JP2005308057A - 流体軸受式回転装置、注油方法及び記録媒体制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の流体軸受式回転装置は、略中央に設けられた軸受穴を有するスリーブと、スリーブと相対的に回転自在に軸受穴に挿入された軸と、を有し、軸の外周面及びスリーブの内周面の少なくともいずれか一方に複数の浅溝から成るパターン状の動圧発生溝を少なくとも一組以上有する軸受面を有し、軸とスリーブの間の隙間に潤滑剤が充満された軸受ユニットを有し、軸受けユニットにおいて、スリーブに、又はスリーブとそのスリーブの端面を略覆うカバー板との間に、軸受穴との連結部において軸方向の幅が狭く、スリーブの外周に近づくにつれて軸方向の幅が広くなるテーパ状の空間を設け、テーパ状の空間の外周部に外部から空気の出入りが可能な換気孔を設ける。
【選択図】 図1
Description
軸1とスリーブ2との間には、潤滑剤13が介在する。
モータステータ7に通電されると回転磁界が発生し、ロータ磁石8に回転力が与えられ、ロータハブ12、軸1、クランパー11、スペーサ10、ディスク9とともに回転を始める。回転により、動圧発生溝1A〜1Dは潤滑剤13をかき集め、軸1とスリーブ2との間、及び軸1とスラスト板4との間にポンピング圧力を発生する。これにより、軸1はスリーブ2に対して上方に浮上して非接触で回転し、図示しない磁気ヘッドまたは光学ヘッドにより、ディスク9上のデータの記録再生を行う。
また、軸受内部の空気泡14が循環孔2Bを通って外部に排出される際に、一部の潤滑油13が空気泡14によって押し出され、流出することがあった。
本発明は、軸受内部に空気がほとんど残留しないように、本発明の流体軸受式回転装置に潤滑剤を注油する注油方法を提供することを目的とする。
本発明は、流体軸受式回転装置の落下や軸受内部に蓄積した空気の移動等による衝撃で潤滑剤が漏れ出すのを防止する、信頼性の高い流体軸受回転装置を実現できるという作用を有する。
請求項の記載において、軸受穴は、実施の形態のフランジ収納部を含む。
好ましくは、テーパ状の空間は、軸受穴の開口部近傍に設ける。
本発明により、衝撃を受けた潤滑剤がどちらの方向に移動しても、スムーズに溢れた潤滑剤をテーパ状の空間に導くことが出来る。
軸受の内部に残留した空気は、軸受穴に沿って外部に抜けることができ、又は連通孔を通って外部に抜けることができる。
実験の結果、この構成にすることにより、衝撃により動く潤滑剤をスムーズにテーパ状の空間に導き、且つ衝撃が収まった時、テーパ状の空間から潤滑剤をスムーズに軸受穴に戻すことができる。
実験の結果、この構成にすることにより、潤滑剤が軸受から溢れ出すことを防止できる。又、注油時に、凹部に残る余分な油を吸い取ることにより、余分な油を吸い取る作業の作業性が改善される。
実験の結果、この構成にすることにより、流体軸受式回転装置が衝撃を受けた場合に潤滑剤が換気孔から溢れず、注油時に換気孔を通じて余分な油を吸い取る作業を容易に行うことが出来る。
本発明によれば、軸受内部に空気がほとんど残留しないように、本発明の流体軸受式回転装置に潤滑剤を注油する注油方法を実現できるという有利な効果が得られる。
図1〜図11を用いて、実施の形態1における流体軸受式回転装置、記録媒体制御装置及び注油方法について説明する。実施の形態1における流体軸受式回転装置は、光磁気ディスクを回転するスピンドルモータである。実施の形態1における記録媒体制御装置は、実施の形態1のスピンドルモータで光磁気ディスクを回転させるディスク装置である。図1は、実施の形態1における軸回転式の流体軸受式回転装置の構成の概略を示す断面図である。図1において、1は軸、2はスリーブ、4はスラスト板、5はカバー板、6はベース板、7はモータステータ、8はロータ磁石、9は光磁気ディスク、10はスペーサ、11はクランパー、12はロータハブ、13は潤滑剤、14は空気泡、15は油溜まり部である。
フランジ3は、軸1の他端側(図1において下部側)に一体的に設けられ、スリーブ2のフランジ収納部2Dに回転自在に収納される。また、動圧発生溝1A及び1Bは、軸1の外周面に形成されたヘリングボーン形状の動圧発生溝であり、ラジアル軸受面を形成する。また、動圧発生溝1C及び1Dは、フランジ3のスリーブ2との対向面及びフランジ3のスラスト板4との対向面にそれぞれ形成されたヘリングボーン形状の動圧発生溝である。
まず、モータステータ7に通電されると回転磁界が発生し、ロータ磁石8が回転力を受け、ロータハブ12、軸1、ディスク9、クランパー11、スペーサ10とともに回転を始める。回転により、ヘリングボーン形状の動圧発生溝1A〜1Dは潤滑剤13をかき集め、軸1とスリーブ2との間、フランジ3とスリーブ2との間、及びフランジ3とスラスト板4との間にポンピング圧力を発生する。これにより軸1はスリーブ2に対して上方に浮上して非接触で回転し、図示しない記録再生ヘッドにより、ディスク9上のデータの記録再生を行う。
動圧発生溝1A部の軸受半径隙間をS1、軸1の外周面とカバー板5の内周面との間の半径隙間(軸方向の幅)をS2、スリーブ2のテーパ状溝2Cの内周面(テーパ状溝2Cとカバー板5の下面とで構成されるテーパ状の空間と、軸受穴1Aとの連通部)におけるカバー板5とスリーブ2との間の隙間(軸方向の幅)をS3、スリーブ2のテーパ状溝2Cの外周面(凹部5Cの内周縁)におけるカバー板5とスリーブ2との間の隙間(軸方向の幅)をS4、スリーブ2のテーパ状溝2Cの外周に配置されたカバー板5の凹部5Cとスリーブ2との間の隙間(軸方向の幅)をS5とする。これらの隙間S1〜S5における各々の距離をD1〜D5として、距離D1〜D5を次式(1)の関係を満たすように設定する。
図12を用いて実施の形態2における流体軸受式回転装置について説明する。実施の形態2における流体軸受式回転装置は、光磁気ディスクを回転するスピンドルモータである。実施の形態2における記録媒体制御装置は、実施の形態2のスピンドルモータで光磁気ディスクを回転させるディスク装置である。図12は、本実施の形態における流体軸受式回転装置の構成の概略を示す断面図である。図12において、軸1に代えて軸130を有する点、スリーブ2からフランジ収納部2Dを除する点、スリーブ2が新たに直溝部2Eを有する点において、実施の形態1とは異なる。それ以外の点においては同一であり、同一の符号を付した要素についての詳細な説明は省略する。
上記の構成とすることで、テーパ状溝2Cと軸受穴2Aの下部とが連通され、動圧発生溝1A、1B及び1Dに油膜切れが起こることを防止することができる。直溝部2Eは、エンドミル等による切削加工により設けられる。
図13及び図14を用いて実施の形態3における流体軸受式回転装置について説明する。実施の形態3における流体軸受式回転装置は、光磁気ディスクを回転するスピンドルモータである。実施の形態3における記録媒体制御装置は、実施の形態3のスピンドルモータで光磁気ディスクを回転させるディスク装置である。図13は、本実施の形態における流体軸受式回転装置の構成の概略を示す断面図である。図13において、カバー板5に代えてカバー板5’を有する点において、実施の形態1とは異なる。それ以外の点においては同一であり、同一の符号を付した要素についての詳細な説明は省略する。
カバー板5’は、軸孔5Aと、換気孔5B’と、凹部5Cとを有する。軸孔5A及び凹部5Cは、図2及び図3に示す実施の形態1におけるカバー板5と同一である。換気孔5B’は、カバー板5’の側面に設けられている。
図15を用いて実施の形態4における流体軸受式回転装置について説明する。実施の形態4における流体軸受式回転装置は、光磁気ディスクを回転するスピンドルモータである。実施の形態4における記録媒体制御装置は、実施の形態4のスピンドルモータで光磁気ディスクを回転させるディスク装置である。図15は、本実施の形態における流体軸受式回転装置の構成の概略を示す断面図である。図15において、流体軸受式回転装置が、軸回転式であることに代えて軸固定式である点において実施の形態1とは異なる。つまり、軸1は、ロータハブ12と固定されることに代えてベース6に固定され、一方ロータハブ12は、スリーブ2に固定される。それ以外の点においては同一であり、同一の符号を付した要素についての詳細な説明は省略する。
図16〜図18を用いて実施の形態5における流体軸受式回転装置、記録媒体制御装置及び注油方法について説明する。光磁気ディスクを回転するスピンドルモータである。実施の形態5における記録媒体制御装置は、実施の形態5のスピンドルモータで光磁気ディスクを回転させるディスク装置である。実施の形態5における流体軸受式回転装置は、実施の形態1と同一である。図16は、本実施の形態における流体軸受式回転装置に潤滑剤を注油する注油方法を説明するための断面図である。図16において、注油ノズル17A及び17Bを用いて下記の注油方法を実行することにおいて、実施の形態1とは異なる。それ以外の点においては同一であり、同一の符号を付した要素についての詳細な説明は省略する。
S1806において、隙間S1〜S4では強い毛管力によって潤滑剤13が保持されるが、隙間S5は十分広く凹部5Cにおける毛管力は隙間S1〜S4における毛管力に比べて弱い。したがって、凹部5Cにおいて、潤滑剤13は吸油チューブ18によって容易に吸油される。凹部5Cの潤滑剤13が吸取られた後は、換気孔5Bから空気14が流入し、吸油チューブ18からはこの空気14が吸い取られるようになる。つまり、潤滑剤13は隙間の小さい隙間S1〜S4に保持されており吸油チューブ18から必要以上に吸い出されることはない。
1A、1B、1C、1D 動圧発生溝
2 スリーブ
2A 軸受穴
2B 循環孔
2C テーパ状溝
2D フランジ収納部
2E 直溝部
3 フランジ
4 スラスト板
5 カバー板
5A 軸孔
5B 換気孔
5C 凹部
5D 第2の凹部
6 ベース板
7 モータステータ
8 ロータ磁石
9 ディスク
10 スペーサ
11 クランパー
12 ロータハブ
13、13’ 潤滑剤
14 空気
15 油溜まり部
16 シール
17、17A、17B 注油ノズル
18 吸油チューブ
Claims (12)
- 略中央に設けられた軸受穴を有するスリーブと、前記スリーブと相対的に回転自在に前記軸受穴に挿入された軸と、を有し、前記軸の外周面及び前記スリーブの内周面の少なくともいずれか一方に複数の浅溝から成るパターン状の動圧発生溝を少なくとも一組以上有する軸受面を有し、前記軸と前記スリーブの間の隙間に潤滑剤が充満された軸受ユニットを有し、
前記軸受けユニットにおいて、
前記スリーブに、又は前記スリーブとそのスリーブの端面を略覆うカバー板との間に、前記軸受穴との連結部において軸方向の幅が狭く、前記スリーブの外周に近づくにつれて軸方向の幅が広くなるテーパ状の空間を設け、
前記テーパ状の空間の外周部に外部から空気の出入りが可能な換気孔を設ける、
ことを特徴とする流体軸受式回転装置。 - 前記軸は、前記軸穴から一端が突出しており、
前記軸受ユニットは、突出する前記軸を通す開口部を有し前記スリーブの端面の少なくとも一部を覆うカバー板を有し、
前記スリーブと前記カバー板との間に、前記軸受穴との連結部において軸方向の幅が狭く、前記スリーブの外周に近づくにつれて軸方向の幅が広くなるテーパ状の空間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体軸受式回転装置。 - 前記軸は、前記軸穴から一端が突出しており、他端は軸に直角なスラスト軸受面を有し、
このスラスト軸受面は前記スリーブに固定されたスラスト板に対向し、その間の隙間には潤滑剤が充満されており、
前記テーパ状の空間は、前記軸の突出部側の前記軸受面の端部の近傍で、前記軸受穴と連通している、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体軸受式回転装置。 - 前記テーパ状の空間は、前記軸の周囲にリング状に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の流体軸受式回転装置。
- 前記換気口の近傍の前記カバー板に、前記テーパ状の空間の軸方向の幅を広げる凹部を設けることを特徴とする請求項2のいずれかの請求項に記載の流体軸受式回転装置。
- 前記テーパ状の空間が前記軸受穴と連通するところより前記軸の他端に近いところで一端が前記軸受穴と連通し、他端が前記テーパ状の空間の外周部と連通する連通孔を更に有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載の流体軸受式回転装置。
- 前記軸の外周面と前記スリーブの内周面との間の距離と、前記軸受穴との連結部での前記テーパ状の空間の軸方向の幅とが、ほぼ等しいことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかの請求項に記載の流体軸受式回転装置。
- 前記凹部の深さが0.05mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の流体軸受式回転装置。
- 前記換気孔は直径が0.10mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の流体軸受式回転装置。
- 請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載の流体軸受式回転装置を有する、テープ状又はディスク状の記録媒体を記録及び/又は再生する記録媒体制御装置。
- 請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載の流体軸受式回転装置に潤滑剤を注油する注油方法であって、
前記換気孔を仮封止体により仮封止するステップ、
前記軸と前記スリーブとの隙間近傍に潤滑剤を注油するステップ、
前記流体軸受式回転装置の周囲を減圧するステップ、
前記流体軸受式回転装置の周囲の気圧を元に戻すステップ、
前記換気孔の前記仮封止体を剥がすステップ、及び、
吸油材を前記換気孔から挿入して前記換気孔近傍の潤滑剤を吸油するステップ、
を有する前記流体軸受式回転装置の注油方法。 - 請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載の流体軸受式回転装置に潤滑剤を注油する注油方法であって、
前記軸と前記スリーブとの隙間近傍と、前記換気孔の近傍と、に潤滑剤を注油するステップ、
前記流体軸受式回転装置の周囲を減圧するステップ、
前記流体軸受式回転装置の周囲の気圧を元に戻すステップ、及び、
吸油材を前記換気孔から挿入して前記換気孔近傍の潤滑剤を吸油するステップ、
を有する前記流体軸受式回転装置の注油方法。
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