JP2005306303A - 作業車の走行伝動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クローラ走行車両等にあっては、左右のクローラに駆動回転差を有して操向旋回する緩旋回や、一方の駆動を切り乃至ブレーキをかけ旋回するブレーキ旋回等が行われるが、これらのサイドクラッチ作用の行われるクラッチギヤ等は高速回転の状態が多く、噛合形態のサイドクラッチでは、円滑なクラッチの噛合、離脱が行われ難い。
【解決手段】クラッチ軸1上の中央部にはセンタギヤ2を設けると共に、このセンタギヤ2の左右両側部には軸方向へ移動して噛合可能のサイドクラッチギヤ3を設けた作業車において、このクラッチ軸1の一側端部には、該センタギヤ2よりも低回転比の低速ギヤ4と、この低速ギヤ4に対して噛合のブレーキクラッチ5と、このブレーキクラッチ5切り時に押圧されて制動するサイドブレーキ6とを軸装したことを特徴とする走行伝動装置の構成とする。
【選択図】図1

Description

クラッチ軸上にサイドクラッチとサイドブレーキを配置した簡単な構成と、円滑なクラッチ作動を行わせる作業車の走行伝動装置に関する。
単一のクラッチ軸上に低速ギヤと高速ギヤ、及びこれらのギヤ間にわたって切替噛合されるサイドクラッチギヤ等を軸装し、これら左右いずれか一側のサイドクラッチギヤを高速側へ入れるときは他側のサイドクラッチギヤは低速側へ入っていて、左右の車軸に高低回転差をつけて連動駆動し、緩旋回連動を行わせる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特公平7−74010号公報(第1頁、図1)
低速走行の作業車、例えばクローラ走行車両等にあっては、左右のクローラに駆動回転差を有して操向旋回する緩旋回や、左右のいずれか一方のクローラの駆動を切り乃至ブレーキをかけ旋回するブレーキ旋回等が行われるが、作業車であってもこれらのサイドクラッチ作用の行われるクラッチ軸や、クラッチギヤ等は高速回転(例えば、最高回転900〜1,500rpm)の状態が多く、手動操作等で入り切りされる噛合形態(ドッグクラッチ形態)のサイドクラッチでは、円滑なクラッチの噛合、離脱が行われ難く、甚しきは、異音を発生したり、クラッチ歯の破損を生じ易い。又、この対策としてシンクロ機構や、湿式多盤形態のクラッチを構成すると、大形化、重量化となって生産コスト高になり易い。
請求項1に記載の発明は、クラッチ軸1上の中央部にはセンタギヤ2を設けると共に、このセンタギヤ2の左右両側部には軸方向へ移動して噛合可能のサイドクラッチギヤ3を設けた作業車において、このクラッチ軸1の一側端部には、該センタギヤ2よりも低回転比の低速ギヤ4と、この低速ギヤ4に対して噛合のブレーキクラッチ5と、このブレーキクラッチ5切り時に押圧されて制動するサイドブレーキ6とを軸装したことを特徴とする走行伝動装置の構成とする。センタギヤ2と低速ギヤ4は常時回転できる状態にあって、この低速ギヤ4にブレーキクラッチ5が噛合状態にあるときは、クラッチ軸1がセンタギヤ2よりも低い回転速で伝動される。ここで、サイドクラッチギヤ3がセンタギヤ2側へ噛合された状態では、左右の車軸は高速伝動され、センタギヤ2との噛合を外れてクラッチ軸1と一体化されると、左右の車軸は低速伝動される。このため、左側、又は右側の操向旋回操作により左右の車軸に回転差をつけた伝動で緩旋回を行わせることができる。更に、このサイドクラッチ切り操作において、クラッチ軸1一側端部のブレーキクラッチ5の噛合を外して、サイドブレーキ6を圧接させて制動すると、このサイドクラッチ切り側の車軸の付回り連動を制動して、ブレーキ旋回を行わせることができる。
請求項2に記載の発明は、前記クラッチ軸1上の各サイドクラッチギヤ3の外側には、このサイドクラッチギヤ3と噛合可能のクラッチメタル7を配置したことを特徴とするものである。前記のようなクラッチ軸1上でのサイドクラッチギヤ3の移動において、このサイドクラッチ切り側となる外側への移動では、クラッチメタル7と噛合されて、サイドクラッチギヤ3がこのクラッチ軸1と一体回転され、低速ギヤ4及びブレーキクラッチ5を経て伝動される低速回転で車軸駆動が行われる。
請求項3に記載の発明は、前記低速ギヤ4と、ブレーキクラッチ5、及びサイドブレーキ6は、ミッションケース8の外側に着脱可能のサイドケース9内に設けたことを特徴とするものである。クラッチ軸1は、前記センタギヤ2、サイドクラッチギヤ3、及びクラッチメタル7等をミッションケース8の内側に位置させた状態にして、両端部をこのミッションケース8の両側部に軸受けする。又、このミッションケース8の一側壁の外側には着脱可能のサイドケース9が取付けられるが、クラッチ軸1の一端部は、このサイドケース9内に延長された形態で、この延長されたクラッチ軸1の周りに、低速ギヤ4や、ブレーキクラッチ5、及びサイドブレーキ6等が設けられる。ミッションケース8は、このクラッチ軸1に連動するための入力軸や、変速ギヤ軸、カウンタギヤ軸等が軸受けされ、更には、左右の車軸へ連動する走行ギヤ軸等が軸受けされるが、前記のようにサイドブレーキ6等を外側のサイドケース9内に配置することにより、このサイドクラッチ部を内装するミッションケース8の軸方向幅の拡張を抑えて、他の各ギヤ軸を軸受けするのに適したミッションケース幅に合わせて、小幅で簡潔なミッションケースの形態とする。又、サイドケース9を外すことによって磨耗し易いサイドブレーキ6や、ブレーキクラッチ5等をクラッチ軸1端部に露出させることができ、これらの取替え等を行い易くする。
請求項1に記載の発明は、単一のクラッチ軸1上に沿って、センタギヤ2やサイドクラッチ軸3等の配置の他に、一側端部には低速ギヤ4や、ブレーキクラッチ5、及びサイドブレーキ6等を配置する構成は簡単であり、単一のサイドブレーキ6を左右のサイドクラッチ操作に共用化できて、左右のサイドブレーキ性能を均一化できる。低速ギヤ4によりクラッチ軸1を低速回転させた状態において、高速回転のセンタギヤ2に対するサイドクラッチギヤ3の入り切りを行わせたり、この低速ギヤ4に対するブレーキクラッチ5の入り切りを行わせるため、噛合相互間のクラッチ部の回転差を利用したり、低速ギヤ4の低回転域においてクラッチ部の入り切りを円滑に行わせることができる。しかも、このクラッチ部の形態を噛合形態として、小形、軽量、安価な構成とすることができる。又、サイドブレーキ6を低速ギヤ4やブレーキクラッチ5等と共に、クラッチ軸1の一端部に取付ける形態とすることによって、サイドクラッチ操作形態のクラッチ軸1を用いて、緩旋回仕様とブレーキ旋回仕様を簡単、容易に得ることができる。
請求項2に記載の発明は、前記サイドクラッチギヤ3のクラッチメタル7に対する噛合においても、クラッチ軸1が低速回転してこのクラッチメタル7も一体回転しているため、サイドクラッチギヤ3の入り切りを円滑に行わせることができる。このため、これらサイドクラッチギヤ3とクラッチメタル7との間のクラッチ部の構成をも噛合形態として前記他のクラッチ部と同様に簡単化することができる。
請求項3に記載の発明は、クラッチ軸1部のミッションケース8の軸方向幅を狭くすることができるため、他の各ギヤ軸を軸受けする部分のミッションケース8幅と同形態として、ミッションケース8部全体の軸方向幅を略一定形態として簡潔的で、安価な構成とすることができる。サイドブレーキ6やブレーキクラッチ5等は、このミッションケース8に対するサイドケース9の着脱によって簡単に取替え操作することができ、メンテナンス性を容易にすることができる。
図例に基づいて、作業車体は、左右一対のクローラ10を、トラックフレームに沿って配置の駆動スプロケット11や、端部転輪、中間転輪等に巻き掛けて案内させ、駆動スプロケット11を、車体上に搭載のエンジンの駆動でミッションケース8等の伝動機構を介して伝動回転することによって、これらクローラ10を駆動して走行させることができる。車体は走行操縦形態、又は乗用操縦形態とするが、ミッションケース8、及びこの変速ギヤ12を切替操作する変速レバー13や、サイドクラッチギヤ3を操作するサイドクラッチレバー14等は、車体の操縦ハンドル乃至操縦台等の近く配置される。このミッションケース8は、左右一対の割形ケースを中央部で接合させる形態で、略平行状のケース壁面に形成される。このミッションケース8の一側面にサイドケース9がボルト15締めで着脱可能に設けられる。このミッションケース8の上端部には、変速レバー13や、サイドクラッチレバー14等が配置され、上端内部には、変速ギヤ12を配置する変速軸16や、この変速軸16上のサイドケース9部に軸受けされる入力軸17等が配置され、下端部には、左右両側方に張出す車軸18としてスプロケット11軸が設けられる。これらスプロケット11を連動する車軸18は、クローラ10を巻回させるトラックフレームに支持させるアクスルハウジング19内に被覆される。
前記入力軸17の外側端には入力プーリ20を有して、エンジン側からベルト伝動される。ミッションケース8内には、前記変速軸16等の他に、カウンタ軸21,22、クラッチ軸1、及び、車軸減速ギヤ軸23等が回転自在に軸受けされる。このうち変速ギヤ軸16上には、変速シフタステー24上のシフター25によって軸方向へ操作移動される一速ギヤ26、二速ギヤ27、及び三速四速ギヤ28等の変速ギヤ12が配置される。又、この変速軸16の入力軸17側端には、サイドケース9内において湿式多盤形態の主クラッチ29が設けられて、入力軸17の回転を変速軸16側へ入り切りすることができる。カウンタ軸21には、前記各変速ギヤ26,27,28等と切替噛合されるカウンタギヤ30,31,32,33や、バックカウンタ軸22上のバックカウンタギヤ34を介して噛合連動するバックギヤ35、及びこのカウンタ軸21の回転をクラッチ軸1上のセンタギヤ2へ噛合連動する出力カウンタギヤ36等を配置している。このカウンタ軸21一側端のサイドケース9内部には、クラッチ軸1の低速ギヤ4と常時噛合の低速出力カウンタギヤ37が設けられる。前記変速軸16上の一速ギヤ26は、カウンタ軸21上のカウンタギヤ30と、バックカウンタ軸22上のバックカウンタギヤ34とに切替えられることによって、カウンタ軸21を前進一速位置と後進位置とに切替えて伝動することができる。
前記クラッチ軸1はサイドケース9内に延長させて、先端部をこのサイドケース9に対して軸受けさせている。このクラッチ軸1上には、ミッションケース8内において、中央部に前記出力カウンタギヤ36と常時噛合のセンタギヤ2を回転自在に軸装し、このセンタギヤ2の左右両側部にサイドクラッチギヤ3が回転自在に軸装され、更に、この外側でミッションケース8内の内側面近くにはクラッチメタル7がこのクラッチ軸1と一体回転するように設けられる。センタギヤ2の左右両側部と、これに対向する左右サイドクラッチギヤ3との間には、このサイドクラッチギヤ3の軸方向移動によって、噛合、離脱しうる噛合形態の高速側サイドクラッチHが構成される。又、各サイドクラッチギヤ3と、この外側に対向するクラッチメタル7との間には、このサイドクラッチギヤ3の軸方向移動によって、噛合、離脱しうる噛合形態の低速側サイドクラッチLが構成される。
これら各サイドクラッチギヤ3は、前記サイドクラッチレバー14によって、連動ロッド41や、二又状の回動アーム42、この回動アーム42と一体のカム43によって回動されるカムアーム44等を介して、連動回動されるシフター45により軸方向へ移動操作される。カム43は一部切欠凹部を形成した円形状で、カムアーム44のカムローラを摺動させている。46はアーム軸で、回動アーム42やこれと一体のカム43を回動自在にしてミッションケース8に支持する。47はシフタ軸で、カムアーム44とこれと一体のシフター45を回動自在に支持する。これらサイドクラッチギヤ3とクラッチメタル7との間にはスプリング48を設けて、サイドクラッチギヤ3を常時センタギヤ2側へ弾発させて高速側サイドクラッチH入り位置にしている。該シフター45によるサイドクラッチギヤ3は、このスプリング48力に抗して外側へ移動されて、該高速側サイドクラッチH切り位置にすると共に、クラッチメタル7に噛合させて低速側サイドクラッチL入り位置に切替えできる。
このようなクラッチ軸1のサイドケース9内には、ミッションケース8の外側面近くに前記カウンタ軸21端の低速出力カウンタギヤ37と常時噛合の低速ギヤ4が回転自在に軸装される。この低速ギヤ4の外側に湿式多盤形態のサイドブレーキ6が設けられる。このサイドブレーキ6のブレーキコア49が、スプリング50で内側の低速ギヤ4側へ弾発されている。ブレーキクラッチ5は、これら低速ギヤ4とブレーキコア49との対向部に噛合形態として形成される。このブレーキコア49の外周部に嵌合されて一体回転する形態のプレッシャプレート51を、このスプリング50に抗する外側への移動によってサイドブレーキ6を押圧制動するものである。これら低速ギヤ4とブレーキコア49との対向部間に噛合形態のブレーキクラッチ5が構成される。通常時はブレーキコア49がスプリング50に押されて、ブレーキクラッチ5が入り位置でサイドブレーキ6がブレーキ解除位置にあるが、このブレーキコア49をスプリング50に抗して外側へ引くことにより、ブレーキクラッチ5が切り位置となりサイドブレーキ6が制動位置となるように構成されている。
このようなブレーキクラッチ5乃至サイドブレーキ6の制動操作は、前記サイドクラッチレバー14によってリンク連動される。前記サイドクラッチギヤ3を操作する回動アーム42先端のアームピン60を、長穴53に嵌合させたブレーキプレート54が設けられ、このブレーキプレート54によってブレーキコア49をスプリング50に抗して外側へ引くことができるように連動構成している。
このようなクラッチ軸1上のセンタギヤ2と低速ギヤ4とは、カウンタ軸21上の出力カウンタギヤ36と低速出力カウンタギヤ37との噛合ギヤ比により、センタギヤ2側を高速回転(例えば、四速時の最高回転を略1,500rpm)と低速ギヤ4側を低速回転(例えば、四速時の最高回転を略900rpm)として設定している。このため高速側サイドクラッチHは、センタギヤ2とサイドクラッチギヤ3との間で、クラッチ軸1が低速回転されている回転差(1,500−900rpm)の条件のもとで入り切りされる。又、この低速側サイドクラッチLは、サイドクラッチギヤ3と低速回転のクラッチメタル7との間で、低速回転(900rpm)以下の条件内で入り切りされる。更に、ブレーキクラッチ5は、低速ギヤ4とクラッチ軸1側のブレーキコア49との間で、低速回転(900rpm)以下の条件内で入り切りされる。
このようにしてクラッチ軸1上での高速側サイドクラッチHや、低速側サイドクラッチL、ブレーキクラッチ5等が入り切りされるが、車軸18への連動は、各サイドクラッチギヤ3を、減速ギヤ軸23上に軸装された減速ギヤ55に常時噛合させて、更にこの減速ギヤ55を各車軸18の車軸ギヤ56に噛合連動させる。ミッションケース8の一側部には駐車ブレーキ57が取付けられている。この駐車ブレーキ57は、最低速回転のカウンタ軸22の側端部をミッションケース8の外側へ突出させて、このカウンタ軸22の回転を制動することができる。
前記左右一対のサイドクラッチレバー14は、車体上のレバーガイド61に形成される前後方向の案内穴62に案内させるもので、前端部を高速側サイドクラッチH入り位置Aとし、後端部をサイドブレーキ6の制動したブレーキ位置Bとしている。これらの操作領域間には、高速側サイドクラッチH切り位置Cや、中立位置N、緩旋回位置D、及びブレーキクラッチ5解除位置E等の操作領域が設定される。前記カムアーム44の先端部はカム43の凹部に嵌合した位置にある状態では、サイドクラッチギヤ3がセンタギヤ2のクラッチ部に係合して高速側サイドクラッチH入り位置Aにある。この位置Aからサイドクラッチレバー14を後側へ回動して回動アーム42を回動させると、カムアーム44が円形状のカム43の切欠凹部から押出されるように回動され、シフター45によりサイドクラッチギヤ3がセンタギヤ2のクラッチ部から外れるようになり高速側サイドクラッチH切り位置Cとなる。このようにして回動アーム42が回動されると、サイドクラッチギヤ3は、センタギヤ2のクラッチ部から完全に抜けて、しかも外側のクラッチメタル7とも噛合しない回動自在の状態の中立位置Nとなる。このようなサイドクラッチレバー14の操作行程において、サイドクラッチ入り位置Aから切り位置Cにわたる操作域では、サイドクラッチギヤ3はセンタギヤ2のクラッチ部に噛合しているため、このセンタギヤ2の回転はこのサイドクラッチギヤ3を経て同側の減速ギヤ55へ噛合連動して高速回転する。
次に、このサイドクラッチレバー14を中立位置Nから更に後側へ操作すると、回動アーム42の回動によって、前記カムアーム44が切欠凹部から完全に円形状カム43面に押出される。そして、このカムアーム44によってシフター45を介してサイドクラッチギヤ3がクラッチメタル7へ押されて低速側サイドクラッチL入りとなって緩旋回位置Dとなる。このため、サイドクラッチギヤ3を操作連動のカムアーム44は、前記高速側サイドクラッチH入り位置Aから緩旋回位置Dの操作領域においてシフタ軸47の周りに回動される。この緩旋回位置Dを過ぎる操作域E,Bでは円形状のカム43の外周に案内されて、サイドクラッチギヤ3はクラッチメタル7に噛合した状態を維持される。この緩旋回位置Dからサイドクラッチレバー14を更に後側へ操作すると、長穴53に対するアームピン60の嵌合が遊合状態にあったのが、このアームピン60が長穴53の先端部に係止して、ブレーキプレート54をこの回動アーム42の回動方向へ引いて、前記ブレーキコア49を外側へ移動させて、ブレーキクラッチ5の噛合を外すもので、ブレーキクラッチ5解除位置Eの操作領域となる。このようにしてブレーキクラッチ5が切りになると、ブレーキコア49は回転駆動されないため、クラッチ軸1や、クラッチメタル7、及びこれに噛合のサイドクラッチギヤ3等は駆動されない回動自在の状態となる。このときのサイドクラッチギヤ3は車軸18側の減速ギヤ55とは噛合した状態にある。
そして、サイドクラッチレバー14を後端のブレーキ位置Bへ操作すると、ブレーキコア49と一体にプレッシャプレート51がサイドブレーキ6に圧接されて、制動力を高められてロック状態となる。このときブレーキコア49が回動できないため、クラッチ軸1、及びこれと一体化されているサイドクラッチギヤ3乃至車軸18等の付回りが制動されることとなる。
このようなサイドクラッチレバー14による操作領域は左右のサイドクラッチレバー14毎に各別に設定される。このため、例えば、左側へ緩旋回したり、ブレーキ旋回するときは、右側のサイドクラッチレバー14は高速側サイドクラッチH入り位置Aに操作した状態で、左側のサイドクラッチレバー14を中立位置Nや、緩旋回位置D、ブレーキ位置B等へ操作することによって旋回操作モードを選択することができる。
又、このような緩旋回操作は、走行条件が雪上走行による作業のように特殊な場合であることが多く、サイドクラッチレバー14の緩旋回位置Dがレバーガイド61の案内穴62の途中位置になるため、この緩旋回位置Dでの操作位置決めを的確、容易化するために、レバーガイド61に切替アーム63を出没可能に設ける(図3)。この切替アーム63を案内穴62の緩旋回位置Dに突出させることによって、前側から後方のブレーキ位置Bへ操作されるサイドクラッチレバー14を係止しうるようにしている。緩旋回を行わないでブレーキ旋回を行うことが多いときは、この切替アーム63を案内穴62の外側へ回動して退避させておくことができる。
前記のようにクラッチ軸1上ではセンタギヤ2と、低速ギヤ4が常時回転状態にある。通常は、左右のサイドクラッチレバー14を高速側サイドクラッチH入り位置Aにおくときは、左右のサイドクラッチギヤ3がセンタギヤ2側へスプリング48により押されて共に入りの状態にあり、このセンタギヤ2の回転は、これら左右のサイドクラッチギヤ3を介して各減速ギヤ55へ伝動されて、高速伝動の直進走行状態とすることができる。このとき、ブレーキクラッチ5はスプリング50に押されて噛合していて、低速ギヤ4からブレーキコア49を介してクラッチ軸1が連動状態にあり、かつサイドブレーキ6は解除位置にあるため、クラッチ軸1は低速回転の状態にある。
次に、例えば、左側へ操向旋回する場合には、左サイドクラッチレバー14を後側へ操作して、左サイドクラッチギヤ3を軸方向へ移動させて高速側サイドクラッチH切り位置Cとし、センタギヤ2とのクラッチ噛合を外すと中立位置Nとなり、この左サイドクラッチギヤ3はセンタギヤ2やクラッチ軸1側からは駆動されないフリーの状態となる。更に、この左サイドクラッチギヤ3を外側へ移動操作してサイドクラッチ7へ噛合させると緩旋回位置Dとなり、前記ブレーキクラッチ5を介して回転されるクラッチ軸1の回転は、これらサイドクラッチ7と噛合のサイドクラッチギヤ3を介して左車軸18側へ連動される。このため、右車軸18は高速回転状態で、左車軸18が低速回転状態として共に駆動されて、これらの回転差により車体は左回りの緩旋回走行となる。又、右回りの緩旋回操作も右サイドクラッチレバー14で同様にして行われる。
次に、例えば、左回りのブレーキ旋回をするときは、前記左サイドクラッチレバー14を緩旋回位置Dから更に後側へ回動操作してブレーキクラッチ解除位置Eとする。これによってブレーキクラッチ5が切りになってブレーキコア49がフリーの状態となる。ここで左車軸18側からの付回りがあるが、更にこの左サイドクラッチレバー14をブレーキ位置Bへ操作すると、プレッシャプレート51によってサイドブレーキ6が圧接されてクラッチ軸1等の付回りを制動して停止することができる。このとき、右側のサイドクラッチギヤ3はセンタギヤ2に高速側サイドクラッチH入り位置Aにあって、右車軸18は高速駆動回転されているため、左回りのブレーキ旋回が行われる。このようなブレーキ旋回操作は右サイドクラッチレバー14でも同様にして行われる。
この発明の技術は、特にクローラ走行作業車の走行伝動装置として有効であるが、コンバインや、水田土壌中を車輪走行する形態の田植機等にも利用できる。又、作業車としては農作業機や土木作業機、更には、雪上走行しうる融雪剤散布車等にも実施することができる。
一部伝動機構の拡大正面図。 一部伝動機構の拡大正面図。 伝動機構の正面図。 ミッションケース部正面図。 その側面図。 サイドクラッチ操作連動部の拡大正面図。
符号の説明
1 クラッチ軸
2 センタギヤ
3 サイドクラッチギヤ
4 低速ギヤ
5 ブレーキクラッチ
6 サイドブレーキ
7 クラッチメタル
8 ミッションケース
9 サイドケース

Claims (3)

  1. クラッチ軸(1)上の中央部にはセンタギヤ(2)を設けると共に、このセンタギヤ(2)の左右両側部には軸方向へ移動して噛合可能のサイドクラッチギヤ(3)を設けた作業車において、このクラッチ軸(1)の一側端部には、該センタギヤ(2)よりも低回転比の低速ギヤ(4)と、この低速ギヤ(4)に対して噛合のブレーキクラッチ(5)と、このブレーキクラッチ(5)切り時に押圧されて制動するサイドブレーキ(6)とを軸装したことを特徴とする走行伝動装置。
  2. 前記クラッチ軸(1)上の各サイドクラッチギヤ(3)の外側には、このサイドクラッチギヤ(3)と噛合可能のクラッチメタル(7)を配置したことを特徴とする請求項1に記載の作業車の走行伝動装置。
  3. 前記低速ギヤ(4)と、ブレーキクラッチ(5)、及びサイドブレーキ(6)は、ミッションケース(8)の外側に着脱可能のサイドケース(9)内に設けたことを特徴とする請求項1、又は2に記載の作業車の走行伝動装置。
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