JP2005315738A - パルスレーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】距離分解能を劣化させずに強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく強度の小さな信号の検出能力を向上させるパルスレーダ装置を得る。
【解決手段】予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段、受信信号からビデオ信号を得る受信手段、同じレンジビン番号のビデオ信号に対し距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を得る距離シフト器15、距離シフトビデオ信号に対し送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引き抑圧後ビデオ信号を得る信号抑圧器16、抑圧後ビデオ信号に対し距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて逆方向に距離シフトさせて距離逆シフトビデオ信号を得る距離逆シフト器17、距離逆シフトビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器18を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、合成帯域処理を行うパルスレーダ装置に関し、特に、強度の大きい反射信号を抑圧することによって強度の小さい反射信号を強度の大きい反射信号のサイドロープに埋もれることなく検出するためのパルスレーダ装置に関する。
従来、合成帯域処理を行うレーダ装置では、帯域の合成を行う合成帯域器の前に窓関数器を設け、合成帯域器の入力信号に対して窓関数による重みをかけ合成帯域器の出力信号を包絡線検波した信号に生じるレンジサイドローブの抑圧を行っていた。ここで、窓関数に関しては、例えば非特許文献1に開示されている。また、合成帯域処理に関しては、例えば非特許文献2に開示されている。
例えば、目標Aが150m,目標Bが200mの距離にあり、目標Bの受信信号強度が目標Aの受信信号強度よりも30dB小さい場合に、窓関数を用いずに合成帯域処理を行った時の包絡線検波後信号の相対強度と、同様の条件で、窓関数として、Hamming窓を用いて合成帯域処理を行った時の包絡線検波後の信号の相対強度とを比較した場合、窓関数を用いてない場合は、目標Bは目標Aのレンジサイドローブに埋もれて検出ができなくなっているのに対し、窓関数を用いることによって目標Aのレンシサイドローブが小さくなり、目標Bの検出が可能になる。
A.V.Oppenheim,R.W.Schafer原著、伊達玄訳「ディジタル信号処理(上)」、第5章5節 Donald R.Wehner著「High−Resolution Radar」、Second Edition、Chapter 5
合成帯域処理については、上記文献に記載されているが、ここでは発明が解決しようとする課題を明確にするために、合成帯域処理によって、高分解能距離が得られる原理を簡単に説明する。
合成帯域処理を用いて高分解能距離を得るパルスレーダ装置では、送信時に、N個の送信パルスStに対して、パルス毎に送信周波数をfからfN−1までステップ周波数間隔Δf毎に変化させる。その時の送信信号S(t)は式(1)で表される。ただし、ここでは、数式による表現を簡略化するために、各信号を複素信号で表現している。
Figure 2005315738
ただし、Aは送信信号の振幅、φは各送信周波数の初期位相、Tはパルス幅、Tpriはパルス繰り返し周期を表す。
式(1)で表される送信信号S(t)がパルスレーダ装置から相対距離R離れたところにある目標に反射して、パルスレーダ装置に受信された場合、受信信号U(t)は式(2)で表される。
Figure 2005315738
ただし、A’は受信信号の振幅、cは光速を表す。
式(2)で表される受信信号U(t)に対して、振幅が1で、送信信号S(t)と同じ周波数同じ初期位相をもつ式(3)で示す局部発信信号W(t)を用いて周波数をダウンコンバートすることによって生成した複素ビデオ信号V(t)は式(4)で表される。
Figure 2005315738
Figure 2005315738
式(4)より、同じレンジビン番号でサンプリングされたn(n=0,1,・・・,N−1)番目の送信パルスに対する複素ディジタルビデオ信号V(n)は式(5)で表される。
Figure 2005315738
式(5)で表される複素ディジタルビデオに対して、逆フーリエ変換による帯域の合成を行った場合、逆フーリエ変換後の信号P(k)は式(6)で表される。
Figure 2005315738
式(6)の第2項
Figure 2005315738
より、式(7)が成り立つ時に逆フーリエ変換後の信号P(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号がピーク値となることがわかる。
Figure 2005315738
よって、各kに対する逆フーリエ変換後の信号P(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号は、式(8)で表される相対距離Rの目標からの反射信号強度を示すこととなる。
Figure 2005315738
また、距離分解能ΔRは式(9)で表され、NあるいはΔfを大きくすることによって、距離分解能ΔRは小さくなり、高分解能距離が得られることが分かる。
Figure 2005315738
また、距離の折り返しなく表現できる最大の距離Rmaxは次式で表される。
Figure 2005315738
しかしながら、式(6)にも示したように、逆フーリエ変換を用いているために、逆フーリエ変換後の信号P(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号は、sinc関数(sin(x)/x)の形状となり、目標以外の距離のピーク、いわゆるレンジサードローブが生じる。よって、大きな信号強度の受信信号と、小さい信号強度の受信信号が混在しているような状況では、大きな信号強度の受信信号のレンジサイドローブに受信小さい目標が埋もれてしまい。検出が困難になる課題があった。
従来の合成帯域処理を行うレーダ装置では、この課題を解決するために、式(5)で示される複素ディジタルビデオ信号V(n)に対して、窓関数による重みをつけた後に、逆フーリエ変換による帯域の合成を行っていた。しかし、窓関数を用いた場合は、距離分解能が劣化するという問題が生じる。
今、目標距離を150mとし、窓関数を用いない場合の式(6)で表される逆フーリエ変換後の信号P(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号の相対強度と、窓関数としてHamming窓を用いた場合の式(6)で表される逆フーリエ変換後の信号P(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号の相対強度とを比較した場合、距離分解能をピークから3dB強度が小さくなった幅で定義すると、窓関数としてHamming窓を用いた場合、窓関数を用いない場合に比べ、距離分解能は約1.3倍となる。
さらに、窓関数を用いた場合は、レンジサイドローブレベルは小さくできるが、まったくなくすことはできない。例えば、窓関数を用いてない場合の第一レンジサイドローブレベルが、例えば約−12.7dBであるのに対し、Hamming窓を用いた場合の第一レンジサイドローブレベルは、例えば約−43.0dBとなることが分かる。このことは、2つの目標からの反射受信信号強度の差が43dB以上ある場合には、やはり、大きな信号強度の受信信号のレンジサイドローブに信号強度の小さな受信信号が埋れてしまい信号強度の小さな受信信号の検出が困難になることを示している。すなわち、窓関数を用いる方法では、用いる窓関数によって検出できる小さい信号強度の受信信号の限界値が存在することになる。
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、合成帯域処理による高分解能距離を得るレーダにおいて、距離分解能を劣化させずに、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出能力を向上させることができるパルスレーダ装置を得ることを目的とする。
この発明に係るパルスレーダ装置は、予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し所定のシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて前記距離シフト器の距離シフト方向とは逆方向に距離をシフトさせて距離逆シフトビデオ信号を生成する距離逆シフト器と、前記距離逆シフト器からの距離逆シフトビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器とを備えたものである。
また、他の発明に係るパルスレーダ装置は、予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し所定のシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、前記合成帯域器による帯域の合成後の信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて距離を補正する距離補正器とを備えたものである。
また、さらに他の発明に係るパルスレーダ装置は、予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、前記受信手段からのビデオ信号を保存するメモリーと、N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、前記合成帯域器による帯域の合成後の信号から強度の大きい信号の距離を計測しその距離情報を出力する振幅判定器と、前記メモリーより取り出したビデオ信号に対し前記振幅判定器からの距離情報より求まるシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて前記距離シフト器の距離シフト方向とは逆方向に距離をシフトさせて距離逆シフトビデオ信号を生成する距離逆シフト器と、前記距離逆シフト器からの距離逆シフトビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器とを備えたものである。
さらに、さらに他の発明に係るパルスレーダ装置は、予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、前記受信手段からのビデオ信号を保存するメモリーと、N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、前記合成帯域器による帯域の合成後の信号から強度の大きい信号の距離を計測しその距離情報を出力する振幅判定器と、前記メモリーより取り出したビデオ信号に対し前記振幅判定器からの距離情報より求まるシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、前記合成帯域器による帯域の合成後の信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて距離を補正する距離補正器とを備えたものである。
この発明によれば、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、信号強度の大きな受信信号の距離を抑圧したい距離として処理を行うことにより、信号強度の大きな受信信号を抑圧することができ、それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。図1に示す実施の形態1に係るパルスレーダ装置は、予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段として、タイミング発生器1、周波数シンセサイザ2、分配器3a、基準中間周波数信号発生器4、周波数変換機5a、パルス変調器6、電力増幅器7を備えており、送受切替器8を介してアンテナ9により送信信号が空間へ放射される。
また、パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段として、送信手段と共通のタイミング発生器1、周波数シンセサイザ2、分配器3a、基準中間周波数信号発生器4に加え、周波数変換機5b、中間周波数増幅器11、90度ハイブリッド器12、分配器3b、位相検波器13a及び13b、A/D変換器14a及び14bを備えており、目標10及び背景で反射された反射信号が受信される。
さらに、N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し所定のシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器15、距離シフト器15からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器16、信号抑圧器16からの抑圧後ビデオ信号に対し距離シフト器15で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて距離シフト器15の距離シフト方向とは逆方向に距離をシフトさせて距離逆シフトビデオ信号を生成する距離逆シフト器17、距離逆シフト器17からの距離逆シフトビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器18を備えており、合成帯域器18による出力は包絡線検波器19により包絡線検波され、表示器20に表示される。
次に、上記構成を備える実施の形態1に係るパルスレーダ装置の動作について説明する。タイミング発生器1では、パルス繰り返し周期Tpriの間隔で、周波数切換信号を周波数シンセサイザ2へ、パルス変調信号をパルス変調器6へ、送受切換信号を送受切替器8へそれぞれ出力する。周波数シンセサイザ2では、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、予め周波数、初期位相及びステップ周波数を定めたN種類の信号の中の一種類を、最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順に、あるいはランダムにパルス繰り返し周期Tpri毎に生成し、分配器3aに出力する。分配器3aでは、周波数シンセサイザ2からの入力信号を2分し、一方を送信信号生成用の周波数変換機5aの局部発振信号として周波数変換機5aに、もう一方を中間周波数信号生成用の周波数変換機5bの局部発振信号として、周波数変換機5bにそれぞれ出力する。
周波数変換機5aでは、分配器3aからの局部発振信号の周波数と、基準中間周波数信号発生器4で生成される基準中間周波数信号の周波数との和の周波数の送信キャリア信号を生成し、パルス変調器6に出力する。パルス変調器6では、周波数変換機5aからの入力信号に対して、タイミング発生器1からのパルス変調信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に予め定めたパルス幅Tのパルス変調を行う。パルス変調器6の出力信号は、電力増幅器7に入力され、電力の増幅が行われ、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に予め定めた時間間隔の電力増幅器7からの入力信号をアンテナ9に出力する。アンテナ9では、送受切替器8からの入力信号を、送信信号として空間へ放射する。送信信号は目標10、および背景に反射し、反射信号となってアンテナ9で受信され、送受切替器8に出力される。
送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に予め定めた時間間隔のアンテナ9からの入力信号を周波数変換機5bに出力する。また、周波数変換機5bには、分配器3aから局部発振信号も入力される。周波数変換機5bでは、受信信号の周波数と局部発振信号の差の周波数の中間周波数信号を生成し、中間周波数増幅器11へ出力する。中間周波数増幅器11では、中間周波数信号の電力の増幅を行い、その結果を分配器3bに出力する。分配器3bでは、中間周波数増幅器11から入力信号を2分し、それぞれを位相検波器13a、13bに出力する。
一方、基準中間周波数信号発生器4で発生した基準中間周波数信号は、90度ハイブリッド器12で90度の位相差を持った2つの信号に分離され、位相検波器13a、13bに出力される。位相検波器13a及び13bでは、分配器3bからの入力信号と90度ハイブリッド器12からの入力信号から、中間周波数信号の周波数と基準中間周波数信号の周波数の差の周波数を持ち、互いに90度の位相差を持つI成分、Q成分のビデオ信号を生成する。生成されたI、Qビデオ信号は、サンプリング周波数が1/TのA/D変換器14a、14bに入力され、パルス幅Tと同じ間隔のレンジビン毎のディジタルI、Qビデオ信号に変換され、距離シフト器15に出力される。
距離シフト器15では、N個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のディジタルIビデオ信号を実部、ディジタルQビデオ信号を虚部とした、式(5)で表される複素ディジタルビデオ信号に対して、レーダ装置の高度とアンテナ指向方向から予め求めた、あるいは他のレーダシステムより得られた抑圧したい距離の情報より求まるシフト距離Rs1を用いて式(11)で表される処理を行い、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を生成し、信号抑圧器16に出力する。
Figure 2005315738
ただし、周波数シンセサイザ2において、パルス繰り返し周期Tpri毎に周波数をランダムに生成した場合は、複素ディジタルビデオ信号を、送信パルスの周波数が最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順になるように並べ替えた後に上記処理を行う。
信号抑圧器16では、式(12)に示すように、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)に対して、予め定めた送信パルス数N未満の正の整数値αだけずらした距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n+α)から距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を引くことによって、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を生成し、距離逆シフト器17に出力する。
Figure 2005315738
距離逆シフト器17では、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)に対して、抑圧したい距離の情報より求まる距離シフト器15で用いたシフト距離Rs1と同じ値のシフト距離Rs2を用いて式(13)で表される処理を行い、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。
Figure 2005315738
式(13)おいて、今、シフト距離Rs1とシフト距離Rs2が等しいために、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)は次式で表される。
Figure 2005315738
合成帯域器18では、距離逆シフト器17から入力された、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を式(15)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。
Figure 2005315738
式(15)の第4項
Figure 2005315738
より、式(7)と同様に式(16)が成り立つ時に逆フーリエ変換後の信号Pα’(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号がピーク値となることがわかる。
Figure 2005315738
よって、各kに対する逆フーリエ変換後の信号Pα’(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号は、式(17)で表される相対距離Rの目標からの反射信号強度を示すこととなる。
Figure 2005315738
さらに、フーリエ変換後の出力信号には、式(15)の第1項
Figure 2005315738
による振幅変調がかかる。このことは、距離Rが、シフト距離Rs1と等しい場合は、sinの括弧内が0となり、振幅が0になることを示している。よって、シフト距離Rs1の信号の振幅を0にする。すなわち、抑圧することができる。また、第2項
Figure 2005315738
、第3項
Figure 2005315738
は、初期位相の項であるために、包絡線検波を行うと振幅が1となり、振幅および合成帯域処理にも影響を及ぼさない。
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、包絡線検波器19からの入力信号を表示する。
また、上述した説明では、抑圧したい距離が1つの場合について動作の説明をしたが、抑圧したい距離が複数の場合は、図2及び図3に示す処理を行う。すなわち、図2に示すように、距離逆シフト器17の出力信号である距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を距離シフト器15に戻し、距離シフト器15において、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を新たな複素ディジタルビデオ信号V(n)とし、別の抑圧したい距離の情報より求めた新たなシフト距離Rs1を用いて、式(11)の演算を行い、その結果を信号抑圧器16に出力する。そして、この距離シフト器15から距離逆シフト器17までの処理を抑圧したい距離の数だけ繰り返した後に、最終出力を距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)として合成帯域器18に出力する。
または、図3に示すように、信号抑圧器16の出力信号である抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を距離シフト器15に戻し、距離シフト器15において、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を新たな複素ディジタルビデオ信号V(n)とし、前回抑圧した距離と、今回抑圧したい距離の差の情報より求めた新たなシフト距離Rs1を用いて、式(11)の演算を行い、その結果を信号抑圧器16に出力する。そして、この距離シフト器15と信号抑圧器16の処理を抑圧したい距離の数だけ繰り返した後に、最終出力を抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)として、距離逆シフト器17に出力する。距離逆シフト器17では、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)に対して、これまで、距離シフト器15で用いたシフト距離の総和をシフト距離Rs2として式(13)で表される処理を行い、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。
このような処理を行うことによって、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、且つシフト距離Rs1の信号の振幅を0にする、すなわち、抑圧することができる。よって、信号強度の大きな受信信号の距離を抑圧したい距離として、上記処理を行うことにより、信号強度の大きな受信信号を抑圧することができ、それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。
図4に、目標Aが150m,目標Bが200mの距離にあり、目標Bの受信信号強度が目標Aの受信信号強度よりも50dB小さい場合に、窓関数を用いずに合成帯域処理を行った時の包絡線検波後信号の相対強度を、図5に、同様の条件で、窓関数としてHamming窓を用いて合成帯域処理を行った時の包絡線検波後信号の相対強度を、図6に、同様の条件で、上記処理を行った時の包絡線検波後信号の相対強度をそれぞれ示す。図4〜図6より、窓関数を用いる方法では、目標Aのサイドローブに目標Bが埋もれてしまい、目標Bの検出が困難になるのに対し、上記処理を行うことによって、目標Aを抑圧することができ、それに伴い目標Aのレンジサイドローブも抑圧され、目標Bが検出可能であることが分かる。また、距離分解能も劣化することもないことも分かる。
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。図7に示す実施の形態2において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。図7に示す実施の形態2においては、図1に示す実施の形態1の距離逆シフト器17がなく、包絡線検波器19を介した合成帯域器18による帯域の合成後の信号に対し距離シフト器15で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて距離を補正する距離補正器21をさらに備えている。
この実施の形態2に係るパルスレーダ装置の動作について説明する。図7に示す実施の形態2において、信号抑圧器16までの動作は実施の形態1と同様の動作である。信号抑圧器16で生成された、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)は、合成帯域器18に出力される。合成帯域器18では、信号抑圧器16から入力された、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を式(18)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。
Figure 2005315738
式(18)の第4項
Figure 2005315738
より、式(19)が成り立つ時に逆フーリエ変換後の信号Pα″(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号がピーク値となることがわかる。
Figure 2005315738
よって、逆フーリエ変換後の信号P″(k)の絶対値、すなわち包絡線検波後信号は、式(20)で表されるように、相対距離Rの目標からの反射信号強度を相対距離Rからシフト距離Rs1だけ引いた距離を示すこととなる。
Figure 2005315738
さらに、フーリエ変換後の出力信号には、式(18)の第1項
Figure 2005315738
による振幅変調がかかる。このことは、距離Rが、シフト距離Rs1と等しい場合は、sinの括弧内が0となり、振幅が0になることを示している。よって、シフト距離Rs1の信号の振幅を0にする。すなわち、抑圧することができる。また、第2項
Figure 2005315738
、第3項
Figure 2005315738
は、初期位相の項であるために、包絡線検波を行うと振幅が1となり、振幅および合成帯域処理にも影響を及ぼさない。
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を距離補正器21に出力する。式(20)からも分かるように、距離シフト器15の作用によって包絡線検波後の出力信号は、相対距離Rの目標からの反射信号強度を相対距離Rからシフト距離Rs1だけ引いた距離を示している。距離補正器21では、抑圧したい距離の情報より求まる距離シフト器15で用いたシフト距離Rs1と同じ値のシフト距離Rs2と式(10)で表される合成帯域処理において距離の折り返しなく表現できる最大の距離Rmaxを用いて、包絡線検波後の出力信号に対し、図8に示すように、0からRmax−Rs2の距離を、Rs2からRmaxの距離とし、Rmax−Rs2からRmaxの距離を、0からRs2の距離とする距離補正を行い、真の相対距離Rを求め、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、距離補正器21からの入力信号を表示する。
また、上述した説明では、抑圧したい距離が1つの場合について動作の説明をしたが、抑圧したい距離が複数の場合は、図9に示す処理を行う。すなわち、図9に示すように、信号抑圧器16の出力信号である抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を距離シフト器15に戻し、距離シフト器15において、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を新たな複素ディジタルビデオ信号V(n)とし、前回抑圧した距離と、今回抑圧したい距離の差の情報より求めた新たなシフト距離Rs1を用いて、式(11)の演算を行い、その結果を信号抑圧器16に出力する。この距離シフト器15と信号抑圧器16の処理を抑圧したい距離の数だけ繰り返した後に、最終出力を抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)として、合成帯域器18に出力する。
合成帯域器18では、信号抑圧器16から入力された、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を式(18)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を距離補正器21に出力する。
距離補正器21では、距離シフト器15で用いたシフト距離の総和をシフト距離Rs2として包絡線検波後の出力信号に対し、図8に示す距離補正を行い、真の相対距離Rを求め、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、距離補正器21からの入力信号を表示する。
このような処理を行うことによって、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、且つシフト距離Rs1の信号の振幅を0にする、すなわち、抑圧することができる。よって、信号強度の大きな受信信号の距離を抑圧したい距離として、上記処理を行うことにより、信号強度の大きな受信信号を抑圧することができ、それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。さらに、実施の形態1中の式(13)で示した複素乗算が必要でないため、実施の形態1に比べ高速な処理が可能となる。
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。図10に示す実施の形態3において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。図10に示す実施の形態3においては、図1に示す実施の形態1に対し、受信手段からのビデオ信号を保存するメモリー27aと、包絡線検波器19を介した合成帯域器18による帯域の合成後の信号から強度の大きい信号の距離を計測しその距離情報を出力する振幅判定器22とをさらに備えている。
この実施の形態3に係るパルスレーダ装置の動作について説明する。図10に示す実施の形態3において、A/D変換器14a、14bまでの動作は実施の形態1と同様の動作である。A/D変換器14a、14bで生成されたディジタルI、Qビデオ信号は、合成帯域器18に出力されると共に、メモリー27aに出力される。メモリー27aでは、N個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から生成されたディジタルI、Qビデオ信号の中で、合成帯域処理を実施するレンジビンのディジタルI、Qビデオ信号を保存する。
一方、合成帯域器18では、メモリー27aに保存したディジタルIビデオ信号と同じディジタルIビデオ信号を実部、メモリー27aに保存したディジタルQビデオ信号と同じディジタルQビデオ信号を虚部とした、式(5)で表される複素ディジタルビデオ信号に対して、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、周波数シンセサイザ2において、パルス繰り返し周期Tpri毎に周波数をランダムに生成した場合は、複素ディジタルビデオ信号を、送信パルスの周波数が最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順になるように並べ替えた後に上記処理を行う。
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を振幅判定器22に出力する。振幅判定器22では、強度の大きい信号の距離を計測し、その距離情報を距離シフト器15、および距離逆シフト器17に出力する。距離シフト器15では、メモリー27aより、保存した合成帯域処理を実施するレンジビンのディジタルI、Qビデオ信号を取り出し、取り出したディジタルIビデオ信号を実部、ディジタルQビデオ信号を虚部とする式(5)で表される複素ディジタルビデオ信号に対して、振幅判定器22より入力された距離情報より求まるシフト距離Rs1を用いて式(11)で表される処理を行い、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を生成し、信号抑圧器16に出力する。ただし、周波数シンセサイザ2において、パルス繰り返し周期Tpri毎に周波数をランダムに生成した場合は、複素ディジタルビデオ信号を、送信パルスの周波数が最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順になるように並べ替えた後に上記処理を行う。
信号抑圧器16では、式(12)に示すように、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)に対して、予め定めた送信パルス数N未満の正の整数値αだけずらした距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n+α)から距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を引くことによって、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を生成し、距離逆シフト器17に出力する。距離逆シフト器17では、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)に対して、振幅判定器22より入力された距離情報より求まる距離シフト器15で用いたシフト距離Rs1と同じ値のシフト距離Rs2を用いて式(13)で表される処理を行い、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。
合成帯域器18では、距離逆シフト器17から入力された、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を式(15)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、包絡線検波器19からの入力信号を表示する。
また、上述した説明では、振幅判定器22において検出された、強度の大きい信号の距離が一つの場合について動作の説明をしたが、検出された強度の大きい信号の距離が複数ある場合は、図11または図12に示す処理を行う。すなわち、図11に示すように、距離逆シフト器17の出力信号である距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を距離シフト器15に戻し、距離シフト器15において、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を新たな複素ディジタルビデオ信号V(n)とし、今回抑圧したい距離の情報より求めた新たなシフト距離Rs1を用いて、式(11)の演算を行い、その結果を信号抑圧器16に出力する。そして、この距離シフト器15から距離逆シフト器17までの処理を抑圧したい距離の数だけ繰り返した後に、最終出力を距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)として合成帯域器18に出力する。
あるいは、図12に示すように、信号抑圧器16の出力信号である抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を距離シフト器15に戻し、距離シフト器15において、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を新たな複素ディジタルビデオ信号V(n)とし、前回抑圧した距離と、今回抑圧したい距離の差の情報より求めた新たなシフト距離Rs1を用いて、式(11)の演算を行い、その結果を信号抑圧器16に出力する。この距離シフト器15と信号抑圧器16の処理を振幅判定器22で検出された強度の大きい信号の距離の数だけ繰り返した後に、最終出力を抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)として、距離逆シフト器17に出力する。距離逆シフト器17では、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)に対して、これまで、距離シフト器15で用いたシフト距離の総和をシフト距離Rs2として式(13)で表される処理を行い、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。
このような処理を行うことによって、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、信号強度の大きな受信信号の存在する距離の振幅を0にする、すなわち、抑圧することができる。それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。さらに、実施の形態1、2のように、抑圧したい距離の情報を、レーダ装置の高度とアンテナ指向方向から求めたり、他のレーダシステムよりもらう必要がなくなる。
実施の形態4.
図13は、この発明の実施の形態4に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。図13における構成要素は、すでに実施の形態1、2及び3で示した通りである。
この実施の形態4に係るパルスレーダ装置の動作について説明する。図13に示す実施の形態4において、A/D変換器14a、14bまでの動作は実施の形態1と同様の動作である。A/D変換器14a、14bで生成されたディジタルI、Qビデオ信号は、合成帯域器18に出力されると共に、メモリー27aに出力される。メモリー27aでは、N個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から生成されたディジタルI、Qビデオ信号の中で、合成帯域処理を実施するレンジビンのディジタルI、Qビデオ信号を保存する。
一方、合成帯域器18では、メモリー27aに保存したディジタルIビデオ信号と同じディジタルIビデオ信号を実部、メモリー27aに保存したディジタルQビデオ信号と同じディジタルQビデオ信号を虚部とした、式(5)で表される複素ディジタルビデオ信号に対して、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、周波数シンセサイザ2において、パルス繰り返し周期Tpri毎に周波数をランダムに生成した場合は、複素ディジタルビデオ信号を、送信パルスの周波数が最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順になるように並べ替えた後に上記処理を行う。
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を振幅判定器22に出力する。振幅判定器22では、強度の大きい信号の距離を計測し、その距離情報を距離シフト器15、および距離逆シフト器17に出力する。距離シフト器15では、メモリー27aより、保存した合成帯域処理を実施するレンジビンのディジタルI、Qビデオ信号を取り出し、取り出したディジタルIビデオ信号を実部、ディジタルQビデオ信号を虚部とする式(5)で表される複素ディジタルビデオ信号に対して、振幅判定器22より入力された距離情報より求まるシフト距離Rs1を用いて式(12)で表される処理を行い、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を生成し、信号抑圧器16に出力する。ただし、周波数シンセサイザ2において、パルス繰り返し周期Tpri毎に周波数をランダムに生成した場合は、複素ディジタルビデオ信号を、送信パルスの周波数が最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順になるように並べ替えた後に上記処理を行う。
信号抑圧器16では、式(12)に示すように、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)に対して、予め定めた送信パルス数N未満の正の整数値αだけずらした距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n+α)から距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を引くことによって、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。合成帯域器18では、信号抑圧器16から入力された、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を式(18)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を距離補正器21に出力する。式(20)からも分かるように、距離シフト器15の作用によって包絡線検波後の出力信号は、相対距離Rの目標からの反射信号強度を相対距離Rからシフト距離Rs1だけ引いた距離を示している。距離補正器21では、振幅判定器22より入力された距離情報より求まる距離シフト器15で用いたシフト距離Rs1と同じ値のシフト距離Rs2を用いて包絡線検波後の出力信号に対し、図8に示す距離補正を行い、真の相対距離Rを求め、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、距離補正器21からの入力信号を表示する。
また、上述した説明では、振幅判定器22において検出された、強度の大きい信号の距離が一つの場合について動作の説明をしたが、検出された強度の大きい信号の距離が複数ある場合は、図14に示す処理を行う。すなわち、図14に示すように、信号抑圧器16の出力信号である抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を距離シフト器15に戻し、距離シフト器15において、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を新たな複素ディジタルビデオ信号V(n)とし、前回の抑圧した距離と、今回抑圧したい距離の差の情報より求めた新たなシフト距離Rs1を用いて、式(11)の演算を行い、その結果を信号抑圧器16に出力する。この距離シフト器15と信号抑圧器16の処理を抑圧したい距離の数だけ繰り返した後に、最終出力を抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)として、合成帯域器18に出力する。
合成帯域器18では、信号抑圧器16から入力された、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を式(18)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を距離補正器21に出力する。距離補正器21では、距離シフト器15で用いたシフト距離の総和をシフト距離Rs2として包絡線検波後の出力信号に対し、図8に示す距離補正を行い、真の相対距離Rを求め、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、距離補正器21からの入力信号を表示する。
このような処理を行うことによって、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、信号強度の大きな受信信号の存在する距離の振幅を0にする、すなわち、抑圧することができる。それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。さらに、実施の形態1、2のように、抑圧したい距離の情報を、レーダ装置の高度とアンテナ指向方向から求めたり、他のレーダシステムよりもらう必要がなくなる。加えて、実施の形態2と同様に式(13)で示した複素乗算が必要でないため、実施の形態3に比べ高速な処理が可能となる。
実施の形態5.
図15は、この発明の実施の形態5に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。図15に示す実施の形態5において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。図15に示す実施の形態5においては、信号抑圧器16で生成された抑圧後ビデオ信号を保存するメモリー27bと、包絡線検波器19を介した合成帯域器18による帯域の合成後の信号に対し、抑圧したい距離の信号強度が要求される強度よりも大きいかどうかの判断を行い、大きい場合にその判断情報を信号抑圧器16に出力する抑圧判断器23とをさらに備え、信号抑圧器16は、抑圧判断器23から抑圧したい距離の信号強度が要求される強度よりも大きいという判断情報が入力された場合に、メモリー27bから取り出した抑圧後ビデオ信号を新たな距離シフトビデオ信号として予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から距離シフトビデオ信号を引くことによって新たに抑圧後ビデオ信号を生成するようになされている。
この実施の形態5に係るパルスレーダ装置の動作について説明する。図15に示す実施の形態5において、A/D変換器14a、14bまでの動作は実施の形態1と同様の動作である。A/D変換器14a、14bで生成されたディジタルI、Qビデオ信号は、距離シフト器15に出力される。距離シフト器15では、N個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のディジタルIビデオ信号を実部、ディジタルQビデオ信号を虚部とした、式(5)で表される複素ディジタルビデオ信号に対して、予め、レーダ装置の高度とアンテナ指向方向から求めた、あるいは他のレーダシステムより得られた抑圧したい距離の情報より求まるシフト距離Rs1を用いて式(11)で表される処理を行い、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を生成し、信号抑圧器16に出力する。ただし、周波数シンセサイザ2において、パルス繰り返し周期Tpri毎に周波数をランダムに生成した場合は、複素ディジタルビデオ信号を、送信パルスの周波数が最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順になるように並べ替えた後に上記処理を行う。
信号抑圧器16では、式(12)に示すように、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)に対して、予め定めた送信パルス数N未満の正の整数値αだけずらした距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n+α)から距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を引くことによって、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を生成し、距離逆シフト器17に出力すると共にメモリー27bに出力する。メモリー27bでは、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を保存する。
一方、距離逆シフト器17では、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)に対して、抑圧したい距離の情報より求まる距離シフト器15で用いたシフト距離Rs1と同じ値のシフト距離Rs2を用いて式(13)で表される処理を行い、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。
合成帯域器18では、距離逆シフト器17から入力された、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を式(15)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を抑圧判断器23に出力する。
抑圧判断器23では、包絡線検波器からの入力信号に対して、抑圧したい距離の信号強度が、要求される強度よりも大きいかどうかの判断を行い、大きい場合は、大きいという情報を信号抑圧器16にもどす。また、小さい場合は、包絡線検波器からの入力信号をそのまま表示器20に出力する。表示器20では、包絡線検波器19からの入力信号を表示する。
信号抑圧器16では、抑圧判断器23より、抑圧したい距離の信号強度が、要求される強度よりも大きいという情報がきた場合は、メモリー27bより、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を取り出し、取り出した抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を新たな距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)とし式(12)で表される処理を行い、新たな抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を生成し、距離逆シフト器17に出力すると共にメモリー27bに出力する。メモリー27bでは、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を保存する。以降、信号抑圧器16から抑圧判断器23までの処理を、抑圧判断器23において、抑圧したい距離の信号強度が、要求される強度よりも小さくなるまで繰り返す。
このような処理を行うことによって、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、且つシフト距離Rs1の信号の振幅を0にする、すなわち、抑圧することができる。よって、信号強度の大きな受信信号の距離を抑圧したい距離として、上記処理を行うことにより、信号強度の大きな受信信号を抑圧することができ、それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。さらに、抑圧したい距離と信号強度の大きな受信信号の距離とに誤差があった場合にでも、信号強度の大きな受信信号を抑圧することができ、それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。
図16に、図4ないし図6と同様に、目標Aが150m,目標Bが200mの距離にあり、目標Bの受信信号強度が目標Aの受信信号強度よりも50dB小さい場合において、抑圧したい距離を149mとして、信号抑圧器16から抑圧判断器23までの処理を1回行った時の包絡線検波後信号の相対強度を、図17に、同じ条件で、信号抑圧器16から抑圧判断器23までの処理を2回行った時の包絡線検波後信号の相対強度を示す。図16及び図17より、信号抑圧器16から抑圧判断器23までの処理を1回行った時は、目標Bは目標Aのサイドローブと区別がつかず検出が困難であるのに対し、信号抑圧器16から抑圧判断器23までの処理を2回行った時は、目標Aを抑圧することができ、それに伴い目標Aのレンジサイドローブも抑圧され、目標Bが検出可能になることが分かる。
また、上述した説明では、実施の形態1で示したパルスレーダ装置の適用例を示したが、実施の形態2、3、4にも適用可能である。
実施の形態6.
図18は、この発明の実施の形態6に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。図18に示す実施の形態6において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。図18に示す実施の形態6においては、図1に示す実施の形態1に係る周波数シンセサイザ2の代わりにステップ周波数可変周波数シンセサイザ24を設けて、送信手段を、可変なステップ周波数で予め定めたパルス繰り返し周期毎にパルスを生成する送信手段に置き換えると共に、包絡線検波器19を介した合成帯域器18による帯域の合成後の信号を保存するメモリー27cと、メモリー27cに保存された帯域の合成後の信号と包絡線検波器19を介した合成帯域器18による帯域の合成後の信号とを同じ距離どうしで加算するレンジ合成器25とをさらに備えている。
この実施の形態6に係るパルスレーダ装置の動作について説明する。図18に示す実施の形態6において、タイミング発生器1では、パルス繰り返し周期Tpriの間隔で、周波数切換信号をステップ周波数可変周波数シンセサイザ24へ、パルス変調信号をパルス変調器6へ、送受切換信号を送受切替器8へそれぞれ出力する。ステップ周波数可変周波数シンセサイ24では、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、予め周波数、初期位相及びステップ周波数を定めたN種類の信号の中の一種類を、最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順に、あるいはランダムにパルス繰り返し周期Tpri毎に生成し、分配器3aに出力する。以降、分配器3aから包絡線検波器19までの処理は、上記実施の形態1と同様である。
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべての複素信号の振幅値を求め、その結果をメモリー27cに出力する。メモリー27cでは、包絡線検波器19から入力された複素信号の振幅値を保存する。次に、ステップ周波数可変周波数シンセサイザ24では、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、予め周波数、初期位相を定めたN種類の信号の中の一種類を、最も低い周波数から昇順に、あるいは最も高い周波数から降順に、あるいはランダムに、1回目とは異なるステップ周波数でパルス繰り返し周期Tpri毎に生成し、以降、分配器3aから包絡線検波器19までの処理は、上記実施の形態1と同様である。
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果をレンジ合成器25に出力する。レンジ合成器25では、メモリー27cに保存された信号と包絡線検波器19から入力された信号を、同じ距離どうしで、和、或いは2値化した後の論理和をとり、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、包絡線検波器19からの入力信号を表示する。
また、ここでは、ステップ周波数可変周波数シンセサイザ24から包絡線検波器19までの繰り返しが2回の場合について説明したが、ステップ周波数可変周波数シンセサイザ24において、毎回異なるステップ周波数を用い、ステップ周波数可変周波数シンセサイザ24から包絡線検波器19までの処理を2回以上繰り返し、その度に、包絡線検波器19の出力結果をすべてメモリー27cに保存し、レンジ合成器25で、メモリー27cに保存された全データに対し、同じ距離どうしで、和、或いは2値化した後の論理和をとってもかまわない。
このような処理を行うことによって、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、且つシフト距離Rs1の信号の振幅を0にする、すなわち、抑圧することができる。よって、信号強度の大きな受信信号の距離を抑圧したい距離として、上記処理を行うことにより、信号強度の大きな受信信号を抑圧することができ、それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。さらに、抑圧したい距離以外の距離の信号を抑圧することを抑制することができる。
図19に、抑圧したい距離を150mとして、ステップ周波数可変周波数シンセサイザ24において、ステップ周波数を749.482kHzとした場合の抑圧器23での抑圧度30、ステップ周波数を1123.223kHzとした場合の抑圧器23での抑圧度31、およびそれらの和の抑圧度32を示す。ステップ周波数を749.482kHzとした場合の抑圧器23での抑圧度30では、抑圧したい距離150の他に350mの抑圧度が大きくなり、また、ステップ周波数を1123.223kHzとした場合の抑圧器23での抑圧度31では、抑圧したい距離150の他に16.5m、283.5mの抑圧度が大きくなるのに対し、それらの和の抑圧度32では、抑圧したい距離である150mのみの抑圧度が大きくなっていることが分かる。
また、上述した説明では、実施の形態1で示したパルスレーダ装置の適用例を示したが、実施の形態2、3、4、5にも適用可能である。
実施の形態7.
図20は、この発明の実施の形態7に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。図20に示す実施の形態7において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。図20に示す実施の形態7においては、図1に示す実施の形態1の信号抑圧器16を、距離シフトビデオ信号をずらすN未満の正の整数の送信周波数番号が可変な可変信号抑圧器26に置き換えると共に、距離シフト器15からの距離シフトビデオ信号を保存するメモリー27eと、包絡線検波器19を介した合成帯域器18による帯域の合成後の信号を保存するメモリー27cと、メモリー27cに保存された帯域の合成後の信号と包絡線検波器19を介した合成帯域器18による帯域の合成後の信号とを同じ距離どうしで加算するレンジ合成器25とをさらに備え、可変信号抑圧器26により、メモリー27eから取り出した距離シフトビデオ信号に対して送信周波数番号を異なる値ずらして抑圧後ビデオ信号を生成するようになされている。
この実施の形態7に係るパルスレーダ装置の動作について説明する。図20に示す実施の形態7において、距離シフト器15までの動作は実施の形態1と同様の動作である。距離シフト器15で生成された距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)は、可変信号抑圧器26に出力されると共に、メモリー27eに出力される。メモリー27eでは、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を保存する。
一方、可変信号抑圧器26では、距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)から、ステップ数N未満の予め定めた整数値αだけ送信周波数番号をずらした信号V’(n+α)を生成し、式(12)に示すように、V’(n+α)からV’(n)を引くことによって、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)を生成し、距離逆シフト器17に出力する。距離逆シフト器17では、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gα’(n)に対して、抑圧したい距離の情報より求まる距離シフト器15で用いたシフト距離Rs1と同じ値のシフト距離Rs2を用いて式(13)で表される処理を行い、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。
合成帯域器18では、距離逆シフト器17から入力された、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)を式(15)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。包絡線検波器19は、包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果をメモリー27cに出力する。
メモリー27cでは、包絡線検波器19から入力された複素信号の振幅値を保存する。また、可変信号抑圧器26では、メモリー27eより保存した距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)を取り出し、取り出した距離シフト複素ディジタルビデオ信号V’(n)に対して、ステップ数N未満の予め定めた整数値であるかつ1回目の値と異なる整数値βだけ送信周波数番号をずらした信号V’(n+β)を生成し、式(21)に示すように、V’(n+β)からV’(n)を引くことによって、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gβ’(n)を生成し、距離逆シフト器17に出力する。
Figure 2005315738
距離逆シフト器17では、抑圧後複素ディジタルビデオ信号Gβ’(n)に対して、抑圧したい距離の情報より求まる距離シフト器15で用いたシフト距離Rs1と同じ値のシフト距離Rs2を用いて式(22)で表される処理を行い、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hβ’(n)を生成し、合成帯域器18に出力する。
Figure 2005315738
式(22)おいて、今、シフト距離Rs1とシフト距離Rs2が等しいために、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hβ’(n)は次式で表される。
Figure 2005315738
合成帯域器18では、距離逆シフト器17から入力された、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hβ’(n)を式(24)に示すように、逆フーリエ変換することによってパルス幅T以下の距離分解能ΔRを得る帯域の合成を行い、その結果を包絡線検波器19に出力する。ただし、距離逆シフト複素ディジタルビデオ信号Hα’(n)の逆フーリエ変換への入力点数がNより小さい場合は、0詰めを行う。
Figure 2005315738
包絡線検波器19では、合成帯域器18から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果をレンジ合成器25に出力する。レンジ合成器25では、メモリー27cに保存された信号と包絡線検波器19から入力された信号を、同じ距離どうしで、和、或いは2値化した後の論理和をとり、その結果を表示器20に出力する。表示器20では、包絡線検波器19からの入力信号を表示する。
また、ここでは、可変信号抑圧器26から包絡線検波器19までの繰り返しが2回の場合について説明したが、可変信号抑圧器26において、送信周波数番号を毎回異なる整数値ずらして、可変信号抑圧器26からから包絡線検波器19までの処理を2回以上繰り返し、その度に、包絡線検波器19の出力結果をすべてメモリー27cに保存し、レンジ合成器25で、メモリー27cに保存された全データに対し、同じ距離どうしで、和、或いは2値化した後の論理和をとってもかまわない。
このような処理を行うことによって、合成帯域処理による高分解能距離が得られ、且つシフト距離Rs1の信号の振幅を0にする、すなわち、抑圧することができる。よって、信号強度の大きな受信信号の距離を抑圧したい距離として、上記処理を行うことにより、信号強度の大きな受信信号を抑圧することができ、それに伴い、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブも抑圧され、信号強度の大きな受信信号のレンジサイドローブに埋もれることなく、信号強度の小さな受信信号の検出が可能となる。また、窓関数を用いていないため、距離分解能が劣化することはない。さらに、抑圧したい距離以外の距離の信号を抑圧することを抑制することができる。
図21に、抑圧したい距離を150mとして、可変信号抑圧器26において、送信周波数番号を2ずらした場合の抑圧器23での抑圧度33、送信周波数番号を3ずらした場合の抑圧器23での抑圧度34、およびそれらの和の抑圧度35を示す。送信周波数番号を2ずらした場合の抑圧器23での抑圧度33では、抑圧したい距離150の他に350mの抑圧度が大きくなり、また、送信周波数番号を3ずらした場合の抑圧器23での抑圧度34では、抑圧したい距離150の他に16.5m、283.5mの抑圧度が大きくなるのに対し、それらの和の抑圧度35では、抑圧したい距離である150mのみの抑圧度が大きくなっていることが分かる。
また、上述した説明では、実施の形態1で示したパルスレーダ装置の適用例を示したが、実施の形態2、3、4、5にも適用可能である。
この発明の実施の形態1に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1の変形例に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1の他の変形例に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 目標Aが150m,目標Bが200mの距離にあり、目標Bの受信信号強度が目標Aの受信信号強度よりも50dB小さい場合に、窓関数を用いずに合成帯域処理を行った時の包絡線検波後信号の相対強度を示す図である。 目標Aが150m,目標Bが200mの距離にあり、目標Bの受信信号強度が目標Aの受信信号強度よりも50dB小さい場合に、窓関数としてHamming窓を用いて合成帯域処理を行った時の包絡線検波後信号の相対強度を示す図である。 目標Aが150m,目標Bが200mの距離にあり、目標Bの受信信号強度が目標Aの受信信号強度よりも50dB小さい場合に、この発明の実施の形態1に係る処理を行った時の包絡線検波後信号の相対強度を示す図である。 この発明の実施の形態2に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 図7の距離補正器21の動作を説明する図である。 この発明の実施の形態2の変形例に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3の他の変形例に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3のさらに他の変形例に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4の他の変形例に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態5に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 目標Aが150m,目標Bが200mの距離にあり、目標Bの受信信号強度が目標Aの受信信号強度よりも50dB小さい場合に、抑圧したい距離を149mとして、この発明の実施の形態5に係る信号抑圧器16から抑圧判断器23までの処理を1回行った時の包絡線検波後信号の相対強度を示す図である。 図16と同じ条件で、この発明の実施の形態5に係る信号抑圧器16から抑圧判断器23までの処理を2回行った時の包絡線検波後信号の相対強度を示す図である。 この発明の実施の形態6に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 抑圧したい距離を150mとして、この発明の実施の形態6に係るステップ周波数可変周波数シンセサイザ24においてステップ周波数を749.482kHzと1123.223kHzとした場合の抑圧器23での抑圧度を示す図である。 この発明の実施の形態7に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。 抑圧したい距離を150mとして、この発明の実施の形態7に係る可変信号抑圧器26において送信周波数番号を2と3ずらした場合の抑圧器23での抑圧度を示す図である。
符号の説明
1 タイミング発生器、2 周波数シンセサイザ、3a,3b 分配器、4 基準中間周波数信号発生器、5a,5b 周波数変換機、6 パルス変調器、7 電力増幅器、8 送受切替器、9 アンテナ、10 目標、11 中間周波数増幅器、12 90度ハイブリッド器、13a,13b 位相検波器、14a,14b A/D変換器、15 距離シフト器、16 信号抑圧器、17 距離逆シフト器、18 合成帯域器、19 包絡線検波器、20 表示器、21 距離補正器、22 振幅判定器、23 抑圧判断器、25 レンジ合成器、26 可変信号抑圧器、27a,27b,27c,27e メモリー。

Claims (10)

  1. 予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、
    前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、
    N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し所定のシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、
    前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、
    前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて前記距離シフト器の距離シフト方向とは逆方向に距離をシフトさせて距離逆シフトビデオ信号を生成する距離逆シフト器と、
    前記距離逆シフト器からの距離逆シフトビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と
    を備えたパルスレーダ装置。
  2. 予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、
    前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、
    N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し所定のシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、
    前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、
    前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、
    前記合成帯域器による帯域の合成後の信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて距離を補正する距離補正器と
    を備えたパルスレーダ装置。
  3. 予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、
    前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、
    前記受信手段からのビデオ信号を保存するメモリーと、
    N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、
    前記合成帯域器による帯域の合成後の信号から強度の大きい信号の距離を計測しその距離情報を出力する振幅判定器と、
    前記メモリーより取り出したビデオ信号に対し前記振幅判定器からの距離情報より求まるシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、
    前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、
    前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて前記距離シフト器の距離シフト方向とは逆方向に距離をシフトさせて距離逆シフトビデオ信号を生成する距離逆シフト器と、
    前記距離逆シフト器からの距離逆シフトビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と
    を備えたパルスレーダ装置。
  4. 予め定めたパルス繰り返し周期とパルス幅で、パルス毎に送信周波数を予め定めたステップ周波数間隔毎に変化させてパルスを送信する送信手段と、
    前記パルス繰り返し周期毎に得られる各送信パルスに対する受信信号からそれぞれ送信周波数に応じた局部発信信号を用いてビデオ信号を生成する受信手段と、
    前記受信手段からのビデオ信号を保存するメモリーと、
    N(2以上の整数)個の周波数の異なる送信パルスに対する受信信号から得られた同じレンジビン番号のビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、
    前記合成帯域器による帯域の合成後の信号から強度の大きい信号の距離を計測しその距離情報を出力する振幅判定器と、
    前記メモリーより取り出したビデオ信号に対し前記振幅判定器からの距離情報より求まるシフト距離を用いて距離をシフトさせた距離シフトビデオ信号を生成する距離シフト器と、
    前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号に対して予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって抑圧後ビデオ信号を生成する信号抑圧器と、
    前記信号抑圧器からの抑圧後ビデオ信号に対し帯域の合成を行う合成帯域器と、
    前記合成帯域器による帯域の合成後の信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離と同じ値のシフト距離を用いて距離を補正する距離補正器と
    を備えたパルスレーダ装置。
  5. 請求項1または3に記載のパルスレーダ装置において、
    前記距離シフト器は、前記距離逆シフト器で生成された距離逆シフトビデオ信号を新たなビデオ信号として新たなシフト距離を用いて距離シフトさせた距離シフトビデオ信号を生成し、
    前記合成帯域器は、前記距離シフト器から前記距離逆シフト器までの処理を距離情報の数だけ繰り返した後の前記距離逆シフト器からの距離逆シフトビデオ信号に対し帯域の合成を行う
    ことを特徴とするパルスレーダ装置。
  6. 請求項1または3に記載のパルスレーダ装置において、
    前記距離シフト器は、前記信号抑圧器で生成された抑圧後ビデオ信号を新たなビデオ信号として新たなシフト距離を用いて距離シフトさせた距離シフトビデオ信号を生成し、
    距離逆シフト器は、前記距離シフト器と前記信号抑圧器との処理を距離情報の数だけ繰り返した後の抑圧後ビデオ信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離の総和と同じ値のシフト距離を用いて前記距離シフト器の距離シフト方向とは逆方向に距離をシフトさせて距離逆シフトビデオ信号を生成する
    ことを特徴とするパルスレーダ装置。
  7. 請求項2または4に記載のパルスレーダ装置において、
    前記距離シフト器は、前記信号抑圧器で生成された抑圧後ビデオ信号を新たな距離シフトビデオ信号として新たなシフト距離を用いて距離シフトさせた距離シフトビデオ信号を生成し、
    前記合成処理器は、前記距離シフト器と前記信号抑圧器との処理を距離情報の数だけ繰り返した後の抑圧後ビデオ信号に対し帯域の合成を行い、
    前記距離補正器は、前記合成帯域器による帯域の合成後の信号に対し前記距離シフト器で用いたシフト距離の総和と同じ値のシフト距離を用いて距離を補正する
    ことを特徴とするパルスレーダ装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパルスレーダ装置において、
    前記信号抑圧器で生成された抑圧後ビデオ信号を保存するメモリーと、
    前記合成帯域器による帯域の合成後の信号に対し、抑圧したい距離の信号強度が要求される強度よりも大きいかどうかの判断を行い、大きい場合にその判断情報を前記信号抑圧器に出力する抑圧判断器と
    をさらに備え、
    前記信号抑圧器は、前記抑圧判断器から抑圧したい距離の信号強度が要求される強度よりも大きいという判断情報が入力された場合に、前記メモリーから取り出した抑圧後ビデオ信号を新たな距離シフトビデオ信号として予め定めたN未満の正の整数値だけ送信周波数番号をずらした距離シフトビデオ信号から前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を引くことによって新たな抑圧後ビデオ信号を生成する
    ことを特徴とするパルスレーダ装置。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパルスレーダ装置において、
    前記送信手段を、可変なステップ周波数で予め定めたパルス繰り返し周期毎にパルスを生成する送信手段に置き換えると共に、
    前記合成帯域器による帯域の合成後の信号を保存するメモリーと、
    前記メモリーに保存された帯域の合成後の信号と前記合成帯域器による帯域の合成後の信号とを同じ距離どうしで加算するレンジ合成器と
    をさらに備えた
    ことを特徴とするパルスレーダ装置。
  10. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパルスレーダ装置において、
    前記信号抑圧器を、距離シフトビデオ信号をずらすN未満の正の整数の送信周波数番号が可変な可変信号抑圧器に置き換えると共に、
    前記距離シフト器からの距離シフトビデオ信号を保存するメモリーと、
    前記合成帯域器による帯域の合成後の信号を保存するメモリーと、
    前記メモリーに保存された帯域の合成後の信号と前記合成帯域器による帯域の合成後の信号とを同じ距離どうしで加算するレンジ合成器と
    をさらに備え、
    前記可変信号抑圧器は、前記メモリーから取り出した距離シフトビデオ信号に対して送信周波数番号を異なる値ずらして抑圧後ビデオ信号を生成する
    ことを特徴とするパルスレーダ装置。
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