JP2005309179A - 電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 封止構造の信頼性を低下させずに、分解時の部品の破損のおそれを少なくしながら容易に分解することが可能な電気光学装置を提供する。
【解決手段】 電気光学装置である液晶パネル1は、基板2,4の間に配置されて基板2,4を接合する周辺シール材3と、下基板2と周辺シール材3の間に介在する剥離性向上材7を備える。下基板2と周辺シール材3との間の接合強度よりも剥離性向上材7と周辺シール材3との間の接合強度が低い
【選択図】 図1
【解決手段】 電気光学装置である液晶パネル1は、基板2,4の間に配置されて基板2,4を接合する周辺シール材3と、下基板2と周辺シール材3の間に介在する剥離性向上材7を備える。下基板2と周辺シール材3との間の接合強度よりも剥離性向上材7と周辺シール材3との間の接合強度が低い
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置、プラズマ表示装置、電気泳動表示装置等の電気光学装置、その製造方法およびこれを用いた電子機器に関する。
例えば液晶表示装置、プラズマ表示装置、電気泳動表示装置のような電気光学装置では、上基板と下基板との間に周辺シール材が配置されており、このシール材が基板同士を接合して、内部に液晶、ガス、粒子分散液体が封入された封止構造を形成する(例えば特許文献1)。また、有機EL表示装置は、基板に形成された有機EL材料を覆う封止キャップを有しており、シール材としての接着剤により基板と封止キャップが接合され、この封止構造によって内部の有機EL材料が水蒸気または酸素による劣化から保護される。
これらの封止構造を有する電気光学装置については、不良解析や修理、再生のために上基板と下基板(または基板と封止キャップ)の封止を剥がす必要に迫られる場合がある。一般に封止構造は強度や信頼性の観点から見ると強靭であることが望ましい。
しかし、強靭なシール構造は封止を剥がす場合はかえって不便であり、分解時に基板またはその他の部分を破損する危険性がある。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、封止構造の信頼性を低下させずに、分解時の部品の破損のおそれを少なくしながら容易に分解することが可能な電気光学装置、この電気光学装置を効率的に製造する方法、および電気光学装置を用いた電子機器を提供する。
本発明に係る電気光学装置は、二つの板材と、前記板材の少なくとも一方に配設された画像形成のための電極と、前記板材同士の間に配置されて前記板材同士を接合するシール材と、前記板材の少なくとも一方と前記シール材の間に介在する剥離性向上材とを備え、前記板材と前記シール材との間の接合強度よりも前記剥離性向上材と前記シール剤との間の接合強度が低いことを特徴とする。この電気光学装置によれば、板材とシール材の間に介在する剥離性向上材によって、二つの板材の分離が容易となり、分解時に板材等の部品の破損のおそれを少なくすることができる。
好ましくは、前記シール材のうち前記板材に対向する領域に部分的に前記剥離性向上材が接触している。これによれば、シール材と板材が部分的に密着するので封止強度が保たれるともに、両者の間に部分的に剥離性向上材が介在するので両者の分離が容易となる。
好ましくは、前記シール材の外縁が、両方の前記板材の外縁よりも少なくとも部分的に内側にある。これによれば、両方の前記板材の外縁の間に凹部が形成され、この凹部に板材の分離のための刃等の分離器具を挿入することができる。この凹部による案内の下、この分離器具を剥離性向上材に到達させ、剥離性向上材とシール材を分離することが容易になる。
さらに好ましくは、少なくとも一方の前記板材の隅部にて、前記シール材の外縁が両方の前記板材の外縁よりも内側にある。これによれば、板材の隅部に前記凹部が形成されるので、板材の分離のための刃等の分離器具を前記凹部に挿入することがさらに容易である。
好ましくは、前記シール材の外縁よりも、前記剥離性向上材が少なくとも部分的に外側に延出している。これによれば、剥離性向上材に沿って刃等の分離器具を進行させることにより、剥離性向上材とシール材との分離の開始を容易に行うことができ、ひいては板材を容易に分離することができる。
本発明に係る電気光学装置を製造する好ましい方法は、一方の前記板材に前記電極を形成すると同時に、前記電極と同じ材料により前記剥離性向上材を形成する工程と、前記シール材により前記板材同士を接合する工程とを備える。電極形成と同時に同じ材料により剥離性向上材を形成することにより製造工程が簡略化される。
本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を備えたことを特徴とする。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る電気光学装置は液晶パネルである。図1ないし図4に示すように、液晶パネル1は、互いに対向する下基板(板材)2および上基板(板材)4を有する。両方の基板2,4は矩形であり、この実施の形態では、下基板2の三つの外縁に上基板4の三つの外縁が揃えられている。下基板2の周縁部と上基板4の周縁部の間には、周辺シール材3が配置されて、この周辺シール材3が基板2,4を接合する。図示しないが、基板2,4の間には多数の球形のスペーサが配置されており、スペーサによって両者は平行に保たれている。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る電気光学装置は液晶パネルである。図1ないし図4に示すように、液晶パネル1は、互いに対向する下基板(板材)2および上基板(板材)4を有する。両方の基板2,4は矩形であり、この実施の形態では、下基板2の三つの外縁に上基板4の三つの外縁が揃えられている。下基板2の周縁部と上基板4の周縁部の間には、周辺シール材3が配置されて、この周辺シール材3が基板2,4を接合する。図示しないが、基板2,4の間には多数の球形のスペーサが配置されており、スペーサによって両者は平行に保たれている。
図4に示すように、下基板2の一方の面(上基板4に対向する面)には透明な画素電極12が形成されており、上基板4の一方の面(下基板2に対向する面)には透明な共通電極11が形成されている。これらの電極を含めて下基板2および上基板4は、液晶パネルの技術分野で知られた材料から公知の方法で製造することが可能である。即ち、基板2,3は、ガラス基板に透明電極駆動用の半導体および透明電極となるITO(indium tin oxide)等を堆積させることにより製造することができる。共通電極11および画素電極12は、それぞれ配向膜13により被覆されている。図示しないが、上基板4には、複数のカラーフィルタおよびブラックマトリクスを設けてもよい。
下基板2は上基板4よりも大きい寸法を有しており、下基板2のうち上基板4よりも延び出した部分には、接続電極6が形成されている。接続電極6には、共通電極11および画素電極12を駆動するための各種の信号が入力されるが、これらを接続する導電体の図示は省略する。
周辺シール材3は、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂から形成されている。周辺シール材3を基板2,4の一方に例えば印刷等により塗布した後、基板2,4の他方を周辺シール材3に接触させ、周辺シール材3を硬化させることにより、基板2,4は接合される。図2に示すように、周辺シール材3はほぼ矩形に配置されているが、その外縁の四つの隅部は円弧状に形成されている。
基板2,4および周辺シール材3により画定された空間には、電気光学材料としての液晶8が充填されている。周辺シール材3には、液晶8を注入するための開口部3aが形成されているが、この開口部3aは液晶8の注入後に閉塞材5によって閉塞される。このようにして、基板2,4、周辺シール材3および閉塞材5は、内部に液晶が封入された封止構造を形成する。
下基板2と周辺シール材3の間には、剥離性向上材7が介在する。剥離性向上材7は、基板2,4の分離を容易にするために設けられている。この目的のため、下基板2の上面の材料(例えばガラスまたはその上に堆積された剥離性向上材7以外の材料)と周辺シール材3の間の単位面積あたりの接合強度よりも、剥離性向上材7と周辺シール材3の間の単位面積あたりの接合強度は低い。即ち、剥離性向上材7がない場合よりもこれがある場合の方が下基板2から周辺シール材3を剥離しやすく、液晶パネル1の分解時に基板2,4等の部品の破損のおそれを少なくすることができる。このような剥離性向上材7は例えばITOから形成することができる。
剥離性向上材7は矩形であり、その四つの外縁が上基板4の四つの外縁および周辺シール材3の外縁の四つの直線部分に揃うように配置されている。但し、図2および図4に示すように、剥離性向上材7の四つの内縁7aは周辺シール材3の四つの内縁よりも外側にある。従って、周辺シール材3のうち下基板2に対向する領域の外側部分のみに剥離性向上材7が接触している。このようにして、周辺シール材3の内側部分で周辺シール材3と下基板2が密着するので封止強度が保たれるともに、周辺シール材3の外側部分で両者の間に剥離性向上材7が介在するので両者の分離が容易となる。剥離性向上材7は下基板2よりも周辺シール材3に対する接合強度が低いが、通常時は剥離性向上材7は周辺シール材3に接合しているので、封止構造の信頼性の低下は少ない。むしろ剥離性向上材7を設けずに基板2,4の分離を容易にするために周辺シール材3の幅を小さくしたり基板に対する周辺シール材3の接合強度を弱めたりする場合に比べれば、この実施の形態に係る液晶パネル1の封止構造は信頼性が格段に高い。
上記のように矩形の下基板2の三つの外縁にこれより小面積の矩形の上基板4の三つの外縁が一致する。ほぼ矩形の周辺シール材3の外縁の四つの直線部分は、上基板4の四つの外縁に揃えられているが、周辺シール材3の外縁の四つの隅部は円弧状に形成されている。従って、図1および図2に示すように、周辺シール材3の外縁の四つの隅部は、両方の基板2,4の外縁よりも内側にあり、上基板4の四つの隅部に相当する位置において両方の基板2,4の外縁の間に凹部9が形成される。
これらの四つの凹部9のいずれかに基板2,4の分離のための刃等の分離器具(図示せず)を挿入することができる。凹部9による案内の下、この分離器具を剥離性向上材7に到達させ、剥離性向上材7とシール材3を分離することが容易になる。この実施の形態では、上基板4の隅部に凹部9が形成されるので、基板2,4の分離のための刃等の分離器具を凹部9に挿入することがさらに容易である。例えば、下基板2をさらに広くして他の部材を下基板2に実装した場合でも、分離器具を凹部9に挿入するときに、他の部分によって分離器具の動きが邪魔されることが少ない。
上記の通り周辺シール材3の内側部分には、剥離性向上材7が設けられていない。但し、周辺シール材3の外側部分で剥離性向上材7と周辺シール材3の間に分離器具が挿入されることにより、周辺シール材3の内側部分でも周辺シール材3と下基板2の間にせん断応力を集中させることが容易である。従って、基板2,4の分解作業を円滑に遂行することができる。
図1および図2に示すように、矩形の剥離性向上材7の四つの外縁は周辺シール材3の外縁の四つの直線部分に一致しているが、周辺シール材3の外縁の四つの隅部は円弧状に形成されている。従って、剥離性向上材7の四つの隅部は、周辺シール材3よりも外側に延出し、凹部9にて露出している。このため剥離性向上材7に沿って刃等の分離器具を滑らせることにより、剥離性向上材7と周辺シール材3との分離の開始を容易に行うことができ、ひいては基板2,4を容易に分離することができる。
図5は図4を拡大した液晶パネルの断面図である。この図を参照しながら、次に液晶パネル1を製造する好ましい方法を説明する。この方法では、下基板2に画素電極12を形成すると同時に、画素電極12と同じ材料(ITO)により剥離性向上材7を形成する。
まず、ガラス製の絶縁性基板19にSiO2製の一様な厚さの下地層20を成膜する。この下地層20の上に画素TFT(薄膜トランジスタ)を構成するp−Si(多結晶シリコン)層21を形成して、パターニングする。p−Si層21を形成するには、まず一様な厚さのa−Si(アモルファスシリコン)の膜を形成し、例えばボロンのような不純物をa−Si膜に注入し、レーザアニール工程でシリコンを多結晶化する。さらにエッチング等でp−Si層21をパターニングして、p−Si層21の必要箇所に例えばリンのような不純物を注入する。完成したp−Si層21の膜厚は10〜100nmである。
その後、SiO2よりなる膜厚10〜100nmのゲート絶縁層22を成膜し、アルミニウムを主成分とする膜厚100〜1000nmのゲート層23を成膜し、画素TFTに相当する部分が残るようにパターニングする。さらに、SiO2よりなる膜厚500〜2000nmの層間絶縁層25を成膜する。この後、エッチング工程で層間絶縁層25にコンタクトホールを形成し、コンタクトホール内面に対する成膜工程によりコンタクト部24を形成し、さらにアルミニウムを主成分とする膜厚100〜1000nmのソース層26を成膜して、パターニングする。
その後、SiNからなる保護膜層27を成膜し、さらにアクリルなどの有機物よりなる表面が凹凸形状の散乱層28を形成する。但し、下基板2の周縁部には散乱層28は形成しない。この後、ITO層29a,29bを成膜して、パターニングする。ITO層29aは透明な画素電極12になる部分であり、画素TFTに対応する位置に残される。他方、ITO層29bは、剥離性向上材7になる部分であり、下基板2の最外周縁に残される。このようにして、剥離性向上材7は画素電極12と同時に形成される。
次に、基板2,4を接合する組立工程を説明する。組立工程においては、まず下基板2および上基板4にはポリイミドからなる配向膜13を形成する。配向膜13は、共通電極11および画素電極12を覆うように塗布した後、焼成し、ラビング処理を施すことで形成される。次に、下基板2の周縁部に、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂よりなる周辺シール材3が上述した形状を持つように印刷等により塗布される。その後樹脂よりなる球形のスペーサ材(図示せず)が、下基板2の上に散布される。さらに、下基板2を周辺シール材3に接触させて、基板2,4を固定し、周辺シール材3を熱または紫外線で硬化させることにより、基板2,4が接合即ち貼着される。
大量生産では、多数の液晶パネル1を形成するために大面積の基板2,4が貼着され、スクライブ・ブレイク法にて所望の面積のパネルに分断される。その後、周辺シール材3の開口部3aを通じて液晶パネル1の内部に液晶を注入し、閉塞材5で開口部3aを閉塞して洗浄を行う。
以上の好適な製造方法によれば、電極形成と同時に同じ材料により剥離性向上材7を形成することにより製造工程が簡略化される。製造プロセスに新たな工程が加わる事が無いためコストの上昇を抑えることが可能である。
<第2の実施形態>
次に図6および図7を参照しながら本発明の第2の実施形態を説明する。図6および図7において、図1ないし図5に示された構成要素と共通する要素を示すには、同一の参照符号を使用し、それらの要素を詳細には説明しない。
次に図6および図7を参照しながら本発明の第2の実施形態を説明する。図6および図7において、図1ないし図5に示された構成要素と共通する要素を示すには、同一の参照符号を使用し、それらの要素を詳細には説明しない。
この実施の形態に係る液晶パネル1Aでは、周辺シール材3の周囲全体にわたって広い面積の凹部9が設けられている。矩形の下基板2の三つの外縁にこれより小面積の矩形の上基板4の三つの外縁が一致し、矩形の剥離性向上材7の四つの外縁は上基板4の四つの外縁に一致しているが、周辺シール材3の四つの外縁は剥離性向上材7の外縁よりも内側にある。他の構造は実施の形態1と同様である。
この実施の形態では、周辺シール材3の周囲全体にわたって凹部9が形成されるので、基板2,4の分離のための刃等の分離器具を凹部9の任意の位置に挿入することができる。例えば、第1の実施形態と同様に、上基板4の隅部で凹部に分離器具を挿入してもよい。また、好ましい方式として、下基板2が上基板4から突き出している側(接続電極6側)から下基板2の上面に沿って分離器具を摺動させ凹部9に挿入してもよい。
剥離性向上材7の四つの外縁は、周辺シール材3よりも外側に延出し、凹部9にて露出している。剥離性向上材7に沿って刃等の分離器具を滑らせることにより、剥離性向上材7と周辺シール材3との分離の開始を容易に行うことができ、ひいては基板2,4を容易に分離することができる。
基板2,4および剥離性向上材7の外縁と周辺シール材3の外縁との距離Dは、いかなる範囲にあってもよい。ただし、距離Dが100μm以上であれば、分離器具を周辺シール材3と剥離性向上材7の間に突入させることが容易になり好ましい。この実施の形態に係る液晶パネル1Aの製造方法は第1の実施形態と同様でよい。
<第3の実施形態>
次に図8を参照しながら本発明の第3の実施形態を説明する。図8において、図1ないし図7に示された構成要素と共通する要素を示すには、同一の参照符号を使用し、それらの要素を詳細には説明しない。
次に図8を参照しながら本発明の第3の実施形態を説明する。図8において、図1ないし図7に示された構成要素と共通する要素を示すには、同一の参照符号を使用し、それらの要素を詳細には説明しない。
この実施の形態に係る液晶パネル1Bでは、周辺シール材3の周囲全体ではなく四隅に剥離性向上材7が設けられている。他の構造は実施の形態1と同様である。第1の実施の形態と同様に、上基板4の隅部に凹部9が形成されるので、基板2,4の分離のための刃等の分離器具を凹部9に挿入することが容易である。周辺シール材3の周囲全体に剥離性向上材7が設けられていないが、いずれかの剥離性向上材7と周辺シール材3の間に分離器具が挿入されることにより、剥離性向上材7がない部分でも周辺シール材3と下基板2の間にせん断応力を集中させることが容易である。従って、基板2,4の分解作業を円滑に遂行することができる。
周辺シール材3の外縁の四つの隅部は円弧状に形成されて基板2,4の間に凹部9が設けられ、四つの剥離性向上材7は部分的に周辺シール材3よりも外側に延出し、凹部9にて露出している。剥離性向上材7に沿って刃等の分離器具を滑らせることにより、剥離性向上材7と周辺シール材3との分離の開始を容易に行うことができ、ひいては基板2,4を容易に分離することができる。
また、剥離性向上材7の面積を小さくすることができるので、周辺シール材3による封止強度を上述の実施形態よりも高めることができる。この実施の形態に係る液晶パネル1Bの製造方法も第1の実施形態と同様でよい。
<第4の実施形態>
図9は、本発明の第4の実施形態に係る電気光学装置を示す。この電気光学装置は有機EL表示装置31である。有機EL表示装置31は、基板(板材)32と、基板32に対向する封止キャップ(板材)34とを有する。基板32の周縁部と封止キャップ34の周縁部の間には、周辺シール材33が配置されて、この周辺シール材33が基板32および封止キャップ34を接合する。基板32はガラス製の絶縁性基板に有機EL素子35の駆動用の半導体および有機EL素子35等を堆積させることにより製造することができる。周辺シール材33は紫外線硬化性樹脂製の接着剤であり、封止キャップ34はガラスまたは金属製である。
図9は、本発明の第4の実施形態に係る電気光学装置を示す。この電気光学装置は有機EL表示装置31である。有機EL表示装置31は、基板(板材)32と、基板32に対向する封止キャップ(板材)34とを有する。基板32の周縁部と封止キャップ34の周縁部の間には、周辺シール材33が配置されて、この周辺シール材33が基板32および封止キャップ34を接合する。基板32はガラス製の絶縁性基板に有機EL素子35の駆動用の半導体および有機EL素子35等を堆積させることにより製造することができる。周辺シール材33は紫外線硬化性樹脂製の接着剤であり、封止キャップ34はガラスまたは金属製である。
基板32の一方の面には有機EL素子35が設けられている。有機EL素子35は、透明電極36、発光層37および背面電極38を備える。透明電極36は例えばITO製であり、背面電極38は例えばアルミニウム製である。背面電極38は発光層37で生じた光を図における矢印で示す方向に向けて反射し、透明電極36は光を透過する。
基板32が平板状であるのに対して、封止キャップ34はキャップ形であり、有機EL素子35を覆っている。基板32、封止キャップ34および周辺シール材33は、内部に有機EL素子35が封入された封止構造を形成する。この封止構造によって内部の有機EL材料が水蒸気または酸素による劣化から保護される。さらに封止キャップ34の内部には、湿度が最小限になるように乾燥剤39が配置されている。
基板32と周辺シール材33の間には、一つまたは複数の剥離性向上材40が部分的に介在する。剥離性向上材40が介在する。剥離性向上材40は、基板32と封止キャップ34の分離を容易にするために設けられている。この目的のため、基板32の上面の材料(例えばガラスまたはその上に堆積された剥離性向上材40以外の材料)と周辺シール材33の間の単位面積あたりの接合強度よりも、剥離性向上材40と周辺シール材33の間の単位面積あたりの接合強度は低い。即ち、剥離性向上材40がない場合よりもこれがある場合の方が基板32から周辺シール材33を剥離しやすく、有機EL表示装置31の分解時に基板32、封止キャップ34等の部品の破損のおそれを少なくすることができる。このような剥離性向上材40は例えばITOから形成することができる。
図示のように、周辺シール材33のうち基板32に対向する領域の外側部分のみに剥離性向上材40が接触している。従って、周辺シール材33の内側部分では周辺シール材33と基板32が密着するので封止強度が保たれるともに、周辺シール材33の外側部分では両者の間に剥離性向上材40が介在するので両者の分離が容易となる。
また、図示のように、周辺シール材33の外縁は、基板32および封止キャップ34の外縁よりも少なくとも部分的に内側にあり、基板32と封止キャップ34の外縁の間に凹部41が形成される。凹部41に基板32と封止キャップ34の分離のための刃等の分離器具(図示せず)を挿入することができ、凹部41による案内の下、この分離器具を剥離性向上材40に到達させ、剥離性向上材40とシール材33を分離することが容易になる。
また、周辺シール材33の外縁よりも、剥離性向上材40は外側に延出し凹部41にて露出している。このため剥離性向上材40に沿って刃等の分離器具を滑らせることにより、剥離性向上材40と周辺シール材33との分離の開始を容易に行うことができ、ひいては基板32と封止キャップ34を容易に分離することができる。
この有機EL表示装置31を製造するには、基板32に透明電極36を形成すると同時に、透明電極36と同じ材料(ITO)により剥離性向上材40を形成すると好ましい。これにより製造工程が簡略化される。この後、発光層37および背面電極38を設けて有機EL素子35を完成させる。さらに、周辺シール材33により基板32と封止キャップ34を接合することにより、有機EL表示装置31が完成する。
<本発明に関連する液晶パネルの例>
図10ないし図12は本発明に関連する液晶パネル1Cの一例を示し、図13および図14は本発明に関連する液晶パネル1Dの他の例を示す。これらの図において、図1ないし図5に示された構成要素と共通する要素を示すには、同一の参照符号を使用し、それらの要素を詳細には説明しない。
図10ないし図12は本発明に関連する液晶パネル1Cの一例を示し、図13および図14は本発明に関連する液晶パネル1Dの他の例を示す。これらの図において、図1ないし図5に示された構成要素と共通する要素を示すには、同一の参照符号を使用し、それらの要素を詳細には説明しない。
図10ないし図12に示す液晶パネル1Cでは、矩形の基板2,4の間に介在するほぼ矩形の周辺シール材3の外縁の四つの直線部分は、上基板4の四つの外縁に揃えられている。但し、周辺シール材3の外縁の四つの隅部は、基板2,4よりも外側に張り出している。基板2,4の外縁と周辺シール材3の張り出し部分の外縁との距離Dは、いかなる範囲にあってもよいが、100μm程度が好ましい。
図13または図14に示す液晶パネル1Dでは、矩形の基板2,4の間に介在する矩形の周辺シール材3の外縁は、上基板4の周囲全体にわたって上基板4よりも外側に張り出しており、三方向で下基板2よりも外側に張り出している。基板2,4の外縁と周辺シール材3の張り出し部分の外縁との距離Dは、いかなる範囲にあってもよいが、100μm程度が好ましい。
周辺シール材を用いて板材同士を接合した電気光学装置では、周辺シール材の縁に気泡が生ずる場合がある。また、周辺シール材が予期した程度まで硬化前に広がらず、基板2,4の外縁、特に隅部にまで到達しないことがある。このため、本来周辺シール材があるべき箇所に隙間が開き、上基板または下基板の周辺部に力がかかった場合に基板が破損するおそれがある。
しかし、図10ないし図15に示す構造では、周辺シール材3に上基板2よりも外側に張り出した部分が設けられているので、周辺シール材3があるべき箇所に生ずる隙間を最小限にすることができ、封止構造の強度の低下を抑制することができる。
これらの構造においても、上基板4における接続電極6に近い方の外縁の直下に剥離性向上材7を設けてよい。
<応用例>
上記の実施の形態は、本発明を液晶表示装置および有機EL表示装置に具体化しているが、本発明をこれらの表示装置に限定する意図ではない。例えば、プラズマ表示装置、電気泳動表示装置のような板材同士をシール材で接合した封止構造を有するあらゆる表示装置に本発明は利用可能であり、そのような形態も本発明の技術的範囲にある。
上記の実施の形態は、本発明を液晶表示装置および有機EL表示装置に具体化しているが、本発明をこれらの表示装置に限定する意図ではない。例えば、プラズマ表示装置、電気泳動表示装置のような板材同士をシール材で接合した封止構造を有するあらゆる表示装置に本発明は利用可能であり、そのような形態も本発明の技術的範囲にある。
また、上記の実施の形態のように、好ましくは下基板2または基板32と周辺シール材3または33の間に、剥離性向上材が配置される。但し、上基板4または封止キャップ34と周辺シール材3または33の間に、剥離性向上材を配置してもよく、そのような形態も本発明の技術的範囲にある。
<電子機器>
次に、上述した実施形態及び変形例に係る電気光学装置を適用した各種の電子機器について説明する。
図15は電気光学装置100を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。
次に、上述した実施形態及び変形例に係る電気光学装置を適用した各種の電子機器について説明する。
図15は電気光学装置100を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。
図16は電気光学装置100を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。
図17は電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:personal digital assistant)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。
なお、電気光学装置100が表示部として使用される電子機器としては、図15〜図17に示すものの他、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
1〜1D…液晶パネル、2…下基板(板材)、3…周辺シール材、4…上基板(板材)、7…剥離性向上材、8…液晶、9…凹部、11…共通電極、12…画素電極、29a…ITO層、29b…ITO層、31…有機EL表示装置(電気光学装置)、32…基板(板材)、33…周辺シール材、34…封止キャップ(板材)、35…有機EL素子、36…透明電極、37…発光層、38…背面電極、40…剥離性向上材、41…凹部、100…電気光学装置
Claims (7)
- 二つの板材と、
前記板材の少なくとも一方に配設された画像形成のための電極と、
前記板材同士の間に配置されて前記板材同士を接合するシール材と、
前記板材の少なくとも一方と前記シール材の間に介在する剥離性向上材とを備え、
前記板材と前記シール材との間の接合強度よりも前記剥離性向上材と前記シール剤との間の接合強度が低いことを特徴とする電気光学装置。 - 前記シール材のうち前記板材に対向する領域に部分的に前記剥離性向上材が接触していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記シール材の外縁が、両方の前記板材の外縁よりも少なくとも部分的に内側にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
- 少なくとも一方の前記板材の隅部にて、前記シール材の外縁が両方の前記板材の外縁よりも内側にあることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
- 前記シール材の外縁よりも、前記剥離性向上材が少なくとも部分的に外側に延出していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電気光学装置。
- 請求項1に記載の電気光学装置を製造する方法であって、
一方の前記板材に前記電極を形成すると同時に、前記電極と同じ材料により前記剥離性向上材を形成する工程と、
前記シール材により前記板材同士を接合する工程とを備えることを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2018106177A (ja) * | 2013-12-02 | 2018-07-05 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 半導体装置の作製方法 |
-
2004
- 2004-04-23 JP JP2004127733A patent/JP2005309179A/ja not_active Withdrawn
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