JP2005306690A - 一酸化炭素転化方法 - Google Patents

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和弘 野村
Yoshihiko Ito
由彦 伊藤
Kiyoshi Yamazaki
清 山崎
Koji Sakano
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Abstract

【課題】CO転化率をさらに向上させる。
【解決手段】少なくともCO及び H2Oを含むガスをCO転化触媒に接触させることでH2を生成するにあたり、触媒反応系をプラズマ状態とする。
双極子モーメントを有するCO及び H2Oはプラズマによってラジカル化あるいはイオン化して活性化されるので、COシフト反応及びメタン化反応が同時に効率よく進行する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一酸化炭素(CO)と水蒸気( H2O)から水素(H2)を生成するCO転化方法に関し、詳しくはCO転化率をさらに高めたCO転化方法に関する。
アンモニアの合成、メタノールの合成、都市ガスなどにおけるCOの除去、あるいはオキソ合成におけるCO/H2比の調整などに、COシフト反応が応用されている。また近年では、内部改質型燃料電池の燃料改質システムにおけるCOの除去などにも用いられている。このCOシフト反応は、[化1]式に示すようにCOと H2OからH2を生成する反応であり、水性ガスシフト反応とも称されている。
Figure 2005306690
COシフト反応を促進させるCO転化触媒としては、例えば1960年代に Girdler社や du Pont社からCu−Zn系触媒が発表され、現在まで主として工場におけるプラント用などに幅広く利用されている。また、W.Hongli et al, China-Jpn.-U.S. Symp. Hetero. Catal. Relat. Energy Probl.,B09C,213(1982)には、アナターゼ型チタニアよりなる担体にPtを担持した触媒を 500℃付近で還元処理した触媒が、さらに高いCOシフト反応活性を示すことが報告されている。
またγ-Al2O3にPt、Rh、Pdなどの貴金属を担持した触媒もCOシフト反応活性を有することが知られている。そしてγ-Al2O3にCuを担持した触媒は、γ-Al2O3にPt、Rh、Pdなどの貴金属を担持した触媒よりもCOシフト反応活性が高いことも報告されている。
ところで、自動車などの移動体に搭載する内部改質型燃料電池の燃料改質システム、あるいは自動車排ガス中のCOをH2に改質し、そのH2を用いて触媒上に吸蔵されたNOx を還元する排ガス浄化システムなどに用いられるCO転化触媒としては、触媒反応器の大きさに制約があるため、空間速度の大きな反応条件下でも高い活性を示すことが必要となる。
ところが従来のCu−Zn系触媒では、空間速度が大きな反応条件下では活性が低いという不具合がある。そのため内部改質型燃料電池の燃料改質システム、あるいは自動車排ガス浄化システムなどのように空間速度が大きな反応条件下では、COをH2に効率よく転化することが困難となる。
また[化1]式の反応は平衡反応であり、反応温度が高いほど左矢印方向の反応が主流となって、COからH2への転化に不利となる。したがってCu−Zn系触媒では、空間速度の大きな反応条件での活性を補うことを目的とし、いくら反応温度を挙げても、COをH2に効率よく転化することはできない。
さらに、CO転化触媒を内部改質型燃料電池の燃料改質システム、あるいは自動車排ガス浄化システムなどに用いた場合には、使用条件によって一時的に反応場が高温雰囲気となる場合があるため、その場合には、Cu−Zn系触媒の活性種であるCu、あるいはγ-Al2O3にCuを担持した触媒のCuが容易に粒成長して活性が低下するという問題もあり、COをH2に効率よく転化することが一層困難となる。
さらにCOシフト反応用触媒を内部改良型電池の燃料改質システムに用いる場合は、[化1]式の反応から H2Oの濃度が高いほどH2を生成する反応が進行しやすいので、Cu−Zn系触媒などでは一般に H2O/CO比が2以上となる条件下で用いられる。
しかし、自動車のように限られた環境でこの反応を行うためには、多量の水を保存する水タンク及び大きな蒸発器などが必要となるため、装置が大きくなるという不具合がある。さらに水蒸気を供給するためには、水を蒸発させるための多量のエネルギーを必要とし、システム全体としてのエネルギー効率を低下させることになる。したがって、できるだけ少量の水蒸気で反応させることが望まれるものの、従来のCOシフト反応用触媒では H2O/CO比を低下させると活性が低下し、平衡値以下のH2しか得られなくなる。
そこで特開2001−347166号公報には、ルチル型酸化チタンにPtを担持したCO転化触媒が開示されている。このCO転化触媒によれば、 H2OとCOの両方が吸着しやすいので、表面に吸着した多量の H2OとCOの存在によってCOシフト反応活性が向上する。さらに[化1]式の左側の成分量が多くなれば、平衡論的には[化1]式の右矢印方向への反応が進行しやすくなる。これにより特に低温域におけるCOシフト反応活性が向上し、空間速度が大きな反応条件下でも効率よくCOがH2に転化される。したがって触媒反応器を小型化することができ、内部改質型燃料電池の燃料改質システム、あるいは自動車排ガス中のCOをH2に改質してNOx を還元するシステムなどに用いることが可能となる。
ところが[化1]式が平衡反応である以上、生成するH2にはCOが含まれている。このCOは、特に固体高分子型燃料電池の作動に悪影響を及ぼすので、できる限り少ないことが望ましい。しかし特開2001−347166号公報に記載のCO転化触媒を用いても、生成ガス中には比較的多いCOが含まれているので、COの転化率をさらに向上させることが望まれている。
また従来のCOシフト反応によるCO転化方法では、特に 300℃付近の低温域ではCOを十分に転化できずCO転化率が特に低いという問題があった。
なお特開平06−091138号公報には、排ガスの経路にプラズマ放電のための電極を配置し、電極間に活性金属種が担持された触媒層を形成してなる排ガス処理装置が開示されている。この装置によれば、プラズマ環境下におかれた触媒層に排ガスが接触することによってNOx がN2とO2に直接分解される。そしてO2は触媒の活性金属種に吸着して被毒・失活するものの、プラズマ環境下で容易に脱離して金属失活が抑制されるため、触媒の活性が維持されNOx の分解が促進される。この触媒層としては、ゼオライト、アルミナ、シリカのいずれかの担体に、Cu、Pt、Coのいずれかを担持したものが例示されている。
特開2001−347166号 特開平06−091138号
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、CO転化率をさらに向上させることを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明のCO転化方法の特徴は、少なくともCO及び H2Oを含むガスをCO転化触媒に接触させることでH2を生成するにあたり、触媒反応系をプラズマ状態とすることにある。
CO転化触媒は、ジルコニアを含む多孔質酸化物よりなる担体と、担体に担持された少なくともRhを含む触媒金属と、からなることが望ましい。この場合CO転化触媒は、平均結晶子径が2nm〜20nmのジルコニアを含むことが望ましい。またCO転化触媒の比表面積は、10m2/g〜 300m2/gであることが望ましい。
本発明のCO転化方法によれば、CO転化触媒によるCO転化率が例えば85%以上に向上する。したがって生成ガス中のCO量が低減されるので、特に固体高分子型燃料電池の燃料改質システムなどに有用である。
本発明のCO転化方法では、触媒反応系をプラズマ状態としている。反応ガス中には双極子モーメントを有するCO及び H2Oが含まれている。これらの分子はプラズマによってラジカル化あるいはイオン化して活性化されるので、[化1]式のCOシフト反応が効率よく進行するとともに、[化2]式に示すメタン化反応も同時に効率よく進行する。またプラズマによって触媒反応系の温度が上昇し、両反応の反応速度も向上する。したがって両反応によってCOが効率よく消費され、CO転化率が大きく向上する。
Figure 2005306690
CO転化触媒としては、γ-Al2O3にPt、Rh、Pdなどの貴金属を担持した触媒、特開2001−347166号に記載の触媒、ジルコニアにRhを担持した触媒などを用いることができる。中でも、ジルコニアを含む多孔質酸化物よりなる担体と、担体に担持された少なくともRhを含む触媒金属と、からなるCO転化触媒が特に好ましい。
このCO転化触媒において、担体は少なくともジルコニアを含むものであり、ジルコニア以外の多孔質酸化物としてはアルミナ、セリア、チタニアなどを用いることができる。担体中のジルコニアの含有量は、50重量%以上とすることが望ましい。担体中のジルコニアの含有量が50重量%より少ないと、CO転化率が実用的な範囲以下に低下してしまう。
またジルコニアの平均結晶子径は、2nm〜20nmの範囲が望ましい。平均結晶子径が2nm未満では触媒の耐熱性が低くなり、20nmを超えると触媒の活性が低くなる。
このCO転化触媒において、触媒金属は少なくともRhを含むことが望ましい。Rhを含まないとCO転化率が大きく低下するので、Rhの担持量はCO転化触媒の 0.1〜10重量%とすることが望ましい。Rhの担持量が10重量%を超えてもCO転化率が飽和し、コストが高騰してしまう。なおRh以外にPt、Pdなどの貴金属を担持することもできるが、その担持量は10重量%以下とすることが好ましい。
このCO転化触媒の形状としては、特に制限されるものではなく、例えば、粉末状のまま使用してもよく、ペレット状やモノリス状に成型して使用してもよく、ペレット状やモノリス状の基材にコーティングして使用してもよい。
プラズマの種類としては、パルスグロー放電、グロー放電、パルスコロナ放電などを利用することができる。プラズマ発生装置としては、反応ガス流路に一対の電極を配置し、その一対の電極間で放電させる装置を用いることができる。一対の電極は反応ガスの流れ方向に間隔を隔てて配置してもよいし、反応ガスの流れ方向に垂直方向に間隔を隔てて配置してもよい。プラズマ発生装置は、一般に1〜50kV程度の高電圧の印加によって放電プラズマが発生するように構成される。この高電圧源としては、直流パルス電圧、交流電圧あるいは交流パルス電圧などを用いることができる。例えば反応ガス流路に一対以上の電極を形成し、その電極間で放電させることでプラズマを発生させ、流路を流れる反応ガスを活性化することができる。電極の形状には特に制限はないが、細線、針状、エッジ状など放電しやすい形状とする、若しくは誘電体で覆うことが望ましい。
触媒反応系をプラズマ状態とするには、CO転化触媒の上流側で反応ガスをプラズマと接触させ、生成したラジカルあるいはイオンなどの活性種がCO転化触媒と接触するようにしてもよいし、CO転化触媒近傍でプラズマを発生させ、ラジカル化あるいはイオン化反応とCOシフト反応とが同時に生じるようにすることもできる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本実施例で用いたCO転化装置を示す。このCO転化装置では、石英製の反応管1(内径14mm)内にペレット状のCO転化触媒2が1g充填されている。CO転化触媒2が充填されている長さ5mmの部分では、反応管1の外周に金属箔3が巻かれ、CO転化触媒2内には中心軸部分に外径1mmの金属棒4が挿入されている。金属箔3及び金属棒4には、金属箔3がアース極、金属棒4が高圧電極となるように交流電源5が接続されている。
CO転化触媒2は、以下のように調製した。先ず所定量のジルコニア粉末(第1稀元素化学工業社製、平均結晶子径14nm)に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸し、蒸発・乾固後に大気中にて 300℃で3時間焼成した。これを成形した後粉砕し、整粒して 0.5〜 1.0mmのペレット触媒とした。このCO転化触媒2の比表面積は86m2/gであり、Rhの担持量は1重量%である。
このペレット触媒を反応管1内に1g充填し、表1に示すガスを反応管1内に2L/分の流量で流しながら金属棒4に高圧交流電圧(30W/±11kV、1kHz )を印加してCO転化触媒2内で放電プラズマを発生させた。そして入りガス温度を 300℃から降温させ、 300℃、 250℃、 200℃でそれぞれ温度が安定してから8分後に、出ガスをガスクロマトグラフによりそれぞれ分析した。
Figure 2005306690
そして次式によりCO転化率、CO2 生成率、CH4 生成率を算出し、結果を図2に示す。
CO転化率 ={(入口CO濃度−出口CO濃度)/入口CO濃度}× 100
CO2 生成率=(出口CO2 濃度/入口CO濃度)× 100
CH4 生成率=(出口CH4 濃度/入口CO濃度)× 100
(比較例1)
電圧の印加を止めて放電プラズマが発生しない状態で出ガスを分析したこと以外は実施例1と同様である。結果を図3に示す。
(実施例2)
CO転化触媒2として、チタニアにPtを担持した触媒を用いたこと以外は実施例1と同様である。チタニアは石原産業(株)製の触媒担体用酸化チタンを用い、ジニトロジアンミン白金溶液を用いてPtを1重量%担持した。結果を図4に示す。
(比較例2)
電圧の印加を止めて放電プラズマが発生しない状態で出ガスを分析したこと以外は実施例2と同様である。結果を図5に示す。
<評価>
実施例1においては、 300℃でのCO転化率は約85%であった。CO2 生成率及びCH4 生成率を合わせて考えると、転化した約85%のCOのうち約55%はCOシフト反応によってCO2 に転化し、約30%はメタン化反応によってCH4 に転化したことがわかる。一方、比較例1においては 300℃でのCO転化率は約30%であり、そのうち約20%はCOシフト反応によってCO2 に転化し、約10%はメタン化反応によってCH4 に転化している。
したがってジルコニアにRhを担持した触媒を用いた場合には、COシフト反応とメタン化反応の両反応によってCOが転化し、プラズマを共存させることによってCO転化率が大きく向上することが明らかである。プラズマによるこの格別な効果は、双極子モーメントを有するCO及び H2Oがプラズマによって活性化されたためと考えられる。
一方、実施例2と比較例2では、CO転化率がほとんど同等であり、CO転化率がCO2 生成率とほぼ等しくCH4 生成率がほぼゼロであることから、転化したCOのほとんどはCOシフト反応によって転化していることがわかる。したがってチタニアにPtを担持した触媒では、プラズマの共存下でもメタン化反応が起こらずCO転化率の向上は認められなかった。
上記事実から、以下のことが考察される。ジルコニアは酸素イオン導電性が比較的高いので、ジルコニアを担体とする触媒表面は放電のような電気的な影響に敏感であり、プラズマによって活性化されやすいと予想される。触媒表面が活性化されていると、気相中で活性化された反応ガスが触媒表面で失活するのが抑制され、CO転化率が向上すると考えられる。一方、チタニアは酸素イオン導電性が比較的低いので、チタニアを担体とする触媒表面は放電のような電気的な影響に鈍感であり、プラズマによって活性化されにくいと予想される。触媒表面が活性化されていないと、気相中で活性化された反応ガスが触媒表面で失活し、CO転化率の向上が認められなかったと考えられる。すなわち触媒によってプラズマの効果が異なるのは、活性化された反応ガスが触媒表面に接触したときに失活するかしないかに関わっているものと推察される。
したがって実施例2で用いたチタニアにPtを担持した触媒では効果が認められなかったものの、他の触媒では効果があるものが存在する可能性が大きい。
本発明のCO転化方法は、燃料電池の燃料改質システムに用いられるほか、自動車などの排ガス浄化用触媒としても用いることが可能である。
本発明の一実施例で用いたCO転化装置の構成を示す説明図である。 実施例1のCO転化方法における温度とCO転化率などとの関係を示すグラフである。 比較例1のCO転化方法における温度とCO転化率などとの関係を示すグラフである。 実施例2のCO転化方法における温度とCO転化率などとの関係を示すグラフである。 比較例2のCO転化方法における温度とCO転化率などとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1:反応管 2:CO転化触媒 3:金属箔 4:金属棒 5:交流電源

Claims (4)

  1. 少なくとも一酸化炭素及び水蒸気を含むガスをCO転化触媒に接触させることで水素を生成するにあたり、触媒反応系をプラズマ状態とすることを特徴とする一酸化炭素転化方法。
  2. 前記CO転化触媒は、ジルコニアを含む多孔質酸化物よりなる担体と、該担体に担持された少なくともロジウムを含む触媒金属と、からなる請求項1に記載の一酸化炭素転化方法。
  3. 前記CO転化触媒は、平均結晶子径が2nm〜20nmのジルコニアを含む請求項2に記載の一酸化炭素転化方法。
  4. 前記CO転化触媒の比表面積は10m2/g〜 300m2/gである請求項2又は請求項3に記載の一酸化炭素転化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010215468A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Ngk Insulators Ltd リアクタ

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