JP2005306269A - 車載情報提供装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示される情報を注視する乗員が感じる違和感・不快感を軽減し、表示される情報が見やすい車載情報提供装置を得る。
【解決手段】制御部105は、画像表示部107のピッチ方向(上下方向)の移動量、ならびに、画面と乗員の眼球との間の相対変位の変化に起因する表示画像の動きをキャンセルするように、表示する享楽画像の表示位置をピッチ方向に変位させるための変位量を算出する。制御部105はさらに、享楽画像を変位させるために享楽画像を縮小して余白を設ける(享楽画像を変形する)ための変形量を算出する。この余白の範囲で享楽画像を変位させることにより、画像変位後の享楽画像がただちに画面枠から外れることが防止され、乗員にとって享楽画像の見やすさが損なわれることがない。
【選択図】図1


Description

本発明は、車両内で画像などを表示する車載情報提供装置に関する。
画像などを表示する表示装置に関し、観察者が動いた場合に当該観察者に違和感を与えないようにする技術が知られている。特許文献1には、表示装置と観察者との間にフレネルレンズなどの光学素子を配設した表示装置が開示されている。この表示装置では、フレネルレンズによって無限遠に近い位置に投影される虚像を観察者が観察する。観察者がフレネルレンズの法線に対して下側から観察すると法線より上側に、法線に対して上側から観察すると法線より下側に、それぞれ投影像が観察される。
また、特許文献2には、表示装置を観察者の頭部に固定した表示装置が開示されている。この表示装置では、当該観察者の頭部の動きに応じて、表示映像を頭部の動きと逆にスクロールさせることにより、観察者にとって映像があたかも固定されているかのように見える。
特開平10−73785号公報 特開平8−220470号公報
特許文献1の技術では、ディスプレイと観察者との間に光学素子を配設するので、たとえば、車両内に配設されたディスプレイを観察する場合には、光学素子用の光路スペースを確保する必要性から小型化が難しい。さらに、車両揺動によってディスプレイが観察者に対して回転運動する場合には、観察者の視線方向が変化して当該観察者が違和感を感じてしまう。また、特許文献2の技術では、表示装置を頭部に固定しているので、車両内に取り付けられている表示装置による映像を観察する場合には適さない。
本発明による車載情報提供装置は、車両の動きを検出し、検出信号を用いて表示手段に表示される画像の並進方向の変位を演算し、この変位をキャンセルするように画像の表示位置をリアルタイムに変位させるとともに、変位後の画像が表示手段の有効表示範囲から逸脱する程度を抑えるようにするものである。
本発明によれば、表示される情報を注視する乗員が感じる違和感・不快感を軽減し、表示される情報が見やすい車載情報提供装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態による車載情報提供装置の構成を説明する図である。図1において、車載情報提供装置100は、車両運動検出部101と、人体データベース部102と、乗員運動推定部103と、情報源装置104と、制御部105と、画像変形・変位部106と、画像表示部107とを有する。観察者は、車両内の座席(不図示)に着座して画像表示部107に表示される情報を観察する。
車両運動検出部101は、車両の並進運動、および車両の回転運動をそれぞれ検出し、検出信号を乗員運動推定部103および制御部105へそれぞれ出力する。人体データベース部102は、車両揺動に対する人体頭部の揺動伝達関数を示すデータを格納する。格納データは、あらかじめ複数の被験者に関して計測したデータがデータベース化されたものである。車両揺動は、車両運動の検出値によって示される。
乗員運動推定部103は、車両運動を示す検出信号を用いて、観察者(この場合は車両の乗員)の頭部運動を示す情報を人体データベース部102から読み出し、乗員の頭部、とくに眼球の運動(変位)を推定する。乗員運動推定部103は、推定した眼球の変位を示す情報を制御部105へ送出する。
情報源装置104は、外部機器(不図示)から入力される表示データを制御部105へ送出する。表示データは、画像表示部107に表示する画像などのデータである。本説明では、外部機器から入力される表示データを享楽情報と呼ぶことにする。享楽情報による画像は享楽画像である。
制御部105は、上記検出した眼球の変位および車両運動に基づいて画像表示部107に表示される画像の変位量および画像の変形量を決定する。画像の変位量は、画像表示部107の表示画面内で享楽情報の表示位置をリアルタイムに移動させる(画像シフトする)移動量である。画像の変形量は、画像変位によって享楽情報の表示が表示画面外へ逸脱する程度を抑えるように享楽情報の表示形状を変形させる変形量である。表示画像の変位および変形の詳細については後述する。制御部105は、画像の変位量および変形量を決定する他に、車載情報提供装置100の各部を制御するように構成されている。
画像変形・変位部106は、制御部105によって決定された変位量および変形量にしたがって享楽情報の表示データを加工する。データ加工後の表示データは、画像表示部107の入力インターフェイスに応じた表示信号として画像表示部107へ出力される。
画像表示部107は、たとえば、液晶表示器などで構成され、車室内で乗員に対して車両の進行方向(たとえば、前方)に配設されている。画像表示部107は、入力された表示信号による画像やテキストなどを液晶表示パネルに表示する。
本発明は、車両の加減速状態であっても画像表示部107に表示されている画像を観察する乗員に違和感・不快感を与えないようにするものである。第一の実施の形態では、乗員の頭部(とくに眼球)と画像表示部107との相対変位を算出し、画像表示部107の表示画面内で画像(テキストを含む)の表示位置を相対変位に応じて変位させるとともに、変位した画像が表示画面から逸脱する程度を抑えるように画像を縮小する。
車載情報提供装置100の制御部105で行われる画像変位量および変形量を決定する処理の流れについて、図2のフローチャートを参照して説明する。図2のステップS10において、制御部105は、画像表示部107の画面電源がオンされているか否かを判定する。制御部105は、画面電源がオンされている場合にステップS10を肯定判定してステップS20へ進み、画面電源がオンされていない場合にはステップS10を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。
ステップS20において、制御部105は、変数Tout、Tin、FlagTout、FlagTinをそれぞれ初期値0にリセットしてステップS30へ進む。Toutは、画像変位量の絶対値が所定値L0を超えると計時開始され、計時値が所定値Tout_0を超えると0にリセットされる計時時間である。Tinは、画像変位量の絶対値が所定値L0以下になると計時開始され、計時値が所定値Tin_0を超えると0にリセットされる計時時間である。FlagToutは、Toutが計時開始されると1にされ、画像変位量の絶対値が所定値L0以下になると0にリセットされるフラグである。FlagTinは、Tinが計時開始されると1にされ、画像変位量の絶対値が所定値L0を超えると0にリセットされるフラグである。
ステップS30において、制御部105は、車両運動検出部101へ指令を出力し、車両の運動を検出させて(運動測定)ステップS40へ進む。これにより、車両運動検出部101が車両の並進運動および回転運動(たとえば、ピッチ動)をそれぞれ検出する。
ステップS40において、制御部105は乗員運動推定部103へ指令を出力し、乗員の頭部の運動を推定させてステップS50へ進む。具体的には、乗員運動推定部103が人体データベース部102を検索し、最新の車両運動の検出値に対応する人体揺動伝達関数をデータベースより選択する。乗員運動推定部103は、選択した人体揺動伝達関数、ならびに車両運動の検出値を用いて乗員の頭部(とくに眼球)の運動(とくに上下動)の推定値を算出し、算出結果を制御部105へ送出する。
ステップS50において、制御部105は、車両運動を示す検出信号を用いて、車両の回転運動にともなう並進方向の画面移動量を算出し、ステップS60へ進む。この場合の画面移動量は、画像表示部107のピッチ方向(上下方向)の移動量である。
ステップS60において、制御部105は、画像表示部107による表示画面および眼球間の相対変位を算出し、ステップS70へ進む。具体的には、画像表示部107の画面移動量および乗員頭部運動の推定値に基づいて相対変位を得る。
ステップS70において、制御部105は、画面の上下移動量および上記相対変位を用いて、画像表示部107に表示される画像が乗員にとって空間上に安定して見えるために必要な画像の変位量Loutを算出し、ステップS80へ進む。
ステップS80において、制御部105は、算出した変位量Loutの絶対値が所定値L0を超えているか否かを判定する。制御部105は、|Lout|>L0が成立する場合にステップS80を肯定判定してステップS90へ進み、|Lout|>L0が成立しない場合にはステップS80を否定判定し、ステップS150へ進む。所定値L0はあらかじめ決められている値である。ステップS90へ進む場合は、変位量Loutのとおりに画像を変位させることによって変位後の享楽画像が画像表示部107の有効表示範囲(すなわち画面枠)から所定の逸脱量より大きく逸脱する場合である。ステップS150へ進む場合は、変位量Loutのとおりに画像を変位させる場合に変位後の享楽画像が画面枠から逸脱する量が所定の逸脱量以下の場合である。
ステップS90において、制御部105は、FlagTinを0にリセットしてステップS100へ進む。ステップS100において、制御部105は、FlagTout=0か否かを判定する。制御部105は、FlagTout=0の場合にステップS100を肯定判定してステップS110へ進み、FlagTout≠0の場合にはステップS100を否定判定し、ステップS120へ進む。ステップS110へ進む場合は、所定量を超える変位量Loutが新たに算出された場合である。ステップS120へ進む場合は、既にToutが計時中の場合である。
ステップS110において、制御部105は、Toutの計時(計測)を開始するとともに、FlagToutに1をセットしてステップS120へ進む。ステップS120において、制御部105は、Tout>Tout_0が成立するか否かを判定する。制御部105は、Tout>Tout_0が成立する場合にステップS120を肯定判定してステップS130へ進み、Tout>Tout_0が成立しない場合にはステップS120を否定判定し、ステップS210へ進む。ここで、Tout_0はあらかじめ決められている時間である。
ステップS130において、制御部105は、画像縮小率を増加させてステップS140へ進む。画像縮小率は上述した変形量に対応する。ステップS140において、制御部105は、Toutを0にリセットしてステップS210へ進む。
上述したステップS80を否定判定して進むステップS150において、制御部105は、FlagToutを0にリセットしてステップS160へ進む。ステップS160において、制御部105は、FlagTin=0か否かを判定する。制御部105は、FlagTin=0の場合にステップS160を肯定判定してステップS170へ進み、FlagTin≠0の場合にはステップS160を否定判定し、ステップS180へ進む。ステップS170へ進む場合は、所定量以下の変位量Loutが新たに算出された場合である。ステップS180へ進む場合は、既にTinが計時中の場合である。
ステップS170において、制御部105は、Tinの計時(計測)を開始するとともに、FlagTinに1をセットしてステップS180へ進む。ステップS180において、制御部105は、Tin>Tin_0が成立するか否かを判定する。制御部105は、Tin>Tin_0が成立する場合にステップS180を肯定判定してステップS190へ進み、Tin>Tin_0が成立しない場合にはステップS180を否定判定し、ステップS210へ進む。ここで、Tin_0はあらかじめ決められている時間である。
ステップS190において、制御部105は、画像縮小率を減少させてステップS200へ進む。ステップS200において、制御部105は、Tinを0にリセットしてステップS210へ進む。
ステップS210において、制御部105は、画像変形・変位部106へ表示データ、算出した画像変位量および変形量(この場合は画像縮小率)を示す情報を送り、表示データに対して画像加工を行うように指示してステップS220へ進む。これにより、画像変形・変位部106が上記変位量・変形量に応じて表示データを加工する。
ステップS220において、制御部105は、画像表示部107へ指令を送り、加工後の表示データによる画像を表示させてステップS230へ進む。これにより、画面内を変位、変形した画像が画像表示部107に表示される。ステップS230において、制御部105は、画像表示部107の画面電源がオフされたか否かを判定する。制御部105は、画面電源がオフされた場合にステップS230を肯定判定し、図2による処理を終了する。一方、制御部105は、画面電源がオフされていない場合にステップS230を否定判定し、ステップS30へ戻って上述した処理を繰り返す。
(表示画像の変位)
表示画像の変位(画像シフト)の詳細について説明する。車両の加減速にともなうピッチ方向の運動について着目する場合、乗員の眼球および画像表示部107間の相対位置の変位は次の2つに大別される。
A.車両側に生じるピッチ動に起因するもの
B.乗員側(とくに眼球)に生じるピッチ動に起因するもの
上記Aについて図3(a)を参照して説明する。車両が減速すると、車両の前部が沈むノーズダイブ現象が生じる。画像表示部107の表示画面が乗員に対して車両の進行方向に位置する場合は、ノーズダイブによって画像表示部107にピッチ方向(この場合下向き)の回転運動が生じる。そこで制御部105は、画像表示部107の移動をキャンセルするようにピッチ方向(この場合上向き)に享楽情報の表示位置を変位させるための変位量を算出する。
図3(b)は、ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルするための画像変位が行われた画像表示部107の表示画面を示す図である。画像表示部107の下方への移動量に応じて、画像表示部107に表示される享楽情報を上方へ変位させる結果、表示される享楽情報および眼球間の相対変位が0になり、乗員にとって享楽情報が空間上に安定して見えるようになる。
車両減速時のノーズダイブと反対に、車両が加速すると車両の後部が沈むスクワット現象が生じる。画像表示部107の表示画面が乗員に対して車両の進行方向に位置する場合は、スクワットによって画像表示部107にピッチ方向(この場合上向き)の回転運動が生じる。そこで制御部105は、画像表示部107の移動をキャンセルするようにピッチ方向(この場合下向き)に享楽情報の表示位置を変位させるための変位量を算出する。
図3(c)は、スクワット時に車両ピッチ動をキャンセルするための画像変位が行われた画像表示部107の表示画面を示す図である。画像表示部107の上方への移動量に応じて、画像表示部107に表示される享楽情報を下方へ変位させる結果、表示される享楽情報および眼球間の相対変位が0になり、乗員にとって享楽情報が空間上に安定して見えるようになる。
上記Bについて図4(a)を参照して説明する。実際の車両減速時・加速時においては、乗員の頭部にもピッチ方向の回転運動が生じる。車両減速時に乗員の頭部が前方に回転すると、画像表示部107の位置が移動しない場合は、画像表示部107に対して乗員の頭部(とくに眼球)の位置が下方へ移動する。そこで制御部105は、乗員の眼球の下方移動量に応じて画像表示部107に表示される享楽情報を下方へ変位させるための変位量を算出する。図4(b)は、ノーズダイブ時に頭部ピッチ動をキャンセルするための画像変位が行われた画像表示部107の表示画面を示す図である。この場合の画像変位の向きは、スクワット時に車両ピッチ動をキャンセルする向きと同様である。
車両減速時と反対に、車両加速時に乗員の頭部が後方に回転すると、画像表示部107の位置が移動しない場合は画像表示部107に対して乗員の頭部(とくに眼球)の位置が上方へ移動する。そこで制御部105は、乗員の眼球の上方移動量に応じて画像表示部107に表示される享楽情報を上方へ変位させるための変位量を算出する。この場合の画像変位の向きは、ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルする向きと同様である。
本実施形態では、画像表示部107および眼球間の相対変位を求め、この相対変位に応じて享楽情報の画像変位を行うので、上記AおよびBの両ピッチ動による影響をキャンセルするように画像変位を行うことが可能である。
(画像縮小率の変更)
表示画像の変形の詳細について説明する。画像表示部107および眼球間の相対変位に応じて画像変位を行うと、変位後の享楽画像が画像表示部107の画面枠から逸脱するおそれが生じる。そこで、享楽画像が画面枠から逸脱する場合でもその程度を軽減するように享楽画像の周辺部に余白部(すなわち、移動代)を設けるための画像の加工を行う。
図5(a)は、画像変位前における画像表示部107の表示画面を示す図であり、享楽画像が表示画面の画面枠いっぱいに表示されている。この状態で車両にノーズダイブなどのピッチ動が生じると、上下方向への画像変位によって享楽画像の上部または下部が画面枠からはみ出してしまう。
図5(b)は、享楽画像の周囲に余白部を設けるように享楽画像を縮小する画像加工が行われた後の表示画面を示す図である。図5(a)に比べて、縮小された享楽画像の周囲に余白51が設けられている。図5(b)の画像が画像表示部107に表示されている状態で車両にピッチ動が生じて享楽画像が上下方向に画像変位されても、変位後の享楽画像は画面枠から外れにくくなる。
図5(c)は、図5(b)に比べて享楽画像の画像縮小率を大きくすることにより、享楽画像の周囲に図5(b)の場合より大きな余白52を設ける画像加工が行われた後の表示画面を示す図である。この状態では、車両に生じるピッチ動がさらに大きくなって上下方向への画像変位量がさらに大きくされる場合でも、変位後の享楽画像の上部または下部が画面枠からはみ出す程度を軽減できる。
(画像変形量の制限および画像変位量の制限)
上述した余白51、52の大きさを必要以上に大きくすると、享楽画像が表示画面の画面枠に対して小さくなりすぎ、乗員にとって享楽画像の見易さが損なわれてしまう。そこで、余白の大きさを決定する画像縮小率の初期値は、たとえば通常の走行時に車両に生じるピッチ動の最大値によって生じる画像表示部107および眼球間の相対変位をキャンセルするために必要な画像変位量(上記所定値L0に対応)に対応する値にする。
余白51、52の大きさ、すなわち画像縮小率を制限する一方で画像変位量を制限しない状態では、通常の走行時に生じる相対変位より大きな相対変位が生じると表示画像が画像表示部107の表示画面から逸脱するおそれがある。そこで、相対変位が大きくなる領域では画面の変位量(画像表示部107の移動量)に対する画像変位量を抑制する。画面の変位量は、ステップS50で算出した値を用いる。
図6(a)は、第一の実施形態における画面変位量と画像変位量との関係例を示す図である。実線は車両の揺動が所定周波数を超えている場合の関係例を表し、破線は車両の揺動が所定周波数以下の場合の関係例を表す。図6(a)によれば、揺動周波数が所定値(たとえば、1Hz)を超える場合について、画面変位量および画像変位量の間に常に線形関係を保つように画像変位ゲインが制御される。とくに、ゲイン=1とすれば画面の変位量と画像の変位量とを1:1に対応させることができる。一般に、車両の揺動周波数が1Hzを超える場合は揺動の振幅が小さいため、画面変位量に比例させて画像変位を行うことによって変位後の享楽画像が画面枠からはみ出すおそれは少ない。したがって、揺動周波数が1Hzを超える場合には画像変位量の制限をしない。
一方、揺動周波数が所定値(たとえば、1Hz)以下の場合について、画面変位量の絶対値が所定値以下の領域では画面変位量および画像変位量の間に線形関係が保たれるように画像変位ゲインを制御し(ただし、ゲインは1より小さくする)、画面変位量の絶対値が所定値を超えると画像変位量をさらに抑制するように画像変位ゲインを制御する。一般に、車両の加速やブレーキングなどで生じる揺動の周波数は1Hz以下である。このような揺動は振幅が大きいため、画面変位量に比例させて画像変位を行うと変位後の享楽画像が画面枠から大きくはみ出すおそれがある。そこで、画像変位量を抑えつつ、画面変位量の絶対値が所定値を超えると画像変位量をさらに抑制する非線形制御とすることにより、変位後の享楽画像が画面枠から逸脱する場合の逸脱量を低減する。なお、画像変位量の上限(下限)を上記余白の範囲内に制限すれば、享楽画像が画面枠からはみ出すことを確実に防止できる。
以上説明した第一の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)車両運動の検出データと、人体データベース部102に格納されている頭部揺動伝達関数とを用いて、乗員の頭部(とくに眼球)運動の推定値を算出するので、乗員の頭部などに運動検出センサを設けなくても、乗員の眼球位置を得ることができる。乗員に検出センサを取り付けないので、コスト上昇が抑えられる上に、乗員に負担を与えることもない。
(2)車両運動を示す検出データを用いて、車両の回転運動にともなう画像表示部107のピッチ方向(上下方向)の移動量を算出するので、画像表示部107用に運動検出センサを設けなくても、画像表示部107の位置を得ることができる。
(3)上記(1)の眼球位置および上記(2)の画像表示部107の位置を用いて両者の相対変位を求めるので、それぞれが異なる運動状態であっても、両者間の変位を得ることができる。
(4)画像表示部107のピッチ方向(上下方向)の移動量、ならびに、上記(3)の相対変位の変化に起因する表示画像の動きをキャンセルするように、画像表示部107に表示する享楽画像の表示位置をピッチ方向に変位させたので、乗員にとって表示画像が遠方の静止風景に対応する空間上に安定して見える。この結果、乗員にとって享楽画像が見やすくなる上に、乗員が享楽画像を注視している状態で、乗員が得る視覚情報と前庭器(三半規管、耳石)からの情報が一致するので、享楽画像を変位させない場合に比べて、乗員が感じる違和感・不快感を低減することができる。
(5)享楽画像を変位させるために享楽画像を縮小し、享楽画像の周囲に余白51、52を設けたので、画像変位後の享楽画像がただちに画面枠から外れることが防止され、享楽画像が見やすくなる。
(6)揺動周波数が所定値(たとえば、1Hz)以下の場合、画面変位量の絶対値が所定値以下の領域では画面変位量および画像変位量の間に線形関係が保たれるように画像変位ゲインを制御し、画面変位量の絶対値が所定値を超えると画像変位量をさらに抑制するように画像変位ゲインを制御した。したがって、車両の加速やブレーキングなどで生じる大きな揺動時には画像変位量が抑制され、変位後の享楽画像が画面枠から逸脱する場合の逸脱量を低減するため、享楽画像が見やすくなる。
(7)所定値L0を超える画像変位量が時間Tout_0以上継続して算出される(享楽画像が継続して逸脱する)場合に画像縮小率を増加させた(ステップS130)ので、変位後の享楽画像の逸脱量を低減することができる。反対に、所定値L0以下の画像変位量が時間Tin_0以上継続して算出される(享楽画像が継続して画面枠内にある)場合に画像縮小率を増加させた(ステップS190)ので、必要以上に享楽画像を縮小することがなく、享楽画像が見やすくなる。
画面変位量と画像変位量との関係について、図6(a)の代わりに図6(b)の関係を用いてもよい。図6(b)において、画面変位量および画像変位量の間にヒステリシス特性を持たせる。すなわち、享楽画像が画面枠から逸脱する方向に変位する場合には画像変位ゲインを相対的に低く、画面枠中央に復帰する方向に変位する場合には画像変位ゲインを相対的に高く設定する。これにより、享楽画像の逸脱量の低減と、享楽画像が逸脱している時間の短縮とを両立させることができる。
上述した説明では、享楽画像の逸脱量が所定値L0以上の場合に時間Tout_0を計時すると画像縮小率を変更するようにした。この代わりに、享楽画像が大きく逸脱する場合には享楽画像が画面枠内に表示されるように強制的に享楽画像を変位させるようにしてもよい。このような画像の変位制御を行う場合でも、画像縮小率を変更する場合と同様に、享楽画像の見やすさが損なわれることを防止できる。
以上の説明では、主として享楽画像を変位させる移動代を確保するために画像縮小を行ったが、享楽画像が画面枠から逸脱する度合いを抑えるために画像の縮小を行ってもよい。この場合には、逸脱量が大きいほど画像縮小率を大きくする。
(第二の実施形態)
図7は、本発明の第二の実施形態による車載情報提供装置の構成を説明する図である。図7において、車載情報提供装置200は、車両運動検出部201と、人体データベース部202と、乗員運動推定部203と、情報源装置204と、映像内容判定部205と、制御部206と、画像変形・変位部207と、画像表示部208とを有する。図1の構成と比べて映像内容判定部205が追加されている点が異なるので、この相違点を中心に説明する。
図7の映像内容判定部205は、情報源装置204から入力された享楽情報の内容を判定する。具体的には、享楽画像に字幕が有るか否か、および享楽画像に動きが多いか否かを判定する。字幕があるか否かの判定は、画像データに字幕表示のための字幕データが含まれていれば字幕があると判定し、字幕データが含まれていなければ字幕がないと判定する。動きが多いか否かの判定は、フレームごとの画像データを比較した場合に前後のフレーム間で相違するデータが所定数以上存在すれば画像の動きが多いと判定し、前後のフレーム間で相違するデータが所定数未満の場合には画像の動きが少ないと判定する。映像内容の判定情報は、映像内容判定部205から制御部206へ送出される。
第二の実施の形態では、画像変位後の享楽画像が画面枠から逸脱する場合における逸脱の許容度を、映像内容の判定情報を用いて変更する。
車載情報提供装置200の制御部206で行われる享楽画像を変位させる処理の流れについて、図8のフローチャートを参照して説明する。図2のフローチャートに比べて、ステップS65の処理が追加されている点が異なるので、ステップS65の処理を中心に説明する。
図8のステップS65において、制御部206は、字幕の有無や動きの大小などによって映像内容を判定し、判定結果に応じて逸脱量の許容度、および逸脱時間の許容度を決定する。逸脱量は、変位後の享楽画像が画面枠から逸脱する量である。逸脱量の許容度は、ステップS80において変位量Loutの絶対値と比較する所定値L0に対応する。所定値L0を大きくすると逸脱量の許容度が大きくなり、所定値L0を小さくすると逸脱量の許容度が小さくなる。
逸脱時間は、変位後の享楽画像が画面枠から逸脱している時間である。逸脱時間の許容度は、ステップS120において計時時間Toutと比較する所定値Tout_0に対応する。所定値Tout_0を大きくすると逸脱時間の許容度が大きくなり、所定値Tout_0を小さくすると逸脱時間の許容度が小さくなる。
図9は、享楽情報の内容と変位後の享楽画像が逸脱する場合の許容度との関係を示す図である。提供されるコンテンツ(享楽画像)に動きが少なく、かつ字幕が存在しない場合は、画像の逸脱によって伝達不可能になる情報量が比較的少ないため、許容度を大きくする。コンテンツ画像に動きが多く、かつ字幕が存在しない場合は、画像の逸脱によって伝達不可能になる情報量が増えるため、許容度を中程度に小さくする。
コンテンツ画像に動きが少なく、かつ字幕が存在する場合は、享楽画像のみの逸脱によって伝達不可能になる情報量が比較的少ないため、画像についての許容度を大きくする。しかしながら、字幕については逸脱によって伝達不可能になるおそれがあるため、字幕についての許容度は小さく設定する。
コンテンツ画像に動きが多く、かつ字幕が存在する場合は、享楽画像のみの逸脱によって伝達不可能になる情報量が多くなるため、画像についての許容度を小さくする。さらに、字幕についても逸脱によって伝達不可能になるおそれがあるため、字幕についての許容度も小さく設定する。
以上説明した第二の実施形態によれば、情報源装置204から入力されるコンテンツ情報(享楽情報)に含まれる内容を判定し、判定結果に応じて画像変位後の享楽画像が画面枠から逸脱する場合における逸脱の許容度を変更するようにした。したがって、画像に動きが少ない上に字幕もない場合(情報量が少ない場合)には、逸脱によって伝達不能になる情報量が少ないため、許容度を高くした画像変位を行い、違和感や不快感の低減を優先させることができる。一方、画像に動きが多い上に字幕が存在する場合(情報量が多い場合)には、逸脱によって伝達不能になる情報量が多いため、許容度を低くした画像変位を行い、見やすさ(情報伝達性)を優先させることができる。
特許請求の範囲における各構成要素と、発明を実施するための最良の形態における各構成要素との対応について説明する。表示手段は、たとえば、画像表示部107(208)によって構成される。車両運動検出手段は、たとえば、車両運動検出部101(201)によって構成される。変位演算手段、画像変位手段、および表示制御手段は、たとえば、制御部105(206)によって構成される。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
本発明の第一の実施形態による車載情報提供装置の構成を説明する図である。 画像変位量および変形量決定処理の流れについて説明するフローチャートである。 (a)ノーズダイブ現象による表示装置のピッチ動を説明する図である。(b)ピッチ動をキャンセルするための画像変位が行われた表示画面を示す図である。(c)ピッチ動をキャンセルするための画像変位が行われた表示画面を示す図である。 (a)ノーズダイブ現象による乗員頭部のピッチ動を説明する図である。(b)ピッチ動をキャンセルするための画像変位が行われた表示画面を示す図である。 (a)画像変位前に画像表示部に表示されている画像を示す図である。(b)享楽画像を縮小する画像加工が行われた表示画面を示す図である。(c)画像縮小率を大きくした画像加工が行われた表示画面を示す図である。 (a)画面変位量と画像変位量との関係例を示す図である。(b)画面変位量と画像変位量との関係例を示す図である。 第二の実施形態による車載情報提供装置の構成を説明する図である。 享楽画像を変位させる処理の流れについて説明するフローチャートである。 享楽情報の内容と変位後の享楽画像が逸脱する場合の許容度との関係を示す図である。
符号の説明
100(200)…車載情報提供装置
101(201)…車両運動検出部
102(202)…人体データベース部
103(203)…乗員運動推定部
104(204)…情報源装置
105(206)…制御部
106(207)…画像変形・変位部
107(208)…画像表示部
205…映像内容判定部

Claims (5)

  1. 乗員に提供する情報を画像として表示する表示手段と、
    車両の動きを検出する車両運動検出手段と、
    前記車両運動検出手段による検出信号を用いて、前記表示手段で表示される画像の並進方向の変位を演算する変位演算手段と、
    前記変位演算手段によって演算された並進方向の変位をキャンセルするように前記表示手段で表示される画像の表示位置をリアルタイムに変位させる画像変位手段と、
    前記変位後の画像が前記表示手段の有効表示範囲から逸脱する場合の逸脱時間および逸脱量の少なくとも一方を所定値以下に抑えるように表示制御する表示制御手段とを備えることを特徴とする車載情報提供装置。
  2. 請求項1に記載の車載情報提供装置において、
    前記表示制御手段は、前記表示手段に表示する画像について画像全体を縮小する、および画像全体を縮小した後の画像を前記画像変位手段によって変位させることの少なくとも1つを行って前記画像を前記表示手段の有効表示範囲に復帰させることを特徴とする車載情報提供装置。
  3. 請求項1に記載の車載情報提供装置において、
    前記画像変位手段は、前記車両の動きにともなう前記表示手段の変位量と前記画像の表示位置の変位量との関係について、(1)前記車両の動きの周波数が所定周波数以上の場合に画像変位ゲインを1として前記逸脱を防止し、(2)前記車両の動きの周波数が所定周波数未満の場合に画像変位ゲインを1より小さくして前記逸脱を容認することを特徴とする車載情報提供装置。
  4. 請求項1に記載の車載情報提供装置において、
    前記画像変位手段は、前記車両の動きの周波数が所定周波数未満の場合の前記車両の動きにともなう前記表示手段の変位量と前記画像の表示位置の変位量との関係について、前記表示手段の変位量が所定値以上であって増加方向の場合には画像変位ゲインを減少させ、前記表示手段の変位量が所定値以上であって減少方向の場合には画像変位ゲインを増加させることを特徴とする車載情報提供装置。
  5. 請求項1に記載の車載情報提供装置において、
    前記画像変位手段は、情報量が多い画像の場合に前記逸脱の許容度を低く、情報量が少ない画像の場合に前記逸脱の許容度を高くするように表示制御することを特徴とする車載情報提供装置。
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