JP2005307133A - 樹脂組成物及びそれを用いる塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
1分子当り2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(a)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールから選ばれる少なくとも一種以上のポリオール(b)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を、下記式(I)の条件下で反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂を構成成分とし、(メタ)アクリロイル基濃度が0.1〜2.0当量/kg、且つイソシアネート基濃度が0.05当量/kg以上である樹脂組成物。
〔数1〕
[(a)のイソシアネート基数]>[(b)及び(c)の水酸基の合算数]‥‥(I)
【選択図】なし
Description
重合性オリゴマーとしては不飽和ポリエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が用いられ、それらの中で特に木工塗装においては速硬化性であり、樹脂設計の自由度が大きいことからウレタン(メタ)アクリレート樹脂が多く使用されている。例えばウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含有する硬化性樹脂組成物は特許文献1、特許文献2に開示されている。
これらのウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、活性エネルギー線照射直後に後加工に回せるという優れた作業性を有しているものの、基材の形状によっては活性エネルギー線の届かないところができ、硬化不良を起こすこと、耐割れ性や基材への密着性が必ずしも十分ではないなどの問題点もあり、長年にわたりこれらの打開策が求められていた。
一方イソシアネート基による湿気硬化性の樹脂組成物は接着剤、塗料などの分野において広く使用されている。
この樹脂組成物は、イソシアネート基を含有しているため、硬化後生成するウレタン結合、ビウレット結合、尿素結合等の効果、基材に含まれる極性基との反応の効果等で、基材への密着性も良好となる。例えば木工製品などの塗装に使用した場合、耐割れ性や基材への密着性などは活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物と比較して相対的に良好な特性を発揮する。
しかし、この樹脂組成物は硬化が完了し、塗膜としての特性が発現するまでには長い養生時間(一日間〜二週間)がかかり、作業性の面では先述の活性エネルギー線硬化性樹脂に劣る。また、水とイソシアネート基の反応により炭酸ガスが発生するため、イソシアネート基濃度が多すぎたり、塗膜が柔らかかったりすると、その成膜過程において塗膜中に気泡が発生することがある。例えば木質基材に下塗りとして使用した場合、成膜過程で発生する炭酸ガスのため、上層の塗膜との間に層間剥離が生じる場合があり、これも湿気硬化性の樹脂において大きな課題となっている。
[(a)のイソシアネート基数]>[(b)及び(c)の水酸基の合算数]・・・(I)
ここで(a)のイソシアネート基数、(b)及び(c)の水酸基数は下記の通りである。
ここで(b)の水酸基価はJIS K 1557に準拠して測定した。
なお、ここで(a)のイソシアネート基数、(b)、(c)及び鎖伸長剤の活性水素基数は下記の通りである。
ここで(b)の水酸基価はJIS K 1557に準拠して測定した。
イソシアネート基濃度が5当量/kg以上であると、塗膜の発泡や耐割れ性の低下が見られる。ここで、さらに基材の密着性と塗膜発泡、耐割れ性のバランスを考慮すると、イソシアネート当量は0.2〜2当量/kgが好ましい。
ここで、30℃以下で、流動性のない固体とは、温度30℃以下において、たとえばビーカーのごとき開放容器に充填した組成物が、容器を倒した際に流れ出さないものをいい、必ずしも、組成物の結晶化、凝固などの相転移を伴わなくてよい。
撹拌機、温度計、分留器、水分分離器、還流冷却器、窒素導入管及び減圧装置を装備したフラスコに、1,6−ヘキサンジオール800部、イソフタル酸365部、アジピン酸589部、テトラブチルチタネート0.02部仕込み、230℃まで昇温し、減圧度20mmHgで14時間脱水縮合を行い、水酸基価40、酸価0.3のポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールを撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに1000部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら系内を60℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート158部を加え、さらに115℃まで昇温し、6時間保温した。その後窒素ガスの吹き込みを中止し、2−ヒドロキシエチルアクリレート17部、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.2部を加え、7時間保温して、樹脂中の残存イソシアネート%測定後、2−ヒドロキシエチルアクリレートが全てウレタン反応したことを確認し反応を終了し、25℃での状態が固体であるウレタンアクリレート樹脂1を得た。
撹拌機、温度計、分留器、水分分離器、還流冷却器、窒素導入管及び減圧装置を装備したフラスコに、ジエチレングリコール500部、ネオペンチルグリコール500部、アジピン酸1312部、テトラブチルチタネート0.01部仕込み、230℃まで昇温し、減圧度20mmHgで14時間脱水縮合を行い、水酸基価30、酸価0.3のポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールを撹拌機、温度計、及び還流冷却器を装備したフラスコに1500部、アデカポリエーテルBPX−11(旭電化工業株式会社製)500部、2−ヒドロキシエチルアクリレート104部、ハイドロキノンモノメチルエーテル2.7部、イソホロンジイソシアネート595部仕込み、系内を60℃まで昇温し、1時間かけて105℃まで昇温した後、7時間保温して、樹脂中の残存イソシアネート%測定後、ウレタン反応が終了したことを確認し反応を終了し、25℃での粘度:1000Pa・s以上のウレタンアクリレート樹脂2を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに製造例2で得られたのと同じポリエステルポリオールを1000部、ニューポールBPE−20(三洋化成株式会社製)300部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら系内を80℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート473部を加え、さらに110℃まで昇温し、6時間保温した。その後樹脂中の残存イソシアネート%測定後、ポリオール成分が全てウレタン反応したことを確認し反応を終了し、25℃での粘度:1000Pa・s以上のウレタン樹脂3を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに製造例1で得られたのと同じポリエステルポリオールを1000部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら系内を60℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート158部を加え、さらに115℃まで昇温し、6時間保温した。その後窒素ガスの吹き込みを中止し、2−ヒドロキシエチルアクリレート83部及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.2部を加え、7時間保温して、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し反応を終了し、25℃での状態が固体であるウレタンアクリレート樹脂4を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに製造例2で得られたのと同じポリエステルポリオールを1000部、アデカポリエーテルBPX−11(旭電化工業株式会社製)320部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら系内を60℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート333部を加え、さらに115℃まで昇温し、3時間保温した。その後窒素ガスの吹込みを中止し、2−ヒドロキシエチルアクリレート70部及びハイドロキノンモノメチルエーテル1.7部を加え、さらに3時間保温して、樹脂中の残存イソシアネート%測定後、ウレタン反応が終了したことを確認し反応を終了し、25℃での粘度が1000Pa・s以上であるウレタンアクリレート樹脂5を得た。
実施例1:ウレタンアクリレート樹脂1/光重合開始剤=100/3
25℃での状態:固体
実施例2:ウレタンアクリレート樹脂2/光重合開始剤=100/3
25℃での状態:高粘度液体、粘度:1000Pa・s以上
実施例3:ウレタンアクリレート樹脂2/重合性モノマー/光重開始剤=80/20/3
25℃での状態:高粘度液体、粘度:1000Pa・s以上
実施例4:ウレタンアクリレート樹脂2/ポリイソシアネート化合物/光重開始剤=90 /10/3
25℃での状態:高粘度液体、粘度:1000Pa・s以上
実施例5:ウレタンアクリレート樹脂5/光重合開始剤=100/3
25℃での状態:高粘度液体、粘度:1000Pa・s以上
上記に従い配合したものを均一に混合し、試験用樹脂組成物を得た。
比較例1:ウレタン樹脂3/光重合開始剤=100/3
25℃での状態:高粘度液体、粘度:1000Pa・s以上
比較例2:ウレタンアクリレート樹脂4/光重合開始剤=100/3
25℃での状態:固体
比較例3:ウレタンアクリレート樹脂2/重合性モノマー/光重合開始剤=72/28/ 3
25℃での状態:高粘度液体、粘度:920Pa・s
比較例4:ウレタンアクリレート樹脂1/ポリイソシアネート化合物/光重合開始剤=7 5/25/3
25℃での状態:高粘度液体、粘度:900Pa・s
上記に従い配合したものを均一に混合し、試験用樹脂組成物を得た。
重合性モノマー:ミラマーM310
−(美源商事株式会社製)
ポリイソシアネート化合物:スミジュールN3300
−(住化バイエルウレタン株式会社製)
光重合開始剤:イルガキュア651
−(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
(1)粘度
(1)−1:25℃での粘度
E型粘度計(東京計器株式会社製 VISCONIC ED型(EHD3°コーン))を用いて25℃での粘度を測定。
(1)−2:120℃での粘度
B型粘度計(トキメック株式会社製 TVB−20H型)及び高温恒温槽(トキメック株式会社製 VTB−250型)を用いて120℃での粘度を測定。
(2)塗装後の塗膜表面状態
加温式のロールコーターを用いて、突板合板に、温度120℃、送りロール速度:10m/分、塗装ロール速度:10m/分、膜厚25g/m2の条件下で各供試樹脂組成物を塗装して試験板を作製した後、各試験板の表面状態を観察した。なお、上記突板合板は0.2mm厚オーク柾目の突板を、5層12mm厚の合板に貼り合わせたものを使用した。
○:フラットに塗装されている。
×:フラットに塗装されておらず、表面状態の悪さが肉眼で確認出来る。
(3)各樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基濃度
下記の式(III)、式(IV)、式(V)に従い(メタ)アクリロイル基濃度を算出する。
各供試樹脂組成物のイソシアネート基含有量(質量%)をJIS K−7301に記載の方法に準じて測定し、下記の式(VI)より各樹脂組成物のイソシアネート基濃度を算出する。
(5)−1 基材−塗膜間の密着性
(2)と同じ突板合板に加温式ロールコーターで各供試樹脂組成物を25g/m2で塗布し、高圧水銀灯(80W/cm)1灯、照射距離15cm、コンベアースピード4m/分(約250mJ/cm2)の条件で紫外線照射し、2週間、温度25℃、湿度50%の条件下で養生したものを試験板とした。この試験板にカッターナイフで100個の2mm角の碁盤目を付け、基材との密着性をセロテープ剥離試験で行い、残った数を数えた。
(5)−2 中塗りとの密着性試験(層間密着性試験)
(2)と同じ突板合板に加温式ロールコーターで各供試樹脂組成物を25g/m2塗布し、その塗膜上に試験用中塗り塗料(アロニックスM−7100(東亜合成株式会社製)/ミラマーM220(美源商事株式会社製)/イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)=80/20/3)を20g/m2塗布し、高圧水銀灯(80W/cm)1灯、照射距離15cm、コンベアースピード4m/分(約250mJ/cm2)の条件で紫外線照射した後、二日間、温度25℃、湿度50%の条件下で養生し、試験板を作製した。この試験板を温度80℃、湿度50%の条件下で24時間放置し、各供試樹脂組成物−上塗り間に生じた層間密着の状態を調べた。
○:層間剥離なし
×:層間剥離あり
15cm角の(1)と同じ突板合板に加温式ロールコーターで各供試樹脂組成物を25g/m2塗布し、その塗膜上に試験用中塗り塗料(アロニックスM−7100(東亜合成株式会社製)/ミラマーM220(美源商事株式会社製)/イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)=80/20/3)を20g/m2塗布し、高圧水銀灯(80W/cm)1灯、照射距離15cm、コンベアースピード4m/分(約250mJ/cm2)の条件で紫外線照射した。その後耐水ペーパー400番で研磨を行い、研磨工程の後に試験用上塗り塗料(紫光UV−7500B(日本合成化学株式会社製)/ミラマーM220/イルガキュア184=50/50/3)を15g/m2塗布し、高圧水銀灯(80W/cm)1灯、照射距離15cm、コンベアースピード4m/分(約250mJ/cm2)の条件で紫外線照射し、2週間、温度25℃、湿度50%の条件下で養生して試験板を作製した。この試験板を80℃で2時間、及び−20℃で2時間の寒熱繰返し条件で2回処理した後、塗膜に発生した割れの長さを測定した。
Claims (6)
- 1分子当り2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(a)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールから選ばれる少なくとも一種以上のポリオール(b)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を、下記の式(I)の条件下で反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂を構成成分とし、(メタ)アクリロイル基濃度が0.1〜2.0当量/kg、且つイソシアネート基濃度が0.05当量/kg以上である樹脂組成物。
〔数1〕
[(a)のイソシアネート基数]>[(b)及び(c)の水酸基の合算数]‥‥(I) - 30℃以下では流動性のない固体、もしくは粘度1000Pa・s以上の高粘調物であり、140℃の粘度が20Pa・s以下となる、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1記載のウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)、並びにポリイソシアネート化合物及び重合性モノマーから選ばれる少なくとも一種以上の化合物(B)を含む、請求項1〜2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3の樹脂組成物を60〜140℃の範囲で加温して塗装後、活性エネルギー線を照射、次いで養生して湿気硬化させることを特徴とする塗膜形成方法。
- 請求項1〜3の樹脂組成物を塗装後、該樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基が残っている状態で、その塗膜上に活性エネルギー線硬化性塗料を塗装してから活性エネルギー線を照射することを特徴とする塗膜形成方法。
- 活性エネルギー線の代わりに紫外線、又は電子線を用いることを特徴とする請求項4〜5に記載の塗膜形成方法。
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