JP2005308674A - 反応領域中の蒸発抑制に有効な構成を備える相互作用検出部と該検出部を備えるバイオアッセイ用基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】工程ライン全体に対する湿度制御しなくても、基板表面に貯留又は保持された媒質の乾燥抑制を有効に達成できるようにすること
【解決手段】 物質間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)の場を提供する反応領域R1と、前記反応領域R1の周辺に形成され、該反応領域R1に貯留又は保持される媒質M中の蒸発を抑制するための蒸気供給領域Wと、が設けられた相互作用検出部1a、並びにこの検出部1aが配設されたDNAチップなどのバイオアッセイ用基板を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 物質間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)の場を提供する反応領域R1と、前記反応領域R1の周辺に形成され、該反応領域R1に貯留又は保持される媒質M中の蒸発を抑制するための蒸気供給領域Wと、が設けられた相互作用検出部1a、並びにこの検出部1aが配設されたDNAチップなどのバイオアッセイ用基板を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、物質間の相互作用検出部、並びに該検出部を備えるバイオアッセイ用基板に関する。より詳しくは、物質間の相互作用の場を提供する反応領域に貯留又は保持される媒質の蒸発を抑制できるように工夫された、物質間の相互作用検出部、並びに該検出部を備えるDNAチップ等のバイオアッセイ用基板に関する。
1970年代頃に開発されたハイブリダイゼーションを検出するためのアッセイ技術では、ニトロセルロース膜などの多孔膜材料、放射性標識技術、オートラジオグラフィー技術などが主に用いられていた。
しかし、近年、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、本願では「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されるようになり、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、進化の研究、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
この「DNAチップ」は、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーションの網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
このDNAチップを作製するための技術は、現在、半導体露光技術を利用したフォトリソグラフィー(photolithogrphy)、圧電技術(piezoelectric technology)などのインクジェッティング(ink-jetting)を利用した技術、メカニカルマイクロスポッティング(mechanical microspotting)などの技術を駆使して行われており、これらの技術には一長一短があるとされている。
しかし、いずれの技術を採用するにしろ、試料の拡散や吸収が起こることがなく、かつ試料が微量で足りる等の理由から、表面が平滑で均一な非多孔性のガラス製又は合成樹脂製の基板表面を用いる。さらに、この基板表面には、DNAプローブなどの検出用物質や標的物質などを含む溶液が貯留されたり、ゲルが保持されたりする反応領域を少なくとも設けておいて、この反応領域内で、ハイブリダイゼーションなどの物質間の相互作用を進行させ、この相互作用を、光学的手段等を駆使して検出する。
ここで、基板表面に形成された前記反応領域に貯留又は保持される媒質中の水分の蒸発を抑制する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、多価アルコールを所定量以上ゲルに含ませておくことによって、当該ゲル中の水分の蒸発、ゲルの収縮、ゲルの脱落を抑制する技術が開示されている。また、この特許文献1には、蒸留水等にマイクロアレイを浸漬して保存することにより、ゲル中の蒸発を抑制することもできるが、この方法では、保存中の雑菌汚染等が危惧されるので、採用できないと記載されている。
特開2003−079377号公報。
現在提案されている様々なDNAチップを含むバイオアッセイ用基板では、物質間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)の場を提供する反応領域を基板上に予め設定しておき、この反応領域中にプローブDNA等の検出用物質を固定する工程(以下、「固定化工程」という。)が行われる。
しかし、前記固定化工程では、当該固定に寄与する化学結合(例えば、ジスルフィド結合)が生じ得る分子間距離に達する程度にまで検出用物質が拡散するために長時間を要するので、この拡散過程において、検出用物質を含む溶液やゲルなどの媒質中の水分が蒸発してしまうことが回避できない。
当該媒質中の水分の蒸発速度を低下させるためには、(1)相対湿度を上昇させる、(2)温度を下げて飽和蒸気圧を下げる、以上の2通りしか原理的にはないことから、前記固定化工程に係わるライン全体を高湿度に保つという手段を採用すると、当該工程を担う機械設備に対する湿度の負荷が非常に大きくなり、機械設備自体の湿度対策、この対策に伴う機械設備のコストアップ、さらには、メンテナンス対策などが避けられない問題となる。また、前記工程ライン全体の湿度条件を制御する方法では、同工程の構成が大掛かりとなり、設備コストも高くなる。
そこで、本発明は、工程ライン全体に対する湿度制御ではなく、基板表面の構成を工夫することによって、基板表面に貯留又は保持された媒質の乾燥抑制を有効に達成できる技術を提供することを主な目的とする。
本発明では、物質間の相互作用の場を提供する「反応領域」と、前記反応領域の周辺に形成され、該反応領域に貯留又は保持される媒質の蒸発を抑制するための「蒸気供給領域」と、が設けられた「相互作用検出部」、並びにこの検出部が設けられた「バイオアッセイ用基板」を提供する。
即ち、本発明に係る「相互作用検出部」には、反応領域(の媒質)に対する蒸気供給手段が付設されており、また、本発明に係るバイオアッセイ用基板では、当該基板上に配設された反応領域中の媒質の乾燥を抑制するための蒸気供給手段が、当該基板自体に予め配設されている。
なお、本発明では、蒸気供給領域と反応領域とを一組ずつのセットで設ける構成、あるいは複数の反応領域の乾燥抑制を担うことができる蒸気供給領域を設ける構成のいずれも採用可能であり、この点において、何ら限定されない。
さらに、本発明では、反応領域と蒸気供給領域とが隔てられた構成を採用することができる。例えば、反応領域と前記蒸気供給領域とを隔てる疎水性部分を設けるようにしたり、反応領域と前記蒸気供給領域とを構造的(物理的に)に隔てる凹部又は凸部を形成したり、あるいは反応領域と蒸気供給領域とを構造的に隔てる段差を形成したりすることができる。
このように工夫することで、蒸気供給領域に保持された水分が溶液の状態で反応領域へ直接侵入してしまうのを抑制する。即ち、反応領域内に貯留又は保持された媒質の容量、水分含有量等を変化させることがないように、当該媒質の周辺に蒸気を供給することにより、検出部(の反応領域)周辺の雰囲気湿度(相対湿度)を長時間にわたって高く維持する。
蒸気供給領域には、水分保持材が設置されている構成を採用したり、あるいは、該蒸気供給領域に連通する流路から水分が供給されるようにしたりするのがより有効である。これにより、蒸気供給が長時間にわたって継続されるように工夫する。なお、前記蒸気供給領域の蒸気供給源となる水分には、純水等の水を用いてもよいが、前記反応領域で用いられる水溶液や有機溶媒などの溶媒自体を用いてもよい。
ここで、本発明で使用する主たる技術用語の定義付けを行う。
「相互作用検出部」は、検出手段を問わず、目的となる物質間の相互作用を検出する目的で形成された部位又は場所を広く意味する。
「相互作用」は、物質間の非共有結合、共有結合、水素結合を含む化学的結合あるいは解離を広く意味し、例えば、核酸(ヌクレオチド鎖)間の相補結合であるハイブリダイゼーション、高分子−高分子、高分子−低分子、低分子−低分子の結合又は会合などを広く含む。
「反応領域」は、ハイブリダイゼーションその他の相互作用の反応場を提供できる領域又は空間であり、例えば、液相やゲルなどを貯留できるウエル形状を有する反応場を挙げることができる。この反応領域で行われる相互作用は、本発明の目的や効果に沿う限りにおいて、狭く限定されない。
「蒸気供給領域」は、反応領域周辺の雰囲気に蒸気を供給し、該反応領域内に貯留又は保持される媒質中の水分の蒸発を抑制し得る基板上の領域を意味する。
「水分保持材」は、水分を保持できる材料を広く意味し、特に、基板上の微少領域への設置や基板表面からの脱落がないものが好適である。
「バイオアッセイ用基板」は、物質間の相互作用を検出する目的で提供される基板であり、例えば、「DNAチップ」を含む。なお、このDNAチップは、DNAプローブなどの検出用核酸が固定化されて微細配列された状態とされたハイブリダイゼーション検出用基板を意味し、DNAマイクロアレイの概念も含む。
「核酸」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体(ヌクレオチド鎖)を意味し、プローブDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cプローブDNA)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備える間の相補鎖(二本鎖)形成反応を意味する。「ミスハイブリダイゼーション」は、正規ではない前記相補鎖形成反応を意味し、本発明では、「ミスハイブリ」と略称する場合がある。
本発明によれば、検出部や基板それ自体に、蒸気供給手段を有しているので、工程ライン全体に対する湿度制御を行わなくても、基板表面(の反応領域)に貯留又は保持された媒質の乾燥抑制を有効に達成できる。その結果、検出用物質の固定などに使用する機械設備を高湿度条件にさらす必要がないため、機械設備の高湿度対策が不要となるという効果がある。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる物や方法の代表的な実施形態を例示したものであり、この例示によって本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
まず、図1は、本発明に係る相互作用検出部の第1実施形態の構成を示す図であり、図中の符号Iは同検出部の上方視平面図、符号IIは同検出部のA-A線矢視方向断面図である。
符号1aで示された相互作用検出部(以下「検出部」と略称。)は、基板2に形成された部位であって、物質間の相互作用の場を提供する反応領域R1と、この反応領域R1の周辺に、例えば、反応領域R1を取り囲むように形成されている蒸気供給領域Wと、を有する。
基板2は、CD(Compact Disc)、DVD(Degital Versatile Disc)、MD(Mini Disc)等の光情報記録媒体と同様の基材から形成することができる。また、基板2の形状は、特に限定されず、例えば、矩形状や円盤状をなす基板(ディスク)など、自由に選択可能である。
基板2は、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂、好ましくは射出成形可能な合成樹脂によって円盤状に成形する。基板1を安価な合成樹脂を用いて基板を成形することで、従来使用されていたガラスチップに比して、低ランニングコストを実現できる。
検出部1aを構成する反応領域R1は、例えば、図1に示されたように上方から観察したときに円形を呈するウエル(凹部)に形成することができる。この反応領域R1は、試料水溶液を貯留したり、試料ゲルを保持したりする役割を果たす。
なお、この反応領域R1は、図示された形状のものに限定されず、目的に応じて、適宜設計可能であり、この点については、以下に説明する他の構成の反応領域R2(図3)、R3(図4)、R4(図5)でも同様である、
また、反応領域R1の形状やサイズは特に限定されないが、その長さ、幅、深さは、それぞれ数μmから数百μmであって、このサイズ値は、励起光のスポット径やサンプル溶液(検出用物質含有溶液、標的物質含有溶液など)の最小滴下可能量に基づいて決定することができる。なお、この点についても、以下に説明する他の構成の反応領域R2(図3)、R3(図4)、R4(図5)でも同様である、
なお、図2は、図1中に示すX部分の拡大図であって、反応領域R1の基板表面Fに対して、検出用物質の一例である検出用核酸Dの一端が、ジスルフィド結合やアビジン−ビオチン結合等を介して固定、集積されている様子を模式的に示す図である。
また、反応領域R1の形状やサイズは特に限定されないが、その長さ、幅、深さは、それぞれ数μmから数百μmであって、このサイズ値は、励起光のスポット径やサンプル溶液(検出用物質含有溶液、標的物質含有溶液など)の最小滴下可能量に基づいて決定することができる。なお、この点についても、以下に説明する他の構成の反応領域R2(図3)、R3(図4)、R4(図5)でも同様である、
なお、図2は、図1中に示すX部分の拡大図であって、反応領域R1の基板表面Fに対して、検出用物質の一例である検出用核酸Dの一端が、ジスルフィド結合やアビジン−ビオチン結合等を介して固定、集積されている様子を模式的に示す図である。
相互作用を検出する目的で提供されるバイオアッセイ用の基板2は、一般的には、この図2に示すように、相互作用の一方の物質(検出用物質D)を基板2の表面Fに固定する固定化工程を行う。なお、本発明において、検出用物質Dは、とくに限定されず、例えば、DNAプローブなどの検出用の核酸、タンパク質などの生体分子を広く含む。
しかし、この固定化工程では、固定する物質の拡散過程に長時間を要するため、該工程中において、検出用物質Dを含む媒質M中の蒸発が避けられない。この蒸発は、前記固定化工程の妨げとなったり、基板2の品質を低下させたりする原因となる。
このため、本発明では、反応領域R1に近接する位置に蒸気供給領域Wを設ける(図1参照)。この蒸気供給領域Wは、反応領域R1の周辺に、例えば、反応領域R1を取り囲むように形成された基板2上の領域、あるいは部分であって、反応領域R1に貯留又は保持されている媒質M中の水分の蒸発を抑制する役割を果たす。
具体的には、この蒸気供給領域Wには、純水や反応領域R1中の媒質mを貯留又は保持させておく。この媒質mは、純水でもよいが、反応領域R1に貯留又は保持される媒質Mと同様の媒質も採用できる。
この蒸気供給領域W内の媒質mに含まれる水分を、継続的に雰囲気中に蒸発させることによって、反応領域R1の周辺雰囲気の相対湿度を高く維持し、反応領域R1に貯留又は保持される媒質M中の水分の蒸発を抑制する。
なお、蒸気供給領域Wの形状、サイズ、深さなどは、特に限定されず、上記役割を有効に果たすことができる範囲で、自由に設計可能である。
ここで、図1に示された第1実施形態では、反応領域R1と蒸気供給領域Wとを隔てるための構造部位として機能する、上方視ドーナツ状の凸部3が形成されている。この凸部3によって、蒸気供給領域Wに貯留又は保持された媒質m又は当該媒質mの水分が、溶液状態のまま直接反応領域Rへ侵入しないように工夫されている。なお、図1中の符号4は、蒸気供給領域Wを取り囲むように形成された堰き止め用の凸部である。
図3は、本発明に係る検出部の第2実施形態(符号1b)を示す断面図である。この検出部1bは、基板2の表層を親媒性加工処理することによって、親水性の媒質mを保持できるように工夫された蒸気供給領域Wを設けた点に特徴がある。
図3に示された蒸気供給領域Wの基板表層は、水酸基などの親水基を有する親水性領域21として形成され、この親水性領域21は、その内側に形成された疎水性領域22によって、反応領域R2と隔てられている。即ち、疎水性領域22は、親水性の媒質mをはじき、反応領域R2内への媒質mの侵入を有効に抑制又は防止する。
なお、図3に示された実施形態では、反応領域R2内の基板表面rも親水加工処理されており、上方からインクジェットノズル等によって滴下される親水性の媒質Mが、親媒性の原理で、反応領域R1内に貯留又は保持され易いように工夫されている。
次に、図4は、本発明に係る検出部の第3実施形態(符合1c)を表している。
図4に示された検出部1cの特徴は、蒸気供給領域Wの底面Wbよりも上方へ突出した凸状(台状)の反応領域R3を備え、かつこの反応領域R3を取り囲むように、外堀様の蒸気供給領域Wが形成されていることである。即ち、前記反応領域R3と前記蒸気供給領域Wとを構造的に隔てる段差が形成されている。
このような第3実施形態では、前述した検出部1aや1bの場合とは異なって、反応領域R3の表面に親水性の媒質Mを構造的に保持するのは難しいことから、該表面を、例えば、水酸基などの親水基を形成するような親水性加工を施しておくのがより望ましい。
さらには、反応領域R3の表面(上面)の中央表面部Fcにだけ前記媒質Mを留めておき、該媒質Mが周辺の蒸気供給領域Wにこぼれないようにするために、反応領域R3の中央表面部Fcのみを親水性加工し、その中央部表面Fcを囲む外周表面領域Foを疎水性加工しておくのが望ましい(図4参照)。
なお、親媒性加工は、例えば、この基板2の表面を疎水性物質で処理して疎水面を形成する疎水化工程を行い、これに続いて疎水面の一部を親水面に変換する親水化工程を行う方法を採用することによって、基板2上の所定の領域又は部分領域を、目的に応じて、親水面にしたり、疎水面にしたりすることができる。
上記疎水化工程は、例えば、疎水性物質であるアルキルシラン(R−Si−X1,X2,X3、R:アルキル基(不飽和基を含んでいてもよい)、Xn:Cl,OR)を、基板の表面に固定化することにより行うことができる。
上記の疎水面の一部を親水面に変換する親水化工程は、疎水面に水酸基を形成する反応に基づいて、簡易に行うことができる。例えば、疎水面が、前記したアルキルシランで形成されている場合、アルキルシランに、酸素存在下で紫外線を照射することにより、アルキルシランのアルキル基に、水酸基を付加することができる。
次に、図5は、本発明に係る検出部の第4実施形態(符合1d)を表している。
この図5に示されている検出部1dの特徴は、蒸気供給領域Wの底面Wbに、水分保持材5を付着等して設置したことである。この水分保持材5は、水分を保持できる機能(保湿機能)を有し、基板2の微小な領域に対して敷設容易な材料であれば好適であり、例えば、親水性ゲル、湿潤性シート、綿コットンなどの保湿性の不織布などを挙げることができる。
このような構成の蒸気供給領域Wは、水分をより長く、確実に保持させておくことができるため、反応領域Rの乾燥抑制効果をより長く持続させることができるという利点がある。また、吸水性の材料を用いることによって、吸水力により、媒質mを蒸気供給領域Wへ送り込み易くなるという利点もある。
次に、図6、図7に基づいて、媒質m(又は媒質Mでもよい。)を蒸気供給領域Wへ送り込むための好適な基板表面構造について説明する。
なお、以下では、上記第1実施形態である検出部1aが採用されたものとして説明するが、他の検出部1b、1c、1dやそれ以外の構成の検出部であってもよい。
まず、図6中の符号H1は、媒質mの供給源(符号6で示す。)に連通するように基板2上に延設された第1細路である。符号H2は、この第1細路H1から枝分かれし、該第1細路H1の近傍に所在する各検出部1aの蒸気供給領域Wへ連通するように延設された第2細路である。第1細溝H1や第2細路H2は、毛細管現象によって媒質mを輸送可能なキャピラリーの概念に入るものであってもよい。
供給源6に添加等されて供給された媒質mは、第1細路H1から第2細路H2を経て、各検出部1aの蒸気供給領域Wに送液されて流入し、この蒸気供給領域Wに貯留又は保持される。そして、該媒質m中の水分は、周辺に蒸気として放出され、高相対湿度の維持に寄与する。
次に、図7中の符号Lは、媒質mの供給源6に連通するように基板2上に延設された比較的幅広の流路であり、かつこの流路L自体が蒸気供給領域Wとして機能する基板2上の構造部分である。
この流路Lの中には、反応領域R1が島状に点在するかのように、所定間隔で配設されている。この流路L中に存在する媒質mは、構造的に工夫されたり、あるいは疎水性加工されたりされた部位(符号3)によって、反応領域R1内に直接入り込まないように工夫されている。
このような構成を備える基板領域は、複数の反応領域R1を対象とする蒸気供給領域Wを備える検出部1eとして理解することができる。
図8は、本発明に係るバイオアッセイ用基板の一実施形態を示している。図8に示されたバイオアッセイ用基板10は、円盤状をなしており、該基板表面には、上記した検出部が多数配列されている。なお、図8では、検出部は一部のみを図示している。
例えば、基板10の表面11には、図6や図7で示されたと同様の構成又は原理の検出部を多数形成することができる。図8では、図7に示された検出部1eが周方向所定間隔で、放射状に配設された基板の実施形態例が示されている。
図8中の符号12は、図6の符号6と同様に、媒質mの供給源として機能するリング状の第1液貯部であり、符号13は、供給路Lに連通するリング状の第2液貯部である。
このような構成の円盤状の基板10を採用すると、該基板10を回転させることによって発生する遠心力を利用し、第1液貯部12から第2液貯部13へ向けて媒質mを送り込むことができ、これにより、蒸気供給領域Wとして機能する流路Lに媒質mを満たすことが可能となる。なお、符号14は、基板中心部に形成された孔であり、この孔14に回転用治具を挿着して、基板10を回転させることができる。
蒸気供給領域Wによる媒質の乾燥抑制効果を検証するため、実験を行った。
実験方法。シラン処理によって疎水化されたケイ素(Si)基板(5mm×10mm×t0.72mm)上に滴下した液滴の接触直径と高さを、時系列でCCTカメラによって測定した。本実験は、室温23℃、湿度50%、液滴温度22℃の条件下で行い、測定に当たっては、強制対流の影響が生じないように、風防環境とした。なお、液滴には、純水を用いた。
ここで、図9に示された図面代用グラフは、0.1μLから0.3μLの液滴を前記基板上に滴下した時刻から、基板との接触部分にできる円の液滴体積を時系列で測定した結果データをグラフ化したものであり、横軸は時間、縦軸は液滴体積である。また、目視により完全に乾燥した状態を確認した時刻を0としてプロットしてある。
シラン処理されたケイ素基板上に、該基板の厚さと同程度の不織布(旭化成製「ベンコット」)を用いて、これに純水を浸すことによって、常に湿潤な状態にした。この不織布の所定位置に、円形の切り抜き部分(直径約3mm)を形成し、その中心部に純水液滴を滴下(接触直径約1mm)した。なお、この純粋液滴は、検出部における反応領域に滴下される水溶液状の媒質を想定したものである。
この実験の結果、液滴の周辺に配置した湿潤な不織布によって、液滴の蒸発時間が大きく低減した。具体的には、図9からわかるように、純水を用いた実験例と比較して、不織布を配置した実験例では、体積変化がかなり低下し、乾燥までの時間は10倍近く伸びていることが分かる。
1/10=(1−RH’/100)/(1−RH/100)
上記したように本実験の湿度条件は50%であるから、RH=50を前掲の式1に代入すると、RH’=95%となる。つまり、液滴周辺の相対湿度は95%相当に保湿されていたことになる。
上記したように本実験の湿度条件は50%であるから、RH=50を前掲の式1に代入すると、RH’=95%となる。つまり、液滴周辺の相対湿度は95%相当に保湿されていたことになる。
以上の実験結果から、純水を用いた実験例も保湿効果を有するが、水分保持材である不織布を用いた実験例の方が、液滴の蒸発抑制効果に優れることを検証できた。なお、純水を用いた実験の結果は、水分保持材である不織布を用いた実験例ほどの液滴の蒸発抑制効果はないが、蒸発抑制効果それ自体はある。
なお、液表面の蒸発を律速するのは、液体表面に接する気相における拡散である。Z方向に単位時間・単位面積あたり輸送される蒸気の質量は、気相における蒸気の拡散の式に気体の状態方程式を適用することにより、高さ方向の蒸気分圧勾配、さらに言えば拡散層の有効厚さがわかれば求めることができる。半径10cm程度までの液表面からの蒸発による自然対流は層流となることがわかっており、この範囲での拡散層厚さはGr数、Sc数で整理される。この二つの変数を用いた他者の実験結果を用いて拡散層厚さがわかり、液表面外縁からの距離の関数として局所蒸発速度を決定することができる。この局所蒸発速度を液表面全体にわたって積分することにより、次の式2から液滴の蒸発速度を決定できる。
ここで、前掲の式1のKは、通常使用温度域ではほとんど温度湿度依存性をもたないので、この式から所望の温度、相対湿度での蒸発速度wを求めることができ、また、液体の体積を知ることで、蒸発時間を知ることができる。また、実験的にある湿度、温度で固定すれば、湿度を変化させたり、あるいは温度を変化させたりする実験を都度行うことなく、蒸発時間を理論的に類推することができる。また、接触角θ、(液滴の)接触半径Rをなす基板上の液滴の体積は、重力の影響を無視できるほど液滴が微少であれば、次の式3で求めることができる。
上記式1に、接触直径φ1mm、es=31.699、RH=50%を代入すると、蒸発速度W=0.842×10−6(g/s)となる。また、液滴の接触角が75°であったとすると、液滴の体積Vは180nLである。この場合の、蒸発時間は、180/0.842=213秒(3分33秒)と計算できる。
ここで、再び図9を参照すると、本実験の「純水1」(白抜き四角のプロット)の場合では、滴下時の接触直径1mm、接触角73°であるため、既述の式に基づけば、蒸発時間が3分40秒程度となる。したがって、実験結果とほぼ一致しているので、液滴の蒸発時間は、気相中の拡散速度に律速されることが明らかであり、また、本実験は有効である。
本発明は、工程ライン全体に対する湿度制御しなくても、基板表面に貯留又は保持された媒質の乾燥抑制を有効に達成できるので、DNAチップなどのバイオアッセイ用基板に対する検出用物質の固定化工程などのアッセイ工程における反応領域中の媒質の乾燥抑制技術として利用できる。
1a〜1e 相互作用検出部(検出部)
2 基板
5 水分保持材
10 (検出部が配設された)バイオアッセイ用基板
D 検出用物質(例、DNAプローブ)
m 保湿用の媒質
M 反応領域内の媒質
R1〜R4 反応領域
W 蒸気供給領域
2 基板
5 水分保持材
10 (検出部が配設された)バイオアッセイ用基板
D 検出用物質(例、DNAプローブ)
m 保湿用の媒質
M 反応領域内の媒質
R1〜R4 反応領域
W 蒸気供給領域
Claims (10)
- 物質間の相互作用の場を提供する反応領域と、
前記反応領域の周辺に形成され、該反応領域に貯留又は保持される媒質の蒸発を抑制するための蒸気供給領域と、
が設けられた相互作用検出部。 - 前記反応領域と前記蒸気供給領域とが隔てられ、前記蒸気供給領域に保持された水分が前記反応領域へ侵入するのが抑制されることを特徴とする請求項1記載の相互作用検出部。
- 前記反応領域と前記蒸気供給領域とを隔てる疎水性部分が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の相互作用検出部。
- 前記反応領域と前記蒸気供給領域とを構造的に隔てる凹部又は凸部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の相互作用検出部。
- 前記反応領域と前記蒸気供給領域とを構造的に隔てる段差が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の相互作用検出部。
- 前記蒸気供給領域には、水分保持材が設置されていることを特徴とする請求項1記載の相互作用検出部。
- 前記蒸気供給領域は、該蒸気供給領域に連通する流路から水分が供給されることを特徴とする請求項1記載の相互作用検出部。
- 前記蒸気供給領域の蒸気供給源となる水分は、前記反応領域で用いられる水であることを特徴とする請求項1記載の相互作用検出部。
- 請求項1記載の相互作用検出部を少なくとも備えるバイオアッセイ用基板。
- 円盤状基板であることを特徴とする請求項9記載のバイオアッセイ用基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004129308A JP2005308674A (ja) | 2004-04-26 | 2004-04-26 | 反応領域中の蒸発抑制に有効な構成を備える相互作用検出部と該検出部を備えるバイオアッセイ用基板 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2005308674A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007278981A (ja) * | 2006-04-11 | 2007-10-25 | Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku | プレナー型電極及びこれを用いた電気化学検出センサー |
JP2009014485A (ja) * | 2007-07-04 | 2009-01-22 | Funai Electric Advanced Applied Technology Research Institute Inc | 酵素電極及び酵素センサ |
JP2016191636A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | 東京エレクトロン株式会社 | 液滴体積測定装置、液滴体積測定方法、液滴体積測定用基板及びインクジェット描画装置 |
-
2004
- 2004-04-26 JP JP2004129308A patent/JP2005308674A/ja active Pending
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