JP2005298883A - プレス加工性に優れるFe−Cr−Ni系合金条 - Google Patents

プレス加工性に優れるFe−Cr−Ni系合金条 Download PDF

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義浩 小関
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、濡れ性を向上させ、油もちが良くなることでプレス加工性の良好なFe−Cr−Ni合金条および製造方法を提供することにある。
【解決手段】 質量%で、Cr:15〜20%、Ni:9〜15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる合金において、表面において接触粗さ計を用いて測定した、最大高さ、Ry(μm)および算術平均粗さ、Ra(μm)が、次式の関係で与えられることを特徴とする、プレス加工性に優れたFe−Cr−Ni系合金条。
1.25≦Ry≦1.80
0.065×Ry+0.05≦Ra≦0.065×Ry+0.10
【選択図】 図1

Description

本発明は、プレス性の良好なFe−Cr−Ni系合金素材及びその製造方法に関するも
のであり、特には電子銃部品、例えば電子銃電極材料に使用される非磁性ステンレス鋼において絞り加工のためのプレス加工性を向上させたFe−Cr−Ni系合金素材に関する。
一般に、受像管などに用いられる電子銃部品は、板厚0.05〜0.5mm程度の非磁性ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni系合金材を、プレス加工により所定形状に絞り加工することにより作られる。絞り性を向上させるため、素材の表面粗さを規定し、素材の油持ちが良くさせることが提案されている(例えば特許文献1。)。
特許第3017029号公報
表面粗さは、算術平均粗さRa(μm)(以下、Raで表示)、最大高さRy(μm)(以下、Ryで表示)等のいくつの指標があり、各々の表面粗さは、粗さという観点では全く無関係ではないものの、定義が異なるため、特許文献1ではRaとRmaxで規定することに意義があるとされてきた。しかしながら、近年の厳しい品質条件では、このような2種類の粗さをばらばらに規定するだけでは十分でなくなってきた。
本発明の目的は、濡れ性を向上させ、油持ちが良くなることでプレス加工性の良好なFe−Cr−Ni合金条を提供することにある。
本発明者らは、Fe−Cr−Ni合金条の深絞りデータを解析し、表面粗さの指標である最大高さRy(μm)と算術平均粗さRa(μm)が、次式の関係にあると、プレス絞り割れが発生にくいことを見出した。
本発明は以下のとおりである。
(1)質量%で、Cr:15〜20%、Ni:9〜15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる合金において、表面において接触粗さ計を用いて測定した、最大高さ、Ry(μm)および算術平均粗さ、Ra(μm)が、次式の関係で与えられることを特徴とする、プレス加工性に優れたFe−Cr−Ni系合金条。
1.25 ≦ Ry ≦ 1.80
0.065×Ry+0.05 ≦ Ra ≦ 0.065×Ry+0.10
(2)質量%で、Cr:15〜20%、Ni:9〜15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる合金において、有機溶剤を用いて脱脂した後の表面における濡れ張力が60mN/m以上であることを特徴とする上記(1)のプレス加工性に優れたFe−Cr−Ni系合金条。
(3)材料に加工度5%以上の冷間圧延を施することにより、材料表面のRyを1.4〜2.2μmの範囲に調整し、その後、材料表面にバフ研磨を施すことにより、RyおよびRaを次式の関係に調整することを特徴とするプレス加工性に優れたFe−Cr−Ni系合金条の製造方法。
1.25≦Ry≦1.80
0.065×Ry+0.05≦Ra≦0.065×Ry+0.10
従来、金属条の加工性改善のため、適正なRyおよびRa値を、個々に調整する試みは成されてきたが、個々の値だけではなく両者の関係が重要であることが、初めて知見されたのである。
RyとRaを上述の範囲に調整したFe−Cr−Ni系合金条は、JIS−K6768に規定された濡れ試験において、良好な濡れ性を示した。このことより、プレス加工の際にプレス油が材料表面に均一に覆い、この効果として深絞り性が向上したと推定された。
次に、上述したRyとRaの関係は、次のプロセスを順次行うことにより、作り込めることが判明した。
(1)加工度5%以上の冷間圧延を施することにより、材料表面のRyを1.4〜2.2μmの範囲に調整する。すなわち圧延上がりのRyを、製品表面に求めるRyより若干大きい値に調整する。
(2)圧延後の表面にバフ研磨を施し、RyとRaを上記範囲に調整する。このバフ研磨においては適正な研磨量がある。研磨量を大きくする方策として、a)材料表面へのバフの押し付け圧力を大きくする、b)バフの回転速度を大きくする、c)バフの研磨砥粒を大きくする、等がある。
(3)冷間圧延とバフ研磨との間に、焼鈍処理または脱脂処理を行っても、RyとRaの調整による濡れ性および絞り加工性の改善効果は得られる。
以上、深絞り性を例に挙げその課題改善手段を述べたが、深絞り加工だけではなく、曲げ加工等の他のプレス加工に対しても同じ効果が認めらた。
本発明により、濡れ性を向上させ、油持ちが良くなることでプレス加工性の良好なFe−Cr−Ni合金条を提供することができる。
本発明の限定理由を以下に示す。
(1)Cr
電子銃用部品としては非磁性ということが要求される。通常、非磁性であるためには透磁率が1.005以下であることが要求されており、これを満たすためにはCr量を適正範囲に調整することが必要である。よってその成分範囲を15〜20%とする。
(2)Ni
Niが9%より少ないと磁性が高くなりすぎる上に、加工性を阻害する。また15%より多く含有する場合も、加工性が阻害されるうえに原価高となる。よってその成分範囲を9〜15%とする。
(3)RaおよびRy
良好なプレス加工性を得るためには、RaおよびRyを次式で与えられる範囲に調整する必要がある。この範囲を外れると、プレス加工の際に割れが発生する。粗さは、JIS−B0601(1994年)に従って測定した値である。
1.25≦Ry≦1.80
0.065×Ry+0.05≦Ra≦0.065×Ry+0.10
(4)濡れ性
濡れ張力を60mN/m以上にすることにより良好なプレス加工性が得られる。この濡れ張力は、材料表面を有機溶剤を用いて脱脂後、JIS−K6768(1999年)に従って測定した値である。
(5)製造方法
上記表面を圧延加工とバフ研磨の組み合わせにより作りこむ。圧延後の表面のRyは、1.4〜2.2μmの範囲に調整する必要がある。Ryがこの範囲から外れると、バフ研磨条件を調整しても上述したRaとRyが得られない。圧延上がりの表面粗さは、圧延ロール表面の凹凸を材料表面に転写することにより作りこむ。圧延ロール表面の凹凸を材料表面に転写するためには、圧延加工度を5%以上にする必要がある。ここで、圧延加工度(R)は次式で定義される。
R(%)=(t−t)/t×100 (t:圧延前の厚み、t:圧延後の厚み)
(1)実施例1
再結晶焼鈍を行い結晶粒度をNo.7〜12に調整した、厚み0.25mmのFe−Cr−Ni系合金を供試材に用いた。この供試材に対し、所定の加工度で冷間圧延を施した。この圧延では、圧延ロールの表面粗さを変化させた。その後、(再結晶焼鈍を行って結晶粒度をNo.7〜12に調整した後?)、バフ研磨を行った。最後のバフ研磨では、粒度番号が#1500のバフを用い、バフの圧下荷重を変化させた。バフ研磨後の試料につき、次の評価を行った。
(1)表面粗さ:JIS−B0601(1994年)に従いRaとRyを測定した。測定においては、カットオフ値:0.8mm、評価長さ:4mmとし、圧延方向と直角な方向に測定を行った。
(2)濡れ性:JIS−K6768(1999年)に従い濡れ張力を測定した。測定前にアセトンを用いて試料表面を脱脂した。
(3)深絞り性:直径20mm、深さ25mmの円筒形状に深絞り加工を行った。100個の部品を加工し、割れが発生した部品の個数を求めた。
圧延ロールの粗さおよびバフの圧下荷重を変化させ、表面粗さが異なる試料を作製した。この試料について、濡れ張力を測定した後、深絞り試験を行った。表1にその結果を示す。
RaとRyが本発明範囲にある試料(発明例)の濡れ張力は60mN/m以上であり、深絞り試験で割れが発生しなかった。一方、RaとRyが本発明範囲にある試料の濡れ張力は60mN/m未満であり、深絞り試験で割れが発生した。
図1は、表1の各試料のRyおよびRaを、深絞り試験で割れが発生しなかったもの(○)と割れが発生したもの(×)で層別し図示したものである。図中には発明の範囲も示してある。RyおよびRaを発明範囲に調整することにより、良好な深絞り性が得られることがわかる。
(2)実施例2
製造プロセスが粗さに及ぼす影響を表2に基づいて説明する。
No.1〜4は、圧延ロールの粗さを変えた例である。圧延ロールの粗さを大きくすると、圧延後のRyが大きくなっている。No.1では圧延後のRyが2.2μmを上回ったため、バフ研磨後のRyが1.8μmを超えている。また、No.4では圧延後のRyが1.4μmを下回ったため、バフ研磨後のRyが1.25μmに満たない。圧延後のRyが1.4〜2.2μm(発明範囲)に収まったNo.2、3では、バフ研磨後に発明範囲の粗さが得られている。
No.5は、圧延加工が5%に満たない例である。No.2と同じ圧延ロールを用いているが、ロール表面の凹凸が材料表面に充分に転写されていないため、圧延後のRyが1.4μmを下回り、バフ研磨後のRyが1.25μmに満たない。
No.6〜9は、同じ圧延上がりの材料(圧延後のRyは同一)を、バフの圧下力を変えて研磨した例である。バフの圧下力が200および300kgのNo.7および8では、研磨後に発明範囲の粗さが得られた。一方、バフの圧下力が50 kgのNo.6では、Raが(0.065×Ry+0.10)を超えた。また、バフの圧下力が300 kgのNo.9では、Raが(0.065×Ry+0.05)を下回った。このように、RaとRyとの関係を特許範囲に収めるためには、適正なバフ研磨条件を選択することが必要である。
RyとRaの関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、Cr:15〜20%、Ni:9〜15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる合金において、表面において接触粗さ計を用いて測定した、最大高さRy(μm)(以下、Ryで表示)および算術平均粗さRa(μm)(以下、Raで表示)が、次式の関係で与えられることを特徴とする、プレス加工性に優れたFe−Cr−Ni系合金条。
    1.25≦Ry≦1.80
    0.065×Ry+0.05≦Ra≦0.065×Ry+0.10
  2. 質量%で、Cr:15〜20%、Ni:9〜15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる合金において、有機溶剤を用いて脱脂した後の表面における濡れ張力が60mN/m以上であることを特徴とする請求項1のプレス加工性に優れたFe−Cr−Ni系合金条。
  3. 材料に加工度5%以上の冷間圧延を施することにより、材料表面のRyを1.4〜2.2μmの範囲に調整し、その後、材料表面にバフ研磨を施すことにより、RyおよびRaを次式の関係に調整することを特徴とするプレス加工性に優れたFe−Cr−Ni系合金条の製造方法。
    1.25≦Ry≦1.80
    0.065×Ry+0.05≦Ra≦0.065×Ry+0.10
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010140571A1 (ja) * 2009-06-03 2010-12-09 株式会社神戸製鋼所 チタン板およびチタン板の製造方法
JP2012033295A (ja) * 2010-07-28 2012-02-16 Nippon Steel Materials Co Ltd 蓄電デバイス容器用ステンレス箔、蓄電デバイス容器用樹脂被覆ステンレス箔、及びそれらの製造方法

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