JP2005297435A - 多層膜、複合材料、インプラント及び複合材料の製造方法 - Google Patents

多層膜、複合材料、インプラント及び複合材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 基材からの影響を隔絶するとともに、基材の接着強度を高め、生体活性に優れ、アパタイト結晶の核形成を誘起しうる表面組成と構造を有する複合材料を提供する。
【解決手段】 複数の金属酸化物から構成された金属酸化物下地層と、該下地層を被覆する少なくとも1種類の金属酸化物から構成された被覆層とからなることを特徴とする多層膜及び基材上に該多層膜を有する複合材料。本発明の複合材料は、一般式:AxMeFyで示されるフルオロ金属錯化合物の少なくとも2種類と、フッ素捕捉剤とを含む下地層形成水溶液中に基材を浸漬することによって基材表面に下地層を形成し、6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤を含む被覆層形成水溶液又は6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤とともに、その他のフルオロ金属錯化合物の少なくとも1種類を含む被覆層形成水溶液中に浸漬することによって被覆層を形成することによって製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材に対して高い密着性を有し、優れた生体親和性を付与しうる多層膜、該多層膜を基材上に有し、高い生体活性を発現しうる複合材料及びその製造方法に関する。
一般に生体内に代替材料を埋め込んで生体親和性を獲得しようとする試みは、古くから取り組まれてきた課題である。従来から考えられてきた概念は、生体と代替材料とのやり取りが全くない耐蝕性のものが理想的と考えられ、実際一部の金属材料(例えば、チタン合金Ti6Al4V)が硬質組織代替材料として臨床的に成功を収めてきた。つまり生体が材料に及ぼす影響、逆に材料が生体に及ぼす影響が全くない、互いに独立して存在しうる相互不可侵の金属材料が有望と考えられてきた。
しかし、近年の一連の研究では、いわゆる生体親和性は相互不可侵の要件だけでは十分ではなく、本来の代替材料(人工骨、人工関節)の表面に、生体と人工材料の橋渡しとなるヒドロキシアパタイトの核形成を誘起し、爾後アパタイト表面に生体が取り入れ易い環境を形成することが重要なことが判明した。
例えば、チタン金属では、生体組織との間に10〜50nmの厚さの表面反応場としての均質層が形成され、表面が酸化されてこれら非晶質酸化チタンの一部が生体に取り込まれ再構成されながら、次第に生体親和性を高めていくことが確認されている(非特許文献1)。
詳述すれば、チタン金属表面に形成される酸化物非晶質物質が、生体に一部取り込まれ再構成される過程で表面に多数のTi−OHを形成する。これらの官能基の存在が周囲の体液中のアパタイト成分を濃集させ、増加したアパタイト成分はアパタイトの核形成を誘起し、これらの核は周囲からカルシウムイオンとリン酸イオンを取り込んでアパタイトの成長を促進させる。これらのプロセスを経由することによってチタン金属表面に緻密で均一な骨類似構造を有するアパタイトの層が形成される。
近年、ペースメーカー、人工関節、人工骨、人工歯根、経皮端子、人工血管、血流センサー、各種カテーテルなど、生体組み込み型の機器,器具が実用化されるに伴い、むしろこれらの生体親和性がよりいっそう問題となっている。現在一般に考えられている生体材料が生体内で活性を有するということは、その表面にアパタイト層を形成し、‘骨’となって生体に親和することであるが、チタン金属以外の材料としては、現在CaO−SiO2系ガラスが検討されている。この材料は、生体内でその表面に多数のSi−OH基を形成し、これが周囲のアパタイト成分の濃度を増大させアパタイトの核形成を誘起することで生体活性を発現する。
これら人工材料が生体内でその表面にアパタイトを形成する条件は、表面にアパタイトの核形成を誘起する官能基(−OH)を有することであるとされている。Si−OHの他にもTi−OH、Zr−OH、Ta−OHもアパタイトの核形成を誘起し得ることが確認されている(非特許文献2)。
そこで、人工骨や人工関節の基材がポリエチレンやポリメチルメタクリレート(PMMA)のような高温に弱いプラスチック素材である場合に、どのようにしてこのような表面官能基構造を導入するか、またいかにして表面にアパタイト結晶の核形成を誘起するかが、本来生体活性のないプラスチック素材を生体活性材料にするための大きな課題であったと言える。
従って、ポリエチレンやPMMAのようなプラスチック素材に生体親和性を付与するためには、ヒドロキシアパタイトが表面に成長し易いように表面処理を施す必要がある。
実際、既にポリエチレンテレフタレート(PET)表面を処理し生体親和性を高めた実例が存在する。まず、PETの極細繊維の織物を、酸素ガス中でグロー放電処理し、その表面に多数のCOOHなどの極性基を形成しておく。これを予め擬似体液に浸漬したCaOとSiO2を主成分とするガラス粒子の上に置くと、ガラスから溶出した珪酸イオンが効率よくPET表面に付着し,アパタイトの核形成を誘起する。このようにしてアパタイト核をプランニングしたPETを別の擬似体液中に浸漬すると、それらの核が擬似体液からカルシウムイオンとリン酸イオンを取り込んで成長し個々のPET繊維の表面に緻密で均一なアパタイト層を形成する(非特許文献3)。
また、シランカップリング法に基づきTiO2 膜を、PET、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド6、ポリアミド66等に成膜形成し、これらプラスチックに生体活性を付与した例がある(非特許文献4)。
しかし、これらの例はいずれもプロセスが複雑で膜形成に時間がかかり、かつ生体材料にとって重要な要件である膜の機械的強度が十分とはいえない点が問題であった。
村上・鵜飼、表面科学Vol.20,No.9,pp640−649,1999 小久保・金、表面科学Vol.20,No.9,pp612−628,1999 小久保・金、表面科学Vol.20,No.9,pp621−628,1999 Balas, Kawasaki et al. ISCM, Proceeding of the 16th International symposium、pp667−670、2003
本発明は、上記従来技術における問題点を解決し、プラスチック等の生体活性のない基材を用いて、その基材上に密着性及び機械的強度の高い膜を形成することにより、生体環境内でアパタイト形成を誘起し、生体活性を発現でき、人工骨や人工関節材料などのインプラントとして有用な複合材料を提供するとともに、その効率のよい製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、プラスチック等の基材に生体親和性を付与するために、表面に水酸基を有する非晶質或いは結晶質の酸化物膜を高付着力で形成し、アパタイト結晶の核形成を誘起するとともに、アパタイトの成分における過飽和状態が増大するような組成及び構造(組織)を調整して、これらの形成反応を円滑に進行させれば、上記の目的を達成しうることを見出し、完成したものである。
すなわち、本発明は、複数の金属酸化物から構成された金属酸化物下地層と、該下地層を被覆する少なくとも1種類の金属酸化物から構成された被覆層とからなることを特徴とする多層膜を提供するものである。
上記の下地層を構成する金属酸化物は、周期表の4族金属、5族金属、13族金属及び14族金属からなる群から選択された少なくとも2種の金属の酸化物であることが好ましい。
本発明の多層膜において、下地層の構成主要成分である金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから選ばれた2種又は3種であるのが好ましい。
また、被覆層の構成主要成分は、酸化チタンであり、酸化チタンの一部の代わりに酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含んでいてもよい。
本発明は、さらに基材上に前記多層膜を有することを特徴とする複合材料に関する。
なお、本明細書において、構成主要成分とは、構成成分のうち60%〜100%を占める成分を言うものとする。
本発明の複合材料の製造方法は、基材表面に、複数の金属酸化物から構成された金属酸化物下地層と、該下地層を被覆する少なくとも1種類の金属酸化物から構成された被覆層とからなる多層膜を形成することを特徴とする。
本発明の複合材料の製造方法は、下記の一般式(I):
xMeFy ・・・(I)
[式中、AはNH4 、Na、K又はHを表わし、Meは周期表の4族金属、5族金属、13族金属及び14族金属からなる群から選択した金属の酸化物を表わし、x及びyは化合物の電気的中性を満たす数である]で示されるフルオロ金属錯化合物の少なくとも2種類と、フッ素捕捉剤とを含む下地層形成水溶液中に基材を浸漬することによって基材表面に下地層を形成し、6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤とを含む被覆層形成水溶液又は6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤とともに、6フッ化ケイ素アンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウム、7フッ化ニオブアンモニウム、6フッ化スズアンモニウム、7フッ化タンタルアンモニウム、6フッ化ガリウムアンモニウム、6フッ化ハフニウムアンモニウム、6フッ化ゲルマニウムアンモニウム及び6フッ化アルミニウムアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類のフルオロ金属錯化合物を含む被覆層形成水溶液中に浸漬することによって被覆層を形成するのが好ましい。
本発明によれば、好適な下地層を設けたことにより、基材からの影響を隔絶するとともに、基材と被覆層との接着強度を高め、また被覆層の生体活性を向上させることができ、アパタイト結晶の核形成を誘起するような表面組成と構造を有する複合材料を提供することができる。
したがって、本発明によれば、プラスチック等の生体活性を有しない基材を用いても高い生体親和性を有し、生体活性に極めて優れた複合材料を提供することができる。また、本発明の方法によれば、低温(室温)環境下で、かつ複雑な形状を有する基材に対しても高い生体活性を有する多層膜を高付着力で形成することができ、生体活性に優れた複合材料を簡単な操作で効率よく製造することができる。
さらに、本発明の複合材料を、インプラントとして生体内に埋入するか又はリン酸カルシウム系化合物形成溶液に浸漬すると、リン酸カルシウム系化合物をその表面に形成することができる。
本発明の多層膜は、前記のように、複数の金属酸化物から構成された金属酸化物下地層と、該下地層を被覆する少なくとも1種類の金属酸化物から構成された被覆層とからなる。
上記の下地層を構成する金属酸化物は、周期表の4族金属、5族金属、13族金属及び14族金属からなる群から選択される少なくとも2種の金属の酸化物であることが好ましい。
下地層は、主として、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから選ばれた2種又は3種から構成するのが好ましく、特に、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0のモル比範囲内で含むのが好ましく、SiO2 0.1〜0.3:TiO2 0.03〜0.2:ZrO2 0.5〜0.9のモル比範囲内で含むのがより好ましい。
また、下地層の構成としては、主要成分が、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0のモル比範囲内で存在し、かつ酸化ジルコニウムの代わりに、或いは酸化ジルコニウムとともに、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含む構成も好適である。
本発明の多層膜において、下地層は、0.05〜0.5μmの層厚であるのが好ましく、0.02〜0.1μmの層厚であるのがより好ましい。
本発明の多層膜において、被覆層の構成主要成分は酸化チタンであり、酸化チタンの一部の代わりに酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含んでいてもよい。詳述すれば、被覆層の構成成分は、酸化チタン60〜100%、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類40%未満から成る。
被覆層の層厚は、0.1〜1.0μmであるのが好ましく、0.2〜0.5μmであるのがより好ましい。
本発明の複合材料は、上記のような多層膜を基材上に設けたものである。
ここで基材としては、広範な材料から選択することができ、例えば、合成高分子化合物、天然高分子化合物、生体高分子化合物、プラスチック等を含む高分子化合物、金属、半導体、ガラス、セラミックス、カーボン材料、ダイヤモンド、カルサイト等の塩、無機高分子化合物、貝殻、水晶等の天然物などを挙げることができる。特に高分子樹脂材料からなるものが好適である。具体的には、ポリエチレン、アクリル樹脂(PMMA)やこれらにアクリル系、シリコン系ハードコート、メラミン系ハードコートなどのハードコートを施したものでもよい。
これらの基材の形状は、特に制限されるものはなく、板状、繊維状、編物状、多孔質、粒状、その他複雑形状などいかなるものでもよい。
また、これらの基材は、基本的に平坦なものでもよいが、金属酸化物膜やその上にアパタイト膜が形成されやすくするため或いはこれらと基材との間の密着強度を向上させるため、凹凸状に表面が荒れた状態のものでもよい。
次に、本発明の複合材料の製造方法について好ましい実施態様を説明する。
基材は、紫外線照射、プラズマ照射、酸化雰囲気曝露又は酸若しくは塩基中への浸漬により粗面化した後、下地層を形成するのが好ましい。例えば、プラスチック基材に直に酸化物膜を成膜する場合、表面が撥水状態になっていることが多く、表面処理(プラズマ照射、薬品処理)を施すことによってプラスチック表面を活性化し、親水状態にした後に、下地層形成水溶液中に浸漬して成膜を実施するのが好ましい。
本発明において、下地層の形成は、下記の一般式(I):
xMeFy ・・・(I)
[式中、AはNH4 、Na、K又はHを表わし、Meは周期表の4族金属、5族金属、13族金属及び14族金属からなる群から選択した金属の酸化物を表わし、x及びyは化合物の電気的中性を満たす数である]で示されるフルオロ金属錯化合物の少なくとも2種類と、フッ素捕捉剤とを含む下地層形成水溶液中に基材を浸漬することによって実施するのが好ましい。
上記一般式(I)で示されるフルオロ金属錯化合物の具体例としては、6フッ化チタンアンモニウム:(NH4)2TiF6、6フッ化珪素アンモニウム:(NH42SiF6、6フッ化ジルコニウムアンモニウム:(NH4)2ZrF6、7フッ化タンタルアンモニウム:(NH4)2TaF7 、7フッ化ニオブアンモニウム:(NH4)2NbF7、6フッ化スズアンモニウム:(NH4)2SnF6、6フッ化ガリウムアンモニウム:(NH4)2GaF6 、6フッ化ハフニウムアンモニウム:(NH4)2HfF6、6フッ化ゲルマニウムアンモニウム:(NH4)2GeF6、6フッ化アルミニウムアンモニウム:(NH4)3AlF6などがある。
上記のようなフルオロ金属錯化合物とフッ素捕捉剤を含む水溶液中に、或いは前者水溶液にフッ素捕捉剤を直接添加混合し、この水溶液に基材を浸漬することによって化学反応が開始され成膜が進行する。
本発明において、使用するフルオロ金属錯化合物は、対応する金属酸化物にフッ化水素酸水溶液を作用させ、さらにアンモニア水によって中和することによって調製することもできる。具体的には、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウムよりなる群から選ばれる酸化物にフッ化水素酸水溶液を作用させ、更にアンモニア水によって中和すればよい。こうして得た水溶液にホウ素化合物を混合した下地層形成水溶液に、基材を浸漬することによっても上記と同様の成膜反応が開始される。この際アンモニア水の添加量は、水溶液のpHを変化させ、作成する基材種にあわせるために調整することができる。
一般には特定のフルオロ金属錯化合物水溶液中に、ホウ素化合物からなるフッ素捕捉剤を添加すると、ホウ素とフッ素が反応して安定なフルオロホウ素錯化合物を形成し、そのため溶液中のフッ化物イオン濃度が減少し、これを補うためフルオロ金属錯化合物が加水分解して、金属酸化物となって析出し始める。pHが7以下での析出にあたっては、数〜数十ナノメートルの球状粒子として表面にOH基を有した状態で、緻密に配列を繰り返しながら積層する。これらのような球状粒子の積層の結果、被膜表面にはこれらによる特異な表面構造が形成される。このような析出プロセスを用いて、複合酸化物下地層を形成する。
下地層の場合、基本的に6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化珪素アンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムを適当な比率(図3参照)で混合したものにフッ素捕捉剤を添加することによって、複合酸化物下地層の組成範囲をモル比で、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0の範囲内で形成する。ここで、酸化ジルコニウムの代わりに、その一部が酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナであってもよい。
下地層形成水溶液に添加し、成膜反応を開始させる均一系フッ素捕捉剤は、フッ素と反応して安定なフルオロ金属錯化合物及び/又はフッ化物を形成することにより、金属酸化物を析出させるようにフッ素イオンの平衡を移動させるものである。例えば、オルトホウ酸,メタホウ酸等のホウ酸の他、酸化ホウ素などのホウ素化合物、塩化アルミニウムなどが例示される。これらのフッ素捕捉剤のうちホウ素化合物が特に好適である。このような捕捉剤は、通常水溶液の形で用いられるが、粉末の形で添加して系中に溶解させてもよい。このような捕捉剤の添加は、一回に或いは数回に分けて間歇的に行ってもよく、制御された供給速度、例えば一定の速度で連続的に行ってもよい。
不均一系フッ素捕捉剤としては、アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、マグネシウム、銅、亜鉛などの金属、ガラスなどのセラミックス、及びケイ素、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウムなどの化合物が例示される。このような固形物を水溶液に添加又は挿入すると固形物近傍のF−(フッ素イオン)が消費されて、その濃度が減少するので、その部分の化学平衡がシフトして金属酸化物が析出する。このような固形物を用いると、その添加又は挿入する方法と反応条件により、水溶液に浸漬した基材表面の全体に金属酸化物を析出することもできるし、その析出を選択された一部、即ち該固形物の存在する近傍に限定することも可能である。あるいは、均一系と不均一系のフッ素捕捉剤とを併用することにより、基材表面の析出物薄膜を部分的に厚くすることもできる。
以上のような成膜プロセスからなる本発明によれば、基材上にフォトリソグラフィなどの方法でレジスト膜を形成し、金属酸化物膜が形成される部位を制限することもできる。
こうして形成した下地層の上に被覆層を設ける。被覆層は、主として酸化チタンより構成され、この他に酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム、アルミナ等の少なくとも一種類含有してもよい。
被覆層の形成は、6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤を含む被覆層形成水溶液又は6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤とともに、6フッ化ケイ素アンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウム、7フッ化ニオブアンモニウム、6フッ化スズアンモニウム、7フッ化タンタルアンモニウム、6フッ化ガリウムアンモニウム、6フッ化ハフニウムアンモニウム、6フッ化ゲルマニウムアンモニウム及び6フッ化アルミニウムアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類のフルオロ金属錯化合物を含む被覆層形成水溶液中に下地層を有する基材を浸漬することによって実施するのが好ましい。
このような被覆層の表面では、金属酸化物が水又は水溶液中で水酸基を形成するのが好ましく、被覆層の表面は、平均径1〜300nmの大きさの金属酸化物粒子の集合体から構成される多孔組織からなるのが好ましい。特に、複合酸化物から構成すると、より生体親和性更には生体活性を向上させることができる。
下地層の形成後及び被覆層の形成後に、40〜150℃で1〜20時間加熱してもよい。これは、多層膜を熟成させ、より付着力ある強固な膜とするため効果がある。
なお、下地層及び/又は被覆層の形成を、ゾル・ゲル法、溶射法、電極法、真空蒸着法或いはスパッタリング法を用いて行うこともできる。
なお、生体親和性は相互不可侵の要件だけでは十分ではなく、人工材料(人工骨)の表面に、生体と人工材料の橋渡しとなるリン酸カルシウム系化合物、とりわけヒドロキシアパタイト類の核形成を誘起し、爾後ヒドロキシアパタイト類層を表面に形成することが重要である。なお、リン酸カルシウム系化合物とは、第一リン酸カルシウム(Ca(H2PO42)、第二リン酸カルシウム(CaHPO4)、第三リン酸カルシウム(Ca3(PO42)、リン酸四カルシウム(Ca4(PO42O)、リン酸八カルシウム(Ca82(PO46)、ヒドロキシアパタイト類を含むアパタイト類、アモルファスリン酸カルシウムなどを含み結晶水をもつものも含む。またヒドロキシアパタイトとは、化学式Ca10(PO46(OH)2で表される化合物をいう。ヒドロキシアパタイト類とは、ヒドロキシアパタイトまたはその構成元素が置換及び/または欠損しているものを包含していう。ヒドロキシアパタイト類は、例えばヒドロキシアパタイトを構成する元素或いは基の一部が、Na、Kなどの周期表の1族の元素、Mgなどの周期表の2族の元素、Znなどの周期表の12族の元素、F、Clなどの周期表の17族の元素、CO3 2-、HPO4 2-、SO4 2-などの基で置換されていてよい。さらに希土類によって置換されてもよい。
複合材料が、その表面に水酸基を有していると、生体内に埋入されても、あるいはリン酸カルシウム系化合物形成溶液に浸漬されても、リン酸カルシウム系化合物をその表面に効果的に形成することが可能であり、その結果生体親和性さらには生体活性が非常に優れるようになる。
一般に先に述べた析出粒子から構成される凹凸の表面構造は、特に凹部ではOH‐イオンが特に濃集し易い環境にあるため、これら水酸イオン濃度の増加によってアパタイト結晶の核形成が起こり易く、爾後のヒドロキシアパタイト形成を容易にする。
我々は、これらアパタイトの形成を容易ならしめる表面構造を原子間力顕微鏡(AFM,SPA500)によって入念に観察し、その模式図を図1に示す。その結果これらの表面構造は、基本的に径1〜300nmからなる金属酸化物微粒子からなる多孔構造からなることが判明した。またこれらの粒子が集合して、平均径10〜50nm,高さ1〜30nmからなる島状の粒子集合体を構成しているのが判った。これらの集合組織が、アパタイトの形成反応を助長する働きがあると考えられる。ここで平均径は、AFM像における位相像をもとに算出し、また平均高さ(深さ)は、断面像の計測結果から算出した。
一方、これらの表面構造の他にアパタイト結晶の核を形成、成長させるための条件としては、アパタイトと複合材料の間の素材上の親和性が重要である。このためには、素材間の親和性を高める工夫が必要となる。この素材間の親和性を実現するために、被覆層形成水溶液に水溶性カルシウム塩を10-5〜1モル/リットル、好ましくは10-4〜10-1モル/リットルの量で溶解させ、これにフッ素捕捉剤を添加して金属酸化物を析出させることによって金属酸化物中にカルシウムイオンを混入させるのが好ましい。水溶性カルシウム塩としては、例えば、硝酸カルシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
これによってアパタイト形成を大きく促進させることが可能となった。これは金属酸化物膜表面に析出成長させるにあたって、その原料となるカルシウムを複合材料の被覆層中に混入させておくと、アパタイト形成においてより親和性の高い環境を提供する働きがあるためである。
これらの事実は実験によってカルシウムの混入がある場合とない場合とで比較し、前者の場合では明らかにアパタイトの形成が顕著であることを確かめることができた。
本発明の複合材料は、そのまま体内に埋入することができるが、予めリン酸カルシウム系化合物形成溶液または擬似体液に浸漬し、表面にリン酸カルシウム系化合物の析出層を形成することもできる。
本発明において当該材料の生体活性(生体親和性)の発現を確認する手段として用いられるリン酸カルシウム系化合物形成溶液或いは擬似体液は、カルシウムイオン(Ca2+)を0.02〜25mM、リン酸水素イオン(HPO4 2-)を0.01〜10mM含有し、pHが6〜8であることが好ましい。より好ましくはカルシウムイオンを0.2〜20mM、リン酸水素イオンを0.1〜8mM含み、pHは6.8〜7.6である。更に好ましくは、カルシウムイオンを1.2〜5mM、リン酸水素イオンを0.5〜2mM含み、pHは7.2〜7.5である。
リン酸カルシウム系化合物形成溶液の調製には、リン酸二水素カリウム・三水和物及び塩化カルシウムを用いることが好ましい。リン酸カルシウム系化合物形成溶液のpHは、適切な緩衝液、例えばNH2C(CH2OH)3を用い、更に塩酸のような酸を加えて調製することが好ましい。
生体適合性に優れたリン酸カルシウム系化合物を形成させるためには、カルシウムイオンとリン酸水素イオンに加えて、例えば、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム・六水和物、硫酸ナトリウムなどをさらに含むことが好ましい。この場合、ナトリウムイオン(Na+)を1.4〜1420mM、カリウムイオン(K+)を0.05〜50mM、マグネシウムイオン(Mg2+)を0.01〜15mM、塩素イオン(Cl-)を1.4〜1500mM、炭酸水素イオン(HCO3 -)を0.04〜45mM、硫酸イオン(SO4 2-)を5.0×10-3mM〜5mM含有していてもよい。好ましくは、ナトリウムイオンを14〜1140mM、カリウムイオンを0.5〜40mM、マグネシウムイオンを0.1〜12mM、塩素イオンを14.5〜1200mM、炭酸水素イオンを0.4〜36mM、硫酸イオンを0.05〜4mM含む。より好ましくはナトリウムイオンを70〜290mM、カリウムイオンを2.5〜10mM、マグネシウムイオンを0.7〜3.0mM、塩素イオンを70〜300mM、炭酸水素イオンを2.0〜9.0mM、硫酸イオンを0.2〜1.0mM含有していてもよい。
本明細書で使用される擬似体液とは、「リン酸カルシウム系化合物形成溶液」の概念に包含され、無機成分の組成が、人体の血漿中の無機成分に類似し、ナトリウムイオンを142.0mM、カリウムイオンを5.0mM、マグネシウムイオンを1.5mM、カルシウムイオンを2.5mM、塩素イオンを148.8mM、炭酸水素イオンを4.2mM、リン酸水素イオンを4.2mM、リン酸水素イオンを1.0mM、硫酸イオンを0.5mM含み、トリスヒドロキシメチルアミノメタンと塩酸を用いてpHを7.25〜7.4に調製したものである。
本発明が従来技術にない特徴的な点は、第一に体液中でヒドロキシアパタイトの形成を促すような表面に官能基(水酸基)を有する金属酸化物を,低温(室温)環境下でかつ複雑形状を有する対象物に、まず金属酸化物複合膜を下地としその上に生体活性酸化チタン膜を形成する方式で、酸化チタンの基材に対する付着強度を著しく高めることが可能となった点である。これによって従来では生体代替材料として顧みられなかったポリエチレンやアクリルといったようなプラスチック基材表面に高付着力の下で生体親和性を持たせることが可能となった。
また第二に体液中でヒドロキシアパタイトが比較的容易に形成される複合材料の表面形状を提示したことである。更に第三に、一般には特定の製法で作成された水酸基を有する酸化物では生体親和性が確認されているが、これらの酸化物を複数種複合させたものでは、相乗的効果によって生体活性を高める傾向にある点を見出したことである。
そこで表面形状制御及び金属酸化物の複合化という観点から、以下により具体的に詳しく述べる。
(1)表面形状制御
本発明では金属酸化物の析出反応を進行させるために、まずフルオロ金属錯化合物塩(例えばフッ化金属アンモニウム塩)を溶解した水溶液に、金属からフッ素を取り去るためにフッ素捕捉剤として酸化ホウ素等を添加する。これによってホウ素とフッ素が反応して安定なフルオロホウ素錯化合物を形成し、そのため溶液中のフッ化物イオンの濃度が減少し、これを補うためフルオロ金属錯化合物が加水分解して、基材表面に金属酸化物粒子として析出を開始する。この際水溶液中での析出反応は、ほぼ均質核形成プロセスに類似し、数ナノ〜数百ナノメートルサイズの粒子となって析出する。これらの球状粒子はアモルファス状態からなることもあり、多結晶集合体や前者との混合状態或いは単結晶からなることもある。ここで単結晶粒子は、基材表面に対して表面自由エネルギーの高い結晶方位で接合し、結晶配向性を示す場合もある。
このようなナノサイズの析出粒子は、基材表面に付着析出し特異な表面構造を形成する。形成粒子のサイズが均一である場合は,基材表面にナノ粒子が整然とかつ緻密に配列しながら膜形成が進行する。一層が形成されると更にその上に第二層が形成され始め、ところどころに島状析出物が形成される。しかし、一般的には形成粒子のサイズが不均一であるため、積層が進行するにつれて粒子配列の不整が生じ形成膜表面に凹凸が生じたり膜の各所に空隙がつながって生じるホローが形成されたりする。
これらの表面構造を機能発現にとって適正なものとするためには、水溶液中の溶解した試薬の濃度や、析出温度及び析出時間等を適当な範囲に制御しておくことが望ましい。
図2は、例えば、ある特定組成の酸化物膜作成(図4参照)のために、ある試薬調合比(図3)で析出させたときの析出温度と膜厚及び表面構造の関係を模式的に示す概念図である。なお析出時間は15時間とした。図3及び図4には、本発明において好ましい組成比範囲を斜線を付して示す。
温度領域を大まかに30℃未満、30〜40℃及び40℃を超える範囲にその析出物の粒子集合状態から分割すると、30℃未満での析出では数ナノメートルレベルの析出粒子の集合によって基材表面を整然と覆い、一層が形成されるとさらにその上に島状粒子集合体を形成しながら析出が進行していく。したがって膜は緻密で表面の凹凸も少ない。30〜40℃の温度領域になると数ナノメートル〜数十ナノメートルと粒子分布に幅が生じ、サイズ的に混在した粒子より構成されるようになる。これによって表面構造に凹凸が生じるようになる。本発明の目的とするリン酸カルシウム系化合物の核形成が誘起され易い構造とは、即ち、適度のOH基の密度分布からなり、リン酸カルシウム系化合物成分の過飽和状態が増大しやすく、かつ核形成のサイトを提供するような表面構造に相当する。さらに40℃を超えると、数十ナノメートル〜数百ナノメートルサイズの粒子が出現し、形成された膜に亀裂が入り易くなる。粒子径が大きくなることによって可視光波長領域の光を散乱するため膜が白濁して見える。表面構造は、顕微鏡レベルでラフになり,多孔質体に近い状態になる。
以上、3領域の表面構造のアウトラインを比較したが、30℃未満及び30〜40℃領域が膜の付着性、機械的強度といった観点から好ましい。特に、30〜40℃領域で形成された膜の表面構造は、リン酸カルシウム系化合物が形成され易い。すなわち生体活性を有する表面構造である。またこれらの製造上のパラメーターを有効にコントロールすることによって最適な表面構造を再現性良く形成することが可能となる。
なお40℃を超えて形成された金属酸化物膜であっても本発明の目的を著しく損なうものではなく、そのまま使用に供することができる。
また上記のような温度は、酸化物組成、金属種、フッ素捕捉剤の濃度、原料水溶液濃度等に応じて適宜変化するが、いずれにせよ、100℃以下の温度であれば、本発明の目的とする金属酸化物を形成することができる。
(2)複合金属酸化物膜の生成
本発明における膜形成のための水溶液中での反応は下記のように表現される。
例えば、フルオロ金属アンモニウム錯体を純水中に溶解させると、下記の反応式(1)により溶解する。
(化1)
(NH4)XMeFy + H2O =xNH4 + + MeFy x- + H2O (1)
この状態に、フッ素捕捉剤として酸化ホウ素を添加すると、下記の反応式(3)により、水溶液中のフッ素が減少するため、下記の反応式(2)の化学平衡がフッ素を生成する右方向にシフトし、金属酸化物が生成し、基材表面に析出する。
(化2)
MeFy x- + (y-x)/2H2O = MeO(y-x)/2↓+ yF― + (y-x)H+ (2)
2O3 + 8F― + 6H+ =2BF4― + 3H2O (3)
本発明を生体内材料(インプラント)に応用する場合は、膜付着力、膜の機械的耐性及び生体活性強度を膜組成によってコントロールしなければならない。一方、特に本製造方法によれば金属酸化物を数種類複合化することで、一種類の酸化物の場合よりも生体活性が向上することが期待できる。
例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム及び二酸化ケイ素はそれぞれ特殊な製法によればそれぞれ生体活性を示すが、これらを複合化することによりこれらの相乗効果により、生体活性の高さが大幅に増強されることを本発明者は見出し、そして更に検討した結果、これら酸化物複合体の析出条件を特定し、試薬調合組成比と生成された膜組成、膜特性との関連性について検討し、生体適合性が強く現れる組成領域を特定できた。
一般に、(NH4)2SiF6―(NH4)2TiF6―(NH4)2ZrF6―B2O3―H2O系では、上述の式において、Me=Si,Ti,Zr
のそれぞれにおいて反応式が相互作用しながら進行し、それぞれの酸化物或いは複合酸化物は酸化物複合体として共析する。
即ち同時に表現すると、
(化3)
(NH4)2(Si,Ti,Zr)F6 + H2O = 2NH4 + + (Si,Ti,Zr)F6 2- + H2O
(Si,Ti,Zr)F6 2- + 2H2O = (Si,Ti,Zr)O2 ↓ + 6F- + 4H+
2O3 + 8F― + 6H+ =2BF4― + 3H2O
これらの共析物の化学組成は、反応前の試薬調整比と必ずしも一致するとは限らない。
具体的な膜組成は,上記したように、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0のモル比範囲内にあり、これらの酸化ジルコニウムの一部は、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム及びアルミナ等で置換されてもよい。
原料として6フッ化珪素アンモニウム,6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウム(それぞれASF,ATF,AZFと略記)を用いたとき特に生体活性強度が強く発現し、機械的化学的耐性が良好な複合成分比を図3に、そして図4に対応析出酸化物複合膜の組成比の領域を示している。
なおSi,Ti,Zr系酸化物複合体が形成されれば、図3の最適領域は適宜変更することができる。
以上のように形成された金属酸化物下地層と基材との接着強度は、通常5MP以上であり、非常に基材との接着性に優れており、このため使用時生体内で膜が脱落することもない。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、下記の実施例で測定する基材と多層膜との接着強度は、基材の表と裏にステンレス治具を接着剤を用いて接着し、上下に引っ張り力を印加したときの破断応力で示す。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)製骨形状モデル(サイズ120×30×30mm)を用意した。このサンプルの表面をプラズマ照射装置(ヤマト科学製PB1000S)によって、200Wで4分間プラズマ照射を行い、表面処理を行った。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムをそれぞれ30g、8g、2g加え、更に酸化ホウ素30gを加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し完全に溶解させた。この水溶液の温度を40℃に保ちながら、モデルサンプルをプラズマ照射後ただちにこの水溶液に浸漬した。
20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し、乾燥させた。
その後、別の容器に6フッ化チタンアンモニウム2g及び硝酸カルシウム0.5g入れ、純水中に溶解させ、更に1リットルになるまで純水を加え40℃としたものを用意しておき、酸化ホウ素15gを添加混合溶解させ、これに先に洗浄乾燥させたサンプルを6時間浸漬放置した。放置後、サンプルを取り出して純水にて洗浄乾燥させ、サンプル上に2層膜を形成した。同様にPMMA基板(60×60×1mm)をモデルと同じ条件下で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する接着強度は8.0MPであった。
その後、サンプルの生体親和性を確認するために、浸漬するための擬似体液を調製した。
−擬似体液−
まず蒸留水700mlにNaClを7.996g、NaHCO3を0.350g、KClを0.224g、K2HPO4・3H2Oを0.228g、MgCl2/6H2Oを0.306g、1M塩酸を35ml、CaCl2を0.278g、Na2SO4を0.072g、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを6.058g溶解させ、36.5℃でpHが7.4となるように、1M塩酸で調製し、その後蒸留水を加えて溶液全体を1リットルとした。
上記の擬似体液中に、先に2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、2週間保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬一週間後にヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、二週間後にそのピーク強度が増大したことから、モデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(サイズ120×30×30mm)を用意した。
この表面にプラズマ照射装置(ヤマト科学製PB1000S)によって200W、4分プラズマ照射を行い、表面処理を行なった。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムをそれぞれ30g、8g、2g加え,更に酸化ホウ素30g加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解させた。この水溶液を40℃に保ちながら、モデルサンプルをこの水溶液に浸漬した。20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し、乾燥させた。
その後、別の容器に6フッ化チタンアンモニウム3.5g及び硝酸カルシウム0.5gを純水中に加え完全に溶解後、酸化ホウ素30gを添加しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解した水溶液中に、上記サンプルを再度浸漬した。6時間後これを取り出して洗浄後乾燥させ、モデルサンプル上に2層膜を形成した。同様にポリエチレン基板(10×10×1mm)をモデルと同一条件で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する接着強度は、12MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日間ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)製骨形状モデル(サイズ120×30×30mm)にアクリル系ハードコートを施したものを用意した。このサンプルの表面に親水性を持たせるために、8モル/リットルの濃度の水酸化ナトリウム水溶液を80℃に保ち、このサンプルを45分間浸漬した。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムをそれぞれ30g、8g、2g加え,更に酸化ホウ素30gを加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解させた。この水溶液を40℃に保ちながら、モデルサンプルをこの水溶液に浸漬した。20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し、乾燥させた。
その後、別の容器に6フッ化チタンアンモニウム3.5g及び硝酸カルシウム0.5gを純水中に加え完全に溶解後、酸化ホウ素30gを添加しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解した水溶液中に、上記サンプルを再度浸漬した。6時間後これを取り出して洗浄後、70℃で2時間乾燥させ、モデルサンプル上に2層膜を形成した。同様にPMMA基板(アクリル系ハードコート付基板)(10×10×1mm)をモデルと同じ条件下で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する接着強度は、5.5MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日間ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
基材としてポリエチレン製平板(100×100×1mm)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。2層膜形成後の基材を実施例1と同じ擬似体液中に浸漬したところ、1週間後にヒドロキシアパタイト類に帰属されるX線回折ピークが観察され、2週間後にそのピーク強度が増大したことから、基材表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
基材としてポリエチレン製織布(100×100×0.5mm)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。2層膜形成後の基材を実施例1と同じ擬似体液中に浸漬したところ、1週間後にヒドロキシアパタイト類に帰属されるX線回折ピークが観察され、2週間後にそのピーク強度が増大したことから、基材表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
基材としてウレタンフォーム(100×100×1mm)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。2層膜形成後の基材を実施例1と同じ擬似体液中に浸漬したところ、1週間後にヒドロキシアパタイト類に帰属されるX線回折ピークが観察され、2週間後にそのピーク強度が増大したことから、基材表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
基材としてチタン合金(Ti-6Al-4V)製平板(100×100×1mm)を用い、更にプラズマ照射を行わなかった以外は、実施例2と同様の操作を行った。2層膜形成後の基材を実施例1と同じ擬似体液中に浸漬したところ、1週間後にヒドロキシアパタイト類に帰属されるX線回折ピークが観察され、2週間後にそのピーク強度が増大したことから、基材表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
基材としてアルミナ製平板(100×100×1mm)を用い、実施例2と同様の操作を行った。2層膜形成後の基材を実施例1と同じ擬似体液中に浸漬したところ、1週間後にヒドロキシアパタイト類に帰属されるX線回折ピークが観察され、2週間後にそのピーク強度が増大したことから、基材表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(サイズ120×30×30mm)を用意した。
この表面にプラズマ照射装置(ヤマト科学製PB1000S)によって200Wで4分プラズマ照射を行い、表面処理を行なった。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウムをそれぞれ19.1g、5.6g加え、更に酸化ホウ素30g加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解させた。この水溶液を40℃に保ちながら、モデルサンプルをこの水溶液に浸漬した。20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し乾燥させた。その後、別の容器に6フッ化チタンアンモニウム3.5g及び硝酸カルシウム0.5gを純水中に加え完全に溶解後、酸化ホウ素30gを添加しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解した水溶液中に、上記サンプルを再度浸漬した。6時間後これを取り出して洗浄後乾燥させ、モデルサンプル上に2層膜を形成した。
一方ポリエチレン基板(10×10×1mm)を上記と全く同様に処理して、形成された膜の基板に対する接着強度を測定したところ8MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(120×30×30mm)を用意し、下地層形成用の処理液の調製組成を6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウムそれぞれ、17.4g、0.39gとした以外は実施例9と全く同一条件で処理し、2層膜を形成した。
同様にポリエチレン基板(10×10×1mm)を同じ条件下で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する接着強度は、7.5MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(120×30×30mm)を用意し、下地層形成用の処理液の調製組成を6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウムそれぞれ、14.4g、4.57gとした以外は実施例9と全く同一条件で処理し、2層膜を形成した。
同様にポリエチレン基板(10×10×1mm)を同じ条件で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する接着強度は、6MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に,2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類のX線回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(120×30×30mm)を用意し、下地層形成用の処理液の調整組成を6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウムそれぞれ、0.39g、11.7gとした以外は実施例9と全く同一条件で処理し、2層膜を形成した。
同様にポリエチレン基板(10×10×1mm)を同じ条件で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する接着強度は、5.5MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類のX線回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(120×30×30mm)を用意し、下地層形成用の処理液の調整組成を6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウムそれぞれ、2.5g、9.0gとした以外は実施例9と全く同一条件で処理し、2層膜を形成した。
同様に、ポリエチレン基板(10×10×1mm)を同じ条件で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって形成した2層膜の基板に対する接着強度は、6.8MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイトに帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(120×30×30mm)を用意し、下地層形成用の処理液の調製組成を、6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウムそれぞれ、5.8g、13.4g、7.8gとした以外は実施例9と全く同一条件で処理し、2層膜を形成した。
同様にポリエチレン基板(10×10×1mm)を同一条件で処理し、同じく2層膜を形成した。こうして形成した2層膜の基板に対する接着強度は、10MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(サイズ120×30×30mm)を用意した。この表面にプラズマ照射装置(ヤマト科学製PB1000S)によって200Wで4分間プラズマ照射を行い、表面を前処理した。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウム、7フッ化ニオブアンモニウム、6フッ化スズアンモニウムをそれぞれ、30g、8g、1g、0.7g、0.4g加え、更に酸化ホウ素30gを加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し完全に溶解させた。この水溶液を40℃に保ちながら、モデルサンプルをプラズマ照射後直ちにこの水溶液に浸漬した。
20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し、乾燥させた。その後、別の容器に6フッ化チタンアンモニウム3.5g及び硝酸カルシウム0.5gを純水中に加え完全に溶解後、酸化ホウ素30gを添加しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解した水溶液中に上記サンプルを再度浸漬した。6時間後これを取り出して洗浄後乾燥させ、モデルサンプル上に2層膜を形成した。
一方ポリエチレン基板(10×10×1mm)を上記と全く同様に処理して、形成された膜の基板に対する接着強度を測定したところ10MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し10日ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
ポリエチレン製骨形状モデル(サイズ120×30×30mm)を用意した。
この表面にプラズマ照射装置(ヤマト科学製PB1000S)によって200Wで4分間プラズマ照射を行い、表面処理を行なった。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムをそれぞれ30g、8g、2g加え、更に酸化ホウ素30gを加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解させた。この水溶液を40℃に保ちながら、モデルサンプルをこの水溶液に浸漬した。20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し、乾燥させた。
その後別の容器に6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウム、7フッ化タンタルアンモニウムをそれぞれ3.5g、0.5g、0.8g及び硝酸カルシウム0.5gを純水中に加え完全に溶解後、酸化ホウ素30gを添加しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解した水溶液中に、上記サンプルを再度浸漬した。6時間後これを取り出して洗浄後乾燥させ、モデルサンプル上に2層膜を形成した。同様にポリエチレン基板(10×10×1mm)をモデルと同一条件で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する接着強度は、7.5MPであった。
実施例1と同じ擬似体液中に、2層膜を形成したモデルサンプルを浸漬し、10日間ほど保持した。その後モデルを擬似体液中から取り出して表面に形成された薄膜のX線回折測定を実施した。浸漬後3〜4日でヒドロキシアパタイト類に帰属される回折ピークが観察され、1週間後にそのピーク強度が増大したことからモデル表面におけるヒドロキシアパタイト類の生成が確認された。
(被覆層の接着強度)
基材としてポリエチレン製平板(10.0mm×10.0mm×1.0mm)を用意した。この表面にプラズマ照射装置(ヤマト科学製PB1000S)によって200Wで4分間プラズマ照射を行い、表面処理を行なった。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムをそれぞれ30g、8g、2g加え、更に酸化ホウ素30g加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解させた。この水溶液を40℃に保ちながら、基材をこの水溶液に浸漬した。20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し、乾燥させた。
その後、別の容器に6フッ化チタンアンモニウム3.5g及び硝酸カルシウム0.5gを純水中に加え完全に溶解後、酸化ホウ素30gを添加しながら純水を加えて1リットルに調製し、完全に溶解した水溶液中に、上記基材を再度浸漬した。6時間後これを取り出して洗浄後乾燥させ、基材上に被覆層を形成した。
基材の表と裏に実施例1と同様にステンレス治具を接着剤を用いて接着し、上下に引っ張り力を印加したときの破断応力を測定した。このときの破断応力は、5サンプルの平均で13.09MPであった。破断面を観察すると、下地層と基材の間で破断した部分と、下地層と被覆層の間で破断した部分が混在していた。
実施例17と同様にポリエチレン製平板基材に被覆層を形成した後、実施例1と同じ擬似体液中に多層膜を形成した基材を浸漬し、14日間保持した。その後基材を擬似体液中から取り出し、純水によって洗浄し、乾燥させた。
実施例1と同様の方法で、破断応力を測定した。破断応力は、10サンプルの平均で6.70MP、最大で10.41MPであった。破断面を観察すると、アパタイト内で破断していた。
基材としてポリメチルメタクリレート製平板(アクリル系ハードコート付)を用いたほかは実施例18と同様にして、破断応力を測定した。破断応力は、4サンプルの平均で5.60MP、最大で5.89MPであった。破断面を観察すると、アパタイト内で破断していた。
(比較例1)
ポリエチレン製骨状モデル(120×30×30mm)を用意し、下地層形成用の処理液の調製組成を、6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウムそれぞれ、4.8g、9.0g、6.5gとした以外は、実施例9と全く同一の条件で処理し、2層膜を形成した。しかし形成した下地層は、従来のように透明ではなく白濁半透明状態であった。
同様にポリエチレン基板(10×10×1mm)を同一条件で処理し、同じく2層膜を形成した。これによって測定した形成膜の基板に対する付着強度は、4.0MP弱で、必要とされる5.0MPを下回った。この結果、この2層膜は、生体材料としての要件を欠くものであった。
(試験例1)
(下地層の接着強度)
基材としてポリメチルメタクリレート製平板(アクリル系ハードコート付)(10.0mm×10.0mm×1.0mm)を用意した。この基材の表面をプラズマ照射装置(ヤマト科学製PB1000S)によって、200Wで4分間プラズマ照射を行い、表面処理を行った。
その後純水中に6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムをそれぞれ30g、8g、2g加え、更に酸化ホウ素30gを加えた水溶液を攪拌しながら純水を加えて1リットルに調製し完全に溶解させた。この水溶液の温度を40℃に保ちながら、基材をプラズマ照射後ただちにこの水溶液に浸漬した。
20時間浸漬後サンプルを処理液から取り出し純水によって洗浄し、乾燥させた。
下地層を形成した基材の表と裏にステンレス治具(接着面の大きさ:10.0mm×10.0mm)を接着剤を用いて接着し、上下に引っ張り力を印加したときの破断応力を測定した。破断応力は、4サンプルの平均で10.64MP、最大で11.41MPであった。
このような本発明に係る複合材料は、下記のような広範な応用が可能である。
1.人工骨、人工歯根、医療用ならびに歯科用インプラント材、人工血管、人工臓器、骨接合材
2.医療器具、経皮端子等の生体用端子
3.ハイブリッド生体材料
4.バイオセンサー、チップデバイス(プロティンチップ、DHAチップ)、
化学反応マイクロチップ、化学実験プラント、ドラッグデリバリー、マイクロマシーン、ナノマシーン
5.細胞(特にSE細胞)培養の型、スキャホールド(アパタイトだけで作るよりも丈夫)
6.微細マシーン
7.マイクロアレイとマイクロTAS
本発明の多層膜の表面構造の模式図である。 特定の試薬調合比で析出させたときの析出温度と膜厚及び表面構造の関係を模式的に示す模式図である。 原料として6フッ化珪素アンモニウム、6フッ化チタンアンモニウム及び6フッ化ジルコニウムアンモニウムを用いたとき、特に生体活性強度が強く発現し、機械的化学的耐性が良好な複合成分比を現出させる試薬調合比率を示す図である。 図3に対応する析出酸化物複合膜の組成比領域を示す図である。

Claims (24)

  1. 複数の金属酸化物から構成された金属酸化物下地層と、該下地層を被覆する少なくとも1種類の金属酸化物から構成された被覆層とからなることを特徴とする多層膜。
  2. 下地層を構成する金属酸化物が、周期表の4族金属、5族金属、13族金属及び14族金属からなる群から選択された少なくとも2種の金属の酸化物である請求項1記載の多層膜。
  3. 下地層を構成する主要成分が酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから選ばれた2種又は3種である請求項2記載の多層膜。
  4. 下地層の構成主要成分が、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0のモル比範囲内で存在する請求項3記載の多層膜。
  5. 下地層の構成主要成分が、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0のモル比範囲内で存在し、かつ酸化ジルコニウムの代わりに、或いは酸化ジルコニウムとともに、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含む請求項3記載の多層膜。
  6. 被覆層の構成主要成分が酸化チタンであり、酸化チタンの一部の代わりに酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含んでいてもよい請求項1記載の多層膜。
  7. 下地層が周期表の4族金属、5族金属、13族金属及び14族金属からなる群から選択された少なくとも2種の金属の酸化物から構成され、被覆層の構成主要成分が酸化チタン化であり、酸化チタンの一部の代わりに酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含んでいてもよい請求項1記載の多層膜。
  8. 下地層を構成する主要成分が酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから選ばれた2種又は3種であり、被覆層の構成主要成分が酸化チタンであり、酸化チタンの一部の代わりに酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含んでいてもよい請求項1記載の多層膜。
  9. 下地層の構成主要成分が、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0のモル比範囲内で存在し、被覆層の構成主要成分が酸化チタンであり、酸化チタンの一部の代わりに酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含んでいてもよい請求項1記載の多層膜。
  10. 下地層の構成主要成分が、SiO2 0〜1.0:TiO2 0〜0.6:ZrO2 0〜1.0のモル比範囲内で存在し、かつ酸化ジルコニウムの代わりに、或いは酸化ジルコニウムとともに、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含み、被覆層の構成主要成分が酸化チタンであり、酸化チタンの一部の代わりに酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ゲルマニウム及びアルミナから選ばれる少なくとも1種類を含んでいてもよい請求項1記載の多層膜。
  11. 被覆層の表面で金属酸化物が水又は水溶液中で水酸基を形成する請求項1記載の多層膜。
  12. 被覆層の表面が、平均径1〜300nmの大きさの金属酸化物粒子の集合体から構成される多孔組織からなる請求項1記載の多層膜。
  13. 基材上に請求項1〜12のいずれか1項記載の多層膜を有することを特徴とする複合材料。
  14. 基材が高分子化合物からなる請求項13記載の複合材料。
  15. 多層膜上にリン酸カルシウム系化合物層を有する請求項13記載の複合材料。
  16. 請求項13〜15のいずれか1項記載の複合材料からなるインプラント。
  17. 基材表面に構成主要成分として複数の金属酸化物から構成された金属酸化物下地層と、該下地層を被覆する構成主要成分が少なくとも1種類の金属酸化物から構成された被覆層とからなる多層膜を形成することを特徴とする複合材料の製造方法。
  18. 下記の一般式
    xMeFy
    [式中、AはNH4、Na、K又はHを表わし、Meは周期表の4族金属、5族金属、13族金属及び14族金属からなる群から選択した金属の酸化物を表わし、x及びyは化合物の電気的中性を満たす数である]で示されるフルオロ金属錯化合物の少なくとも2種類と、フッ素捕捉剤とを含む下地層形成水溶液中に基材を浸漬することによって基材表面に下地層を形成し、6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤とを含む被覆層形成水溶液又は6フッ化チタンアンモニウムとフッ素捕捉剤とともに、6フッ化ケイ素アンモニウム、6フッ化ジルコニウムアンモニウム、7フッ化ニオブアンモニウム、6フッ化スズアンモニウム、7フッ化タンタルアンモニウム、6フッ化ガリウムアンモニウム、6フッ化ハフニウムアンモニウム、6フッ化ゲルマニウムアンモニウム及び6フッ化アルミニウムアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類のフルオロ金属錯化合物を含む被覆層形成水溶液中に浸漬することによって被覆層を形成する請求項17記載の複合材料の製造方法。
  19. フッ素捕捉剤がホウ素化合物である請求項18記載の複合材料の製造方法。
  20. 基材を紫外線照射、プラズマ照射又は酸若しくは塩基中への浸漬により表面処理した後、下地層形成水溶液中に浸漬する請求項17記載の複合材料の製造方法。
  21. 被覆層形成水溶液に水溶性カルシウム塩を10-5〜1モル/リットルの量で添加する請求項17記載の複合材料の製造方法。
  22. 使用するフルオロ金属錯化合物を、対応する金属酸化物にフッ化水素酸水溶液を作用させ、さらにアンモニア水によって中和することによって調製する請求項18記載の複合材料の製造方法。
  23. 下地層の形成後及び被覆層の形成後に、40〜150℃で1〜20時間加熱処理する請求項18記載の複合材料の製造方法。
  24. 下地層及び/又は被覆層の形成を、ゾル・ゲル法、溶射法、電極法、真空蒸着法或いはスパッタリング法を用いて行う請求項17記載の複合材料の製造方法。

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