JP2005313117A - 蒸発濃縮方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡素な装置構成かつ低エネルギー消費量の蒸発濃縮方法及び装置を提供する。
【解決手段】 水溶液から水を蒸発させて水溶液を濃縮する蒸発濃縮方法において、キャリヤーガスと水溶液とを含む流体を受熱側流体として用い、受熱側流体を授熱側流体との熱交換により加熱して、水溶液に含まれる水の一部を蒸発させる蒸発工程;蒸発工程を経たキャリヤーガスと水溶液とを含む流体を、気体と液体に分離する気液分離工程;気液分離工程で得られた気体を授熱側流体として用い、受熱側流体との熱交換により授熱側流体を冷却して、授熱側流体に含まれる水蒸気を凝縮させる凝縮工程;およびキャリヤーガスを含む流体および気液分離工程における液体からなる群から選ばれる少なくとも一つに熱エネルギーを供給する熱エネルギー供給工程を有する。この方法のための装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蒸発を利用して水溶液を濃縮する蒸発濃縮方法および装置に関する。より詳しくは、無機塩類や有機物などの溶質を含む水溶液から水を蒸発させ、溶質濃度が高められた水溶液を得る蒸発濃縮方法および装置に関する。
水溶液中に含まれる無機塩類又は有機物などの濃縮分離方法に関する従来技術として、様々な方法がある。一般的には蒸発法、冷凍法や分離膜を使用した濃縮分離法、電気透析法による分離法、溶剤等による抽出法等が知られている。
中でも、例えば工場等の廃水中の窒素化合物を比較的低い運転コストで濃縮しうる方法として、蒸発法を挙げることができる。この場合の蒸発法では、廃水中の水分を蒸発させることによって廃水中の窒素化合物濃度を高める。蒸発法には、大きく分けて蒸発蒸気をそのまま他の用途に利用する蒸気回収法、蒸発蒸気を供給液(廃水)の加熱に再利用する多重効用缶法及び蒸気圧縮法、蒸気の保有熱量を凝縮管で回収し供給液(廃水)を予熱する多段フラッシュ蒸発法等がある。しかし、いずれの方法も蒸発に費やした潜熱を優れて回収しているとは言えず、蒸発のために供給する熱エネルギーを更に低減させ、運転コストを更に低減させることが望まれていた。
熱交換においては、原理的に、受熱側流体と授熱側流体との間に温度差がなければ熱の移動はない。たとえば、非特許文献1「化学機械の理論と計算」の第4章第七節(130ページ)多重効用蒸発の項には、「多重効用蒸発の目的は一定の蒸発に対する熱消費を少なくすることである。所用エネルギーを小にするためには、発生した蒸気の潜熱をそのまま冷却水に与えずに、発生した蒸気をもう一度加熱蒸気として用いればよいわけであるが、同一の加熱室に送入しても、この蒸気の温度が沸騰液の温度と等しいから、温度差がなく熱を液に与えることはできない。したがってこの蒸気はもとの蒸発器よりも低い圧で操作されている第2の蒸発器の加熱に用いて初めて有効に利用できるのである。」とある。
この原理から、一般的には経済的な蒸発方法として、2個以上の蒸発器を並べて操作圧を変えながら発生蒸気を加熱に利用する多重効用蒸発法が採用されている。ところが蒸発器の数を増やせば熱消費においては経済的効率は上がるが、装置コストが増大し、経済的に不利となる。さらに廃水処理においては比較的低濃度かつ大量の廃水を処理しなければならない。従って、従来の方法は、廃水処理等に利用するには装置コスト及び運転効率から見て経済性が悪く、さらなる改善が求められていた。
「化学機械の理論と計算」亀井三郎編、産業図書(株)、昭和35年9月20日発行
本発明の目的は、比較的簡素な装置構成とすることで設備コストを比較的低く抑え、かつ、蒸発に要した潜熱を優れて回収してエネルギー消費量を抑えることのできる蒸発濃縮方法および装置を提供することである。
本発明者は、蒸発濃縮において、蒸発のために外部から供給するエネルギーをいかに少なくするかという点について鋭意検討を行った。
まず本発明者は、熱交換効率の良い向流式熱交換器を用いて、発生した蒸気の潜熱を供給液に連続的に与えることで、装置コストを低減させることを考えた。しかし供給液側と発生蒸気側の操作圧が同じならば、発生蒸気側からの供給液側への熱は液の供給時の温度から沸騰温度までの顕熱分しか移動しない。そのため、発生蒸気の潜熱まで熱交換によって回収するには操作圧の連続的変化が必要となる。
次に、本発明者は、液とガスとの混合系における温度に対する蒸気圧の変化に着目した。そして、供給液に非凝縮性ガスを同伴させることにより、向流式熱交換器において供給液側と発生蒸気側との間で連続的な熱交換が行われ且つ、温度変化により生ずる水の分圧変化分の蒸発及び凝縮が起こり、操作圧を変えることなく潜熱の交換を実現しうるという知見を得、本発明を完成するに至った。
本発明により、水溶液から水を蒸発させて水溶液を濃縮する蒸発濃縮方法において、
キャリヤーガスと水溶液とを含む流体を受熱側流体として用い、該受熱側流体を授熱側流体との熱交換により加熱して、該水溶液に含まれる水の一部を蒸発させる蒸発工程;
該蒸発工程を経たキャリヤーガスと水溶液とを含む流体を、気体と液体に分離する気液分離工程;
該気液分離工程で得られた気体を該授熱側流体として用い、該受熱側流体との熱交換により授熱側流体を冷却して、授熱側流体に含まれる水蒸気を凝縮させる凝縮工程;および
キャリヤーガスを含む流体および該気液分離工程における液体からなる群から選ばれる少なくとも一つに熱エネルギーを供給する熱エネルギー供給工程
を有することを特徴とする蒸発濃縮方法が提供される。
前記蒸発工程に供給するキャリヤーガスの量が、0℃、0.101MPaにおける容積基準で、前記蒸発工程に供給する水溶液の量に対し1倍以上3000倍以下であることが好ましい。
本発明により、水溶液から水を蒸発させて水溶液を濃縮するための蒸発濃縮装置において、
互いに熱交換可能に配された授熱側流路および受熱側流路を有する熱交換手段;
該受熱側流路に水溶液およびキャリヤーガスを供給する流体供給手段;
該受熱側流路の下流かつ該授熱側流路の上流に接続された気液分離手段;および
該受熱側流路から授熱側流路までの間の流路の少なくとも一部の内部に熱エネルギーを与える熱エネルギー供給手段
を有することを特徴とする蒸発濃縮装置が提供される。
前記熱交換手段がスパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、遠心薄膜式熱交換器、または多重円筒式熱交換器の熱交換構造を有することができる。
前記熱エネルギー供給手段が、電気ヒータおよび/またはスチームヒーターであることができる。
前記熱エネルギー供給手段が、スチームを供給するスチーム供給手段であることができる。
本発明により、比較的簡素な装置構成でも、蒸発濃縮に際して蒸発させた水蒸気の潜熱を極めて効率的に回収利用することが可能となり、設備コストおよびエネルギー消費量を抑えることができ、経済性に優れる蒸発濃縮方法および装置が提供される。
以下図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
図1は本発明の蒸発濃縮装置の一例を説明するための模式図である。熱交換手段1は受熱側流路1aと授熱側流路1bを有する。これら流路が、互いに対向する方向に隣接して配され、向流式熱交換器の熱交換構造を形成する。気液分離手段2は、その下部に濃縮液排出口3を有する。濃縮液排出口は適宜設けられるラインに接続され、例えば濃縮液が濃縮液貯蔵設備あるいは濃縮液処理設備に送られる。濃縮液が溜められる気液分離手段の液溜まり部4には熱エネルギー供給手段として電気ヒータ5が設けられる。気液分離手段は受熱側流路1aの下流に接続され、かつ授熱側流路1bの上流に接続される。
この装置は流体供給手段として空気ブロワ6およびポンプ8を有し、廃水(処理しようとする水溶液)を貯蔵するタンク7から送られる廃水に、空気ブロワから送られる空気が同伴され、気液二相流となって、受熱側流路に設けられた流体供給口9から受熱側流路に供給される。
このようにして供給された受熱側流体が、受熱側流路1aを通過する際に、授熱側流路1bを流れる授熱側流体との熱交換によって昇温され、その温度変化に相当する水蒸気分圧の変化分だけ水が蒸発する。
受熱側流路で加熱され、水溶液中の水の一部が蒸発した気液二相流は、気液分離手段2に入り、気体と液体とに分離される。この液体は、水が蒸発したことによって濃縮された濃縮液であり、濃縮液排出口3から排出さる。一方、この気体は授熱側流路に入る。また、電気ヒータによって液溜まり部に存在する濃縮液が加熱され、水溶液に含まれる水の一部がさらに蒸発する。この時蒸発する水の量は、溶質を全て濃縮液に含まれる形で排出することが容易であるなどの観点から、水溶液中の溶質が析出しない量とすることが好ましい。
気液分離により得られた気体は、受熱側流路にて熱交換により発生した水蒸気、電気ヒータによって発生した水蒸気およびキャリヤーガスを含む。この気体は、授熱側流路において、受熱側流体との熱交換によって降温され、その温度変化に相当する水蒸気分圧の変化分だけ水蒸気が凝縮する。従って、この時の温度低下に伴い、顕熱に加えて凝縮潜熱も受熱側流路を流れる流体に与えることができる。
[熱エネルギー供給]
ここでは熱エネルギー供給手段として電気ヒータを用いているが、これに限らず、流体を加熱することのできる公知の加熱手段を適宜採用できる。例えば、加熱手段として、内部にスチームが流れるパイプを用い、内部のスチームが保有する熱をパイプを介して流体に伝えるスチームヒータを採用することもできる。これらの加熱手段による熱エネルギー供給には物質の供給は伴わないが、後に図2を用いて詳述するように、流体にスチーム等の物質を添加することにより、その物質が保有する熱エネルギーを流体に供給することもできる。
電気ヒータ等の加熱手段による加熱は、溶質を全て濃縮液に含まれる形で排出することが容易であるなどの観点から、水溶液中の溶質が析出しない程度に行うことが好ましい。一方、蒸発促進の観点からは受熱側流路の下流側(気液分離手段に近い側)の流体の温度は極力高い方が好ましい。この温度が低いと所定の濃縮を行うためのキャリヤーガスの必要量が増大することになる。実際には受熱側下流側(気液分離手段に近い側)の流体温度は濃縮液の濃度や温度制御の安定性などを考慮して決めることができるが、好ましくは沸点より1℃以上30℃以下低い温度、より好ましくは沸点より1℃以上10℃以下低い温度とすることができる。
加熱手段の温度制御のために、加熱手段に温度制御手段を付設することができる。温度制御手段自体は、公知の技術を利用できる。例えば図1に示す装置の場合、受熱側流路の下流側(気液分離手段に近い側。温度検知個所11で示す。)の流体温度を検知する熱電対と、検知した温度情報に基づいて電気ヒータの出力を制御する温調器を組み合わせて温度制御手段を構成することができる。温度検知個所としては、熱エネルギー供給手段より上流が好ましい。熱エネルギー供給手段により供給される熱エネルギーの温度レベルの直接の影響を排除し、流体の温度をより正しく知ることが可能だからである。
熱エネルギー供給手段は、受熱側流路から授熱側流路までの間(受熱側流路および授熱側流路を含む)の流路内部に熱エネルギーを与えることができる位置に設けることができる。例えば、電気ヒータ等の加熱手段を当該流路内部に設けることができ、また加熱手段を当該流路の外壁に接して設けることができる。スチーム等の物質を供給する手段を当該流路に接続することもできる。なお、熱エネルギー供給は、受熱側流路から授熱側流路までの間の流路全体について行わなければならないのではなく、当該流路の少なくとも一部において熱エネルギーが供給できればよい。熱エネルギー供給手段をこのような位置に設けることによって、流体供給口9から流体排出口10へと流れるキャリヤーガス含有流体および/または気液分離で得られた液体(液溜まり部の濃縮液)に熱エネルギーを供給することができる。熱エネルギー供給は一箇所で行うことができ、あるいは複数箇所で行うこともできる。
熱エネルギー供給手段によって供給する熱エネルギーの温度は、装置内の受熱側流路の流体の最高温度を決めることになるので、熱エネルギー供給手段を受熱側流路に設ける場合は、極力その下流側(気液分離手段に近い側)に設けることが好ましい。熱エネルギー供給手段を授熱側流路に設ける場合は、極力その上流側(気液分離手段に近い側)に設けることが好ましい。熱エネルギー供給手段を気液分離手段内に設ける場合は、伝熱効率の観点から分離された液体(濃縮液)に浸る位置に設けることが好ましい。
[熱交換]
受熱側流路および授熱側流路が形成する熱交換構造は、単位面積当たりの温度差及び伝熱量が平均し、且つ受熱側流体の極力その下流側(気液分離手段に近い側)の温度と授熱側流体の極力その上流側(気液分離手段に近い側)の温度がより近づくことができるという観点から、向流式熱交換器の熱交換構造が好ましいが、必ずしもこの限りではない。また、図1にはプレート式熱交換器の熱交換構造が示されているが、この熱交換構造は、スパイラル式熱交換器、遠心薄膜式熱交換器、多重円筒式熱交換器などの熱交換構造であってもよい。なかでも、熱交換効率(高温部での放熱量が少ない構造)及び流体の移動に要するエネルギー効率の観点から、スパイラル式熱交換器が好ましい。
[気液分離]
気液分離手段には、公知の気液分離器の構造を適宜利用することができる。密閉可能な容器に気液二層流を導入する開口を設け、容器下部に液体を溜めることのできる領域(液溜まり部)を設け、この領域から液体を排出する開口、容器上部(液溜まり以外の領域)から気体を排出する開口を設けるなどして気液分離手段を構成することができる。なお、液溜まり部の液面の高さを、液面計などの公知の液面制御技術を利用して、コントロールすることができる。
[流体供給手段]
流体供給手段としては、キャリヤーガスと水溶液を受熱側流路に供給できるものであればよく、公知の技術を利用することができる。図1に示す例では、空気ブロワとポンプを設けているが、キャリヤーガスや水溶液がもともと所望の圧力を有している場合はこれらは必要ではない。またキャリヤーガスや水溶液の流量や圧力を調節するための手段、例えば流量調節弁や圧力調節弁などは適宜設けられる。
また図1では、処理しようとする水溶液とキャリヤーガスを混合して気液二相流とし、そのうえでこの気液二相流を一つの流体供給口9から蒸発濃縮装置に供給しているが、流体供給口は必ずしも一つでなくてよい。また、水溶液供給口とキャリヤーガス供給口とを別々に設け、水溶液とキャリヤーガスとを別々に蒸発濃縮装置に供給してもよい。
[キャリヤーガスと水溶液の供給量比]
本発明では、キャリヤーガスと液体との共存下で、飽和蒸気圧の変化分のみが液側から蒸発し、またガス側から凝縮する原理を利用している。このため、供給する水溶液とキャリヤーガスの比率は効率や運転容易性、経済性に影響する。たとえば、ある一定量の液体を蒸発する場合に、使用するキャリヤーガスの量を少なくすると、蒸発に必要な最高温度は溶液の沸騰温度に近くなり、温度制御が難しくなる傾向がある。この観点から、水溶液量に対するキャリヤーガス量の比(キャリヤーガス量/水溶液量)は、標準状態(0℃、0.101MPa)における容積基準で、1倍以上が好ましい。一方、キャリヤーガスの使用量を多くすると、より低い温度での運転が可能となり温度制御は容易になるが、キャリヤーガスに同伴する未凝縮水蒸気分が増大し運転コストが増大する傾向がある。この観点から、上記容積比は、3000倍以下であることが好ましく、500倍以下であることがより好ましい。
[キャリヤーガス]
キャリヤーガスとしては、蒸発濃縮装置内で実質的に凝縮しないガスから適宜選んで用いることが可能である。キャリヤーガスは、水溶液に含まれる物質と使用環境下で化学反応を起こさないことが好ましい。キャリヤーガスとして、例えば、空気、窒素等の不活性ガスを用いることができ、また使用環境下で気体である限り液化石油ガス(LPG)を用いることもできる。中でも、入手容易性の観点から空気が好ましい。
[その他]
また、気液分離によって得た濃縮液が保有する顕熱を回収するために、濃縮液を排出する流路を受熱側流路と熱交換可能に配置することもできる。例えば、図1に示した装置の授熱側流路の一部を区画して、キャリヤーガスを含む流体が流れる授熱側流路と平行な独立した流路を形成し、ここに濃縮液を流すことができる。
熱交換手段の伝熱面積が十分にあるとするならば、定常状態では、熱エネルギー供給手段によって与える熱量は、ほとんど流体排出口10から排出される流体が持ち出す顕熱と排出される流体が持ち出す水蒸気分から流体入口9から供給される水蒸気分を差し引いた水蒸気分の潜熱及び、抜き出し濃縮液の顕熱だけとなる。すなわち、本発明によれば、極めて少ないエネルギーによって蒸発濃縮を行うことが可能となる。また、受熱側流路に供給されてから気液分離手段を経て授熱側流路から排出されるまでの間、流体の操作圧を変える必要が無い(圧力損失による圧力変化はあるにしても)ため、熱交換は多段にする必要が無く一段ですむため、装置構成が簡素となる。
[他の形態]
図2に、本発明の蒸発濃縮装置の別の例を示す。この装置では、電気ヒータ等の加熱手段は無く、その替わりに、授熱側流路の上流側端部にスチームを供給するスチーム供給手段を有する。ここではスチーム供給口25からスチームを供給し、そのスチームが保有する熱エネルギーが授熱側流体に供給される。このスチームによって授熱側流体の温度を上昇させることができる。このスチームも授熱側流路で凝縮し、その凝縮熱も受熱側流路を流れる流体に与えることができる。
熱エネルギー供給のためにスチームを供給する位置は、電気ヒータ等の加熱手段を設ける位置と同様とすることができるが、気液分離効率を考えると、気液分離手段より下流が好ましく、授熱側流路内であれば極力その上流側が好ましい。
熱エネルギー供給のためスチームとして、場合によっては、例えば工場内に存在する比較的低圧のスチーム、いわゆる低圧スチームを利用することができる。低圧スチームは、工場内に余剰に存在することがあり、このような場合、工場全体のエネルギー効率を向上させることができる。もちろん熱エネルギー供給のためにボイラーを設け、ボイラーで発生したスチームを利用することもできる。熱エネルギー供給のためスチームの圧力は、蒸発濃縮装置のスチーム供給位置にスチームを供給できる程度であればよい。熱エネルギー供給のためスチームの温度は、受熱側流路、気液分離手段および授熱側流路内の流体の温度プロフィール(特には最高温度)を支配する因子の一つとなるので、所望の蒸発濃縮の程度に応じた最高温度が得られるような温度とすることができる。
図2に示したように、スチームによって蒸発に必要な熱を与える場合も、熱交換手段の伝熱面積が十分にあるとするならば、定常状態では、加熱手段による加熱に必要な熱量は、ほとんど排出口10から排出される流体が持ち出す顕熱と、排出される流体が持ち出す水蒸気分から流体入口9から供給される水蒸気分を差し引いた水蒸気分の潜熱と、抜き出し濃縮液の顕熱だけとなる。
また、図1や図2に示した装置では、熱交換手段と気液分離手段とが一体となっているが、これらは一体である必要はなく、図3に示すように別々の機器とされ、相互に配管などによって接続されていてもよい。この場合、図3に示したように、熱エネルギー供給手段(ここでは熱交換器35)を受熱側流路1aと気液分離手段2とを接続するラインに設けてもよい。あるいは、熱エネルギー供給手段を、気液分離手段2と授熱側流路1bとを接続するラインに設けてもよい。ここでは熱エネルギー供給手段として、熱交換器35を用いており、受熱側流路の下流かつ気液分離手段上流の流体を、より高温な他の流体との熱交換によって加熱する。
図4に、本発明の蒸発濃縮装置のさらに別の例の主要部を示す。この装置では熱交換手段1がスパイラル式向流熱交換器の熱交換構造を有する。水溶液およびキャリヤーガスは供給口9より入り、受熱側流路1aで加熱されて水溶液の一部が蒸発し、気液分離手段2に導入される。気液分離手段2に導入されるガス相(蒸気およびキャリヤーガス)と液相(濃縮液)は、遮蔽板40により分離される。分離されたガス相は、授熱側流路1bに導入され、受熱側流路を流れる水溶液およびキャリヤーガスと熱交換することによって降温される。このとき温度低下による水蒸気分圧低下により蒸気は凝縮する。授熱側流路の流体排出口10からは、蒸気凝縮液と、排出口における温度相当の飽和水蒸気を含んだキャリヤーガスが排出される。一方、気液分離手段の液溜まり部4からは、濃縮液が濃縮液排出口3から排出される(ここでは、濃縮液排出口3は紙面垂直方向に設けられている)。熱エネルギーの供給は、授熱側流路の入口近傍に設けられたスチーム供給口25(ここでは、スチーム供給口は紙面垂直方向に配される)からスチームを供給することによって行う。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1に示す構成の装置を用い、水溶液を濃縮した。熱交換部は、それぞれ高さ2mm、幅160mm、長さ1000mmの二つの流路を有し、これら流路の間は厚さ0.2mm、幅160mm、長さ1000mmの銅板で仕切った。また装置全体を保温材で保温した。熱エネルギー供給手段としては電気ヒータを用いた。電気ヒータの制御は熱電対を使用した温度調節器を用いた。熱電対によって、受熱側流路1a内の出口近傍(温度検知個所11)の温度を検知した。
流体供給口9から水溶液及びキャリヤーガスを供給し、排出口10からキャリヤーガス及び水蒸気並びに凝縮水を排出し(排出口10は大気(0.10MPa)開放した)、濃縮液排出口3から濃縮液を得た。キャリヤーガスとしては空気を用いた。供給した水溶液は硝酸アンモニウムの5.0質量%水溶液であり、濃縮液として5.8質量%の水溶液を得た。
各条件および結果を表1に示す。なお、流体の流量(L/Hr)は、標準状態基準のリットル/時で示した。凝縮液は流体排出口10から排出された水(液体)である。入口温度は供給口9から供給する処理液及びキャリヤーガスの気液二相流の温度、管理温度は温度検知個所11における気液二相流の温度、出口温度は排出口10から排出される気液二相流の温度である。Uは総括伝熱係数であり、計算値である。
〔実施例2〕
供給空気180L/Hr、入口温度19℃、管理温度98℃とした以外は実施例1と同様に処理液を濃縮した。濃縮液として6.5質量%の水溶液を得た。
Figure 2005313117
〔実施例3〕
実施例1で得られた総括伝熱係数850(W・m-2・K-1)を使用して、図4に示すようなスパイラル状の熱交換構造を有する蒸発濃縮装置の設計を行った。熱交換部1および気液分離部2の幅(図4において紙面垂直方向の長さ)を200cm、熱交換部1の直径(外径)を85cm、気液分離部2の直径を30cmとした。受熱側流路の高さは入口部で0.5cm、出口部(気液分離手段に開口する部分)で1cmとした。授熱側流路の高さは入口部(気液分離手段に開口する部分)で1cm、出口部で0.5cmとした。受熱側流路の長さは26mとした。伝熱面積は103m2であった。流体排出口10は大気(0.10MPa)開放した。なお、流路の高さを場所によって変えたのは、より高い温度になるほど流体の容積が増大するからである。
プロセス条件および結果を表2に示す。表中、加熱蒸気は、熱エネルギー供給のためにスチーム供給口25から供給したスチームを意味する。管理温度は、温度検知個所11における流体の温度である。
〔実施例4〕
水溶液に同伴させる供給空気量を変更し、加熱蒸気量を変えて管理温度を変更した以外は実施例3と同様の設計を行った。プロセス条件および結果を表2に示す。
〔比較例1〕
従来の技術の中で一番エネルギー効率の高いと思われる多重効用缶(三重効用)を用いた場合につき、実施例3と同じ量の処理液を濃縮する装置の設計を行った。プロセス条件および結果を表2に示す。
Figure 2005313117
実施例3および4と比較例1の結果から明らかなように、本発明によれば加熱のために使用する蒸気量を、三重効用缶式に比べ約1/10と少なくすることができる。
本発明の蒸発濃縮方法および装置は、様々な水溶液の蒸発および濃縮工程に利用することができる。たとえば、排水処理が困難な染料工場から排出される染色廃液の濃縮、触媒製造工場から排出される硝酸塩含有廃液の濃縮等に利用することが出来る。
本発明の蒸発濃縮装置の一例を説明するための模式図である。 本発明の蒸発濃縮装置の別の例を説明するための模式図である。 本発明の蒸発濃縮装置の別の例を説明するための模式図である。 本発明の蒸発濃縮装置の別の例を説明するための模式図である。
符号の説明
1 熱交換手段
1a 受熱側流路
1b 授熱側流路
2 気液分離手段
3 濃縮液排出口
4 液溜まり部
5 電気ヒータ
6 空気ブロワ
7 廃液タンク
8 ポンプ
9 流体供給口
10 流体排出口
11 温度検知個所
25 スチーム供給口
35 熱エネルギー供給用熱交換器
40 邪魔板

Claims (6)

  1. 水溶液から水を蒸発させて水溶液を濃縮する蒸発濃縮方法において、
    キャリヤーガスと水溶液とを含む流体を受熱側流体として用い、該受熱側流体を授熱側流体との熱交換により加熱して、該水溶液に含まれる水の一部を蒸発させる蒸発工程;
    該蒸発工程を経たキャリヤーガスと水溶液とを含む流体を、気体と液体に分離する気液分離工程;
    該気液分離工程で得られた気体を該授熱側流体として用い、該受熱側流体との熱交換により授熱側流体を冷却して、授熱側流体に含まれる水蒸気を凝縮させる凝縮工程;および
    キャリヤーガスを含む流体および該気液分離工程における液体からなる群から選ばれる少なくとも一つに熱エネルギーを供給する熱エネルギー供給工程
    を有することを特徴とする蒸発濃縮方法。
  2. 前記蒸発工程に供給するキャリヤーガスの量が、0℃、0.101MPaにおける容積基準で、前記蒸発工程に供給する水溶液の量に対し1倍以上3000倍以下である請求項1記載の方法。
  3. 水溶液から水を蒸発させて水溶液を濃縮するための蒸発濃縮装置において、
    互いに熱交換可能に配された授熱側流路および受熱側流路を有する熱交換手段;
    該受熱側流路に水溶液およびキャリヤーガスを供給する流体供給手段;
    該受熱側流路の下流かつ該授熱側流路の上流に接続された気液分離手段;および
    該受熱側流路から授熱側流路までの間の流路の少なくとも一部の内部に熱エネルギーを与える熱エネルギー供給手段
    を有することを特徴とする蒸発濃縮装置。
  4. 前記熱交換手段がスパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、遠心薄膜式熱交換器、または多重円筒式熱交換器の熱交換構造を有する請求項3記載の蒸発濃縮装置。
  5. 前記熱エネルギー供給手段が、電気ヒータおよび/またはスチームヒーターである請求項3または4記載の蒸発濃縮装置。
  6. 前記熱エネルギー供給手段が、スチームを供給するスチーム供給手段である請求項3〜5の何れか一項記載の蒸発濃縮装置。
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CN103357188A (zh) * 2012-03-26 2013-10-23 郭朝军 一种对含盐水进行浓缩的方法和设备
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