JP2005298560A - 帯電防止剤および帯電防止処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸性基を有する有機化合物又はその塩からなるアニオン性有機化合物と、平均分子量が3000〜200000のポリカチオン系有機化合物からなる帯電防止剤を提供する。
【選択図】なし
Description
従来、これらの静電気を防止するための帯電防止剤として、ポリエチレングリコール、グリセリン、ノニオン界面活性剤などが広く用いられている。(下記特許文献1参照)
しかし、これらの帯電防止剤は、親水性の化合物が用いられているために、水に溶け出しやすく、前記帯電防止剤により帯電防止処理した繊維製品を洗濯した場合などに繊維製品から帯電防止剤が脱離し帯電防止効果を低下させてしまう問題を有している。
また、前記帯電防止剤を水に溶けにくくするために下記特許文献2に示すようにポリエチレングリコールの末端をグリシジルエーテルのような反応性基とし、前記反応性基の架橋反応により繊維と結合性を強化させた帯電防止剤も知られているが、このような帯電防止剤を用いても洗濯などにより帯電防止剤が脱離することを十分に防止できておらず、帯電防止効果の低下という問題を依然と有するものである。
その他の試みとして、下記特許文献3に示すような、金属繊維やカーボン繊維などの導電性繊維による帯電防止方法も開示されている。このような、導電性繊維は洗濯などにより脱離するおそれは低いものの、合成繊維とは風合いを異にするため、繊維の風合いを損ねるおそれを有している。
なお、好ましくは、前記アニオン性有機化合物がアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニールスルホン酸から選ばれる1種類以上のアニオンモノマーを重合した平均分子量が10000〜300000のアニオン性ポリマー、該アニオン性ポリマーの金属塩、前記アニオン性ポリマーのアンモニウム塩の少なくとも1種、もしくはアニオン界面活性剤である。
前記アニオン界面活性剤としては、好ましくは、炭素数5〜30のアルキルカルボン酸、炭素数5〜30のアルキルアルコールの硫酸エステル、炭素数5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数5〜30のアルキルアルコールのリン酸エステル、炭素数5〜30のオレフィンの硫酸化物、ベンゼンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物又はこれらの金属塩もしくはアンモニウム塩から選ばれる1種類以上である。
また、好ましくは、前記ポリカチオン系有機化合物はジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、下記式で表される化合物の重合体、又は、炭素数が1〜8のアルキルアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物から選ばれる1種類以上のポリマーからなるポリカチオン系有機化合物である。
なお、前記帯電防止処理液にはノニオン系界面活性剤が含まれていることが好ましい。
なお、本発明において繊維とは、素材を意味する他、糸、布、その他各種二次加工された繊維製品を総称して繊維という。
本実施形態における帯電防止処理液は、ノニオン系界面活性剤を溶解した水中にポリカチオン系有機化合物と、アニオン性有機化合物とからなる帯電防止剤を乳化分散させたものである。
前記ポリカチオン系有機化合物は単独で使用してもよく、また、数種類のポリカチオン系有機化合物を混合して用いても良い。
前記数平均分子量が3000未満の場合には洗濯により繊維などから脱離するおそれを有するものとなり、200000を超える場合にはポリカチオン系有機化合物の強度が繊維の風合いを損ねるものとなるおそれがある。
また、前記アルキルアルコールの硫酸エステルの金属塩としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム塩などを例示することができ、前記アルキルアルコールのリン酸エステルのアンモニウム塩としてはジオクチルアルコールリン酸エステルアンモニウム塩を例示することができる。
本実施形態においては、前記ノニオン系界面活性剤を用いて水中にポリカチオン系有機化合物と、アニオン性有機化合物とを乳化分散させているが、該乳化分散は、乳濁した状態、半透明な状態、透明な状態のどのような態様であっても良い。
要すれば、前期パディング処理の代わりにスプレーコートにより繊維に帯電防止剤を含浸させてもよく、繊維を60〜150℃の温度で20〜120分間加熱浸漬処理した後に、約100℃の温度で乾燥を行ってもよい。
また、要すれば、スプレーコートにおいては、ポリカチオン系有機化合物水溶液とアニオン性有機化合物水溶液とを別々に繊維にスプレーし、繊維上にて本実施形態の帯電防止処理液を形成するようにしても良い。
また、このような帯電防止が施される繊維としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維などの合成繊維、及びこれらの混紡繊維、ならびに、前記合成繊維と天然繊維との混紡繊維が、耐久性帯電防止効果を有する繊維とすることができ得る点において好適である。
前記繊維の帯電防止処理は、糸、布、二次加工製品などのどのような状態において実施することが可能である。
実施例1
ノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.1重量部と、ポリカチオン系有機化合物として数平均分子量が30000のDADMACホモポリマー1重量部と、アニオン性有機化合物として数平均分子量が100000のポリアクリル酸0.1重量部とを水にて全量が100重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にポリエステル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
ノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.1重量部と、ポリカチオン系有機化合物として数平均分子量が10000のDADMACホモポリマー3重量部と、アニオン性有機化合物としてドデシルベンゼンスルホン酸2重量部とを水にて全量が100重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にポリエステル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
ノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.1重量部と、ポリカチオン系有機化合物として数平均分子量が100000のDADMACホモポリマー0.2重量部と、アニオン性有機化合物としてラウリルアルコール硫酸ナトリウム0.1重量部とを水にて全量が100重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にポリエステル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
ノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.1重量部と、ポリカチオン系有機化合物として数平均分子量が10000の2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド重合体3重量部と、アニオン性有機化合物として数平均分子量が10000のポリアクリル酸1重量部とを水にて全量が100重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にポリエステル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
ノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.1重量部と、ポリカチオン系有機化合物として数平均分子量が10000の2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド重合体0.4重量部と、アニオン性有機化合物としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部とを水にて全量が100重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にポリエステル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
ノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.1重量部と、ポリカチオン系有機化合物として数平均分子量が5000のDADMACホモポリマー1重量部と、アニオン性有機化合物として数平均分子量が50000のポリアクリル酸0.02重量部とを水にて全量が100重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にアクリル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
ポリアミド布を用いた以外は実施例7と同様に帯電防止処理を行った。
約30重量部の水にノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.02重量部と、アニオン性有機化合物として数平均分子量が50000のポリアクリル酸0.04重量部と、ポリカチオン系有機化合物として数平均分子量が30000のDADMACホモポリマー0.3重量部とを加え水にて全量が200重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にポリエステル布10重量部を浸漬し、高圧染色機を用いて130℃で30分間処理を行った。
アニオン性有機化合物を加えず、ノニオン系界面活性剤とポリカチオン系有機化合物とを実施例2と同様に調整した帯電防止処理液を用い、ポリエステル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
ノニオン系界面活性剤としてソフタノール90((株)日本触媒製)を0.1重量部と、アニオン性有機化合物として数平均分子量が10000のポリアクリル酸0.1重量部とを水にて全量が100重量部となるように希釈混合し帯電防止処理液とした。
このようにして調整された帯電防止処理液にポリエステル布を浸漬し、マングルにて含水率100%に絞り、100℃にて乾燥後180℃で30秒間処理を行った。
各実施例、比較例の評価については次のとおり実施した。
摩擦布として綿布を用い、温度20℃、相対湿度40%の雰囲気で、JIS L 1094に従い、ロータリースタテックテスターを用いて摩擦帯電圧の測定を行った。
表1から、比較例1および2では、洗濯後摩擦帯電圧が帯電防止処理を施していない布に近い値にまで上昇したのに対し、実施例1乃至8では、洗濯後摩擦帯電圧が高いものでも、帯電防止処理を施していない布に比べ約半分の値を示し、本発明の帯電防止剤を用いれば洗濯後でも帯電防止効果の低下を防止しうることがわかる。
Claims (8)
- 酸性基を有する有機化合物又はその塩からなるアニオン性有機化合物と、平均分子量が3000〜200000のポリカチオン系有機化合物からなることを特徴とする帯電防止剤。
- 前記アニオン性有機化合物がアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニールスルホン酸から選ばれる1種類以上のアニオンモノマーを重合した平均分子量が10000〜300000のアニオン性ポリマー、該アニオン性ポリマーの金属塩、前記アニオン性ポリマーのアンモニウム塩の少なくとも1種である請求項1記載の帯電防止剤。
- 前記アニオン性有機化合物がアニオン界面活性剤である請求項1記載の帯電防止剤。
- 前記アニオン界面活性剤が炭素数5〜30のアルキルカルボン酸、炭素数5〜30のアルキルアルコールの硫酸エステル、炭素数5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数5〜30のアルキルアルコールのリン酸エステル、炭素数5〜30のオレフィンの硫酸化物、ベンゼンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物又はこれらの金属塩もしくはアンモニウム塩から選ばれる1種類以上である請求項3記載の帯電防止剤。
- 請求項1乃至5の何れか1項記載の帯電防止剤を含む帯電防止処理液により、繊維の帯電防止処理を行うことを特徴とする帯電防止処理方法。
- 前記帯電防止処理液にはノニオン系界面活性剤が含まれている請求項6記載の帯電防止処理方法。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の帯電防止剤を固着されて、帯電防止処理が施されたことを特徴とする耐久性帯電防止効果を有する繊維。
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