JP2005307406A - 光触媒機能を有する紙及びその製造方法 - Google Patents

光触媒機能を有する紙及びその製造方法 Download PDF

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聡 竹内
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Abstract

【課題】 実用的な強度が維持されるとともに光触媒機能を十分に発揮することができる光触媒機能を有する紙及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 光触媒機能を有する紙11は、基材紙層12の表面に、機能紙層13が積層されている。機能紙層13は光触媒粒子14を含有し、この機能紙層13には光触媒機能が付与されている。光触媒粒子14は、光触媒として活性を有する半導体粒子の表面に、光触媒として不活性な不活性体が被覆されて構成されている。光触媒機能を有する紙11の製造方法は、基材紙層12を抄紙する第1抄紙工程と、基材紙層12に紙層をさらに抄き合わせる第2抄紙工程と、その紙層に光触媒粒子14を含有させて機能紙層13を形成する機能紙層形成工程とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、住宅や自動車等に適用される内装材、フィルター、照明器具、敷物等に利用される光触媒機能を有する紙及びその製造方法に関するものである。
半導体粒子は、バンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射すると、光励起により電子及び正孔が表面に移動することが知られ、この種の半導体粒子は光触媒として機能する。この種の光触媒に光を照射することにより、悪臭物質の分解や有害物質の無害化を行うことが可能であり、代表的な光触媒としてはアナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタン等が挙げられる。
光触媒を含有するシートとして、酸化チタン、繊維等から形成されるシートが知られている(特許文献1参照)。また、バインダー及び光触媒を含有したコート剤により被覆されたシートが知られている(特許文献2参照)。
特開平8−266601号公報 特開平10−128125号公報
ところが、上記特許文献1に記載のシートでは光が照射されると、光触媒に接触している繊維が光触媒の作用によって劣化する。例えば、特許文献1に記載のシートでは、日光に10日間暴露しただけでも、繊維が劣化することにより、シートの強度が低下する。こうしたシートでは、実用的な強度が維持されないという問題があった。また、特許文献2に記載のシートでは、光触媒がバインダーにより被覆されてしまうため、そのバインダーにより光触媒活性が阻害され、光触媒としての機能が十分に得られないという問題があった。
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、実用的な強度が維持されるとともに光触媒機能を十分に発揮することができる光触媒機能を有する紙及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の光触媒機能を有する紙では、基材紙層に機能紙層が積層されるとともに、該機能紙層は光触媒粒子を含有し、該光触媒粒子は、光触媒として活性を有する半導体粒子の表面に、光触媒として不活性な不活性体を被覆して構成されることを要旨とする。
請求項2に記載の発明の光触媒機能を有する紙では、請求項1に記載の発明において、前記基材紙層の坪量よりも前記機能紙層(但し、光触媒粒子を除く)の坪量が小さいことを要旨とする。
請求項3に記載の発明の光触媒機能を有する紙では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記機能紙層は最外層に設けられることを要旨とする。
請求項4に記載の発明の光触媒機能を有する紙では、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記光触媒粒子の含有量は0.1〜100g/m2であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明の光触媒機能を有する紙では、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記不活性体はシリカゲル、二酸化ケイ素、多孔質リン酸カルシウム、アルミノケイ酸塩及びアパタイトから選ばれる少なくとも一種であることを要旨とする。
請求項6に記載の発明の光触媒機能を有する紙では、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記半導体粒子は二酸化チタン粒子であるとともに、前記不活性体はシリカゲルであり、前記光触媒粒子は二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持されていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明の光触媒機能を有する紙の製造方法では、基材紙層の片面に機能紙層が積層されるとともに、該機能紙層には光触媒粒子が含有され、該光触媒粒子は、光触媒として活性を有する半導体粒子の表面に、光触媒として不活性な不活性体を被覆して構成される光触媒機能を有する紙の製造方法であって、前記基材紙層を抄紙する第1抄紙工程と、前記基材紙層に紙層をさらに抄き合わせる第2抄紙工程と、該紙層に光触媒粒子を含有させて前記機能紙層を形成する機能紙層形成工程とを備えることを要旨とする。
本発明によれば、実用的な強度が維持されるとともに光触媒機能を十分に発揮することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態における光触媒機能を有する紙11(以下、紙11と省略することもある)は、基材紙層12の表面に、機能紙層13が積層されている。機能紙層13は光触媒粒子14を含有し、この機能紙層13には光触媒機能が付与されている。光触媒粒子14は、光触媒として活性を有する半導体粒子の表面に、光触媒として不活性な不活性体が被覆されて構成されている。
基材紙層12は、紙11として必要な強度を付与する基材として機能する。基材紙層12は、容易に製造できるという観点から、天然パルプを主成分とすることが好ましい。天然パルプの原料としては、木材の他に葉脈繊維、靭皮繊維、種子繊維等が挙げられる。葉脈繊維としてはマニラ麻、サイザル麻等、靭皮繊維としては亜麻、コウゾ、ミツマタ等、種子繊維としてはリンター等が挙げられる。これらの原料は、単独で配合してもよく、複数種を組み合わせて配合してもよい。ここで、主成分とは基材紙層12の原料中に天然パルプを50重量%以上含むことをいうが、好ましくはその原料中に天然パルプを60重量%以上含むものであり、さらに好ましくは天然パルプを80重量%以上含むものである。また、基材紙層12には必要に応じて、無機繊維や化学繊維を混抄することも可能である。無機繊維としてはガラス繊維等、化学繊維としては、レーヨン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられる。さらには、印刷適性を改良する観点から、炭酸カルシウム、クレー等を配合することも可能である。
基材紙層12の坪量は、好ましくは10〜1000g/m2、より好ましくは10〜300g/m2、さらに好ましくは10〜100g/m2である。この坪量が10g/m2未満である場合、基材としての強度を十分に維持することが困難となるおそれがある。一方、1000g/m2を超えると、基材紙層12における光の透過性が低下し、基材紙層12の裏面側から入射した光が機能紙層13に到達することによる光触媒機能、すなわち基材紙層12の裏面を光照射面とした場合、光触媒機能が十分に発揮されないおそれがある。この坪量を10〜100g/m2に設定することにより、基材としての実用的な強度が維持されることに加え、基材紙層12の裏面側から入射した光が機能紙層13に到達し易くなり、基材紙層12の裏面を光照射面とする光触媒機能を一層発揮させることができる。
機能紙層13は、容易に製造できるという観点から天然パルプを主成分とすることが好ましい。天然パルプの原料としては、木材の他に葉脈繊維、靭皮繊維、種子繊維等が挙げられる。葉脈繊維としてはマニラ麻、サイザル麻等、靭皮繊維としては亜麻、コウゾ、ミツマタ等、種子繊維としてはリンター等が挙げられる。これらの原料は、単独で配合してもよく、複数種を組み合わせて配合してもよい。また、機能紙層13には必要に応じて、無機繊維や化学繊維を混抄することも可能である。ここで、主成分とは機能紙層13の原料中に天然パルプを50重量%以上含むことをいうが、好ましくは原料中に天然パルプを60重量%以上含むものであり、さらに好ましくは天然パルプを80重量%以上含むものである。無機繊維としてはガラス繊維等、化学繊維としては、レーヨン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられる。さらには、印刷適性を改良する観点から、炭酸カルシウム、クレー等を配合することも可能である。
光触媒粒子14は、半導体粒子の不活性体への担持や半導体粒子の表面における不活性体のコーティングにより、不活性体によって半導体粒子が被覆されて構成されている。ここで、機能紙層13に半導体粒子を直接含有させると、機能紙層13を構成する繊維は、半導体粒子の光触媒機能によって劣化する。不活性体は、機能紙層13を構成する繊維を半導体粒子の光触媒作用から保護する役割を果たす。
半導体粒子としては、二酸化チタン粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化タングステン粒子、酸化鉄粒子、硫化亜鉛粒子、硫化カドミウム粒子、硫化水銀粒子等が挙げられる。これらの半導体粒子の中でも、光触媒活性に優れることから二酸化チタン粒子が好ましい。二酸化チタン粒子には、その結晶構造からアナターゼ型、ブルッカイト型、ルチル型等が存在するが、これらを単独又は混合物で利用することができる。さらに、これらの酸化チタンの表面に、原子番号21(Sc)から29(Cu)まで、原子番号39(Y)から47(Ag)まで、原子番号57(La)から79(Au)まで、及び原子番号89(Ac)から103(Lr)までの遷移元素又はその酸化物から選ばれる少なくとも一種を担持した酸化チタンを制限なく利用することができる。
不活性体としては、シリカゲル、二酸化ケイ素、多孔質リン酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、アパタイト、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、機能紙層13を構成する繊維を保護する機能に優れるという観点から、シリカゲル、二酸化ケイ素、多孔質リン酸カルシウム、アルミノケイ酸塩及びアパタイトから選ばれる少なくとも一種が好ましい。さらに、大きな比表面積を有していることから、悪臭物質や有害物質を吸着する性能に優れるとともに、吸着した悪臭物質や有害物質に対して光触媒機能を効率よく発揮させることができるという観点から、シリカゲルがより好ましい。加えて、不活性体としてシリカゲルを用いた場合、シリカゲル自体が実用的な強度を有するため、取り扱いが容易である。また、シリカゲルは平均粒子径の選択範囲(例えば、0.5μm〜10mm)が広いため、様々な用途に応用することができる。
光触媒粒子14は、優れた光触媒機能を効率よく発揮させることができるという観点から、二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持された光触媒粒子14がさらに好ましく、アナターゼ型二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持された光触媒粒子14が最も好ましい。
光触媒粒子14の平均粒径は、好ましくは0.5μm〜10mm、より好ましくは1μm〜5mmである。この平均粒径が0.5μm未満の場合、光触媒粒子14を製造することが困難となるおそれがある。一方、10mmを超えると、機能紙層13に均一に含有させることが困難となるおそれがある。
以下、アナターゼ型二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持されている光触媒粒子14について詳述する。この光触媒粒子14におけるシリカゲルは、クロマトグラフィー用や触媒担持用として一般的に使用される非晶質のシリカゲルを適用することが可能である。本実施形態のアナターゼ型二酸化チタン粒子は、シリカゲルの細孔内に担持されている。アナターゼ型二酸化チタン粒子のX線結晶粒径は、好ましくは2〜10nm、より好ましくは3〜6nmである。このX線結晶粒径が2nm未満の場合、光触媒機能を発現する光が短波長となるため、光触媒機能を十分に発揮させることが困難となるおそれがある。一方、10nmを超えると、比表面積が十分に確保されにくく、優れた光触媒機能を発揮させることが困難となるおそれがある。ここで、X線結晶粒径とは、アナターゼ型二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持されている光触媒粒子14に対する粉末X線回折から算出される粒子径をいう。詳述すると、粉末X線回折により、アナターゼ相に帰属する回折線が確認される。このようにして同定されたアナターゼ相をステップスキャンで測定し、バックグランドを除去した回折線(200)の広がりを計測し、これにSchellerの式を適用して算出した粒子径をいう。通常、アナターゼ型二酸化チタン粒子は約650℃以上の温度で焼成すると、ルチル型に変化し失活する。X線結晶粒径が2〜10nmのアナターゼ型二酸化チタン粒子をシリカゲルに担持した光触媒粒子14では、1000℃で焼成してもアナターゼ相を維持していることが粉末X線回折から確認される。
シリカゲルの平均粒径は、好ましくは0.5μm〜10mm、より好ましくは1μm〜5mmである。この平均粒径が0.5μm未満の場合、光触媒粒子14を製造することが困難となるおそれがある。一方、10mmを超えると、機能紙層13に均一に含有させることが困難となるおそれがある。また、シリカゲルの平均細孔径は、好ましくは3〜100nm、より好ましくは10〜50nmである。この平均細孔径が3nm未満の場合、アナターゼ型酸化チタンを担持することが困難となるおそれがある。一方、100nmを超えると、悪臭物質や有害物質を吸着する機能が十分に得られないおそれがある。
機能紙層13の坪量(但し、光触媒粒子14を除く)は、紙11全体に対して機能紙層13における光触媒粒子14の含有量を高める効果が十分に得られるという観点から、基材紙層12の坪量よりも小さいことが好ましい。機能紙層13の坪量は、好ましくは5〜200g/m2、より好ましくは5〜80g/m2である。この坪量が5g/m2未満である場合、十分な量の光触媒粒子14をパルプ繊維に支持させることが困難となるおそれがある。一方、200g/m2を超える場合、優れた光触媒機能を得るためには光触媒粒子14の配合量を増大する必要がある。従って、原料コストが増すおそれがある。
機能紙層13における光触媒粒子14の含有量は、好ましくは1〜60g/m2、より好ましくは1〜20g/m2である。この含有量が1g/m2未満の場合、優れた光触媒機能を得ることが困難となるおそれがある。一方、60g/m2を超えると、光触媒機能をそれ以上高めることが困難となり、不経済となるおそれがある。
この光触媒機能を有する紙11は、各種形状に加工され、住宅や自動車等に適用される内装材、フィルター、照明器具、敷物等に利用することができる。
以下、光触媒機能を有する紙11の製造方法について詳細に説明する。
この紙11の製造方法は、基材紙層12を抄紙する第1抄紙工程と、基材紙層12に紙層をさらに抄き合わせる第2抄紙工程と、その紙層に光触媒粒子14を含有させて機能紙層13を形成する機能紙層形成工程とを備えている。
図4に示すように、この製造方法では円網式抄紙機21が使用される。この円網式抄紙機21は、第1円網22、第2円網23、粒子供給装置24及びヤンキー式ドライヤ25を備えている。第1円網22は第1バッド26に設けられるとともに、第2円網23は第2バッド27に設けられている。第1バッド26には第1チェスト28から紙料が供給され、この紙料から第1円網22により基材紙層12が抄紙されるようになっている。また、第2バッド27には第2チェスト29から紙料が供給され、この紙料が第2円網23によって基材紙層12に抄き合わされることにより、基材紙層12に紙層が積層されるようになっている。なお、第1チェスト28及び第2チェスト29の少なくとも一方に準備される紙料には、必要に応じて各種分散剤、シリカゲル、ゼオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、セピオライト、活性白土、活性炭、木炭等を含有させることができる。
円網式抄紙機21には、第2円網23によって形成された湿紙に光触媒粒子14を供給するための粒子供給装置24が設けられている。この粒子供給装置24にはストックタンク30から光触媒粒子14が供給される。さらに、粒子供給装置24から基材紙層12に積層されている紙層上に光触媒粒子14が供給されることにより、紙層に光触媒粒子14が含有される。光触媒粒子14は、分散液又は粉体として粒子供給装置24から紙層上に供給することが可能である。
光触媒粒子14を分散液として粒子供給装置24から供給する場合、光触媒粒子分散液には、光触媒粒子14及び分散媒(水、有機溶剤等)が含有される他、必要に応じて各種増粘剤、分散安定剤等を含有させることができる。光触媒粒子分散液を供給する粒子供給装置24としては、カーテンコータ等を利用することができる。
光触媒粒子14を粉体として供給する粒子供給装置24としては、例えば図5に示す散布装置31が挙げられる。散布装置31には、光触媒粒子14がストックタンク30から供給管32を介して供給される。散布装置31の内部にはローラ33が備えられ、同ローラ33は図示しない駆動装置によって回転可能に構成されている。ローラ33の回転よって、散布装置31の下端に形成されるスリットから光触媒粒子14が散布され、光触媒粒子14が紙層上に供給される。この種の散布装置としては、例えばパウダー散布装置(商品名:ニッカスプレーK−III)が挙げられる。
続いて、基材紙層12に紙層が積層された湿紙がヤンキー式ドライヤ25にて乾燥され、光触媒機能を有する紙11が得られる。
さて、光触媒機能を有する紙11は、第1抄紙工程、第2抄紙工程及び紙層形成工程を順次実施することにより、製造される。このとき、機能紙層13は、基材紙層12に積層された紙層に光触媒粒子14を含有させて形成される。そのため、紙11全体に光触媒粒子14を含ませた場合よりも、機能紙層13における光触媒粒子14の濃度を高めることができる。また、基材紙層12に積層された紙層に含有させている。このとき、基材紙層12に積層された紙層がフィルターの役割を果たすため、同紙層に光触媒粒子14が支持され易い。そのため、製造工程からその工程外に光触媒粒子14が排出されることを抑制することができる。
この光触媒機能を有する紙11は、光が照射される箇所で使用される。このとき、光触媒粒子14は半導体粒子の表面に不活性体が被覆されて構成されている。そのため、半導体粒子とパルプ繊維との接触が不活性体によって妨げられ、半導体粒子の光触媒作用からパルプ繊維が保護される。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ この実施形態の光触媒機能を有する紙11では、基材紙層12の片面に機能紙層13が積層されるとともに、同機能紙層13は光触媒粒子14を含有している。そのため、紙11全体に光触媒粒子14を含ませる場合よりも、機能紙層13における光触媒粒子14の濃度を高めることができる。つまり、等量の光触媒粒子14を使用した場合、こうした構成の紙11であれば、機能紙層13における光触媒粒子14の含有量が高められる。従って、機能紙層13によって光触媒機能を十分に発揮することができる。また、この光触媒粒子14は、光触媒として活性を有する半導体粒子の表面に、光触媒として不活性な不活性体を被覆して構成される。そのため、半導体粒子とパルプ繊維との接触が不活性体によって妨げられ、半導体粒子の光触媒作用からパルプ繊維が保護される。よって、半導体粒子の光触媒作用を要因とするパルプ繊維の劣化が抑制され、光が照射されても実用的な強度を維持することができる。
・ この実施形態の光触媒機能を有する紙11では、基材紙層12の坪量よりも機能紙層13(但し、光触媒粒子14を除く)の坪量が小さいことが好ましい。このように構成した場合、機能紙層13における光触媒粒子14の含有量を高める効果が十分に得られる。
・ この実施形態の光触媒機能を有する紙11では、光触媒粒子14の含有量は0.1〜100g/m2であることが好ましい。このように構成した場合、優れた光触媒機能が得られ易くなる。
・ この実施形態の光触媒機能を有する紙11では、不活性体はシリカゲル、二酸化ケイ素、多孔質リン酸カルシウム、アルミノケイ酸塩及びアパタイトから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。この場合、半導体粒子の光触媒作用を阻害することなく、パルプ繊維を有効に保護することができる。
・ この実施形態の光触媒機能を有する紙11は、二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持されている光触媒粒子14を含有することが好ましい。このように構成した場合、シリカゲルは悪臭物質や有害物質を吸着する機能を有しているため、それらの物質に対して光触媒機能を効率よく発揮させることができる。また、シリカゲルは紫外光の透過率が高いため、二酸化チタンに紫外光が到達し易い。従って、二酸化チタンの光触媒機能を一層発揮させることができる。
・ この実施形態の光触媒機能を有する紙11の製造方法では、基材紙層12を抄紙する第1抄紙工程と、基材紙層12に紙層をさらに抄き合わせる第2抄紙工程と、同紙層に光触媒粒子14を含有させて機能紙層13を形成する機能紙層形成工程とを備えている。この製造方法によれば、機能紙層13における光触媒粒子14の含有量が高められ、機能紙層13によって光触媒機能を十分に発揮することができる。また、光が照射されても不活性体によって実用的な強度を維持することができる。さらに、基材紙層12に積層された紙層がフィルターの役割を果たすため、同紙層に光触媒粒子14が支持され易い。よって、製造工程からその工程外に光触媒粒子14が排出されることを抑制することができるため、歩留まりを向上することができる。加えて、排水設備への負荷を低減することができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記光触媒機能を有する紙11は、基材紙層12の表面に機能紙層13が積層された二層構造であるが、三層以上の構成にしてもよい。例えば、図2に示すように光触媒機能を有する紙41を基材紙層12の表裏面に機能紙層13を積層することによって三層構造とすることができる。この場合、紙41の表裏面からの光の照射によって、光触媒機能を十分に発揮することができるため、ランプシェード、障子紙等に利用することが可能である。図2に示す紙41は、図4の円網式抄紙機21を使用して、第1チェスト28に紙料及び光触媒粒子14を投入するとともに、ストックタンク30に紙料及び光触媒粒子14を投入することにより製造することができる。詳述すると、まず第1円網22によって機能紙層13を抄紙した後、第2円網23によってその機能紙層13に基材紙層12を抄き合わせる。このとき、基材紙層12の裏面に機能紙層13が積層した二層構造の湿紙が得られる。さらに、粒子供給装置24によって、光触媒粒子14及び紙料を基材紙層12上に供給し、基材紙層12の表面に機能紙層13を抄き合わせる。その結果、基材紙層12の表裏面に機能紙層13が積層した三層構造の紙41を製造することができる。
また、三層構造の紙41は、第1円網22及び第2円網23に加えて、図示しない第3円網を備えた円網式抄紙機によって製造することも可能である。すなわち、粒子供給装置24を使用せずに、第1円網22に供給する原料と同じ原料を第3円網に供給し、この第3円網によって基材紙層12の表面に機能紙層13を抄き合わせる。
なお、第2チェスト29に準備される紙料には、必要に応じて各種分散剤、シリカゲル、ゼオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、セピオライト、活性白土、活性炭、木炭等を含有させることができる。
また、機能紙層13の表裏面に基材紙層12を積層して構成することも可能である。三層以上で構成する場合、機能紙層13に光が十分に照射されるという観点から、少なくとも最外層に機能紙層13を設けることが好ましい。この場合、基材紙層12を厚く形成した場合でも、機能紙層13の光触媒機能を十分に発揮させることができる。
・ 図3に示すように、前記光触媒機能を有する紙11における基材紙層12の裏面に接着層42を設けてもよい。この接着層42としては、各種接着剤、両面テープ等を適用することができる。この場合、壁紙、ふすま紙等に利用することが可能である。
・ 前記実施形態における光触媒機能を有する紙11の製造方法では、光触媒粒子分散液を紙層上に流しかけることにより、紙層に光触媒粒子14を含有させている。この他に、紙層を形成する紙料に光触媒粒子14を混合して、その紙料を基材紙層12に抄き合わせてもよい。この場合、光触媒粒子14を含有する紙料には、定着剤を配合することが好ましい。定着剤によって、パルプ繊維に対する光触媒粒子14の定着率が向上するため、歩留まりを向上することができる。定着剤としては、ポリアクリルアミド樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。はじめに、光触媒粒子の調製について具体的に説明する。
(光触媒粒子A:二酸化チタン/シリカゲル)
200℃で3時間乾燥したシリカゲル(富士シリシア化学(株)製の不定形シリカゲル、CARIACT G−10:平均粒径15μm、平均細孔径10nm、細孔容積1.3ml/g、比表面積300m2/g)100gと、チタンテトライソプロポキシド(三菱ガス化学(株)製、TPT、二酸化チタン換算含有量28.2重量%)100mlをポリエチレン製の容器に入れ、速やかに密閉した。この容器をポットミルにセットして、20min-1、1時間の条件で転動した。続いて、容器に乾燥用シリカゲルである粒状シリカゲル(平均粒径3mm)10gをさらに加えて、5分間転動させることにより、シリカゲル表面を乾燥させた。これにより、チタンテトライソプロポキシド含浸シリカゲルを得た。
続いて、同シリカゲルは25℃のイオン交換水に投入した。このときのイオン交換水には白濁は観察されず、シリカゲルからの漏出は確認されなかった。引き続き、容器を30分間転動した後、篩(10メッシュ)を用いて、乾燥用シリカゲルを取り除いた。チタンテトライソプロポキシド含浸シリカゲルに投げ込みヒータを投入して6時間加熱した後、水切りを行った。テトライソプロポキシド含浸シリカゲルを電気炉中で室温から700℃(昇温速度200℃/min)まで、焼成し、アナターゼ型二酸化チタン光触媒担持シリカゲルを調製した。このアナターゼ型二酸化チタン光触媒担持シリカゲルを200℃で3時間乾燥した後、デシケーター内で室温(約25℃)まで冷却し、光触媒粒子Aとした。この光触媒粒子Aに担持されている二酸化チタンは、理学電機(株)製RAD−RBによるX線回折測定によって、アナターゼ型であることが確認された。また、光触媒粒子Aをさらに1000℃で焼成しても、担持されている二酸化チタンは同様にアナターゼ型であることが確認された。また、同定されたアナターゼ型二酸化チタンのX線結晶粒子径は、アナターゼ相の回折線(200)の広がりから求めると、4.7nmであった。さらに、化学分析により、光触媒粒子Aに含まれる二酸化チタン濃度を測定したところ、20.8重量%(200℃乾燥重量基準)であった。
(光触媒粒子B:二酸化チタン/シリカゲル)
シリカゲル(洞海化学工業(株)製の球状シリカゲル、サンスフェアL−31:平均粒径3μm、平均細孔径13nm、細孔容積1.0ml/g、比表面積300m2/g)を用いた以外は、上記光触媒粒子Aと同様にして光触媒粒子Bを調製した。この光触媒粒子Bに担持されている二酸化チタン、及びこの光触媒粒子Bを1000℃で焼成した後の二酸化チタンは、上記X線回折測定からいずれもアナターゼ型であることが確認された。また、また、同定されたアナターゼ型二酸化チタンのX線結晶粒径を上記に示す方法で求めると、5.2nmであった。さらに、化学分析により、光触媒粒子Bに含まれる二酸化チタン濃度を測定したところ、19.1重量%(200℃乾燥重量基準)であった。
(光触媒粒子C:二酸化チタン/二酸化ケイ素)
二酸化チタンの表面に多孔質二酸化ケイ素をコートした光触媒粒子(太平化学産業(株)製、マスクメロン型光触媒:平均粒径15μm、比表面積170m2/g)を光触媒粒子Cとした。
(光触媒粒子D:二酸化チタン/多孔質リン酸カルシウム)
二酸化チタンの表面に多孔質リン酸カルシウムをコートした光触媒粒子(昭和電工(株)製、ジュピーターシリーズF4−AP:一次粒径30nm、比表面積35〜60m2/g)を光触媒粒子Dとした。
(光触媒粒子E:二酸化チタン/アルミノケイ酸塩)
アルミノケイ酸塩からなる粒子内に二酸化チタンを含有させた光触媒粒子(ライオン(株)製、ライオナイトSF:平均粒径3〜4μm、比表面積300m2/g)を光触媒粒子Eとした。
(光触媒粒子F:二酸化チタン/アパタイト)
二酸化チタンをアパタイト結晶構造中にイオン交換によって形成した金属装飾アパタイト粒子(太平化学産業(株)製、光触媒アパタイトPCAP−100:平均粒径3〜8μm、比表面積30〜70m2/g)を、光触媒粒子Fとした。
(比較光触媒粒子:二酸化チタン)
市販品酸化チタン粒子(日本アエロジル(株)製、P25、一次粒子の平均粒径21nm、比表面積50m2/g)を比較光触媒粒子とした。
次に、上記の光触媒粒子を使用した実施例及び比較例について具体的に説明する。
(実施例1)
マニラ麻パルプを叩解し、パルプスラリーとして、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(荒川化学工業(株)製、アラフィックス255)0.5重量%(対原料比)を加えて、スラリーを調製し、このスラリーを図4に示す第1チェスト28に貯留した。同様にして、紙料を調製し第2チェスト29に貯留した。ストックタンク30には、光触媒粒子Aの水分散液を注入した。図4に示す円網式抄紙機21によって機能紙層に光触媒粒子Aを含有する紙を抄紙した。なお、紙における基材紙層の坪量が40g/m2、機能紙層の坪量(光触媒粒子を除く)が20g/m2、機能紙層における光触媒粒子Aの含有量が15g/m2となるように、パルプ及び光触媒粒子Aの添加量、並びに抄紙条件を調整した。
(実施例2)
基材紙層の坪量が200g/m2となるように調整した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例3)
ストックタンク30を使用せず、第2チェスト29に貯留する紙料に予め光触媒粒子Aを投入し、定着剤としてポリアクリルアミド樹脂(荒川化学工業(株)製、ポリストロン191)0.6重量%(対原料比)を加えた後、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(荒川化学工業(株)製、アラフィックス255)0.4重量%(対原料比)を加えた以外は、実施例1と同様にして紙を得た。なお、紙における光触媒粒子Aの含有量が15g/m2となるように、紙料中の光触媒粒子Aの添加量を調整した。
(実施例4)
基材紙層の坪量が200g/m2となるように調整するとともに、ストックタンク30を使用せず、第2チェスト29に貯留する紙料に予め光触媒粒子Aを投入し、定着剤としてポリアクリルアミド樹脂(荒川化学工業(株)製、ポリストロン191)0.6重量%(対原料比)を加えた後、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(荒川化学工業(株)製、アラフィックス255)0.4重量%(対原料比)を加えた以外は、実施例1と同様にして紙を得た。なお、紙における光触媒粒子Aの含有量が15g/m2となるように、紙料中の光触媒粒子Aの添加量を調整した。
(実施例5)
光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Bを使用した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例6)
光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Bを使用し、基材紙層の坪量が200g/m2となるように調整した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例7)
光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Bを使用し、ストックタンク30を使用せず、第2チェスト29に貯留する紙料に予め光触媒粒子Bを投入し、定着剤としてポリアクリルアミド樹脂(荒川化学工業(株)製、ポリストロン191)0.6重量%(対原料比)を加えた後、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(荒川化学工業(株)製、アラフィックス255)0.4重量%(対原料比)を加えた以外は、実施例1と同様にして紙を得た。なお、紙における光触媒粒子Bの含有量が15g/m2となるように、紙料中の光触媒粒子Aの添加量を調整した。
(実施例8)
基材紙層の坪量が200g/m2となるように調整した。また、光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Bを使用した。さらに、ストックタンク30を使用せず、第2チェスト29に貯留する紙料に予め光触媒粒子Bを投入し、定着剤としてポリアクリルアミド樹脂(荒川化学工業(株)製、ポリストロン191)0.6重量%(対原料比)を加えた後、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(荒川化学工業(株)製、アラフィックス255)0.4重量%(対原料比)を加えた以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例9)
光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Cを使用した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例10)
光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Dを使用した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例11)
光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Eを使用し、基材紙層の坪量が200g/m2となるように調整した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例12)
光触媒粒子Aの代わりに光触媒粒子Fを使用し、基材紙層の坪量が200g/m2となるように調整した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(比較例1)
光触媒粒子Aの代わりに比較光触媒粒子を使用した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(比較例2)
光触媒粒子Aの代わりに比較光触媒粒子を使用し、基材紙層の坪量が200g/m2となるように調整した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(耐光性の評価)
各例で得られた紙について、カーボンアーク式耐光試験機(スガ試験機(株))を用いて、紫外線を100時間照射した。紫外線照射前と紫外線照射後の各例の紙について、JIS P 8112:1994に準じて破裂強度を測定した。この試験方法は、紙の表面にゴム膜を介して圧力を加え、紙が破れるときの圧力を破裂強度とする方法である。紫外線照射前の破裂強度に対する紫外線照射後の破裂強度を百分率で示した値を残存強度(%)とした。紫外線照射50時間後の各例の紙について、残存強度が90%以上のものを「良好:○」、50%以下のものを「不良:×」とした。その結果を表1に示す。
(光触媒性能の評価:NOガスの分解性能)
各例の紙を5×10cmの大きさに裁断し、試験片とした。その試験片を用いて、「光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第1部:窒素酸化物の除去性能」(JIS R 1701−1:2004)に準じて、一酸化窒素(NO)ガスに対する光触媒性能の評価を行った。この方法は、標準ガスボンベを用いて試験片を入れた反応容器に一定濃度(1ppm)のNOガスを流入し、流出するガスの濃度をNOx計によって連続的に測定する方法である。シリカゲル等を含有する光触媒粒子を用いた場合は、一定時間NOガスを流して、吸着平衡に達してから測定することにより、吸着作用の影響をキャンセルした。試験片は、気流で飛ばないように、反応容器の所定の位置に両面テープで固定して測定した。紫外線強度は1.0mW/cm2、NOガス流量は3.0リットル/分、入口NOガス濃度は1.0ppm、及び試験片の紫外線照射面と、反応容器内に光を入射するガラス製窓の下面とのギャップは5mmである。なお、紫外線照射面とは各実施例の場合は機能紙層の表面であり、比較例1、2の場合は、比較光触媒粒子を含有した紙層の表面である。吸着平衡に達してから2時間後における出口ガスのNO濃度を測定した。
(光触媒性能の評価:ホルマリンガスの分解性能)
上記NOガスの分解性能と同様に、JIS R 1701−1:2004に準じて、ホルマリンガスに対する光触媒性能の評価を行った。紫外線強度は1.0mW/cm2、ホルマリンガス流量は2.0リットル/分、入口ホルマリンガス濃度は1.0ppm、及び試験片の紫外線照射面と、反応容器内に光を入射するガラス製窓の下面とのギャップは5mmである。吸着平衡に達してから、2時間における出口ガスを2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)カートリッジに吸着させた後、アセトニトリルで溶出した溶出液を高速液体クロマトグラフで測定し、出口ガスの平均ホルマリン濃度を算出した。
(光触媒性能の評価:トルエンガスの分解性能)
上記NOガスの分解性能と同様に、JIS R 1701−1:2004)に準じて、トルエンガスに対する光触媒性能の評価を行った。紫外線強度は1.0mW/cm2、トルエンガス流量は1.0リットル/分、入口トルエンガス濃度は1.0ppm、及び試験片の紫外線照射面と、反応容器内に光を入射するガラス製窓の下面とのギャップは5mmである。吸着平衡に達してから、2時間後における出口ガスを自動サンプリング装置付きのガスクロマトグラフを用いて、出口ガスのトルエン濃度を測定した。
(ガス分解率の算出)
上記光触媒性能の評価に記載の反応容器において、入口ガス濃度の測定値(ppm)から出口ガス濃度の測定値(ppm)を引くことによりガス濃度差を算出した。このガス濃度差を、入口ガス濃度の測定値(ppm)で除した値を100倍し、小数点以下を四捨五入した値をガス分解率(%)とした。各例におけるガス分解率(%)を表1に示す。
Figure 2005307406
表1の結果から明らかなように、実施例1〜12では耐光性が良好であるが、比較例1及び2では耐光性が不良であり、手で簡単に裂けるような状態であった。
実施例1〜12におけるガス分解率は、光触媒で分解することが困難であるトルエンガスを除くと、50%以上の値を示し、良好な光触媒性能が確認された。特に、実施例1〜8では、二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持されている光触媒粒子を使用しているため、ガス分解率はいずれの種類のガスにおいても、60%以上の値を示し、光触媒機能に優れることがわかる。
比較例1及び2のガス分解率は、いずれも顕著な光触媒性能を示すが、紫外線照射50時間後で残存強度が50%以下であるため、実用上大きな問題があることがわかる。
実施例1及び比較例1における耐光性の評価結果を図6に示す。なお、耐光性の評価は、カーボンアーク式耐光試験機(スガ試験機(株))を用いて、紫外線を100時間照射した。また、図6に示す残存強度は、JIS P 8112:1994に準じて測定した破裂強度から算出した。なお、実施例1と同じ紙料から抄紙した坪量60g/m2の紙をBlankとして図6に併記した。図6の結果から明らかなように、実施例1では紫外線を100時間照射しても、残存強度はBlankと比較して遜色のない結果となった。一方、比較例1では、紫外線を50時間照射した時点で残存強度が20%以下となり、耐光性に劣ることがわかる。
実施形態における光触媒機能を有する紙を示す概略断面図。 別の実施形態における光触媒機能を有する紙を示す概略断面図。 さらに別の実施形態における光触媒機能を有する紙を示す概略断面図。 光触媒機能を有する紙の製造方法を示す概略図。 粉体供給装置の一例を示す斜視図。 紫外線照射時間と残存強度の関係を示すグラフの一例。
符号の説明
11、41…光触媒機能を有する紙、12…基材紙層、13…機能紙層、14…光触媒粒子。

Claims (7)

  1. 基材紙層に機能紙層が積層されるとともに、該機能紙層は光触媒粒子を含有し、該光触媒粒子は、光触媒として活性を有する半導体粒子の表面に、光触媒として不活性な不活性体を被覆して構成されることを特徴とする光触媒機能を有する紙。
  2. 前記基材紙層の坪量よりも前記機能紙層(但し、光触媒粒子を除く)の坪量が小さい請求項1に記載の光触媒機能を有する紙。
  3. 前記機能紙層は最外層に設けられる請求項1又は請求項2に記載の光触媒機能を有する紙。
  4. 前記光触媒粒子の含有量は0.1〜100g/m2である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光触媒機能を有する紙。
  5. 前記不活性体はシリカゲル、二酸化ケイ素、多孔質リン酸カルシウム、アルミノケイ酸塩及びアパタイトから選ばれる少なくとも一種である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光触媒機能を有する紙。
  6. 前記半導体粒子は二酸化チタン粒子であるとともに、前記不活性体はシリカゲルであり、前記光触媒粒子は二酸化チタン粒子がシリカゲルに担持されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光触媒機能を有する紙。
  7. 基材紙層の片面に機能紙層が積層されるとともに、該機能紙層には光触媒粒子が含有され、該光触媒粒子は、光触媒として活性を有する半導体粒子の表面に、光触媒として不活性な不活性体を被覆して構成される光触媒機能を有する紙の製造方法であって、前記基材紙層を抄紙する第1抄紙工程と、前記基材紙層に紙層をさらに抄き合わせる第2抄紙工程と、該紙層に光触媒粒子を含有させて前記機能紙層を形成する機能紙層形成工程とを備えることを特徴とする光触媒機能を有する紙の製造方法。
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