以下、本発明を具体化した車両用空調装置およびその開閉手段の開閉制御方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1,図2を参照し、車両用空調装置の一例として、ガスセンサ10を用い、排気ガス中の特定ガスの濃度変化に応じて内外気の取り入れの制御を行うオートベンチレーションシステム100の構成の概略について説明する。図1は、オートベンチレーションシステム100の構成の概略を示す図である。図2は、RAM18の記憶エリアを示す概念図である。
図1に示す、第1の実施の形態のオートベンチレーションシステム100は、ガスセンサ10に設けられたガスセンサ素子12によって検出される車室外の排気ガス中の特定ガスの濃度変化に基づいて、自動車の車室内への外気導入(車室外の空気を車室内へ導入することをいう。)と、車室内での内気循環(車室内から排出した空気を再度、車室内へ戻し循環させることをいう。)との切り替えを行うシステムである。なお、ガスセンサ素子12は酸化物半導体であり、外気環境に存在する排気ガス中のNOx等の酸化性ガスに反応し、その濃度に応じて抵抗値Rsが変化する。
図1に示すように、自動車の車室内に接続され、内部にファン27が設けられたダクト25には、外気を導入するための外気導入ダクト23と、内気を循環させるための内気循環ダクト24とが接続されている。そして、フラップ26によって、外気導入ダクト23および内気循環ダクト24と、ダクト25との接続の切り替えが行われるようになっている。つまり、フラップ26が、内気循環時には全閉位置Xに位置されることによってダクト25と外気導入ダクト23との接続が遮断され、外気導入時には全開位置Zに位置されることによってダクト25と内気循環ダクト24との接続が遮断される。ここで、本発明において、フラップ26の「開」・「閉」は、車室内外の大気連通を基準とし、ダクト25と外気導入ダクト23とが開放され連通した状態を「開」、閉鎖され遮断した状態を「閉」としている。なお、外気導入ダクト23および内気循環ダクト24がそれぞれ、本発明における「外気取り入れ口」および「内気取り入れ口」に相当し、フラップ26が、本発明における「開閉手段」に相当する。
オートベンチレーションシステム100には、フラップ26を回動させるステップモータ22と、ステップモータ22への駆動電圧の印加や駆動量の制御を行うフラップ駆動回路21と、ガスセンサ素子12の検出結果を出力するガスセンサ10と、ガスセンサ10の出力値に基づき車室外(外気環境)の排気ガス中の酸化性ガスの濃度変化を検出し、これに応じてフラップ26の開閉状態を指示するためのフラップ開閉信号(フラップ開閉信号については後述する。)をフラップ駆動回路21に出力する制御部19とが設けられている。なお、ステップモータ22が、本発明における「駆動手段」に相当する。
まず、ガスセンサ10では、ガスセンサ素子12と、固有抵抗値Rdの抵抗器11とが直列に接続されて分圧回路を形成し、ガスセンサ素子12の一端が接地されている。そして、抵抗器11の一端には、電圧Vcc(本実施の形態の例では5V)が印加されるようになっている。なお、第1の実施の形態では、ガスセンサ素子12には三酸化タングステン(WO3)が使用されており、外気環境の酸化性ガスの濃度が上昇すると抵抗値Rsが上昇するようになっている。
ガスセンサ素子12と抵抗器11との分圧点には制御部19のバッファ素子13の入力側が接続されており、ガスセンサ素子12の抵抗値Rsの大きさに基づいて変化する出力電位Vsが、バッファ素子13に入力されるようになっている。抵抗器11の抵抗値Rdは一定であることから、酸化性ガスの濃度が上がりガスセンサ素子12の抵抗値Rsが上昇すると、ガスセンサ素子12の出力、すなわちバッファ素子13に入力される出力電位Vsが大きくなるように構成されている。
バッファ素子13の出力側にはA/D変換器14の入力側が接続されており、バッファ素子13の出力(出力電位Vs)はA/D変換器14に入力されるとデジタル信号化され、センサ出力値G(n)としてA/D変換器14より出力される。そして、A/D変換器14の出力側はワンチップマイコン15の入力側の一つに接続されている。なお、センサ出力値G(n)の取りうる値は、例えば0〜255となっており、これは、出力電位Vsの取りうる0V〜5Vの値を256分割した場合に対応する数値となっている。
また、ワンチップマイコン15の出力側の一つには、ガスセンサ素子12の近傍に配置されたヒータ30のオン・オフを行うスイッチング素子31が接続されている。ヒータ30は、ガスセンサ10の使用時にガスセンサ素子12を昇温させることで、ガスセンサ素子12に吸着、付着したガスや水分を解離、蒸発させ、ガスセンサ素子12の抵抗値Rsを早期に活性化させるために使用される。本実施の形態では、ヒータ30は、ガスセンサ素子12とともに同一の絶縁性セラミック基板上に設けている。
ワンチップマイコン15はCPU17、ROM16、RAM18を備え、ROM16の所定の記憶エリアに、後述するフラップ制御プログラムや、フラップ制御プログラムで使用される変数の初期値やしきい値TH等が記憶されている。ワンチップマイコン15の出力側の一つにはフラップ駆動回路21が接続されており、CPU17によるフラップ制御プログラムの実行に従って出力されるフラップ開閉信号(全開信号、半開信号または全閉信号)が、フラップ駆動回路21に入力されるようになっている。また、フラップ駆動回路21にはステップモータ22が接続されており、フラップ駆動回路21に入力されるフラップ開閉信号に基づいて、フラップ駆動回路21から駆動電圧が印加されるようになっている。ステップモータ22としては、例えばステッピングモータやソレノイドなどが使用され、その駆動力によってフラップ26が回動されるようになっている。
ここで、フラップ開閉信号について説明する。フラップ開閉信号には、全開信号、全閉信号および半開信号の3種類の信号が設定されている。全開信号は、フラップ26が全開位置Zに位置されるように、ステップモータ22を駆動させるための制御信号である。全閉信号は、フラップ26が全閉位置Xに位置されるように、ステップモータ22を駆動させるための制御信号である。そして、半開信号は、フラップ26が全開位置Zと全閉位置Xとの間の位置である半開位置Yに位置されるように、ステップモータ22を駆動させるための制御信号である。第1の実施の形態において、半開位置Yは、車室外の空気が車室内に流入する時間当たりの流量が、全開の場合の略半分となる位置として設定されている。
なお、図2に示すように、ワンチップマイコン15のRAM18には、フラグ記憶エリア181と、タイマ・カウンタ記憶エリア182と、変数記憶エリア183とが設けられている。
フラグ記憶エリア181には、後述するフラップ制御プログラムで使用されるタイマ作動フラグFT1、渋滞中フラグFJおよびガス検出フラグFcが記憶されている。タイマ作動フラグFT1には、後述するタイマT1が作動中か否かを示すフラグで、作動中には「1」、非作動中には「0」が記憶される。渋滞中フラグFJは、渋滞中か否かを示すフラグで、渋滞中と判断された場合には「1」が、そうでなければ「0」が記憶される。なお、第1の実施の形態において、渋滞中とは、車室外の外気環境が今後も悪化すると判断した状態であり、すなわち排気ガスによる外気環境の汚染が頻繁に検出されている状態が継続すると判断した状態である。また、ガス検出フラグFcは、排気ガスを検出した状態にあるか否かを示すフラグであり、ガスセンサ10からのセンサ出力値G(n)に基づいて、外気環境が排気ガスにより汚染された(以下、単に「排気ガスを検出した」ともいう。)か否かを検出し、排気ガスを検出したと判断された場合には「1」が、そうでなければ「0」が記憶される。
タイマ・カウンタ記憶エリア182には、検出回数C、タイマT1およびサンプリングカウンタnが記憶される。検出回数Cは、ガスセンサ10が排気ガスを検出した回数(外気環境が汚染されたと検出した回数)をカウントするためのカウンタであり、排気ガスを検出していない状態から検出した状態となったときに「1」加算される。タイマT1は、検出回数をカウントするにあたって、そのカウントを継続して行う所定時間の計時をするためのタイマであり、フラグ記憶エリア181には時間カウント値(タイマとして機能するため、時間と時間カウント値との関連付けがなされているものとする。)が記憶される。また、サンプリングカウンタnは、ガスセンサ10によるサンプリングが行われた回数をカウントするためのカウンタである。後述するセンサ出力値取得処理(図3のS2参照)が実行されると「1」加算される。
また、変数記憶エリア183には、センサ出力値G(n),G(n−1)と、検出頻度Pが記憶される。センサ出力値G(n),G(n−1)には、ガスセンサ10より出力される0〜255のいずれかの値が、サンプリングカウンタnの値と対応付けて記憶される。後述するが、フラップ制御プログラムでは、排気ガスが検出されたか否かの判断を、2回分のサンプリングにおけるセンサ出力値の差分に基づき行っている。このため、最新の第n回目のサンプリングにおいて取得されたセンサ出力値G(n)を記憶するための記憶エリアと、前回の第n−1回目のサンプリングにおいて取得されたセンサ出力値G(n−1)を記憶するための記憶エリアとが設けられている。そして、新たにガスセンサ10によるサンプリングが行われるごとに、nの値の最も小さい記憶エリア、すなわち(n−1,G(n−1))の記憶エリアが(n,G(n))として上書きされる。例えば11サンプリング目(n=11である場合)に、ガスセンサ10のセンサ出力値としてG(11)が取得されたとき、センサ出力値の記憶エリアには(10,G(10))と(9,G(9))が記憶されている。そこで、(9,G(9))の記憶された記憶エリアに(11,G(11))が上書き記憶される。これにより、センサ出力値の記憶エリアには(10,G(10))と(11,G(11))が記憶されることとなる。このように、センサ出力値の(n,G(n))と(n−1,G(n−1))には、常に、最新の2回分のサンプリングにおいてガスセンサ10より出力された値が記憶されていることとなる。
また、検出頻度Pには、所定時間内にガスセンサ10により排気ガスが検出された回数に基づいて、数段階にランク分けした値(第1の実施の形態では0,1,2のいずれかの値をとり、0よりも2である方が排気ガスの検出の頻度に対するランクが高い。)が記憶される。
また、RAM18には、図示外の各種記憶エリアが設けられており、後述するフラップ制御プログラムも所定の記憶エリアに読み込まれて実行される。
このような構成のオートベンチレーションシステム100において、ガスセンサ素子12は自動車の車室外に配置される。そして、排気ガス中の酸化性ガスの濃度に応じて抵抗値Rsが変化すると、バッファ素子13に入力される出力電位Vsも変化する。バッファ素子13の出力はA/D変換器14にてセンサ出力値G(n)としてデジタル信号化され、ワンチップマイコン15に入力される。ワンチップマイコン15ではフラップ制御プログラムが実行され、センサ出力値G(n)に基づくフラップ26の開閉の制御が行われる。
フラップ制御プログラムでは、排気ガスを検出すると全閉信号を出力して車室内への内気循環を行わせ、非検出状態となると全開信号を出力して外気導入を行わせる。さらに、排気ガスを検出した頻度に基づいて渋滞中であるか否かの判断を行っている。そして、渋滞中と判断すれば、排気ガスを検出していないときに全開信号の代わりに半開信号を出すことで、フラップ26の駆動を半開位置Yで停止させて、次に排気ガスを検出したときに素早くフラップ26を閉じることができるように制御している。
以下、このフラップ制御プログラムについて、図3〜図6を参照して説明する。図3は、フラップ制御プログラムのメインルーチンのフローチャートである。図4は、検出回数カウンタ更新処理のフローチャートである。図5は、渋滞判断処理のフローチャートである。図6は、一定時間内検出回数確認処理のフローチャートである。なお、フローチャートの各ステップを「S」と略記する。
フラップ制御プログラムは、ガスセンサ10の起動時にROM16から読み出され、実行される。後述するが、フラップ制御プログラムのメインルーチンは0.4秒に一度、各処理が繰り返して実行されるようにタイミング調整が行われている。図3に示すように、フラップ制御プログラムが実行されると、まず、初期化処理が行われる(S1)。初期化処理では、RAM18のフラグ記憶エリア181,タイマ・カウンタ記憶エリア182および変数記憶エリア183の各記憶エリアが初期化されて「0」が記憶される。次いで、検出頻度Pに「1」が記憶される。すなわち、各フラグおよびカウンタのうち、FT1,FJ,Fc,C,T1,G(n)には「0」がセットされ、Pには「1」がセットされる。
次に、センサ出力値取得処理が行われる(S2)。このセンサ出力値取得処理では、ガスセンサ10より出力されたセンサ出力値G(n)が、変数記憶エリア183に記憶される。そして、検出回数カウンタ更新処理が実行される(S3)。この処理では図4に示すサブルーチンがコールされる。図4に示すように、検出回数カウンタ更新処理では、まず、排気ガスが検出されたか否かの確認が行われる(S15)。この処理ではセンサ出力値G(n)と前回取得されたセンサ出力値G(n−1)との差分値(=G(n)−G(n−1))が、あらかじめ決められROM16に記憶された所定のしきい値THと比較され、そのしきい値TH以上の値である場合には排気ガスを検出した(外気環境が排気ガスにより汚染された)と判断され、しきい値TH未満の値である場合には非検出(外気環境が清浄である)として判断される。このしきい値THによって、ガスセンサ素子12により検出された排気ガス中の酸化性ガスの濃度に応じ、車室外が排気ガスにより汚染された状態にあるとするかしないか、その濃度レベルが決定されることとなる。このように、第1の実施の形態ではあらかじめ実験等によりしきい値THを決定しているが、利用者によって任意に変更可能として、排気ガスに対する感度を変えられるようにしてもよい。なお、ガスセンサ10およびS3の処理で、センサ出力値G(n)に基づき外気環境が排気ガスにより汚染されたか否かを判断(検出)するCPU17が、本発明における「ガスセンサ」に相当する。
排気ガスを検出していない状態では(S15:NO)、ガス検出フラグFcの値は「0」となっているので(S16:NO)、そのままメインルーチンに戻る。次回以降の検出回数カウンタ更新処理において、排気ガスを検出したと判断されると(S15:YES)、非検出の状態から検出の状態となった場合にはまだFc=0であるので(S18:NO)、検出回数Cの値が「1」加算され、ガス検出フラグFcに「1」が記憶され(S19)、メインルーチンに戻る。さらに以降の検出回数カウンタ更新処理では、Fc=1となっているので(S18:YES)、そのままメインルーチンに戻る。そして、メインルーチンの各処理が繰り返し実行される間に排気ガスが検出されなくなると(S15:NO)、ガス検出フラグFcがリセットされて(S16:YES,S17)、メインルーチンに戻る。
このように、第1の実施の形態では、ガスセンサ10により検出された車室外の外気環境の状態が、汚染されていない状態(清浄状態)から排気ガスの濃度上昇により汚染された状態となって、また汚染されていない状態に戻るまでを1回の検出サイクルとして、その検出サイクルの発生回数を検出回数Cとしてカウントしている。つまり、外気環境が汚染されていない状態から汚染された状態となったときをカウントすれば、排気ガスを検出した回数を知ることができる。
図3に示すフラップ制御プログラムのメインルーチンでは、センサ出力値取得処理(S2)、検出回数カウンタ更新処理(S3)に次いで、渋滞判断処理が実行される(S4)。この処理では図5に示すサブルーチンがコールされる。図5に示すように、この渋滞判断処理では、まず、後述する一定時間内検出回数確認処理(図6参照)がコールされ(S25)、その処理によって変動される検出頻度Pの値に基づいて、渋滞中であるか否かの判断が行われる。検出頻度Pは0,1,2のいずれかの値を取るが、P=0またはP=1の場合には(S26:NO)、渋滞中とは判断されず、渋滞中フラグFJに「0」が記憶される(S28)。一方、P=2の場合には(S26:YES)、渋滞中として渋滞中フラグFJに「1」が記憶される(S27)[外気環境判断工程]。そしてメインルーチンに戻る。なお、S26の処理で、検出頻度Pの値に基づいて渋滞中か否かの判断を行うCPU17が、本発明の請求項1における「外気環境判断手段」に相当する。
渋滞判断処理が終了すると、図3に示すフラップ制御プログラムでは、フラップ26の開閉の制御が行われる。排気ガスが検出された状態では(S5:YES)、フラップ26が完全に閉じられるように全閉信号が出力され(S7)、車室内への外気導入が遮断される。排気ガスが検出されてなく(S5:NO)、FJ=0であって渋滞中とは判断されていなければ(S6:NO)、フラップ26が完全に開かれるように全開信号が出力され(S9)、車室内への外気導入が行われる[外気環境正常時開閉手段開放工程]。そして、FJ=1であって渋滞中と判断された場合には(S6:YES)、次に排気ガスが検出されたときにすぐにフラップ26を閉じることができるように、半開信号が出力される(S8)[外気環境悪化予測時開閉手段開放工程]。これにより、フラップ26は半開位置Y(図1参照)に位置されることとなる。なお、S6の処理で、渋滞中か否かの判断結果に基づきフラップ26の全開信号または半開信号の出力を行うように制御するCPU17が、本発明における「開閉手段駆動制御手段」に相当する。
そして、これらフラップ開閉信号の出力処理が終わると、続くS10の処理では、ガスセンサ10による1回のサンプリングが0.4秒毎に行われるようにするため、その時間の調整(すなわち0.4秒間の待機)が行われる(S10:NO)。サンプリング時間がタイムアップ(すなわち0.4秒間が経過)すれば(S10:YES)、S2に戻り、上記各処理が繰り返され、排気ガスの検出結果および渋滞判断処理による渋滞中か否かの判断結果に基づき、フラップ26の開閉が制御される。
このようにフラップ26の開閉の制御を行うため、渋滞判断処理からコールされる一定時間内検出回数確認処理(図6参照)では、10分間に排気ガスを検出した回数(検出回数C)がカウントされ、その検出回数Cの大小に応じて検出頻度Pが決定される。図6に示すように、一定時間内検出回数確認処理がコールされると、まず、タイマT1が作動中であるか否かの確認が行われる(S35)。初めてこのサブルーチンがコールされたときにはタイマT1は作動してなくタイマ作動フラグFT1の値が「0」であるため(S35:NO)、タイマT1がスタートされ(S36)、タイマ作動フラグFT1に「1」が記憶されて(S37)、渋滞判断処理に戻る。
次回以降はタイマT1が作動しており(S35:YES)、このタイマT1により10分間の計時がなされるまでは、そのまま渋滞判断処理に戻る(S38:NO)。その間、継続して排気ガスの検出が行われており、検出回数Cもカウントされている。
そして、タイマT1の動作開始から10分が経過すると(S38:YES)、継続してカウントされていた検出回数Cの値が参照され、10分間における排気ガスの検出回数Cに応じて排気ガスの検出頻度Pが決定される。すなわち、排気ガスの検出回数が10回より多い場合には(S39:YES)、検出頻度Pに「2」が記憶され(S43)、5回より多く10回以下である場合には(S39:NO,S40:YES)、検出頻度Pに「1」が記憶され(S42)、5回以下である場合には(S39:NO,S40:NO)、検出頻度Pに「0」が記憶される(S41)。
さらに、タイマT1がリセットされ(S44)、タイマ作動フラグFT1および検出回数Cの値に「0」が記憶されて(S45)、渋滞判断処理に戻る。これにより、次回、一定時間内検出回数確認処理がコールされると、タイマT1による計時が再度、最初から開始され、排気ガスの検出回数Cも0よりカウントされることとなる。こうして、10分ごとに排気ガスの検出頻度Pが更新され、これにあわせたフラップ26の開閉の制御が行われる。
以上説明したように、第1の実施の形態の車両用空調装置では、ガスセンサ10の備えるガスセンサ素子12によって排気ガス中の酸化性ガスが検出され、その濃度変化に基づいて外気環境の排気ガスによる汚染の有無の検出が行われる。汚染された状態と判断されるとフラップ26が閉じられ、車室外と車室内との連通が切断される。また、外気環境の汚染の有無の検出は0.4秒に一度行われるが、非検出(清浄)の状態から検出(汚染)の状態となって、また非検出(清浄)の状態に戻るまでを1回の検出サイクルとする排気ガスの検出回数Cがカウントされる。そして、一定時間内(例えば10分間)における検出回数Cによって3段階のランク付け(検出頻度P)が行われている。このとき、もっともランクの高い状態(検出頻度Pの値が「2」である状態)に、渋滞中、すなわち、外気環境が今後も悪化するとの判断を行っている。渋滞中であると判断されると、車室外が排気ガスによって汚染されていない状態の場合でもフラップ26を全開とはせず、半開とすることで、汚染された状態が検出された場合に、すぐに、フラップ26を全閉とすることができるようにしている。こうすることで、頻繁に排気ガスが検出される渋滞中には、排気ガスが車室内に流入することがないように、フラップ26の閉鎖を素早く行うことができる。
次に、車両用空調装置の第2の実施の形態について、図7,図8を参照して説明する。図7は、第2の実施の形態の渋滞判断処理のフローチャートである。図8は、第2の実施の形態の所定回数検出時間確認処理のフローチャートである。
第2の実施の形態の車両用空調装置におけるフラップ制御プログラムは、第1の実施の形態におけるフラップ制御プログラムの渋滞判断処理を、排気ガスの検出が所定回数(この実施の形態では5回)行われるまでにかかった時間に基づいて行った。従って、その他の部分は第1の実施の形態と同様であるので、ここでは渋滞判断処理を中心に説明し、その他の部分については省略または簡略化して説明する。なお、第2の実施の形態では、RAM18のタイマ・カウンタ記憶エリア182に経過時間を計測するためのタイマT2の記憶領域を設けた。また、タイマT2の作動状態を検出するためのフラグとして、タイマ作動フラグFT2を、フラグ記憶エリア181に設けた。これら各記憶エリアの値は、初期化処理(S1)において「0」とされる。
第2の実施の形態のフラップ制御プログラムでは、図3のS4で、図7に示す渋滞判断処理がコールされる。図7に示す渋滞判断処理では、後述する所定回数検出時間確認処理(図8参照)がコールされ(S50)、その処理の結果としての検出頻度Pの値に基づいて、第1の実施の形態と同様に渋滞中であるか否かが判断される。すなわち、P=2でなければ(S51:NO)、渋滞中とは判断されず、渋滞中フラグFJに「0」が記憶される(S53)。一方、P=2であれば(S51:YES)、渋滞中として渋滞中フラグFJに「1」が記憶される(S52)[外気環境判断工程]。そして図3に示すメインルーチンに戻り、排気ガスの検出の有無および渋滞中フラグFJの値に基づくフラップ開閉信号の出力が行われることは、第1の実施の形態と同様である。なお、S51の処理で、検出頻度Pの値に基づいて渋滞中か否かの判断を行うCPU17が、本発明の請求項2における「外気環境判断手段」に相当する。
このようなフラップ26の開閉の制御を行うため、排気ガスの検出頻度Pを決定する所定回数検出時間確認処理では、図8に示すように、まず、排気ガスが検出されているか否か(Fc=1か否か)が確認される(S60)。初期の状態ではまだ排気ガスが検出されておらず(S60:NO)、タイマT1も非作動であるのでタイマ作動フラグFT1の値も「0」となっており(S70:NO)、そのまま渋滞判断処理に戻る。フラップ制御プログラムの各処理が繰り返し実行される間に排気ガスが検出されると、所定回数検出時間確認処理ではタイマT1がスタートされ(S60:YES,S61:NO,S62)、タイマ作動フラグFT1に「1」が記憶される(S63)。そして、渋滞判断処理に戻る。なお、この回のフラップ制御プログラムの実行において、検出回数カウンタ更新処理(S3)では検出回数Cの値が「1」加算されている(図3参照)。
タイマT1のスタート後、排気ガスが検出されている状態が継続していれば、まだタイマT2はスタートされていないので(S60:YES,S61:YES,S64:NO)、そのまま渋滞判断処理に戻る。そして、この状態で排気ガスが検出されなくなると(S60:NO,S70:YES)、まだタイマT2は作動しておらずFT2=0であるので(S71:NO)、検出回数Cの値が「5」でないか確認が行われた後(S72:NO)、タイマT2がスタートされ(S73)、さらにタイマ作動フラグFT2に「1」が記憶されて(S74)、渋滞判断処理に戻る。すなわち、タイマT2は、車室外の排気ガスによる汚染状態が、汚染されていない状態から汚染された状態となって、また汚染されていない状態に戻った1回の検出サイクルが終了したときに、計時が開始される。
以後、排気ガスが検出されない間はFT1=1,FT2=1となっているので(S60:NO,S70:YES,S71:YES)、所定回数検出時間確認処理がコールされてもそのまま渋滞判断処理に戻る。そして、次にまた排気ガスが検出された場合には(S60:YES,S61:YES,S64:YES)、タイマT2の作動が一時停止されるとともにタイマ作動フラグFT2に「0」が記憶され(S65,S66)、渋滞判断処理に戻る。また、この回にメインルーチンからコールされる検出回数カウンタ更新処理では(S3)、検出回数Cの値が「1」加算されている(図3参照)。さらに処理が継続して排気ガスが検出されなくなると、またタイマT2がスタートされることとなる(S60:NO,S70:YES,S71:NO,S72:NO,S73)。このとき、タイマT2は一時停止の状態からスタートされるので、タイマカウント値が積算される。
このように、検出回数Cの値が「5」とならないうちは、タイマT2によって、排気ガスが検出されていない状態の時間の計測が積算によって行われる。その間もタイマT1による時間の計測は継続して行われる。
そして、排気ガスの検出の1回の検出サイクルが終了したときに、検出回数Cの値が「5」となっていると(S72:YES)、タイマT1,T2はともにタイムアップして計時が停止される(S75)。その後、タイマT2の値をタイマT1の値で割ることによって、タイマT1による計時が行われていた時間に対する排気ガスの非検出時間の比率の計算が行われる。その結果、T2/T1が0.8より大きければ(S76:YES)、5回分の排気ガスの検出が行われるまでにかかった時間のうち80%を越える時間が非検出であったことを示し、検出頻度Pには「0」が記憶される(S80)。同様に、T2/T1が0.2より大きく0.8以下であれば(S76:NO,S77:YES)、検出頻度Pには「1」が記憶され(S78)、0.2以下であれば(S76:NO,S77:NO)、検出頻度Pには「2」が記憶される(S79)。
このように検出頻度Pの値が決定された後には、タイマT1およびタイマT2がリセットされ(S81)、同様に、タイマ作動フラグFT1,FT2および検出回数Cにも「0」が記憶され(S82)、渋滞判断処理に戻る。これにより、次に排気ガスが検出されるとまた最初からタイマT1,T2のカウントや検出回数Cのカウントがなされ、5回分の排気ガスの検出がなされる度に検出頻度Pが更新され、これにあわせたフラップ26の開閉の制御が行われる。
以上説明したように、第2の実施の形態の車両用空調装置では、渋滞中か否かの判断を、排気ガスの検出(外気環境の排気ガスによる汚染検出)が所定回数(例えば5回)行われるまでにかかった時間に基づいて行われる。そして、その間に排気ガスが非検出であった時間(外気環境が清浄であった時間)も計測し、全時間に対する非検出であった時間の割合を求め、3段階のランク付け(検出頻度P)が行われている。排気ガスが非検出であった時間が全時間の20%以下であれば、もっともランクの高い状態(検出頻度Pの値が「2」である状態)とし、渋滞中、すなわち、外気環境が今後も悪化するとの判断を行っている。そして渋滞中と判断された後のフラップ26の制御については第1の実施の形態と同様である。
次に、車両用空調装置の第3の実施の形態について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、第3の実施の形態の渋滞判断処理のフローチャートである。図10は、第3の実施の形態のピーク判断処理のフローチャートである。図11は、第3の実施の形態の点数計算処理のフローチャートである。
第3の実施の形態の車両用空調装置におけるフラップ制御プログラムは、第2の実施の形態におけるフラップ制御プログラムの渋滞判断処理において、さらにピーク判断処理を加えた。そして、所定回数検出期間確認処理で決定された検出頻度Pと、ピーク判断処理で求める排気ガスの検出の一回の検出サイクル中におけるセンサ出力値G(n)の最大値とから重み付けした点数を計算し、その結果に基づく渋滞判断を行っている。従って、その他の部分は第2の実施の形態と同様であり、ここでは渋滞判断処理を中心に説明し、その他の部分については省略または簡略化して説明する。
なお、第3の実施の形態では、さらに、RAM18のフラグ記憶エリア181に、排気ガスを検出中であるか否かを示すガス検出中フラグFDを設けた。また、変数記憶エリア183に、Gmax,Pmax,G1〜G5,Jpの各変数を記憶するための記憶領域を設けた。Gmaxには、センサ出力値G(n)の最大値が記憶される。Pmaxには、Gmaxの値に応じて決定される点数が記憶される。また、排気ガスの一回の検出サイクルごとにPmaxの点数付けが行われるが、G1〜G5には、検出回数Cに対応付けられて、各検出サイクルの点数がそれぞれ記憶される。そして、Jpには、これらの変数に基づいて計算される渋滞の度合いを示す点数が記憶される。各記憶エリアの値は、初期化処理(S1)において「0」とされる。
第3の実施の形態のフラップ制御プログラムでは、第1の実施の形態と同様に、図3のS4で、図9に示す渋滞判断処理がコールされる。図9に示す渋滞判断処理では、第2の実施の形態と同様の所定回数検出時間確認処理(図8参照)がコールされ(S90)、検出頻度Pが得られる。さらに、後述するピーク判断処理(図10参照)がコールされ(S91)、検出サイクルごとのセンサ出力値G(n)の最大値を元に点数付けしたG1〜G5の値が得られる。そして、検出頻度PとG1〜G5をもとに渋滞の度合いを示す点数Jpが、以下の計算式によって求められる(S92)。
Jp=P×(G1+G2+G3+G4+G5)
この渋滞の度合いを示す点数であるJpが、しきい値(本実施の形態では25)と比較される。Jpが25より大きければ渋滞中と判断し、渋滞中フラグFJに「1」が記憶され(S93:YES,S94)、Jpが25以下なら渋滞中でないと判断し、渋滞中フラグFJに「0」が記憶される(S93:NO,S95)。そして図3に示すメインルーチンに戻り、排気ガスの検出の有無および渋滞中フラグFJの値に基づくフラップ開閉信号の出力が行われることは、第1の実施の形態と同様である。
このようなフラップ26の開閉の制御を行うため、G1〜G5の点数の決定が行われるピーク判断処理では、図10に示すように、まず、排気ガスが検出されているか否か(Fc=1か否か)が確認される(S100)。初期の状態ではまだ排気ガスが検出されていないため(S100:NO)、ガス検出中フラグFDも「0」となっており(S101:NO)、何も行わずに渋滞判断処理に戻る。フラップ制御プログラムの各処理が繰り返し実行される間に排気ガスが検出されると(S100:YES)、ピーク判断処理では、この時点ではガス検出中フラグFDが「0」であるので(S103:YES)、センサ出力値G(n)の値がそのままGmaxとして記憶され(S105)、さらにガス検出中フラグFDに「1」が記憶されて渋滞判断処理に戻る(S106)。なお、この回のフラップ制御プログラムの実行において、検出回数カウンタ更新処理(S3)では検出回数Cの値が「1」加算されている(図3参照)。
排気ガスが検出された状態が継続するうちはFD=1となっており、センサ出力値G(n)の最大値(ピーク値)を更新してGmaxとして記憶するため、センサ出力値G(n)とGmaxとが比較される(S100:YES,S103:NO,S104)。よってセンサ出力値G(n)がGmaxより大きければ(S104:YES)、Gmaxにセンサ出力値G(n)が記憶される(S105)。センサ出力値G(n)がGmax以下であれば(S104:NO)、そのまま渋滞判断処理に戻る。
そして、この状態で排気ガスが検出されなくなって一回の検出サイクルが終了するとき、FD=1となっていることから点数計算処理がコールされる(S100:NO,S101:YES,S110)。図11に示す点数計算処理では、排気ガスの検出サイクル中に更新されたGmaxの値(すなわちセンサ出力値G(n)のピーク値)に応じた点数が決定され、Pmaxとして記憶される。Gmaxが204より大きい場合には(S125:YES)、Pmaxには「5」が記憶される(S126)。Gmaxが153より大きく204以下である場合には(S125:NO,S127:YES)、Pmaxには「4」が記憶される(S128)。Gmaxが102より大きく153以下である場合には(S125:NO,S127:NO,S129:YES)、Pmaxには「3」が記憶される(S130)。Gmaxが51より大きく102以下である場合には(S125:NO,S127:NO,S129:NO,S131:YES)、Pmaxには「2」が記憶される(S132)。そして、Gmaxが51以下である場合には(S125:NO,S127:NO,S129:NO,S131:NO)、Pmaxには「1」が記憶される(S133)。このように点数が付けられると、ピーク判断処理に戻る。
そして、図10に示すピーク判断処理に戻ると、Pmaxの値がG1〜G5のいずれかの値として代入され、記憶される(S111〜S119)。G1〜G5のいずれに記憶させるかは、検出回数Cの値に基づく。すなわち、Pmaxの値は、C=1であればG1に(S111:YES,S112)、C=2であればG2に(S111:NO,S113:YES,S114)、C=3であればG3に(S111:NO,S113:NO,S115:YES,S116)、C=4であればG4に(S111:NO,S113:NO,S115:NO,S117:YES,S118)、C=5であればG5に(S111:NO,S113:NO,S115:NO,S117:NO,S119)、それぞれ記憶される。なお、PmaxがG5に記憶されたときには検出回数Cがリセットされ「0」が記憶される(S120)。これらの処理の後にはガス検出中フラグFDに「0」が記憶され(S121)、渋滞判断処理に戻る。
このように、一回目の検出サイクルが終了した後にはG1にセンサ出力値G(n)のピーク値に応じて付けられた点数(1〜5のいずれか)が記憶される。そして、G1を除きG2〜G5は「0」となっている。また、二回目の検出サイクルが終了した後には、G1,G2に過去2回の検出サイクルのピーク値に基づく点数がそれぞれ記憶される。以降同様であり、5回目の検出サイクルが終了した後には、G1〜G5に過去5回の検出サイクルのピーク値に基づく点数がそれぞれ記憶される。しかし、このとき検出回数Cが「0」に設定されるため、6回目の検出サイクルが終了したときには検出回数Cは「1」となっており、G1が上書きされることとなる。つまり、G1〜G5には、過去5回分の検出サイクルのそれぞれのピーク値に基づく点数が記憶されることとなり、渋滞の度合いを示す点数Jpの計算に利用される。
以上説明したように、第3の実施の形態の車両用空調装置では、第2の実施の形態で説明した、排気ガスの検出が5回行われるまでにかかった時間に対して、その時間中で非検出であった時間の比率に基づき3段階にランク付けした検出頻度Pと、検出された5回の排気ガスの各検出サイクルにおけるセンサ出力値G(n)の最大値(ピーク値)とから、渋滞の度合いを示す点数Jpを計算し、この計算結果に基づき渋滞中か否かの判断を行っている。そして渋滞中と判断された後のフラップ26の制御については第1の実施の形態と同様である。
次に、車両用空調装置の第4の実施の形態について、図12〜図14を参照して説明する。図12は、第4の実施の形態の渋滞判断処理のフローチャートである。図13は、第4の実施の形態のピーク積分処理のフローチャートである。図14は、第4の実施の形態の点数計算処理のフローチャートである。
第4の実施の形態の車両用空調装置におけるフラップ制御プログラムは、第3の実施の形態におけるフラップ制御プログラムのピーク判断処理を、ピーク積分処理に置き換えたものである。そして、所定回数検出期間確認処理で決定された検出頻度Pと、ピーク積分処理で求める排気ガスの検出の一回の検出サイクルにおけるセンサ出力値G(n)の積分値とから重み付けした点数を計算し、その結果に基づく渋滞判断を行っている。従って、その他の部分は第3の実施の形態と同様であり、ここでは渋滞判断処理を中心に説明し、その他の部分については省略または簡略化して説明する。
なお、第4の実施の形態におけるRAM18の構成は、第3の実施の形態において変数記憶エリア183に記憶したセンサ出力値G(n)の最大値Gmaxの代わりに、センサ出力値G(n)の積算値Gsumが記憶される。Gsumは、排気ガスの一回の検出サイクルの間に得られたセンサ出力値G(n)の値を全て合計した値である。上記同様に、各記憶エリアの値は、初期化処理(S1)において「0」とされる。
第4の実施の形態のフラップ制御プログラムのメインルーチンからコールされる、図12に示す渋滞判断処理では、第3の実施の形態と同様に、所定回数検出時間確認処理(図8参照)がコールされ(S140)、検出頻度Pが得られる。さらに、後述するピーク積分処理(図12参照)がコールされ(S141)、検出サイクルごとのセンサ出力値G(n)の積分値を元に点数付けしたG1〜G5の値が得られる。そして、検出頻度PとG1〜G5をもとに渋滞の度合いを示す点数Jpを、第3の実施の形態と同様の計算式よって求め(S142)、しきい値(本実施の形態では25)と比較する(S143)。Jpが25より大きければ渋滞中と判断してFJ=1とし(S143:YES,S144)、Jpが25以下なら渋滞中でないと判断してFJ=0とする(S143:NO,S145)。そして図3に示すメインルーチンに戻り、第1の実施の形態と同様に、排気ガスの検出の有無および渋滞中フラグFJの値に基づくフラップ開閉信号の出力を行う。
このようなフラップ26の開閉の制御を行うため渋滞判断処理からコールされるピーク積分処理では、第3の実施の形態のピーク判断処理とほぼ同様のフローチャートの構成となっている。図13に示すように、まだ排気ガスが検出されていない初期の状態では(S150:NO)、FD=0であるので(S151:NO)、何も行わずに渋滞判断処理に戻る。そのうち排気ガスが検出されると、初回の検出時にはまだFD=0であるので(S150:YES,S153:YES)、センサ出力値G(n)の値がそのままGsumとして記憶され(S155)、さらにFD=1とされて渋滞判断処理に戻る(S156)。なお、この回のフラップ制御プログラムの実行において、検出回数カウンタ更新処理(S3)では検出回数Cの値が「1」加算されている(図3参照)。
以降、排気ガスが検出されなくなるまでの間(S150:YES)、ピーク積分処理がコールされる度に、FD=1であることから(S153:NO)、Gsumの値に対してあらたに取得したセンサ出力値G(n)の値を加算して(S153:NO,S154)、渋滞判断処理に戻る。そして、排気ガスが検出されなくなって一回の検出サイクルが終了するとき、FD=1となっていることから点数計算処理がコールされる(S150:NO,S151:YES,S160)。
図14に示す点数計算処理では、第3の実施の形態と同様に、Gsumの値(すなわち排気ガスが検出されている間のセンサ出力値G(n)の積分値)に応じた点数が決定され、Pmaxとして記憶される。Gsumが20000より大きい場合には(S175:YES)、Pmaxには「5」が記憶される(S176)。Gsumが15000より大きく20000以下である場合には(S175:NO,S177:YES)、Pmaxには「4」が記憶される(S178)。Gsumが10000より大きく15000以下である場合には(S175:NO,S177:NO,S179:YES)、Pmaxには「3」が記憶される(S180)。Gsumが5000より大きく10000以下である場合には(S175:NO,S177:NO,S179:NO,S181:YES)、Pmaxには「2」が記憶される(S182)。そして、Gsumが5000以下である場合には(S175:NO,S177:NO,S179:NO,S181:NO)、Pmaxには「1」が記憶される(S183)。このように点数が付けられると、ピーク判断処理に戻る。
そして、図13に示すピーク積分処理に戻ると、S161〜S171の処理では、ピーク判断処理のS111〜S121(図10参照)と同じ処理が行われる。すなわち、検出回数Cの値によって、点数計算処理(図14参照)で決定されたPmaxの値が対応するG1〜G5のいずれかの値として記憶される。こうしてG1〜G5には、過去5回分の検出サイクルのそれぞれの積分値に基づく点数が記憶されることとなり、渋滞の度合いを示す点数Jpの計算に利用される。
以上説明したように、第4の実施の形態の車両用空調装置では、第2の実施の形態で説明した、排気ガスの検出が5回行われるまでにかかった時間に対して、その時間中で非検出であった時間の比率に基づき3段階にランク付けした検出頻度Pと、検出された5回の排気ガスの各検出サイクルにおけるセンサ出力値G(n)の積分値とから、渋滞の度合いを示す点数Jpを計算し、この計算結果に基づき渋滞中か否かの判断を行っている。そして渋滞中と判断された後のフラップ26の制御については第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、一定時間内検出回数確認処理では、排気ガスの検出回数Cをカウントする時間を10分としたが、これに限らず、任意の時間を設定してもよい。また、所定回数検出時間確認処理では、5回としたが、これに限らず、任意の回数を設定してもよい。また、1回のサンプリングは0.4秒毎に行われるようにしたが、これに限らず任意の時間毎に行われるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、半開位置Yを、車室外の空気が車室内に流入する時間当たりの流量が、全開の場合の略半分となる位置として設定したが、フラップ26の駆動距離が全開と全閉との半分となる位置であってもよいし、外気導入ダクト23とダクト25との接続部分の断面積が、全開の場合の半分となる位置であってもよい。あるいは、1/4開いた状態となる位置や、2/3開いた状態となる位置など、必ずしも「半分開いた状態となる位置」とする必要はなく、全開位置Zと全閉位置Xとの間の任意の位置となるように設定してもよい。
また、第3の実施の形態の渋滞判断処理のS90(図9参照)や、第4の実施の形態の渋滞判断処理のS140(図12参照)では、所定回数検出時間確認処理(図8参照)がコールされたが、一定時間内検出回数確認処理(図6参照)がコールされるようにしてもよい。
また、ステップモータ22として駆動量の調整が可能なステッピングモータやソレノイドなどを例としたが、その駆動によりフラップ26の位置を、少なくとも全開位置Z、半開位置Y、全閉位置Xの3箇所に切り替えできるものであればよい。
また、ガスセンサ素子12として、上記実施の形態では酸化性ガスに反応し、酸化性ガスの濃度上昇とともに抵抗値Rsが上昇するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子を用いたが、COやHCなどの還元性ガスに反応し、還元性ガスの濃度上昇とともに抵抗値が低下するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子を用いることもできる。