JP2005304302A - 培養処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 培養容器を交換する際に、タンパク質分解酵素に細胞を過剰に接触させることを防止して細胞の健全性を確保するとともに、培養容器から効率的に細胞を剥離させる。
【解決手段】 培養された細胞を収容する複数の培養容器に、タンパク質分解酵素を順次供給する酵素供給部と、同一ロット内の最初の培養容器へのタンパク質分解酵素の供給時に時間の計測を開始する計時部64と、該計時部64により計測された時間が所定の時間に達したことを報知する報知部66とを備える培養処理装置30を提供する。
【選択図】 図9

Description

この発明は、培養処理装置に関するものである。
従来、自動培養装置として、複数の培養容器を収納可能な固定式の収納棚と、水平・昇降・回転移動可能な搬送手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この自動培養装置は、培養室内に配置された収納棚に、鉛直方向に並ぶ複数の小部屋を備え、各小部屋の中に培養容器を1つずつ収容して培養を行い、培養途中に搬送手段を作動させて、小部屋から1つずつ培養容器を取り出し、培地を交換し、小部屋へ培養容器を戻すよう構成されている。
特開2002−262856号公報(図1等)
しかしながら、細胞を必要細胞数まで成長させるには、培養容器内の培地を定期的に交換するのみならず、培養容器を交換するなどして培養容器の底面積を広げる処理、いわゆる継代処理を行う必要がある。継代処理は、例えば、トリプシンのようなタンパク質分解酵素を培養容器内に注入して、底面に付着して成長している細胞を剥離させ、底面積の広い新たな培養容器に移し替えることを行う。
この場合において、タンパク質分解酵素を培養容器内に供給してから、培養容器の底面から細胞が剥離するまでに時間がかかり、またその時間も一定していないことから、一律に時間を設定したのでは、培養容器内の細胞が剥離されずに残ってしまう不都合がある。また、設定時間を長くすることにより、全ての培養容器から細胞を剥離させることができるが、この場合には、細胞がタンパク質分解酵素に長時間接触するために、細胞膜に損傷を受けることが考えられ、好ましくない。
特に、複数の培養容器を1ロットにして処理する場合に、同一ロット内の最初に処理を開始した培養容器と、その後に処理を開始した培養容器とでは、細胞がタンパク質分解酵素に接触している時間が相違するため、最終に処理を開始した培養容器の処理状態を観察中に、最初に処理を開始した培養容器内の細胞の処理時間が過剰になるという不都合が考えられる。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、培養容器を交換する際に、タンパク質分解酵素に細胞を過剰に接触させることを防止して、細胞の健全性を確保するとともに、培養容器から効率的に細胞を剥離させることができる培養処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、培養された細胞を収容する複数の培養容器に、タンパク質分解酵素を順次供給する酵素供給部と、同一ロット内の最初の培養容器へのタンパク質分解酵素の供給時に時間の計測を開始する計時部と、該計時部により計測された時間が所定の時間に達したことを報知する報知部とを備える培養処理装置を提供する。
この発明によれば、複数の培養容器内に収容した細胞が同一ロットにおいて培養される場合において、これらの培養容器内の細胞に継代処理を施す際に、酵素供給部の作動により、細胞を収容する複数の培養容器内にタンパク質分解酵素が順次供給される。
この場合において、同一ロットの最初の培養容器にタンパク質分解酵素が供給されると、計時部の作動により時間の計測が開始される。そして、予め定められた所定の時間が経過したときには、報知部が作動させられてその旨が報知される。
したがって、作業者は、報知部からの報知により、最初の培養容器のタンパク質分解酵素による処理時間が一定時間を経過したことを知ることができる。
すなわち、報知を受けた作業者は、当該最初の培養容器に対して、その後の処理を進行させることが可能となり、同一ロット内の細胞の内、タンパク質分解酵素に最も長い時間にわたって接触させられている細胞の接触時間が過剰に長くなることにより細胞膜が損傷を受ける等の不都合の発生を防止することができる。
また、上記発明においては、タンパク質分解酵素が供給されたいずれかの培養容器内部の様子を観察可能な観察部を備えることが好ましい。
このようにすることで、タンパク質分解酵素が供給された培養容器内の様子が、観察部の作動により観察されることになる。この場合において、作業者は、タンパク質分解酵素が供給された複数の培養容器の内のいずれの培養容器を観察していても、報知部からの報知により、最初の培養容器のタンパク質分解酵素による処理時間が一定時間を経過したことを知ることができる。
また、上記発明においては、観察部により観察される培養容器を選択する選択スイッチを備える。
このようにすることで、作業者は、選択スイッチを切り替えることにより、培養容器を任意に選択して観察することができ、また、タンパク質分解酵素による処理時間が一定時間を経過したときには、観察を終了して、最初の培養容器の観察を行うことが可能となる。
本発明によれば、複数の培養容器内に細胞を収容して培養する同一ロットの各培養容器にタンパク質分解酵素を供給して継代処理を行う場合に、最も長時間にわたってタンパク質分解酵素に接触させられている細胞が、過剰に処理されることを防止して、細胞の健全性を保持することができる。
この発明の一実施形態に係る培養処理装置について、図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態に係る自動培養装置1は、図1に示されるように、外部から観察可能な透明な壁材により密閉され、シャッタ2を介して相互に連絡する第1空間S1と第2空間S2とを備えている。
第1空間S1の両側空間S11,S13には、培養容器3を収容する培養室4が2個ずつ計4個配置され、中央空間S12には、培養容器3を移動するための搬送ロボット(搬送機構)5が備えられている。中央空間S12の上部には、中央空間S12内の空気を浄化するために清浄な下降空気流を送る空気清浄部6が設けられている。
4個の培養室4は、それぞれ中央空間S12に向けて扉4aを配置することにより、横に並んだ2個ずつが相互に扉4aを対向させて、間隔をあけて配置されている。
前記各培養室4は、図2および図3に示されるように、一側面に開口部4bを有し、該開口部4bを開閉可能な扉4aを備えている。開口部4bに向かって左右の側壁には、対応する高さ位置に複数のレール状のトレイ保持部材4cが設けられており、左右対となる各トレイ保持部材4cに掛け渡すようにして、トレイ7を上下方向に複数段収容できるようになっている。各培養室4内は、所定の培養条件、例えば、温度37±0.5℃、湿度100%およびCO濃度5%等に維持されている。なお、トレイ保持部材4cはレール状に限定されず、トレイ7を出し入れ可能に支持することができれば任意の形態でよい。
各トレイ7には、複数個、例えば、10個の培養容器3を並べて載置できるようになっている。各培養容器3は、図4に示されるように、容器本体3aと、該容器本体3aの上面に設けられた蓋体3bとからなり、容器本体3aの左右の側面には、後述する第2空間内のハンドにより引っかけられる突起3cが設けられている。
各培養室4の下方には、図1および図2に示されるように、未使用の培養容器3をトレイ7に搭載した状態で複数収容するストッカ8が配置されている。
各ストッカ8内には、図示しないリフト機構が設けられており、最上段のトレイ7が取り出された後に、下段のトレイ7を順次持ち上げて、次に取り出すトレイ7を最上段の供給位置に配置しておくことができるようになっている。
ストッカ8は、前記培養室4の扉とは反対側の第1空間S1の外部に向かう側面に開閉可能なドア51を有している。該ドア51は、ストッカ8の一側面全体を開放する大きさに形成されている。このドア51を介してトレイ7に搭載した培養容器3を外部からストッカ8内に挿入することができるようになっている。また、ストッカ8には、ストッカ8内の最上段のトレイ7に対応する位置に培養室4の扉側に開口する搬入口52が設けられている。搬入口52にはシャッタが配置されており、搬送ロボット5は、シャッタが開けられた状態の搬入口52から、ストッカ8内に収容されている未使用の培養容器3をトレイ7ごと取り出して後述する培養処理装置30へ移動させるようになっている。
前記搬送ロボット5は、4個の培養室4の間隔位置のほぼ中央に配置されている。該搬送ロボット5は、水平回転可能な第1アーム5aと、該第1アーム5aの先端に鉛直軸回りに回転可能に連結された第2アーム5bと、該第2アーム5bの先端に鉛直軸回りに回転可能に取り付けられ、それ自身は駆動部、伝導機構などの培養室内の環境を劣化させる機構を持たないハンド5cと、これら第1アーム5a、第2アーム5bおよびハンド5cを昇降可能な昇降機構5dとを備えている。これにより、搬送ロボット5は、4個の培養室4内の全てのトレイ7にアクセスするとともに、前記シャッタ2を跨いで第1空間S1と第2空間S2との間に配置されたコンベア9上にトレイ7を引き渡すことができる水平方向の動作範囲を有している。
前記コンベア9は、搬送ロボット5のハンド5cの幅寸法より大きな間隔をあけて左右に配置された2本の無端ベルト9aを備え、これら無端ベルト9aに掛け渡してトレイ7を載置できるようになっている。また、搬送ロボット5は、培養室4内の全てのトレイ7にアクセスするとともに、前記ストッカ8内の少なくとも最上段のトレイ7にアクセスできる垂直方向の動作範囲を有している。
なお、ベルト9aは無端ベルトに限られない。
前記ハンド5cは、トレイ7を載置可能に水平方向に延びる平坦な形状に形成されており、培養室4に収容されているトレイ7間の隙間に挿入可能な厚さ寸法に形成されている。そして、ハンド5cは、トレイ7間の隙間に挿入された状態から上昇させられることにより、2本の腕によってトレイ7を下方から押し上げてトレイ保持部材4cから取り上げるとともに、トレイ7を安定して保持できるようになっている。
前記第2空間S2には、図1に示されるように、培養処理装置30が構成されている。
培養処理装置30は、図1に示されるように、給排ロボット10、遠心分離器11、分注ロボット13、チップ供給装置15、チップ回収部31、試薬等供給装置16、顕微鏡17、貯留タンク18、水平移動機構19および載置台21を備えている。
例えば、医療機関等で患者から採取された骨髄液を導入され、供給された骨髄液から間葉系幹細胞を多く含む検体を集める検体抽出部50は、提供された骨髄液にPBS(リン酸緩衝化食塩水)等を供給して攪拌する給排ロボット10と、攪拌された骨髄液から間葉系幹細胞を多く含む検体を分離する遠心分離器11とにより構成されている。
給排ロボット10は、シャッタ2が開かれた状態で第1空間S1からコンベア9によって搬送されてきたトレイ7上の培養容器3に対し、上記検体抽出部50において集められた検体を供給し、あるいは、培地を供給、回収するようになっている。遠心分離機11は、培養容器3内の培地から細胞を分離するように構成されている。
分注ロボット13は、血清や試薬等の種々の液体を分注するための電動ピペット12を備えた水平回転および昇降移動可能なロボットであって、第2空間S2内に4台設置されている。
前記チップ供給装置15は、これら給排ロボット10および分注ロボット13の電動ピペット12先端に取り付ける使い捨て可能なチップ14を複数収容していて給排ロボット10および分注ロボット13の動作範囲内に提供するようになっている。前記チップ回収部31は、使用済みのチップ14を廃棄回収するようになっている。前記試薬等供給装置16は、血清や試薬等の種々の液体を複数の容器に貯留している。顕微鏡17は培養容器3内における細胞の様子を観察できるようになっている。貯留タンク18は、各試薬および培地交換等により廃棄される廃液をそれぞれ貯留するように複数設けられている。水平移動機構19は、前記コンベア9と各ロボット10,13との間で培養容器3を受け渡し可能とするように培養容器3を移動させるようになっている。前記載置台21は、水平移動機構19のスライダ20に取り付けられ、受け取った培養容器3を載置するように構成されている。
なお、第2空間S2にも、該第2空間S2内の空気を浄化するために清浄な下降気流を形成する空気清浄機32が設けられている。
前記第2空間S2に構成された培養処理装置30は、その高さ方向の中間位置に配され第2空間S2内を上部空間S21と下部空間S22とに上下に区画する第1の区画壁33と、該第1の区画壁33により形成された下部空間S22内をさらに上下に区画する第2の区隔壁34とにより、上下方向に並ぶ3つの空間S21,S221,S222に区画されている。第1の区画壁33は、前記コンベア9の高さに配置され、その上方の上部空間S21内に、載置台21、給排ロボット10、分注ロボット13のアーム13a、顕微鏡17のXYテーブル17a以上の機構部等を配置している。これらの装置は、培養容器3の移動に必要な装置、および培養容器3の上部開口からアクセスすることが必要な装置だからである。なお、試薬等供給装置16の上面も第1の区画壁33の上面に露出しているが、これはチップ14の挿入口16cを上部空間S21に開口させるためである。
また、第1の区画壁33には、載置台21を上部空間S21において移動させるために、載置台21を下部空間S21内の水平移動機構19に連結するための長孔35、第1の区画壁33の下方の空間S221に配置されたチップ供給装置15からチップ14を取り出すための貫通孔36、使用済みのチップ14を廃棄するための廃棄口37が貫通形成されている。さらに、第1の区画壁33には、その側壁30a,30bに沿って、上下に貫通する通気口38が設けられている(斜線部)。
第1の区画壁33と第2の区画壁34との間の空間S221には、図5に示されるように、分注ロボット13の本体部分、チップ供給装置15、試薬等供給装置16、顕微鏡17のXYテーブル17a以下の部分、水平移動機構19および、チップ回収部31の廃棄口37と廃棄容器39とを接続するダクト40が備えられている。前記ダクト40は、図6に示されるように、例えば、その上端にフランジ部40aを備える構造とされ、第1の区画壁33の下部に設けたフック44に引っかけることで、第1の区画壁33と第2の区画壁34との間に着脱可能に設ければよい。第2の区画壁34の側壁30a,30b近傍には、該側壁30a,30bに沿って、上下に貫通する通気口43が設けられている(斜線部)。
さらに、第2の区画壁34の下方の空間S222には、図7に示されるように、遠心分離機11、貯留タンク18、廃棄容器39、および排気ファン41が配置されている。排気ファン41の出口にはHEPAフィルタのようなフィルタ42が設けられ、排気される空気を清浄にするようになっている。
前記給排ロボット10は、水平多関節型ロボットであって、例えば、図1に示す例では、2種類の電動ピペット10a,10bを備えるヘッド10cと、水平旋回可能な2つのアーム10d,10eと、アーム10eの先端に設けられヘッド10cを昇降させる昇降機構10fとを備えている。電動ピペット10aは、貯留タンク18からダクト10gを介して導かれた培地を供給し、あるいはピペッティング動作を行うようになっている。電動ピペット10bは、培養容器3内あるいは遠心容器内の不要な培地を吸引し、ダクト10gを介して他の貯留タンク18へ廃液として排出するようになっている。
電動ピペット10aによるピペッティング動作は、前記検体抽出部50においてPBSを注入された骨髄液に対して行われるとともに、遠心分離機11により分離された細胞に対しても行われるようになっている。ピペッティング動作は、電動ピペット10aの先端にチップ供給装置15から供給されたチップ14を装着して、遠心容器(図示略)内に挿入し、遠心容器内に貯留されている骨髄液とPBSとからなる細胞懸濁液、あるいは細胞と培地とを混合してなる細胞懸濁液に対し、吸引および放出を10回〜20回繰り返す。これにより、細胞懸濁液を均一に攪拌するようになっている。
また、給排ロボット10は、ピペッティング動作の後に、電動ピペット10aによって、遠心分離機11により分離された細胞と培地との混合液を吸引し、載置台21上に搭載された培養容器3内に上部開口から供給するようになっている。
一旦使用された使用済みのチップ14は、チップ回収部31において取り外され回収されるようになっている。したがって、給排ロボット10は、載置台21、チップ供給装置15、チップ回収部31および遠心分離機11からの細胞供給装置(図示略)等の種々の装置をその動作範囲内に配置している。
前記遠心分離機11は、ピペッティングにより混合された細胞懸濁液を貯留した遠心容器を受け取って低速回転させることにより、骨髄液内に含有されている間葉系幹細胞等の白血球をその他の体液から分離して沈下させるようになっている。また、遠心分離機11は、給排ロボット10から供給された細胞入りのトリプシン溶液を低速回転させることによりトリプシン溶液内に浮遊していた比重の重い細胞を培地から分離して沈下させるようになっている。
前記分注ロボット(酵素供給部)13は、それぞれ、先端にチップ14を着脱可能に取り付ける電動ピペット12を備えた水平回転可能なアーム13aと、該アーム13aを昇降させる昇降機構13bとを備えている。分注ロボット13は、水平移動機構19によって搬送されて来た培養容器3内へ、培地や種々の試薬を供給するようになっている。したがって、分注ロボット13は、水平移動機構19上の載置台21、チップ供給装置15、チップ回収部31および試薬等供給装置16等の種々の装置をその動作範囲内に配置している。
前記チップ供給装置15は、上方に開口した容器15a内に、電動ピペット10a,10b,12への取付口を上向きにして複数のチップ14を配列状態に収容しており、給排ロボット10や分注ロボット13が、新たなチップ14を必要とするときに、電動ピペット10a,10b,12を上方から挿入するだけで、電動ピペット10a,10b,12の先端にチップ14を取り付けるように構成されている。容器15aは、給排ロボット10や分注ロボット13による電動ピペット10a,10b,12の移動方向に対して交差する方向に往復移動させられるように移動機構15bに取り付けられている。また、分注ロボット13にチップ14を供給するチップ供給装置15には、移動機構15bによる移動方向とは直交する方向に容器15aを移動させる他の移動機構15cが備えられている。これにより、容器15a内の全てのチップ14に対して電動ピペット10a,10b,12がアクセスすることができるようになっている。
また、チップ供給装置15には、図8に示されるように、チップ14の残量を検出する残量検出センサ59が設けられている。残量検出センサ59は、例えば、縦横に配列されたチップ14の各列の両端に設けられた発光部59aと受光部59bとからなり、当該列の全てのチップ14が取り出されたときに発光部59aからの光を受光部59bにおいて受光し、その列が空になったことを検出するようになっている。給排ロボット10および分注ロボット13は、一列ごとに順次チップ14を取り出していくことにより、チップ14の残量を列単位で把握することができるようになっている。
前記チップ回収部31は、廃棄容器39の入口に、チップ14を把持する把持装置(図示略)を備えていて、給排ロボット10や分注ロボット13において使用されたチップ14が把持装置に挿入されると、これを把持するようになっている。そして、この状態で給排ロボット10や分注ロボット13が電動ピペット10a,10b,12を移動させることにより、電動ピペット10a,10b,12先端から使用済みチップ14が取り外され、廃棄容器39内にダクト40を介して回収されるようになっている。廃棄容器39は、空間S222内に着脱可能に配置されており、必要に応じて交換可能となっている。
前記ダクト40および廃棄容器39の交換時には、培養処理装置30の側壁30a,30bに設けられた図示しないドアを開くことにより、培養処理装置30の外部からアクセスすることとすればよい。
前記試薬等供給装置16は、例えば、図5に示されるように、円筒状のケーシング内部に、水平回転可能なテーブル16aを収容し、該テーブル16a上に、扇型の底面形状を有する筒状の試薬等容器16bを周方向に複数配列して搭載している。ケーシング内部は一定の温度に保冷されている。各試薬等容器16bには、種々の試薬等が貯留されている。例えば、細胞を培養するために必要な培地を構成するMEM(Minimal Essential
Medium:最小必須培地)、DMEM(Dulbecco's Modified
Eagle Medium)、FBS(Fetal Bovine Serum:ウシ胎児血清)やヒト血清のような血清、培養容器3内の細胞を剥離させるトリプシンのような蛋白質分解酵素や、培養に際して細胞を成長させるサイトカインのような成長因子、細胞を分化させるデキサメタゾンのような分化誘導因子、ペニシリン系抗生物質のような抗生剤、エストロゲン等のホルモン剤や、ビタミン等の栄養剤が貯留されている。
試薬等供給装置16のケーシングの上面には、分注ロボット13が電動ピペット12先端のチップ14を挿入する挿入口16cが設けられている。この挿入口16cは、前記分注ロボット13の動作範囲内に配置されている。また、各試薬等容器16bは、その上面に、前記挿入口16cに一致する位置に配置される開口部(図示略)を備えている。これにより、テーブル16aを回転させて試薬等容器16bの開口部をケーシングの挿入口16cの鉛直下方に配置することで、分注ロボット13が、電動ピペット12先端のチップ14を上方から試薬等容器16b内へ挿入して、内部に貯留されている試薬等を吸引することができるようになっている。試薬等供給装置16を2台設けているのは、検体に共通のトリプシンのような薬液と、検体に固有の血清のような液体とを分離して取り扱うようにしているためである。
前記顕微鏡17は、培養工程の途中、あるいは、培地交換の際に、培養容器3内の細胞の様子や増殖の程度を観察したり、細胞数を計数したりする場合等に使用されるようになっている。顕微鏡17のXYステージ17aや作動距離調整、倍率の変更等は全て遠隔操作により行うことができるように構成されている。第2空間S2の外方に向けて接眼レンズを配置しておくことにより、自動培養装置1の外部から培養容器3内の細胞の状態を観察できるようにしてもよい。
前記貯留タンク18は、例えば、全ての検体に共通して使用できるMEMやPBS(リン酸緩衝化食塩水)等を貯留しておき、必要に応じて試薬等供給装置16内の試薬等容器16b内に供給するようになっている。また、貯留タンク18には、廃液タンクとして、培地交換の際に排出される廃培地等を貯留するものもある。
前記水平移動機構19は、直線移動機構により水平方向に移動可能なスライダ20を備えている。スライダ20上には前記載置台21が搭載されており、載置台21に搭載された培養容器3を、コンベア9から分注ロボット13の動作範囲まで移動させることができるようになっている。
前記載置台21は、コンベア9上のトレイ7内から移載された培養容器3を搭載して保持する保持機構(図示略)を備えている。また、該培養容器3に振動を付与する加振装置(図示略)を備えていてもよい。加振装置は、例えば、培養容器3を所定の角度範囲で往復揺動させる装置の他、超音波振動を加える装置や、水平方向の振動を加える装置を採用してもよい。
本実施形態に係る培養処理装置30の各種装置には、図9に示されるように、制御装置60とスケジューラ61とが接続されている。
スケジューラ61は、骨髄液提供者の年齢や、最終的な必要細胞数等の最初に得られる情報に基づいて培養スケジュールをたて、培地交換の時期や継代処理の時期を大まかに設定している。また、スケジューラ61は、培養途中の状況、例えば、継代処理の進みや遅れ等に応じて培地交換の時期やその後の継代処理の時期あるいは出荷予定日等についてスケジュールを更新するように機能する。スケジューラ61は、設定したスケジュールを制御装置60に送り出し、制御装置60はスケジューラ61から送られてきたスケジュールに基づいて培養処理を進行させるように、各工程の順序や動作タイミング等を制御するとともに、各種装置を制御する制御部62を備えている。
また、制御装置60は、自動培養装置1において生じた各種のエラーの履歴をデータベース化して残す履歴作成手段63に接続されている。エラーの履歴は、エラーの発生日時、エラー発生箇所、エラーの内容を含み、例えば、細胞の癌化や成長不良等のエラーの場合に、顕微鏡17において撮影した画像がある場合には、画像とともに記録するように構成されている。
本実施形態においては、制御装置60とスケジューラ61とが別々に設けられている。これにより、仮に、スケジューラ61がダウンした場合においても、制御装置60は最新の培養スケジュールにしたがって培養処理を実施することができるようになっている。したがって、スケジューラ61のダウンにより培養処理が停止して、培養された細胞が無駄になってしまうことを防止できるようになっている。
また、制御部62には、各トレイ7上の複数の培養容器3に対する継代処理を行う際に、最初の培養容器3に対して分注ロボット13がトリプシンを供給した時点で時間の計測を開始するタイマー(計時部)64と、タイマー64により計測された時間が所定時間を超えたか否かを判断する時間判定部65と、該時間判定部65により所定時間を超えたと判断されたときに、外部に対してその旨を報知するスピーカ、モニタ68あるいは赤色灯のような報知部66とが接続されている。
また、制御装置60には、顕微鏡17により培養容器3内の様子を観察する作業者が、任意に選択できる手動指令スイッチ67が設けられている。この手動指令スイッチ67には、例えば、「OK」スイッチ67aと「NEXT」スイッチ67bと「廃棄」スイッチ67cとが設けられている。顕微鏡17により培養容器3内の細胞の様子を観察する作業者が「OK」スイッチ67aを押下すると、制御部62がその培養容器3に対する次の処理を進行させるようになっている。また、「NEXT」スイッチ67bを押下すると、観察している培養容器3が、同じトレイ7上に搭載されている他の培養容器3に入れ替えられるようになっている。さらに、「廃棄」スイッチ67cを押下すると、観察している培養容器3内の細胞に対するそれ以上の処理が中止され、同一トレイ7上の全ての培養容器3の観察後に廃棄すべく、種々の機器が作動させられるようになっている。
このように構成された本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る自動培養装置1を用いて、間葉系幹細胞を培養するには、まず、患者から採取された骨髄液を遠心容器に入れて培養処理装置30内に導入し、検体抽出部50に供給する。この工程は作業者が行ってもよく、図示しないロボットにより行ってもよい。
検体抽出部50においては、骨髄液内にPBSが供給され、給排ロボット10によりピペッティング動作が行われる。このようにして構成された細胞懸濁液は、遠心分離機11に投入される。そして、遠心分離機11が、例えば、800〜1300Gで3〜5min間作動させられることにより、骨髄液内の比重の重い間葉系幹細胞を含む細胞が沈降した状態に集められる。
この状態で、遠心分離機11外に取り出され、給排ロボット10およびチップ供給装置15の作動により、電動ピペット10b先端に未使用のチップ14が取り付けられる。
すなわち、チップ供給装置15は移動機構15bを作動させることにより、未使用のチップ14を給排ロボット10の動作範囲内に配する。すると、給排ロボット10は、昇降機構10fを作動させることにより、ヘッド10cを下降させて、第1の区画壁33下方のチップ供給装置15から未使用のチップ14を受け取り、電動ピペット10bの先端に取り付ける。
この状態で、給排ロボット10を作動させて電動ピペット10bのチップ14の先端を遠心容器内に挿入して吸引する。これにより、遠心容器内の上澄み液が除去され、間葉系幹細胞を多く含む細胞が遠心容器内に残される。
次に、遠心容器内に残った検体は、給排ロボット10により、培養容器3に投入される。投入に先立って、第1空間S1内の搬送ロボット5が、ハンド5cを前記ストッカ8の搬入口52までアクセスし、搬入口52から未使用の培養容器3を搭載したトレイ7を取り出して、ベルト9上に移載している。そして、コンベア9の作動により、トレイ7に載せた空の培養容器3が、第1空間S1から第2空間S2に差し出されている。その後、トレイ7上の培養容器3は、図示しない移載装置の作動により、載置台21上に載置される。そして、図示しない蓋体開閉装置の作動により、載置台21上の培養容器3の蓋体3bが開けられる。
この状態で、給排ロボット10を作動させて、電動ピペット10aから遠心容器内に、貯留タンク18に貯留されているDMEMやPBS(リン酸緩衝化食塩水)等の培地構成液を、所定量供給する。電動ピペット10a先端のチップ14を遠心容器内に挿入した状態に保持したまま、電動ピペット10aを作動させることにより、ピペッティングを行う。これにより、間葉系幹細胞を多く含む細胞と培地構成液とが均一に混合された細胞懸濁液61が構成されることになる。
このようにして製造された細胞懸濁液は、電動ピペット10aを作動させることにより、チップ14内に吸引される。吸引された細胞懸濁液は、チップ14内に保持された状態で、給排ロボット10を作動させることにより、載置台21上の培養容器3内に上部開口から投入される。
細胞懸濁液を培養容器3内に投入し終わると、給排ロボット10は、第1の区画壁33に形成された廃棄口37にチップ14を挿入して取り外し、チップ回収部31に回収させる。廃棄口37において取り外されたチップ14は、ダクト40を介して、最下位の空間S222に配置されている廃棄容器内に投入される。
次に、細胞懸濁液が投入された培養容器3は、水平移動機構19を作動させることにより、載置台21ごと水平移動させられ、各分注ロボット13の動作範囲内に配置される。分注ロボット13は、チップ供給装置15から受け取った未使用のチップ14を先端に取り付けた電動ピペット12を作動させることにより、試薬等供給装置16の試薬等容器16b内からDMEMや血清、あるいは各種試薬を適量吸引した後に、培養容器3の上方まで搬送して培養容器3内に注入する。血清や各試薬の吸引は、各試薬等の吸引ごとにチップ供給装置15から未使用のチップ14に交換して行われる。これにより、培養容器3内においては、適正な培地内に間葉系幹細胞が混合された状態で存在することになる。なお、培地内において間葉系幹細胞を均一に分布させるために、載置台21を作動させて、培養容器3ごと加振することにしてもよい。
そして、全ての処理を終えた培養容器3は水平移動機構19の作動により、コンベア9の近傍まで移動させられ、そこで、再度、蓋体開閉装置および移載装置の作動により、蓋体3bにより上部開口を閉じられた状態で、トレイ7に戻される。
トレイ7上の全ての培養容器3に対して所定の処理が行われた後に、コンベア9を作動させることにより、トレイ7に載せられた培養容器3が第2空間S2から第1空間S1の中央空間S12内に挿入される。
この状態で、搬送ロボット5を作動させることにより、ハンド5cによってトレイ7を持ち上げる。そして、トレイ7を収容する培養室4の前まで搬送したところで、当該培養室4の扉4aを開き、搬送ロボット5によって、空いているトレイ保持部材4c上にトレイ7を挿入する。そして、再度、扉4aを閉じることにより、培養室4内の培養条件を一定に保持して細胞の培養が行われることになる。なお、細胞懸濁液の投入や、DMEM、血清、各種試薬の投入や吸引の順序は適宜変更してもよいのは言うまでもない。
また、培地交換や容器交換の際にも、上記と同様にして、培養室4外に配置されている搬送ロボット5の作動により、培養室4内の培養容器3がトレイ7ごと取り出され、第1空間S1から第2空間S2へ受け渡される。
培地交換の際には、給排ロボット10の作動により、培養容器3内部の培地が吸引されて廃棄され、分注ロボット13の作動により、新たな培地や薬液が供給される。
一方、容器交換の際、すなわち、継代処理においては、培養容器3内部の培地が吸引されて廃棄された後に、分注ロボット13の作動によりトリプシンのようなタンパク質分解酵素が培養容器3内に供給される。タンパク質分解酵素が供給された培養容器3は水平移動機構19および移載機構の作動により顕微鏡17に移載され、トリプシン処理の様子が顕微鏡17により外部から観察される。
この場合において、本実施形態に係る培養処理装置30によれば、分注ロボット13による、トレイ7上の最初の培養容器3へのトリプシンの供給時に、制御装置60内のタイマー64が作動させられる。具体的には、制御装置60内の制御部62から分注ロボット13に対して、トレイ7上の最初の培養容器3へのトリプシン供給の指示が出されると同時に、タイマー64に対して計時開始の指示が出力される。
そして、トリプシンが供給された培養容器3が顕微鏡17に送られると、作業者は、トリプシン処理の状況を顕微鏡17の画像により確認することができる。観察している培養容器3内のトリプシン処理が十分に行われたと判断された場合には、作業者は「OK」スイッチ67aを押下することにより、その培養容器3内の細胞懸濁液を給排ロボット10によって吸引して遠心分離機11にかける処理に移行させることができる。
トリプシン処理の状況が十分ではない場合に、他の培養容器3のトリプシン処理の状況を見たい場合には、作業者は「NEXT」スイッチ67bを押下する。これにより、同じトレイ7に載置されている同一ロットの他の培養容器3が顕微鏡17に移送され、顕微鏡17による観察が可能となる。
この場合において、1つの培養容器3内のトリプシン処理の状況を観察しているときに、同じトレイ7に搭載されていた培養容器3のうち、最初にトリプシン処理を開始した培養容器3においては、処理時間が過剰になる可能性がある。本実施形態によれば、タイマー64の作動により計測された時間が判定部65において所定の時間と比較され、所定時間を超えた場合には報知部66により外部にその旨が報知される。したがって、他の培養容器3のトリプシン処理の状況を観察していた作業者は、最初の培養容器3のトリプシン処理の状況を再度観察することにより、処理が十分に行われている場合には「OK」スイッチ67aを押下して、その後の処理を進行させることができる。また、所定時間の経過によってもトリプシン処理が十分に行われていない場合には、それ以上のトリプシン処理は細胞膜を損傷させてしまうことになり、その後に回収された細胞の健全性が十分ではないことから、「廃棄」スイッチ67cを押して、廃棄処理を行わせることができる。
すなわち、本実施形態に係る培養処理装置30によれば、個々の培養容器3において処理状況が異なり、一律に処理時間を設定できないトリプシン処理を、作業者により個別に観察させて確実に処理の終了を見極めることができ、しかも、過剰なトリプシン処理によって細胞の健全性が害されることをより確実に防止することができるという効果がある。
そして、複数回の培地交換や容器交換を介した所定期間にわたる培養工程を行うことにより、間葉系幹細胞が十分な細胞数まで増殖させられることになる。十分な細胞数に達したか否かは、給排ロボット10の作動により、間葉系幹細胞が底面に付着した培養容器3を顕微鏡17まで搬送することにより、観察あるいは測定され、細胞の増殖の程度が判断される。なお、トレイ7上には、同一検体の培養容器3が載置されていてもよいし、異なる検体の培養容器3が混在していてもよい。また、載置台21上には同一検体の培養容器3が載置されてもよいし、異なる検体の培養容器3が混在していてもよい。
このようにして、本実施形態に係る自動培養装置1により、患者から採取した骨髄液50から十分な細胞数の間葉系幹細胞を自動的に培養することが可能となる。なお、十分な間葉系幹細胞が得られた後には、培養容器3内にリン酸カルシウムのような生体組織補填材およびデキサメタゾンのような分化誘導因子を投入して、再度培養工程を継続することにより、生体の欠損部に補填可能な、生体組織補填体を製造することにしてもよい。
この場合において、本実施形態に係る自動培養装置1によれば、培養室4内に、培養容器3を取り出すための機構部が存在しない。すなわち、培養室4内には、トレイ7を載置した状態に支持するトレイ保持部材4cが設けられているのみであり、培養容器3を取り出すための機構部は全て培養室4外に配置された搬送ロボット5に集約されている。そして、搬送ロボット5は、トレイ7の出し入れ作業が行われた後には、培養室4の扉4aの外側に完全に退避することができるようになっている。
したがって、扉4aが閉じられた状態では、培養室4内に機構部が存在せず、機構部の作動によって発生するような塵埃の発生は全く存在しない。また、培養室4内は、温度37±0.5℃、湿度100%およびCO濃度5%等に維持されるが、機構部が存在しないために、このような環境下においても、腐食等の問題が生ずることがない。また、扉4aが開かれた状態においても、培養室4内に挿入されるのは搬送ロボット5のハンド5c先端のみであり、実質的に回転機構や摺動機構が培養室4内に入ることはない。その結果、培養室4内への塵埃の侵入が抑制され、培養室4内部の清浄度を高めることができる。
なお、培養室4は、COインキュベータ、マルチガスインキュベータ、インキュベータ、または保冷庫等のように、培養に利用されるものあるいはその組合せで構成されていてもよい。
また、本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1によれば、医療機関等において患者から採取された状態の骨髄液を導入するだけで、早期に間葉系幹細胞を必要細胞数まで増殖させることができる。したがって、医療機関や作業者に特別な設備や作業を発生させることがないという利点がある。
さらに、本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1によれば、培養処理装置30の第2空間S2内が、第1の区画壁33により上部空間S21と下部空間S22とに区画されている。さらに、上部空間S21には清浄な下降気流を発生させる空気清浄機32が設けられている。そして、第1の区画壁33には、その側壁30a,30b近傍に通気口38が設けられている。第1の区画壁33には、通気口38の他に種々の装置を貫通させるための貫通孔36,37等が形成されているが、通気口38の流通断面積を他の貫通孔36,37等の流通断面積より十分に大きく確保しておくことにより、気流を通気口38に通過させることが可能となる。
したがって、上部空間S21内を下降してきた清浄な気流は、第1の区画壁33の近くで側壁30a,30bの方向に向かい、通気口38を介して下部空間S22へと流通させられる。その結果、上部空間S21内に浮遊していた塵埃を下方に向かって押し流してきた気流が、上部空間S21の側壁30a,30b近傍の角部に滞留することがなく、スムーズに下部空間S22へ流通させられることになる。
さらに、本実施形態に係る培養処理装置30および自動培養装置1によれば、蓋体3bを開かれた状態の培養容器3が移動させられる上部空間S21には、培養容器3の移動に必要な載置台21、顕微鏡17のXYテーブル17a、培養容器3の上部開口からアクセスすることが必要な給排ロボット10、分注ロボット13の電動ピペット12、顕微鏡17の光源部分等のみが配置され、その他の機構部は下部空間S22に配置されている。したがって、上部空間S21における塵埃の発生が最小限に抑えられ、培養容器3内への塵埃の混入の可能性が低減されることになる。
また、特に、塵埃を発生する可能性の高い装置、例えば、遠心分離機11、廃棄容器39、排気ファン41等は、下部空間S22の内、さらに第2の区画壁34によって区画された最下位の空間S222内に配置されているので、そこで発生した塵埃が上部空間S21に流入することはない。さらに、空間S222内の空気は排気ファン41によって吸引され、HEPAフィルタ42によって塵埃を除去された後に培養処理装置30の外部に放出される。したがって、上部空間S21の清浄度は、極めて高い清浄度に維持されることになる。
また、第2の区画壁34にも、側壁30a,30bに沿って通気口43が設けられているので、上部空間S21から流入した塵埃を含む気流が、空間S221内に広がることなく、スムーズに空間S222に向けて流通させられることになる。
さらに、培地や細胞が付着した使用済みのチップ14を収容した廃棄容器39は、着脱可能であり、必要によりまたは定期的に交換することで、下部空間S22の清浄度をも高い状態に回復することができる。さらに、廃棄容器39への廃棄の際に使用済みのチップ14を通過させるダクト40も、必要によりまたは定期的に取り外して、交換あるいは清掃することで、清浄度の向上に寄与することができる。
さらに、本実施形態に係る自動培養装置1は、搬送ロボット5の設置されている中央空間S12の上部に、空気清浄部6を備えているので、搬送ロボット5の存在する中央空間S12内も常に清浄度が維持されている。したがって、培養室4の扉4aが開かれたときにも、培養室4内に塵埃が流入することを最小限に抑えることが可能となる。
したがって、本実施形態に係る自動培養装置1によれば、培養中の細胞が塵埃等によって汚染される可能性を低減し、健全な細胞を培養することができるという効果がある。
なお、この発明は、上記実施形態に示した構成に限定されるものではない。すなわち、培養室4の形状や数、搬送ロボット5、給排ロボット10および分注ロボット13の形態や数、各種装置の形態や数等は、何ら限定されることなく、適用条件に合わせて任意に設定することができる。
また、本実施形態に係る培養処理装置30においては、遠心分離機11により分離された骨髄細胞、間葉系幹細胞を、サンプルチューブ(図示略)内に少量採取して保管することにしてもよい。これにより、出荷された細胞や生体組織補填体に何らかの不具合が生じた場合に、原因を追跡するため等に役立てることができる。
また、成長因子としては、サイトカインの他に、例えば、濃縮血小板、BMP、EGF、FGF、TGF−β、IGF、PDGF、VEGF、HGFやこれらを複合させたもの等の成長に寄与する物質を採用することにしてもよい。また、抗生剤としては、ペニシリン系抗生物質の他、セフェム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ホスホマイシン系、アミノグリコシド系、ニューキノロン系等任意の抗生物質を採用することができる。
なお、本発明に係る自動培養装置は、骨髄の間葉系幹細胞の培養に限定されるものではない。生体の種々の組織から採取された細胞や、樹立された細胞ラインを培養してもよい。
また、生体組織補填材としては、リン酸カルシウムに代えて、生体組織に親和性のある材料であれば任意のものでよく、生体吸収性の材料であればさらに好ましい。特に、生体適合性を有する多孔性のセラミックスや、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒアルロン酸、またはこれらの組合せを用いてもよい。また、チタンの様な金属であってもよい。また、生体組織補填材は、顆粒状でもブロック状でもよい。
この発明の一実施形態に係る自動培養装置を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の第1空間を概略的に示す縦断面図である。 図1の自動培養装置の第1空間を概略的に示す平面図である。 図1の自動培養装置において用いられる培養容器の一例を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の培養処理装置の第1の区画壁を除去して第2の区画壁上の装置を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の培養処理装置の第1および第2の区画壁を除去して最下位の空間内に設置された装置を示す斜視図である。 図1の自動培養装置の培養処理装置の廃棄容器に接続するダクトの取付構造例を示す縦断面図である。 図1の自動培養装置のチップ供給装置の容器を示す平面図である。 図1の自動培養装置に備えられた制御装置を示すブロック図である。
符号の説明
3 培養容器
13 分注ロボット(酵素供給部)
17 顕微鏡(観察部)
30 培養処理装置
64 タイマー(計時部)
66 報知部
67 手動指令スイッチ(選択スイッチ)

Claims (3)

  1. 培養された細胞を収容する複数の培養容器に、タンパク質分解酵素を順次供給する酵素供給部と、
    同一ロット内の最初の培養容器へのタンパク質分解酵素の供給時に時間の計測を開始する計時部と、
    該計時部により計測された時間が所定の時間に達したことを報知する報知部とを備える培養処理装置。
  2. タンパク質分解酵素が供給されたいずれかの培養容器内部の様子を観察可能な観察部を備える請求項1に記載の培養処理装置。
  3. 観察部により観察される培養容器を選択する選択スイッチを備える請求項2に記載の培養処理装置。
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