JP2005299001A - 長繊維不織布およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】衣料用、布団などの詰め綿や防寒用布帛として用いるのに適した、軽量かつ柔軟性、保温性に優れた長繊維不織布を提供する。
【解決手段】単繊維繊度が0.001〜1.1デシテックスであり、実質的に融着部がなく、少なくとも表面が絡合されており、かつ見かけ密度が0.02〜0.3g/cm3である長繊維不織布。単繊維繊度が0.001〜1.1デシテックスであり、実質的に融着部を持たず、少なくとも表面が絡合された長繊維不織布を物理的作用によって、見かけ密度を0.02〜0.3g/cm3にすることにより得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、衣料用、布団などの詰め綿や防寒用布帛として用いるのに適した、軽量かつ柔軟性、保温性に優れた長繊維不織布およびその製造方法に関するものである。
従来より、衣料や布団、座布団用の詰め綿として、綿や顕在捲縮繊維からなるポリエステル綿などが知られている。しかし、これらの詰め綿は短繊維であるため長時間の使用によって偏ったり、手荒に扱ったためにちぎれてしまい、バラバラに散らばった状態となり厚みに均一性が失われてしまう問題がある。
そこで、これらの問題に対し、長繊維不織布を用いることによって解決する試みがなされている。例えば、長繊維不織布の片面または両面に捲縮性合成繊維を含む短繊維ウェブを積層し、高圧水流処理後に熱処理を行い、捲縮を発現させ嵩高性不織布とする方法(例えば、特許文献1)が提案されている。しかし、捲縮のみでは中綿に用いるには十分な嵩高性が得られるものではなかった。
また、複合型長繊維をコンベアーネット上に堆積させて繊維ウェブを形成し、熱ロールによって表面の複合型長繊維の1成分を融着させた後、揉み加工を行うことで中間層の繊維を分割させ、嵩高性や保温性に優れる不織布を得る方法(例えば、特許文献2)や、熱ロールの前にニードルパンチによって内部に交絡箇所を作製した後に表面を融着させ、揉み加工を行い中間層の繊維を分割させる方法(例えば、特許文献3)などが知られているが、表面を融着させているためにざらついたり、柔軟性に欠けるものであった。
特開平8−302553公報 特許第3102450号公報 特許第3102451号公報
本発明の目的は、軽量性と保温性に優れ、中綿として使用しても偏らない、柔軟な嵩高性長繊維不織布を提供するものである。
本発明は、上記の目的を達成するため、次の構成からなるものである。
すなわち、本発明の長繊維不織布は、単繊維繊度0.001〜1.1デシテックスの長繊維が、実質的に融着部を有しないで、少なくとも一表面で絡合されてなり、見かけ密度が0.02〜0.3g/cm3であること特徴とする長繊維不織布である。
さらに、本発明の長繊維不織布の製造方法は、単繊維繊度0.001〜1.1デシテックスの長繊維を、実質的に融着部を有しないで、少なくとも一表面で絡合した不織布を、物理的作用によって見かけ密度を0.02〜0.3g/cm3にすることを特徴とする長繊維不織布の製造方法である。
本発明によれば、衣料用、布団などの詰め綿や防寒用布帛として用いるのに適し、中綿とした時の偏りがなく、嵩高かつ柔軟な長繊維不織布を提供することができる。
以下、さらに詳しく本発明について説明をする。本発明を構成する長繊維の単繊維繊度は0.001〜1.1デシテックスの長繊維であることが必要であり、好ましくは0.05〜0.8デシテックス、より好ましくは0.1〜0.5デシテックスである。全ての構成繊維がこの繊度の範囲にある必要はなく、本発明の効果を損なわない範囲で他の繊度が含まれても良いが、好ましくは写真撮影にて観察される繊維全体の50%以上、より好ましくは80%以上がこの範囲の単繊維繊度で構成されるのが良い。特に少なくとも表面部分の単繊維繊度が本発明の範囲に入ることが好ましい。この範囲の長繊維を用いることにより、柔軟な嵩高性長繊維不織布が得られるのである。単繊維繊度が0.001デシテックス未満の場合は、単糸強度が低下し、耐久性に問題が生じるため好ましくない。また、単繊維繊度が1.1デシテックスを超える場合は、柔軟性が低下するため衣料の中綿として用いた時の着用感が低下してしまう。また、ざらつきの防止や柔軟性を得るために、繊維は実質的に融着されていないものである。実質的に融着されていないとは、写真撮影で表面を観察した際に、繊維の溶融による接着部分の面積が5%以下であるものをいい、好ましくは全く観察されないものが良い。
長繊維の繊維横断面の形状は特に限定されるものではなく、丸、楕円、三角、四角、中空型など任意の形状の繊維を使用することができる。
また、本発明において、少なくとも長繊維不織布の表面が絡合している。表面が絡合されていることにより、長繊維不織布表面の糸の摩擦などによるほつれを抑えることができるため好ましい。
本発明の長繊維不織布は、見掛け密度が0.02〜0.3g/cm3である。軽量かつ嵩高性に優れる点で、好ましくは見掛け密度が0.02〜0.1g/cm3であり、より好ましくは0.02〜0.05g/cm3である。ここで見掛け密度とは、単位体積当たりの重量を計算にて求めた値のことであり、以下の方法により算出した。JIS L 1096 8.4.2(2001)の方法で目付(g/m2)を測定した10個の試料片を10cm×10cmの大きさの試料片にカットする。準備した各試料片ごとに、大栄科学精機製作所製の厚さ測定器を用いて、4.5g/cm2の荷重を加え10秒放置した後の厚さ(mm)を測定し、次式により10個の試料片の見かけ密度(g/cm3)を算出し、その平均値を求めた。
見かけ密度(g/cm3)=目付(g/m2)/厚さ(mm)/1000
見掛け密度が0.02g/cm3未満の場合、嵩高性には優れるものの、不織布としての強度が著しく低下し、繊維層が剥離する可能性があり、0.3g/cm3を超えると嵩高性が不足し、保温性が低下するため好ましくない。
また、本発明の長繊維不織布の片面もしくは両面に織物または編み物を一体化することは、耐久性を向上させることができ、中綿用途のみならず、衣料用素材として用いることができるため好ましい。織物、編物はニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法により長繊維不織布表面に絡合されていてもよく、接着剤による貼り合わせなど特に限定されるものではなく任意に用いることができるが、絡合により一体化することは、接着剤による硬化の問題が生じないため好ましい。織物の組織としては例えば、平織り、綾織り、絡み織り、朱子織り、またはこれらの組織を変化させた組織や組み合わせた組織、編物の組織としては例えば、トリコット、ラッセル、メリヤス、ダブルジャージーなどが好ましく適用できる。また、織物または編物の目付は特に限定されるものではないが、高目付であると、不織布との一体化の方法が限定されたり、困難になったりするため、30〜200g/m2であることが好ましく、50〜150g/m2であることがより好ましい。
本発明の嵩高成長繊維不織布を構成する長繊維は、単繊維繊度が0.001〜1.1デシテックスの繊維であれば、その繊維の製造方法は特に限定されるものではない。この範囲の繊度にある、いわゆる極細繊維を製造する方法は特に限定されず、例えば直接、口金から紡糸する方法、海島型や分割型複合繊維等で通常繊度の繊維を紡糸し、次いで極細繊維とする方法、通常繊度の繊維を溶解および/又は分解できる薬剤や溶剤等で処理して極細化させる方法、等が挙げられる。この中で、紡糸安定性や生産性に優れる点で、分割型複合繊維を紡糸し、次いで分割して極細繊維を得る方法が好ましい。
分割型複合繊維としては、例えば2種以上の成分からなる複合繊維が挙げられる。その成分数は特に限定されるものではないが、紡糸安定性や考慮すると好ましくは2〜3成分である。また成分比としては、2種の成分からなる場合は、紡糸安定性と分割性が優れる点で、好ましくは7:3〜3:7、より好ましくは6:4〜4:6である。用いる成分については、複合紡糸できる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、分割性が優れる点で、好ましくは相溶し合わないものを適宜選択するのが良い。相溶し合わないものとは、溶融混練しても実質的に溶解し合わないものをいい、例えば一成分をポリエステル系成分とした場合、他方をポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン系成分等から選択することができる。これらの中で、特に経済性や紡糸安定性に優れるポリエステル系成分とポリアミド系成分の2成分を用いた組み合わせが好ましい。
ポリエステル系成分としては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、複合繊維として用いることが可能なものであれば特に限定されるものではない。 具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好ましく適用できる。
また、これらのポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
またポリアミド系成分としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。
分割型複合繊維は、繊維横断面において複数個に分割されていれば、その形態は特に限定されるものではなく、外形として丸、楕円、三角、四角等いずれでも良いが、紡糸安定性が優れる点で外形が丸や楕円であることが好ましい。分割性が優れる点で、本発明においてより好ましい断面としては、図1に示されるような中空部を有する形状である。また、中空率は好ましくは0.5〜40%である。中空率は低いほど分割性は低下するため、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは3%以上である。また、中空率が高すぎると紡糸安定性が低下するため、好ましくは40%以下であり、より好ましくは20%以下である。ここで、中空率とは繊維の横断面積に対する中空部の面積である。
また分割数についても、特に限定されるものではないが、生産性と紡糸安定性
に優れる点で、分割後の総数が4〜48の範囲が好ましく、8〜36がより好ま
しい。
複合繊維を用いた場合、紡糸後のいずれかの段階で極細化する必要があるが、その方法としては機械的方法と化学的方法のいずれでも、単独または組み合わせて適用することができる。ここで機械的方法とは、物理的な刺激を付与することによって分割する方法であり、例えばニードルパンチ法やウォータージェット法等の衝撃を与える方法の他に、ローラー間で加圧する方法、超音波処理を行う方法、揉み処理を行う方法等が挙げられる。また化学的方法とは、例えば、複合繊維を構成する少なくとも1成分に対し、薬剤によって膨潤、分解、溶解等の変化を与える方法が挙げられる。本発明では、絡合と同一工程で行うことができる点、引張強力と柔軟性のバランスが比較的とりやすい点、ウェブの表面層と中間層の絡合状態に容易に差を付けることができる点で、特にウォータージェットパンチ法がより好ましく採用される。この分割処理は捕集後にインラインで行っても良いし、一旦ウェブを仮セットした後、巻き取り、改めて処理しても良い。また、必要に応じて複合繊維の分割性をより十分に行う目的で、ウォータージェットパンチの前後に化学的処理を併用しても良い。
次に、本発明の長繊維不織布の好ましい製造方法を示す。まず、前述したポリアミド系成分などの熱可塑性重合体成分を準備する。そして、このポリアミド系成分に対し非相溶であるポリエステル成分を準備する。この両成分を複合紡糸口金を備えた溶融紡糸装置に導入し、通常の複合溶融紡糸法によって分割型複合繊維として紡出し、エジェクターにより繊維の延伸を行う。使用する口金の形状としては、丸形や矩形などが知られているが生産性や得られるシートの均一性をを考慮すると矩形口金を使用することが好ましい。そして、延伸された繊維はウェブコンベアなどの捕集面上に捕集して長繊維のウェブとする。この時、捕集面の下方からエアーで吸引することが好ましい。
このようにして得られたウェブは、必要に応じてカレンダーやエンボスなどによって仮セットを行うことができる。この時、ロールの圧力や温度を繊維が十分に熱接着する条件で熱圧着処理を行うと、その後にウォータージェットパンチや液流染色機による揉み処理を行っても、融着部がざらついたり、十分な柔軟性を得ることができないため好ましくない。そのため、仮セット工程で受熱させないか、もしくは受熱程度を限りなく少なくする、また、受熱を表裏層に留めておくことが好ましい。この観点から、特に仮セット温度としては、繊維のガラス転移温度+10℃以下が好ましく、ガラス転移温度以下がより好ましい。
ついで、不織布として形態を保持させるため、繊維の絡合を行うことが好ましく、絡合方法としては例えば、ニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などにより絡合させることができる。本発明は、繊維を単に絡合させるのではなく、ウェブの表層を優先的に絡合させて形態を保持し、かつ内層の交絡を抑制させることが好ましい。絡合方法としてウォータージェットパンチ法は、ウェブの内層よりも表層を優先的に絡合させやすい特徴があるため特に好ましい。ウォータージェットパンチを行う際は、水が柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流は通常、直径0.06〜1.0mmの細孔から圧力1MPa以上で噴出させることで得られる。また、水流による交絡の効率の面からノズル孔の間隔は0.5〜1.5mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.2mmである。かかる処理は、厚さ方向に均一な交絡を達成する目的、および/又は不織布表面の平滑性を向上させる目的で、好ましくは表裏面を多数回繰り返して処理する。この際、ウェブに織物または編物を重ねてウォータージェットパンチすることで、織物または編物が一体化した織編物一体型不織布を得ることができる。
ウォータージェットパンチ処理を行う際には、不織布の表面は高交絡させつつ、内部は低絡合状態に保つことが重要である。低水圧でウォータージェットパンチ処理を複数回行うよりも、高水圧での1回処理の方が不織布表面の高絡合化には効率が良く、分割型複合繊維の分割性を向上できる点でも、少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが好ましい。ウォータージェットパンチ処理を行う場合は、ウェブの表面層と内層に交絡状態の差を付けやすくする点で、ウェブの目付は50〜500g/m2であることが好ましく、80〜400g/m2のウェブを用いることはより好ましい。目付が50g/m2未満であると、ウォータージェットパンチによりウェブの表層と内層が高絡合してしまい、交絡状態の差が付けにくく、500g/m2を超えるとウェブが厚すぎてウォータージェットの効率が悪く、ぶかぶかの不織布となり、層間剥離しやすいため好ましくない。
また、その水流圧力は処理するウェブの目付によって適宜選択し、高目付のもの程高圧力とすることが好ましい。
以上のような方法により、不織布の表裏面において絡合および分割型複合繊維を分割割繊し、単繊維繊度0.001〜1.1デシテックスとした不織布を得る。この不織布を物理的作用を施し、不織布中間層の低交絡部の交絡を緩和することで、見かけ密度が0.02〜0.3の長繊維不織布を得ることができる。
本発明でいう物理的作用とは、不織布に揉みやずれ、衝撃などを与えて嵩高性を与える作用を指し、具体的な手段としては、例えばマイクレックス社のマイクロクレーパー機や上野山機工社製のカムフィット機、または液流染色機などよる揉み処理を例示することができる。特に液流染色機は、染色する際に一般的に使用されている機械であり、揉み処理時の温度やノズル圧の条件で、揉みの効果を容易に変更できるため好ましい。物理的作用の手段として、液流染色機の揉み処理を行う際には、ノズル圧が0.3〜1.0kg/cm3で、80〜120℃の温度で30〜120分の揉み処理を行うことが好ましく、さらに好ましくはノズル圧0.4〜0.8kg/cm3、80〜120℃の温度で40〜80分である。ノズル圧が0.2kg/cm3未満であると十分な揉み効果が得られず、不織布中間層の交絡緩和が弱いため、十分な嵩高性が得られず、1.0kg/cm3よりも高ければ、不織布が破れてしまう可能性があるため好ましくない。また、温度は繊維のガラス転移点以上であるとより揉み処理の効果が増し、処理時間の短縮化と不織布の柔軟性を向上させることができるため好ましく、揉み処理時間は不織布に十分な揉み効果を与えるため、30〜120分であることが好ましい。
次いで得られた不織布の乾燥を行う。乾燥方法としては特に限定されるものではなく、通常の方法により乾燥することができる。乾燥方法としては例えば、熱風によるヒートゾーンを有する、ベルト搬送式の乾燥機などにより乾燥させることができる。
上記の工程により、中綿として長期間使用しても千切れによる部分的な偏りが発生せず、実質的に融着部を含まないため柔軟な嵩高性長繊維不織布または、織物または編物が一体化された嵩高性長繊維不織布が得られるのである。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の物性値の測定は以下の方法を用いた。
A.ウェブの単繊維繊度
光学顕微鏡にて繊維の断面を100個ランダムに観察し、平均化した面積と繊維の比重から計算により求めた。なお、比重はJIS L 1015(1999)に基づいて測定した。
B.長繊維不織布の融着状態、単繊維繊度
(1)試料作製
不織布をエポキシ樹脂で包埋し、横断面方向に超薄切片を切り出し、日本電子(株)製のイオンスパッタリング装置「JFC−1100E」を使用して、使用圧力0.1Pa以下のイオンスパッタリング法にて金の皮膜を形成する。
(2)単繊維繊度
作製した試料を日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡装置「JSM−5400LV」にて断面を観察し、繊維の断面を100個ランダムに抽出し、平均化した面積と繊維の比重から計算により求めた。なお、比重はJIS L 1015(1999)に基づいて測定した。
た。
C.目付、見かけ密度
見かけ密度は、JIS L 1096 8.4.2(2001)の方法で目付(g/m2)を測定した10個の試料片を10cm×10cmの大きさの試料片にカットする。準備した各試料片ごとに、大栄科学精機製作所製の厚さ測定器を用いて、4.5g/cm2の荷重を加え10秒放置した後の厚さ(mm)を測定し、次式により10個の試料片の見かけ密度(g/cm3)を算出し、その平均値を求めた。
見かけ密度(g/cm3)=目付(g/m2)/厚さ(mm)/1000
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.66)を用い、紡糸温度290℃にて紡糸した後、矩形エジェクター(エジェクター圧0.35Mpa)を用いて、紡糸速度4650m/分で吸引下にあるネットコンベア(捕集シート)上に捕集した。この時、ネットコンベア上に捕集した繊維を採取し、光学顕微鏡により観察した結果、単繊維繊度が0.8デシテックスであった。
次いで、ネットコンベア上に捕集したウェブ(目付150g/m2)をポリマーの融点未満である150℃で、カレンダープレス法により熱接着しない条件で仮セットを行い、スパンボンドシートを得た。次いで、水に浸漬した後、孔径0.1mmのノズルを用い、1m/分の処理速度でウォータージェットパンチ(WJP)にて、表(ネットコンベアに接触していない面)2Mpa、裏2Mpa、表13Mpa、裏13Mpaの順で処理を行った。次いで、液流染色機にて、ノズル圧0.6kg/cm3、120℃、60分の揉み処理を行った後に乾燥させた。
このようにして得られた長繊維不織布の単繊維繊度、目付、見かけ密度、繊維の融着を測定し、結果を表1に示した。
得られた不織布の表層は十分に絡合されていた。内層は、表層ほど絡合していなかった。また、融着部がないため、ざらつきがなく柔軟であり、表面が絡合しているため、融着しなくても形態を保持することができる嵩高な不織布であった。
この長繊維不織布を中綿として用いたところ、縫製時の作業性も良く長期間使用による中綿のヘタリや偏りがないものであった。
実施例2
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.66)とナイロン6(相対粘度2.40)を用い、図1に示す断面形状に類似した24分割の繊維断面になる矩形口金を用い、複合比1:1、紡糸温度290℃、にて紡糸した後、矩形エジェクター(エジェクター圧0.35MPa)を用いて、紡糸速度4650m/分で吸引下にあるネットコンベア(捕集シート)上に捕集した。この時、ネットコンベア上に捕集した繊維を採取し、光学顕微鏡により観察した結果、単糸複合繊度2.4デシテックス、中空率は9%であった。
次いでネットコンベア上に捕集したウェブ(目付150g/m2)をポリマーの融点未満である150℃で、カレンダープレス法により熱接着しない条件で仮セットを行った。ついで水に浸積した後、孔径0.1mmのノズルを用い、1m/分の処理速度で、ウォータージェットパンチ(WJP)にて、表(捕集時のネットコンベアに接触していない面)2MPa、裏2MPa、表12MPa、裏12MPaの順で処理を行った。次いで、液流染色機にて、ノズル圧0.6kg/cm3、120℃、60分の揉み処理を行い、乾燥させた。
このようにして得られた長繊維不織布の単繊維繊度、目付、見かけ密度、繊維の融着を測定し、結果を表1に示した。
得られた不織布の表層は十分に絡合されていた。内層は表層ほど絡合していなかったが単繊維は全て分割されていた。また、融着部がないため、ざらつきがなく柔軟であり、表面が絡合しているため、融着しなくても形態を保持することができ、実施例1で得られたものよりも単繊維繊度が細いため、さらに柔軟でる嵩高な不織布であった。
この不織布を中綿として用いたところ、縫製時の作業性も良く長期間使用による中綿のヘタリや偏りがないものであった。
実施例3
実施例2と同様にして得られたウェブを150℃で、カレンダープレス法により熱接着しない条件で仮セットを行った。
ついで、得られたウェブの表裏面に目付が40g/m2であるメリヤス編物を積層し、水に浸積した後、孔径0.1mmのノズルを用い、1m/分の処理速度で、ウォータージェットパンチ(WJP)にて、表(捕集時のネットコンベアに接触していない面)5MPa、裏5MPa、表15MPa、裏の15MPaの順で処理を行い、編物を絡合一体化させた。次いで、液流染色機にて、ノズル圧0.6kg/cm3、120℃、60分の揉み処理を行い、乾燥させた。
このようにして得られた編物が一体化された長繊維不織布の単繊維繊度、目付、見かけ密度、繊維の融着を測定し、結果を表1に示した。得られた不織布は不織布部分が嵩高となっており、編物が一体化しているため摩擦にも強く、かつ融着がないため柔軟であった。これを縫製して衣服として用いたところ、縫製時の作業性も良く、保温性にも優れており、長期間使用による積層の剥がれなども生じず、耐久性にも問題がなかった。
比較例1
実施例1と同様にして得られたウェブを180℃で、カレンダープレス法により熱接着を行った。
次いで、水に浸漬した後、孔径0.1mmのノズルを用い、1m/分の処理速度でウォータージェットパンチ(WJP)にて、表(ネットコンベアに接触していない面)2Mpa、裏2Mpa、表13Mpa、裏13Mpaの順で処理を行った。次いで、液流染色機にて、ノズル圧0.4kg/cm3、120℃、60分の揉み処理を行い、乾燥させた。
このようにして得られた長繊維不織布の単繊維繊度、目付、見かけ密度、表面層と内層の密度差、繊維の融着を測定し、結果を表1に示した。
得られた不織布は表層、内層共に繊維が熱接着されていた。また、ペーパーライクで柔軟性がない上にざらついており、中綿として用いるには嵩が著しく不足しているものであった。
比較例2
実施例2と同様にして得られたウェブを150℃で、カレンダープレス法により熱接着しない条件で仮セットを行った。ついで水に浸積した後、孔径0.1mmのノズルを用い、1m/分の処理速度で、ウォータージェットパンチ(WJP)にて、表(捕集時のネットコンベアに接触していない面)5MPa、裏5MPa、表15MPa、裏15MPa、表20MPa、裏20MPaの順で処理を行った。次いで、液流染色機にて、ノズル圧0.6kg/cm3、120℃、60分の揉み処理を行い、乾燥させた。
このようにして得られた長繊維不織布の目付、見かけ密度を測定し、結果を表1に示した。得られた不織布は単繊維が全て分割されているため柔軟性はあるものの、中綿として用いるには嵩が著しく不足しているものであった。
比較例3
実施例3と同様にして得られたウェブを150℃で、カレンダープレス法により熱接着しない条件で仮セットを行った。
次いで、得られたウェブの表裏面に目付が40g/m2であるメリヤス編物を積層し、水に浸積した後、孔径0.1mmのノズルを用い、1m/分の処理速度で、ウォータージェットパンチ(WJP)にて、表(捕集時のネットコンベアに接触していない面)5MPa、裏5MPa、表20MPa、裏の20MPa、表20MPa、裏の20MPa、表20MPa、裏の20MPaの順で処理を行い、編物を絡合一体化させた。
次いで、液流染色機にて、ノズル圧1.1kg/cm3、120℃、60分の揉み処理を行い、乾燥させた。
このようにして得られた編物が一体された長繊維不織布の単繊維繊度、目付、見かけ密度、繊維の融着を測定し、結果を表1に示した。得られた不織布は嵩高性と柔軟性が低く、これを縫製して衣服として用いたところ、着用感に劣るものであった。
Figure 2005299001
本発明の長繊維不織布を構成する複合繊維の一例を示す断面図である。
符号の説明
D:成分1
E:成分2
F:中空部分

Claims (7)

  1. 単繊維繊度0.001〜1.1デシテックスの長繊維が、実質的に融着部を有しないで、少なくとも一表面で絡合されてなり、見かけ密度が0.02〜0.3g/cm3であること特徴とする長繊維不織布。
  2. 少なくとも一方の面に織物または編物が一体化されてなることを特徴とする請求項1記載の長繊維不織布。
  3. 少なくとも2種以上の長繊維により構成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の長繊維不織布。
  4. 長繊維がポリアミド系繊維および/またはポリエステル系繊維からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の長繊維不織布。
  5. 単繊維繊度0.001〜1.1デシテックスの長繊維を、実質的に融着部を有しないで、少なくとも一表面で絡合した不織布を、物理的作用によって見かけ密度を0.02〜0.3g/cm3にすることを特徴とする長繊維不織布の製造方法。
  6. 長繊維不織布がウォータージェットパンチにより絡合されてなることを特徴とする請求項5に記載の長繊維不織布の製造方法。
  7. 該物理的作用が液流染色機であることを特徴とする請求項5または6に記載の長繊維不織布の製造方法。
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