JP2005304759A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、家庭用及び業務用に用いられる誘導加熱式の炊飯器に関するものである。
従来の誘導加熱式の炊飯器において、加熱コイルからの漏洩磁界低減する方式として誘導加熱装置(例えば、特許文献1参照)について図面を用いて説明する。図9は、加熱コイルの漏洩磁界を低減した従来の誘導加熱装置である。本従来例では、加熱コイル1の外周部に電磁シールド環2を配置し、誘導加熱装置を構成している。この構成の誘導加熱装置では、加熱コイル1で生じた高周波磁界に誘導され電磁シールド環2に誘導電流が流れ、更にこの誘導電流により、電磁シールド環2には加熱コイル1から発生する高周波磁界とは逆向きの高周波磁界が発生する。この結果、電磁シールド環2から発生する高周波磁界が、加熱コイル1の外周部に発生する高周波磁界を打ち消す様に作用するため、加熱コイル1から漏洩する20k〜100kHz程度の高周波漏洩磁界が減少する。なお、電磁シールド環2はアルミ板やリード線などを環状にしたものが知られている。
他の加熱コイルから発生する漏洩磁界を低減する誘導加熱装置(例えば、特許文献2参照)について説明する。図10は従来の漏洩磁界を低減した誘導加熱装置である。加熱コイル1の外周近傍に巻き線を施してインダクタンス5を構成するとともに、加熱コイル1から発生する高周波磁界と、インダクタンス5が発生する高周波磁界成分が互いに打ち消す方向に配置している。図11に従来の誘導加熱装置の回路例を示す。図11の誘導加熱装置は商用電源などで構成される電源部3と電源部3の電力を高周波電力に変換するインバータ11とインバータ11の電力を高周波磁界に変換する加熱コイル1と加熱コイル1からの磁界を受けて発熱する鍋15で構成されており、インバータ11は、商用電源を整流する整流手段4と整流手段4の出力を平滑化するインダクタ5及び平滑コンデンサ6と加熱コイル1への電力供給を制御する半導体スイッチ8及び半導体スイッチ8のスイッチング動作を滑らかにする共振コンデンサ7から構成されている。図10の従来例ではインダクタ5を巻き線のみで構成していおり、インダクタンス5のコア材を不要とし装置の小型化を図るとともに高周波ノイズの低減効果を併せ持っている。
特開昭57−115795号公報
特公昭63−7672号公報
しかし、図9の様な従来の加熱コイル1からの漏洩磁界を低減した誘導加熱装置においては、高周波の漏洩磁界は電磁シールド環2の効果により、減少させることができるが、加熱コイル1から発生する電源周波数または電源の2倍周波数の磁界(以下低周波磁界)は、鍋15ではほとんど吸収されず、また電磁シールド環2では逆向きの磁界を十分発生させることができないためで、低周波磁界が減少せず外部に放出される。
一方、図10及び図11の従来の誘導加熱装置においては、巻き線をインダクタンスとして動作させるため(数100μH程度)、巻き線の巻き数が多くなることになる。この際、巻き線から放出される低周波磁界が加熱コイルから放出される低周波磁界より大きくなり、外部に放出する低周波磁界が増加する課題が生じることになる。また、従来の誘導加熱装置は高周波磁界を打ち消すことを目的としており、漏洩磁界低減用の巻き線は加熱コイルの近傍に限定され配置の自由度がなく、更に加熱コイル近傍に配置することで鍋などの加熱物への磁界分布が変わり、特に炊飯器の場合には炊飯性能へ大きく影響を及ぼすという課題が生じることになる。また、上記の様に従来の誘導加熱装置は高周波の漏洩磁界を低減させるもので、低周波の漏洩磁界の低減に着目してこなかった。しかし、低周波漏洩磁界を低減することにより、因果関係は明確ではないが一部の調査で懸念されている低周波磁界の人体への影響に対する機器使用者の不安を取り除くことができ、また機器の極近傍の電子機器の誤動作のリスクを排除することもできる。
本発明は上記の課題を解決するべく従来の誘導加熱式炊飯器では認知されなかった低周波の漏洩磁界にも焦点をあて対策するもので、低周波磁界が加熱コイルから放射されることを減少させ、機器から発生する不要な電磁波を減少させるとともに、従来の誘導加熱式炊飯器の磁界分布を大きく変えずに低周波漏洩磁界対策を行うことで炊飯性能への悪影響がなく低周波の漏洩磁界対策を行うことができる炊飯器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の炊飯器は、鍋と、前記鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルを設置するコイル枠と、前記コイル枠上部にあり前記鍋の側面を支持する内枠と、前記加熱コイルの裏面近傍で前記鍋と対向して複数配設された第1の磁性体と、電源部に接続され商用周波数の電力を整流し商用周波数の2倍の周波数の低周波成分を持った電力に変換する整流手段と、前記低周波成分を持った電力を高周波電力に変換し前記加熱コイルに前記低周波成分と高周波成分が重畳した高周波電流を供給するインバータとを備え、前記インバータ内にあり前記低周波成分を持つ低周波電流が流れる配線を、前記配線より発生する低周波磁界と前記加熱コイルより発生する低周波磁界が互いに打ち消す方向となるように前記加熱コイル近傍にコイル状に複数回巻いて構成したコイル状の配線を有するとともに、前記コイル状の配線の形状を安定させるべく前記内枠に前記コイル状の配線を巻き付けて配設することにより、加熱コイルに流れる低周波成分と同じ周波数成分で加熱コイルと逆向きに電流が流れるように配置したコイル状の配線から発生する磁界が、加熱コイルからの低周波の漏洩磁界と互いに打ち消し合うことで漏洩磁界を大きく低減させるとともに、コイル状の配線を内枠に巻き付ける構成にすることでコイル状の配線を巻くための巻き冶具を別に設ける必要がないため、簡易にコイル状の配線を配置することができる。
本発明の炊飯器は、炊飯性能への影響がほとんどなく加熱コイルから発生する低周波の漏洩磁界を低減することができる。
第1の発明は、内鍋と、前記鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルを設置するコイル枠と、前記コイル枠上部にあり前記鍋の側面を支持する内枠と、前記加熱コイルの裏面近傍で前記鍋と対向して複数配設された第1の磁性体と、電源部に接続され商用周波数の電力を整流し商用周波数の2倍の周波数の低周波成分を持った電力に変換する整流手段と、前記低周波成分を持った電力を高周波電力に変換し前記加熱コイルに前記低周波成分と高周波成分が重畳した高周波電流を供給するインバータとを備え、前記インバータ内にあり前記低周波成分を持つ低周波電流が流れる配線を、前記配線より発生する低周波磁界と前記加熱コイルより発生する低周波磁界が互いに打ち消す方向となるように前記加熱コイル近傍にコイル状に複数回巻いて構成したコイル状の配線を有するとともに、前記コイル状の配線の形状を安定させるべく前記内枠に前記コイル状の配線を巻き付けて配設することにより、加熱コイルに流れる低周波成分と同じ周波数成分で加熱コイルと逆向きに電流が流れるように配置したコイル状の配線から発生する磁界が、加熱コイルからの低周波の漏洩磁界と互いに打ち消し合うことで漏洩磁界を大きく低減させるとともに、コイル状の配線を内枠に巻き付ける構成にすることでコイル状の配線を巻くための巻き冶具を別に設ける必要がないため、簡易にコイル状の配線を配置することができる。
第2の発明は、特に第1の発明の炊飯器を、内枠外周部に凸部を設け、コイル状の配線を前記凸部の上方に縦列に配設することにより、コイル状の配線が内枠からはずれにくくなるため、コイル状の配線の位置を正しく決めることができ、安定した防磁効果を得ることができる。
第3の発明は、特に第1〜2のいずれか一つの発明の炊飯器を、コイル状の配線近傍で第1の磁性体の上方に第2の磁性体を備え、前記コイル状の配線からの磁界が第1の磁性体に影響することを防止すべく内枠外周部に前記第2の磁性体を配設することにより、コイル状の配線から発生する磁界が第1の磁性体に放射することを抑制することができ、第1の磁性体の磁化的性能の変化による炊飯性能劣化を防止することができるとともに、第2の磁性体の位置を精度良く決めることができる。
第4の発明は、特に第3の発明の炊飯器を、第2の磁性体に屈曲部を設け、前記第2の磁性体の屈曲部よりも上方にコイル状の配線を配設することにより、コイル状の配線の下部にも第2の磁性体が配置されるため、コイル状の配線から発生する磁界が第1の磁性体に放射することをより抑制することができ、第1の磁性体の磁化的性能の変化による炊飯性能劣化を防止することができる。
第5の発明は、特に第3の発明の炊飯器を、第2の磁性体に複数の屈曲部を設け、コイル状の配線を前記第2の磁性体で挟み込む構成としたことにより、更にコイル状の配線から発生する磁界が第1の磁性体に放射することをより抑制することができ、第1の磁性体の磁化的性能の変化による炊飯性能劣化を防止することができる。
第6の発明は、特に第3の発明の炊飯器を、コイル状の配線の外周側に、第2の磁性体に対向するように第3の磁性体を配設することにより、第2の磁性体及び第3の磁性体を板状の形状のままで、コイル状の配線から発生する磁界が第1の磁性体に放射することを抑制することができ、第1の磁性体の磁化的性能の変化による炊飯性能劣化を防止することができる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における炊飯器の構成図を示すものである。図1において、商用電源を含む電源部1は、インバータ11に接続され、インバータ11は加熱コイル1に接続される。加熱コイル1はコイル枠14の底面及び側面に配置され、コイル枠14上面に置かれた鍋15と磁気結合する形で設置される。加熱コイル1の下部には鍋15との磁気結合を高めるフェライトなどの磁性体で構成される第1の磁性体13が配置される。コイル枠14の上部には内枠16が配置し、鍋15は内枠16に沿ってコイル枠14上に配設される。また、インバータ11は電源部3に接続される整流手段4と、整流手段4と直列に接続されるインダクタ5と平滑コンデンサ6の直列接続と、平滑コンデンサ6に並列に接続される共振コンデンサ7と半導体スイッチ8の直列接続からなり、共振コンデンサ7は加熱コイル1と並列に接続される。インダクタ5からの配線は加熱コイル1の巻き方向とは逆にコイル状に複数回巻かれ(以下、コイル状の配線12)、内枠16上に配設される。
図1は本発明の実施の形態における炊飯器の構成図を示すものである。図1において、商用電源を含む電源部1は、インバータ11に接続され、インバータ11は加熱コイル1に接続される。加熱コイル1はコイル枠14の底面及び側面に配置され、コイル枠14上面に置かれた鍋15と磁気結合する形で設置される。加熱コイル1の下部には鍋15との磁気結合を高めるフェライトなどの磁性体で構成される第1の磁性体13が配置される。コイル枠14の上部には内枠16が配置し、鍋15は内枠16に沿ってコイル枠14上に配設される。また、インバータ11は電源部3に接続される整流手段4と、整流手段4と直列に接続されるインダクタ5と平滑コンデンサ6の直列接続と、平滑コンデンサ6に並列に接続される共振コンデンサ7と半導体スイッチ8の直列接続からなり、共振コンデンサ7は加熱コイル1と並列に接続される。インダクタ5からの配線は加熱コイル1の巻き方向とは逆にコイル状に複数回巻かれ(以下、コイル状の配線12)、内枠16上に配設される。
図2は本発明の実施の形態におけるコイル状の配線12と内枠16の位置関係を示す図である。コイル状の配線12は内枠16の外周部に巻かれ配置される。また、内枠16は、コイル枠14の上部に位置するため、コイル状の配線12は加熱コイル1のほぼ外周に配置される。
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。図3はインバータ回路の各区間における電流経路を示した図である。I3は入力電流を、I5はインダクタ5及びコイル状の配線12に流れる電流を、I1は加熱コイル1に流れる電流を示している。電源部3は商用電源などで構成され、インバータ11に商用周波数の電力を供給する。そのため、入力電流I3は、商用周波数成分を持つ電流になる。インバータ11では整流手段4により商用電力を整流して商用電源の2倍の周波数成分を持った電力に変換し、更に半導体スイッチ8を用いて20k〜100kHz程度の高周波電力に変換される。そしてこの高周波電力は加熱コイル1に供給され、加熱コイル1から高周波磁界の形で鍋15に供給される。鍋15は、供給された高周波磁界により表層部に渦電流が生じ、その結果発熱するに至る。そのため、インダクタ5及びコイル状の配線12に流れる電流は商用周波数の2倍の周波数の電流I5が流れ、また加熱コイル1には半導体スイッチ8が導通状態になったときに電源部1→整流手段4→加熱コイル1→半導体スイッチ8のループで生じる商用周波数の2倍の成分をもつ低周波電流と、半導体スイッチ8の周波数に従って加熱コイル1に流れる高周波成分が重畳した電流I11が流れる。よって加熱コイル1とコイル状の配線12の低周波磁界が互いに打ち消すように配置することにより、加熱コイル1から発生する低周波磁界を打ち消すことができる。
一方、コイル状の配線12は内枠16に巻き付けることで、特に巻き冶具を用意して巻く必要がなく形状も安定することになる。また、加熱コイル1の外周部かつ上部にコイル状の配線が配置されるため、より低周波磁界が多く発生する外周部周辺に打ち消し磁界を発生させるコイル状の配線12を配置することになり、加熱コイル1から外部に放射される低周波磁界をより打ち消すことが可能になる。
更に、図4に示すように内枠16の下端に凸部を設けてその上部にコイル状の配線12を施し、縦列に配置することで、コイル状の配線12の位置を定めることができるとともに、コイル状の配線12が内枠16からはずれることを防止することが可能になる。
なお、本実施例では、誘導加熱装置に用いられる一般的な回路構成を示しているが、加熱コイル1に商用周波数及び商用周波数の2倍に周波数成分を持つ電流が重畳する回路構成であれば特に限定するものではない。
以上のように本実施の形態においては、インバータ11内にあり加熱コイル1に流れる電流の低周波成分と同じ周波数成分で加熱コイル1と逆向きに電流が流れるよう加熱コイル1の近傍にコイル状に配設したコイル状の配線12が、コイル状の配線12から発生する低周波磁界により、加熱コイル1からの低周波磁界と互いに打ち消し合って低周波の漏洩磁界を大きく低減させるとともに、内枠16の上にコイル状の配線12を巻き付ける構成にすることで特に巻き冶具を用意する必要がなく簡易にコイル状の配線を配置することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態の炊飯器の構成図である。本実施例が実施の形態1と異なるのは、第2の磁性体17が内枠16とコイル状に配線12の間に配設されるとともに、第2の磁性体17が内枠16に固定されている点である。
図5は、本発明の実施の形態の炊飯器の構成図である。本実施例が実施の形態1と異なるのは、第2の磁性体17が内枠16とコイル状に配線12の間に配設されるとともに、第2の磁性体17が内枠16に固定されている点である。
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。コイル状の配線12から発生する低周波磁界は、加熱コイル1からの低周波磁界を打ち消す一方でフェライト等の第1の磁性体13を通過すると、第1の磁性体の13の透磁率等の磁気的な性能が変化し鍋15へ印可される磁界の分布が変化することになる。このことにより、従来の磁界分布が崩れ、その結果加熱コイル1からの磁界を受けて発熱する鍋15の温度分布が微妙に変化して炊飯性能が劣化することになる。そこでコイル状の配線12の近傍である内枠16に第2の磁性体17を配置することで、コイル状の配線12から発生する磁界が第2の磁性体17内を通過して、第1の磁性体13に放射されることを抑えることでき、その結果、従来の炊飯器の磁界分布が変化せず、炊飯性能へのコイル状の配線12からの影響を防止することができることになる。また、第2の磁性体17による影響はコイル状の配線12の近傍に留まるため、コイル状の配線12の加熱コイル1に対する防磁効果は劣化することはない。また、第2の磁性体17を内枠16に固定することで、第2の磁性体の位置を精度良く決めることができる。このことにより、特に第1の磁性体13の上方に第2の磁性体17が来るように配置することで、第1の磁性体13の磁気的な性能の変化を抑えることが可能になる。
また、図6に示すように第2の磁性体17に屈曲部19を設け、第1の磁性体13をその屈曲部19の上部にコイル状の配線12を配置することで、コイル状の配線12が第2の磁性体17により固定されるため位置決めを正しくできるとともに、コイル状の配線12の下部にも第2の磁性体17が配置されるため、コイル状の配線12から発生する磁界が第1の磁性体13に放射することをより抑制することができ、第1の磁性体13の磁化的性能の変化による炊飯性能劣化を防止することができる。ここで、第2の磁性体17の形状としてはL字構成やV字構成などがある。
更に、図7に示すように第2の磁性体17に複数の屈曲部19を設け、コイル状の配線12を前記第2の磁性体17で挟み込む構成とすることにで、コイル状の配線12から発生する磁界の多くが第2の磁性体17を通過させ、第1の磁性体13への放射をより減少させることができる。ここで第2の磁性体17の形状としてはコの字構成などがある。
以上のように本実施の形態においては、コイル状の配線12の近傍で第1の磁性体13の上方に第2の磁性体17を配置し、更に内枠外周に前記第2の磁性体17を固定する構成とすることにより、コイル状の配線12から発生する磁界が第1の磁性体13に放射することを抑制することができ、第1の磁性体13の磁化的性能の変化による炊飯性能劣化を防止することができるとともに、第2の磁性体17の位置決めを精度良く行うことができる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態の炊飯器の構成図である。本実施例が実施の形態1と異なるのは、内枠16と内枠16の外面に配置されたコイル状の配線12に間に第2の磁性体17が配置されるとともに、コイル状の配線12を挟む形で第2の磁性体17の対向面に第3の磁性体18が配設されることである。
図8は、本発明の実施の形態の炊飯器の構成図である。本実施例が実施の形態1と異なるのは、内枠16と内枠16の外面に配置されたコイル状の配線12に間に第2の磁性体17が配置されるとともに、コイル状の配線12を挟む形で第2の磁性体17の対向面に第3の磁性体18が配設されることである。
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。コイル状の配線12から発生する低周波磁界は、加熱コイル1からの低周波磁界を打ち消す一方でフェライト等の第1の磁性体13を通過すると、第1の磁性体の13の透磁率等の磁気的な性能が変化し鍋15へ印可される磁界の分布が変化することになる。このことにより、従来の磁界分布が崩れ、その結果加熱コイル1からの磁界を受けて発熱する鍋15の温度分布が微妙に変化して炊飯性能が劣化することになる。そこで、コイル状の配線12の近傍に磁性体を配置し、コイル状の配線12から発生する磁界が磁性体内を通過するように配置することで、第1の磁性体13に放射される磁界を減らすことができる。一方、磁性体の形状としては、コイル状の配線12を囲むように配置することでより多くの磁界が磁性体内を流れるため、第1の磁性体13への影響が少なくすることができる。しかしながら、磁性体は一般的に堅い物が多く屈曲させることが困難である。そこで、コイル状の配線12を挟みかつ互いに対向した位置に第2の磁性体17と第3の磁性体18を配置することで、磁気的にはループを描かせることが可能になる。また、第2の磁性体17と第3の磁性体18は平板で構成されるため、曲げ加工などが必要なく簡易に磁性体を作成することができる。
以上のように本実施の形態においては、コイル状の配線12の外周部で、内枠16外周に配設された第2の磁性体17に対向するように第3の磁性体18を配設する構成とすることにより、第2の磁性体17及び第3の磁性体18を板状の形状のままで、コイル状の配線12から発生する磁界が第1の磁性体13に放射することを抑制することができ、第1の磁性体12の磁化的性能の変化による炊飯性能劣化を防止することができる。
本発明は、家庭用及び業務用に用いられる誘導加熱式の炊飯器に応用できる技術である。
1 加熱コイル
2 電磁シールド環
3 電源部
4 整流手段
5 インダクタ
6 平滑コンデンサ
7 共振コンデンサ
8 半導体スイッチ
11 インバータ
12 コイル状の配線
13 第1の磁性体
14 コイル枠
15 鍋
16 内枠
17 第2の磁性体
18 第3の磁性体
19 屈曲部
2 電磁シールド環
3 電源部
4 整流手段
5 インダクタ
6 平滑コンデンサ
7 共振コンデンサ
8 半導体スイッチ
11 インバータ
12 コイル状の配線
13 第1の磁性体
14 コイル枠
15 鍋
16 内枠
17 第2の磁性体
18 第3の磁性体
19 屈曲部
Claims (6)
- 鍋と、前記鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルを設置するコイル枠と、前記コイル枠上部にあり前記鍋の側面を支持する内枠と、前記加熱コイルの裏面近傍で前記鍋と対向して複数配設された第1の磁性体と、電源部に接続され商用周波数の電力を整流し商用周波数の2倍の周波数の低周波成分を持った電力に変換する整流手段と、前記低周波成分を持った電力を高周波電力に変換し前記加熱コイルに前記低周波成分と高周波成分が重畳した高周波電流を供給するインバータとを備え、前記インバータ内にあり前記低周波成分を持つ低周波電流が流れる配線を、前記配線より発生する低周波磁界と前記加熱コイルより発生する低周波磁界が互いに打ち消す方向となるように前記加熱コイル近傍にコイル状に複数回巻いて構成したコイル状の配線を有するとともに、前記コイル状の配線の形状を安定させるべく前記内枠に前記コイル状の配線を巻き付けて配設する炊飯器。
- 内枠外周部に凸部を設け、コイル状の配線を前記凸部の上方に縦列に配設する請求項1記載の炊飯器。
- コイル状の配線近傍で第1の磁性体の上方に第2の磁性体を備え、前記コイル状の配線からの磁界が第1の磁性体に影響することを防止すべく内枠外周部に前記第2の磁性体を配設する請求項1または請求項2記載の炊飯器。
- 第2の磁性体に屈曲部を設け、前記第2の磁性体の屈曲部よりも上方にコイル状の配線を配設する請求項3記載の炊飯器。
- 第2の磁性体に複数の屈曲部を設け、コイル状の配線を前記第2の磁性体で挟み込む構成とした請求項3に記載の炊飯器。
- コイル状の配線の外周側に、第2の磁性体に対向するように第3の磁性体を配設する請求項3に記載の炊飯器。
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