JP2005310482A - 色素増感型太陽電池用ポリマー電解質及びそれを用いた色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】液漏れの危険性が無く、高温下でも、電池の発火・引火を防止できる色素増感型太陽電池用電解質、及び該電解質を備えた安全性の高い色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなる色素増感型太陽電池用ポリマー電解質、並びに、該ポリマー電解質と、導電性基板、該導電性基板上に配設された酸化物半導体層及び該酸化物半導体層に吸着された有機色素からなる酸化物半導体電極と、対向電極とを備える色素増感型太陽電池である。
【選択図】図1
【解決手段】ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなる色素増感型太陽電池用ポリマー電解質、並びに、該ポリマー電解質と、導電性基板、該導電性基板上に配設された酸化物半導体層及び該酸化物半導体層に吸着された有機色素からなる酸化物半導体電極と、対向電極とを備える色素増感型太陽電池である。
【選択図】図1
Description
本発明は、色素増感型太陽電池用ポリマー電解質及びそれを用いた色素増感型太陽電池に関し、特に安全性が高い色素増感型太陽電池用ポリマー電解質に関するものである。
近年、省エネルギー、資源の有効利用、環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。現在、一般的に用いられている太陽電池は、光電変換材料として、結晶性シリコン、アモルファスシリコンを用いたpn接合型太陽電池である。しかしながら、pn接合型太陽電池においては、結晶性シリコン等の光電変換材料の製造に多大なエネルギーを要するため、省エネルギー化等の上記目的を達成することができない。また、光電変換材料の製造に多大なエネルギーが必要なため、結果として、pn接合型太陽電池は、高価なものと成らざるを得ない。
これに対して、光電変換材料として、シリコン等を用いずに、有機色素で増感された酸化物半導体を用いた色素増感型太陽電池が知られている。該色素増感型太陽電池には、大量生産され且つ比較的安価な酸化物半導体及び有機色素を用いることができるため、原材料の面で、上記シリコン等を用いたpn接合型太陽電池に比べて有利な点が多い。
上記色素増感型太陽電池としては、例えば、酸化亜鉛粉末を圧縮成形し、1300℃で1時間焼結して形成したディスク状焼結体の表面に、有機色素としてローズベンガルを吸着させてなる酸化物半導体電極を用いた色素増感型太陽電池が提案されている(非特許文献1参照)。しかしながら、該太陽電池は、電流/電圧曲線における0.2Vの起電圧時の電流値が約25μA程度と非常に低く、実用化には程遠いものであった。
これに対し、酸化物半導体表面に遷移金属錯体等の分光増感色素層を有するもの(特許文献1参照)、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に遷移金属錯体等の分光増感色素層を有するもの(特許文献2参照)、酸化物半導体微粒子集合体の焼結物からなる酸化物半導体膜を用いた色素増感型太陽電池(特許文献3参照)が知られており、これらの色素増感型太陽電池においては、光電変換効率が大幅に向上している。
ネイチャー,268(1976),p.402
特開平1−220380号公報
特表平5−504023号公報
特開平10−92477号公報
しかしながら、上記色素増感型太陽電池は、太陽光下での使用中に太陽光で加熱されるおそれがあり、該色素増感型太陽電池の電解質としては、一般に有機溶媒とレドックス電解質とを含む電解液が用いられるため、高温下では、電解液中の有機溶媒が気化・分解してガスを発生したり、発生したガスによって、電池が発火・引火する等の可能性があった。また、従来の色素増感型太陽電池は、pn接合型太陽電池と異なり、セル中が電解液で満たされているため、液漏れの危険性があり、液漏れした電解液によって電池が発火・引火する等の可能性もあった。特に、一般的に電解液として使用されるアセトニトリル溶媒は、沸点が低いため、直射日光の照射される場所では沸騰乃至蒸発し、大きな課題である。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、液漏れの危険性が無く、高温下でも、電池の発火・引火を防止できる色素増感型太陽電池用電解質を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる色素増感型太陽電池用電解質を備えた、安全性の高い色素増感型太陽電池を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質との混合溶液を色素増感型太陽電池用セルに充填した後、加熱することで、ホスファゼン化合物が重合して前記混合溶液がポリマー電解質となり、液漏れ及び発火・引火の危険性のない色素増感型太陽電池(ポリマー電池)が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質は、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなることを特徴とする。ここで、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質においては、前記電解質組成物中のホスファゼン化合物が加熱により重合するため、液漏れの可能性がない。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質の好適例においては、前記ホスファゼン化合物が下記式(I):
(式中、R1は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y1は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表す)又は下記式(II):
(NPR2 2)n ・・・ (II)
(式中、R2はそれぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;nは3〜15を表す)で表される。また、前記電解質組成物中のホスファゼン化合物の含有量は、3〜20質量%の範囲が好ましい。
(式中、R1は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y1は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表す)又は下記式(II):
(NPR2 2)n ・・・ (II)
(式中、R2はそれぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;nは3〜15を表す)で表される。また、前記電解質組成物中のホスファゼン化合物の含有量は、3〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質の他の好適例においては、前記テトラアルキルチウラムジスルフィド類が下記式(III):
(式中、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される。また、前記電解質組成物中のテトラアルキルチウラムジスルフィド類の含有量は、1〜3質量%の範囲が好ましい。
(式中、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される。また、前記電解質組成物中のテトラアルキルチウラムジスルフィド類の含有量は、1〜3質量%の範囲が好ましい。
また、本発明の色素増感型太陽電池は、導電性基板、該導電性基板上に配設された酸化物半導体層及び該酸化物半導体層に吸着された有機色素からなる酸化物半導体電極と、対向電極と、上記色素増感型太陽電池用ポリマー電解質とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質との混合溶液を加熱してなる、安全性の高い色素増感型太陽電池用ポリマー電解質を提供することができる。なお、該色素増感型太陽電池用ポリマー電解質は、色素増感型太陽電池用セルに充填後、加熱して形成されるため、予め所定の形状に成形する必要がなく、設計自由度が高い。また、上記ポリマー電解質を備え、安全性の高い色素増感型太陽電池を提供することができる。
<色素増感型太陽電池用ポリマー電解質>
以下に、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質を詳細に説明する。本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質は、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなる。本発明においては、上記電解質組成物中のホスファゼン化合物が加熱により重合し、色素増感型太陽電池用ポリマー電解質が形成される。但し、本発明においては、上記ホスファゼン化合物の総てが重合する必要はなく、該ホスファゼン化合物は、液漏れの危険性がない程度に重合すればよい。本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質は、色素増感型太陽電池の製造において、予め所定の形状に成形する必要がなく、例えば、酸化物半導体電極及び対向電極等で形成されたセルに上記電解質組成物を充填した後、加熱して形成することができる。そのため、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質によれば、従来の電解液を用いた場合と同等の設計自由度を維持できる。
以下に、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質を詳細に説明する。本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質は、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなる。本発明においては、上記電解質組成物中のホスファゼン化合物が加熱により重合し、色素増感型太陽電池用ポリマー電解質が形成される。但し、本発明においては、上記ホスファゼン化合物の総てが重合する必要はなく、該ホスファゼン化合物は、液漏れの危険性がない程度に重合すればよい。本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質は、色素増感型太陽電池の製造において、予め所定の形状に成形する必要がなく、例えば、酸化物半導体電極及び対向電極等で形成されたセルに上記電解質組成物を充填した後、加熱して形成することができる。そのため、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質によれば、従来の電解液を用いた場合と同等の設計自由度を維持できる。
また、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質においては、上記ホスファゼン化合物及びその重合体から誘導される窒素ガスの作用によって、電解質が燃焼する危険性が低減されている。また、上記ホスファゼン化合物及びその重合体を構成するリンには、リン酸エステル等を発生して電池を構成する高分子材料の連鎖分解を抑制する作用があるため、電池の発火・引火の危険性を効果的に低減することができる。更に、上記ホスファゼン化合物がハロゲンを含む場合、万が一の燃焼時にはハロゲンが活性ラジカルの捕捉剤として機能し、電解質の燃焼の危険性を低減する。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質においては、上記電解質組成物を60℃以上で加熱することを要し、60〜80℃の範囲で加熱するのが、電池の特性劣化を防止する点で好ましい。また、上記電解質組成物の加熱時間は加熱温度に応じて適宜選択され、例えば、60℃で加熱する場合は、10〜20分間加熱するのが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質に用いる電解質組成物は、ホスファゼン化合物を含む。該ホスファゼン化合物として、具体的には、上記式(I)で表される鎖状ホスファゼン化合物及び上記式(II)で表される環状ホスファゼン化合物が挙げられる。また、式(I)又は式(II)で表されるホスファゼン化合物の中でも、25℃(室温)において液体であるものが好ましい。該液状ホスファゼン化合物の25℃における粘度は、300mPa・s(300cP)以下が好ましく、20mPa・s(20cP)以下が更に好ましく、5mPa・s(5cP)以下が特に好ましい。なお、本発明において粘度は、粘度測定計[R型粘度計Model RE500-SL、東機産業(株)製]を用い、1rpm、2rpm、3rpm、5rpm、7rpm、10rpm、20rpm及び50rpmの各回転速度で120秒間づつ測定し、指示値が50〜60%となった時の回転速度を分析条件とし、その際の粘度を測定することによって求めた。ホスファゼン化合物の25℃における粘度が300mPa・s(300cP)を超えると、レドックス電解質が溶解し難くなり、ポリマー電解質のイオン導電性が著しく低下し、特に氷点以下等の低温条件下での使用において性能不足となる。
式(I)のR1は、一価の置換基又はハロゲン元素である限り特に制限はなく、各R1は、同一でも、異なってもよい。ここで、一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基及びメトキシエトキシエトキシ基が好ましく、低粘度・高誘電率の観点から、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、該ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素が好適であり、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。
式(I)のY1は、2価の連結基、2価の元素又は単結合である限り特に制限はなく、各Y1は、同一でも、異なってもよい。ここで、2価の連結基としては、CH2基の他、酸素、硫黄、セレン、窒素、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が挙げられ;2価の元素としては、酸素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらの中でも、式(I)のY1としては、CH2基、及び、酸素、硫黄、セレン、窒素からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が好ましい。特に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基の場合には、電解質の発火・引火の危険性が著しく低減するため好ましい。
式(I)のXは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基である限り特に制限はない。有害性、環境等への配慮の観点から、式(I)のXとしては、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基が好ましく、下記式(IV)、式(V)又は式(VI):
[式(IV)、式(V)及び式(VI)中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y4、Y5及びY6は、それぞれ独立に2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Zは2価の基又は2価の元素を表す]で表される置換基が更に好ましい。
[式(IV)、式(V)及び式(VI)中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y4、Y5及びY6は、それぞれ独立に2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Zは2価の基又は2価の元素を表す]で表される置換基が更に好ましい。
式(IV)のR4、式(V)のR5及び式(VI)のR6としては、式(I)のR1で述べたのと同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。また、式(IV)の2つのR4、並びに式(VI)の2つのR6は、それぞれ同一でも、異なってもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(IV)のY4、式(V)のY5及び式(VI)のY6としては、式(I)のY1で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素がいずれも好適に挙げられる。同様に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基の場合には、電解質の発火・引火の危険性が大きく低減するため特に好ましい。また、Y4、Y5及びY6としては、単結合も好ましい。式(IV)の2つのY4、並びに式(VI)の2つのY6は、それぞれ同一でも、異なってもよい。
式(IV)のZは、2価の基又は2価の元素である限り特に制限はない。ここで、2価の基としては、CH2基、CHR基(ここで、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基等を表す)、NR基の他、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基等が挙げられ;2価の元素としては、酸素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらの中でも、式(IV)のZとしては、CH2基、CHR基、NR基の他、酸素、硫黄、セレンからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基が好ましい。特に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の基の場合には、電解質の発火・引火の危険性が大幅に低減するため好ましい。
これら置換基としては、特に効果的に発火・引火の危険性を低減し得る点で、式(IV)で表されるようなリンを含む置換基が特に好ましい。また、置換基が式(V)で表されるような硫黄を含む置換基である場合には、電解質の小界面抵抗化の点で特に好ましい。
式(II)のR2は、一価の置換基又はハロゲン元素である限り特に制限はない。ここで、一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、フッ素が特に好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基が特に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ;上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ;上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素原子で置換された置換基としては、トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。
式(I)、(II)、(IV)〜(VI)におけるR1〜R2、R4〜R6、Y1、Y4〜Y6、Zを適宜選択することにより、より好適な粘度、添加・混合に適する溶解性等を有するホスファゼン化合物が得られる。これらホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質に用いる電解質組成物において、上記ホスファゼン化合物の含有量は、電解質の安全性を向上させる観点から、3〜20質量%が好ましく、8〜20質量%が更に好ましい。また、本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質においては、電解質の液漏れを防止する観点から、電解質組成物の8〜15質量%に相当する量のホスファゼン化合物が重合しているのが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質に用いる電解質組成物は、テトラアルキルチウラムジスルフィド類を含む。該テトラアルキルチウラムジスルフィド類として、具体的には、上記式(III)で表される化合物が好ましい。ここで、式(III)のR3は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、該炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。これらアルキル基の中でも、ポリマー化反応を促進する観点から、メチル基及びエチル基が好ましい。上記テトラアルキルチウラムジスルフィド類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質に用いる電解質組成物において、上記テトラアルキルチウラムジスルフィド類の含有量は、電池特性への悪影響を防止する観点から、1〜3質量%が好ましく、1〜1.5質量%が更に好ましい。
上記電解質組成物において、テトラアルキルチウラムジスルフィド類はラジカル重合開始剤として機能し、上記ホスファゼン化合物にラジカルを生成させ、ホスファゼン化合物のラジカル重合を開始させる。例えば、式(II)の環状ホスファゼン化合物と式(III)のテトラアルキルチウラムジスルフィド類を例にとると、以下のようにして、ホスファゼン化合物のラジカル重合が進行する。
上記反応スキームに示すように、まず、式(III)のテトラアルキルチウラムジスルフィド類が開裂して、複数種のラジカルが生成する。次に生成したラジカルが式(II)のホスファゼン化合物から、R2・を引き抜き、式(II)のホスファゼン化合物にラジカルが生じる。次に、ラジカルを持った式(II)のホスファゼン化合物と他のホスファゼン化合物とが重合し、引き続き、ラジカルがクエンチされるまで重合が進行して、ポリホスファゼンが生成する。なお、反応スキームを示さないが、式(I)の鎖状ホスファゼン化合物についても、テトラアルキルチウラムジスルフィド類から生成したラジカルがR1Y1・を引き抜くことでホスファゼン化合物の重合が開始され、ポリホスファゼンが生成する。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質に用いるレドックス電解質としては、I-/I3 -系や、Br-/Br3 -系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。これらレドックス電解質は、公知の方法によって得ることができ、例えば、I-/I3 -系のレドックス電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩若しくはイミダゾリウム塩或いはLiI、NaI、KI、CaI2等の金属ヨウ化物を単独或いはヨウ素と混合することによって調製でき、Br-/Br3 -系レドックス電解質は、臭素のアンモニウム塩若しくはイミダゾリウム塩或いはLiBr、NaBr、KBr、CaBr2等の金属臭化物を単独或いは臭素と混合することによって調製できる。これらレドックス電解質の中でも、I-/I3 -系のレドックス電解質が好ましい。本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質中のレドックス電解質の濃度は、0.1〜2mol/L(M)の範囲が好ましく、0.5〜1.5mol/Lの範囲が更に好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質にかかわる電解質組成物は、上記ホスファゼン化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド類及びレドックス電解質の他に、有機溶媒を含んでもよい。該有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、3-メチル-2-オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル等のリン酸エステル類が挙げられ、これらの中でも、ニトリル類、オキサゾリジノン類及びカーボネート類が好ましい。これら有機溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
<色素増感型太陽電池>
次に、本発明の色素増感型太陽電池を詳細に説明する。本発明の色素増感型太陽電池は、導電性基板、該導電性基板上に配設された酸化物半導体層及び該酸化物半導体層に吸着された有機色素からなる酸化物半導体電極と、対向電極と、上述の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質とを備える。本発明の色素増感型太陽電池には、上記色素増感型太陽電池用ポリマー電解質が用いられるため、液漏れの心配がなく、発火・引火の危険性が低く、更には設計の自由度も高い。
次に、本発明の色素増感型太陽電池を詳細に説明する。本発明の色素増感型太陽電池は、導電性基板、該導電性基板上に配設された酸化物半導体層及び該酸化物半導体層に吸着された有機色素からなる酸化物半導体電極と、対向電極と、上述の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質とを備える。本発明の色素増感型太陽電池には、上記色素増感型太陽電池用ポリマー電解質が用いられるため、液漏れの心配がなく、発火・引火の危険性が低く、更には設計の自由度も高い。
本発明の色素増感型太陽電池に用いる酸化物半導体電極は、導電性基板と、該導電性基板上に配設された酸化物半導体層と、該酸化物半導体層に吸着された有機色素とからなる。該酸化物半導体電極は、例えば、有機色素及び有機溶媒を含む有機色素溶液を、導電性基板上に配設された酸化物半導体層に含浸して有機色素を酸化物半導体層に吸着させて製造される。
上記導電性基板は、透明であるのが好ましく、導電性を有さない透明基板上に導電性酸化物層が配設されてなるのが好ましい。ここで、導電性酸化物としては、ITO、SnO2等が好ましい。また、導電性を有さない透明基板の材料としては、ガラスや透明プラスチック等が挙げられる。
上記酸化物半導体層の材料としては、従来公知のものを用いることができ、具体的には、Ti、Sn、Nb、Zn、In等の遷移金属の酸化物や、SrTiO3等のペロブスカイト系酸化物が好ましく、これらの中でもTiO2が特に好ましい。上記酸化物半導体は、微粒子であるのが好ましく、平均粒径が5μm以下であるのが好ましく、50nm以下であるのが更に好ましく、比表面積が5m2/g以上であるのが好ましく、10m2/g以上であるのが更に好ましい。上記酸化物半導体層の厚さは、1μm〜1mmの範囲が好ましい。
上記有機色素としては、従来公知のものを用いることができ、太陽光を広い波長範囲に渡って吸収できるものが好ましい。該有機色素としては、ビピリジルRu錯体、ターピリジルRu錯体、フェナントロリンRu錯体、ビシンコニン酸Ru錯体等のRu錯体、クロロフィル、ローダミン、エオシン、フロキシン、フルオレセイン、エリスロシン、ウラニン、ローズベンガル等が挙げられる。これら有機色素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸化物半導体電極の作製に用いる有機色素溶液は、上記有機色素を有機溶媒に溶解させて調製される。ここで、該有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これら有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、有機色素溶液中の有機色素の濃度は、有機色素溶液100mL中、有機色素が1〜10000mg含まれるのが好ましく、10〜500mg含まれるのが更に好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池に用いる対向電極は、導電性を有さない透明基板上に導電性酸化物層が配設され、該導電性酸化物層の上に、レドックス電解質中のイオンの還元反応を促進する触媒を付着させたものが好ましい。ここで、導電性酸化物としては、ITO、SnO2等が好ましい。また、導電性を有さない透明基板の材料としては、ガラスや透明プラスチック等が挙げられる。更に、レドックス電解質中のイオンの還元反応を促進する触媒としては、Pt、Ru、Rh、Pd等が挙げられ、これらの中でもPtが好ましい。これら触媒は、スパッタリング等により、導電性酸化物層上に形成することができる。また、スパッタリングで触媒を付着させた後、更に、塩化白金酸水溶液等を塗布し、焼成還元してもよい。
以下に、本発明の色素増感型太陽電池を、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の色素増感型太陽電池の一実施態様の部分断面図である。図示例の色素増感型太陽電池は、透明基板1A,1B上に導電性酸化物層2A,2Bがそれぞれ配置されている。更に、導電性酸化物層2A上には、レドックス電解質中のイオンの還元反応を促進する触媒3が配置されている。一方、導電性酸化物層2B上には、酸化物半導体層4が配置されており、該酸化物半導体層4には、有機色素が吸着されている。また、透明基板1A、導電性酸化物層2A及び触媒3からなる対向電極5と、透明基板1B、導電性酸化物層2B及び酸化物半導体層4からなる酸化物半導体電極6とが、ポリマー電解質7を介して対向配置されており、対向電極5の触媒3と、酸化物半導体電極6の酸化物半導体層4とがポリマー電解質7に接触している。本発明の色素増感型太陽電池においては、電解質としてポリマー電解質7を用いているため、液漏れの心配がなく、更に、ポリマー電解質7がホスファゼン化合物の重合物を含むため、電池の発火・引火の危険性が大幅に低減されている。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
30mM(mmol/L)のヨウ素及び0.3M(mol/L)のヨウ化カリウムを含むアセトニトリル/3-メチル-2-オキサゾリジノン(質量比=50/50)混合溶液86質量部に対して、ホスファゼン化合物A[式(II)において、nが3であって、6つのR2のうち2つがエトキシ基(CH3CH2O−)、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:1.2mPa・s、沸点:194℃]12質量部と、テトラアルキルチウラムジスルフィドZ[式(III)において、全R3がメチル基である化合物]2質量部とを添加して電解質組成物を調製し、該電解質組成物を加熱してなるポリマー電解質の安全性を下記の方法で評価した。
30mM(mmol/L)のヨウ素及び0.3M(mol/L)のヨウ化カリウムを含むアセトニトリル/3-メチル-2-オキサゾリジノン(質量比=50/50)混合溶液86質量部に対して、ホスファゼン化合物A[式(II)において、nが3であって、6つのR2のうち2つがエトキシ基(CH3CH2O−)、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:1.2mPa・s、沸点:194℃]12質量部と、テトラアルキルチウラムジスルフィドZ[式(III)において、全R3がメチル基である化合物]2質量部とを添加して電解質組成物を調製し、該電解質組成物を加熱してなるポリマー電解質の安全性を下記の方法で評価した。
(1)ポリマー電解質の安全性
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼挙動からポリマー電解質の安全性を評価した。その際、着火性、燃焼性、炭化物の生成、二次着火時の現象についても観察した。具体的には、UL試験基準に基づき、不燃性石英ファイバーに上記電解質組成物1.0mLを染み込ませ60℃で20分間加熱してポリマー電解質を形成し、127mm×12.7mmの試験片を作製して行った。ここで、試験炎が試験片に着火しない場合(燃焼長:0mm)を「不燃性」、着火した炎が25mmラインまで到達せず且つ落下物にも着火が認められない場合を「難燃性」、着火した炎が25〜100mmラインで消火し且つ落下物にも着火が認められない場合を「自己消火性」、着火した炎が100mmラインを超えた場合を「燃焼性」と評価した。
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼挙動からポリマー電解質の安全性を評価した。その際、着火性、燃焼性、炭化物の生成、二次着火時の現象についても観察した。具体的には、UL試験基準に基づき、不燃性石英ファイバーに上記電解質組成物1.0mLを染み込ませ60℃で20分間加熱してポリマー電解質を形成し、127mm×12.7mmの試験片を作製して行った。ここで、試験炎が試験片に着火しない場合(燃焼長:0mm)を「不燃性」、着火した炎が25mmラインまで到達せず且つ落下物にも着火が認められない場合を「難燃性」、着火した炎が25〜100mmラインで消火し且つ落下物にも着火が認められない場合を「自己消火性」、着火した炎が100mmラインを超えた場合を「燃焼性」と評価した。
次に、TiO2コロイド溶液(TiO2:11質量%含有)1mLに対して、ポリエチレングリコール(PEG:Mw=20000)0.05gを加え、乳鉢ですりつぶして均一なペーストを作製した。次に、ガラス基板にITOを塗布して導電性基板を作製した。該導電性基板のITO側にメンディングテープを基板上に四角形の枠が形成されるように貼り付け、更に、枠の厚みが100μm程度になるようにメンディングテープを重ねて貼り付けた。該基板上の枠内に上記ペーストを入れ、室温(20℃)で10分程乾燥させた。乾燥後、大気圧下、500℃で30分間焼成し、放冷した後、室温(20℃)でTiO2表面に0.1MのTiCl4水溶液を一滴滴下し、密閉容器中で一晩放置した。その後、基板上のTiO2層を蒸留水で洗浄し、乾燥させ、更に、450℃で30分間焼成した後、放冷した。放冷により80℃程度になったところで、TiO2付き基板を、アセトニトリルにRu(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)2(NCS)2錯体が3×10-4Mになるように溶解させて調製した有機色素溶液中に浸漬し、一晩浸漬し、酸化物半導体電極を作製した。
一方、ガラス基板に酸化スズを塗布し、該酸化スズ層の表面に、Ar雰囲気下、加熱せずスパッタリング法で白金を付着させ対向電極を作製した。
上記Ru色素が固定されたTiO2酸化物半導体電極に上記電解質組成物を数滴滴下し、中央部を四角く切り取った厚さ25μmのスペーサーフィルムを介して、酸化物半導体電極と対向電極とを対向させ、クリップで2箇所固定し、更に、60℃で20分間加熱して色素増感型太陽電池を作製した。得られた色素増感型太陽電池に対して、下記の方法で、電池特性を測定し、更に液漏れ試験を行った。結果を表1に示す。
(1)電池特性
擬似太陽光(AM1.5、96mW/cm2)を照射し、短絡光電流、光電圧、形状因子(フィルファクター)、変換効率を測定した。なお、AM(Air mass:エア・マス)とは、大気通過量を意味し、AM1.0とは真上(入射角90度)から入射した光を意味し、AM1.5とはその通過量が1.5倍(入射角41.8度)での到達光を意味する。
擬似太陽光(AM1.5、96mW/cm2)を照射し、短絡光電流、光電圧、形状因子(フィルファクター)、変換効率を測定した。なお、AM(Air mass:エア・マス)とは、大気通過量を意味し、AM1.0とは真上(入射角90度)から入射した光を意味し、AM1.5とはその通過量が1.5倍(入射角41.8度)での到達光を意味する。
(2)液漏れ試験
完成した色素増感型太陽電池にピンホールを開け、該ピンホールから液が漏れるか否かを判断した。
完成した色素増感型太陽電池にピンホールを開け、該ピンホールから液が漏れるか否かを判断した。
(比較例1)
30mMのヨウ素及び0.3Mのヨウ化カリウムを含むアセトニトリル/3-メチル-2-オキサゾリジノン(質量比=50/50)混合溶液88質量部に対して、ホスファゼン化合物A[式(II)において、nが3であって、6つのR2のうち2つがエトキシ基(CH3CH2O−)、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:1.2mPa・s]12質量部を添加して電解質組成物を調製し、該電解質組成物の安全性を実施例1と同様にして評価した。但し、安全性の評価で用いた試験片は、127mm×12.7mmの不燃性石英ファイバーに上記電解質組成物1.0mLを染み込ませて作製した。
30mMのヨウ素及び0.3Mのヨウ化カリウムを含むアセトニトリル/3-メチル-2-オキサゾリジノン(質量比=50/50)混合溶液88質量部に対して、ホスファゼン化合物A[式(II)において、nが3であって、6つのR2のうち2つがエトキシ基(CH3CH2O−)、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:1.2mPa・s]12質量部を添加して電解質組成物を調製し、該電解質組成物の安全性を実施例1と同様にして評価した。但し、安全性の評価で用いた試験片は、127mm×12.7mmの不燃性石英ファイバーに上記電解質組成物1.0mLを染み込ませて作製した。
また、実施例1と同様に酸化物半導体電極及び対向電極を作製し、酸化物半導体電極に上記電解質組成物を滴下した後、スペーサーフィルムを介して酸化物半導体電極と対向電極とを対向させて、色素増感型太陽電池を作製した。得られた電池に対して、実施例1と同様にして電池特性を測定し、液漏れ試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同じ電解質組成物1.0mLを不燃性石英ファイバーに染み込ませ90℃で10分間加熱してポリマー電解質を形成し、127mm×12.7mmの試験片を作製する以外は、実施例1と同様にしてポリマー電解質の安全性を評価した。
実施例1と同じ電解質組成物1.0mLを不燃性石英ファイバーに染み込ませ90℃で10分間加熱してポリマー電解質を形成し、127mm×12.7mmの試験片を作製する以外は、実施例1と同様にしてポリマー電解質の安全性を評価した。
また、90℃で10分間加熱する以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製した。得られた電池に対して、実施例1と同様にして電池特性を測定し、液漏れ試験を行った。結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例の色素増感型太陽電池は、液漏れがなく、安全性が高いことが分かる。また、60℃程度の比較的低温の加熱で電解質組成物中のホスファゼン化合物が十分に重合して液漏れのない色素増感型太陽電池用ポリマー電解質が形成されることが分かる。
1A,1B 透明基板
2A,2B 導電性酸化物層
3 触媒
4 酸化物半導体層
5 対向電極
6 酸化物半導体電極
7 ポリマー電解質
2A,2B 導電性酸化物層
3 触媒
4 酸化物半導体層
5 対向電極
6 酸化物半導体電極
7 ポリマー電解質
Claims (7)
- ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類とレドックス電解質とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなる色素増感型太陽電池用ポリマー電解質。
- 前記ホスファゼン化合物が加熱により重合していることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質。
- 前記電解質組成物中のホスファゼン化合物の含有量が3〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質。
- 前記電解質組成物中のテトラアルキルチウラムジスルフィド類の含有量が1〜3質量%であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質。
- 導電性基板、該導電性基板上に配設された酸化物半導体層及び該酸化物半導体層に吸着された有機色素からなる酸化物半導体電極と、対向電極と、請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用ポリマー電解質とを備える色素増感型太陽電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004124324A JP2005310482A (ja) | 2004-04-20 | 2004-04-20 | 色素増感型太陽電池用ポリマー電解質及びそれを用いた色素増感型太陽電池 |
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JP (1) | JP2005310482A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3168915A1 (en) * | 2015-11-13 | 2017-05-17 | Basf Se | Additives for electrochemical cells |
US10320031B2 (en) | 2015-11-13 | 2019-06-11 | Sion Power Corporation | Additives for electrochemical cells |
US10868306B2 (en) | 2017-05-19 | 2020-12-15 | Sion Power Corporation | Passivating agents for electrochemical cells |
US10944094B2 (en) | 2017-05-19 | 2021-03-09 | Sion Power Corporation | Passivating agents for electrochemical cells |
-
2004
- 2004-04-20 JP JP2004124324A patent/JP2005310482A/ja active Pending
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US10541448B2 (en) | 2015-11-13 | 2020-01-21 | Sion Power Corporation | Additives for electrochemical cells |
US11088395B2 (en) | 2015-11-13 | 2021-08-10 | Sion Power Corporation | Additives for electrochemical cells |
US11569531B2 (en) | 2015-11-13 | 2023-01-31 | Sion Power Corporation | Additives for electrochemical cells |
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