JP2005312099A - インテリジェントパワーデバイス及びその負荷短絡保護方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常時の駆動スイッチング素子の損失を効率よく低減する。
【解決手段】駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsにより複数の状態領域AR1〜AR4に区分し、状態領域AR1〜AR3において、駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsを所定の閾値と比較して負荷11の短絡を検出し、またその閾値にマージンを設けた別の閾値以上となったとき(電流IdがG4th,G5th,G6th以上のとき)に、駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsをその別の閾値に制限する。状態領域AR1〜AR3毎に別々の電流制限回路で電流制限を行うことで、電流Idを所定のレベルG4,G5,G6に制限する。
【選択図】図3
【解決手段】駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsにより複数の状態領域AR1〜AR4に区分し、状態領域AR1〜AR3において、駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsを所定の閾値と比較して負荷11の短絡を検出し、またその閾値にマージンを設けた別の閾値以上となったとき(電流IdがG4th,G5th,G6th以上のとき)に、駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsをその別の閾値に制限する。状態領域AR1〜AR3毎に別々の電流制限回路で電流制限を行うことで、電流Idを所定のレベルG4,G5,G6に制限する。
【選択図】図3
Description
この発明は、負荷を駆動しつつ、この負荷の短絡を検出して保護するインテリジェントパワーデバイス及びその負荷短絡保護方法に関する。
自動車には、エンジン系、車体電動系または情報系等の様々な車載負荷が搭載されており、特に近年の電子技術の発展により、車載負荷としての各種電子ユニット等が数多く搭載されてきている。
ところで従来、図11の如く、負荷1と電源2とを結ぶ電流経路3にフューズ4を設置することで、各種の過電流保護を行ってきた(従来技術1)。尚、図11中の符合5はメカニカルリレーである。
しかしながら、過電流保護のために上記のようなフューズ4を使用する場合、このフューズ4が頻繁に切れると、それを交換する作業も頻繁になる。また、一般に、複数のフューズ4をひとまとめにユニット化したフューズボックスが使用されるが、このフューズボックスの体積が大きく、他の車載電装品の搭載スペースが少なくなる。さらに、フューズ4の交換作業を考慮すると、フューズボックスの搭載位置が限定される。
これらに鑑みて、フューズボックスに代えて半導体リレーを用いた負荷駆動回路を設置することも行われている。
具体的には以下の2つの方法がある。
ひとつには、過電流をシャント抵抗またはセンスまたはMOSFETで検出し、マイクロコンピュータまたは外部回路で過電流の判定をするもの(従来技術2)がある。この場合、突入電流は外部回路の基準電圧変更かマイクロコンピュータのソフトウェアプログラムにより対応することになる。
あるいは、図12に示すように、電流検出機能と判定機能を有する自己保護型のIPD(インテリジェントパワーデバイス)6を使用するもの(従来技術3)もある。
この従来技術3のIPD6は、図13の如く、インテリジェントパワーデバイス自身に過電流が流れたり過温度となった場合に、その旨を検出して電流を遮断する自己保護型の過電流保護機能を有するものである。この場合は、図12におけるフューズ4を省略することも可能である。
このIPD6は、図13の如く、基本的には、負荷11に対する駆動のオンオフ切替えをパワーMOSFETからなる第1のスイッチング素子(駆動スイッチング素子)12で行う構成となっている。
具体的には、操作者が操作スイッチ13でオンオフ切替操作を行ったときに、その操作スイッチ13のオンオフ状態を入力インターフェース回路15が検知する。入力インターフェース回路15が操作スイッチ13のオン状態を検知したときには、FETとしての第2のスイッチング素子17がオン状態となり、保護用論理回路21及びチャージポンプ23に電源(+B)19が投入されて動作する。
この場合、チャージポンプ23は、第1のスイッチング素子12のゲートをそのソースよりも高電位に保つためNチャネルFET及び発振用コンデンサ等を用いて電源(+B)19の電圧を昇圧(例えば2倍)する。
この際、電流制限部25は、第1のスイッチング素子(駆動スイッチング素子)12のドレイン−ソース間の電圧降下が所定のしきい値を超えたか否かを判断し、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間の電圧降下が所定のしきい値を超えた場合に、そのゲート−ソース間を短絡させて当該ゲートへの入力電圧を低減させ、第1のスイッチング素子12に流れる電流を低減させる。
そして、このIPD6には、過電流を検知してその旨を保護用論理回路21に報知する過電流検知回路29と、過温度を検出して保護用論理回路21に報知する過温度検出回路31とが設けられており、保護用論理回路21は、過電流検知回路29が過電流を検知し、または過温度検出回路31が過温度を検出したときに、チャージポンプ23を介して、第1のスイッチング素子12のゲート電圧の供給を遮断または断続的に停止することで電流及び温度を調整する。
ただし、負荷11に対してサージ電流が発生した場合に、負荷11に対する電流供給の遮断を行った場合に負サージにより電圧の過低下を抑制するため、ダイナミッククランプ回路27は、負サージが発生している間だけ、第1のスイッチング素子12をオンにしてインテリジェントパワーデバイス内の各部位を保護するよう機能する。
そして、過電流検知回路29が過電流を検知し、または過温度検出回路31が過温度を検出したときに、その出力の論理和を論理和回路33が論理判断し、FETである第3のスイッチング素子37をオン切り換えして、プルアップ抵抗35を利用して例えば警告ランプ等の外部の警告装置等(図示省略)にその旨を報知する。
これらの従来技術2,3によると、それまで必要であったフューズ4の交換回数が大幅に低減し、その分の手間が必要なくなる。さらに、フューズボックス自体を省略することも可能であり、この場合には、必要となる搭載スペースを縮小することができる。
参考のために、この発明に関連する先行技術文献を以下に示しておく。
上記した従来技術2,3では、負荷11が異常の場合に第1のスイッチング素子12がオンすると、この第1のスイッチング素子12に大電流が流れ、その大電流が所定のしきい値電流を超えた場合、あるいはその大電流によって第1のスイッチング素子12の温度が上昇して所定のしきい値温度を超えた場合に、負荷11の異常を検出し、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間を短絡し、あるいは第1のスイッチング素子12のゲート電圧の供給を遮断または断続的に停止することで、第1のスイッチング素子12に流れる電流を制限する。
しかしこの場合、第1のスイッチング素子12に大電流を流した後からの電流制限となるため、第1のスイッチング素子12に加わる熱ストレスが大きく、これを頻繁に繰り返すと第1のスイッチング素子12が破壊に至るという問題があった。
そこで、この発明の課題は、異常時の駆動スイッチング素子(上記第1のスイッチング素子)の電力損失を低減することのできるインテリジェントパワーデバイス及びその負荷短絡保護方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、負荷への通電を行うパワーMOS−FETとしての駆動スイッチング素子と、前記駆動スイッチング素子のゲート入力を制御する保護用論理回路と、前記駆動スイッチング素子に流れる電流を制限する電流制限部とを備え、前記電流制限部は少なくとも1つの電流制限回路を有し、前記電流制限回路は、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立したことを判断する第1の回路と、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立したことを判断する第2の回路と、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsが前記第1の閾値Vth1以上である場合に、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsを所定の第3の閾値Vth3となる様に制限する第3の回路とを備え、前記第2の閾値Vth2が前記第3の閾値Vth3より小さく設定されているものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインテリジェントパワーデバイスであって、前記電流制限部は、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立し、且つ、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立した場合に、前記負荷が短絡していると見なし、その検出結果を前記保護用論理回路に伝達する負荷短絡検出回路を更に有し、前記負荷短絡検出回路が前記負荷が短絡していると見なした場合に、前記負荷短絡検出回路からの信号に基づいて、前記保護用論理回路がゲート入力を制御することで前記駆動スイッチング素子を遮断するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1、または請求項2に記載のインテリジェントパワーデバイスであって、前記電流制限回路が、前記第2及び第3の閾値を決定するためのFETと、前記FETのゲートとソース間に挿入された温度補償用のダイオードとを備えるものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のインテリジェントパワーデバイスであって、前記電流制限回路を複数備え、当該各電流制限回路によって、前記第1の閾値、前記第2の閾値及び第3の閾値のうちの1つ以上が変更して設定されたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載のインテリジェントパワーデバイスであって、前記保護用論理回路が前記負荷の短絡を検出し前記駆動スイッチング素子を遮断した後に、前記駆動スイッチング素子を周期的にオン動作させるものである。
請求項6に記載の発明は、保護用論理回路がパワーMOSFETとしての駆動スイッチング素子のゲート入力を制御し、前記駆動スイッチング素子を通じて負荷への通電を行うにあたって、前記駆動スイッチング素子に流れる電流を電流制限部により制限するインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、前記電流制限部が、負荷への通電をパワーMOSFETとしての駆動スイッチング素子で行うにあたり、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立した場合に、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立するか否かを判断するとともに、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧を前記第2の閾値Vth2よりも所定の値だけ高い所定の第3の閾値Vth3となるように制限する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、前記電流制限部が、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立し、且つ、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立したときに、前記負荷が短絡しているか否かを判断し、その判断結果が肯定的であった場合に、前記保護用論理回路を通じて前記駆動スイッチング素子を遮断する。
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、前記電流制限部において、前記第3の閾値Vth3を決定するためのFETのゲートとソース間に挿入されたダイオードにより温度補償を行う。
請求項9に記載の発明は、請求項6から請求項8のいずれかに記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、前記電流制限部内に複数の電流制限回路を設け、当該各電流制限回路毎に、前記第1の閾値Vth1、前記第2の閾値Vth2及び第3の閾値Vth3のうちの1つ以上を変更して予め設定する。
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、前記負荷が短絡しているか否かの判断において判断結果が肯定的であった場合に、前記負荷の短絡を検出して前記駆動スイッチング素子を遮断した後に、前記駆動スイッチング素子を周期的にオン動作させる。
請求項1及び請求項6に記載の発明によると、駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧が第1の閾値以上となる条件が成立した場合に、駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧が所定の第2の閾値以上となる条件が成立するか否かを判断するとともに、駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧を第2の閾値よりも所定の値だけ高い所定の第3の閾値となるように制限することで、第1のスイッチング素子及び負荷に大電流が流れないように電流を素早く制限することができる。
請求項2及び請求項7に記載の発明によると、第3の閾値よりも早く第2の閾値での電圧判断を行って、駆動スイッチング素子及び負荷に大電流が流れ始める前に当該負荷の異常を確実にして直ちに電流制限を開始することが可能となる。
請求項3及び請求項8に記載の発明によると、温度補償用のダイオードにより、温度変動に対し、安定した電流制限を行うことが可能である。
請求項4及び請求項9に記載の発明によると、第1の閾値、第2の閾値及び第3の閾値のうちの1つ以上を変更して設定された複数の電流制限回路により電流制限を行うことができるので、状況によって精密な電流制限を行うことができる。
請求項5及び請求項10に記載の発明によると、負荷が短絡しているか否かの判断において判断結果が肯定的であった場合に、負荷の短絡を検出して駆動スイッチング素子を遮断した後に、駆動スイッチング素子を周期的にオン動作させるので、可及的に供給電力を制限しながらも効率よく駆動スイッチング素子を復帰させることができる。
<構成>
図1は、この発明の一実施形態に係るインテリジェントパワーデバイスを示すブロック図である。尚、この実施の形態においては、図13に示した従来技術3内の各要素と同等の機能を有する要素について同一符合を付して説明している。また、図2は電流制限部25aの内部構成を示す回路図である。
図1は、この発明の一実施形態に係るインテリジェントパワーデバイスを示すブロック図である。尚、この実施の形態においては、図13に示した従来技術3内の各要素と同等の機能を有する要素について同一符合を付して説明している。また、図2は電流制限部25aの内部構成を示す回路図である。
このインテリジェントパワーデバイスは、図1において、第1のスイッチング素子(駆動スイッチング素子)12に大電流が流れ始める前に電流を制限し、また大電流が流れ始める前に負荷11の短絡を検出し、さらに温度変動に対して安定した電流制限を行うようにしている。そして、図3のように、起動時等において第1のスイッチング素子(駆動スイッチング素子)12のドレイン−ソース間電圧Vdsが高い第1の状態領域AR1と、起動後に第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが低下する過渡的段階の第2の状態領域AR2と、その後に第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが低いレベルで安定するまでの第3の状態領域AR3と、さらにその後に第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが低いレベルで安定する第4の状態領域AR4の4段階に分け、それぞれの段階で電流Idの抑制条件及び抑制レベルを変更することで、負荷11の短絡による第1のスイッチング素子12の電力損失等を低減し、その熱ストレスに対する耐性を向上する。
具体的に、このインテリジェントパワーデバイスは、従来技術3と同様、第1のスイッチング素子(駆動スイッチング素子)12と、入力インターフェース回路15と、第2のスイッチング素子17と、保護用論理回路21と、チャージポンプ23と、電流制限部25aと、ダイナミッククランプ回路27と、過電流検知回路29と、過温度検出回路31と、論理和回路33と、第3のスイッチング素子37とを備える。
第1のスイッチング素子(駆動スイッチング素子)12は、例えばエンハンスト型のNチャネルパワーMOSFET(電界効果型トランジスタ)が使用されて負荷11に対する駆動のオンオフ切替えを行うものであって、そのゲート−ソース間電圧のオンオフ閾値が2.3Vのものが適用される。
入力インターフェース回路15は、負荷11の駆動について操作者がオンオフ切替操作を行うための操作スイッチ13のオンオフ状態を検知するものである。
第2のスイッチング素子17は、MOSFET(MOS型電界効果型トランジスタ)が使用されて入力インターフェース回路15が操作スイッチ13のオン状態を検知したときにオン状態となるものである。
保護用論理回路21は、電源(+B)19からの給電を受けて動作するようになっており、電流制限部25aが負荷11の短絡を含む異常状態を検出し、過電流検知回路29が過電流を検知し、または過温度検出回路31が過温度を検出したときに、これらの各回路25a,29,31からの信号に基づいてチャージポンプ23を介し第1のスイッチング素子12のゲート電圧の供給を遮断または断続的に停止(チョッピング)して、第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Id及び温度を調整するものである。尚、電流制限部25aによる負荷11の電流Idの制限等については後述する。
チャージポンプ23は、第1のスイッチング素子12のゲートをそのソースよりも高電位に保つためNチャネルFET及び発振用コンデンサ等を用いて電源(+B)19の電圧を昇圧(例えば2倍)するものである。
電流制限部25aは、第1のスイッチング素子12のドレイン、ソース及びゲートのそれぞれに接続され、この第1のスイッチング素子12に流れる電流を制限するとともに、負荷11の短絡を含む異常時にその旨を保護用論理回路21に通知するものであり、図2に示した回路として実現される。
この電流制限部25aの機能について説明する。図3(A)は、図1の回路構造における第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsと第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idとの関係及びその電流制限基準について示す図、図3(B)は、ドレイン−ソース間電圧Vdsと消費電力との関係を示す図、図4は第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsとゲート−ソース間電圧Vgsの経時的変化を示す図である。
図3(A)において、横軸は第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsを示しており、縦軸はそのドレイン−ソース間電圧Vdsに応じて第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idを示している。そして、図3(A)中の線G1は、想定される負荷の最小の抵抗値をもとに導出した負荷線であり、また線G2は、第1のスイッチング素子12のオン抵抗特性を示すオン抵抗線である。ここでは、基本的に、電流Idが図3中のオン抵抗線G2を上回ることはないものとして説明する。
負荷11が短絡していないなどの正常な場合、第1のスイッチング素子12がオンした際のドレイン−ソース間電圧Vds及び電流Idの安定点は、負荷線G1とオン抵抗線G2との交点Aとなる。即ち、第1のスイッチング素子12及び負荷11の耐久性等を考慮した場合、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vds及び電流Idの値は、第1のスイッチング素子12のオン状態が維持されるのに伴って、点B(Vds=Vd=+B(14V),Id=0)から、負荷線G1に沿って矢印Qの方向に変化し、安定点Aに到達した時点で安定するのが理想的である。
しかしながら、負荷11が短絡しているなどの異常事態が発生している場合、起動時に点Bから出発しても、その負荷11での電圧降下が極めて少なくなるため、第1のスイッチング素子12のソース電圧Vsがほとんど上昇しない。即ち、第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idが上昇しても、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが変化しないため、線G3に示すように、電流Idが点Bから出発して急激に上昇してしまう。このような負荷11の短絡時における電流Idの異常な上昇を速やかに防止しなければ、第1のスイッチング素子12に熱ストレスが生じ、耐久性を阻害する。
そこで、電流制限部25aは、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsの大小に応じて4段階の状態領域AR1,AR2,AR3,AR4に分割し、特に第1のスイッチング素子12のオン抵抗特性(オン抵抗線G2)で制限できない3つの状態領域AR1,AR2,AR3、即ち、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが比較的大きい3つの状態領域AR1,AR2,AR3において、所定の判断基準に基づいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間を短絡させ、当該ゲートへの入力電圧を低減させることで、第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idを図3中の線G4,G5,G6に低減させるとともに、併せて、負荷11の短絡時にその短絡を検出し、保護用論理回路21を通じて、第1のスイッチング素子12のゲート電圧の供給を遮断して、第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idを停止する。
電流制限部25aの内部構成を、図2に戻って説明する。この電流制限部25aは、負荷11の短絡及びその短絡に伴う過電流を検出する負荷短絡検出回路45と、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが所定の閾値(第1の閾値)Vth1a以上(即ち、図3及び図4中の第1の状態領域AR1)であって当該第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間Vgsが所定の閾値(第2の閾値)Vth2a(図4)以上である場合に負荷短絡検出回路45を起動させるとともに当該ゲート−ソース間Vgsが所定の閾値(第3の閾値)Vth3a(図4)以上となった場合に当該ゲート−ソース間Vgsをその第3の閾値Vth3aになるよう制御することで第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idを制限する第1の電流制限回路41と、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが所定の閾値(第1の閾値)Vth1b以上(即ち、図3及び図4中の第2の状態領域AR2)であって当該第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間Vgsが所定の閾値(第2の閾値)Vth2b(図4)以上である場合に負荷短絡検出回路45を起動させるとともに当該ゲート−ソース間Vgsが所定の閾値(第3の閾値)Vth3b(図4)以上となった場合に当該ゲート−ソース間Vgsをその第3の閾値Vth3bになるよう制御することで第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idを制限する第2の電流制限回路42と、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが所定の閾値(第1の閾値)Vth1c以上(即ち、図3及び図4中の第3の状態領域AR3)であって当該第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間Vgsが所定の閾値(第2の閾値)Vth2c(図4)以上である場合に負荷短絡検出回路45を起動させるとともに当該ゲート−ソース間Vgsが所定の閾値(第3の閾値)Vth3c(図4)以上となった場合に当該ゲート−ソース間Vgsをその第3の閾値Vth3cになるよう制御することで第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idを制限する第3の電流制限回路43とを備える。
第1の電流制限回路41は、上述のように、図3及び図4中の第1の状態領域AR1において電流Idを制限するもので、図2及び図5の如く、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間に接続される抵抗51と、この抵抗51と第1のスイッチング素子12のドレインとの間に接続されて保護用論理回路21からのゲート入力によりオンオフ動作する第1FET53と、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間に接続された4個の分圧抵抗55,56,57,58と、ハイ側の分圧抵抗55と第1のスイッチング素子12のゲートとの間に接続された第2FET59と、この第2FET59のソース(即ち、分圧抵抗55のハイ側)と第1のスイッチング素子12のソースとの間に接続されるとともに分圧抵抗56,57同士の接続点がゲート入力される第3FET60と、ソースが第1のスイッチング素子12のソースに接続され且つ分圧抵抗55,56同士の接続点がゲート入力されるとともにドレインが抵抗65を通じて第1のスイッチング素子12のドレインに接続される第4FET61と、分圧抵抗58に並列接続される温度補償用のダイオード62とを備える。
第1FET53は、例えばエンハンスト型のPチャネルMOSFETが使用され、第1の電流制限回路41を機能させるための起動スイッチであって、保護用論理回路21からのゲート入力によってオンする。
抵抗51は、第1FET53がオンのときに印加される第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsにより、第2FET59のゲート入力を行うものであり、第1FET53がオンとなって電源(+B)19からの電流が流れて、この抵抗51の両端電圧を第2FET59のゲートに入力するようになっている。
第2FET59は、例えばエンハンスト型のNチャネルMOSFETが使用され、そのゲートが抵抗51と第1FET53との接続点に接続されて、分圧抵抗55,56,57,58に対して直列に接続されており、抵抗51の両端電圧が第1の閾値Vth1aとなったときにオンして、第2FET59と分圧抵抗55,56,57,58とからなる直列回路に電流が流れるようになっている。このことから、抵抗51と第2FET59とからなる回路は、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1a(図3及び図4)以上となったときに、その旨を抵抗51の両端電圧に基づいて検出し電流が流れるドレイン−ソース間電圧検出回路として機能する。尚、この直列回路の第1の閾値Vth1aは、図3に示すように、安定点Aにおけるドレイン−ソース間電圧Vdsよりも高い値である。
第3FET60は、例えばエンハンスト型のNチャネルMOSFETが使用され、第2FET59がオン状態の際に、分圧抵抗55〜58の分圧電圧がゲート入力され、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが所定の第3の閾値Vth3a(図4参照)以上となったときにオンして、このゲート−ソース間電圧Vgsを短絡させることで、第1のスイッチング素子12のドレイン電流Idを抑制する第1の電流抑制素子として機能する。即ち、第3FET60は、第2FET59がオンとなった場合に、分圧抵抗56と分圧抵抗57との接続点の電圧がゲート入力され、電圧Vgsが図4中の第3の閾値Vth3a(図3中の線G4)以上となったときにオンして、迂回電流I1が流れる。この場合、この迂回電流I1により、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが短絡する。また、このときの短絡により電圧Vgsが図4中の第3の閾値Vth3a未満になったときには、第3FET60は再びオフとなる。この第3FET60のオンオフを繰り返すことで、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは第3の閾値Vth3aに収束的に制限され、これにより第1のスイッチング素子12のドレイン電流Idが図3中の線G4に制限される。尚、この第3FET60は、後述の第4FET61と同等の特性を有するものが使用される。
分圧抵抗56は第3FET60及び第4FET61のゲート−ソース間電圧Vtsの差を補償するために設けられたもので、両端に、第3FET60及び第4FET61の電気的特性のばらつき、即ち、両FET60,61のゲート−ソース間電圧Vtsの差を補償するために設けられており、例えば10mV以上の電位差を発生させることで、第3FET60がオンする時には、この第3FET60よりもゲート電圧の高い第4FET61が必ずオンしているように、この第4FET61の動作保証を行う。
また、分圧抵抗55,57は、抵抗値がそれぞれR2a,R1aとされ、これらの2つの分圧抵抗55,57の温度係数は同等とされている。
第4FET61は、第2FET59がオンして分圧抵抗55〜58に電流が流れる際に、このうちの分圧抵抗56のハイ側の電圧が与えられるようになっており、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2a(図4)以上となった場合にオンし、このオン動作により負荷短絡検出回路45の第14FET115をオンするためのものである。上述のように、この第4FET61は、第3FET60と同等の特性を有するものが使用されるが、実際には素子の個体差等により、第3FET60
と第4FET61はそれぞれ電気的特性にばらつきが生じることがある。そこで、両FET60,61の両ゲート間に分圧抵抗56の両端電圧を介在させることで、第2FET59がオンして分圧抵抗55〜58に電流が流れる際には、第4FET61のゲート電圧が常に分圧抵抗56の両端電圧分だけ第3FET60よりも高くなるよう設定しておき、これにより、第3FET60がオンする時には、この第3FET60よりもゲート電圧の高い第4FET61が必ずオンするようにして、第3FET60でのVgsの短絡よりも優先して負荷短絡検出回路45を機能させるようにしている。このことは、第4FET61の動作条件となるゲート−ソース間電圧Vgsについての第2の閾値Vth2aが、第3FET60の動作条件となる第3の閾値Vth3aよりも、分圧抵抗56の両端電圧分(各FET60,61の電気的特性のばらつきを補償する電圧分)だけ低く設定されることを意味している。尚、ゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2aとなったときの電流Idは、図3中の点線G4thの状態となる。
と第4FET61はそれぞれ電気的特性にばらつきが生じることがある。そこで、両FET60,61の両ゲート間に分圧抵抗56の両端電圧を介在させることで、第2FET59がオンして分圧抵抗55〜58に電流が流れる際には、第4FET61のゲート電圧が常に分圧抵抗56の両端電圧分だけ第3FET60よりも高くなるよう設定しておき、これにより、第3FET60がオンする時には、この第3FET60よりもゲート電圧の高い第4FET61が必ずオンするようにして、第3FET60でのVgsの短絡よりも優先して負荷短絡検出回路45を機能させるようにしている。このことは、第4FET61の動作条件となるゲート−ソース間電圧Vgsについての第2の閾値Vth2aが、第3FET60の動作条件となる第3の閾値Vth3aよりも、分圧抵抗56の両端電圧分(各FET60,61の電気的特性のばらつきを補償する電圧分)だけ低く設定されることを意味している。尚、ゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2aとなったときの電流Idは、図3中の点線G4thの状態となる。
最もロー側の分圧抵抗58は、温度補償用のダイオード62が並列に順方向接続されており、この分圧抵抗58とダイオード62とからなる並列回路により、第3FET60及び第4FET61の各ゲート電位を温度によらず安定させるようになっている。分圧抵抗58は比較的大きい抵抗値を有している。ここで、図5のように、温度補償用のダイオード62の順方向電圧がVfであり、第3FET60及び第4FET61のゲート−ソース間電圧がVtsであり、分圧抵抗57の抵抗値がR1aであり、分圧抵抗58の抵抗値がR4aである場合に、次の(1)式が成立する。
Vf/R4a<<(Vts−Vf)/R1a … (1)
この(1)式において、例えば、Vtsが1.15V、Vfが0.6Vであるとし、このときのそれぞれの温度係数について、ΔVtsが−2mV/k、ΔVfが−2mV/kであるとする。また、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度変化量は、規格としては例えば−5mV/kというように設定されるが、実際には図3に示したVgsとIdとの関係によりどの領域かによって温度変化量が異なり、例えば第1の電流制限回路41が関わる第1の状態領域AR1においては、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度係数ΔVgsは−2mV/kとなるものとする。
この(1)式において、例えば、Vtsが1.15V、Vfが0.6Vであるとし、このときのそれぞれの温度係数について、ΔVtsが−2mV/k、ΔVfが−2mV/kであるとする。また、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度変化量は、規格としては例えば−5mV/kというように設定されるが、実際には図3に示したVgsとIdとの関係によりどの領域かによって温度変化量が異なり、例えば第1の電流制限回路41が関わる第1の状態領域AR1においては、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度係数ΔVgsは−2mV/kとなるものとする。
この場合、第1の状態領域AR1においては、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは、次の(2)式で表すことができる。
Vgs=(Vts−Vf)×(R2a+R3a)/R1a+Vts …(2)
この(2)式中の(Vts−Vf)は温度によらずほぼ一定の値となる。また、(R2a+R3a)/R1aも温度によらずほぼ一定の値となる。したがって、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度変化量ΔVgsはΔVtsとほぼ同等の−2mV/kとなる。即ち、温度変化による電流制限値及びショート検知電流値の変化を補正できることになる。
この(2)式中の(Vts−Vf)は温度によらずほぼ一定の値となる。また、(R2a+R3a)/R1aも温度によらずほぼ一定の値となる。したがって、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度変化量ΔVgsはΔVtsとほぼ同等の−2mV/kとなる。即ち、温度変化による電流制限値及びショート検知電流値の変化を補正できることになる。
尚、図3及び図4中の第1の状態領域AR1における第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの動作領域は、次の(3)式の範囲とされる。
Vds>3×Vts …(3)
かかる第1の電流制限回路41の構成により、(3)式に示される第1の状態領域AR1においては、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1a以上であり、且つ第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2a以上という条件が成立したときに、負荷短絡検出回路45が起動するとともに、この第1の電流制限回路41の第3FET60のオンオフ動作により、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3aに収束的に制限され、これにより第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の線G4に制限されることになる。
かかる第1の電流制限回路41の構成により、(3)式に示される第1の状態領域AR1においては、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1a以上であり、且つ第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2a以上という条件が成立したときに、負荷短絡検出回路45が起動するとともに、この第1の電流制限回路41の第3FET60のオンオフ動作により、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3aに収束的に制限され、これにより第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の線G4に制限されることになる。
第2の電流制限回路42は、上述のように、図3及び図4中の第2の状態領域AR2において電流Idを制限する目的で設けられたもので、図2及び図6の如く、第1のスイッチング素子12のソースに接続される抵抗71と、第1のスイッチング素子12のドレインに接続されて保護用論理回路21からのゲート入力によりオンオフ動作する第5FET73と、この第5FET73と抵抗71との間で順方向にダイオード接続された第6FET74と、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間に接続された4個の分圧抵抗75,76,77,78と、最もロー側の分圧抵抗78と第1のスイッチング素子12のソースとの間に接続された第7FET79と、ソースが第7FET79を介して第1のスイッチング素子12のソースに接続され且つドレインが第1のスイッチング素子12のゲートに接続されるとともに分圧抵抗76,77同士の接続点がゲート入力される第8FET80と、ソースが第7FET79を介して第1のスイッチング素子12のソースに接続され且つドレインが抵抗65を通じて第1のスイッチング素子12のドレインに接続されるとともに分圧抵抗75,76同士の接続点がゲート入力される第9FET81と、最もロー側の分圧抵抗78に並列接続される温度補償用のダイオード82とを備える。
第5FET73は、第2の電流制限回路42を機能させるための起動スイッチであって、保護用論理回路21からのゲート入力によってオンする。
第6FET74は、ドレインフォロワでダイオード接続されており、これによりこの第6FET74が順方向のダイオードとして機能する。ここで、第1のスイッチング素子12は、負荷11が正常に駆動している状態では、ドレイン−ソース間電圧Vdsが極めてゼロ値に近くなるが、過電流等の異常が発生すると、そのドレイン−ソース間電圧Vdsが時系列的に増大する。このような時系列的な推移において、第6FET74が順方向のダイオードとして機能することで、第3の電流制限回路43がドレイン−ソース間電圧Vdsの増大を検知するよりも、そのダイオード(第6FET74)の順方向電圧の分だけ、第2の電流制限回路42でドレイン−ソース間電圧Vdsの増大を検知する方が遅延することになる。これにより、ダイオードとしての第6FET74は、第2の電流制限回路42よりも第3の電流制限回路43を優先的に機能させることになる。
抵抗71は、第5FET73がオンのときに印加される第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsにより、第7FET79のゲート入力を行うものであり、第5FET73がオンとなって電源(+B)19からの電流が流れて、この抵抗71の両端電圧を第7FET79のゲートに入力するようになっている。
第7FET79は、分圧抵抗75,76,77,78の下流側に直列に接続されており、抵抗71の両端電圧により第7FET79がオンしたときに、分圧抵抗75,76,77,78と第7FET79とからなる直列回路に電流が流れる。この場合の第7FET79のオンとなるタイミングは、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1b(図3及び図4)以上となったときに設定される。尚、この直列回路の第1の閾値Vth1bは、図3に示すように、安定点Aにおけるドレイン−ソース間電圧Vdsよりも高い値であり、且つ上述した第1の電流制限回路41における第1の閾値Vth1aよりも低く設定される。
第8FET80は、第7FET79がオン状態である際に、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3b(図4参照)以上となったときに、分圧抵抗75〜78での分圧電圧に基づいてオンして電流I2を流すことでゲート−ソース間電圧Vgsを短絡させ、逆にゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3b未満となったときにオフすることで、そのゲート−ソース間電圧Vgsを第3の閾値Vth3bに収束的に制限するものである。機能動作としては第1の電流制限回路41の第3FET60と共通しているが、その接続構成は異なっている。即ち、この第8FET80は、図7及び図8に示す如く、N型基板83が第1のスイッチング素子12のドレインとして構成された半導体装置として構成されている。そして、第8FET80のP−well84が第1のスイッチング素子12のソースに接続され、そのドレイン85が第1のスイッチング素子12のゲートに接続され、そのソース86が第7FET79のドレインに接続され、そのゲート87が分圧抵抗76,77同士の接続点に接続される。尚、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3bに制限されたときには、第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idは図3中の線G5に制限されることになる。
尚、この第2の状態領域AR2における第3の閾値Vth3bは、第3の状態領域AR3における第3の閾値Vth3cより小さく設定されている。したがって、第3の電流制限回路43と第2の電流制限回路42とが共に機能する場合には、相対的に低い電圧である第2の電流制限回路42によって制御される第3の閾値Vth3bが優先的に第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsとして適用されることになる。
分圧抵抗76は、第1の電流制限回路41の第3FET60及び第4FET61に対する分圧抵抗56と同様に、第8FET80及び第9FET81の電気的特性のばらつき、即ち、ゲート−ソース間電圧Vtsの差を補償するために設けられたもので、両端に10mV以上の電位差を発生させることで、第8FET80がオンする時には必ず第9FET81がオンすることになる。
また、分圧抵抗75,77は、抵抗値がそれぞれR2b,R1bとされ、これらの2つの分圧抵抗75,77の温度係数は同等とされている。
第9FET81は、図7及び図8に示したように、第8FET80と同等の構成を有しており、第7FET79がオンして分圧抵抗75〜78に電流が流れる際に、このうちの分圧抵抗76のハイ側の電圧が与えられ、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2b(図4)以上となった場合にオンし、このオン動作により負荷短絡検出回路45の第14FET115をオンするようになっている。上述のように、この第9FET81は、第8FET80と同等の特性を有するものが使用されるが、素子の個体差等により第8FET80と第9FET81とで電気的特性にばらつきが生じても、両FET80,81の両ゲート間に介装された分圧抵抗76の両端電圧により、第8FET80がオンする時には、この第8FET80よりもゲート電圧の高い第9FET81が必ずオンして、第8FET80でのVgsの短絡よりも優先して負荷短絡検出回路45を機能させるようにしている。このことは、第9FET81の動作条件となるゲート−ソース間電圧Vgsについての第2の閾値Vth2bが、第8FET80の動作条件となる第3の閾値Vth3bよりも、分圧抵抗76の両端電圧分(各FET80,81の電気的特性のばらつきを補償する電圧分)だけ低く設定されることを意味している。尚、ゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2bとなったときの電流Idは、図3中の点線G5thの状態となる。
最もロー側の分圧抵抗78は、第1の電流制限回路41の第3FET60及び第4FET61に対する分圧抵抗58と同様に、第8FET80及び第9FET81の各ゲート電位を安定させるために設けられており、温度補償用のダイオード82の順方向電圧をVfとし、第8FET80及び第9FET81のゲート−ソース間電圧をVtsとし、分圧抵抗77の抵抗値をR1b、分圧抵抗78の抵抗値をR4bとした場合に、次の(4)式が成立する。
Vf/R4b<<(Vts−Vf)/R1b … (4)
そして第2の状態領域AR2においては、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは、上記の(2)式と同様に、次の(5)式で表すことができる。
そして第2の状態領域AR2においては、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは、上記の(2)式と同様に、次の(5)式で表すことができる。
Vgs=(Vts−Vf)×(R2b+R3b)/R1b+Vts …(5)
この(5)式中の(Vts−Vf)は温度によらずほぼ一定の値となる。また、(R2b+R3b)−R1bも温度によらずほぼ一定の値となる。したがって、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度変化量について、第1の電流制限回路41と同様に、温度変化による電流制限値及びショート検知電流値の変化を補正できることになる。
この(5)式中の(Vts−Vf)は温度によらずほぼ一定の値となる。また、(R2b+R3b)−R1bも温度によらずほぼ一定の値となる。したがって、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの温度変化量について、第1の電流制限回路41と同様に、温度変化による電流制限値及びショート検知電流値の変化を補正できることになる。
尚、図3及び図4中の第2の状態領域AR2における第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsの動作領域は、次の(6)式の範囲とされる。
Vds>2×Vts …(6)
かかる第2の電流制限回路42の構成により、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1b以上であり、且つ第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2b以上という条件が成立したときに、負荷短絡検出回路45が起動するとともに、この第2の電流制限回路42が第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsを第3の閾値Vth3bとなるよう制限することで、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idを図3中の線G5に制限して過電流を防止することになる。
かかる第2の電流制限回路42の構成により、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1b以上であり、且つ第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2b以上という条件が成立したときに、負荷短絡検出回路45が起動するとともに、この第2の電流制限回路42が第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsを第3の閾値Vth3bとなるよう制限することで、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idを図3中の線G5に制限して過電流を防止することになる。
第3の電流制限回路43は、上述のように、図3及び図4中の第3の状態領域AR3において電流Idを制限する目的で設けられたもので、図2及び図9の如く、第1のスイッチング素子12のソースに接続される抵抗91と、第1のスイッチング素子12のドレインと抵抗91との間に接続されて保護用論理回路21からのゲート入力によりオンオフ動作する第10FET93と、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間に接続された4個の分圧抵抗95,96,97,98と、最もロー側の分圧抵抗98と第1のスイッチング素子12のソースとの間に接続された第11FET99と、ソースが第11FET99を介して第1のスイッチング素子12のソースに接続され且つドレインが第1のスイッチング素子12のゲートに接続されるとともに分圧抵抗96,97同士の接続点がゲート入力される第12FET100と、ソースが第11FET99を介して第1のスイッチング素子12のソースに接続され且つドレインが抵抗105を通じて第1のスイッチング素子12のドレインに接続されるとともに分圧抵抗95,96同士の接続点がゲート入力される第13FET101と、分圧抵抗98に並列接続される温度補償用のダイオード102とを備える。
この第3の電流制限回路43の抵抗91、第10FET93、分圧抵抗95,96,97,98、第11FET99、第12FET100、第13FET101及び温度補償用のダイオード102は、第2の電流制限回路42の抵抗71、第5FET73、分圧抵抗75,76,77,78、第7FET79、第8FET80、第9FET81及び温度補償用のダイオード82にそれぞれ対応しており、これらの回路内での基本的な役割もほぼ類似している。
ただし、この第3の電流制限回路43の抵抗91の抵抗値及び各分圧抵抗95,96,97,98の分圧比が、第2の電流制限回路42の抵抗71及び分圧抵抗75,76,77,78と異なっている。具体的には、図4の如く、第3の電流制限回路43の抵抗91によって決定される第1の閾値Vth1cが、第2の電流制限回路42の抵抗71によって決定される第1の閾値Vth1bよりも低く設定され、第3の電流制限回路43において分圧抵抗96〜98と分圧抵抗95との抵抗比で決定される第2の閾値Vth2cが、第2の電流制限回路42において分圧抵抗76〜78と分圧抵抗75との抵抗比で決定される第2の閾値Vth2bよりも高く設定され、第3の電流制限回路43において分圧抵抗97,98と分圧抵抗95,96との抵抗比で決定される第3の閾値Vth3cが、第2の電流制限回路42において分圧抵抗77,78と分圧抵抗75,76との抵抗比で決定される第3の閾値Vth3bよりも高く設定されている。
その他の第3の電流制限回路43の内部構成は、第2の電流制限回路42と同様であるため、説明を省略する。
かかる第3の電流制限回路43の構成により、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1c以上であり、且つ第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2c以上という条件が成立したときに、負荷短絡検出回路45が起動するとともに、この第1の電流制限回路41が第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsを第3の閾値Vth3cとなるよう制限することで、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idを図3中の線G6に制限して過電流を防止することになる。
尚、各電流制限回路41〜43において、第2FET59,第7FET79、第11FET99及び抵抗51,71,91は、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1a,Vth1b,Vth1c以上となる条件が成立するか否かを判断する第1の回路を構成し、第4FET61,第9FET81、第13FET101及び分圧抵抗55〜58,75〜78,95〜98は、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2a,Vth2b,Vth2c以上となる条件が成立するか否かを判断する第2の回路を構成し、第3FET60,第8FET80、第12FET100及び分圧抵抗55〜58,75〜78,95〜98は、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsを第3の閾値Vth3a,Vth3b,Vth3cに制限する第3の回路を構成している。
負荷短絡検出回路45は、負荷11の短絡を検出して保護用論理回路21に通知するもので、第1のスイッチング素子12のドレインにそれぞれ接続された前述の抵抗65,105と、それぞれ接地された一対のプルダウン抵抗111,113と、第1のスイッチング素子12のドレインと各プルダウン抵抗111,113との間にそれぞれ接続されて各抵抗65,105のロー側の電圧によりそれぞれオンオフする一対のFET(第14FET115,第15FET117)とを備える。
第14FET115及び第15FET117は、それぞれエンハンスト型のPチャネルMOSFETが使用されており、両FET115,117のソースは第1のスイッチング素子12のドレインに共に接続される。
第14FET115のドレインは抵抗111を介して接地され、そのゲートは抵抗65と第4FET61及び第9FET81との接続点に接続されており、第1の電流制限回路41の第4FET61または第2の電流制限回路42の第9FET81がオンしたときにオンして抵抗111に電流を流す。尚、上述したとおり、第4FET61及び第9FET81は、第3FET60及び第8FET80よりも早くオンするため、この第14FET115は第1の電流制限回路41及び第2の電流制限回路42よりも優先して動作することになる。
また、第15FET117のドレインは抵抗113を介して接地され、そのゲートは抵抗105と第13FET101との接続点に接続されており、第3の電流制限回路43の第13FET101がオンしたときにオンして抵抗113に電流を流す。尚、上述したとおり、第13FET101は、第12FET100よりも早くオンするため、この第15FET117は第3の電流制限回路43よりも優先して動作することになる。
即ち、負荷11が短絡した場合のように第1のスイッチング素子12に過電流が流れるときには、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsの増大に伴って各FET115,117が即座にオンし、そのときの各プルダウン抵抗111,113のハイ側の電圧SHORT1,SHORT2が保護用論理回路21に出力される。尚、一方のプルダウン抵抗111のハイ側の電圧SHORT1は、第14FET115が第1の電流制限回路41及び第2の電流制限回路42からの信号によってオンすることから、図3中の第1の状態領域AR1と第2の状態領域AR2との両方の領域(符号121)で負荷11等の短絡に係る第1の検出信号として出力され、また他方のプルダウン抵抗113のハイ側の電圧SHORT2は、第15FET117が第3の電流制限回路43からの信号によってオンすることから、図3中の第3の状態領域AR3(符号122)で負荷11等の短絡等に伴う過電流に係る第2の検出信号として出力される。尚、図2では、第1の検出信号SHORT1及び第2の検出信号SHORT2が、別々の信号線で保護用論理回路21に入力されるよう示しているが、例えば第1の検出信号SHORT1及び第2の検出信号SHORT2とを論理和回路に入力し、この論理和回路での論理和演算結果を1本の信号線で保護用論理回路21に入力してもよい。そして、これらの検出信号SHORT1,SHORT2が入力された保護用論理回路21は、第1のスイッチング素子12のゲート入力を即座に遮断することになる。
尚、保護用論理回路21は、負荷短絡検出回路45での負荷11の短絡検出により第1のスイッチング素子12を遮断等した後にも、周期的にオン動作をすることで、自律的な復帰を図る。この場合、保護用論理回路21内に設定されたタイマの計時動作(タイマ動作)によって復帰する。尚、SHORT1,SHORT2の検出信号によって、一方の信号SHORT1の時はデューティ比を例えば5/100とし、他方の信号SHORT2の時はデューティ比を例えば20/100とするなど、保護用論理回路21は第1のスイッチング素子を制御する様にしても良い。
このように、3つの異なる状態領域AR1〜AR3で動作する各電流制限回路41〜43と負荷短絡検出回路45とを備えた電流制限部25aにより、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsの大小に応じて設定された3つの状態領域AR1〜AR3のそれぞれにおいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsがそれぞれ異なった値として設定された第2の閾値Vth2a〜Vth2cとの大小比較を行ってそれぞれ必要な場合に負荷短絡検出回路45を起動して保護用論理回路21に通知するとともに、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsをそれぞれ異なる第3の閾値Vth3a〜Vth3cに収束的に制限することが可能となる。
図1に戻って、ダイナミッククランプ回路27は、サージ電流の発生時に負荷11に対する電流供給の遮断またはチョッピングを行った場合に負サージにより電圧の過低下を抑制するために第1のスイッチング素子12をオンにしてインテリジェントパワーデバイス内の各部位を保護するためのものである。
過電流検知回路29は、過電流を検知してその過電流が持続する間は保護用論理回路21に所定の信号を断続的に送信し続けるものである。
過温度検出回路31は、過温度を検出してその過温度が持続する間は保護用論理回路21に所定の信号を断続的に送信し続けるものである。尚、この過温度検出回路31としては、過温度が解除された際の復帰にリセット信号が必要なラッチ型と、温度が低下した場合に再オン切り換えを行う自動復帰型とがあるが、いずれが適用されても差し支えない。この場合、保護用論理回路21内に設定されたタイマの計時動作(タイマ動作)によって復帰するようにしてもよい。
論理和回路33は、過電流検知回路29が過電流を検知し、または過温度検出回路31が過温度を検出したときに、その出力の論理和をとるものである。
第3のスイッチング素子37は、具体的にはMOSFET(MOS型電界効果型トランジスタ)が使用され、過電流検知回路29が過電流を検知しまたは過温度検出回路31が過温度を検出したときに、論理和回路33からの出力に基づいてオン状態となって、プルアップ抵抗35を利用して警告ランプ等の外部の警報装置(図示省略)にその旨を報知するものである。
<動作>
次に、このインテリジェントパワーデバイスの動作を説明する。
次に、このインテリジェントパワーデバイスの動作を説明する。
まず、操作者が操作スイッチ13でオンオフ切替操作を行ったときに、その操作スイッチ13のオンオフ状態を入力インターフェース回路15が検知する。入力インターフェース回路15が操作スイッチ13のオン状態を検知したときには、MOSFETとしての第2のスイッチング素子17がオン状態となり、保護用論理回路21及びチャージポンプ23に電源(+B)19が投入されて動作する。
この場合、チャージポンプ23は、第1のスイッチング素子12のゲートをそのソースよりも高電位に保つために電源(+B)19の電圧を昇圧(例えば2倍)し、第1のスイッチング素子12にゲート入力のための電圧を印加する。
また、保護用論理回路21は、第1の電流制限回路41の第1FET53、第2の電流制限回路42の第5FET73及び第3の電流制限回路43の第10FET93をオンにし、各電流制限回路41〜43を起動する。
ここで、回路が正常に機能している場合には、第1のスイッチング素子12のオンに伴って、図3中の点B(Vds=Vd=+B(14V),Id=0)から、負荷線G1に沿って矢印Qの方向に変化し、安定点Aに到達した時点で安定する。この場合、負荷線G1のいずれの点も、線G4th、G5th,G6thより下回っているため、電流制限部25aでの電流制限は行われない。即ち、正常時において、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは、図4のように、第1の状態領域AR1〜第3の状態領域AR3にあって、所定の電圧値Vth0で安定しており、第4の状態領域AR4に至った後、次第に上昇するため、各電流制限回路41〜43においては、抵抗51,71,91の両端電圧に応じて第2FET59、第7FET79または第11FET99がオンとなっても(即ち、それぞれの状態領域AR1〜AR3に該当している旨を検出しても)、分圧抵抗55〜58,75〜78,95〜98での分圧電圧が第2の閾値Vth2a〜Vth2cに満たないため、第4FET61、第9FET81及び第13FET101はオフのまま維持し、よって負荷短絡検出回路45は起動せずに負荷11の短絡検出は行われず、また、分圧抵抗55〜58,75〜78,95〜98での分圧電圧が所定の第3の閾値Vth3a〜Vth3cに満たないことから、第3FET60、第8FET80及び第12FET100はオフのまま維持し、各電流制限回路41〜43において、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間の短絡調整も行われない。
次に、起動時や発熱時などにおいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが上昇した場合(異常事態)の動作について説明する。
起動時等において、図3中の点B(Vds=Vd=+B(14V),Id=0)から出発しても、例えば負荷11が短絡しているような場合には、その負荷11での電圧降下が極めて少なくなるため、第1のスイッチング素子12のソース電圧はほとんど上昇しない。即ち、第1のスイッチング素子12に流れるドレイン電流Idが上昇しても、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが変化しないため、線G3に示すように、電流Idが点Bから出発して急激に上昇してしまう。
そこで、第1の状態領域AR1においては電流制限部25aの第1の電流制限回路41が、第2の状態領域AR2においては電流制限部25aの第2の電流制限回路42が、第3の状態領域AR3においては電流制限部25aの第3の電流制限回路43が、各状態領域AR1〜AR3に応じて予め設定された第2の閾値Vth2a,Vth2b,Vth2c(図4)と、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsとを比較し、ゲート−ソース間電圧Vgsが各第2の閾値Vth2a,Vth2b,Vth2c以上となったときに、負荷短絡検出回路45を起動して負荷11の短絡等を検出し、その検出結果に応じて保護用論理回路21が適切な制御を行うとともに、各電流制限回路41〜43において、それぞれゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3a,Vth3b,Vth3c以上となったときにこれらの第3の閾値Vth3a,Vth3b,Vth3cに制限する。
具体的に、第1の状態領域AR1においては、電流制限部25aの第1の電流制限回路41の第2FET59が、抵抗51の両端電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1a(図3及び図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合(即ち、第1の状態領域AR1である場合)に第2FET59がオンし、分圧抵抗55〜58に電流が流れる。このとき、第2FET59のドレイン−ソース間電圧がほぼゼロであるとして、分圧抵抗55〜58の両端には第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが印加される。
次に、第4FET61は、分圧抵抗55と分圧抵抗56との接続点の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2a(図3及び図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合に第4FET61がオンする。このことは、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の点線G4th上にあることを意味する。
そうすると、負荷短絡検出回路45の第14FET115がオンとなり、第1のスイッチング素子12のドレイン電圧Vd(+B)がプルダウン抵抗111に印加されて、そのドレイン電圧Vdが電圧SHORT1として保護用論理回路21に入力される。保護用論理回路21は、この電圧SHORT1に基づいて負荷11の短絡等について判断し、負荷11の短絡等の重大な異常事態が発生していると判断した場合には、即座に第1のスイッチング素子12を遮断するようにチャージポンプ23の制御を行う。
この場合、保護用論理回路21は、負荷短絡検出回路45での負荷11の短絡検出により第1のスイッチング素子12を遮断等した後にも、周期的にオン動作をすることで、自律的な復帰を図る。この場合、保護用論理回路21内に設定されたタイマの計時動作(タイマ動作)によって復帰する。
また、第3FET60は、分圧抵抗56と分圧抵抗57との接続点の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3a(図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合に第3FET60はオンとなって電流I1を流し、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間を短絡させて当該第1のスイッチング素子12をオフにする。また、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3a未満に低下すると、第3FET60はオフとなり、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間が復帰して当該第1のスイッチング素子12がオンとなる。このようにして、第3FET60がオンオフを繰り返すことにより、第1のスイッチング素子12のオンオフが繰り返され、その結果、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは第3の閾値Vth3aに制限される。このことは、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の線G4上に制限されることを意味する。
第2の状態領域AR2においては、電流制限部25aの第2の電流制限回路42の第7FET79が、抵抗71の両端電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1b(図3及び図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合(即ち、第2の状態領域AR2である場合)に第7FET79がオンし、分圧抵抗75〜78に電流が流れる。このとき、第7FET79のドレイン−ソース間電圧がほぼゼロであるとして、分圧抵抗75〜78の両端には第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが印加される。
次に、第9FET81は、分圧抵抗75と分圧抵抗76との接続点の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2b(図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合に第9FET81がオンする。このことは、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の点線G5th上にあることを意味する。
そうすると、負荷短絡検出回路45の第14FET115がオンとなり、第1のスイッチング素子12のドレイン電圧Vd(+B)がプルダウン抵抗111に印加されて、そのドレイン電圧Vdが電圧SHORT1として保護用論理回路21に入力される。保護用論理回路21は、この電圧SHORT1に基づいて負荷11の短絡等について判断し、負荷11の短絡等の重大な異常事態が発生していると判断した場合には、即座に第1のスイッチング素子12を遮断するようにチャージポンプ23の制御を行う。
この場合、保護用論理回路21は、負荷短絡検出回路45での負荷11の短絡検出により第1のスイッチング素子12を遮断等した後にも、周期的にオン動作をすることで、自律的な復帰を図る。この場合、保護用論理回路21内に設定されたタイマの計時動作(タイマ動作)によって復帰する。
また、第8FET80は、分圧抵抗76と分圧抵抗77との接続点の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3b(図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合に第8FET80はオンとなって電流I2を流し、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間を短絡させて当該第1のスイッチング素子12をオフにする。また、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3b未満に低下すると、第8FET80はオフとなり、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間が復帰して当該第1のスイッチング素子12がオンとなる。このようにして、第8FET80がオンオフを繰り返すことにより、第1のスイッチング素子12のオンオフが繰り返され、その結果、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは第3の閾値Vth3bに制限される。このことは、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の線G5上に制限されることを意味する。
第3の状態領域AR3においては、電流制限部25aの第3の電流制限回路43の第11FET99が、抵抗91の両端電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のドレイン−ソース間電圧Vdsが第1の閾値Vth1c(図3及び図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合(即ち、第3の状態領域AR3である場合)に第11FET99がオンし、分圧抵抗95〜98に電流が流れる。このとき、第11FET99のドレイン−ソース間電圧がほぼゼロであるとして、分圧抵抗95〜98の両端には第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが印加される。
次に、第13FET101は、分圧抵抗95と分圧抵抗96との接続点の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2c(図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合に第13FET101がオンする。このことは、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の点線G6th上にあることを意味する。
そうすると、負荷短絡検出回路45の第15FET117がオンとなり、第1のスイッチング素子12のドレイン電圧Vd(+B)がプルダウン抵抗113に印加されて、そのドレイン電圧Vdが電圧SHORT2として保護用論理回路21に入力される。保護用論理回路21は、この電圧SHORT2に基づいて負荷11の短絡等について判断し、負荷11の短絡等の重大な異常事態が発生していると判断した場合には、即座に第1のスイッチング素子12を遮断するようにチャージポンプ23の制御を行う。
この場合、保護用論理回路21は、負荷短絡検出回路45での負荷11の短絡検出により第1のスイッチング素子12を遮断等した後にも、周期的にオン動作をすることで、自律的な復帰を図る。この場合、保護用論理回路21内に設定されたタイマの計時動作(タイマ動作)によって復帰する。
また、第12FET100は、分圧抵抗96と分圧抵抗97との接続点の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3c(図4)以上となったか否か検出し、この検出結果が肯定的であった場合に第12FET100はオンとなって電流I3を流し、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間を短絡させて当該第1のスイッチング素子12をオフにする。また、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3c未満に低下すると、第12FET100はオフとなり、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間が復帰して当該第1のスイッチング素子12がオンとなる。このようにして、第12FET100がオンオフを繰り返すことにより、第1のスイッチング素子12のオンオフが繰り返され、その結果、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsは第3の閾値Vth3cに制限される。このことは、第1のスイッチング素子12に流れる電流Idが図3中の線G6上に制御されることを意味する。
これと併行して、過電流検知回路29は過電流か否かを検出し、過電流であった場合にその旨の信号を保護用論理回路21に出力する。また、過温度検出回路31は、過温度か否かを検出し、過温度であった場合にその旨の信号を保護用論理回路21に出力する。これらに応じて、保護用論理回路21は、チャージポンプ23を介して第1のスイッチング素子12のゲート電圧の供給を遮断または断続的に停止(チョッピング)することで回路温度を調整する。
ただし、負荷11に対してサージ電流が発生した場合に、負荷11に対する電流供給の遮断またはチョッピングを行った場合に負サージにより電圧の過低下を抑制するため、ダイナミッククランプ回路27は、負サージが発生している間だけ、第1のスイッチング素子12をオンにしてインテリジェントパワーデバイス内の各部位を保護するよう機能する。
そして、過電流検知回路29が過電流を検知し、または過温度検出回路31が過温度を検出したときに、その出力の論理和を論理和回路33が論理判断し、第3のスイッチング素子37をオン切り換えして、プルアップ抵抗35を利用して例えば警告ランプ等の外部の警告装置等(図示省略)にその旨を報知する。
以上のように、電流制限部25aの各電流制限回路41〜43において、第1のスイッチング素子12が第1の閾値Vth1a〜Vth1c以上となる条件が成立し、且つ、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第2の閾値Vth2a〜Vth2c以上となる条件が成立したときに、負荷短絡検出回路45で即座に負荷11の短絡等の判断を行って保護用論理回路21により適切な制御を行うとともに、各電流制限回路41〜43において、第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsを第3の閾値Vth3a〜Vth3cとなるように制限するので、第1のスイッチング素子12及び負荷11に大電流が流れないように電流Idを素早く制限することができる。したがって、過電流による加熱を抑制するとともに、図3(B)に示したような過剰な消費電力を抑制することができる。
特に、分圧抵抗57,58,77,78,97,98と第3FET60、第8FET80及び第12FET100とで第1のスイッチング素子12のゲート−ソース間電圧Vgsが第3の閾値Vth3a〜Vth3c以上となっている旨を検出したときには、第3FET60、第8FET80及び第12FET100よりも分圧抵抗56,76,96の両端電圧だけゲート電圧の高い第4FET61、第9FET81及び第13FET101が必ずオンして負荷短絡検出回路45が起動するようになっているので、第3の閾値Vth3a〜Vth3cよりも早く第2の閾値Vth2a〜Vth2cでの電圧判断を行うことができる。したがって、第1のスイッチング素子12及び負荷11に大電流が流れ始める前に当該負荷11の異常を負荷短絡検出回路45で確実に検出することができ、その検出結果に基づいて直ちに保護用論理回路21が電流制限を開始することが可能となる。
そして、各電流制限回路41〜43により、複数の状態領域AR1〜AR4のそれぞれについて、適正な別々の第2の閾値Vth2a〜Vth2c及び第3の閾値Vth3a〜Vth3cを以て異常判断を行うことができ、電流抑制度を高めることができる。
さらに、各電流制限回路41〜43において、第3、第8及び第12FET60,80,100及び第4、第9及び第13FET61,81,101のゲート−ソース間に温度補償用のダイオード62,82,102が挿入されているので、温度変動に対し、安定した電流制限を行うことが可能である。
さらにまた、負荷短絡検出回路45での負荷11の短絡検出により保護用論理回路21で第1のスイッチング素子12を遮断等した後にも、周期的にオン動作をすることで、自律的な復帰を図るので、可及的に供給電力を制限しながらも効率よく第1のスイッチング素子12を復帰させることができる。
尚、上記実施の形態では、各電流制限回路41〜43を、図2、図5、図6及び図9に示したような構成としていたが、これらの構成に限られるものではない。
また、図2中に示した抵抗65,105に代えて、図10に示したカレントミラー回路等の定電流源を設けても差し支えない。
11 負荷
12 スイッチング素子
13 操作スイッチ
15 入力インターフェース回路
17 スイッチング素子
19 電源
21 保護用論理回路
23 チャージポンプ
25a 電流制限部
27 ダイナミッククランプ回路
29 過電流検知回路
31 過温度検出回路
33 論理和回路
35 プルアップ抵抗
37 スイッチング素子
41〜43 電流制限回路
45 負荷短絡検出回路
51,71,91 抵抗
53 第1FET
59 第2FET
60 第3FET
61 第4FET
55〜58,75〜78,95〜98 分圧抵抗
73 第5FET
62,82,102 温度補償用ダイオード
65,105 抵抗
74 第6FET
79 第7FET
80 第8FET
81 第9FET
93 第10FET
99 第11FET
100 第12FET
101 第13FET
111,113 プルダウン抵抗
115 第14FET
117 第15FET
AR1〜AR4 状態領域
SHORT1,SHORT2 検出信号
Vth1a〜Vth1c 第1の閾値
Vth2a〜Vth2c 第2の閾値
Vth3a〜Vth3c 第3の閾値
12 スイッチング素子
13 操作スイッチ
15 入力インターフェース回路
17 スイッチング素子
19 電源
21 保護用論理回路
23 チャージポンプ
25a 電流制限部
27 ダイナミッククランプ回路
29 過電流検知回路
31 過温度検出回路
33 論理和回路
35 プルアップ抵抗
37 スイッチング素子
41〜43 電流制限回路
45 負荷短絡検出回路
51,71,91 抵抗
53 第1FET
59 第2FET
60 第3FET
61 第4FET
55〜58,75〜78,95〜98 分圧抵抗
73 第5FET
62,82,102 温度補償用ダイオード
65,105 抵抗
74 第6FET
79 第7FET
80 第8FET
81 第9FET
93 第10FET
99 第11FET
100 第12FET
101 第13FET
111,113 プルダウン抵抗
115 第14FET
117 第15FET
AR1〜AR4 状態領域
SHORT1,SHORT2 検出信号
Vth1a〜Vth1c 第1の閾値
Vth2a〜Vth2c 第2の閾値
Vth3a〜Vth3c 第3の閾値
Claims (10)
- 負荷への通電を行うパワーMOS−FETとしての駆動スイッチング素子と、
前記駆動スイッチング素子のゲート入力を制御する保護用論理回路と、
前記駆動スイッチング素子に流れる電流を制限する電流制限部とを備え、
前記電流制限部は少なくとも1つの電流制限回路を有し、
前記電流制限回路は、
前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立したことを判断する第1の回路と、
前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立したことを判断する第2の回路と、
前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsが前記第1の閾値Vth1以上である場合に、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsを所定の第3の閾値Vth3となる様に制限する第3の回路とを備え、
前記第2の閾値Vth2が前記第3の閾値Vth3より小さく設定されていることを特徴としたインテリジェントパワーデバイス。 - 請求項1に記載のインテリジェントパワーデバイスであって、
前記電流制限部は、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立し、且つ、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立した場合に、前記負荷が短絡していると見なし、その検出結果を前記保護用論理回路に伝達する負荷短絡検出回路を更に有し、
前記負荷短絡検出回路が前記負荷が短絡していると見なした場合に、前記負荷短絡検出回路からの信号に基づいて、前記保護用論理回路がゲート入力を制御することで前記駆動スイッチング素子を遮断する、インテリジェントパワーデバイス。 - 請求項1、または請求項2に記載のインテリジェントパワーデバイスであって、
前記電流制限回路が、
前記第2及び第3の閾値を決定するためのFETと、
前記FETのゲートとソース間に挿入された温度補償用のダイオードとを備える、インテリジェントパワーデバイス。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のインテリジェントパワーデバイスであって、
前記電流制限回路を複数備え、当該各電流制限回路によって、前記第1の閾値、前記第2の閾値及び第3の閾値のうちの1つ以上が変更して設定された、インテリジェントパワーデバイス。 - 請求項2から請求項4のいずれかに記載のインテリジェントパワーデバイスであって、
前記保護用論理回路が前記負荷の短絡を検出し前記駆動スイッチング素子を遮断した後に、前記駆動スイッチング素子を周期的にオン動作させる、インテリジェントパワーデバイス。 - 保護用論理回路がパワーMOSFETとしての駆動スイッチング素子のゲート入力を制御し、前記駆動スイッチング素子を通じて負荷への通電を行うにあたって、前記駆動スイッチング素子に流れる電流を電流制限部により制限するインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、
前記電流制限部が、負荷への通電をパワーMOSFETとしての駆動スイッチング素子で行うにあたり、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立した場合に、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立するか否かを判断するとともに、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧を前記第2の閾値Vth2よりも所定の値だけ高い所定の第3の閾値Vth3となるように制限するインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法。 - 請求項6に記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、
前記電流制限部が、前記駆動スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧Vdsと所定の第1の閾値Vth1に対して、Vds≧Vth1となる条件が成立し、且つ、前記駆動スイッチング素子のゲート−ソース間電圧Vgsと所定の第2の閾値Vth2に対して、Vds≧Vth2となる条件が成立したときに、前記負荷が短絡しているか否かを判断し、その判断結果が肯定的であった場合に、前記保護用論理回路を通じて前記駆動スイッチング素子を遮断する、インテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法。 - 請求項6または請求項7に記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、
前記電流制限部において、
前記第3の閾値Vth3を決定するためのFETのゲートとソース間に挿入されたダイオードにより温度補償を行う、インテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法。 - 請求項6から請求項8のいずれかに記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、
前記電流制限部内に複数の電流制限回路を設け、当該各電流制限回路毎に、前記第1の閾値Vth1、前記第2の閾値Vth2及び第3の閾値Vth3のうちの1つ以上を変更して予め設定する、インテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法。 - 請求項7に記載のインテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法であって、
前記負荷が短絡しているか否かの判断において判断結果が肯定的であった場合に、前記負荷の短絡を検出して前記駆動スイッチング素子を遮断した後に、前記駆動スイッチング素子を周期的にオン動作させる、インテリジェントパワーデバイスの負荷短絡保護方法。
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