことによって、画像再形成可能な媒体の上に、その一時的画像を形成させる。たとえば396nmのUV・LEDアレイは、カナダ国オンタリオ州ミシソーガ(Mississauga,ON,Canada)のエクスホ(EXFO)で製造されている。予め定められた画像に対応する画像形成用光線を発生させるのに適したまた別な方法としては、UVラスタ・アウトプット・スキャナ(UV Raster Output Scanner、ROS)を使用する方法がある。
観察者に目視可能とする一時的画像を与えるためのカラーコントラストは、たとえば、2種、3種またはそれより多くの異なったカラーの間のコントラストとすることができる。「カラー(color)」という用語には、いくつかの側面たとえば色相、明度、および彩度などが含まれ、ここで、2つのカラーが少なくとも1つの側面で異なっていれば、1つのカラーを他のカラーから区別することができる。たとえば、2つのカラーが同じ色相と彩度とを有しているが、明度に違いがある場合には、異なったカラーとみなしうる。その一時的画像が裸眼で目視可能になりさえすれば、カラーコントラストを作るために、どのようなカラー(たとえば、レッド、ホワイト、ブラック、グレー、イエロー、パープルなど)を用いてもよい。実施態様においては、例示的に次のようなカラーコントラストが使用できる。すなわち、ホワイトの背景の上のパープルの一時的画像、ホワイトの背景の上のイエローの一時的画像、ライトパープルの背景の上のダークパープルの一時的画像、およびダークパープルの背景の上のライトパープルの一時的画像等である。
実施態様においては、可視時間の間にカラーコントラストを変化させる(たとえば、薄くする)ことも可能であるが、「カラーコントラスト(color contrast)」という用語は、可視時間の間にカラーコントラストが変化しようと一定であろうとには関係なく、観察者に一時的画像が認識されるに充分であるような、各種程度の異なるカラーコントラストが含まれる。
一時的画像の可視時間は、たとえば約1時間〜約5日、または約3時間〜約24時間、さらには約5時間〜約24時間である。実施態様においては、一時的画像の(カラーコントラストの低下が原因の)退色は、本明細書に記載した可視時間の中でも認められるが、可視時間とは、その一時的画像が裸眼で認識できなくなるまでの時間を指しているのである。
屋内の周囲条件を構成しているのは、周囲温度で暗闇である場合、または周囲温度で屋内に通常の明るさがある場合、または周囲温度で暗闇であるのと周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方がある場合である。屋内の通常の明るさとは、たとえば、典型的な事務室の明るさで、その屋内の通常の明るさが完全に人工的な明るさ(たとえば、白熱電球および/または蛍光電球からの光)であってもよいし、あるいは、ガラス窓を通して入ってくる日光だけでもよいし、あるいは、人工光線と窓ガラスからの日光を合わせたものであってもよい。屋内の周囲条件が周囲温度で暗闇である場合、「暗闇(darkness)」という用語は、事務所の電灯を消した場合や、(たとえば窓がなかったり、日没後であったり、窓のカーテンやブラインドが閉められていたりして)室内に日光が少量しか入ってこないような状態を指している。この「暗闇」という用語にはさらに、事務所の電灯は消灯されているが、窓からは「町の灯り(city light)」が流れ込んでくるような、夜間の状態も含まれる。本発明の方法の実施態様においては、一時的画像を有する画像再形成可能な媒体を、たとえば約1時間〜約5日、あるいは約3時間〜約24時間の範囲の画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露する。実施態様においては、一時的画像は典型的には、屋内の周囲条件下では可視時間全体にわたって残るので、その画像消去時間には可視時間も含まれる。たとえば、一時的画像が5時間にわたって目視可能であるとすると、その画像消去時間は、5時間を加えた値となる。実施態様においては、その画像消去時間は、可視時間にさらにたとえば少なくとも30分、または約1時間〜約24時間を加えたものとなる。
本発明の方法および本発明の画像再形成可能な媒体の実施態様において、一時的画像の消去は、次のいずれかによって起きる。すなわち、(i)露光領域(すなわち画像形成用光線で露光した領域)のカラーを、非露光領域(すなわち、画像形成用光線に露光していない領域)のカラーに変化させること、(ii)非露光領域のカラーを露光領域のカラーに変化させること、または、(iii)露光領域のカラーと非露光領域のカラーとを、露光領域のカラーおよび非露光領域のカラーのいずれとも異なる、同一のカラーに変化させること、によって起きる。
フォトクロミック物質はフォトクロミズムを示すが、その現象は、電磁線を吸収することによって、異なった吸収スペクトルを有する2つの形態の間で、一方向または双方向に誘導される化学種の可逆性の転位である。第1の形態は熱力学的に安定であるが、それに光を吸収させることによって誘導して、第2の形態に変換することができる。第2の形態から第1の形態へ戻る反応は、たとえば、加熱または、光の吸収によって起こすことができる。フォトクロミック物質の実施態様にはさらに、可逆性の転位を3種以上の形態の間で起こすことが可能であるならば、3種またはそれ以上の形態の間における化学種の可逆性の転位も含まれる。フォトクロミック物質は、1種、2種、3種またはそれ以上の異なったタイプのフォトクロミック物質から構成することができるが、ここで「タイプ(type)」という用語は、可逆的に相互変換可能な形態のそれぞれのファミリーを指し、たとえば、スピロピランとその異性体のメロシアニンはまとめてフォトクロミック物質の1つのタイプを形成する(1ファミリーと呼ぶこともある)。特に断らない限り、「フォトクロミック物質(photochromic material)」という用語は、その形態いかんに関わらず、フォトクロミック物質のすべての分子を指す。たとえば、そのフォトクロミック物質がスピロピラン/メロシアニンのような単一のタイプの場合には、その瞬間瞬間で、フォトクロミック物質の分子が完全にスピロピランであったり、完全にメロシアニンであったり、あるいはスピロピランとメロシアニンの混合物であったりしてもよい。実施態様においては、フォトクロミック物質のそれぞれのタイプで、1つの形態が無色または淡色であり、他の形態が異なったカラーを有している。
2種またはそれ以上のタイプのフォトクロミック物質が存在する場合には、それぞれのタイプが、フォトクロミック物質の全部のタイプの重量を基準にして、たとえば約5%〜約90%の範囲の重量で、均等または不均等に存在していてよい。
実施態様において、フォトクロミック物質はさらにサーモクロミックである、すなわちサーモクロミズムを示すものであってもよいが、それは、熱的に誘導される可逆性の変色である。
好適なフォトクロミック物質なら何を使用してもよいが、特に有用なのは有機フォトクロミック物質である。好適なフォトクロミック物質の例を挙げれば、たとえばスピロピラン類やその関連の化合物のように、ヘテロサイクリック部分の開裂が起きる化合物,たとえばヒドラジン化合物やアリールジスルフィド化合物のように、ホモサイクリック部分の開裂が起きる化合物,たとえばアゾ化合物、スチルベン化合物などのようにシス−トランス異性化が起きる化合物,たとえばフォトクロミックキニーネ類のようにプロトントランスファまたはグループトランスファ光互変異性が起きる化合物,たとえばビオロゲン類などのように、電子移動によるフォトクロミズムが起きる化合物,その他がある。
本明細書で説明するように、フォトクロミック物質は、いくつかの形態で存在することが可能であって、本明細書ではそれぞれのタイプのフォトクロミック物質について、説明のための構造式を示してそれらの形態を説明する。本明細書で説明する化学構造では、フォトクロミック物質の1つの形態は典型的には、無色または淡色(たとえば、ペールイエロー)であるのに対して、他の形態は典型的には、別のカラー(たとえば、レッド、ブルー、またはパープル)を有していて、本明細書ではそれを「異なったカラーである(differently colored)」との言い方をする。
フォトクロミック物質の好適例を挙げれば、次の一般式を有するスピロピラン化合物およびその類似化合物がある(閉環している形態が無色/淡色となりやすく、開環している形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13はそれぞれ他とは独立して、(それらに限定される訳ではないが)、水素、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約20個の炭素原子、より好ましくは1個〜約10個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約20個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約10個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約20個の炭素原子、より好ましくは1個〜約10個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約20個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約10個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上のR基(すなわち、RからR13までの基)が互いに結合して環を形成することもできる。
Xは酸素原子(O)または硫黄原子(S)とすることができる。YはCH基、窒素原子(N)またはリン原子(P)とすることができる。XがOでYがCHの化合物は、スピロピラン類として知られている。この場合、閉環した形態の異性体がスピロピラン化合物と呼ばれ、それに対して、開環している形態の異性体がメロシアニン化合物と呼ばれている。XがOでYがNの化合物は、スピロオキサジン類として知られている。XがSでYがCHの化合物は、スピロチオピラン類として知られている。
スピロピラン類の例を挙げれば、一般式Iで表されるスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−インドリン](ここで、1’、3’、4’、5’、6’、7’、3、4、5、6、7、および8位の1つまたは複数に置換基が存在していてもよい)、一般式IIで表されるスピロインドリノナフトピラン(ここで、1、3、4、5、6、7、1’、2’、5’、6’、7’、8’、9’または10’位の1つまたは複数に置換基が存在していてもよい)、一般式IIIで表されるアザ−スピロインドリノピラン(ここで1、3、4、5、6、7、1’、2’、5’、6’、7’、8’、および9’位の1つまたは複数に置換基が存在していてもよい)などがある。
Figure 2005316483
スピロオキサジン類の例を挙げれば、一般式IVで表されるスピロ[インドリン−2,3’−[3H]−ナフト[2,1−b]−1,4−オキサジン](ここで、1、3、4、5、6、7、1’、2’、5’、6’、7’、8’、9’、または10’位の1つまたは複数に置換基が存在していてもよい)、一般式Vで表されるスピロ[2H−1,4−ベンズオキサジン−2,2’−インドリン](ここで3、5、6、7、8、1’、3’、4’、5’、6’、および7’位の1つまたは複数に置換基が存在していてもよい)、などがある。
スピロチオピラン類の例を挙げれば、一般式VIで表されるスピロ[2H−1−ベンゾチオピラン−2,2’−インドリン](ここで、1’、3’、4’、5’、6’、7’、3、4、5、6、7、および8位の1つまたは複数に置換基が存在していてもよい)などがある。
Figure 2005316483
上記のスピロピラン類、スピロオキサジン類およびスピロチオピラン類のすべての例において、置換基の例は、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13について述べたものと同じである。
スピロピラン類、スピロオキサジン類、およびスピロチオピラン類の上の、たとえばアミノ、アルコキシなどの電子供与性置換基や、たとえばニトロやシアンのような電子吸引性置換基を、フォトクロミック物質の開環の形態におけるカラー、さらには閉環の形態における吸収スペクトルに効果が出るように、調節することができる。スピロピラン類、スピロオキサジン類、およびスピロチオピラン類の中央部分の上、またはそれに付いているアルキル基またはアリール基の上の置換基もまた、フォトクロミック物質の開環の形態におけるカラーに影響を与えるが、左側の環の上の置換基による影響に比較すればその程度は低い。さらに、置換基を調節することによって、その化合物の各種液体や樹脂への溶解性に影響を与えることができる。たとえば16個または18個の炭素原子を有すような、長鎖の炭化水素を有する置換基があると、炭化水素への溶解性が上がる。たとえば、スルホネート基およびカルボキシレート基は水への溶解性を向上させることができる。
スピロピラン類、スピロオキサジン類およびスピロチオピラン類の具体的な例を挙げれば、1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−5’−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−シアノ−スピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−8−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロ,8−メトキシ−スピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1’,3’−ジヒドロ−1’−デシル−,3’,3’−ジメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチルスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b]−[1,4]オキサジン]、1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−5−ニトロスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b]−[1,4]オキサジン]、1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−5,6’−ジニトロ−スピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b]−[1,4]オキサジン]、1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−5−メトキシ,5’−メトキシ−スピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b]−[1,4]オキサジン]、1,3−ジヒドロ−1−エチル−3,3−ジメチル−5’−ニトロスピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]ナフト[2,1−b]−[1,4]オキサジン]、1,3’,3’−トリメチルスピロ[2H−1−ベンゾチオピラン−2,2’−インドリン]などがある。
スピロピラン類の合成の代表的な方法は、容易に入手可能なフィッシャー塩基(Fischer’s base)をサリチルアルデヒド誘導体と縮合させる方法である。合成手段や参考文献を幅広く収載しているものとしては、J.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)(1999)、があり、そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
好適なフォトクロミック物質の別な種類としては、一般式に示すスチルベン類がある(シスの形態が無色/淡色となりやすく、トランスの形態が異なったカラーとなりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、2、3、4、5、6、2’、3’、4’、5’、および6’位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。好適な置換基の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。
スチルベン類の具体的な例を挙げれば、スチルベン(置換基なし)、3−メチルスチルベン、4−メトキシスチルベン、3−メトキシスチルベン、4−アミノスチルベン、4−フルオロスチルベン、3−フルオロスチルベン、4−クロロスチルベン、3−クロロスチルベン、4−ブロモスチルベン、3−ブロモスチルベン、3−ヨードスチルベン、4−シアノスチルベン、3−シアノスチルベン、4−アセチルスチルベン、4−ベンゾイルスチルベン、4−フェナシルスチルベン、4−ニトロスチルベン、3−ニトロスチルベン、3−ニトロ−3’−メトキシスチルベン、3−ニトロ−4−ジメチルアミノスチルベン、4,4’−ジニトロスチルベン、4−ニトロ−4’−メトキシスチルベン、4−ニトロ−3’−メトキシスチルベン、4−ニトロ−4’−アミノスチルベン、4−ニトロ−4’−ジメチルアミノスチルベン、α−メチルスチルベン、α,α’−ジメチルスチルベン、α,α’−ジフルオロスチルベン、α,α’−ジクロロスチルベン、2,4,6−トリメチルスチルベン、2,2’,4,4’,6、6’−ヘキサメチルスチルベン、などがある。スチルベン化合物はよく知られていて、たとえば下記のような文献の記載に従って調製することができる。G.S.ハモンド(Hammond)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)、第86巻、p.3197(1964)、W.G.ハークストレーター(Herkstroeter)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)、第88巻、p.4769(1966)、D.L.ベベリッジ(Beveridge)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第87巻、p.5340(1965)、D.ジジョー(Gegiou)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第90巻、p.3907(1968)、D.シュルテ−フローリンデ(Schulte−Frohlinde)ら、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第66巻、p.2486(1962)、S.マルキン(Malkin)ら、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第68巻、p.1153(1964)、S.マルキン(Malkin)ら、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第66巻、p.2482(1964)、H.ステジマイヤー(Stegemeyer)、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第66巻、p.2555(1962)、H.ガステン(Gusten)ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、第1968巻、p.3097(1968)、D.ジジョー(Gegiou)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第90巻、p.12(1968)、K.クルーガー(Kruger)ら、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第66巻、p.293(1969)、およびD.シュルテ−フローリンデ(Schulte−Frohlinde)、アン(Ann.)、第612巻、p.138(1958)、これらそれぞれにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
フォトクロミズムを示す芳香族アゾ化合物としては下記の一般式に示すものがある(シスの形態は無色/淡色になりやすく、トランスの形態が異なったカラーとなりやすい)。
Figure 2005316483
ここでArおよびArはそれぞれ他から独立して、芳香族基からなる群より選択される。それらの芳香族基は置換されていてもよく、置換基の例を挙げれば(それらに限定される訳ではないが)、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル置換基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。
フォトクロミックなアゾ化合物の例を挙げれば、アゾベンゼン、2−メトキシアゾベンゼン、2−ヒドロキシアゾベンゼン、3−メチルアゾベンゼン、3−ニトロアゾベンゼン、3−メトキシアゾベンゼン、3−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ヨードアゾベンゼン、4−メチルアゾベンゼン、4−カルボメトキシアゾベンゼン、4−アセチルアゾベンゼン、4−カルボキシアゾベンゼン、4−シアノアゾベンゼン、4−エトキシアゾベンゼン、4−メトキシアゾベンゼン、4−ニトロアゾベンゼン、4−アセトアミドアゾベンゼン、4−ジメチルアミノアゾベンゼン、4−アミノアゾベンゼン、4−トリメチルアンモニウムアゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−4’−フェニルアゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4,4’−ビス−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−4’−p−アミノフェニルアゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−4’−p−アセトアミドフェニルアゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−4’−p−アミノベンジルアゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−4’−マーキュリックアセテートアゾベンゼン、4−ヒドロキシアゾベンゼン、2−メチル−4−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メチルアゾベンゼン、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシアゾベンゼン、2,2’−4’,6,6’−ペンタメチル−4−ヒドロキシアゾベンゼン、2,6−ジメチル−2’,4’,6’−トリクロロ−4−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−クロロアゾベンゼン、2,2’,4’,6’−テトラクロロ−4−ヒドロキシアゾベンゼン、3−スルホネート−4−ヒドロキシアゾベンゼン、2,2’−ジメトキシアゾベンゼン、3,3’−ジニトロアゾベンゼン、3,3’−ジメチルアゾベンゼン、4,4’−ジメチルアゾベンゼン、4,4’−ジメトキシアゾベンゼンなどがある。
ポリマ性のアゾ物質もまた、フォトクロミック物質として好適である。芳香族アゾ化合物はよく知られていて、たとえば下記のような文献の記載に従って調製することができる。A.ナタンソン(Natansohn)ら、マクロモレキュールス(Macromolecules)、第25巻、p.2268(1992);G.チンマーマン(Zimmerman)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第80巻、p.3528(1958);W.R.ブロード(Brode)、「ザ・ロジャー・アダムス・シンポジウム(The Roger Adams Symposium)」、p.8、ワイリー(Wiley、ニューヨーク(New York))、1955);D.ジジョー(Gegiou)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第90巻、p.3907(1968);S.マルキン(Malkin)ら、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第66巻、p.2482(1962);D.シュルテ−フローリンデ(Schulte−Frohlinde)、アン(Ann.)、第612巻、p.138(1958);E.I.スターンズ(Stearns)、ジャーナル・オブ・ザ・オプティカル・ソサイエティ・オブ・アメリカ(J.Opt.Soc.Amer.)第32巻、p.382(1942);W.R.ブロード(Brode)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第74巻、p.4641(1952);W.R.ブロード(Brode)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第75巻、p.1856(1953);E.フィッシャー(Fischer)ら、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J.Chem.Phys.)、第27巻、p.328(1957);G.ベッターマーク(Wettermark)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)第87巻、p.476(1965);G.ゲーバー(Gabor)ら、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第72巻、p.3266(1968);M.N.インスコー(Inscoe)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)、第81巻、p.5634(1959);E.フィッシャー(Fischer)ら、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ(J.Chem.Soc.)、第1959巻、p.3159(1959);G.ゲーバー(Gabor)ら、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)、第66巻、p.2478(1962);G.ゲーバー(Gabor)ら、イスラエル・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Israel J.Chem.)、第5巻、p.193(1967);D.ブロック(Bullock)ら、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ(J.Chem.Soc.)、第1965巻、p.5316(1965);R.ロブリアン(Lovrien)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)、第86巻、p.2315(1964);J.H.コリンズ(Collins)ら、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)、第84巻、p.4708(1962)、これらそれぞれにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
フォトクロミック物質として好ましいものとしてさらに、下記の一般式のベンゾおよびナフトピラン類(クロメン類)がある(閉環している形態が無色/淡色になりやすく、開環している形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、それらの1、2、3および4位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよく、ここで、その置換基およびRおよびRは、それぞれ他とは独立して、芳香族基からなる群より選択される。それらの芳香族基は置換されていてもよく、置換基の例を挙げれば(それらに限定される訳ではないが)、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル置換基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。
クロメン類の具体的な例としては、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、2−メチル−7,7−ジフェニル−7H−ピラノ−[2,3−g]−ベンゾチアゾール、2,2’−スピロアダマンチリデン−2H−ナフト−[1,2−b]ピラン、が挙げられる。
クロメン類の合成については、以下の参考文献に詳細な記述がある。P.バンフィールド(Bamfield)、『クロミック・フェノメナ、テクノロジカル・アプリケーションズ・オブ・カラー・ケミストリー(Chromic Phenomena,Technological applications of color chemistry)』、RSC、ケンブリッジ(Cambridge)、2001;およびJ.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1999、これらにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
下記の一般式のビスイミダゾール類もまたフォトクロミック物質として好適である(左側の形態が無色/淡色になりやすく、右側の形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、その2、4、5、2’、4’、および5’位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。
フォトクロミックなビスイミダゾール類の具体例を挙げれば、2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサフェニルビスイミダゾール、2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサ−p−トリルビスイミダゾール、2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサ−p−クロロフェニルビスイミダゾール、2,2’−ジ−p−クロロフェニル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ジ−p−アニシル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、などがある。ビスイミダゾール化合物は知られていて、たとえば下記のような文献の記載に従って調製することができる。Y.サカイノ(Sakaino)、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ,パーキン・トランザクション・I(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I)、p.1063(1983)、T.ハヤシ(Hayashi)ら、ブリテン・オブ・ザ・ケミカルソサイエティ・オブ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Japan)、第33巻、p.565(1960)、T.ハヤシ(Hayashi)ら、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J.Chem.Phys.)、第32巻、p.1568(1960)、T.ハヤシ(Hayashi)ら、ブリテン・オブ・ザ・ケミカルソサイエティ・オブ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Japan)、第38巻、p.2202(1965)、およびD.M.ホワイト(White)ら、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第29巻、p.1926(1964)、これらそれぞれにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
スピロジヒドロインドリジン類および関連の系(テトラヒドロ−およびヘキサヒドロ−インドリジン)もまた、好適なフォトクロミック物質である。スピロジヒドロインドリジンの一般式を下に示す(閉環している形態が無色/淡色になりやすく、開環している形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。
フォトクロミックなスピロジヒドロインドリジン類の具体例を挙げれば、たとえば、4,5−ジカルボメトキシ−3H−ピラゾール−(3−スピロ−9)−フルオレン、1’H−2’,3’−6−トリカルボメトキシ−スピロ(フルオライン(fluorine)−9−1’−ピロロ[1,2−b]−ピリダジン]、1’H−2’,3’−ジシアノ−7−メトキシ−カルボニル−スピロ[フルオライン−9,1’−ピロロ−[1,2−b]ピリジンなどがある。
スピロジヒドロインドリジン類の合成については、たとえば次の文献に詳細な記述がある。J.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1999、そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
次式のフォトクロミックなキノン類もある(左側の形態が無色/淡色になりやすく、右側の形態が着色しやすい)。
Figure 2005316483
ここで、その1、2、3、4、5、6および7位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基およびR部分の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。実施態様においては、R部分が水素である。
フォトクロミックなキノン類の具体例としては、たとえば、1−フェノキシ−2,4−ジオキシアントラキノン、6−フェノキシ−5,12−ナフタセンキノン、6−フェノキシ−5,12−ペンタセンキノン、1,3−ジクロロ−6−フェノキシ−7,12−フタロイルピレン、などが挙げられる。
フォトクロミックなキノン類の合成については、たとえば次の文献に詳細な記述がある。J.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1999、そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
下記の式のペリミジンスピロシクロヘキサジエノン類は、フォトクロミック物質として好適である(左側の形態が無色/淡色になりやすく、右側の形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、その1、2、3、4、5、6、7および8位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基およびR部分の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。実施態様においては、R部分が水素である。
フォトクロミックなペリミジンスピロシクロヘキサジエノン類の具体例を挙げれば、たとえば、2,3−ジヒドロ−2−スピロ−4’−(2’,6’−ジ−tert−ブチルシクロヘキサジエン−2’,5’−オン)−ペリミジン、1−メチル−2,3−ジヒドロ−2−スピロ−4’−(2’,6’−ジ−tert−ブチルシクロヘキサジエン−2’,5’−オン)−ペリミジン、2,3−ジヒドロ−2−スピロ−4’−[(4H)−2’−tert−ブチルナフタレン−1’−オン]ペリミジン、5,7,9−トリメチル−2,3−ジヒドロ−2−スピロ−4’−(2’,6’−ジ−tert−ブチルシクロヘキサジエン−2’,5’−オン)−ピリド−[4,3,2,d,e]キナゾリン、などがある。
フォトクロミックなペリミジンスピロシクロヘキサジエノン類の合成については、たとえば次の文献に詳細な記述がある。J.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1999、そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
次式のフォトクロミックなビオロゲン類もある(左側の形態が無色/淡色になりやすく、右側の形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、その1、2、3、4、1’、2’、3’および4’位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基およびR部分の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。実施態様においては、R部分が水素である。
Xの部分は、対イオンとして機能して、ビピリジニウムカチオンのプラスの電荷を打ち消すために必要な、各種のアニオンとすることができる。このXの部分は、たとえば、フルオリド、クロリド、ブロミドおよびヨードイオンのようなハロゲンアニオンや、トシレート、トリフレートおよびその他のアニオンとすることができる。
フォトクロミックなビオロゲン類の具体例としては、たとえば、N,N’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、N,N’−ジエチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド、N−フェニル,N’−メチル−4,4,−ビピリジニウムジクロリドなどが挙げられる。
フォトクロミックなビオロゲン類の合成については、たとえば次の文献に詳細な記述がある。J.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1999、そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
次式で表されるフルギド類およびフルギミド類も、フォトクロミック物質として適している(開環している形態が無色/淡色になりやす、閉環している形態が異なったカラーとなりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、その1、2、3、4、5および6位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基およびR部分の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。実施態様においては、R部分が水素である。
フルギド類の具体例としては、1−(p−メトキシフェニル)−エチリデン(イソプロピリデン)無水コハク酸、2−[1−(2,5−ジメチル−3−フリル)−2−メチルプロピリデン]−3−イソプロピリデン無水コハク酸、(1,2−ジメチル−4−イソプロピル−5−フェニル)−3−ピリルエチリデン(イソプロピリデン)無水コハク酸、などが挙げられる。
フォトクロミックなフルギド類の合成については、たとえば次の文献に詳細な記述がある。J.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1999、そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
次式で表されるジアリールエテン類および関連化合物も、フォトクロミック物質として適している(開環している形態が無色/淡色になりやすく、閉環している形態が異なったカラーとなりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、その1、2、3、4、1’、2’、3’および4’位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。
ジアリールエチレン類の具体例を挙げれば、1,2−ビス−(2,4−ジメチルチオフェン−3−イル)ペルフルオロシクロペンテン、1,2−ビス−(3,5−ジメチルチオフェン−3−イル)ペルフルオロシクロペンテン、1,2−ビス−(2,4−ジフェニルチオフェン−3−イル)ペルフルオロシクロペンテン、などがある。
フォトクロミックなアリールエテン類の合成は公知であって、たとえば次の文献に詳細な記述がある。J.C.クレイノ(Crano)およびR.J.ジュリエルメティ(Guglielmetti)、『オーガニック・フォトクロミック・アンド・サーモクロミック・コンパウンズ(Organic Photochromic and Thermochromic Compounds)』第1巻、「メイン・フォトクロミック・ファミリーズ(Main Photochromic Families)」(トピックス・イン・アプライド・ケミストリー(Topics in Applied Chemistry))、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1999、そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
下記の式のトリアリールメタン類は、フォトクロミック物質として好適である(左側の形態が無色/淡色になりやすく、右側の形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、1、2、3、4、5、6、7、1’、2’、3’、4’、5’、および6’位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基およびR部分の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。実施態様においては、R部分が水素である。
トリアリールメタン類の具体例には、下記の化合物X、XIおよびXIIが挙げられる。
Figure 2005316483
トリアリールメタン類の合成については、たとえば、H.タロ(Taro)、M.コド(Kodo)、ブリテン・オブ・ザ・ケミカルソサイエティ・オブ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Jpn)、第38巻、第12号、p.2202(1965)に記載がある。そこにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
下記の式のアニル類および関連化合物は、フォトクロミック物質として好適である(左側の形態が無色/淡色になりやすく、右側の形態が異なったカラーになりやすい)。
Figure 2005316483
ここで、その1、2、3、4、5、6、7、8および9位には、場合によっては、1種、2種、3種またはそれ以上の置換基が存在していてもよい。置換基の例を挙げれば、(それらに限定される訳ではないが)、好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルで、環状アルキル基たとえばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを含み、また、不飽和アルキル基たとえばビニル(HC=CH−)、アリル(HC=CH−CH−)、プロピニル(HC≡C−CH−)などを含む、アルキル;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリール;好ましくは約7個〜約50個の炭素原子、より好ましくは約7個〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル;シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約50個の炭素原子、より好ましくは1個〜約30個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。アルキル、アリール、およびアリールアルキル基はさらに、以下のような基で置換されていてもよく、たとえば、シリル基;ニトロ基;シアノ基;ハライド原子、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨード、およびアスタチド;1級、2級、および3級アミンを含むアミン基;ヒドロキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルコキシ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールオキシ基;好ましくは1個〜約30個の炭素原子、より好ましくは1個〜約20個の炭素原子を有するアルキルチオ基;好ましくは約6個〜約30個の炭素原子、より好ましくは約6個〜約20個の炭素原子を有するアリールチオ基;アルデヒド基;ケトン基;エステル基;アミド基;カルボン酸基;スルホン酸基;などである。さらに、2種またはそれ以上の置換基が互いに結合して環を形成することもできる。
アニル類および関連化合物の具体例としては、XIII、XIV、XVなどの分子が挙げられる。
Figure 2005316483
フォトクロミックなアニル類は公知であって、その合成法については、たとえば、下記の文献に記載がある。K.コウナツキ(Kownacki)、L.カツマレク(Kaczmarek)、A.グラボウスカ(Grabowska)、ケミカル・フィジックス・レターズ(Chem.Phys.Lett.)第210巻、p.373(1993);M.S.M.ラワット(Rawat)、S.マル(Mal)、G.パント(Pant)、カレント・サイエンス(Current Science)、第58巻、p.796(1989);P.F.バルバラ(Barbara)、P.M.レンツェピス(Rentzepis)、L.E.ブラス(Brus)、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)、第102巻、p.2786(1980)、これらにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
場合によってはバインダを存在させる。バインダの役目は、対象としている基材の上にフォトクロミック物質を膜または層として保持するための懸濁媒体の働きである。バインダとして望ましい性質は、機械的な可撓性、強靱さ、および光学的な透明性の内のいずれかまたはその全てである。実施態様においては、バインダは、高度に結晶性であったり光散乱性であったりしてはならず、それによって、画像形成用光線がフォトクロミック物質に画像形成することが可能となり、そしてその一時的画像が充分なコントラストを持つことになる。さらに実施態様においては、バインダは、基材から除去されることのないような固形で、非揮発性の物質である。
たとえばポリマ物質のような、適切なバインダならば何を使用してもよい。バインダとして使用可能なポリマ物質の例を挙げれば、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリアリールスルホン類、ポリアリールエーテル類、ポリオレフィン類、ポリアクリレート類、ポリビニル誘導体、セルロース誘導体、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリエステル類、シリコーン樹脂、およびエポキシ樹脂などがある。たとえばポリスチレン−アクリロニトリル、ポリエチレン−アクリレート、塩化ビニリデン−塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニリデン、スチレン−アルキド樹脂などのコポリマ物質もまた、好適なバインダ物質の例である。そのコポリマは、ブロックコポリマ、ランダムコポリマ、交互コポリマなどであってよい。
バインダとして使用できるポリカーボネート類の例を挙げれば、ポリ(ビスフェノール−A−カーボネート)、およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンとジエチレングリコールビスクロロホーメートとを縮合させることにより得られるポリエーテルカーボネート類などがある。
バインダとして使用できるポリスチレン類の例を挙げれば、ポリスチレン、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(メチルスチレン)などがある。
バインダとして使用できるポリオレフィン類の例を挙げれば、ポリクロロプレン、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリイソプレンなどや、エチレンのコポリマ、たとえば、ポリ(エチレン/アクリル酸)、ポリ(エチレン/アクリル酸エチル)、ポリ(エチレン/メタクリル酸)、ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)、ポリ(エチレン/無水マレイン酸)などがある。
バインダとして使用できるポリアクリレート類の例を挙げれば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸シクロヘキシル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸sec−ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸tert−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸n−デシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸ヘキサデシル)、ポリ(メタクリル酸イソボルニル)、ポリ(メタクリル酸イソプロピル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸イソオクチル)、ポリ(メタクリル酸ネオペンチル)、ポリ(メタクリル酸オクタデシル)、ポリ(メタクリル酸オクチル)、ポリ(メタクリル酸n−プロピル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(メタクリル酸n−トリデシル)、さらには対応するアクリル酸エステルポリマなどがある。その他の例を挙げれば、ポリ(アクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(アクリル酸ベンジル)、ポリ(メタクリル酸ベンジル)、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、ポリ(トリエチレングリコールジメタクリレート)などがある。これらの物質で市販されているものとしては、アクリル酸およびメタクリル酸エステルポリマ、たとえばいずれもローム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm and Haas Company)から供給されるアクリロイド(ACRYLOID,商標)A10およびアクリロイド(ACRYLOID,商標)B72のアクリル酸およびアルファ−アクリル酸のエステル誘導体重合物や、デュポン・カンパニー(Du Pont Company)から供給される、ルサイト(LUCITE,商標)44、ルサイト(LUCITE,商標)45およびルサイト(LUCITE,商標)46のメタクリル酸ブチル重合物などが挙げられる。
バインダとして使用できるポリビニル誘導体の例を挙げれば、ポリビニルアルコール、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルブチラール)、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ステアリン酸ビニル)などがある。市販されているポリビニル誘導体としては、塩素化ゴムの、たとえばハーキュレス・パウダー・カンパニー(Hercules Powder Company)から供給されるパーロン(PARLON,商標)、ポリ塩化ビニルとポリ酢酸ビニルとのコポリマの、たとえばベークライト・コーポレーション(Bakelite Corporation)で製造されているビニライト(Vinylite)VYHHおよびVMCH、アルキド樹脂の、たとえばゼネラル・エレクトリック・カンパニー(General Electric Co.)で製造されているグリプタル(GLYPTAL,商標)2469などが挙げられる。
バインダとして使用できるセルロース誘導体の例を挙げれば、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルローストリアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなどがある。
バインダとして使用できるポリウレタン類の例を挙げれば、脂肪族および芳香族ポリウレタン類の、たとえばネオレジンズ・インコーポレーテッド(NeoResins Inc.)で製造されている、ネオレッツ(NEOREZ,商標)966、ネオレッツ(NEOREZ,商標)R−9320など、ポリウレタン類のポリエーテル類およびポリカーボネート類とのコポリマ、たとえば米国マサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington,MA,USA)のサーマディックス(Thermadics)で製造されているテコセン(THECOTHANE,登録商標)、カルボセン(CARBOTHANE,登録商標)、テコフィリック(TECHPHYLIC,登録商標)、バイエル(Bayer)で製造されている、ベイジュール(BAYDUR,登録商標)およびベイフィット(BAYFIT,登録商標)、ベイフレックス(BAYFLEX,登録商標)およびベイテック(BAYTEC,登録商標)ポリウレタンポリマなどがある。
バインダとして使用できるポリアミド類の例を挙げれば、ナイロン6、ナイロン66、タクテル(TACTEL,商標)(これはデュポン(Du Pont)の登録商標である)、変性ポリアミド類のたとえば、三井化学(Mitsui Chemical)からのアーレン(ARLEN,商標)や、トーロン(TORLON,登録商標)がある。
バインダとして使用できるポリエステル類の例を挙げれば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)などがある。
バインダとして使用できるシリコーン樹脂の例を挙げれば、ポリジメチルシロキサンの、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corp)で製造されているDC−801、DC−804、およびDC−996、ならびにGE・シリコーンズ(GE Silicones)で製造されているSR−82などがある。シリコーン樹脂の別な例としては、シリコーンポリカーボネート類のようなコポリマもあり、このものは塩化メチレン溶液としてから膜の形にキャストすることが可能である。そのようなコポリマは、米国特許第3,994,988号明細書に開示されている。シリコーン樹脂のまた別な例としては、シロキサン変性アクリレートおよびメタクリレートコポリマが挙げられるが、これらについては、米国特許第3,878,263号明細書および米国特許第3,663,650号明細書に記載がある。メタクリルシラン類の、たとえばコートシル(COATSIL,登録商標)1757シラン、シルケスト(SILQUEST,登録商標)A−174NT、シルケスト(SILQUEST,登録商標)A−178、およびシルケスト(SILQUEST,登録商標)Y−9936、およびビニルシラン材料のコートシル(COATSIL,登録商標)1706、シルケスト(SILQUEST,登録商標)A−171、およびシルケスト(SILQUEST,登録商標)A−151などがあるが、これらは全てGE・シリコーンズ(GE Silicones)の製品である。さらに、溶媒系のシリコーンコーティング、たとえばUVHC3000、UVHC8558、およびUVHC8559なども挙げられるが、これらもGE・シリコーンズ(GE Silicones)の製品である。アミノ官能性シリコーン類を他のポリマと組み合わせて、ポリウレタン類やポリイミド類とすることもできる。アミノ官能性シリコーン類の例を挙げれば、DMS−A11、DMS−A12、DMS−A15、DMS−A21、およびDMS−A32があり、これらはゲレスト・インコーポレーテッド(Gelest Inc.)の製品である。ゲレスト・インコーポレーテッド(Gelest Inc.)からの情報によれば、ビニル末端ポリジメチルシロキサン類をRTV添加硬化させることによって、シリコーン膜を調製することもできる。以下の配合を使用することができる。
DMS−V31(1000cStのビニル末端ポリジメチルシロキサン):100部
SIS6962.0(ヘキサメチルジシラザン処理シリカ):50部
MHS−301(メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマ):3〜4部、および、
SIP6830.0(白金錯体溶液):150〜200ppm
シリコーン系のコーティングバインダの別な例としては、シリコーン材料のシルガード(SYLGARD,登録商標)系列から誘導される、硬化エラストマが挙げられる。そのような材料の例を挙げれば、シルガード(SYLGARD,登録商標)182、シルガード(SYLGARD,登録商標)184およびシルガード(SYLGARD,登録商標)186などがあり、これらはダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能である。
バインダとして使用できるエポキシ樹脂の例を挙げれば、脂環式エポキシ樹脂および変性エポキシ樹脂で、たとえばラドキュアー・インコーポレーテッド(Radcure Inc.)で製造されているウバキュアー(Uvacure)1500シリーズや、ビスフェノール−A系のエポキシ樹脂で、たとえばダウ・コーニング・カンパニー(Dow Corning Company)から入手可能な、D.E.R.661、D.E.R.671およびD.E.R.692Hなどがある。その他の例としては、芳香族エポキシアクリレート類、たとえば、ラロマー(LAROMER,商標)EA81、ラロマー(LAROMER,商標)LR8713およびラロマー(LAROMER,商標)LR9019や、変性芳香族エポキシアクリレート類、たとえばラロマー(LAROMER,商標)LR9023(いずれもBASFから市販されている)などがある。
このバインダは、1種、2種、3種またはそれ以上の異なったバインダを含んでいてもよい。2種以上のバインダを用いる場合には、それぞれのバインダが等量ずつであってもよいし、あるいはバインダの全重量を基準にして、たとえば、約5%〜90%、特に約30%〜約50%の範囲で、それぞれが異なった量であってもよい。
場合によっては、光吸収性物質を存在させてもよく、それは、1種、2種またはそれ以上の光吸収性物質を含んでいてもよい。光吸収性物質の目的を理解するために、まず考えておくべきことは、フォトクロミック物質は、異なった形態の間で可逆的に変換することが可能であって、ここで1つの形態が、予め定められた波長範囲と重なる吸収スペクトルを有する、ということである。その光吸収性物質は、吸収極大を有する光吸収帯を示し、その光吸収帯が、そのフォトクロミック物質の1つの形態の吸収スペクトルと重なる。「吸収スペクトル(absorption spectrum)」という用語は、吸光度が最低量よりは大きい、ある波長範囲における光の吸収を示す。吸収スペクトルの中に、少なくとも1つの「光吸収帯」が存在する。「光吸収帯(light absorption band)」という用語は、吸収が比較的に高いレベルにある波長範囲を指すが、典型的には、吸収がその「光吸収帯」において最大量となるような吸収極大を含む。光吸収性物質は、そのフォトクロミック物質の1つの形態の吸収スペクトルと比較した、その吸収スペクトルを基準にして選択する。光学的な光吸収性物質と比較される、フォトクロミック物質の1つの形態は、たとえばカラーまたは熱力学的安定性を基準にした、そのフォトクロミック物質のいずれかの形態であってよい。実施態様においては、光吸収性物質の吸収スペクトルを、そのフォトクロミック物質の、より熱力学的に安定な形態の吸収スペクトルと比較しており、ここで、例としてスピロピランとメロシアニンのような可逆的に相互変換可能な形態を挙げれば、スピロピランの方がより熱力学的に安定な形態であると考えられる。「熱力学的に安定な形態(thermodynamically stable form)」という用語は、外部刺激が無い場合に、より安定な化合物のことを指している。たとえば、スピロピランとそれに対応するメロシアニンとの混合物を、その2つの形態の間でどのような比率にしておいても、その混合物をたとえば光のような刺激に暴露することなく、充分な時間を与えてやれば、スピロピラン100%となるであろう。スピロピラン(閉環している形態)の方が、熱力学的により安定な形態なのである。
図1により、スピロピラン(フォトクロミック物質の1つの形態)、黄色染料(第1の光吸収性物質)、およびアゾベンゼン(第2の光吸収性物質)についての、「吸収スペクトル」、「光吸収帯」および「吸収極大」の意味を説明する。スピロピランは、250nm〜約400nmの範囲に「吸収スペクトル」を示すが、約400nm〜500nmにあるスピロピランの微少な吸収はすべて、「吸収スペクトル」の一部とはみなさない。スピロピランの吸収スペクトルの中には、2つの重なり合った光吸収帯があり、第1の光吸収帯が250nm〜約310nmの範囲、第2の光吸収帯が約310nm〜約400nmの範囲にある。スピロピランの第1の光吸収帯はその吸収極大を約270nmに有しており、スピロピランの第2の光吸収帯はその吸収極大を約340nmに有している。画像形成用光線が365nmの予め定められた波長範囲を有しているような実施態様においては、図1に見られるように、スピロピランは、その予め定められた波長範囲と重なる吸収スペクトルを有している。実施態様においては、フォトクロミック物質の1つの形態の光吸収帯が、図1に示したような予め定められた波長範囲と重なり合い、そこでは、スピロピランの第2の光吸収帯が、365nmの予め定められた波長範囲と重なっている。
黄色染料は2つの重なりがない光吸収帯を有していて、第1の光吸収帯は250nm〜約295nmの範囲、第2の光吸収帯は約370nm〜約480nmの範囲にある。黄色染料の第1の光吸収帯はその吸収極大を約270nmに有しており、黄色染料の第2の光吸収帯はその吸収極大を約430nmに有している。図1に示した黄色染料は、メンチルアントラニレートドデシルピリドンであって、その構造については本明細書に記載がある。
アゾベンゼンは約250nm〜約360nmの範囲の光吸収帯を有していて、その吸収極大は約320nmにある。
実施態様においては、この光吸収性物質の吸収極大は、予め定められた波長範囲との重なりがないようになっている。このことが図1に示してあって、黄色染料の2つの光吸収帯とそれらの吸収極大、およびアゾベンゼンの光吸収帯とその吸収極大は、365nmの予め定められた波長範囲と重なっていない。
ここで図1を作成するための手順を説明する。黄色染料、スピロピランおよびアゾベンゼンをそれぞれ含む溶液から、スピンコーティング法を用いて3種の膜サンプルを調製したが、それらの化合物はそれぞれテトラヒドロフラン中ポリメチルメタクリレートの2.5mL溶液に溶解させた。それぞれのサンプルには、上記の黄色染料、スピロピランおよびアゾベンゼンの内の1種を20mg〜50mgの量で含んでいた。石英基板の上の膜のUV−VISスペクトルを、UV−VIS分光光度計を用いて記録した。そのようにして記録した吸収スペクトルを重ね合わせて、図1に示している。吸光度の数値は、物質の濃度によって変化しうることは理解されたい。しかし一般的には、「吸収スペクトル」、「光吸収帯」、および「吸収極大」に対応する波長領域は、物質の濃度とは無関係である。
実施態様においては、光吸収性物質の光吸収帯が、フォトクロミック物質の1つの形態の吸収極大と重なっている。このことを図1で示せば、アゾベンゼンの光吸収帯が、スピロピランの第2の光吸収帯の吸収極大(約340nm)に重なっている。
この光吸収性物質は、各種好適な吸収スペクトル、(1つまたは複数の)光吸収帯、および(1つまたは複数の)吸収極大を有していてよい。ここで、以下の例示的ないくつかの実施態様を、吸光度と光の波長との関係を示すグラフの文脈において示す。(1)その光吸収性物質が吸収極大を有する光吸収帯を有していて、そこでその光吸収帯全体またはちょうど吸収極大が、予め定められた波長範囲より下(短波長側)にある。(2)その光吸収性物質が吸収極大を有する光吸収帯を有していて、そこでその光吸収帯全体またはちょうど吸収極大が、予め定められた波長範囲より上(長波長側)にある。そして(3)その光吸収性物質が少なくとも2つの光吸収帯を有していて、それぞれが吸収極大を持ち、そこで第1の光吸収帯全体または第1の光吸収帯のちょうど吸収極大が、予め定められた波長範囲より下(短波長側)にあり、そして第2の光吸収帯全体または第2の光吸収帯のちょうど吸収極大が、予め定められた波長範囲より上(長波長側)にある。
この第3の実施態様は、図1からもわかるように、画像形成用光線の予め定められた波長範囲、たとえば約365nmを中心とした「光帯域通過ウィンドウ(light band−pass window)」を形成することが可能で、そこでその光吸収性物質は予め定められた波長範囲の上、下両方の波長でより強い吸光度を示し、画像形成用光線の予め定められた波長範囲では、より弱いまたは最小限の吸光度を示す。
光吸収性物質が存在しない場合には、屋内の通常の明るさである程度の時間が経過すると、実施態様においては、非露光領域(すなわち、画像形成用光線に暴露されていない領域)におけるフォトクロミック物質を、別な形態への相互変換を起こさせる可能性があり、そうなると、非露光領域のカラーが露光領域のカラーに合ってきて、すなわち類似してきて、そのために、カラーコントラストが減少することによる一時的画像の退色または消去が起きる可能性がある。画像再形成可能な媒体の中に光吸収性物質を加えることによって、この問題を低減または最小化できる。
各種好適な光吸収性物質を使用することができる。光吸収性物質として有用な有機分子およびポリマ材料について以下に述べるが、それらの内のいくつかは、予め定められた波長範囲より下で高い吸光度を有している。
光吸収性物質として有用な有機化合物の例を挙げれば、2−ヒドロキシ−フェノン類、たとえば、2,4−ジヒドロキシフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、アゾベンゼン誘導体たとえばアゾベンゼン、4−エチルアゾベンゼン、2−クロロ−アゾベンゼン、4−フェニルアゾベンゼン、以下のものを含む芳香族共役系、
(a)たとえば約6個の炭素原子〜約40個の炭素原子を有する、少なくとも1個の芳香族環、たとえば1個、2個またはそれ以上の芳香族環、たとえば−C−、および−C−C
(b)たとえば約8個の炭素原子〜約50個の炭素原子を有する、1個または複数のエテニルまたはエチニル結合を介して共役している、少なくとも1個の芳香族環、たとえば1個、2個またはそれ以上の芳香族環、たとえば−C−CH=CH−C−、および−C−C≡C−C−、または
(c)たとえば約10個〜約50個の炭素原子を有する縮合芳香族環、たとえば1,4−C10および1,5−C10
などがある。
場合によっては、1個または複数の芳香族環が置換基を有する。そのような置換基は、たとえばN、O、Sのような原子であってもよいが、ここでその原子の原子価は、Hまたは炭化水素基、アルデヒド(−C(O)−H)、ケトン(−C(O)−R)、エステル(−COOR)、カルボン酸(−COOH)、シアノ(CN)、ニトロ(NO)、ニトロソ(N=O)、硫黄含有基(たとえば、−SO−CHおよび−SO−CF)、フッ素原子、アルケン(−CH=CRまたは−CH=CHR)などと結合することによって満たされているが、ここでRはそれぞれ独立して、たとえば1〜約20個の炭素原子、特に1〜約12個の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、たとえばペンチル、デシルおよびドデシル;たとえば3〜約40個の炭素原子、特に3〜約30個の炭素原子を有する分岐状のアルキル基、たとえばイソプロピル、イソペンチルおよび2−プロピル−ペンチル;たとえば環状の3〜約30個の炭素原子、特に4〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、たとえばシクロペンチルおよびシクロヘキシル;たとえば7〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル基またはアルキルアリール基、たとえばp−メチル−ベンジル、3−(p−エチル−フェニル)−プロピルおよび5−(1−ナフチル)−ペンチルなどであればよい。
有機芳香族共役化合物の具体例を挙げれば、それらのいくつかは予め定められた波長範囲より下で吸収を有するが、たとえばニトロ−ベンゼン、4−メトキシ−ベンゾニトリル、アントラセン、アントラキノン、1−クロロ−アントラセンなどがある。
それらの光吸収性物質のいくつかは、たとえば、メイゾ(Mayzo)(BLS(登録商標)531、BLS(登録商標)5411、BLS(登録商標)1710)およびチバ(Ciba)(チヌブ(TINUV,登録商標)234、チヌブ(TINUV,登録商標)P、チヌブ(TINUV,登録商標)1577)から商品として入手可能であり、典型的には、ポリマコーティングの光化学的劣化を防止するためのUV保護層として使用されている。
光吸収性物質として有用な黄色の着色剤、具体的には黄色染料は、実施態様においては、予め定められた波長範囲より上で強い吸収を有し、それと共に、予め定められた波長範囲においては弱い、あるいは最小の吸収を有している。その黄色着色剤は、場合によっては、予め定められた波長範囲より下に光吸収帯を有していてもよく、この実施態様においては、予め定められた波長範囲より下で吸光度を有する第2の光吸収性物質の量を減らしたり、あるいは完全に無くしたりすることができる。米国特許第6,673,139号明細書、米国特許第6,663,703号明細書、米国特許第6,646,101号明細書、および米国特許第6,590,082号明細書に記載されている、アゾピリドン黄色染料が適している。これらにおける開示はすべて、参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。それらのアゾピリドン黄色染料は、実施態様においては、370nmより下では極めて低い吸光度を有するが、その波長より上では高い吸光度を有していてもよい。これらのアゾピリドン黄色染料には、モノ−ピリドンとモノ−アントラニレート、ジピリドンとビスアントラニレート、またはジアントラニレートとビス−ピリドンのいずれかが含まれていてもよい。いくつかの例を下に挙げる。
Figure 2005316483
実施態様においては、ポリマ系の光吸収性物質を使用するが、それは、ポリマ主鎖に(本明細書において光吸収性物質として好適であるとした化合物から誘導された)有機部分が結合しているものを含む。その有機部分(たとえば、アゾベンゼン部分およびアゾピリドン部分)は、ポリマのポリマ骨格の一部であってもよいし、あるいは、その有機部分がポリマ骨格に側基として結合しているものであってもよい。ポリマ系光吸収性物質の好適な例としては、置換ポリスチレン類、置換アクリレート類、置換メタクリレート類、置換ポリウレタン類などが挙げられるが、これら全てにおいて、光吸収性有機分子として説明したような有機部分が、結合されているか、または挿入されている。
この光吸収性物質は、1種、2種、3種またそれ以上の異なった光吸収性物質を含んでいてもよい。2種以上の光吸収性物質を用いる場合には、それぞれの光吸収性物質が等量ずつであってもよいし、あるいは光吸収性物質の全重量を基準にして、たとえば、約5%〜90%、特に約30%〜約50%の範囲で、それぞれが異なった量であってもよい。光吸収性物質は、フォトクロミック物質の上に独立した層の形態で存在させてもよい。また別な実施態様においては、光吸収性物質とフォトクロミック物質とが基材の上で単一の層を形成している。さらなる実施態様においては、光吸収性物質とフォトクロミック物質の両方を、多孔質基材たとえば紙の中にしみこませたり、埋め込んでおいたりしてもよい。光吸収性物質が独立した層の中に存在する場合には、(本明細書において説明したような)バインダは、場合によっては、光吸収性物質と共にその独立した層の中で使用し、その場合、バインダと光吸収性物質とが、等量ずつであってもよいし、あるいはバインダと光吸収性物質の全重量を基準にして、たとえば、約5%〜90%、特に約30%〜約50%の範囲で、それぞれが異なった量であってもよい。
溶媒を使用して、フォトクロミック物質、任意成分のバインダ、および任意成分の光吸収性物質を溶解させて、たとえば基材の上に均質な膜コーティングを形成させるような加工を可能とする。実施態様においては、この溶媒は充分に揮発性が高く、乾燥の際に簡単に除去できるものとする。水溶性バインダたとえばポリビニルアルコールや、水溶性のフォトクロミックおよび光吸収性物質の場合には、溶媒として水を使用することができる。使用可能なその他の溶媒としては、ハロゲン化および非ハロゲン化溶媒、たとえばテトラヒドロフラン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン類、アセトン、メタノール、エタノール、キシレン、ベンゼン、酢酸エチルなどが挙げられる。この溶媒は、1種、2種、3種またはそれ以上の異なった溶媒を含んでいてもよい。2種以上の溶媒を用いる場合には、それぞれの溶媒が等量ずつであってもよいし、あるいは溶媒の全重量を基準にして、たとえば、約5%〜90%、特に約30%〜約50%の範囲で、それぞれが異なった量であってもよい。
たとえば、適切な溶媒に溶解させたポリマ性バインダを含む溶液に、フォトクロミック物質を溶解させて溶液を調製する。光吸収性物質を使用する場合には、このものを、フォトクロミック物質と同時に溶解させてもよい。ポリマ性バインダを含む溶液を調製するには、場合によっては、加熱することによってポリマ性バインダを完全に溶解させることが必要なこともある。いくつかの場合、特にダイマ性またはポリマ性の黄色着色剤の場合には、黄色着色剤を完全に溶解させるために加熱することが必要となることもある。
溶液の実施例としては、たとえば次のような成分を例示的な割合で含む(全てのパーセントは、溶液の重量を基準としたものである)。
フォトクロミック物質:約0.01%〜約50%、特に約1%〜約10%、および
溶媒:約50%〜約90%、特に約20%〜約50%。
溶液のさらなる実施例としては、たとえば次のような成分を例示的な割合で含む(全てのパーセントは、溶液の重量を基準としたものである)。
フォトクロミック物質:約0.01%〜約50%、特に約1%〜約10%
バインダ:約10%〜約30%、特に約20%〜約30%、および
溶媒:約50%〜約90%、特に約20%〜約50%。
溶液のもう1つの実施例としては、たとえば次のような成分を例示的な割合で含む(全てのパーセントは、溶液の重量を基準としたものである)。
フォトクロミック物質:約0.01%〜約50%、特に約1%〜約10%
バインダ:約10%〜約30%、特に約20%〜約30%
光吸収性物質:約1%〜約30%、特に約10%〜約30%、および
溶媒:約50%〜約90%、特に約20%〜約50%。
実施態様においては、基材は可撓性のある材料で作られる。その基材は透明であっても、不透明であってもよい。基材は、木材、プラスチック、紙、布、織物製品、ポリマフィルム、無機基材たとえば金属、などの、各種適切な材料からできていればよい。プラスチックとしては、たとえば、プラスチックフィルム、たとえばポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなどであってよい。紙としては、たとえば、普通紙たとえばゼロックス(XEROX,登録商標)4024用紙、罫入りノート用紙、ボンド紙、シリカコート紙たとえばシャープ・カンパニー(Sharp Company)のシリカコート紙、ジュウジョウ(Jujo)紙、などでよい。基材は単一層であっても、多層であってもよいが、多層の場合には、それぞれの層が同じ材料であっても、異なった材料であってもよい。基材の厚みは、たとえば約0.3mm〜約5mmの範囲とする。
実施態様においては、基材(および画像再形成可能な媒体)は、たとえば、2面(たとえば、紙のシート)、3面、4面またはそれ以上の面(たとえば、立方体)など、いくつの面を持っていてもよい。基材/媒体の面の数を決める場合には、その媒体の使用目的を考えて決めればよい。たとえば、基材/媒体が(ばらばらの紙を保持したりするための)フォルダの形状を有しているが、画面全体にわたって広がっている一時的画像を見ようとするときにそのフォルダをかなり平らな面の上に置くような場合には、その基材/媒体は、2つの面(表面と裏面)を有していると考えることができる。実施態様においては、面は曲面になっていてもよい。媒体の画像再形成可能な面の数は、その基材の有している面の数と同じか、それよりも少ないと考えるべきで、たとえば、その基材が紙のシートであって、フォトクロミック物質がその紙の片面の上だけに存在しているような場合、その基材は2つの面を持ってはいるが、その画像再形成可能な媒体はただ1つの画像再形成可能な面を有していることとなる。
実施態様においては、その基材は、たとえば1面または2面または全部の面など面の数には関係なく、淡色、特に白色である。
この基材/画像再形成可能な媒体は、剛直であっても可撓性があってもよい。事実、基材/画像再形成可能な媒体は、画像再形成可能な媒体としての使用目的に応じて、適度な剛直性または可撓性を有していればよい。実施態様においては、この基材/画像再形成可能な媒体は、巻き上げ/折り曲げ、巻き戻し/折り戻しのサイクルを何度も繰り返すことができる。この基材/画像再形成可能な媒体の大きさは適当でよく、たとえば、名詞サイズ、紙シートサイズ(たとえば、A4やレターサイズ)、あるいはそれより大きなものであってもよい。この基材/画像再形成可能な媒体は、形状も適当でよく、たとえば平面状(たとえば、シート)や、非平面状(たとえば、立方体状、巻物状、曲面)などであってもよい。実施態様においては、たとえば、小さなディスプレイ画面を多数組み合わせて巨大なディスプレイ画面を構築するのと同様にして、複数の画像再形成可能な媒体を組み合わせてより大きな画像再形成可能な表面を形成させてもよい。
この画像再形成可能な媒体には、場合によっては、環境条件への暴露が原因で画像再形成可能な媒体の成分の化学的劣化、特にフォトクロミック物質と酸素が関わるような化学反応を抑制するための、保護用の材料を組み合わせてもよい。実施態様においては、そのような保護材料は、たとえば取り扱いやこすれなどが原因の、画像再形成可能な媒体の物理的な劣化も抑制することができる。そのような保護材料は透明な樹脂とするのがよく、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、もしくはアクリル樹脂、またはそれらの混合物などが挙げられる。この保護材料は、フォトクロミック物質の上に独立した層の形態で存在させてもよい。また別な実施態様においては、保護材料とフォトクロミック物質とが基材の上で単一の層を形成している。さらなる実施態様においては、保護材料とフォトクロミック物質の両方を、多孔質基材たとえば紙の中にしみこませたり、埋め込んだりしておいてもよい。
実施態様においては、保護材料と光吸収性物質の両方が画像再形成可能な媒体の中に存在する場合には、その保護材料と光吸収性物質は同一の層の中にあってもよいし、異なった層にあってもよい。異なった層の中にある場合には、保護材料を光吸収性物質の上に配してもよいし、その逆でもよい。
以下に画像再形成可能な媒体の形状を、トップ層からボトム層への順に、例示的に挙げる(それぞれの層において、説明のためだけの複数の成分を、説明のためだけの量で記す)。
<形状1(2面の画像再形成可能な媒体)>
任意のトップ層(100重量%保護材料、ただし、任意成分としての光吸収性物質を含む場合には、トップ層の重量を基準にして、約20%〜約80重量%保護材料/約80%〜約20重量%光吸収性物質)、
多孔質で2面の基材であって、フォトクロミック物質と任意成分としてのバインダをしみこませたり、埋め込んだりして、それによりフォトクロミック物質がその多孔質基材の両面に存在し、2面の画像再形成可能な媒体を形成している基材(100重量%フォトクロミック物質、ただし、任意成分としてのバインダを含む場合には、バインダおよびフォトクロミック物質の重量を基準にして、約20%〜約80重量%フォトクロミック物質/約80%〜約20重量%バインダ)、
任意のボトム層(100重量%保護材料、ただし、任意成分としての光吸収性物質を含む場合には、ボトム層の重量を基準にして、約20%〜約80重量%保護材料/約80%〜約20重量%光吸収性物質)。
<形状2(2面の画像再形成可能な媒体)>
任意のトップ層(保護材料)、
第1の感光層(light sensitive layer)(100重量%フォトクロミック物質、ただし、任意成分としてのバインダや任意成分としての光吸収性物質を含む場合には、この層の重量を基準にして、約20%〜約80重量%フォトクロミック物質/約20%〜約80重量%バインダ/約20%〜約80重量%光吸収性物質)、
基材、
第2の感光層(100重量%フォトクロミック物質、ただし、任意成分としてのバインダや任意成分としての光吸収性物質を含む場合には、この層の重量を基準にして、約20%〜約80重量%フォトクロミック物質/約20%〜約80重量%バインダ/約20%〜約80重量%光吸収性物質)、
任意のボトム層(保護材料)。
<形状3(一面の画像再形成可能な媒体)>
任意のトップ層(保護材料)、
任意の中間層(100重量%光吸収性物質、ただし、任意成分としてのバインダを含む場合には、この層の重量を基準にして、約20%〜約80重量%光吸収性物質/約80%〜約20重量%バインダ)、
感光層(100重量%フォトクロミック物質、ただし、任意成分としてのバインダを含む場合には、この層の重量を基準にして、約20%〜約80重量%フォトクロミック物質/約80%〜約20重量%バインダ)、
基材。
各種媒体の画像再形成可能な面では、その面全体が画像再形成可能であってもよいし、その面の一部だけが画像再形成可能であってもよい。
画像再形成可能な媒体に2層以上の層がある場合、それぞれの層は同じであってもよいし、あるいは他とは異なっていてもよい。たとえば、トップ層(保護材料)とボトム層(保護材料)がある場合、この2つの層は同じであってもよいし、それとは別に、そのトップ層とボトム層とが、たとえば使用している特定の保護材料、層の厚み、(それぞれの層に二種以上の異なった保護材料の混合物が含まれているような実施態様においては)各種材料の組成比など、1つまたは複数の点において異なっていてもよい。
本明細書に記載した形状においては、それぞれの層(たとえば、トップ層、中間層、感光層、およびボトム層)の乾燥時厚みは、たとえば、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートル、特に約2マイクロメートル〜約50マイクロメートルの範囲の適切な値であってよい。
各種適切な方法を用いて、画像再形成可能な媒体を形成させることができる。たとえば、本明細書に記載した成分を塗布するための典型的なコーティング方法として、真空蒸着、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ドローバーコーティング、ドクターブレードコーティング、スロットコーティング、ロールコーティングなどが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。塗布した後で溶媒を、たとえば約5分〜約20時間の範囲の時間をかけて、乾燥により除去することができる。塗布したコーティングの乾燥には、適切な乾燥法や、それら乾燥法の組合せが使用できる。好適な乾燥法の例を挙げれば、空気乾燥、空気吹きつけ(impingement)乾燥、オーブン乾燥、赤外線照射乾燥などがある。
本発明の画像再形成可能な媒体の実施態様においては、画像再形成可能な媒体は、フォトクロミック物質およびその他の成分が大きな化学的劣化を受けることなく、一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを適当な回数だけ繰り返すことができるが、その回数はたとえば約5サイクル〜約1,000サイクル、または約10サイクル〜約100サイクルである。本発明の方法の実施態様においては、一時的画像形成と一時的画像消去の最初のサイクルをさせた後で、その画像再形成可能な媒体を、場合によっては、一時的画像形成と一時的画像消去の複数の追加のサイクルをさせることができ、その範囲は、1追加サイクル〜約1,000追加サイクル、または3追加サイクル〜約100追加サイクルである。一時的画像形成と一時的画像消去の複数のサイクルを繰り返す場合、それぞれの一時的画像は、同じであっても互いに違っていてもよく、また、それぞれの一時的画像が、その画像再形成可能な媒体の上の、同じ位置にあっても、異なった位置にあってもよい。
その媒体の有する特性が、その一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、そのカラーコントラストの有る状態をカラーコントラストの無い状態へと変化させて、一時的画像を消去するもので、そのような条件としては以下の場合を全て含む。
(i)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇である場合、
(ii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で屋内の通常の明るさがある場合、および、
(iii)その屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇であるのと、周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方である場合。
実施態様においては、その媒体は、
(iv)その媒体を、画像消去装置によって発生させた高温に暴露した場合、
に、カラーコントラストの有る状態からカラーコントラストの無い状態へ変化して、その一時的画像を消去するというさらなる特性を有する。
実施態様においては、その媒体は、
(v)その媒体を、画像消去装置によって発生させた画像消去用光源(image erasure light)に暴露した場合、
に、カラーコントラストの有る状態からカラーコントラストの無い状態へ変化して、その一時的画像を消去するというまた別の特性を有する。
本発明の方法の実施態様においては、画像消去装置を使用するというのは、必須ではない。しかしながら、本発明の他の態様では、画像再形成可能な媒体そのものをさらに含み、その画像再形成可能な媒体が、実施態様においては、画像消去装置と共に使用することを可能とするような、本明細書に記載しているような特性を任意に有していてもよい。その任意の画像消去装置は、フォトクロミック物質の部分を異なったカラーを有する別の形態へと変化させる(たとえば、パープルからイエローへ、あるいは、パープルから無色へ、この文脈においては、無色もまたカラーであるとみなす)ことによって、その一時的画像を消去させるような各種適切な装置であってもよい。その画像消去装置は、たとえば、高温(周囲温度より高い各種適切な温度)を発生させることが可能な加熱装置であってもよいが、その温度範囲はたとえば約50℃〜約200℃で、たとえば、加熱炉や熱風ブロワ装置などがある。その任意の画像消去装置は、画像消去用の光を発生させる人工的な光源であってもよく、そのような光は、広帯域、狭帯域、または単一波長で波長範囲がたとえば約200nm〜約700nmであるようなものであってもよい。その画像消去装置は、有効な時間の間運転すればよいが、そのような時間はたとえば、約10秒〜約1時間、または約30秒〜約30分の範囲である。
以下において、(例示的な実施態様も含めて)一般的な操作原理を説明することによって、本発明の各種の態様についての情報を提供する。説明を単純化するために、フォトクロミック物質はただ1種のみで構成されているものとする。実施態様においては、画像再形成可能な媒体の1つの面が最初は同じカラーであって、そのフォトクロミック物質の分子がすべて同じ第1の形態である。画像形成用光線をその画像再形成可能な媒体の選択した領域に当てて、その露光領域内のフォトクロミック物質を、異なったカラーを有する、別な第2の形態へと変化させる。露光領域と非露光領域との間にカラーコントラストが存在することになり、観察者にとって一時的画像が目視可能となる。ここで注意すべきは、観察者によって目視される露光領域のカラーと非露光領域のカラーは、たとえば、基材のカラー、その領域内のフォトクロミック物質のカラー、およびその他各種任意成分のカラーを含む、複数のカラーの組合せであってもよいということである。フォトクロミック物質の第1の形態が無色である場合には、非露光領域のカラーは、主として、その基材のカラーによって決まる。その一時的画像が屋内の周囲条件の下で自発的に消去される場合、露光領域におけるそのフォトクロミック物質の第2の形態から第1の形態への相互変換には、熱の吸収(周囲温度)または光の吸収(屋内の通常の明るさ)またはそれらの組合せがその原因となりうる。屋内の通常の明るさ(周囲温度での)および暗闇(周囲温度での)という屋内の周囲条件は、順序を問わずそれらを順に実施することができるという文脈において、組み合わせることが可能であるということを理解されたい。
ここで、本発明について、その具体的で例示的な実施態様に基づいて詳細に説明するが、それらの実施例は説明することだけを目的としており、本明細書に引用される材料、条件、またはプロセスパラメータは、本発明を限定することを意図するものではない、ということを理解すべきである。すべてのパーセントと部は、特に断らない限り、重量基準である。本明細書で使用するとき、「THF」はテトラヒドロフランを指し、「PMMA」はポリメタクリル酸メチルを指す。すべての実施例は、特に断らない限り、周囲温度で実施した。実施例においては、テキスト(透明領域)と黒い領域を有するマスクを使用して、画像再形成可能な媒体の上に画像を形成させた。透明領域(テキストの文字)には、UV画像形成用光線に暴露させた後に(着色した)テキストが現れる。
(実施例1)
7.5gのポリマ性バインダ(ポリメタクリル酸メチル、重量平均分子量Mw=33,000)と0.9gの1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](フォトクロミック物質)とを、20mLのTHFと10mLのトルエンからの混合溶媒の中に溶解させて、溶液を調製した。溶解させてから、可撓性のマイラー(MYLAR,商標)シートの上に、ドクターブレードを用いて、固形膜を調製した。膜の厚みは約10ミクロンであった。この膜を周囲温度で3時間乾燥させ、次いで炉の中に30分間入れて、溶媒を完全に除去した。その膜を、その上にマイラー(MYLAR,商標)プラスチックの第2のシートを積層することによって保護して、摩擦による劣化を防止し、次いで、そのディスプレイのボトムを白色に塗装した。その画像再形成可能な媒体に、表示すべき画像の陰画(negative)を有するマスクを通して、強度約4mW/cmのUV光(365nm)を照射することによって、書き込みを行った。書き込みをした後では、その一時的画像は約4時間の間、目視可能であった。その画像再形成可能な媒体を屋内の周囲条件下に一夜(その一時的画像が目視可能であった約4時間を含めて、合計16時間)放置すると、その一時的画像が完全に消えて、その画像再形成可能な媒体を再画像化することが可能となっていた。
一時的画像を含む画像再形成可能な媒体について反射分光分析測定を実施して、以下のような結果を得た。
光学濃度(OD)着色部=1.32(反射率=5%)
OD白色部=0.21(反射率=62%)
ΔOD=1.11(コントラスト比=12.4)
コントラスト比(CR)は、白色部反射率/着色部反射率として定義される。
(実施例2)
80mLのTHF中に7.5gのポリマ性バインダ(ポリメタクリル酸メチル、Mw=33,000)と0.9gの1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](フォトクロミック物質)を溶解させた溶液に、普通紙の白紙(ゼロックス(XEROX,商標)汎用1524ペーパー)を浸漬させた。浸漬後、その紙シートを空気乾燥させて、フォトクロミック物質をしみこませた乾燥紙シートを作成した。その紙に、マスクを通してUV光(365nm、2.5mW/cm)を照射して、画像を形成させた。その一時的画像は約4時間の間、目視可能であった。その画像再形成可能な媒体を屋内の周囲条件下に約16〜20時間(この合計時間には、その一時的画像が目視可能であった約4時間を含む)放置すると、その一時的画像が完全に消えて、その画像再形成可能な媒体を再画像化することが可能となっていた。同一の紙のシートの上で、一時的画像形成/一時的画像消去を約20サイクルさせることができた。
(実施例3)
15gのPMMA33Kを40mLのTHFと20mLのトルエンに溶解させて、ストックポリマ溶液を調製した。5mLのストックポリマ溶液に溶解させた、100mgのスピロピラン(1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール])と100mgのアゾベンゼン(UV光吸収性物質)を含む溶液を、石英のスライドの上に、スピンコーティングさせることにより、第1のサンプル(サンプル#1)を作成した。比較サンプル(サンプル#2)も同様にして、5mLの上記のポリマ溶液に溶解させた100mgのスピロピランを含む溶液から作成した(光吸収性物質無添加)。
サンプル#1(スピロピランと共にUV光吸収性物質を含む)とサンプル#2(スピロピランのみを含む)とを、屋内の通常の明るさに4時間放置した。屋内の通常の明るさのUV成分によるブランク領域の着色度(degree of coloration)を、575nm(フォトクロミック成分の着色形の最大吸収)における吸光度の増大として測定した。サンプル#1の吸光度の測定値が0.031であるのに対して、サンプル#2の測定値は0.046であった。保護をしていないサンプルのブランク領域における望ましくない着色は1.5倍も高かった。
これら2つのサンプルを、窓を通して入ってくる日光に10分間暴露させると、その着色は次の通りとなった。サンプル#1で0.13、サンプル#2で0.30。この場合の着色比は、0.3/0.13=2.3となった。この例は、試験用素子(test device)を、窓を通して入る日光に暴露させた場合の、UV光吸収性物質を使用することによる保護をさらに実証しているものである。日光には、電球による室内照明に比較すると、極めて大量のUV光が含まれている。
(実施例4)
次のような連続2回のコーティングにより素子を調製した。スピロピランの第1の膜をスピンコートし、次いでPMMAポリマ性バインダの中にアゾベンゼン物質を含む第2の層をその上に析出させた。トップに保護材料を有するこの形状は、それが、フォトクロミック膜の上にあるフォトクロミック分子に対するUV保護をするので、実施例3より有利であり、これが無いとすると、予め定められた波長範囲の下のUV光に暴露されることになる。周囲温度で屋内の通常の明るさに4時間暴露させた後での、吸光度の測定値は約0.030であった。
(実施例5)
その他の化合物を用いても、365nm領域でのUV保護に効果がある。80mLのTHF中に7.5gのポリマ性バインダ(ポリメタクリル酸メチル、Mw=33,000)と0.9gの1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](フォトクロミック物質)とを含む溶液を用いて、普通紙の白紙(ゼロックス(XEROX,商標)汎用1524ペーパー)に、ブレードコーティングすることによって、画像再形成可能な紙シートを調製した。別途に、予め定められた波長範囲より下のUV光吸収性物質を含むポリマ膜を、テトラヒドロフラン中ポリマ溶液の中に溶解させたこれらそれぞれの化合物を含む溶液を、石英基材の上にスピンコーティングすることによって、調製した。それらの化合物に含まれていたのは、N−ベンジリデンアニリン、メチル−p−ベンゾキノンおよびアントラキノンである。
画像再形成可能な紙のシートのためのこれらの化合物の保護試験を、下記に従って行った。白い状態の紙のシートを、UV光吸収性物質を含む石英スライドガラスで覆い、窓を通して入ってくる室内の日光に、約10〜30分暴露させた。すべての場合において、UV光吸収性ポリマ膜で覆われている領域は、覆われていない紙のシートの領域に比較して、露光の後の着色が少なく、このことは、それらのUV光吸収性化合物が、屋内の通常の明るさの中に存在するUV成分による、望ましくない着色から、紙シートのブランクの領域を保護するのに効果があるということを、示している。
(実施例6)
ポリマ性バインダ中にフォトクロミック物質を含む各種の組成物を用いて、石英スライドガラスの上にサンプルを作成した。15gのPMMA33Kを40mLのTHFおよび20mLのトルエンに溶解させて、ストックポリマ溶液を調製した。
下記に示すような異なった添加剤を含むポリマ溶液をスピンコーティングすることによって、2種類の試験用サンプルを調製した。
サンプル#1:5mLのPMMAストック溶液中、150mgのスピロピラン分子。サンプル#1の場合、画像再形成可能な媒体のブランク(書き込みなし)の領域は、白色の外観であった。
サンプル#2:5mLのPMMAストック溶液中、150mgのスピロピラン、20mgのアゾベンゼン(第1の光吸収性物質)および15mgの黄色染料(第2の光吸収性物質)。この黄色染料は、メンチルアントラニレートドデシルピリジンであった。サンプル#2には、アゾベンゼンに加えて、黄色染料を含んでいて、そのために、365nmより上の波長(この実施例では予め定められた波長範囲)において保護されていた。黄色染料があるために、画像再形成可能な媒体のブランク(書き込みなし)の領域は、黄色の外観であった。
屋内の通常の明るさに20時間暴露した際の、ブランクの画像再形成可能な媒体で575nmにおける吸収の増加を測定し、望ましくない着色の目安とした。575nmにおけるサンプル#1の吸光度は0.060であったが、それに対して、保護したサンプル(#2)では吸光度が0.032となり、着色が1/2に減少していた。
これらのサンプルを、窓を通して入ってくる日光に暴露させると、ブランク領域の着色はいずれのサンプルでも強くなったが、保護したサンプル#2の方が、非保護のサンプル#1に比較すると、望ましくない着色の程度が低かった。測定した吸光度は、0.232(サンプル#1)と0.103(サンプル#2)であった。サンプル#1は、最初白色であったものが、完全なパープルとなっていたが、それに対してサンプル#2は、着色度がかなり低いために、依然として黄色であった。
(実施例7)
2種類の試験サンプルを調製した。基材はいずれのサンプルでも白紙シートであった。
第1のサンプルは、スピロピランを含むが光吸収性物質は含まないもので、20mLのTHF中に1.87gのPMMAと0.45gの1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](フォトクロミック物質)とを含む溶液を用いて、普通紙の白紙(ゼロックス(XEROX,商標)汎用1524ペーパー)にディップコーティングすることによって、調製した。
第2のサンプルには、黄色染料単独の効果を評価する目的で、黄色染料が含まれていた。20mLのTHF中に1.87gのPMMAと0.45gの1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](フォトクロミック物質)とを含む溶液、および0.10gのメンチルアントラニレートドデシルピリジン(黄色染料)を使用して、同様に調製した。この黄色染料は、予め定められた画像形成範囲より上に吸収極大を示す。
その2種のサンプルについて、高強度(365nm、4mW/cm)のUV光を20秒間照射して画像を形成させ、次いで窓を通って入ってくる日光に15分間暴露させた。第1のサンプルの背景のパープル色への着色の程度は、第2のサンプルに比較すると、顕著に高い。
(実施例8)
溶媒としての40mLのキシレンの中に溶解させた、7.5gのPMMAと0.9gの(1’,3’−ジヒドロ−8−メトキシ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]とを含むポリマ溶液を用いて、白紙のシートをディップコーティングにより含浸させた。そのシートを周囲温度で16時間かけて乾燥させ、次いで100℃で20分間加熱した。その紙のシートに、396nmのLEDを用いマスクを通して30秒間照射した。その紙シートの露光された領域にはテキストが書き込まれた。その一時的画像は、屋内の周囲条件(屋内の通常の明るさおよび暗闇)で約20時間放置した後には、自己消去されていた。
(実施例9)
実施例8で用いたポリマ溶液により、ドクターブレード法により白紙のシートをコーティングした。その紙が多孔質であったために、紙にフォトクロミック物質が埋め込まれた。そのシートを周囲温度で16時間かけて乾燥させ、次いで100℃で20分間加熱した。さらに乾燥させてから、365nmの波長の光を用い、マスクを通して20秒間照射することにより、テキストを書き込んだ。その一時的画像は、屋内の周囲条件(屋内の通常の明るさおよび暗闇)で約20時間放置した後には、自己消去されていた。消去の後で、その紙に396nmの波長の光を用い、マスクを通して30秒間照射すると、その紙の上にテキストが書き込まれた。一時的画像は、反対側にもマスクを使用して形成させることが可能であったが、その着色は第1の面に比較すれば、弱かった。
(実施例10)
80mLのTHF中に7.5gのポリマ性バインダ(ポリメタクリル酸メチル、Mw=33,000)と0.9gの1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ−[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](フォトクロミック物質)を溶解させた溶液に、普通紙の白紙(ゼロックス(XEROX,商標)汎用1524ペーパー)を浸漬させた。浸漬させてから、その紙のシートを空気乾燥させると、フォトクロミック物質で紙の両面を含浸させて画像再形成を可能とした、乾燥した紙のシートが得られた。その紙の第1の面に、マスクを通してUV光(365nm)で照射することによって、第1の一時的画像を形成させた。次いで反対側に、同じ波長を使用し、別なテキストを印刷するためのマスクを通して、別な一時的画像を形成させた。同じ光源強度と、画像形成用光線暴露時間を用いると、そのテキストの着色の程度は、両方の面で同じであった。その両面の一時的画像は、約4時間の間目視可能であったが、その一時的画像は、屋内の周囲条件(屋内の通常の明るさおよび暗闇)で約16〜20時間(この合計時間には、一時的画像が目視可能であった約4時間を含む)経過すると完全に消失していた。
2つの例示的な光吸収性物質のUV−VIS吸収スペクトルおよびスピロピランのUV−VIS吸収スペクトルを示す図である。

Claims (22)

  1. 画像再形成可能な媒体であって、
    基材と、
    フォトクロミック物質と、
    を含み、
    前記媒体が、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことが可能であり、
    前記媒体の有する特性が、前記媒体が前記カラーコントラストが無い状態を示しているときに、予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域とを与えると、前記露光領域と前記非露光領域との間に前記カラーコントラストが存在して、前記予め定められた画像に対応する一時的画像が形成され、それを可視時間の間、目視可能とするものであり、
    前記媒体の有する特性が、前記一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、前記カラーコントラストの有る状態を前記カラーコントラストの無い状態へと変化させて、前記一時的画像を消去するもので、そのような条件としては以下の場合を全て含み、(i)前記屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇である場合、(ii)前記屋内の周囲条件が、周囲温度で屋内の通常の明るさがある場合、および(iii)前記屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇であるのと、周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方である場合、そして、
    ここで前記媒体が、多数回の一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを実施することが可能である、
    媒体。
  2. 前記媒体が、(iv)前記媒体を、画像消去装置によって発生させた高温に暴露した場合に、前記カラーコントラストの有る状態から前記カラーコントラストの無い状態へと変化して、前記一時的画像を消去するというさらなる特性を有する、請求項1に記載の媒体。
  3. 前記媒体が、(v)前記媒体を、画像消去装置によって発生させた画像消去用光源に暴露した場合に、前記カラーコントラストの有る状態から前記カラーコントラストの無い状態へと変化して、前記一時的画像を消去するというさらなる特性を有する、請求項1に記載の媒体。
  4. 前記画像形成用光線が紫外光線である、請求項1に記載の媒体。
  5. 前記基材が紙である、請求項1に記載の媒体。
  6. 前記基材がプラスチックである、請求項1に記載の媒体。
  7. 前記媒体が可撓性である、請求項1に記載の媒体。
  8. 前記基材が白紙である、請求項1に記載の媒体。
  9. 前記媒体が2つの面を有し、前記フォトクロミック物質が前記2つの面の上に存在して、前記2つの面のいずれをも画像再形成可能としている、請求項1に記載の媒体。
  10. 前記可視時間が約1時間〜約5日の範囲である、請求項1に記載の媒体。
  11. 前記可視時間が約5時間〜約24時間の範囲である、請求項1に記載の媒体。
  12. 前記フォトクロミック物質が、互いに可逆的に変換可能な、スピロピラン、メロシアニン、またはスピロピランとメロシアニンの両方を含む、請求項1に記載の媒体。
  13. バインダをさらに含む、請求項1に記載の媒体。
  14. 画像再形成可能な媒体であって、
    紙基材と、
    フォトクロミック物質と、
    を含み、
    前記媒体が可撓性であって2つの面を有し、そして前記フォトクロミック物質が前記2つの面の上にあって前記2つの面のいずれをも画像再形成可能とし、前記媒体が、カラーコントラストの有る状態およびカラーコントラストの無い状態を示すことが可能であり、
    前記媒体の有する特性が、前記媒体が前記カラーコントラストが無い状態を示しているときに、予め定められた画像に対応する画像形成用光線に露光させて、露光領域と非露光領域を与えると、前記露光領域と前記非露光領域との間に前記カラーコントラストが存在して、前記予め定められた画像に対応する一時的画像が形成され、それを可視時間の間、目視可能とするものであり、
    前記媒体の有する特性が、前記一時的画像を画像消去時間の間、屋内の周囲条件に暴露することによって、前記カラーコントラストの有る状態を前記カラーコントラストの無い状態へと変化させて、前記一時的画像を消去するもので、そのような条件としては以下の場合を全て含み、(i)前記屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇である場合、(ii)前記屋内の周囲条件が、周囲温度で屋内の通常の明るさがある場合、および(iii)前記屋内の周囲条件が、周囲温度で暗闇であるのと、周囲温度で屋内に通常の明るさがあるのとの両方である場合、そして、
    前記媒体が、多数回の一時的画像形成と一時的画像消去のサイクルを実施することが可能である、
    媒体。
  15. 前記媒体が、(iv)前記媒体を、画像消去装置によって発生させた高温に暴露した場合に、前記カラーコントラストの有る状態から前記カラーコントラストの無い状態へと変化して、前記一時的画像を消去するというさらなる特性を有する、請求項14に記載の媒体。
  16. 前記媒体が、(v)前記媒体を、画像消去装置によって発生させた画像消去用光源に暴露した場合に、前記カラーコントラストの有る状態から前記カラーコントラストの無い状態へと変化して、前記一時的画像を消去するというさらなる特性を有する、請求項14に記載の媒体。
  17. 前記画像形成用光線が紫外光線である、請求項14に記載の媒体。
  18. 前記基材が白紙である、請求項14に記載の媒体。
  19. 前記可視時間が約1時間〜約5日の範囲である、請求項14に記載の媒体。
  20. 前記可視時間が約5時間〜約24時間の範囲である、請求項14に記載の媒体。
  21. 前記フォトクロミック物質が、互いに可逆的に変換可能な、スピロピラン、メロシアニン、またはスピロピランとメロシアニンの両方を含む、請求項14に記載の媒体。
  22. バインダをさらに含む、請求項14に記載の媒体。
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