JP6962528B2 - マグネトロンスパッタリングカソードおよびそれを用いたマグネトロンスパッタリング装置 - Google Patents

マグネトロンスパッタリングカソードおよびそれを用いたマグネトロンスパッタリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、マグネトロンスパッタリングカソードおよびそれを用いたマグネトロンスパッタリング装置に関する。
スパッタリング現象を利用した成膜法とは、電極上に配置されたターゲット材料に、真空中で荷電粒子の陽イオン(Arイオン等)を衝突させ、ターゲット材料をスパッタリングさせ、基板上に堆積させるという方法である。この成膜法の1つであるマグネトロンスパッタ法は、ターゲットの裏面側に配設した磁力線発生部を用いてターゲットの表面側に磁界(磁場)を形成し、プラズマ中の一次電子またはターゲット表面からスパッタリングされた二次電子をローレンツ力で捉えて周回ドリフト運動させることによりスパッタガス(Arガス等)とのイオン化衝突の頻度を増大させ、ターゲット付近に高密度プラズマを生成させることにより、成膜速度を高速化できるという特性を有する。
しかしながら、マグネトロンスパッタ法では、一次および二次電子を捕捉する磁気トンネルがターゲットの表面側のごく一部に局在するために、マグネトロン磁場が固定されている場合にはプラズマ生成領域が局在してしまうことになる。その結果、ターゲットのごく一部の領域(面積にして約20〜30%)が選択的に侵食されることになる。
特にターゲットが磁性材料で構成されている場合には、選択的に浸食(エロージョン)された部位から磁力線漏れが発生し、磁力線漏れ部のみで侵食が進み、放電状態も変化してしまう。その結果、使用率15%以下でターゲットの交換を行わざるを得ず、ターゲット交換頻度の増大によるメンテナンス費用が嵩み、ランニングコスト悪化の要因となっていた。
このような課題を解決するべく、各種の技術が提案されている。例えば特許文献1には、マグネトロン電極の磁場発生装置を、ターゲットの中央部から外周部に向かって順に、中心垂直磁石、内側平行磁石、外側平行磁石および外周垂直磁石を配置した構成とし、内側平行磁石をターゲットに近づけて配置する技術が開示されている。
また、例えば特許文献2には、ターゲット裏面に配置した磁石の磁気回路によってターゲット表面に弧状の磁力線を描く漏れ磁場を発生するマグネトロンスパッタ装置用磁気回路であって、内側磁石と、該内側磁石と逆向きの磁化方向を有し該内側磁石を取囲む外側磁石と、内側磁石と外側磁石との間に配置され、内側磁石および外側磁石の磁化方向と直交し、かつ内側磁石から外側磁石に向かう方向またはその逆の方向に磁化された水平磁化磁石と、これらの磁石を挟んでターゲットと対向して配設され内側磁石と外側磁石との間で磁束を通すヨークとを備え、該水平磁化磁石の保磁力の値が、磁石内部中央よりもターゲット側に近い領域の方が高くなっているマグネトロンスパッタ装置用磁気回路が開示されている。
さらに、例えば特許文献3には、主磁場を発生させる2以上の主磁極部と、発生した主磁場を調整するための副磁場を発生させる、複数に分割された第1の分割磁石を有する少なくとも1以上の副磁極部と、1以上の副磁極部のそれぞれに対応して、複数の第1の分割磁石と対向するように配置された1以上の第1のヨークを含むヨーク部とを具備する磁界発生装置が開示されている。
また、例えば特許文献4には、ターゲットの面に対して平行な方向に極軸を持つ環状の第1の磁石体と、第1の磁石体の内側に配置され、第1の磁石体の極軸の方向と平行な方向に極軸を持つ第2の磁石体と、第1の磁石体および第2の磁石体を背面から支持する透磁性の基盤と、ターゲットの表面の磁界分布を変動させる磁界分布変動部材とを有し、磁界分布変動部材は、第1の磁石体および第2の磁石体の間に、かつ基盤によって背面から支持されるように配置されている磁場発生装置が開示されている。
これらの他に、例えば特許文献5には、ターゲット載置面を有するターゲットホルダと、ターゲットホルダのターゲット載置面と反対の面側に配置され、長辺および短辺を有する矩形の磁石ユニットとを備え、磁石ユニットは、ターゲット載置面に対して垂直方向に磁化された第1磁石と、第1磁石の周囲に配置され、ターゲット載置面に対して垂直方向であり、かつ第1磁石の磁化方向と異なる逆方向に磁化された第2磁石と、短辺方向における第1磁石と第2磁石との間の一部であって、かつ第1磁石と第2磁石との間の少なくとも真ん中の位置に短辺方向に磁化された第3磁石を有し、第3磁石は、第2磁石と対向する面が、第2磁石のターゲットホルダ側の面と同極の極性を有し、第1磁石と対向する面が第1磁石のターゲットホルダ側の面と同極の極性を有することを特徴とするスパッタリング装置が開示されている。
特開2009−149973号公報 特開2012−112040号公報 特開2015−17304号公報 国際公開第2012/035970号 国際公開第2014/010148号
しかしながら、上述した技術では、浸食領域をある程度拡大することにより、ターゲット材料の利用効率をある程度向上させることはできるが、プラズマの閉じ込め領域が局在するために、ターゲットの利用効率をさらに向上させることができないという問題点があった。その結果、上述した技術では、複数のマグネトロン磁場を形成することなく、単一のマグネトロン磁場を用いた場合には、ターゲット利用効率が制限されるという問題点があった。
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究を続けた結果、以下のような画期的なマグネトロンスパッタリングカソードおよびマグネトロンスパッタリング装置を創製した。
上記課題を解決するための本発明に係る第1の態様は、ターゲットの裏面側に配置され、ターゲット表面の上方に磁界を発生させるマグネトロンスパッタリングカソードであって、対向するように配置された少なくとも2つの第1の磁性体と、第1の磁性体の外側に対向するようにそれぞれ配置された少なくとも2つの第2の磁性体と、第2の磁性体の外側に配置されたヨークとを具備し、2つの第1の磁性体は、ターゲット表面側で互いに交差する向きの磁化ベクトルをそれぞれ有し、2つの第2の磁性体は、ターゲット表面側で互いに交差し、かつ隣接する第1の磁性体の磁化ベクトルとの内積が負となる向きの磁化ベクトルをそれぞれ有することを特徴とするマグネトロンスパッタリングカソードにある。
ここで、「磁化ベクトルの向き」はS極からN極へ向かう向きに定義する。また、「少なくとも2つの第1の磁性体」とは、物理的に2つ以上の第1の磁性体を示すだけでなく、後述する内環状磁性体(内側磁性体)を1つの磁性体で一体的に作った場合のものも含まれる。「少なくとも2つの第2の磁性体」についても同様である。
かかる第1の態様では、磁気ミラー領域をターゲットの中心側に形成できるので、プラズマの閉じ込め領域を中心側に広げることができる。その結果、ターゲットの利用効率を向上させることができる。また、磁気ミラー領域が形成されることでプラズマ閉じ込め効果が向上し、50W以下の低電力放電および1Pa以下の低ガス圧力放電が可能になる。
本発明に係る第2の態様は、第1の磁性体の磁化ベクトルの交差角α(度)が、次式に示す範囲にあることを特徴とする第1の態様に記載のマグネトロンスパッタリングカソードにある。
Figure 0006962528
かかる第2の態様では、磁気ミラー領域をターゲットのより中心側に形成できるので、プラズマの閉じ込め領域をより広げることができる。その結果、ターゲットの利用効率をより向上させることができる。
本発明に係る第3の態様は、第2の磁性体の磁化ベクトルの交差角β(度)が、次式に示す範囲にあることを特徴とする第1または第2の態様に記載のマグネトロンスパッタリングカソードにある。
Figure 0006962528
かかる第3の態様では、磁気ミラー領域をターゲットのより中心側に形成できるので、プラズマの閉じ込め領域をさらに広げることができる。その結果、ターゲットの利用効率をさらに向上させることができる。
本発明に係る第4の態様は、第1の磁性体の磁化ベクトルの交差角αが40度〜135度の範囲にあり、第2の磁性体の磁化ベクトルの交差角βが40度〜135度の範囲にあることを特徴とする第3の態様に記載のマグネトロンスパッタリングカソードにある。
かかる第4の態様では、磁気ミラー領域をターゲットのより中心側に形成できるので、プラズマの閉じ込め領域をより一層広げることができる。
本発明の第5の態様は、ターゲットの形状が略円盤状であり、複数の第1の磁性体で形成される内側磁性体および複数の第2の磁性体で形成される外側磁性体の形状がそれぞれ略環状であり、内側磁性体の外径rOと、ターゲットの半径RTおよび、外側磁性体の外径ROとが次式の関係を満たすことを特徴とする第1〜第4の態様の何れか1つに記載のマグネトロンスパッタリングカソードにある。
Figure 0006962528
ここで、外側磁性体の内径をRIとすると、rO、RT、RI、ROは正の数、rO<RI<ROである。また、「略円盤状」とは円盤状だけでなく、円盤状に近似する形状を含むものをいう。さらに、「略環状」とは環状だけでなく、環状に近似する形状を含むものをいう。ターゲットの形状が円盤状に近似し、かつ内側磁性体および外側磁性体の形状が環状に近似する場合には、それらのrO、RT、ROは、それらの形状から近似または換算して求めることができる。
また、RTおよびrOが次式の関係を満たす場合は、ループ磁場の外径がターゲットの外径よりも大きくなるため、磁気ミラー領域をターゲット外径より外側に形成することができる。その結果、プラズマ閉じ込め領域をターゲット外径以上に伸長することができる。
Figure 0006962528
本発明の第6の態様は、ターゲットの半径RTと、外側磁性体の内径RIと、外側磁性体の外径ROとが、次式の関係を満たすことを特徴とする第5の態様に記載のマグネトロンスパッタリングカソードにある。
Figure 0006962528
かかる第6の態様では、ループ磁場とターゲットとの外径が一致するので、ターゲット外径に最適化されたプラズマの閉じ込め領域を提供できる。
本発明の第7の態様は、2つの第1磁性体のターゲット側の反対側に、2つの第1の磁性体に跨るように配置された第3の磁性体をさらに具備し、第3の磁性体は、少なくとも何れか一方の第1の磁性体の磁化ベクトルとの内積が正となる向きの磁化ベクトルを有することを特徴とする第1〜第6の態様の何れか1つに記載のマグネトロンスパッタリングカソードにある。
ここで、第3の磁性体は、第1の磁性体と接していてもよいし、接していなくてもよい。
かかる第7の態様では、ターゲットの外側に張り出すような磁気トンネルを形成することができるので、プラズマの閉じ込め領域をより広げることができる。
本発明に係る第8の態様は、第1の磁性体のターゲット側表面と、第2の磁性体のターゲット側表面と、ヨークのターゲット側表面が面一となっていることを特徴とする第1〜第6の何れか1つに記載のマグネトロンスパッタリングカソードにある。
かかる第8の態様では、ターゲットの外周方向の磁力線をより垂直方向にすることができるので、プラズマの閉じ込め領域をより広げることができる。その結果、ターゲットの利用効率をさらに向上させることができる。
本発明に係る第9の態様は、第1〜第8の態様の何れか1つのマグネトロンスパッタリングカソードを備えたマグネトロンスパッタリング装置にある。
かかる第9の態様では、ターゲットの利用効率を向上させたマグネトロンスパッタリング装置を提供することができる。
図1は実施形態1に係るマグネトロンスパッタリング装置の概略断面図である。 図2は実施形態1に係るターゲット、ターゲット支持部および磁力線発生部の概略断面図である。 図3は実施形態1に係る各磁性体の概略上面図である。 図4はAA’断面における各磁性体の磁化ベクトルの向きを示す概念図である。 図5は実施形態1に係る各磁性体の磁化ベクトルの成分を示す概念図である。 図6は実施例1に係るマグネトロンスパッタリングカソードにより形成される磁場のシミュレーション結果を示す図である。 図7は比較例に係るマグネトロンスパッタリングカソードにより形成される磁場のシミュレーション結果を示す図である。 図8は実施例2におけるアルミターゲットの輪郭形状を測定したグラフである。 図9は実施例2において生成したプラズマを上方から見た時の写真である。 図10は実施形態2に係るターゲットおよび磁力線発生部の概略断面図である。 図11は実施形態3に係るマグネトロンスパッタリングカソード(分割型)の概略上面図である。 図12は実施形態3に係るマグネトロンスパッタリングカソード(一体型)の概略上面図である。 図13は実施形態4に係るマグネトロンスパッタリングカソードにより形成される磁場のシミュレーション結果を示す図である。 図14は実施形態5に係るマグネトロンスパッタリングカソード(突出ヨーク無)により形成される磁場のシミュレーション結果を示す図である。 図15は実施形態5に係るマグネトロンスパッタリングカソード(突出ヨーク有)により形成される磁場のシミュレーション結果を示す図である。 図16は実施形態6に係るマグネトロンスパッタリングカソードにより形成される磁場のシミュレーション結果を示す図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るマグネトロンスパッタリングカソードおよびマグネトロンスパッタリング装置の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の概略断面図である。図1に示すように、マグネトロンスパッタリング装置1は、真空チャンバ10と、真空チャンバ10の左側面部に排気管11を介して取り付けられた真空ポンプ20と、真空チャンバ10の右側面部にガス配管15を介して取り付けられたガス導入装置30と、後述する基板支持部55とターゲット支持部65とに接続される電圧印加部40とで構成されており、真空ポンプ20を稼働させることによって真空チャンバ10内のガスを外部に排出することができると共に、ガス導入装置30によって真空チャンバ10内にスパッタガス(水素、酸素、窒素・アルゴン等の不活性ガスや反応ガス等)を導入することができるようになっている。
加えて、電圧印加部40によってターゲット支持部65と基板支持部55との間に電圧を印加し、真空チャンバ10内にプラズマを生成することができるようになっている。なお、排気管11にはバルブ12が取り付けられており、真空チャンバ10内のガスの排出量を調整することができるようになっている。
真空チャンバ10の内部の上部には、基板支持部55を介して取り付けられた基板50が配置され、真空チャンバ10の内部の下部には、基板50に対向するようにターゲット60および磁力線発生部100が配置されており、生成されたプラズマを用いて基板50上に所望の材料を成膜することができるようになっている。
ここで、真空チャンバ10は、内部を真空状態にすることができ、かつ内部がプラズマに対する耐性を有するものであれば、形状・材質・大きさは特に限定されない。また、真空ポンプ20も真空チャンバ10内を真空状態(例えば10−7Torr以下)にすることができるものであればその種類は特に限定されない。さらに、ガス導入装置30も、スパッタガス(水素、酸素、窒素・アルゴン等の不活性ガスや反応ガス等)を真空チャンバ10内に導入することができるものであれば特に限定されない。また、電圧印加部40も真空チャンバ10内にプラズマを生成することができるものであれば特に限定されない。
この他、基板50、基板支持部55、ターゲット60、ターゲット支持部65、排気管11、ガス配管15およびバルブ12も特に限定されない。
次に、図2を参照して、磁力線発生部100について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るターゲット、ターゲット支持部および磁力線発生部の概略断面図である。図2に示すように、本実施形態に係る磁力線発生部100は、ターゲット支持部65を介してターゲット60の下方に配置されている。
磁力線発生部100は、真空チャンバ10に固定するための絶縁体の固定部110上に、中央部に凹部125が形成されたヨーク120と、その凹部125内に配置された第1の磁性体131と第2の磁性体132と、ヨーク120を取り囲むようにヨーク120の外側に配置されたシールド140で構成されている。本実施形態では、これら全体をマグネトロンスパッタリングカソード130という。
なお、図示しないが、ヨーク120には、冷却水路が形成されており、冷却水路に冷却水を流すことによって、スパッタリング時に、後述する内環状磁性体および外環状磁性体の温度がキュリー温度以下の適切な温度に維持されるようになっている。
ここで、ヨーク120は、透磁率が高い材質で構成されているものであれば特に限定されず、例えばステンレス鋼(SUS430)等が挙げられる。また、シールド140を構成する材質も特に限定されない。
さらに、マグネトロンスパッタリングカソード130について説明する。図3は本実施形態に係るマグネトロンスパッタリングカソード130に配置される第1の磁性体131および第2の磁性体132の概略上面図であり、図4は図3に示すAA’断面におけるマグネトロンスパッタリングカソード130を構成する各磁性体の磁化ベクトルの向きを示す概念図である。
図3に示すように、第1の磁性体131と第2の磁性体132は、リング状の内環状磁性体(内側磁性体)MIと、その外側に配置されたリング状の外環状磁性体(外側磁性体)MOとをそれぞれ構成している。すなわち、内環状磁性体MIは、4つの第1の磁性体131で構成され、外環状磁性体MOは、4つの第2の磁性体132で構成されている。
そして、図4に示すように、AA’断面において互いに対向する第1の磁性体131A、131Bは、各第1の磁性体131A、131Bのターゲット側で互いに交差する向きの磁化ベクトルFIA、FIBをそれぞれ有している(図4中では、磁化ベクトルFIAと磁化ベクトルFIBとの交差位置は、ターゲット60より上方に位置している)。また同様に、互いに対向する第2の磁性体132A、132Bは、ターゲット側で互いに交差し、かつ隣接する第1の磁性体131A、131Bの磁化ベクトルFIA、FIBとの内積が負となる向きの磁化ベクトルFOA、FOBをそれぞれ有している。
すなわち、図5に示すように、一方の第1の磁性体131Aの磁化ベクトルFIAは、ターゲット60側方向とは反対側向きの磁化ベクトル成分FIAと、対向する他の第1の磁性体131B側方向とは反対側向きの磁化ベクトル成分FIAとに分解できる。
一方の第2の磁性体132Aの磁化ベクトルFOAは、ターゲット60側向きの磁化ベクトル成分FOAと、対向する他の第2の磁性体132B側向きの磁化ベクトルFOAとに分解できる。また、他方の第1の磁性体131Bおよび他方の第2の磁性体132Bも同様に水平成分(x方向)と垂直成分(y方向)に分解できる磁化ベクトル成分を有している。
すなわち、第1の磁性体131Aの磁化ベクトルの成分FIAと、第1の磁性体131Aに対向する第1の磁性体131Bの磁化ベクトルの成分FIBとは、以下の関係にある。
Figure 0006962528
同様に、第1の磁性体131Aの磁化ベクトルの成分FIAと、第1の磁性体131Aに対向する第1の磁性体131Bの磁化ベクトルの成分FIBとは、以下の関係にある。
Figure 0006962528
式1と式2の関係は、FIAとFIBをFOAとFOBと読み替えても同様に成り立つ。
なお、第1の磁性体131Aの磁化ベクトルFIAの向きに対する第2の磁性体132Aの磁化ベクトルFOAの向きは、FIAとFOAとの内積が負になるものであれば、特に限定されない。また、同様に、第1の磁性体131Bの磁化ベクトルFIBの向きに対する第2の磁性体132Bの磁化ベクトルFOBの向きも、FIBとFOBとの内積が負になるものであれば、特に限定されない。さらに、例えば、第2の磁性体132Aの磁化ベクトルFOAは、隣接する第1の磁性体131Aの磁化ベクトルFIAと平行となってもよいし、平行でなくてもよい。同様に、第2の磁性体132Bの磁化ベクトルFOBは、隣接する第1の磁性体131Bの磁化ベクトルFIBと平行となってもよいし、平行でなくてもよい。
また、図4に示す第1の磁性体131Aの磁化ベクトルFIAと第1の磁性体131Bの磁化ベクトルFIBとの交差角αは特に限定されないが、0度より大きく180度より小さい範囲が生成されるプラズマの閉じ込め領域を広げることができるので好ましく、40度〜135度の範囲が生成されるプラズマの閉じ込め領域をより広げることができるのでより好ましく、45度〜90度の範囲が生成されるプラズマの閉じ込め領域をさらに広げることができるので特に好ましい。
さらに、第2の磁性体132Aの磁化ベクトルFOAと第2の磁性体132Bの磁化ベクトルFOBとの交差角βも特に限定されないが、0度より大きく180度より小さい範囲が生成されるプラズマの閉じ込め領域を広げることができるので好ましく、40度〜135度の範囲が生成されるプラズマの閉じ込め領域をより広げることができるのでより好ましく、45度〜90度の範囲が生成されるプラズマの閉じ込め領域をさらに広げることができるので特に好ましい。
なお、第1の磁性体131A、131Bおよび第2の磁性体132A、132Bは永久磁石であれば、大きさ、形状(断面の形状を含む)および材質は特に限定されないが、材質としては保磁力が大きく、耐熱性が良いサマリウムコバルト磁石のようなものが好ましい。これらの他、内環状磁性体MIを構成する他の第1の磁性体と、外環状磁性体MOを構成する他の第2の磁性体も、上述したものと同様の構成となっている。
<実施例1>
次に、表1に示す2つのマグネトロンスパッタリングカソードにより形成される磁場のシミュレーション結果を図6および図7に示す。なお、このシミュレーションは、内環状磁性体131の内径を2mm、外径を31mm、厚みを10mm、外環状磁性体132の内径を35mm、外径を55mm、厚みを10mm、シールド厚み5mm、シールド上面とターゲットの上面との距離を8mmとし、内環状磁性体131と外環状磁性体132にサマリウムコバルト磁石(残留磁束密度1.075T、保持力0.84T)を用いて行ったものである。また、比較例における内環状磁性体は、1つの円盤状磁石(外形31mm、厚み10mm)で構成されたものとしてシミュレーションを行った。なお、シミュレーションには、TriComp Pro version 8(Mesh、PerMag)64−bitを用いた。
Figure 0006962528
ここで、各磁化ベクトルの向きは、紙面に対して右側方向(3時の方向)の向きを0度とし、反時計回りを正の向きと定め、したがって直下方向で270度となるように定めた。なお、実施例1は、本実施形態に係るマグネトロンスパッタリングカソードであり、比較例1は従来のマグネトロンスパッタリングカソードである。
図6と図7から分かるように、実施例1(図6)は、比較例(図7)と比較して、ターゲット上方に発散する磁力線数が減少していることから、磁気ミラー領域をターゲット60の中心側に、効果的に形成できるので、プラズマの閉じ込め領域をターゲット中心まで広げることができることが分かった。その結果、ターゲットの利用効率を向上できることが分かった。
<実施例2>
図3および図4に示すような形状のマグネトロンスパッタリングカソードを構成し、実際に生成されるプラズマを観測する実験を行った。
内環状磁性体としては、内径:2mm、外径:26mm、厚み:10mmのサマリウムコバルト磁石を用い、外環状磁性体としては、内径31mm、外径:55mm、厚みを10mmのサマリウムコバルト磁石を用いた。
ここで、内環状磁性体の磁化ベクトルの交差角αおよび外環状磁性体の磁化ベクトルの交差角βは、共に90度になる(マグネトロンスパッタリングカソードの上方で直交する)ようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成した。なお、このマグネトロンスパッタリングカソードの上部表面の磁力は、内環状磁性体の中心で約0.94T、内環状磁性体と外環状磁性体との間隙で約0.58Tであった。
このマグネトロンスパッタリングカソードを備えたマグネトロンスパッタ装置に、ターゲットとしてアルミターゲット(直径:50mm)を用い、アルゴンガス(流量:14sccm(校正温度20度))、直流電力(DC電力:100W)で、スパッタリングを2時間行った後のアルミターゲットの輪郭形状を測定したグラフを図8に示す。なお、測定装置としては、触針式段差計(株式会社東京精密製:SURFCOM 1800D)を用いた。
この図から分かるように、最深部(0.45mm)において、およそ0.23mm/hのターゲットエロージョン速度(浸食速度)であった。これは、従来機(参考文献:T.Motomura and T.Tabaru, AIP Advances 7,125225(2017).)と比較して、およそ2.5倍のターゲットエロージョン速度である。
また、直径30mm、高さ0.45mmの円筒形状の体積に対して、この図から算出されるスパッタリングされた部分のターゲットの体積の比率を計算すると、その比率はおよそ50%であった。このことは、本実施例のマグネトロンスパッタリングカソードを用い、直径30mmのターゲットをスパッタした場合におけるターゲット使用効率が50%になることを示す。
このことから、本実施例のマグネトロンスパッタリングカソードを用いることにより、一般的なマグネトロンスパッタリングカソードと比較して、ターゲットの使用効率がおよそ10%の向上を見込めることが分かった。
なお、上述した条件で、ターゲットから150mm離した位置に、10mm角の非加熱ガラス基板を配置して成膜実験を行ったところ、非加熱ガラス基板上に、膜厚が800nmのアルミ膜が成膜された。この時の成膜速度は、およそ6.7nm/minであり、実際に使用できる十分な成膜速度であることが分かった。
また、上述した条件で生成したプラズマを上方から見た時の写真を図9に示す。中央部の白く表示されている部分が、プラズマが生成されている領域(直径25mm程度)であるが、プラズマ自体は、白く表示されている部分の外側にある灰色の領域(直径30mm程度)まで広がっていることが分かった。
また、この図から、ターゲット中心部までプラズマを生成できることが分かった。従来のマグネトロンスパッタリングカソードは、中心部までプラズマを生成することができなかったが、本発明に係るマグネトロンスパッタリングカソードは、このような形状のプラズマを生成することができた。このような形状のプラズマは、従来にはなかったものである。
さらに、この図から、プラズマが直径30mm以上の径方向外側に生成されていないことも分かった。このことは、ターゲット以外がスパッタリングされにくいことを示す。したがって、本発明に係るマグネトロンスパッタリングカソードを用いることにより、他の構成部品がスパッタリングされることを防止することができ、結果として不純物混入(コンタミネーション)しにくい膜を成膜できることが分かった。
(実施形態2)
実施形態1では、図5に示すように、一方の第1の磁性体131Aの磁化ベクトルFIAは、ターゲット60側とは反対側向きの磁化ベクトル成分FIAと、対向する他の第1の磁性体131B側方向とは反対側向きの磁化ベクトル成分FIAを有している。また、一方の第2の磁性体132Aの磁化ベクトルFOAは、ターゲット60側向きの磁化ベクトル成分FOAと、対向する他の第2の磁性体132B側向きの磁化ベクトル成分FOAを有するようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図10に示すように、第1の磁性体131a、131bおよび第2の磁性体132a、132bが実施形態1のものとは反対向きの磁化ベクトルFIa、FIb、FOa、FObをそれぞれ有するようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成してもよい。このように構成しても実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと同様の効果が得られる。
(実施形態3)
実施形態1では、上述したような第1の磁性体および第2の磁性体は、4つの永久磁石でそれぞれ構成されるようにしたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図11に示すように、16個の第1の磁性体131cで内環状磁性体(内側磁性体)MIcを、16個の第2の磁性体132cで外環状磁性体(外側磁性体)MOcを構成してもよい。
このように構成しても、実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと同様の効果が得られる。なお、第1の磁性体131cおよび第2の磁性体132cが有する各磁化ベクトルは、実施形態1の第1の磁性体および第2の磁性体が有する各磁化ベクトルと同様の関係となっているか、または実施形態2の第1の磁性体および第2の磁性体が有する各磁化ベクトルと同様の関係になっているのは言うまでもない。
また、例えば図12に示すように、1つの第1の磁性体131dで一体的に内環状磁性体(内側磁性体)を、1つの第2の磁性体132dで一体的に外環状磁性体(外側磁性体)をそれぞれ構成してもよい。
このように構成しても、実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと同様の効果が得られる。なお、この場合においても、第1の磁性体131dおよび第2の磁性体132dが有する各磁化ベクトルは、内環状磁性体および外環状磁性体の中心を通るBB’断面で考えると、実施形態1または実施形態2の第1の磁性体および第2の磁性体が有する各磁化ベクトルと同様の関係となっているのは言うまでもない。
(実施形態4)
実施形態1では、ターゲットの半径と外環状磁性体(外側磁性体)との外径とが等しくなるようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成して、マグネトロンスパッタリング装置を小型化できるように構成したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、内側磁性体(内環状磁性体)の外径rOと、ターゲットの半径RTおよび外側磁性体(外環状磁性体)の外径ROとが次式の関係を満たすようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成してもよい。
Figure 0006962528
このようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成することによって、図13に示すように、実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと比較して、形成されるループ磁場がよりマグネトロンスパッタリングカソードの外側に寄るように形成された場合(例えば、RT≦rOの形態において)は、ターゲット外径よりもループ磁場の半径が大きくなるので、プラズマの閉じ込め領域をターゲット外径以上に広げることができる。
なお、この際に、第1の磁性体の高さ方向の長さ(厚み)と、第2の磁性体の高さ方向の長さ(厚み)は異なっていてもよい。
(実施形態5)
上述した実施形態では、第1の磁性体および第2の磁性体以外の磁性体を用いなかったが、これら以外の磁性体をさらに用いてマグネトロンスパッタリングカソードを構成してもよい。
例えば、図14および図15に示すように、第1の磁性体の下方(マグネトロンスパッタリングカソードの中央部の下方)に、第1の磁性体(内環状磁性体)の内側半径よりも大きな外径を持ち、上方から下方に向かう磁化ベクトルを有する第3の磁性体を付加してもよい。
ここで、第3の磁性体の磁化ベクトルの向きは、第3の磁性体が中実の構造であれば何れか一方の第1の磁性体の磁化ベクトルとの内積が正となる向きであれば特に限定されない。ただし、第3の中実の構造の磁性体の磁化ベクトルの向きとしては、第1の磁性体の少なくとも何れか1つの磁化ベクトルとの内積が正で、かつ第3の磁性体のターゲット側表面に対して鉛直方向のものが好ましい。
また、第3の磁性体が実施形態1の内側磁性体のように複数の磁性体でリング状に構成されている場合には、実施形態1の第1の磁性体のように、対向する他の第3の磁性体の磁化ベクトルと交差する向きの磁化ベクトルをそれぞれ有する方が好ましい。なお、磁化ベクトルが交差する位置は、実施形態1の第1の磁性体と同様に、ターゲット側でもよいし、逆にターゲット側とは反対側であってもよい。
このようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成することにより、ターゲット上方の磁場強度を増加させ、プラズマの閉じ込め領域を広げることができる。
なお、図15に示すマグネトロンスパッタリングカソードは、図14に示すマグネトロンスパッタリングカソードと比較して、2つの第1の磁性体の間に上方に向かって突出しているヨーク(突出ヨーク)がさらに形成されている。この他の構成は、図14のマグネトロンスパッタリングカソードと同様であり、実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと同様の効果が得られる。
図15から分かるように、このようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成することにより、図14のマグネトロンスパッタリングカソードと比較して、ターゲットの径方向外側に張り出すようなループ磁場を抑制することができる。その結果、プラズマの閉じ込め領域をターゲット表面内で制御できる。さらに、図15に示すマグネトロンスパッタリングカソードは、ターゲット上方の磁場強度をも増加させることができる。
なお、第1の磁性体の磁化ベクトルの方向が逆方向になった場合には、それに合わせて第3の磁性体も磁化ベクトルが逆方向のものを用いなければならないのは言うまでもない。
(実施形態6)
上述した実施形態では、第1の磁性体のターゲット側表面と、第2の磁性体のターゲット側表面と、ヨークのターゲット側表面とが面一(同一平面上)になるようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図16に示すように、第1の磁性体のターゲット側表面が、第2の磁性体のターゲット側表面およびヨークのターゲット側表面よりも下方に位置するようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成するようにしてもよい。このようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成しても、実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと同様の効果が得られる。
さらに、第1の磁性体、第2の磁性体およびヨークのそれぞれのターゲット側表面が面一にならないように、すなわち何れか1つのターゲット側表面が他のもののターゲット側表面とズレていたり、または各ターゲット側表面がそれぞれズレているマグネトロンスパッタリングカソードを構成するようにしてもよい。
(他の実施形態)
上述した実施形態では、第1の磁性体および第2の磁性体は、それぞれ円形状に配置されるように構成したが、本発明はこれに限定されない。第1の磁性体および第2の磁性体が楕円形を形成するように配置されてもよいし、正方形または長方形を形成するように配置(形成)されてもよい。このようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成しても実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと同様の効果が得られる。
また、上述した実施形態では、内環状磁性体MIを構成する第1の磁性体のすべてが有する磁化ベクトルおよび外環状磁性体MOを構成する第2の磁性体のすべてが有する磁化ベクトルは、上述したような方向を有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、マグネトロンスパッタリングカソードを構成する一部の磁性体が第1の磁性体と第2の磁性体とで構成され、それらの磁性体が有する磁化ベクトルが上述したような方向を有するように、マグネトロンスパッタリングカソードを構成してもよい。このようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成しても、実施形態1に係るマグネトロンスパッタリングカソードと比較して効果は小さくなるかもしれないが、実施形態1のマグネトロンスパッタリングカソードと同様の効果が得られる。
さらに、上述した実施形態では、各第1の磁性体の磁化ベクトルおよび各第2の磁性体の磁化ベクトルは、ターゲット側で交差するようにマグネトロンスパッタリングカソードを構成したが、本発明はこれに限定されない。
また、実施形態1に係るマグネトロンスパッタリング装置は、磁力線発生部とターゲット支持部とをそれぞれ別個のもので構成したが、本発明はこれに限定されず、磁力線発生部とターゲット支持部とを一体的に形成してもよい。
さらに、実施形態1に係るマグネトロンスパッタリング装置は、基板の軸方向から見て、基板とターゲットとが対向するように構成したが、本発明はこれに限定されず、基板とターゲットとが対向しないように(基板の軸方向から見て、基板とターゲットとが、ズレて配置されるように)構成してもよい。
1 マグネトロンスパッタリング装置
10 真空チャンバ
11 排気管
12 バルブ
15 ガス配管
20 真空ポンプ
30 ガス導入装置
40 電圧印加部
50 基板
55 基板支持部
60 ターゲット
65 ターゲット支持部
100 磁力線発生部
110 固定部
120 ヨーク
125 凹部
130 マグネトロンスパッタリングカソード
131、131A、131B、131a、131b、131c、131d 第1の磁性体
132、132A、132B、132a、132b、132c、131d 第2の磁性体
140 シールド


Claims (8)

  1. ターゲットの裏面側に配置され、当該ターゲット表面の上方に磁界を発生させるマグネトロンスパッタリングカソードであって、
    対向するように配置された少なくとも2つの第1の磁性体と、当該第1の磁性体の外側に対向するようにそれぞれ配置された少なくとも2つの第2の磁性体と、当該第2の磁性体の外側に配置されたヨークとを具備し、
    前記2つの第1の磁性体は、前記ターゲット側で互いに交差する向きの磁化ベクトルをそれぞれ有し、
    前記2つの第2の磁性体は、前記ターゲット側で互いに交差し、かつ隣接する前記第1の磁性体の磁化ベクトルとの内積が負となる向きの磁化ベクトルをそれぞれ有し、
    前記ターゲットの形状が円盤状であり、複数の前記第1の磁性体で形成される内側磁性体および複数の前記第2の磁性体で形成される外側磁性体の形状がそれぞれ環状であり、
    前記ターゲットの半径RTと、前記内側磁性体の外径rOと、前記外側磁性体の外径ROとが次式の関係を満たし、
    前記2つの第1の磁性体の間の中央位置および前記2つの第2の磁性体間の中央位置は、前記ターゲットの中心軸に沿ってそれぞれ配置されている
    ことを特徴とするマグネトロンスパッタリングカソード。
    Figure 0006962528
  2. 前記第1の磁性体の磁化ベクトルの交差角α(度)が、次式に示す範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
    Figure 0006962528
  3. 前記第2の磁性体の磁化ベクトルの交差角β(度)が、次式に示す範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
    Figure 0006962528
  4. 前記第1の磁性体の磁化ベクトルの交差角αが45度〜135度の範囲にあり、前記第2の磁性体の磁化ベクトルの交差角βが45度〜135度の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
  5. 前記ターゲットの半径RTと、前記外側磁性体の内径RIと、前記外側磁性体の外径ROとが、次式の関係を満たすことを特徴とする請求項に記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
    Figure 0006962528
  6. 前記ターゲット側の反対側に、前記2つの第1の磁性体に跨るように配置された第3の磁性体をさらに具備し、
    前記第3の磁性体は、少なくとも何れか一方の前記第1の磁性体の磁化ベクトルとの内積が正となる向きの磁化ベクトルを有することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
  7. 前記第1の磁性体の前記ターゲット側表面と、前記第2の磁性体の前記ターゲット側表面と、前記ヨークの前記ターゲット側表面が面一となっていることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
  8. 請求項1〜の何れか1項に記載のマグネトロンスパッタリングカソードを備えたマグネトロンスパッタリング装置。
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