JP2005307337A - スパッタリング用ターゲットのエロージョン領域決定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マグネトロンスパッタ装置に取り付ける新規のターゲットのエロージョン領域は、使用する装置や、マグネットの種類、ターゲット組成により変化するため、その領域を特定することは困難であった。このため、組成微調整用のタブレットを設置する場所を正確に決定することができていなかった。
【解決手段】 本願発明は、マグネトロンスパッタ装置に取り付けた新規のターゲットに対して、磁性に感応する器具をターゲットの中心から半径方向に沿って動かし、該器具に力が働かない点およびこの点と同一円周の領域をエロージョン領域とするものである。
【選択図】図2
【解決手段】 本願発明は、マグネトロンスパッタ装置に取り付けた新規のターゲットに対して、磁性に感応する器具をターゲットの中心から半径方向に沿って動かし、該器具に力が働かない点およびこの点と同一円周の領域をエロージョン領域とするものである。
【選択図】図2
Description
本願発明は、マグネトロンスパッタリングにおいて、ターゲットのエロージョン領域を簡易に決定する方法に関する。
工業的に薄膜を形成する手段として、よく使用されているのはスパッタリングであり、その中でも最も使用されているのがマグネトロンスパッタリングである(例えば、下記特許文献1、2参照)。マグネトロンスパッタ装置は、真空容器中にスパッタリング用のガスを注入し、ターゲット表面に形成した磁場により、プラズマ化したガスの密度を向上させ、スパッタリングによりターゲット表面のエロージョンを行うものであり、比較的低電圧でスパッタリング速度を高めることができる電力効率のよいスパッタ装置として知られる。
該マグネトロンスパッタ装置の概略図を図1に示す。
図1において、1はターゲット2に対向して配置され、スパッタリングにより薄膜が堆積される基板、2はターゲット、3Aは中心部磁石、3Bは周辺部磁石、4はターゲット2を固定するバッキングプレート、5はヨーク、6は磁石3及びターゲット2を冷却するための冷却管、7は磁石3を固定したカソードである。9は真空チャンバー8内を減圧雰囲気にするための真空排気ポンプ、10は真空チャンバー8内に放電ガスおよび反応ガスを供給するためのガス供給系である。11はカソード7に電圧を印加し、ターゲット2の表面でプラズマを発生させるための電源である。
図1において、1はターゲット2に対向して配置され、スパッタリングにより薄膜が堆積される基板、2はターゲット、3Aは中心部磁石、3Bは周辺部磁石、4はターゲット2を固定するバッキングプレート、5はヨーク、6は磁石3及びターゲット2を冷却するための冷却管、7は磁石3を固定したカソードである。9は真空チャンバー8内を減圧雰囲気にするための真空排気ポンプ、10は真空チャンバー8内に放電ガスおよび反応ガスを供給するためのガス供給系である。11はカソード7に電圧を印加し、ターゲット2の表面でプラズマを発生させるための電源である。
以上のように構成されたマグネトロンスパッタ装置についてその動作を図面を参照して説明する。まず、真空チャンバー8の内部を真空排気ポンプ9により10×-6Torr台の真空度まで真空排気する。その後、ガス供給系10により真空チャンバー8内部にアルゴンガスを導入し、5×10-3Torr程度の真空度に設定し、電源11によりカソード7に直流または高周波の電圧を印加し、真空チャンバー8の内部にプラズマを発生させる。これによりアルゴンイオンが発生する。また、磁石3の磁界12によりプラズマ密度の高い部分13が発生し、アルゴンイオンのターゲット5への衝突量が増加する。そして、主にそのプラズマ密度の高い領域、すなわちエロージョン領域から粒子が飛散し、対向して配置された基板1の表面に堆積し薄膜が形成される。
ここで、問題になるのは、基板に形成する所望の薄膜組成と同一の組成のターゲットを用いてスパッタリングを行っても、必ずしも所望の組成の薄膜を形成できないことである。それは、組成の各成分によりスパッタリングの相互作用に多少の違いがあることに起因している。そこで、従来は、薄膜が目的組成と合致するようにターゲットを何回か作り直す必要があり、作業工程上効率的ではなかった。さらに、ターゲットの多くは高価であり、製造コストの面においても問題であった。
これを解消する手段として、ターゲットのエロージョン領域に、ターゲットの構成元素の単体を含む焼結体であるタブレットを貼り付け、組成の微調整を図る方法が考案されている(例えば、下記特許文献3参照)。
特開平7−34245号公報
特開2000−319780号公報
特開2003−13213号公報
しかしながら、ターゲットのエロージョン領域は、使用する装置の種類や、マグネットの種類や形状および配置、あるいは、ターゲット組成により変化するため、その領域を特定することはなかなか困難であった。また、エロージョン領域外にタブレットを貼り付けると、タブレットのスパッタ効果を得られないため、膜の組成調整を行うことが困難であった。このため、組成微調整用のタブレットを設置する場所を正確に決定する方法が求められていた。
したがって、本願発明の目的は、マグネトロンスパッタ装置において、新規のターゲットを用いる場合にエロージョン領域を簡便に決定できる方法を提供することである。
本願発明は、マグネトロンスパッタ装置に取り付けた新規のターゲットに対して、磁性に感応する器具をターゲットの中心から半径方向に沿って動かし、該器具に働く漏洩磁力による引力が反転する点をエロージョン領域とする。周辺の磁石が同一円周状にない場合は、各方向の半径方向に対して上記反転する点を調査する必要があるが、周辺の磁石が同一円周状に配置されている場合には、上記引力が反転する点と同一円周領域をエロージョン領域とするものである。
従来困難であった、マグネトロンスパッタ装置用の新規ターゲットのエロージョン領域を簡便に決定することができるため、タブレットによる組成微調整を再現性良くおこなうことが可能になる。これにより、何度もターゲットを作製する時間とコストが省け、工業的に安価な製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されるものではない。
図2において、ターゲットの裏面にそれぞれ極の異なる中心部磁石3Aと、周辺部磁石3Bが設置されている。これらの磁石によりターゲット上に漏洩磁力線が生成され、陰極(ターゲット表面)から発生する電子をその磁力線の作用により閉じこめることができ、スパッタガスであるアルゴンを効率よく陽イオン化することができる。
したがって、磁性体の棒(例えば、鉄棒)を垂直に保持した状態において、ターゲットの中心から半径方向に沿って外側に向かって移動すると、ターゲット中心付近においては、鉄棒が中心部磁石3Aに引かれるが、ある位置から周辺部磁石3Bからの漏洩磁力による引力を感じ、漏洩磁力による引力が外側に反転することが認識される。
周辺部磁石3Bの配置が中心部磁石3Aを中心にして、同心的な場合においては、ターゲット中心から鉄棒の反転する位置までの距離を測り、その距離を半径Rとすると、ターゲットの中心からこの半径Rで円を描いた際の円周がエロージョン領域となる。なお、本実施例においては、R=70mmである。本実施例では、手動により磁力を検知したが、例えば、ガウスメーターを用いて、漏洩磁力の反転を検知することも可能である。
また周辺部磁石3Bの配置が同心円状でない場合には、各方向について鉄棒が反転する箇所を調査して、エロージョン領域を決定することになる。
タブレットをターゲットに貼り付ける方法としては、PET(ポリエチレンフタレート)シート等の樹脂シートを用いて、ターゲットに貼り付けるための用具とした。この取り付け用シートは、前記方法により決定したエロージョン領域(本実施例の場合、R=70mm)に合わせてタブレット取付穴を等間隔に設けたものであり、貼り付けるタブレットの数と取り付け穴の数は等しい。このシートの中心をターゲットの中心に合わせて、小型磁石でシートを固定した。このシートに開けたタブレット取り付け穴を通して、タブレットをターゲット円周上に均等に貼り付けた。貼り付けは、市販の導電ペースト(MUNG
II)を用いた。タブレットの形状はφ13.5mmで厚み1mmである。このターゲットは、酸素元素を含む3元系複合酸化物ターゲットであり、残りの元素はNdとGaからなる。
II)を用いた。タブレットの形状はφ13.5mmで厚み1mmである。このターゲットは、酸素元素を含む3元系複合酸化物ターゲットであり、残りの元素はNdとGaからなる。
タブレットは、Gaと酸素からなる酸化物で作製し、70mmを半径とする円周上に8つ貼り付けた。比較のためエロージョン領域と異なるR=30mmの円周上にも同じ数のタブレットを貼り付けた。その結果、R=70mmの場合には、Ga酸化物のタブレットの効果によって、Nd元素量が約1.5wt%低下した。また、膜厚はタブレット無しの場合と比較して、ほぼ同一であった。しかし、R=30mmの場合には、エロージョン領域でないためにNd元素量の低下が全くみられなかった。なお、Nd元素量や膜厚の測定には蛍光X線分析装置(リガク電機製3272)を用いた。この様に、エロージョン領域にタブレットを貼り付け、また、タブレットの数を調整すれば、膜厚を変えずに目的組成に調整することが可能になることが判明した。
なお、本実施例は、デポダウン型マグネトロンスパッタリング装置についてのものであったが、本発明はデポアップ型マグネトロンスパッタリング装置にも適用可能である。
本願発明は、マグネトロンスパッタリングを行うにおいて、ターゲットのエロージョン領域を簡易に決定する方法を提供するものである。
1 基板
2 ターゲット
3A 中心部磁石
3B 周辺部磁石
4 パッキングプレート
5 ヨーク
6 冷却管
7 カソード
8 真空チャンバー
9 真空排気ポンプ
10 ガス供給系
11 電源
12 磁界
13 プラズマ密度の高い部分(エロージョン領域に対応)
14 エロージョン領域
15 組成微調整用タブレット
2 ターゲット
3A 中心部磁石
3B 周辺部磁石
4 パッキングプレート
5 ヨーク
6 冷却管
7 カソード
8 真空チャンバー
9 真空排気ポンプ
10 ガス供給系
11 電源
12 磁界
13 プラズマ密度の高い部分(エロージョン領域に対応)
14 エロージョン領域
15 組成微調整用タブレット
Claims (4)
- マグネトロンスパッタ装置に取り付けたターゲットのエロージョン領域決定方法であって、磁石に感応する器具をターゲットの中心から半径に沿ってターゲット上を動かし、該器具に作用する漏洩磁力による引力が反転する点を検知することにより、エロージョン領域を決定することを特徴とするターゲットのエロージョン領域決定法。
- 上記ターゲットの中心と上記反転する点とを結ぶ線を半径とする円周をエロージョン領域とすることを特徴とする請求項1に記載のターゲットのエロージョン領域決定法。
- マグネトロンスパッタ法であって、磁石に感応する器具をターゲットの中心から半径に沿ってターゲット上を動かし、漏洩磁力による引力が反転する点を検知し、上記ターゲットの中心と上記反転する点とを結ぶ線を半径とする円周をエロージョン領域と決定し、該円周上に組成微調整用のタブレットを配置することを特徴とするマグネトロンスパッタ法。
- 上記タブレットは、ターゲットの構成元素の単体を含む焼結体であることを特徴とする請求項3記載のマグネトロンスパッタ法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005016643A JP2005307337A (ja) | 2004-03-26 | 2005-01-25 | スパッタリング用ターゲットのエロージョン領域決定方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2005016643A JP2005307337A (ja) | 2004-03-26 | 2005-01-25 | スパッタリング用ターゲットのエロージョン領域決定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005307337A true JP2005307337A (ja) | 2005-11-04 |
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ID=35436429
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005016643A Withdrawn JP2005307337A (ja) | 2004-03-26 | 2005-01-25 | スパッタリング用ターゲットのエロージョン領域決定方法 |
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JP (1) | JP2005307337A (ja) |
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2005
- 2005-01-25 JP JP2005016643A patent/JP2005307337A/ja not_active Withdrawn
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