JP2005305286A - 水処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 効率的に被処理水中の有機物、特に、クラゲを酵素処理した後の処理液に含まれるCODを低減処理することができる水処理システムを提供する。
【解決手段】 本発明の水処理システム1は、臭素を含む溶液として、例えば海水を電気化学的手法、例えば電極23及び24による電解処理を行い電解水を生成する電解水生成装置2と、有機物を含む被処理水、例えばクラゲを酵素処理した後の処理液に電解水生成装置2にて生成された電解水を添加し、加熱する加熱分解装置3とを備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の水処理システム1は、臭素を含む溶液として、例えば海水を電気化学的手法、例えば電極23及び24による電解処理を行い電解水を生成する電解水生成装置2と、有機物を含む被処理水、例えばクラゲを酵素処理した後の処理液に電解水生成装置2にて生成された電解水を添加し、加熱する加熱分解装置3とを備えた。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被処理水中に含まれるCODなどの有機物を電気化学的手法により処理する水処理システムに関するものである。
従来より、例えば火力発電所では発電時などにおける冷却水として海水を使用している。しかしながら、毎年クラゲの発生時期になると海水を取り込む取水口にクラゲが侵入し、海水の取水が困難となる問題が発生していた。そこで、従来では取水口に侵入したクラゲを焼却処理していたが、係る焼却処理では処理時間が長く、また、コストが高騰するなどの問題があり、クラゲを焼却することなく海水中で分解して除去処理する試みが成されている。
クラゲを分解処理する方法としては、例えば熱処理、超音波処理、紫外線処理、又は、活性酸素処理などの物理化学的処理方法、若しくは、微生物処理や酵素処理などの生化学的方法がある。これらの処理方法により、クラゲは海水中に溶融される。
そして、この分解されたクラゲを含む海水(以下、被処理水と称する。)には、窒素化合物やリン化合物が含有しているため、川や湖などの窒素化合物の処理と同様に、生物的処理により処理していた。しかしながら、係る処理方法では、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に変換する硝化工程と、硝酸態窒素を窒素ガスに変換する脱窒工程の2つの工程により行われるため、2つの反応槽が必要となると共に、処理時間が遅いため、処理効率が低くなる問題があった。
また、係る生物的処理では、硝化細菌及び脱窒素細菌を保有するために大容量の嫌気槽が必要となり、設備建設コストの高騰、装置設置面積の拡大を招く問題があった。更に、これら硝化細菌及び脱窒素細菌は、周囲の温度環境、その他、被処理水中に含まれる成分などに著しく影響されるため、特に温度が低くなる冬場になると、活動が低下して脱窒素作用が低下し、処理効率が不安定となる問題もあった。
そこで、上記技術的課題を解決するために、被処理水に電流を流してアンモニア、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素を酸化、又は、還元分解して窒素ガスにする方法がある。この場合、従来の被処理水の電気分解法では、アノードに例えば、白金、イリジウム、パラジウムなどの貴金属材料を用いていた。
そして、被処理水に電流を流すことにより、アノードにおいてアンモニア態窒素が活性酸素や次亜塩素酸により酸化され、窒素化合物が窒素ガスに変換されることで窒素化合物の処理が行われるものであった(例えば、特許文献1参照)。
特開昭54−16844号公報
しかしながら、上述した如きクラゲを分解処理後の被処理水中には、無機物としての窒素化合物やリン化合物の他にも、有機物が大量に含まれているため、COD(化学的酸素要求量)が著しく高い。そのため、このCODの高い、即ち、有機物が多く含まれた被処理水を海域に放出することは、放出海域における溶存酸素量の低下を招くこととなり、生物が生存できない状態や悪臭の発生を招くこととなる。
そこで、クラゲを分解処理した後の被処理水中のCODを低減処理することができる方法の開発が望まれている。
本発明の水処理システムは、海水を電気化学的手法により処理して電解水を生成する電解水生成手段と、有機物を含む被処理水に電解水生成手段にて生成された電解水を添加し、加熱する加熱処理手段とを備えたものである。
請求項2の発明の水処理システムは、臭素を含む溶液を電気化学的手法により処理して電解水を生成する電解水生成手段と、有機物を含む被処理水に電解水生成手段にて生成された電解水を添加し、加熱する加熱処理手段とを備えたものである。
請求項3の発明の水処理システムは、上記各発明において、加熱処理手段を複数段階備え、電解水生成手段から各段階の加熱処理手段に電解水を添加するものである。
請求項4の発明の水処理システムは、電解により発熱を生じる電極を用い、有機物と海水を含む被処理水を電気化学的手法により処理する電解処理手段を備えたものである。
請求項5の発明の水処理システムは、電解により発熱を生じる電極を用い、有機物と臭素を含む被処理水を電気化学的手法により処理する電解処理手段を備えたものである。
請求項6の発明の水処理システムは、請求項4又は請求項5の発明において、アノードを構成する電極は電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることを可能な導電体であり、カソードを構成する電極はフェライトから成るものである。
請求項7の発明の水処理システムは、上記各発明において、加熱処理手段又は電解処理手段にて処理した後の被処理水を、電解水生成手段又は電解処理手段に返送する返送手段を備えたものである。
請求項8の発明の水処理システムは、上記発明において、返送手段の前段に、被処理水の温度を低下させるための貯溜手段を設けたものである。
請求項9の発明の水処理システムは、上記各発明において、加熱処理手段又は電解処理手段にて処理された後、排出される被処理水中の次亜ハロゲン酸を除去する次亜ハロゲン酸除去手段を備えたものである。
本発明及び請求項2の発明の水処理システムによれば、臭素を含む溶液として、例えば、海水を電気化学的手法により処理して電解水を生成する電解水生成手段と、有機物を含む被処理水に電解水生成手段にて生成された電解水を添加し、加熱する加熱処理手段とを備えたので、電解水生成手段において、海水中や溶液中に次亜臭素酸を生成することができるようになる。これにより、次亜臭素酸が含有された電解水を有機物が含有された被処理水に添加することで、被処理水中のCODなどの有機物を次亜臭素酸により分解処理することができるようになる。
そのため、例えば発電所などにおいて冷却水として用いられる海水中にクラゲが大量に存在し、係るクラゲが発電所の取水口に多く侵入した場合であっても、当該クラゲを酵素処理することで有機物を含む被処理水とし、係る被処理水に上記電解水を添加することで、クラゲから生成される有機物を効果的に分解処理することができるようになる。
また、係る発明によれば、電解水が添加された被処理水は、加熱処理手段により加熱されるため、より一層CODなどの有機物の処理を促進させることができる。この場合において、電解水生成手段により生成される次亜臭素酸は、通常、電気分解により生成される次亜塩素酸よりも比重が大きいため、加熱による揮発率が低く、温度上昇による悪影響を殆ど受けることなく、次亜臭素酸による有機物の分解処理を行うことができるようになる。
更に、係る発明では、臭素を含む溶液としての海水は、電解水生成手段によって電気化学的手法により処理した後、有機物を含む被処理水に添加し、加熱手段により加熱処理を行うため、電気化学的手法において用いられる電極の長寿命化を図ることができるようになる。
また、請求項3の発明の如く加熱処理手段を複数段階備え、電解水生成手段から各段階の加熱処理手段に電解水を添加することで、装置のコンパクト化を図ることができると共に、電解水生成手段から加熱処理手段への流入速度を抑制することができるようになる。更に、段階的に加熱処理手段に電解水を添加することで、CODに対する次亜臭素酸濃度を高めることができるようになり、酸化分解反応をより一層促進させることができる。
請求項4及び請求項5の発明によれば、電解により発熱を生じる電極を用い、臭素を含む溶液、例えば海水と、有機物を含む被処理水を電気化学的手法により処理する電解処理手段を備えたので、電解処理手段において、海水中や溶液中に次亜臭素酸を生成することができるようになる。これにより、次亜臭素酸によって被処理水中のCODなどの有機物を分解処理することができるようになる。
そのため、例えば発電所などにおいて冷却水として用いられる海水中にクラゲが大量に存在し、係るクラゲが発電所の取水口に多く侵入した場合であっても、当該クラゲを酵素処理することで有機物と海水を含む被処理水とし、係る被処理水を電解処理手段において処理することで、クラゲから生成される有機物を効果的に分解処理することができるようになる。
また、係る発明によれば、電解処理手段は、電解により発熱を生じる電極を用いるため、電解処理と同時に加熱処理を行うことができ、より一層CODなどの有機物の処理を促進させることができる。この場合において、電解処理手段において生成される次亜臭素酸は、通常、電気分解により生成される次亜塩素酸よりも比重が大きいため、加熱による揮発率が低く、温度上昇による悪影響を殆ど受けることなく、次亜臭素酸による有機物の分解処理を行うことができるようになる。
また、電解処理手段は、電解により発熱を生じる電極として、請求項6の発明の如くカソードを構成する電極に抵抗の大きいフェライトを用いることにより、容易に上記発明を実現することができるようになる。
更に、請求項6の発明では、上記に加えて電解処理手段は、アノードを構成する電極に電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることを可能な導電体を用いることにより、カソードを構成するフェライト電極において被処理水中の硝酸態窒素の亜硝酸態窒素及びアンモニアへの還元反応が促進され、還元反応に要する時間を短縮し、且つ、低濃度の硝酸イオンも処理することができる。特にこの場合、カソードを構成する他方の電極はフェライト電極であり、銅を用いないので、被処理水中に銅が溶出することによる毒性の問題も解決できるようになる。
また、カソードを構成するフェライト電極において生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸としての次亜塩素酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、相乗効果によって硝酸態窒素、アンモニア態窒素及び窒素化合物などの窒素成分を効果的に除去することができるようになる。これによって、被処理水中に工場・プラントや火力発電所等から排出される窒素化合物を含む場合であっても、効率的に窒素化合物を除去することができるようになる。
請求項7の発明によれば、上記各発明において、加熱処理手段又は電解処理手段にて処理した後の被処理水を、電解水生成手段又は電解処理手段に返送する返送手段を備えたので、有機物の処理に利用されなかった次亜臭素酸を含む被処理水を電解水生成手段又は電解処理手段に返送することにより、電解効率の向上を図ることができ、これにより、被処理水中の有機物の処理能力の向上を図ることができるようになる。
請求項8の発明によれば、上記発明において、返送手段の前段に、被処理水の温度を低下させるための貯溜手段を設けたので、貯留手段において被処理水の温度を低下させた後電解水生成手段又は電解処理手段に被処理水を返送することにより、当該電解水生成手段又は電解処理手段における電解処理を促進させることができるようになる。
請求項9の発明によれば、上記各発明において、加熱処理手段又は電解処理手段にて処理された後、排出される被処理水中の次亜ハロゲン酸を除去する次亜ハロゲン酸除去手段を備えたので、次亜ハロゲン酸除去手段にて次亜ハロゲン酸を除去した状態で被処理水を外部に廃棄することができ、環境問題に配慮することができるようになる。
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、効率的に被処理水中の有機物を低減処理することができる水処理システムを提供する。以下に図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
先ず本発明の第1の実施例について図1を参照して説明する。図1は第1の実施例の水処理システム1の概略図を示している。本実施例の水処理システム1は、例えば火力発電所などにおいて、冷却水として用いられる海水、特に、クラゲを多く含む海水を処理するためのものである。
この水処理システム1は、クラゲを含む海水からクラゲと海水とを分離する図示しないクラゲ分離手段と、クラゲ分離手段により海水から分離されたクラゲを酵素などの物理化学的方法によって融解処理し、クラゲ酵素処理液(被処理水)とする図示しないクラゲ処理手段と、クラゲ分離手段によりクラゲを分離した後の海水、若しくは、別途供給される海水を電気化学的手法により処理して電解水を生成する電解水生成装置(電解水生成手段)2と、電解水生成装置2において生成された電解水と、クラゲ処理手段により処理された後のクラゲ酵素処理液とを加熱処理する加熱分解装置(加熱処理手段)3と、加熱分解装置3において加熱処理された後の被処理水を貯溜する貯溜槽(貯溜手段)4とを備えている。
クラゲ処理手段は、クラゲを酵素によって融解し、有機物が融解されたクラゲ酵素処理液(被処理水)とする。
電解水生成装置2は、内部に図示しない海水の流入口と電解水の流出口を有する処理室21を構成する電解槽22と、該処理室21内の海水(被処理水)に少なくとも一部が浸漬するように対向して配置された一対の電極23、24と、これら電極23、24に通電するための図示しない電源及び該電源を制御するための制御装置などから構成されている。尚、電解槽22内には内部を撹拌するための撹拌手段を設けても良いものとする。
前記電極23、24は、例えば白金(Pt)、又は、白金とイリジウム(Ir)の合金などの貴金属電極、又は、白金、又は、白金とイリジウムの合金を被覆した貴金属被覆電極により構成されている。
以上の構成により、電解槽22内の処理室21に海水を貯溜し、前記制御装置により電源をONとし、電極23、24に電圧を印加する。これにより、電解槽22内に貯溜された海水中には、塩化物イオンが含有されているため、アノードとなる電極23又は24では、塩化物イオンが電子を放出して塩素を生成する。その後、この塩素は、水に溶解し次亜塩素酸を生成する。また、電解槽22内に貯溜された海水中には、臭化物イオンが含有されているため、アノードとなる電極23又は24では、臭化物イオンが電子を放出して臭素を生成する。その後、この臭素は、水に溶解し次亜臭素酸を生成する。
また、アノードとなる電極23又は24は、上述の如く白金又は白金とイリジウムの合金などの貴金属電極、又は、白金又は白金とイリジウムの合金を被覆した貴金属被覆電極により構成されていると共に、被電解水としての海水中には、塩化物イオンや臭化物イオンが存在しているため、電位が上昇し、オゾンなどの活性酸素が発生する。
他方、加熱分解装置3は、内部に加熱分解処理室31を構成する加熱分解処理槽32と、加熱分解処理室31内に貯溜された被処理水を所定の温度、例えば+80℃乃至+100℃に加熱する加熱手段としてのヒータ33とを備えている。加熱分解処理槽32の内部には、電解水生成装置2において生成された電解水を流入する図示しない電解水流入口と、クラゲ処理手段において処理されたクラゲ酵素処理液(被処理水)を流入する図示しない被処理水流入口と、該加熱分解装置3において処理された被処理水を後段の貯溜槽4に流出する図示しない流出口が設けられている。
また、貯溜手段を構成する貯溜槽4は、内部に図示しない流入口と流出口を備えた貯溜室41が構成されている。この貯溜槽4の流出口に接続された搬送手段としての配管5は、次亜ハロゲン酸除去手段としての活性炭6を介して外部の放出流域(海域)に接続されている。また、この配管5には、貯溜槽4と活性炭6との間に位置して、一端が前記電解水生成装置2に接続された返送配管(返送手段)7が接続されている。
以上の構成により、本実施例の水処理システム1による被処理水の処理動作について説明する。先ず、水処理システム1のクラゲ分離手段により、クラゲを含む海水からクラゲと海水とを分離し、クラゲ処理手段においてクラゲの酵素による融解処理を行う。酵素によって融解処理されたクラゲは、図示しないフィルタにより、有機物が溶解されたクラゲ酵素処理液と、所定の大きさ以上の固体とに分離される。有機物が溶解されたクラゲ酵素処理液は、特にCODが多く含まれる溶液であり、加熱分解装置3の加熱分解処理槽32に搬送される。他方、フィルタにより分離された所定の大きさ以上の固体は、別置きの装置において、焼却処理などの処理が行われる。
クラゲ分離手段においてクラゲが分離された後の海水、又は、別途供給された海水を電解水生成装置2の電解槽22に貯溜し、当該電解槽22の処理室21内に浸漬された電極23、24に通電を行う。これにより、塩化物イオン及び臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンを含有する海水は、電気化学的手法により処理され、次亜塩素酸や次亜臭素酸などの次亜ハロゲン酸を含む電解水となる。
そして、次亜ハロゲン酸が生成された電解水は、加熱分解装置3の加熱分解処理槽32に搬送され、当該加熱分解処理槽32の加熱分解処理室31に貯溜されたクラゲ酵素処理液(被処理水)に添加される。
これにより、クラゲ酵素処理液(被処理水)に含まれるCODなどの有機物は、電解水に含まれる次亜ハロゲン酸によって酸化処理され、硝酸やリン酸などの無機物にまで分解される。また、被処理水中にアンモニアなどが含まれている場合には、当該アンモニアのの一部は、次亜ハロゲン酸によって脱窒処理される。
ここで、本実施例では、加熱分解装置3に設けられたヒータ33により加熱分解処理室31内の被処理水を所定の温度、例えば+80℃乃至+100℃に加熱する。これにより、加熱分解処理室31において、被処理水の温度を次亜ハロゲン酸の存在下におけるCODの分解処理に適した温度にまで昇温することで、より一層、CODの分解処理効率が向上し、効率的にCODの低減処理を行うことができる。また、本実施例では、電解水を生成するために、臭素を含む海水を用いているため、塩素に比べて温度上昇に伴う次亜臭素酸の揮発量は少ない。そのため、温度上昇によって揮発する次亜臭素酸によるCODの分解処理能力の低下には、大きく影響しないものとなる。
尚、CODの分解処理効率と温度の関係について図2の実験結果を参照して説明する。図2に示される実験結果は、被処理水としてCODが800mg/Lであるクラゲ酵素処理液を使用し、電解水として6000mg/Lの塩素を含有する電解次亜塩素酸溶液を使用した。更に、これら被処理水のCODを345mg/Lに、電解水の塩素濃度を3000mg/Lに調整したものを混合し、各温度条件下で30分間放置した後、残留するCODを測定したものである。
これによると、被処理水を+20℃として被処理水と電解水を混合した場合の30分後のCOD残留量は、255mg/Lであり、+40℃の場合には、250mg/Lであった。また、被処理水を+60℃として被処理水と電解水を混合した場合の30分後のCOD残留量は、240mg/Lであり、+80℃の場合には、225mg/L、+100℃の場合には、200mg/Lであった。
このことから、一定時間でCODの分解処理効率が高い温度は+80℃から+100℃であることが分かる。そのため、所定温度、本実験結果より、+80℃乃至+100℃の範囲にまで被処理水を加熱することで、CODの分解処理効率が向上することが分かる。尚、+100℃以上については、実際の加熱手段に加わる負荷が著しく大きくなることから、消費エネルギーの面より除外するものとする。
また、上記実験結果より、例えば30分間で1ppmのCODの分解処理を行うためには、+100℃の条件下で20ppmの塩素が必要となることが分かる。そのため、加熱分解処理装置3における処理時間を30分と設定して、被処理水中のCODを全て分解処理するためには、被処理水中のCOD濃度に対し、20倍の濃度の塩素を含む電解水を電解水生成装置2において生成し、加熱分解処理装置3では、被処理水を+100℃に設定する必要がある。
そして、上述の如く加熱分解処理装置3においてCODが分解処理された後の被処理水は、貯溜槽4に搬送され、該貯溜槽4において、被処理水の温度を所定温度、例えば放出流域である海域に放出しても悪影響を及ぼさない温度であって、電解水生成装置2において電解処理効率が低下しない温度、例えば+40℃以下にまで冷却する。
その後、貯溜槽4内の被処理水の一部は、返送配管7を介して電解水生成装置2に返送される。排出される以外の貯溜槽4内の被処理水は、活性炭6において次亜ハロゲン酸の除去処理が行われた後、放出流域である海域に排出される。
このとき、放出領域である海域に排出される被処理水中には、CODが低減、若しくは、分解処理されているため、海域のCODを増加させるなどの悪影響を回避することができる。尚、被処理水には、CODの酸化分解処理に伴い無機物としての硝酸やリン酸が生成されるが、係る硝酸やリン酸は、海域に対し、CODほどの悪影響を及ぼさないため、従来のCODの高い被処理水を海域に放出する場合に比して著しく環境への負荷を軽減することができるようになる。
他方、返送配管7を介して電解水生成装置2に返送される被処理水は、貯溜槽4において所定温度にまで冷却されているため、当該電解水生成装置2における電解処理効率の低下を回避することができる。また、COD処理後の被処理水は、CODの処理に利用されなかった次亜ハロゲン酸及びハロゲン化物イオンを含んでいるため、係る被処理水を電解水生成装置2に返送することにより、電解効率の向上を図ることができると共に、新たな海水の供給を行う必要がなくなり、処理効率の向上を図ることができる。但し、この場合において、係る水処理システム1は、被処理水としてのクラゲ酵素処理液の流入以外、閉ループ循環となるため、処理効率の維持を図るためには、処理に必要とされるハロゲン化物の消費(活性炭吸着による)に伴い、新たな海水、若しくは、薬剤などのハロゲン化物の添加が必要となる。
また、硝酸などを含む被処理水が返送配管7によって電解水生成装置2に返送されることにより、当該電解水生成装置2における電気化学的処理により、硝酸の脱窒処理が行われ、当該被処理水の硝酸濃度の上昇を抑制することができる。
以上詳述した如く本実施例では、例えば発電所などにおいて冷却水として用いられる海水中にクラゲが大量に存在し、係るクラゲが発電所の取水口に多く侵入した場合であっても、クラゲを酵素処理することでCODなどの有機物を含む被処理水とし、係る被処理水に上述した如き電解水を添加することで、クラゲから生成されるCODなどの有機物を次亜臭素酸などの次亜ハロゲン酸により効果的に分解処理することができるようになる。
また、本実施例では、電解水が添加された被処理水は、加熱分解装置3において加熱されるため、より一層CODなどの有機物の処理を促進させることができる。この場合において、電解水生成装置2により生成される次亜臭素酸は、上述した如く通常、電気分解により生成される次亜塩素酸よりも比重が大きいため、加熱による揮発率が低く、温度上昇による悪影響を殆ど受けることなく、次亜臭素酸による有機物の分解処理を行うことができるようになる。
更に、本実施例では、臭素を含む溶液としての海水を、電解水生成装置2によって電気化学的手法により処理した後、有機物を含む被処理水に添加し、加熱分解装置3により加熱処理を行うため、電解水生成装置2の各電極23、24の長寿命化を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施例について図3乃至図5を参照して説明する。図3は第2の実施例の水処理システム50の概略図、図4は図3の水処理システム50を利用した具体的な実施例としての構成図、図5は水処理システム50における各加熱分解処理槽の縦断側面図及び平面図を示している。係る実施例の水処理システム50も上記実施例と同様に特に、クラゲを多く含む海水を処理するためのものである。
この水処理システム50は、上記実施例と同様の図示しないクラゲ分離手段と、図示しないクラゲ処理手段と、クラゲ分離手段によりクラゲを分離した後の海水、若しくは、別途供給される海水を電気化学的手法により処理して電解水を生成する複数、本実施例では、3つの電解水生成装置(電解水生成手段)2A、2B、2Cと、各電解水生成装置2A、2B、2Cにおいて生成された電解水と、クラゲ処理手段により処理された後のクラゲ酵素処理液とを段階的に混合して加熱処理する複数、本実施例では3つの加熱分解装置(加熱処理手段)3A、3B、3Cと、各加熱分解装置3A、3B、3Cにおいて加熱処理された後の被処理水を貯溜する貯溜槽(貯溜手段)51とを備えている。尚、係る実施例における各電解水生成装置2A、2B、2C及び各加熱分解装置3A、3B、3Cは、上記実施例の電解水生成装置2及び加熱分解装置3と同様の構成とされているため、説明を省略する。また、図3において貯溜槽51は、2つ記載されているが、同一のものであるものとする。
クラゲ処理手段によって有機物が融解されたクラゲ酵素処理液とされた被処理水は、電磁開閉弁52及びポンプ53が介設された配管54を介して加熱分解装置3Aに供給される。
クラゲ分離手段によりクラゲを分離した後の海水、若しくは、別途供給される海水は、電磁開閉弁55及びポンプ56が介設された配管57を介して貯溜槽51に供給される。また、この他にも海水は、電磁開閉弁58及びポンプ59が介設された配管60を介して熱交換器61に供給される。
貯溜槽51は、分岐配管62を介して、各電解水生成装置2A、2B、2Cに接続されており、電解水生成装置2Aは、配管63を介して加熱分解装置3Bに接続され、電解水生成装置2Bは、配管64を介して加熱分解装置3Aに接続され、電解水生成装置2Cは、配管65を介して加熱分解装置3Cに接続される。更に、加熱分解装置3Aは、配管66、67を介して加熱分解装置3B、3Cに接続され、加熱分解装置3Bは、配管68を介して貯溜槽51に接続され、加熱分解装置3Cは、配管69を介して貯溜槽51に接続されている。
これにより、加熱分解装置3Aには、クラゲ処理手段からの被処理水と、電解水生成装置2Bにて生成された電解水が供給され、加熱分解装置3Bには、加熱分解装置3Aにて一旦、CODの分解処理が行われた被処理水と、電解水生成装置2Aにて生成された電解水が供給され、加熱分解装置3Cには、加熱分解装置3Aにて一旦、CODの分解処理が行われた被処理水と、電解水生成装置2Cにて生成された電解水が供給されることとなる。また、各加熱分解装置3B、3CにてCODの分解処理が行われた被処理水は、同一の貯溜槽51に搬送される。
また、貯溜槽51には、電磁開閉弁70とポンプ71と電磁開閉弁73とが順次が介設された配管72を介して上記実施例と同様の活性炭(次亜ハロゲン酸除去手段)6が接続され、該活性炭6には、配管74を介して外部に開放されている。更に、配管72には、ポンプ71と電磁開閉弁73との間に位置して電磁開閉弁75が介設された配管76が接続され、該配管76の他端は、前記熱交換器61に接続される。この熱交換器61には、前記配管60及び76以外にも他端が外部、即ち、放出流域としての海域に開放された配管77と、貯溜槽51に接続された配管78が接続されている。
尚、上記各電磁開閉弁52、55、58、70、73、75及び各ポンプ53、56、59、71、更には、各加熱分解装置3A、3B、3Cに設けられる各ヒータ33は、図示しない制御装置に接続されており、これにより、制御されているものとする。
図4は、図3の水処理システム50を例えばトラックなどの荷台に配設した場合における概略構成図である。この場合、トラックの一側に各加熱分解装置3A、3B、3C及び貯溜槽51が並設され、他側に各電解水生成装置2A、2B、2C(図では一室にて示す。)と、各電磁開閉弁、各ポンプ及び活性炭6などが配設されたポンプ室81と、クラゲ処理手段により処理された後のクラゲ酵素処理液(被処理水)を一旦貯溜する処理液貯溜槽80が並設されている。
尚、この場合において、各加熱分解装置3A、3B、3Cは、図5の縦断側面図(上側の図)及び平面図(下側の図)に示すように、各電解分解装置3A、3B、3Cを構成する各加熱分解処理槽32内には、当該槽内を複数室に区画する仕切壁32Aが形成されている。これら仕切壁32Aは、下部又は上部に交互に開口が形成されており、当該仕切壁32Aにより槽内に一連の流路が形成される。
また、加熱分解装置3Aを構成する加熱分解処理槽32の流路上流側には、前記処理液貯溜槽80に接続された配管54と、前記電解水生成装置2Bに接続された配管64が接続されている。また、この場合加熱分解装置3Aを構成する加熱分解処理槽32と、加熱分解装置3B及び3Cを構成する各加熱分解処理槽32は、上部において連通して構成され、加熱分解装置3Bを構成する加熱分解処理槽32の流路上流側には、前記電解水生成装置2Aに接続された配管63が接続され、加熱分解装置3Cを構成する加熱分解処理槽32の流路上流側には、前記電解水生成装置2Cに接続された配管65が接続されている。各加熱分解装置3B及び3Cを構成する加熱分解処理槽32の流路下流側には、それぞれ配管68、69を介して貯溜槽51に接続されている。
以上の構成により、上記実施例1の効果に加えて、本実施例によれば、加熱処理装置をを複数段階、本実施例では、3A、3B、3Cの3段階備え、各電解水生成装置2A、2B、2Cから各段階の加熱処理装置3A、3B、3Cに電解水を添加するため、上述したように、トラックの荷台などに水処理システムを搭載できるほどにシステムのコンパクト化を図ることができるようになる。
また、段階的に被処理水への電解水の添加を行うことができるため、各電解水生成装置2A、2B、2Cから各加熱処理装置3A、3B、3Cへの流入速度を抑制することができるようになる。また、係る実施例では、加熱処理装置3A、3B、3Cを構成する各加熱処理槽32内には、仕切壁32Aが複数設けられていることから、被処理水と電解水が処理槽全体に拡散するのを防ぐことができ、CODの分解を効率よく行うこと、即ち、処理能力の向上を図ることができる。
また、段階的に加熱処理装置3A、3B、3Cに電解水を添加することで、CODに対する次亜臭素酸濃度を高めることができるようになり、酸化分解反応をより一層促進させることができる。
次に本発明の第3の実施例について図6を参照して説明する。図6は第3の実施例の水処理システム90の概略図を示している。係る実施例の水処理システム90も上記実施例と同様に特に、クラゲを多く含む海水を処理するためのものである。
この水処理システム90は、上記第1の実施例と同様の図示しないクラゲ分離手段と、図示しないクラゲ処理手段と、クラゲ分離手段によりクラゲを分離した後の海水、若しくは、別途供給される海水と、クラゲ処理手段により処理されたクラゲ酵素処理液(被処理水)とを電気化学的手法により処理する電解処理装置(電解処理手段)91と、電解処理装置91において処理された後の被処理水を貯溜する貯溜槽(貯溜手段)92とを備えている。
電解処理装置91は、内部に図示しない海水の流入口とクラゲ処理手段からのクラゲ酵素処理液(被処理水)の流出口を有する処理室93を構成する電解槽94と、該処理室93内の海水及びクラゲ酵素処理液の混合液(以下、まとめて被処理水と称する。)に少なくとも一部が浸漬するように対向して配置された一対の電極95、96と、これら電極95、96に通電するための図示しない電源及び該電源を制御するための制御装置などから構成されている。尚、電解槽94内には内部を撹拌するための撹拌手段を設けても良いものとする。
前記電極95は、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることを可能な導電体として、例えば白金(Pt)、又は、白金とイリジウム(Ir)の合金などの貴金属電極、又は、白金、又は、白金とイリジウムの合金を被覆した貴金属被覆電極により構成されており、前記電極96は、電解により発熱を生じる電極としてセラミックス系導電体の一つであるフェライト電極にて構成されている。尚、電極95は、貴金属電極又はこれらを被覆した不溶性の導電体により構成されているが、これ以外に、セラミックス系導電体や炭素系導電体若しくはステンレス鋼などであってもよいものとする。係る実施例では、白金とイリジウム(白金・イリジウム)の混合物を用いる。
以上の構成により、電解槽94内の処理室93に海水及びクラゲ酵素処理液を貯溜し、前記制御装置により電源をONとし、電極95、96に電圧を印加する。これにより、電解槽94内に貯溜された海水中には、塩化物イオンが含有されているため、アノードを構成する白金・イリジウム電極95では、塩化物イオンが電子を放出して塩素を生成する。その後、この塩素は、水に溶解し次亜塩素酸を生成する。また、電解槽94内に貯溜された海水中には、臭化物イオンが含有されているため、アノードを構成する白金・イリジウム電極95では、臭化物イオンが電子を放出して臭素を生成する。その後、この臭素は、水に溶解し次亜臭素酸を生成する。
また、アノードを構成する電極95は、上述の如く白金又は白金とイリジウムの合金などの貴金属電極、又は、白金又は白金とイリジウムの合金を被覆した貴金属被覆電極により構成されていると共に、被電解水としての海水中には、塩化物イオンや臭化物イオンが存在しているため、電位が上昇し、オゾンなどの活性酸素が発生する。
他方、カソードを構成する電極96は、電解により発熱を生じる電極としてセラミックス系導電体の一つであるフェライト電極にて構成されているため、発熱を生じ、被処理水の温度を例えば+100℃程度にまで昇温する。
また、貯溜手段を構成する貯溜槽92は、上記第1の実施例における貯溜槽41と同様に内部に図示しない流入口と流出口を備えた貯溜室97が構成されている。この貯溜槽92の流出口に接続された搬送手段としての配管5は、次亜ハロゲン酸除去手段としての活性炭6を介して外部の放出流域(海域)に接続されている。また、この配管5には、貯溜槽4と活性炭6との間に位置して、一端が前記電解処理装置91に接続された返送配管(返送手段)7が接続されている。
以上の構成により、係る実施例の水処理システム90による被処理水の処理動作について説明する。先ず、水処理システム90のクラゲ分離手段及びクラゲ処理手段により、海水中のクラゲは、CODが多く含まれるクラゲ酵素処理液にまで処理され、電解処理装置91の電解槽94に搬送される。
また、クラゲ分離手段においてクラゲが分離された後の海水、又は、別途供給された海水も電解処理装置91の電解槽94に貯溜し、当該電解槽94の処理室93内に浸漬された電極95、96に通電を行う。これにより、海水には、塩化物イオン及び臭化物イオンが含有されていることから、電解処理により、次亜塩素酸や次亜臭素酸などの次亜ハロゲン酸が生成される。また、カソードを構成する電極96は、電解により発熱を生じるフェライト電極により構成されていることから、電解槽94内の被処理水は、例えば+100℃程度にまで昇温される。
これにより、被処理水に含まれるCODなどの有機物は、次亜ハロゲン酸によって酸化処理され、硝酸やリン酸などの無機物にまで分解される。また、被処理水は、電解により発熱を生じるフェライト電極96により昇温されるため、電解処理と同時に加熱処理を行うことができ、より一層、CODの分解処理効率が向上し、効率的にCODの低減処理を行うことができる。また、本実施例では、電解水を生成するために、臭素を含む海水を用いているため、塩素に比べて温度上昇に伴う次亜臭素酸の揮発量は少ない。そのため、温度上昇によって揮発する次亜臭素酸によるCODの分解処理能力の低下には、大きく影響しないものとなる。
更にまた、係る実施例では、カソードを構成する電極96にフェライト電極を用い、アノードを構成する電極95に電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることを可能な導電体として、白金(Pt)、又は、白金とイリジウム(Ir)の合金などの貴金属電極、又は、白金、又は、白金とイリジウムの合金を被覆した貴金属被覆電極が用いられているため、カソードを構成するフェライト電極96において被処理水中の硝酸態窒素の亜硝酸態窒素及びアンモニアへの還元反応が促進され、還元反応に要する時間を短縮し、且つ、低濃度の硝酸イオンも処理することができるようになる。特にこの場合、カソードを構成する他方の電極96はフェライト電極であり、銅を用いないので、被処理水中に銅が溶出することによる毒性の問題も解決できるようになる。
また、カソードを構成するフェライト電極96において生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極95で生じる次亜ハロゲン酸としての次亜塩素酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、相乗効果によって硝酸態窒素、アンモニア態窒素及び窒素化合物などの窒素成分を効果的に除去することができるようになる。また、電極上に形成されるスケール除去のための極性転換を併用した場合、フェライトがアノードとなるため、鉄イオンが溶出し、これがリン酸イオンと結合し、不溶化することによってリン成分を除去することができるようになる。これによって、被処理水中に工場・プラントや水力発電所などから排出される窒素化合物を含む場合であっても、効率的に窒素化合物を除去することができる。
その後、上述の如く電解処理装置91においてCODが分解処理された後の被処理水は、貯溜槽92に搬送され、該貯溜槽92において、被処理水の温度を所定温度、例えば放出流域である海域に放出しても悪影響を及ぼさない温度であって、電解処理装置91において電解処理効率が低下しない温度、例えば+40℃以下にまで冷却する。
その後、貯溜槽92内の被処理水の一部は、返送配管7を介して電解処理装置91に返送される。排出される以外の貯溜槽92内の被処理水は、活性炭6において次亜ハロゲン酸の除去処理が行われた後、放出流域である海域に排出される。
このとき、放出領域である海域に排出される被処理水中には、CODが低減、若しくは、分解処理されているため、海域のCODを増加させるなどの悪影響を回避することができる。尚、被処理水には、CODの酸化分解処理に伴い無機物としての硝酸やリン酸が生成されるが、係る硝酸やリン酸は、海域に対し、CODほどの悪影響を及ぼさないため、従来のCODの高い被処理水を海域に放出する場合に比して著しく環境への負荷を軽減することができるようになる。
また、硝酸、リン酸を含む被処理水は、上述した如く返送配管7によって一部電解処理装置91に返送されることにより、当該電解処理装置91において上述のように脱窒処理される。また、極性転換併用の場合、脱窒、脱リン処理される。これにより、被処理水中の硝酸濃度を低下させることができ、より一層、環境への配慮を行うことができるようになる。
返送配管7を介して電解処理装置91に返送される被処理水は、貯溜槽92において所定温度にまで冷却されているため、当該電解処理装置91における電解処理効率の低下を回避することができる。また、COD処理後の被処理水には、CODの処理に利用されなかった次亜ハロゲン酸及びハロゲン化物イオンを含んでいるため、係る被処理水を電解処理装置91に返送することにより、電解効率の向上を図ることができると共に、新たな海水の供給を行う必要がなくなり、処理効率の向上を図ることができる。但し、この場合において、係る水処理システム90は、被処理水としてのクラゲ酵素処理液の流入以外、閉ループ循環となるため、処理効率の維持を図るためには、処理に必要とされるハロゲン化物の消費に伴い、新たな海水、若しくは、薬剤などのハロゲン化物の添加が必要となる。
以上詳述した如く係る実施例では、例えば発電所などにおいて冷却水として用いられる海水中にクラゲが大量に存在し、係るクラゲが発電所の取水口に多く侵入した場合であっても、クラゲを酵素処理することでCODなどの有機物を含む被処理水とし、係る被処理水に上述した如き電解水を添加することで、クラゲから生成されるCODなどの有機物を次亜臭素酸などの次亜ハロゲン酸により効果的に分解処理することができるようになる。
また、係る実施例では、電極96の発熱により、被処理水の電解処理と同時に、被処理水の加熱を行うことができるため、簡素な装置にて、CODなどの有機物の処理を促進させることができる。
尚、上記各実施例では、電解水を生成するために海水を用いているが、これ以外にも、臭素を含む溶液であれば、海水以外でも人為的に調整した溶液又は、自然に存在する溶液であっても同様の効果を奏するものであり、当該海水に更に臭素を添加し、電解水に含まれる次亜臭素酸の量を増加させることで、より一層、CODなどの有機物の分解処理効率を向上させることができる。また、上記各実施例では、被処理水中に存在する有機物として、クラゲを例としているが、有機物であればこれ以外であっても同様の効果を奏するものである。
1、50、90 水処理システム
2、2A、2B、2C 電解水生成装置(電解水生成手段)
3、3A、3B、3C 加熱分解装置(加熱処理手段)
4、51、92 貯溜槽(貯溜手段)
6 活性炭
7 返送配管(返送手段)
22 電解槽
23、24、95、96 電極
31 加熱分解処理室
32 加熱分解処理槽
33 ヒータ
91 電解処理装置(電解処理手段)
94 電解槽
2、2A、2B、2C 電解水生成装置(電解水生成手段)
3、3A、3B、3C 加熱分解装置(加熱処理手段)
4、51、92 貯溜槽(貯溜手段)
6 活性炭
7 返送配管(返送手段)
22 電解槽
23、24、95、96 電極
31 加熱分解処理室
32 加熱分解処理槽
33 ヒータ
91 電解処理装置(電解処理手段)
94 電解槽
Claims (9)
- 海水を電気化学的手法により処理して電解水を生成する電解水生成手段と、
有機物を含む被処理水に前記電解水生成手段にて生成された電解水を添加し、加熱する加熱処理手段とを備えたことを特徴とする水処理システム。 - 臭素を含む溶液を電気化学的手法により処理して電解水を生成する電解水生成手段と、
有機物を含む被処理水に前記電解水生成手段にて生成された電解水を添加し、加熱する加熱処理手段とを備えたことを特徴とする水処理システム。 - 前記加熱処理手段を複数段階備え、前記電解水生成手段から各段階の加熱処理手段に電解水を添加することを特徴とする請求項1又は請求項2の水処理システム。
- 電解により発熱を生じる電極を用い、有機物と海水を含む被処理水を電気化学的手法により処理する電解処理手段を備えたことを特徴とする水処理システム。
- 電解により発熱を生じる電極を用い、有機物と臭素を含む被処理水を電気化学的手法により処理する電解処理手段を備えたことを特徴とする水処理システム。
- アノードを構成する前記電極は電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることを可能な導電体であり、
カソードを構成する前記電極はフェライトから成ることを特徴とする請求項4又は請求項5の水処理システム。 - 前記加熱処理手段又は電解処理手段にて処理した後の被処理水を、前記電解水生成手段又は電解処理手段に返送する返送手段を備えたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6の水処理システム。
- 前記返送手段の前段に、前記被処理水の温度を低下させるための貯溜手段を設けたことを特徴とする請求項7の水処理システム。
- 前記加熱処理手段又は電解処理手段にて処理された後、排出される被処理水中の次亜ハロゲン酸を除去する次亜ハロゲン酸除去手段を備えたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7又は請求項8の水処理システム。
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JP2009240930A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | クラゲ処理装置及びクラゲ処理方法 |
-
2004
- 2004-04-21 JP JP2004125162A patent/JP2005305286A/ja not_active Withdrawn
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