JP2005308016A - 車両の発進クラッチ制御装置 - Google Patents

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JP2005308016A JP2004122755A JP2004122755A JP2005308016A JP 2005308016 A JP2005308016 A JP 2005308016A JP 2004122755 A JP2004122755 A JP 2004122755A JP 2004122755 A JP2004122755 A JP 2004122755A JP 2005308016 A JP2005308016 A JP 2005308016A
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Abstract

【課題】 発進時、クラッチトルク不足により締結時間が過大になることが無く、車両負荷の大きさにかかわらず、良好な発進性能の確保と発進クラッチへの負荷の軽減とを達成することができる車両の発進クラッチ制御装置を提供すること。
【解決手段】 前進クラッチ20への入力トルクに応じてクラッチトルクを制御する車両の発進クラッチ制御装置において、停車前または停車時に車両負荷を推定する車両負荷推定手段(ステップS1)と、入力トルクに応じたクラッチトルクを、推定される車両負荷が大きいほど高くする補正を行うクラッチトルク補正手段(ステップS2〜S4)と、前記前進クラッチ20を補正したクラッチトルクにて締結する発進クラッチ制御手段(ステップS8)と、を備えた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、発進クラッチへの入力トルクに応じてクラッチトルクを制御する車両の発進クラッチ制御装置の技術分野に属する。
発進時、発進クラッチのスリップ制御を開始してからの経過時間が所定時間を超えた時、クラッチトルクをエンジントルクよりも大きくして発進クラッチを早く締結する車両用クラッチ制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−119002号公報
しかしながら、従来の車両用クラッチ制御装置にあっては、発進開始後、クラッチ締結速度を変更するまでに所定時間の経過を要する構成になっていたため、この所定時間内にエンジン回転数落ち込み、または、エンジン回転数吹け上がりを生じ、駆動力不足やレスポンス不足という発進性の悪化を生じたり、発進クラッチへの負荷が増大する、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、発進時、クラッチトルク不足により締結時間が過大になることが無く、車両負荷の大きさにかかわらず、良好な発進性能の確保と発進クラッチへの負荷の軽減とを達成することができる車両の発進クラッチ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、発進クラッチへの入力トルクに応じてクラッチトルクを制御する車両の発進クラッチ制御装置において、
停車前または停車時に車両負荷を推定する車両負荷推定手段と、
入力トルクに応じたクラッチトルクを、推定される車両負荷が大きいほど高くする補正を行うクラッチトルク補正手段と、
前記発進クラッチを補正したクラッチトルクにて締結する発進クラッチ制御手段と、
を備えた。
よって、本発明の車両の発進クラッチ制御装置にあっては、クラッチトルク補正手段において、入力トルクに応じたクラッチトルクを、停車前または停車時に推定された車両負荷が大きいほど高くする補正が行われ、発進クラッチ制御手段において、発進クラッチが補正したクラッチトルクにて締結される。つまり、クラッチ締結制御開始前に車両負荷に応じた適切なクラッチトルクを算出し、発進に備えて発進クラッチを適切なクラッチトルクにて締結しておくことが可能である。この結果、発進時、クラッチトルク不足により締結時間が過大になることが無く、車両負荷の大きさにかかわらず、良好な発進性能の確保と発進クラッチへの負荷の軽減とを達成することができる。
以下、本発明の車両の発進クラッチ制御装置を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の発進クラッチ制御装置が適用されたベルト式無段変速機搭載車を示す全体システム図である。
実施例1のベルト式無段変速機搭載車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、エンジン出力軸2と、トーショナルダンパー3と、フライホイール4と、変速機入力軸5と、前後進切換機構6と、プライマリプーリ軸7と、プライマリプーリ8と、CVTベルト9と、セカンダリープーリ10と、セカンダリープーリ軸11と、出力ギヤ12と、ドライブギヤ13と、ディファレンシャルギヤ14と、ドライブシャフト15,16と、駆動輪17,18と、を備えている。
前記前後進切換機構6は、前進クラッチ20(発進クラッチ)と、後退ブレーキ21と、単純遊星歯車列22と、変速機ケース23と、を有する。
前記前進クラッチ20は、変速機入力軸5とプライマリプーリ軸7との間に介装された多板クラッチであり、発進時には付与されるクラッチトルク(=締結力)に応じてエンジン1からのトルクをプライマリプーリ軸7へ伝達する。また、発進から前進走行へ移行すると滑りのない締結を維持するクラッチトルクを付与することで、エンジントルクをプライマリプーリ軸7へ入力する。
前記後退ブレーキ21は、前記単純遊星歯車列22のピニオンキャリア22bと変速機ケース23との間に介装された多板ブレーキであり、後退時、前記前進クラッチ20を解放し、後退ブレーキ21を締結し、ピニオンキャリア22bを変速機ケース23に固定する。この後退ブレーキ21の締結により、変速機入力軸5(リングギヤ22c)からの入力回転方向を逆にしてプライマリプーリ軸7(サンギヤ22a)を前進時とは反対方向に回転させる。
前記単純遊星歯車列22は、サンギヤ22aとピニオンキャリア22bとリングギヤ22cとを有して構成され、前記サンギヤ22aはプライマリプーリ軸7に連結され、前記ピニオンキャリア22bは後退ブレーキ21を介して変速機ケース23に対し固定可能とされ、前記リングギヤ22cは変速機入力軸5に連結される。
また、ベルト式無段変速機の変速油圧を作り出す油圧機構として、図1に示すように、オイルタンク30と、オイルポンプ31と、油圧コントロールユニット32と、プライマリープーリ油室33等を備えている。
実施例1のベルト式無段変速機搭載車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ40と、トランスミッションコントローラ41と、スロットル開度センサ42と、エンジン回転数センサ43と、ブレーキ踏力センサ44と、車速センサ45と、前進クラッチソレノイド46と、後退ブレーキソレノイド47と、を備えている。
前記エンジンコントローラ40は、スロットル開度センサ42とエンジン回転数センサ43等のセンサ情報を入力し、スロットル開度情報およびエンジン回転数情報をトランスミッションコントローラ41に出力する。
前記トランスミッションコントローラ41は、ブレーキ踏力センサ44からのブレーキ踏力情報と、車速センサ45からの車速情報と、エンジンコントローラ40からのスロットル開度情報およびエンジン回転数情報とを入力する。そして、トランスミッションコントローラ41での演算処理の結果にしたがって、前進クラッチソレノイド46と後退ブレーキソレノイド47に対し制御指令を出力する。なお、前進クラッチ20と後退ブレーキ21の締結力は、前進クラッチソレノイド46と後退ブレーキソレノイド47に対する制御指令に基づき作り出されるもので、例えば、ソレノイドで作り出された電磁力、ソレノイドを有するバルブで作り出された制御油圧力、ソレノイド電磁力でコントロールクラッチに発生するトルクに応じてカムが作用して作り出された押し付け力、等により締結される。
すなわち、発進を含む前進時には、前進クラッチ20を締結し後退ブレーキ21を解放する。また、後退時には、前進クラッチ20を解放し後退ブレーキ21を締結する。さらに、発進時には、前進クラッチソレノイド46に対する制御指令により、基本的には、前進クラッチ20への入力トルクに応じてクラッチトルクが制御される。
次に、作用を説明する。
[発進クラッチ制御処理]
図2は実施例1のトランスミッションコントローラ41にて実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この処理は、予め設定された制御周期毎に実行される。
ステップS1では、停車前(走行中)または停車時に車両負荷を推定し、ステップS2へ移行する(車両負荷推定手段)。
ここで、具体的な車両負荷推定例について説明する。
停車時の車両負荷推定
例えば、停車時のブレーキストロークまたはブレーキ踏力(ブレーキ踏力センサ44)が大きいほど、登坂勾配(車両負荷が大)であると推定する。
なお、路面傾斜センサや前後加速度センサ等からの検出値を用い、登坂勾配による停車時の車両負荷を推定するようにしても良い。また、牽引センサ等を用い、トーイングによる停車時の車両負荷を推定するようにしても良い。
停車前(走行中)の車両負荷推定
例えば、運転状態(スロットル開度等)から算出した理論加速度と車両状態(前後加速度等)から算出した実加速度との差が大きいほど車両負荷が大きいと推定する。
また、例えば、アクセル足離し時、車両空走状態での減速度を算出し(車速微分値や前後加速度等)、減速度が大きいほど車両負荷が大きいと推定する。
また、走行負荷マップを予め設定しておき、停車前の運転点が走行負荷マップでの平坦路ロード・ロード線よりも高アクセル開度側であり、平坦路ロード・ロード線からの乖離が大きいほど車両負荷が大きいと推定するようにしても良い。
ステップS2では、ステップS1での車両負荷推定に引き続き、推定された車両負荷を用いてクラッチ補正量Bを演算し、ステップS3へ移行する。
ここで、「クラッチ補正量B」は、ステップS2の枠内に記載した特性図に示すように、車両負荷が0のときに補正量0であり、車両負荷の増大に応じて比例的に大きくなり、車両負荷が所定値以上となったら一定値による補正量限界値にて与える。
ステップS3では、ステップS2でのクラッチ補正量Bの演算に引き続き、ブレーキストロークまたはブレーキ踏力に応じてクラッチ補正量Cを演算し、ステップS4へ移行する。
ここで、「ブレーキストロークまたはブレーキ踏力」は、路面勾配を判定する値であり、ブレーキストロークが大ストロークであるほど、または、ブレーキ踏力が大踏力であるほど路面勾配が急であると判定する。なお、ブレーキ踏力情報は、ブレーキ踏力センサ44から得る。
また、「クラッチ補正量C」は、ステップS3の枠内に記載した特性図に示すように、ブレーキストロークまたはブレーキ踏力が0である場合に0であり、ブレーキストロークまたはブレーキ踏力の増大に応じて比例的に大きくなり、ブレーキストロークまたはブレーキ踏力が所定値以上となったら一定値による限界値にて与える。
ステップS4では、ステップS3での補正値C特性の決定に引き続き、クラッチ制御で用いる入力トルクに対する前進クラッチ20のクラッチトルクマップ(図3)を補正し、補正クラッチトルクマップを作成し、ステップS5へ移行する。
すなわち、「補正クラッチトルクマップ」の作成は、図3に示すように、入力トルクに応じた比例的特性で与えられるクラッチトルク基準特性(破線特性)に対し、推定される車両負荷が大きいほど高く値で与えられるクラッチ補正量Aを入力トルクの全域にて加算して補正値A特性とする。この補正値A特性に対し、入力トルクが設定値(1)より大きい高入力トルク領域では、ステップS2で演算されたクラッチ補正量Bを最大値として補正値B特性を決定し、また、入力トルクが設定値(2)より小さい低入力トルク領域では、ステップS3で演算されたクラッチ補正量Cを最大値として補正値C特性を決定する。そして、補正値A特性と補正値B特性と補正値C特性とを繋ぎ合わせることで、「補正クラッチトルクマップ」を作成する。
ここで、前進クラッチ20への「入力トルク」は、ほぼエンジン1のトルクと一致することから、例えば、アクセル開度とエンジン回転数に対するエンジントルク特性を予め設定しておき、アクセル開度検出値とエンジン回転数検出値とエンジントルク特性とに基づいて、前進クラッチ20への入力トルクを求める。なお、エンジン出力軸2または変速機入力軸5にトルクセンサを取り付けた場合には、センサ信号により入力トルクを求めても良い。
さらに、クラッチトルク基準特性(破線特性)からのクラッチトルク増大補正量は、エンジンストールが発生しない範囲で設定されている。また、ステップS2,ステップS3,ステップS4は、クラッチトルク補正手段に相当する。
ステップS5では、ステップS4での補正クラッチトルクマップの作成に引き続き、車両が走行または停止している路面が登坂路であるか否かを判断し、YESの場合はステップS6へ移行し、NOの場合はステップS7へ移行する。
ここで、「登坂路判定」は、上記ステップS1と同様に、停車時のブレーキストロークまたはブレーキ踏力が大きいと登坂路であると判定しても良いし、また、路面傾斜センサや前後加速度センサ等からの検出値を用いて登坂路を判定しても良い。
ステップS6では、ステップS5での登坂路であるとの判定に基づき、停車時のブレーキストロークまたはブレーキ踏力が所定値α以下か否かを判断し、YESの場合はステップS8へ移行し、NOの場合はステップS6のブレーキリリース完了前判断が繰り返される。
ここで、「所定値α」は、ブレーキリリース完了前のブレーキストローク値またはブレーキ踏力値であり、例えば、ステップS5にて停車時のブレーキストロークまたはブレーキ踏力にて登坂路判定がなされる場合には、登坂路判定値としてのブレーキストローク値またはブレーキ踏力値よりも所定値αは小さな値に設定される。
ステップS7では、ステップS5での登坂路ではないとの判定に基づき、ブレーキリリース完了か否かを判断し、YESの場合はステップS8へ移行し、NOの場合はステップS7のブレーキリリース完了判断を繰り返す。
ここで、ブレーキリリース完了判断は、発進のためのアクセル踏み込み操作に先行し、ブレーキリリース操作を完了する場合、ブレーキ踏力センサ44からのブレーキ踏力が0になること、あるいは、ブレーキスイッチからのスイッチ信号がONからOFFに変化することにより判断される。
ステップS8では、ステップS6での登坂路発進時におけるブレーキリリース完了前のタイミングにて、または、ステップS7での平坦路発進時等におけるブレーキリリース完了タイミングにて、ステップS4にて作成された補正クラッチトルクマップを用い、入力トルクに応じたクラッチトルクを前進クラッチ20に付与するクラッチ制御を実行し、エンドへ移行する(発進クラッチ制御手段)。
[発進クラッチ制御の課題]
特開平8−119002号公報に記載された車両用クラッチ制御装置では、発進時、発進クラッチのスリップ制御を開始してからの経過時間が所定時間を超えた時、クラッチトルクをエンジントルクよりも大きくして発進クラッチを早く締結することで行われる。
この従来技術では、発進開始後、クラッチ締結速度を変更するまでに所定時間の経過を要する構成になっていて、車両負荷を何ら考慮したものではないため、この所定時間内に発進クラッチトルクが過大であることによりエンジン回転数が落ち込んだり、あるいは、発進クラッチトルクが不足することにより、図4の破線によるエンジン回転数特性に示すように、エンジン回転数の吹け上がりを生じることがある。この結果、発進駆動力が不足したり、図4の破線による出力回転数特性に示すように、発進時のアクセル操作にかかわらず出力回転数の立ち上がりが緩やかで発進レスポンスが不足し、発進性の悪化を生じていた。加えて、エンジン回転数の吹け上がりにより発進クラッチのスリップ量が増し、発進クラッチへの負荷が増大していた。
さらに、従来技術では、図6の下側部分に示すように、ブレーキスイッチがON→OFFと変化した時点から発進クラッチ制御を開始し、発進クラッチ制御開始後、事後的に車両状況(エンジン回転数)を判定する構成となっていたため、登坂路での発進時に車両が後退してしまい、より発進性を悪化させていたし、車両の後退により動力伝達部品に加わる反転トルクにより、動力伝達部品への負荷が増大していた。
[発進クラッチ制御作用]
これに対し、実施例1では、入力トルクに応じたクラッチトルクを、停車前または停車時に推定された車両負荷が大きいほど高くする補正を行うクラッチトルク補正手段と、発進クラッチを補正したクラッチトルクにて締結する発進クラッチ制御手段と、を備えた構成とすることにより、クラッチ締結制御開始前に車両負荷に応じた適切なクラッチトルクを算出し、発進に備えて制御開始時から発進クラッチを適切なクラッチトルクにて締結することを可能とすることで、上記課題を解決した。
すなわち、平坦路等での発進時には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8へと進む流れとなり、例えば、ステップS4では、補正クラッチトルクマップとして、入力トルクに応じた比例的特性で与えられるクラッチトルク基準特性(破線特性)に近似するマップが作成され、ステップS8では、ブレーキリリースが完了した開始タイミングにて、ステップS4にて作成された補正クラッチトルクマップを用い、入力トルクに応じたクラッチトルクを前進クラッチ20に付与するクラッチ制御が実行される。
よって、平坦路等での発進時において、クラッチトルクが過大になることが無く、適正なクラッチトルクが与えられるころで、過大なクラッチトルクによるエンジン回転数の落ち込みを防止し、良好な発進性を確保することができる。
一方、登坂路での発進時には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS8へと進む流れとなり、例えば、ステップS4では、補正クラッチトルクマップとして、補正値A特性と補正値B特性と補正値C特性とを繋ぎ合わせたマップが作成され、ステップS8では、ブレーキリリースが完了する前のタイミングにて、ステップS4にて作成された補正クラッチトルクマップを用い、入力トルクに応じたクラッチトルクを前進クラッチ20に付与するクラッチ制御が実行される。
よって、登坂路での発進時においては、下記に述べるメリットを有する。
・補正値A特性によるメリット
入力トルクの全領域において、クラッチ締結制御開始前に適切なクラッチトルクを算出することが可能なため、クラッチトルク不足により締結時間が過大になることがなく(図4の締結時間:T1>T2)、通常負荷時と同等の発進性能を維持し、また、エンジン回転吹け上がりによる前進クラッチ20への負担を軽減することができる。
・補正値B特性によるメリット
高入力トルク領域では、クラッチトルクが不足し、入力トルクを適切に伝達しきれないことによるによるエンジン吹け上がりを防止し(図4のエンジン回転数特性)、発進レスポンスを向上することができるし(図5の出力回転数特性)、前進クラッチ20の発熱を抑えることができる。
・補正値C特性によるメリット
低入力トルク領域では、クラッチ伝達トルクが不足することによる車両後退を抑えることができる(図5のクラッチ油圧特性)。
・早期の制御開始タイミングによるメリット
制動力が発生している間に駆動力を発生させることができるため、制動力が無くなった際に車両の後退を抑えることができる。また、従来制御のように車両後退中にクラッチ締結を開始するということが防止されるので、前進クラッチ20だけでなく、CVTベルト9等の動力伝達部品への過負荷も抑制することができる。すなわち、本制御では、図6に示すように、時点t1にてブレーキリリース操作を開始した場合、時点t2にてクラッチ制御が開始され、ブレーキスイッチがONからOFFに変化する時点t3(従来制御の開始タイミング)では、既に正のアウトプット回転数が発生して発進を開始し、時点t2から時点t3の間では、制動力が発生している間に駆動力を発生させることができる。
さらに、故障車両を牽引してのトーイング発進時には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8へと進む流れとなり、例えば、ステップS4では、補正クラッチトルクマップとして、補正値A特性と補正値B特性とを繋ぎ合わせたマップが作成され、ステップS8では、ブレーキリリースが完了した開始タイミングにて、ステップS4にて作成された補正クラッチトルクマップを用い、入力トルクに応じたクラッチトルクを前進クラッチ20に付与するクラッチ制御が実行される。
よって、上記補正値A特性によるメリットと補正値B特性によるメリットが得られ、特に、アクセルを大きく踏み込んで牽引するトーイング時、補正値B特性が有効に生かされることになり、クラッチトルク不足によるエンジン吹け上がりを防止し、前進クラッチ20の発熱を抑えることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の発進クラッチ制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 前進クラッチ20への入力トルクに応じてクラッチトルクを制御する車両の発進クラッチ制御装置において、停車前または停車時に車両負荷を推定する車両負荷推定手段と、入力トルクに応じたクラッチトルクを、推定される車両負荷が大きいほど高くする補正を行うクラッチトルク補正手段と、前記前進クラッチ20を補正したクラッチトルクにて締結する発進クラッチ制御手段と、を備えたため、発進時、クラッチトルク不足により締結時間が過大になることが無く、車両負荷の大きさにかかわらず、良好な発進性能の確保と発進クラッチへの負荷の軽減とを達成することができる。
(2) 前記クラッチトルク補正手段は、入力トルクが第1設定値より大きい高入力トルク領域では、車両負荷が大きいほど大きな増大補正量をクラッチトルクに付加するため、高入力トルク領域において、クラッチトルクが不足し、入力トルクを適切に伝達しきれないことによるによるエンジン吹け上がりを防止し、前進クラッチ20の発熱を抑えることができる。
(3) 前記クラッチトルク補正手段は、入力トルクが第2設定値より小さい低入力トルク領域では、路面勾配判定値が大きいほど大きな増大補正量をクラッチトルクに付加するため、低入力トルク領域において、クラッチ伝達トルクが不足することによる車両後退を抑えることができる。
(4) 前記クラッチトルク補正手段は、前記車両負荷推定手段により登坂による負荷が作用していると推定されたとき、ブレーキリリース完了前にクラッチトルクが発生するようにクラッチ締結制御開始を早めるため、登坂路発進時、制動力が無くなった際に車両の後退を抑えることができると共に、前進クラッチ20やCVTベルト9等の動力伝達部品への過負荷を抑制することができる。
(5) 前記車両負荷推定手段は、停車時のブレーキストロークまたはブレーキ踏力が大きいほど、登坂勾配であると推定するため、車両停止時に路面勾配の度合いを推定することができ、これにより、適切な制御開始タイミングの設定や、クラッチトルク補正量を精度良く算出することができる。
(6) 前記車両負荷推定手段は、運転状態から算出した理論加速度と車両状態から算出した実加速度との差が大きいほど車両負荷が大きいと推定するため、走行中のタイミングにて車両に作用している負荷を特別なセンサ等を用いることなく検出することが可能であり、また、車両負荷の大きさの推定が可能であることで、車両負荷量に応じたクラッチトルクの補正も行うことができる。
(7) 前記車両負荷推定手段は、アクセル足離し時、車両空走状態での減速度を算出し、減速度が大きいほど車両負荷が大きいと推定するため、停車直前のタイミングにて車両に作用している負荷を特別なセンサ等を用いることなく検出することが可能であり、また、車両負荷の大きさの推定が可能であることで、車両負荷量に応じたクラッチトルクの補正も行うことができる。
以上、本発明の車両の発進クラッチ制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、車両負荷推定手段として、ブレーキストロークまたはブレーキ踏力、理論加速度と実加速度の差、アクセル足離し空走状態での減速度、により車両の付加を推定する手段の例を示したが、例えば、停車前または停車時に車両負荷を推定することができる手段であれば、実施例1で示した以外の手段を用いても良い。
実施例1では、クラッチトルク補正手段として、クラッチ制御で用いるクラッチトルクマップを補正する例を示したが、入力トルクに応じたクラッチトルクに車両負荷や路面勾配による増大補正量を加算する演算処理によりクラッチトルクを補正するようにしても良い。
実施例1では、発進クラッチ制御装置をベルト式無段変速機搭載車の前進クラッチの締結制御に適用する例を示したが、有段自動変速機搭載車やトロイダル式無段変速機搭載車や自動MT搭載車やハイブリッド車や電気自動車等、要するに発進時に締結し駆動源からの入力トルクを伝達するクラッチを有する様々な車両に適用することができる。
実施例1の発進クラッチ制御装置が適用されたベルト式無段変速機搭載車を示す全体システム図である。 実施例1のトランスミッションコントローラにて実行される発進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の発進クラッチ制御で用いられる補正したクラッチトルクマップを示す図である。 発進時におけるエンジン回転数・クラッチ油圧の実施例1特性と従来例特性との対比タイムチャートである。 発進時におけるクラッチ油圧・出力回転数の実施例1特性と従来例特性との対比タイムチャートである。 実施例1の登坂路での発進クラッチ制御におけるブレーキストロークまたは踏力特性とクラッチ油圧特性とアウトプット回転数特性と従来の制御での発進クラッチ制御におけるブレーキスイッチ特性とクラッチ油圧特性とアウトプット回転数特性を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン
2 エンジン出力軸
3 トーショナルダンパー
4 フライホイール
5 変速機入力軸
6 前後進切換機構
7 プライマリプーリ軸
8 プライマリプーリ
9 CVTベルト
10 セカンダリープーリ
11 セカンダリープーリ軸
12 出力ギヤ
13 ドライブギヤ
14 ディファレンシャルギヤ
15,16 ドライブシャフト
17,18 駆動輪
20 前進クラッチ(発進クラッチ)
21 後退ブレーキ
22 単純遊星歯車列
22a サンギヤ
22b ピニオンキャリア
22c リングギヤ
23 変速機ケース
30 オイルタンク
31 オイルポンプ
32 油圧コントロールユニット
33 プライマリープーリ油室
40 エンジンコントローラ
41 トランスミッションコントローラ
42 スロットル開度センサ
43 エンジン回転数センサ
44 ブレーキ踏力センサ
45 車速センサ
46 前進クラッチソレノイド
47 後退ブレーキソレノイド

Claims (7)

  1. 発進クラッチへの入力トルクに応じてクラッチトルクを制御する車両の発進クラッチ制御装置において、
    停車前または停車時に車両負荷を推定する車両負荷推定手段と、
    入力トルクに応じたクラッチトルクを、推定される車両負荷が大きいほど高くする補正を行うクラッチトルク補正手段と、
    前記発進クラッチを補正したクラッチトルクにて締結する発進クラッチ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両の発進クラッチ制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両の発進クラッチ制御装置において、
    前記クラッチトルク補正手段は、入力トルクが第1設定値より大きい高入力トルク領域では、車両負荷が大きいほど大きな増大補正量をクラッチトルクに付加することを特徴とする車両の発進クラッチ制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された車両の発進クラッチ制御装置において、
    前記車両負荷推定手段は、路面勾配判定値により車両負荷を推定する手段であり、
    前記クラッチトルク補正手段は、入力トルクが第2設定値より小さい低入力トルク領域では、路面勾配判定値が大きいほど大きな増大補正量をクラッチトルクに付加することを特徴とする車両の発進クラッチ制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両の発進クラッチ制御装置において、
    前記クラッチトルク補正手段は、前記車両負荷推定手段により登坂による負荷が作用していると推定されたとき、ブレーキリリース完了前にクラッチトルクが発生するようにクラッチ締結制御開始を早めることを特徴とする車両の発進クラッチ制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載された車両の発進クラッチ制御装置において、
    前記車両負荷推定手段は、停車時のブレーキストロークまたはブレーキ踏力が大きいほど、登坂勾配であると推定することを特徴とする車両の発進クラッチ制御装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載された車両の発進クラッチ制御装置において、
    前記車両負荷推定手段は、運転状態から算出した理論加速度と車両状態から算出した実加速度との差が大きいほど車両負荷が大きいと推定することを特徴とする車両の発進クラッチ制御装置。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載された車両の発進クラッチ制御装置において、
    前記車両負荷推定手段は、アクセル足離し時、車両空走状態での減速度を算出し、減速度が大きいほど車両負荷が大きいと推定することを特徴とする車両の発進クラッチ制御装置。
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