JP2009062568A - マグネトロンスパッタリング成膜装置 - Google Patents

マグネトロンスパッタリング成膜装置 Download PDF

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JP2009062568A JP2007230113A JP2007230113A JP2009062568A JP 2009062568 A JP2009062568 A JP 2009062568A JP 2007230113 A JP2007230113 A JP 2007230113A JP 2007230113 A JP2007230113 A JP 2007230113A JP 2009062568 A JP2009062568 A JP 2009062568A
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Yuki Muraoka
裕紀 村岡
Takashi Kawabata
敬志 川畑
Keiji Okamoto
圭司 岡本
Atsunori Araki
厚則 荒木
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Abstract

【課題】電子電流が増加した際に高電圧側にシフトする基板電流の飽和領域を、低電圧側へシフトさせ、低温でスパッタリングできるようにする。
【解決手段】マグネトロンスパッタリング成膜装置は、気密な処理室9と、処理室9内に配設され、且つ基板8を支持する第1保持部材10と、処理室9内に配設された第2保持部材11と、第2保持部材11に保持されたターゲット7と、ターゲット7の裏面側中央部に配設され該ターゲット7の裏面に一方の磁極が向けられた中心磁石1と、ターゲット7の裏面側外周縁部に配設され該ターゲットの裏面に他方の磁極が向けられた複数の外周磁石2と、コイル5と、コイル5に高周波電力を付与する高周波電力付与手段13と、コイル5と基板8間に配置された陽極部材20と、陽極部材20に電力を付与する陽極電力付与手段と、ターゲット7及び基板8間に電力を印加する電力印加手段18とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理基板上に、薄膜を形成するためのマグネトロンスパッタリング成膜装置に関する。
スパッタリング成膜方法は、膜の材料を含むターゲットに電離イオンを衝突させることによりターゲットから膜材料粒子を放出させ、これを被処理基板上に堆積成膜するための方法である。ターゲット表面の付近に磁界を形成したマグネトロンスパッタリング成膜方法は、成膜速度の向上と膜厚の面内均一性の向上とを同時に実現できる方法として広く用いられている。
図7は、従来の代表的な平板マグネトロンスパッタリング成膜装置を示す概略図である。平板状のターゲット107の背面(非スパッタ面)107bに磁界発生手段101,102が配置されている。この磁界発生手段101,102の更に裏面側にヨーク111が設置され、磁力の閉回路が構成されている。ターゲット107に対向して被処理基板108が配設されている。このマグネトロンスパッタリング装置は、ターゲット107の裏面107b側に設けた磁石101,102によって、磁力線Qがターゲット107の裏面bから表面107a側に出て再びターゲット107側に戻るループを描くように磁界が形成される。その磁力線Qによって表面(スパッタ面)107a近傍に磁界Pを形成され、ターゲット107の中心を包囲するリング状、即ちドーナツ状の領域に対応してプラズマ密度が高くなるような電離状態が形成される。この磁界Pによって、真空チャンバー121内に導入したアルゴンガスなどの希ガス122と電子の衝突頻度を高めて、雰囲気ガスのイオン化を増進させ、プラズマがターゲット表面107a上に形成されて、ターゲット107がスパッタリングされて、ターゲット107中の膜材料粒子が放出される。この膜材料粒子が被処理基板108の表面108aに堆積成膜される。
しかしながら、上記従来のマグネトロンスパッタリング成膜装置では、磁力線Qがターゲット107の裏面107bから表面107a側に出て再びターゲット107側に戻るループを描くように磁界Pが形成されるので、ターゲット表面107aの磁場が弱く、プラズマ密度が十分高いとは言えない。その上、上記ループ形状の磁力線Qによって形成されるドーナツ形状のプラズマ密度の高い領域は、膜厚の面内均一性を向上させるのに効果的である反面、ターゲット107の消耗が激しい優先的にスパッタされる部分が局部的に発生する。換言すると、ターゲット表面107a上における磁界の状態により、ターゲット107のスパッタされる割合の面内分布が決定されてしまう。従って、ターゲット107の利用面積が小さく、ターゲット107を有効的に消費できない点において問題がある。
また、ターゲット107として磁性体を使用する場合には、ターゲット107に磁力が吸収されるため、ターゲット表面107aで発生する磁場が弱いと言う問題点を有し、磁性体のターゲット107の場合には、ターゲットを薄くしなければならなく、交換頻度が多いと言う欠点を有する。
上述したように、通常のマグネトロンスパッタリング成膜装置では、多くの解決課題を抱えている。その解決手段の1例として、多重磁極マグネトロンスパッタリング成膜装置が開発されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1は、気密な処理室と、上記処理室内に配設され且つ上記基板を支持するための保持面を有する第1保持部材と、上記第1保持部材と対向するように上記処理室内に配設された第2保持部材と、上記第1保持部材上に支持された上記基板と対向する表面を有するように、上記第2保持部材に保持されたターゲットと、上記ターゲットの裏面側中央部に配設され該ターゲット裏面に一方の磁極が向けられた中心磁石と、上記ターゲットの裏面側外周縁部に配設され該ターゲット裏面に他方の磁極が向けられた複数の外周磁石と、上記ターゲットの表面側の該ターゲット外周縁よりも外側位置に配設され、上記外周磁石の他方の磁極と同じか異なる磁極が内側に向けられた複数の第1外部磁石と、上記第1外部磁石に重なるように、上記第1外部磁石よりも上記基板側位置に配設され、当該第1外部磁石と同じように磁極が配向された複数の第2外部磁石と、上記ターゲットと上記基板とを結ぶ方向を軸として巻回され、且つその中心が上記ターゲットと上記基板との空間に配置されたコイルと、上記コイルに高周波電力を付与する高周波電力付与手段と、上記ターゲット及び上記基板間に電力を印加する電力印加手段とを備える構成である。
特開2006−307243号公報
この特許文献1では、ターゲットの外側に第1外部磁石及び第2外部磁石を設けたことによって、第2外部磁石が第1外部磁石の磁力線の拡散を押さえ込み、中心磁石に向う磁力線を多くしているが、第2外部磁石の磁力線は、第1外部磁石と反発するので、1部は中心磁石に向うが、他の方向にも多く分布しているので、中心磁石に向ってない第2外部磁石の磁力線を基板方向に向う磁力線として集約し、且つ磁力線を活性化してプラズマ密度を高めることを開示している。
しかしながら、誘導結合プラズマ支援型多重磁極マグネトロンスパッタリング法において、外部磁石による垂直磁束密度の増加により垂直磁力線に巻き込まれる電子は増加し、基板に流れる電子電流の増加を生じる。そして、基板電流特性の飽和領域が垂直磁束密度が増加すると共に基板直流バイアス電圧が高電圧側にシフトする結果となっている。
この電子は熱を持っているので、良質な膜を得るためには高温でスパッタリングしなければならないと言う問題を抱える。特に、誘導結合プラズマ支援型多重磁極マグネトロンスパッタリング法として、電子電流を増加すればするほど、高温でスパッタリングしなければならないと言う問題が大きくなっている。
本発明は、電子電流が増加した際に高電圧側にシフトする基板電流の飽和領域を、低電圧側へシフトさせ、低温でスパッタリングできるようにすることを目的とする。
具体的には、本発明では、マグネトロンスパッタリングで発生した熱電子が基板に入射されるのを防止するために、基板付近へ陽極板を設置することによって、スパッタリング時における基板直流バイアスの低電圧側でイオンアシストをできるようにする。基板電流特性での飽和領域の基板バイアス電圧を低電圧側にシフトして低バイアスの飽和領域で膜の制御ができるようにすることを特徴とする。
第1の発明は、基板上に膜を形成するためのマグネトロンスパッタリング成膜装置であって、
気密な処理室と、
上記処理室内に配設され且つ上記基板を支持するための保持面を有する第1保持部材と、
上記第1保持部材と対向するように上記処理室内に配設された第2保持部材と、
上記第1保持部材上に支持された上記基板と対向する表面を有するように、上記第2保持部材に保持されたターゲットと、
上記ターゲットの裏面側中央部に配設され該ターゲット裏面に一方の磁極が向けられた中心磁石と、
上記ターゲットの裏面側外周縁部に配設され該ターゲット裏面に他方の磁極が向けられた複数の外周磁石と、
上記ターゲットと上記基板とを結ぶ方向を軸として巻回され、且つその中心が上記ターゲットと上記基板との空間に配置されたコイルと、
上記コイルに高周波電力を付与する高周波電力付与手段と、
上記コイルと該基板間に配置された陽極部材と、
上記陽極部材に電力を付与する陽極電力付与手段と、
上記ターゲット及び上記基板間に電力を印加する電力印加手段とを備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
上記高周波電力付与手段、上記陽極電力付与手段及び上記電力印加手段は、それぞれ、高周波電力可変手段、陽極電力可変手段及び印加電力変更手段を備え、それぞれ別々に電力を可変できるようになっていることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
上記電力印加手段は、上記ターゲットに電力を印加するターゲット電力印加手段と、上記基板に電力を印加する基板電力印加手段とを備え、上記ターゲット電力印加手段及び上記基板電力印加手段はターゲット電力変更手段、基板電力変更手段を備え、それぞれ別々に電力を可変できるようになっていることを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし3のいずれか1つの発明において、
上記ターゲットの表面側の該ターゲット外周縁よりも外側位置に配設され、上記外周磁石の他方の磁極と同じか異なる磁極が内側に向けられた複数の第1外部磁石と、上記第1外部磁石に重なるように、上記第1外部磁石よりも上記基板側位置に配設され、当該第1外部磁石と同じように磁極が配向された複数の第2外部磁石とを備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、基板バイアス電圧を低電圧側にシフトすることができるので、低バイアスの飽和領域で膜の制御ができる。耐熱性の低い基板に対しても成膜ができ、成膜できる基板の利用範囲が飛躍的に拡大できる。また、良質な膜を得ることができる。
第2の発明によれば、ターゲット電力や基板電力とは独立して、コイルや陽極部材への高周波電力を制御することができるので、必要な薄膜を効果的に得ることができ、さらに良質な膜を得ることができる。
第3の発明によれば、ターゲットや基板に応じて、最適なターゲット電力及び基板電力を設定でき、必要な薄膜を得ることができる。いろいろのターゲット及び基板に対して利用でき、本装置の利用範囲が拡大できる。
第4の発明によれば、ターゲット表面の広い範囲で高い磁場を形成できるので、ターゲット表面のプラズマ密度を高い状態に維持でき、その上プラズマ密度の高い状態を基板のほうまで拡大できる。その結果、ターゲット表面から放出された膜材料粒子(イオン)は、高速で且つ緻密状態で基板8に入射させることができ、基板に均一で緻密な膜が形成される。特にスパッタ圧力が低圧力でも良いので、より緻密な膜を形成できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係わるマグネトロンスパッタリング装置の構成図を示す。実施形態1では、マグネトロンスパッタリング装置として、誘導結合プラズマ支援型多重磁極マグネトロンスパッタリング装置に本発明を適用した例を示す。
略円筒形状の真空容器(処理室)9の下部に磁石内臓のターゲット台(保持部材)11が配設されている。ターゲット台11の上面に磁性体で構成された円板状ターゲット7が設置され、容器9の上方位置に配設された保持部材10の表面10aに被処理基板8が取付けられている。ターゲット台11内であって、ターゲット7の中心部に対応する位置に中心磁石1が配設され、ターゲット7の周囲に対応する位置には4つの外周磁石2が略90°間隔で配設されている。中心磁石1はターゲット裏面7bにS極を向けて配置されており、外周磁石2はターゲット裏面7bにN極を向けて配置されている。
ターゲット7より上側位置であって、且つ容器9の外壁の外側位置に、外周磁石2に対応して4つの第1外部磁石3及び4つの第2外部磁石4が重なるように配設されている。第1外部磁石3及び第2外部磁石4は、夫々N極が内方を向くように配設されている。
また、容器9内部には、ターゲット7の中心と基板8の中心とを結ぶ線を軸として巻回されたコイル5が、第2外部磁石4に近接した位置から基板方向に向けて延びて配設されている。このコイル5は、SUS304製パイプからなり、スパイラル状に3回巻かれ、一端がマッチング回路12を介して、高周波電力可変手段を備える高周波電力付与手段としての高周波電源13に接続されている。実施形態1では、コイルの他端はフリーでどこにも接続されてないが、アースや高周波電源に接続されるようにしても良い。ターゲット7には、ローパスフィルター14を介して、ターゲット電力変更手段を備えるターゲット電力印可手段としての可変直流電源15が接続されている。基板8には、ローパスフィルター16を介して、基板電力変更手段を備える基板電力印可手段としての可変直流電源18に接続されている。ローパスフィルター16と可変直流電源18の間には、電流を測定する電流測定手段17が設けられている。基板8とコイル5との間で、基板8に近接した位置に、略円筒形状のアルミニウム製の陽極部材20が配設されている。陽極部材20は、ローパスフィルター26、電流測定手段27を介して、陽極電力可変手段を備える陽極電力付与手段としての可変直流電源28に接続されている。
次に、実施形態1の多重磁極マグネトロンスパッタリング成膜装置1の作動状態を説明する。高周波電源13は、13.56Mzが設定されている。可変直流電源15、18、28は、所定の電圧値にセットされる。容器9内には、図示を省略するが、その側壁等からアルゴン等のスパッタリングガスが所定圧力で導入され、排気されるようになっている。このことによって、外周磁石2からターゲット裏面7bに向かう磁力線は一部が磁性体で出来たターゲット7内部に吸収されるが、一部はターゲット7を透過してターゲット表面7aを通って中心部磁石1のS極へ入射する。第1外部磁石3からでる磁力線は、第1外部磁石3と外周磁石2が同極であることから反発しあい、ターゲット裏面7bの中心磁石1のS極に引かれて入射し、磁力線をターゲット表面7a近傍方向に押付ける作用をする。なお、磁力線の一部はターゲット表面7a方向とは逆の方向へ回って自己回路を組もうとするが、第2外部磁石4の磁力線が中心磁石1のS極方向に引かれることによって、磁力線がターゲット表面7方向に押付けられるので、ターゲット表面7方向とは逆の方向へ回る磁力線は極力打ち消される。その結果、磁力線によって、磁力線がターゲット表面7近傍に集中するようになるとともに、磁力線もターゲット表面7に向かうので、ターゲット表面7では、強い磁界となり、イオン密度の高いプラズマが得られる。同時に、ターゲット表面7aの広い範囲において高いプラズマが得られる。第2外部磁石4の磁力線の一部は、通常では中心磁石1方向でなく、他の方向にも分散する傾向を有するが、実施形態1では、この分散する傾向にある磁力線を、コイル5を設けることによって集約し、且つ基板8方向に向かう磁力線として整流する。この磁力線の流れによって、ターゲット7から放出された膜材料粒子をできるだけ基板8方向に向かわせると同時に、膜材料粒子のその方向への速度を増加する。その上、コイル5には高周波電圧が印加されるので、コイル5近辺はプラズマの発生が促進され、プラズマ密度が上がっている。この結果、第2外部磁石4を設置し、さらにコイル5を設けたことにより、広い範囲で高いプラズマ密度であるターゲット表面7aから膜材料粒子が活発に放出され、同時に活発状態にある膜材料粒子は、コイル5近辺の高いプラズマ密度領域を高速で通過できるので、基板8には均一で緻密な膜8aが形成される。特に、第2外部磁石4の磁力線及びコイル5でのプラズマ発生とによって、基板8方向に向う強力な磁場を形成することができ、電子が基板方向へスパイラル運動し、プラズマが基板の近傍まで広がることができるので、イオンを効率的に基板に入射させることができ、緻密で均一な膜を形成することができる。なお、ここまでの構成は、基本的に特開2006−307243号公報と同じであり、詳細な記載は省略する。
実施形態1では、更に陽極部材20を基板8とコイル5との間に介在させているので、基板8に入射させる電子電流を抑制できる。基板バイアス電圧を低電圧に押さえることができ、低バイアスの飽和領域で膜の制御ができる。耐熱性の低い基板に対しても成膜ができ、成膜できる基板の利用範囲が飛躍的に拡大できる。また、良質な膜を得ることができる。
特に、高温の電子電流を抑制することで、基板の高温化を抑制できるので、基板として、銅、シリコン、ガラスだけでなく、合成樹脂にも薄膜を形成することができる。
実施例1
実施形態1の誘導結合プラズマ支援型多重磁極マグネトロンスパッタリング装置において、実際の基板電流やターゲット電流を測定した実験例を説明する。
ターゲット7にCu (直径200 mm、厚さ5mm、純度99.95%)、スパッタリングガスにAr (純度6N)を用いた。放電ガス圧力を0.13 Paとし、Arガス流量を1sccm一定とした。ターゲットと基板間は150 mmとした。高周波コイル5に印加するRF (13.56 MHz)電力は30 W、電圧は640 Vで一定とした。陽極板電圧VAは0〜60 Vに変化させて基板電流の変化を調べた。基板電流特性は従来の誘導結合プラズマ支援型マグネトロンスパッタ法(略してCMと称す)、誘導結合プラズマ支援型多重磁極マグネトロンスパッタ法(略してMMPCと称す)の場合で、基板ホルダに印加する基板直流バイアス電圧をパラメータとして測定した。
図3及び図4はCM、MMPCによるそれぞれの基板電流特性を示す。図3のCMの場合では飽和領域が低電圧側から始まるため、あまり変化は見られなかったが、図4のMMPCの場合では陽極板電圧VA=10〜30Vにおいて飽和領域が低電圧側にシフトしていることが分かる。また、陽極板電圧VAの増加に伴い、飽和電流ISが増加する。陽極板電圧VA=50 V、基板直流バイアス電圧VS=−50 Vの時、基板電流ISが陽極板電圧VA=0 Vの時に比べて、約20 mA増加していることが分かる。このことから、基板に流れる電子電流を抑制しているものと考えられる。本発明では、陽極板20を導入したことにより、電子電流が基板に入射されることが阻害され、できるだけイオン電流だけになって基板に入射されることとなっている。この基板電流の増加は図3のCMの場合では約5 mAほど増加している。また、図3及び図4において、陽極部材20を配置したことによる基板直流バイアス電圧の低電圧化は、基板直流バイアス電圧VS=0〜30Vの時の基板直流電流ISにおいて見られる。
図5にCMを用いた場合のターゲット電流特性、図6にMMPCを用いた場合のターゲット電流を示す。図5において陽極板電圧VA=60Vの時、ターゲット電流ITがVA=0Vの時と比べて、約200mA増加していることが分かる。これに対して、図6では約400mA増加している。これは陽極板電圧VAを上げることにより、ターゲット側の電位が増加し、ターゲット電流ITが増加したものと考えられる。このターゲット電流ITの増加はスパッタ時の堆積速度の増加を引き起こす。
なお、上記実施形態1では外周磁石・第1外部磁石・第2外部磁石を4つとして説明したが、これらの数に限られるものではなく、上記磁石は同じ数とであれば任意の数を設けられるものである。また中心磁石は1つとして説明したが、この数に限られるものではなく、ドーナツ状に多数配設した構造でも良い。
(実施形態2)
図2により、本発明の実施形態2を説明する。
実施形態1と同じものは同じ符号とし、説明は省略する。実施形態2では、実施形態1と異なり、通常のマグネトロンスパッタリング装置31に本発明を適用した例を示す。即ち、実施形態2は、実施形態1の外部磁石3,4を除外したものである。この実施形態2においても、実施形態1と同様に、基板に入射される電子電流を抑制できるので、基板の耐熱性の低いものにでも適用できることが分った。
上記実施形態1、2では、陽極板として、アルミニウム製の円筒状部材を用いたが、アルミニウム製に限られる物ではなく、電子電流をトラップできて、基板に入射される電子電流を抑制できれば、この材料に限定されるものいではない。また形状も略円板状に限られるものではなく、円板内に格子状のフレームを設けた形状、メッシュ形状、多孔形状のプレート等の各種形状が考えられるものであり、陽極部材の材質、形状、大きさ等は、マグネトロンスパッタリング装置の大きさ、基板の材質・大きさ、ターゲットの材質・大きさ、プラズマの発生状況等に応じて。適切に選定すれば良いものである。
コイルは、第2外部磁石4に近接した位置から基板方向に向けて延びて配設されているが、ターゲットと基板との空間に配置すればよいものであって、例えば、基板に近い位置に配置しても良い。基板に近い位置に配置すれば、基板表面近傍でのイオン化を促進でき、実施形態のような位置に配設すれば空間内のプラズマ密度を向上できるので、ターゲット・基板、要求する薄膜の特性等に応じて、適切な位置に配設すればよい。コイルの材料は、ステンレスを用いたが、これに限定されるものではなく、他の材料でも良い。コイルの巻き数は3回に限らず、任意に設定すればよい。コイルに加える高周波電力は、13.56MHzに限られるものではなく、他の周波数でも良い。なお、上記コイルに関しては、ターゲット材、基板、得られる薄膜の特性等に応じて適切に設定すれば良いものである。
ターゲットは、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体だけではなく、非磁性体でも良く、金属に限らずセラミックス等でも良い。ターゲットに印加する電位は直流でも交流でも良い。ターゲット及び基板に印加する電位は、設定値を自由に選択できるようにしておくと、ターゲット材・基板材等に応じて、設定値を選定できるので、好ましい。
上記実施形態1、2では、外部磁石を真空容器の外側に配設したが、真空容器内に配設しても良い。ターゲットを下部に、基板を上部に配設した構造としたが、逆にしても良い。
さらに、Fe−N薄膜、Fe−O2薄膜等のように、ArガスとN2、或いはArガスとO2の混合ガス中で反応性マグネトロンスパッタリングを行なうものにも適用できる。
以上説明したように、本発明に関わる発明は、例えば導電膜、半導体膜、絶縁膜、磁気記録装置の磁気ヘッドの薄膜、耐磨耗性膜、耐食性膜などの薄膜を形成するためのマグネトロンスパッタリング成膜装置、多重磁極マグネトロンスパッタリング成膜装置に適用することができる。
例えば、半導体ウエハへの半導体膜、パソコン・携帯電話に使われるマグネシウム合金への装飾性薄膜、電子部品に使われる各種プラスチック部品への電磁シールド性薄膜等に適用できる。
本発明の実施形態1に関わる多重磁極マグネトロンスパッタリング成膜装置の概略を示す。 本発明の実施形態2に関わる多重磁極マグネトロンスパッタリング成膜装置の概略を示す。 本発明の実施形態1において、CMでの基板直流バイアス電圧と基板電流の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態1において、MMPCでの基板直流バイアス電圧と基板電流の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態1において、CMでの基板直流バイアス電圧とターゲット電流の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態1において、MMPCでの基板直流バイアス電圧とターゲット電流の関係を示すグラフである。 従来のマグネトロンスパッタリング成膜装置を示す図である。
符号の説明
1 中心磁石
2 複数の外周磁石
3 第1外部磁石
4 第2外部磁石
5 コイル
7 ターゲット
8 基板
9 処理室
10 第1保持部材
11 第2保持部材
13 高周波電力付与手段
15 ターゲット電力印加手段
18 基板電力印加手段
20 陽極部材

Claims (4)

  1. 基板上に膜を形成するためのマグネトロンスパッタリング成膜装置であって、
    気密な処理室と、
    上記処理室内に配設され且つ上記基板を支持するための保持面を有する第1保持部材と、
    上記第1保持部材と対向するように上記処理室内に配設された第2保持部材と、
    上記第1保持部材上に支持された上記基板と対向する表面を有するように、上記第2保持部材に保持されたターゲットと、
    上記ターゲットの裏面側中央部に配設され該ターゲット裏面に一方の磁極が向けられた中心磁石と、
    上記ターゲットの裏面側外周縁部に配設され該ターゲット裏面に他方の磁極が向けられた複数の外周磁石と、
    上記ターゲットと上記基板とを結ぶ方向を軸として巻回され、且つその中心が上記ターゲットと上記基板との空間に配置されたコイルと、
    上記コイルに高周波電力を付与する高周波電力付与手段と、
    上記コイルと該基板間に配置された陽極部材と、
    上記陽極部材に電力を付与する陽極電力付与手段と、
    上記ターゲット及び上記基板間に電力を印加する電力印加手段とを備えることを特徴とするマグネトロンスパッタリング成膜装置。
  2. 請求項1に記載のマグネトロンスパッタリング成膜装置において、
    上記高周波電力付与手段、上記陽極電力付与手段及び上記電力印加手段は、それぞれ、高周波電力可変手段、陽極電力可変手段及び印加電力変更手段を備え、それぞれ別々に電力を可変できるようになっていることを特徴とするマグネトロンスパッタリング成膜装置。
  3. 請求項2に記載のマグネトロンスパッタリング成膜装置において、
    上記電力印加手段は、上記ターゲットに電力を印加するターゲット電力印加手段と、上記基板に電力を印加する基板電力印加手段とを備え、上記ターゲット電力印加手段及び上記基板電力印加手段はターゲット電力変更手段、基板電力変更手段を備え、それぞれ別々に電力を可変できるようになっていることを特徴とするマグネトロンスパッタリング成膜装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載のマグネトロンスパッタリング成膜装置において、
    上記ターゲットの表面側の該ターゲット外周縁よりも外側位置に配設され、上記外周磁石の他方の磁極と同じか異なる磁極が内側に向けられた複数の第1外部磁石と、
    上記第1外部磁石に重なるように、上記第1外部磁石よりも上記基板側位置に配設され、当該第1外部磁石と同じように磁極が配向された複数の第2外部磁石とを備えることを特徴とするマグネトロンスパッタリング成膜装置。
JP2007230113A 2007-09-05 2007-09-05 マグネトロンスパッタリング成膜装置 Pending JP2009062568A (ja)

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