JP2005297388A - 液体噴射装置およびそれに用いる液体カートリッジ - Google Patents

液体噴射装置およびそれに用いる液体カートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】廃液貯留部に圧力が蓄積されないようにするとともに、適正な廃液貯留を行うことのできる液体噴射装置とそれに用いる液体カートリッジを提供する。
【解決手段】液体カートリッジ14内に、液体容器34と廃液貯留部35とが配置され、液体カートリッジ14には、廃液の流入部29と流出部30が設けられ、液体カートリッジ14が複数配置され、各廃液貯留部35は、上流側の廃液貯留部35の流出部30が下流側の廃液貯留部35の流入部29に接続されて直列状に連通され、上記廃液貯留部35には、上記流入部29から流出部30に向けて空気を通過させる空気流路26が設けられ、上記複数の廃液貯留部35のうち最下流に位置する廃液貯留部35の流出部30が大気に開放されている。このため、空気流路26が大気開放となっているので、廃液貯留部35の内圧が異常に高くならず、廃液の逆流が防止できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、液体容器と廃液貯留部とが1つのカートリッジ内に配置された液体カートリッジと、そのような液体カートリッジが含まれている液体噴射装置に関するものである。
液体をターゲットに噴射させる液体噴射装置の一つとして、インクジェット式プリンタが広く用いられている。このインクジェット式プリンタは、キャリッジと、同キャリッジに搭載された記録ヘッドとを備える。そして、同キャリッジを記録媒体に対して移動させながら、記録ヘッドに形成されたノズルからインク滴を吐出し、印刷用紙に対して印刷を行うようになっている。また、このようなインクジェット式プリンタにおいては、インクを貯留するための液体収容体としてのインクカートリッジが交換可能に設けられており、記録ヘッドから吐出されるインク滴は、同インクカートリッジから供給されるようになっている。
ところで、上記のようなインクジェット式プリンタにおいて、大型の印刷用紙に印刷を行ったり、インクジェット式プリンタを小型化、薄型化して装置のレイアウトに自由度をもたせたりすることが行われるようになってきている。このような場合には、インク消費量が多くなるため、大容量のインクを貯留できるインクカートリッジを、インクジェット式プリンタのカートリッジ装着部に支持する、いわゆるオフキャリッジ方式が一般に採用されている。
そして、上記のようなオフキャリッジ方式においては、インク導出部材が設けられたインクパックを、ケース本体部と蓋ケースからなる液体カートリッジ内に格納してインクカートリッジを形成している。上記のように収容されたインクパックは、そのインク導出部材が液体カートリッジの前面に形成された支持部によって支持されている。上記支持部の中央部には受入開口が設けられ、記録装置側のカートリッジ装着部に配置された針状のインク導入部材(インク供給針)が相対的に上記受入開口を経てインク導出部材に突き刺さるようになっている。
さらに、上記インクカートリッジ内には、インクパックとともに、クリーニング動作で回収された廃インクを貯留する廃インク貯留部(廃液貯留部)が配置されている。上記記録ヘッドには吸引キャップが吸着できるようになっていて、記録ヘッドのノズル開口の乾燥を防止し、さらに、吸引ポンプにより上記ノズル開口に負圧を作用させてクリーニング動作を行い、粘性が高くなったインクや気泡等を強制的に吸引して廃インクとして貯留するように構成されている。上記のようにして吸引された廃インクが上記廃インク貯留部に貯留されるようになっている。このように、インクカートリッジに廃インクの貯留機能を持たせることにより、インクジェット式プリンタの本体の一部に設けた廃インク貯留部の容量を小さくしたり、あるいはこのような廃インク貯留部をなくしたりして、インクジェット式プリンタをコンパクトに構成することが行われている。
特開平2−29345号公報
上記のインクカートリッジに廃インク貯留部を装備した形式のものにおけるクリーニング動作は、吸引キャップが記録ヘッドのノズル形成面に吸着した状態でインクを吸引しているときには、廃インクがインクカートリッジ内の廃インク貯留部に送り込まれて貯留される。この吸引動作が完了すると、吸引キャップをノズル形成面から離して、空気だけを吸入する。このような空気吸引は、吸引キャップから廃インク貯留部までの廃液流路中に残留している廃インクを完全に廃インク貯留部内に流入させるために行われている。
ところが、廃インク貯留部に廃インクが充満状態になると、上記のようにして送り込んだ空気だけでは廃インクを押出し切れずに空気が廃インク中に滞留する。このような状態で吸引ポンプの吸引動作を停止すると、廃インク中の空気の圧力により、上記廃液流路内の圧力が高くなり、それによってノズル開口のメニスカスが異常な形態となり、正常なインク滴の吐出に支障を来すおそれがある。また、吸引キャップをノズル形成面から離したときに、逆流してきた廃インクが吸引キャップ内に溜まり、つぎのノズル形成面に対するキャッピングの際にインク気泡等がノズル開口に接触して、正常な開口状態に支障を来すおそれがある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、廃液貯留部に圧力が蓄積されないようにするとともに、適正な廃液貯留を行うことのできる液体噴射装置とそれに用いる液体カートリッジの提供を目的とする。
上記目的達成するため、本発明の液体噴射装置は、装置本体のカートリッジ装着部に取り付けられる液体カートリッジ内に、被噴射物に液体を噴射する液体噴射ヘッドに供給される液体を貯留する液体容器と、上記液体噴射ヘッドから吸引ポンプによって吸引された廃液を貯留する廃液貯留部とが配置され、上記液体カートリッジには、廃液貯留部に連通して廃液を流入させる流入部と廃液貯留部から廃液を流出させる流出部が設けられ、上記液体噴射ヘッドから複数種類の液体を噴射可能とするよう、上記液体カートリッジが複数配置されるとともに、上記各液体カートリッジの廃液貯留部は、上流側の廃液貯留部の流出部が下流側の廃液貯留部の流入部に接続されて直列状に連通され、上記廃液貯留部には、吸引ポンプが空気を吸引したときに、上記流入部から流出部に向けて空気を通過させる空気流路が設けられ、上記複数の廃液貯留部のうち最下流に位置する廃液貯留部の流出部が大気に開放されていることを要旨とする。
上記のように、複数の液体カートリッジの廃液貯留部は、上流側の廃液貯留部の流出部が下流側の廃液貯留部の流入部に接続されて直列状に連通され、上記廃液貯留部には、吸引ポンプが空気を吸引したときに、上記流入部から流出部に向けて空気を通過させる空気流路が設けられ、上記複数の廃液貯留部のうち最下流に位置する廃液貯留部の流出部が大気に開放されている。このように、上流側の廃液貯留部の流入部から最下流側の廃液貯留部の流出部に至る全流路が空気を通過させる、いわゆる通気性の良好な状態で大気に連通しているため、廃液貯留部が廃液で満たされるような状態になっても、空気が廃液中に滞留することがなく、廃液貯留部の内圧が異常に高くなることがない。したがって、吸引ポンプの動作を停止したときに、廃液貯留部内の廃液が液体噴射ヘッドの方へ逆流することがない。
また、最上流側の廃液貯留部が廃液で満たされたら、さらに吸引されてくる廃液は最上流側の廃液貯留部の空気流路を通過して、1つ下流側の廃液貯留部に流入しそこで貯留される。したがって、最上流側が廃液で充満状態になったら、余剰の廃液は下流側の廃液貯留部に貯留され、このような廃液の下流側への送り込みが順次下流側へ展開されることによって、各廃液貯留部には内圧上昇のない適正な廃液貯留がなされる。
上記のように、複数の液体カートリッジにそれぞれ配置された廃液貯留部に、廃液が分散された状態で貯留されるので、装置本体の一部に配置した廃液貯留部を小容量化したりなくしたりすることができ、装置本体のコンパクト化にとって有効である。
本発明の液体噴射装置において、上記液体カートリッジは、直列状に連通された廃液貯留部のうち、使用量が最も多い液体の液体容器が収容された液体カートリッジの廃液貯留部が最も上流側になるよう配置されている場合には、最も上流側にある液体容器の液体が早期の内になくなるので、この液体カートリッジを交換するのと同時に、廃液貯留のなされていない廃液貯留部におき換えられる。このように、最も上流側の廃液貯留部が早期の内にリフレッシュされるので、下流側の廃液貯留部の容量を少なくして液体カートリッジのコンパクト化を図ることができる。
本発明の液体噴射装置において、上記複数の液体カートリッジは、使用量の多い液体の液体容器が収容された液体カートリッジに設けられた廃液貯留部が上流側で、使用量の少ない液体の液体容器が収容された液体カートリッジに設けられた廃液貯留部が下流側となる順で配列されている場合には、上流側の液体容器の液体が下流側の液体容器の液体よりも早期の内になくなるので、廃液が多く貯留されている廃液貯留部を備えた液体カートリッジが先行的に交換されてゆく。このように、上流側の廃液貯留部が早期の内にリフレッシュされるので、下流側の廃液貯留部の容量を少なくして液体カートリッジのコンパクト化を図ることができる。
上記目的を達成するため、本発明の液体カートリッジは、装置本体のカートリッジ装着部に取り付けられる液体カートリッジ内に、被噴射物に液体を噴射する液体噴射ヘッドに供給される液体を貯留する液体容器と、上記液体噴射ヘッドから吸引ポンプによって吸引された廃液を貯留する廃液貯留部とが配置され、上記廃液貯留部に連通して廃液を流入させる流入部と廃液貯留部から廃液を流出させる流出部が設けられ、上記廃液貯留部には、吸引ポンプが空気を吸引したときに、上記流入部から流出部に向けて空気を通過させる空気流路が設けられていることを要旨とする。
上記のように、上記廃液貯留部に連通して廃液を流入させる流入部と廃液貯留部から廃液を流出させる流出部が設けられ、上記廃液貯留部には、吸引ポンプが空気を吸引したときに、上記流入部から流出部に向けて空気を通過させる空気流路が設けられている。このように、廃液貯留部の上流側の流入部から下流側の流出部に至る空気流路が空気を通過させる、いわゆる通気性の良好な状態とされているため、廃液貯留部が廃液で満たされるような状態になっても、空気が廃液中に滞留することがなく、廃液貯留部の内圧が異常に高くなることがない。したがって、吸引ポンプの動作を停止したときに、廃液貯留部内の廃液が液体噴射ヘッドの方へ逆流することがない。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記空気流路が、廃液貯留部の中央部よりも流入部から離隔した部分を経由して流出部に連通している場合には、空気流路に流入してきた廃液が、流入部から遠く離れた廃液貯留部の部分から貯留され始めるので、いわゆる廃液貯留部の奥の方から順次流入部や流出部の方に向って廃液の貯留が進行する。したがって、廃液貯留部の全域にわたって余すところなく十分に廃液貯留がなされる。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記空気流路が、廃液貯留部の略中央部を経由して流出部に連通している場合には、廃液中の空気は廃液貯留部の略中央部に滞留しやすいのであるが、空気流路が廃液貯留部の略中央部を通過していることにより、空気の滞留を実質的に問題にならないレベルに減少させることができる。とくに、廃液貯留部を構成する一面が可撓性のある合成樹脂製フィルム材で封止されているような場合には、廃液貯留部の略中央部に空気が停滞しやすくなるのであるが、上記のような空気流路の配置によってこのような問題が解消される。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記空気流路が、上記廃液貯留部の構成部材を複数個組み合わせて形成されている場合には、上記構成部材の形状を適宜選定して組み合わせることにより、所要の形状の空気流路を簡単に形成することができる。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記空気流路が、上記廃液貯留部の構成部材に凹溝を設けることにより形成されている場合には、凹溝の横側面はもとより底面部分においても廃液の貯留がなされるので、貯留効率を高めるのに有効である。また、凹溝は型成形で求めることができるので、廃液貯留部の製作が簡素化される。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記廃液貯留部は、液体を吸収する吸収材を含んで構成され、上記吸収材は合成樹脂製のフィルム材により密閉した状態で覆われている場合には、廃液が上記空気流路を通過する途上において、確実に吸収材に吸収され、貯留性の良好な廃液貯留部が形成できる。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記流入部と流出部に、液体カートリッジをカートリッジ装着部から外したときに廃液貯留部内の液体が外部へ流出することを阻止する弁が設けられている場合には、液体カートリッジをカートリッジ装着部から外したとき、廃液貯留部に廃液が充満していても、上記弁によって廃液が流入部や流出部から外部に漏洩することがなく、カートリッジ装着部や液体カートリッジの表面部分が液体で汚れるようなことが防止できる。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記弁は、液体の流入または流出を行うための中空針の挿入を受け入れる弾性シール材と、上記中空針が弾性シール材から抜かれたときに上記弾性シール材の開口を封止する弁体とを備えている場合には、液体カートリッジをカートリッジ装着部に取り付けたときに、中空針の外周面が上記弾性シールで確実にシールされるので、液体漏れが発生しない。また、中空針を弾性シールから抜き取る過渡期に液体漏れが発生しやすいのであるが、弾性シール材の開口が弁体によって封止されるので、このような液体漏れが発生しない。さらに、中空針が弾性シール材の開口から抜き取られるときに、中空針の外周面が拭われるので、中空針の外周面が液体で濡れ、それが乾燥して表面の平滑性がそこなわれることがなく、次回、中空針を弾性シール材に差し込むときには、円滑に差し込むことができる。
本発明の液体カートリッジにおいて、上記流入部と流出部および上記液体容器の液体導出部材の支持部が液体カートリッジの前面に配置されている場合には、カートリッジ装着部と液体カートリッジ間における液体容器からの液体や吸引された廃液等の流通が、液体カートリッジの前面においてなされる。したがって、各液体の流通路の配置が簡素化される。さらに、液体カートリッジを差し込み式等で装着するのと同時に、流入部,流出部および液体導出部材のカートリッジ装着部に対する接続が、1回の装着動作で成立し、液体カートリッジの取扱いが簡素化される。
つぎに、本発明の液体噴射装置およびそれに用いる液体カートリッジを実施するための最良の形態を説明する。
図1〜図7は本発明の液体噴射装置およびそれに用いる液体カートリッジの一実施例である。
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、プリンタという)の全体的な形状を示す簡略的な斜視図である。なお、本実施例のプリンタは、キャリッジ上に液体収容体としてのインクカートリッジを搭載しないオフキャリッジタイプのプリンタである。
図1に示すように、プリンタ11は、フレーム12を備え、フレーム12の下部には、カートリッジ装着部13が形成されている。このカートリッジ装着部13は、プリンタ11の正面に開口した状態で配置され、液体容器としてのインクカートリッジ14が着脱可能に装着されている。なお、このインクカートリッジ14は、液体としてのインクを貯留するとともに、廃液としての廃インクを貯留することが可能となっている。その詳細については後述する。
上記プリンタ11は、ガイド部材15(図4(A)参照)を備え、同ガイド部材15は、上記フレーム12に架設されている。そして、このガイド部材15には、キャリッジ16がガイド部材15の軸線方向に移動可能に挿通支持されている。キャリッジ16は、タイミングベルト(図示しない)を介してキャリッジモータ(図示しない)に接続されており、キャリッジモータの駆動によって、ガイド部材15に沿って主走査方向である矢印Y方向(図1参照)に往復移動するようになっている。
上記キャリッジ16の下面には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド17が設けられている。この記録ヘッド17の下面がノズル開口が形成された平坦なノズル形成面17aとされている。また、キャリッジ16には、サブタンク18が搭載されている。このサブタンク18は、ポリエチレン等の可撓性部材により形成されているインク供給チューブ19の一端が接続されている。インク供給チューブ19の他端は、上記インクカートリッジ14に接続されている。したがって、サブタンク18は、インクカートリッジ14から、インク供給チューブ19を介してインクの供給を受ける。なお、インク供給チューブ19は、耐薬品性に優れたポリエチレン系樹脂等の可撓性部材による内装に、気密遮断性に優れたポリ塩化ビニリデンやEVOHや金属膜等を外装として覆った複層構造にするのが望ましい。
また、サブタンク18は、上記記録ヘッド17と接続されており、インクカートリッジ14から供給されたインクを記録ヘッド17へ供給する。記録ヘッド17は、その下面に図示しないノズル開口を備えており、図示しない圧電素子の駆動により、サブタンク18から供給されたインクをインク滴としてノズル開口から吐出すようになっている。そして、ノズル開口からインク滴を吐出すると同時に、キャリッジ16をターゲットとしての印刷用紙Pに対して往復移動させることで、印刷用紙P上に印刷を行うことが可能となっている。
なお、キャリッジ16がガイド部材15に沿って往復移動すると、それに合わせて、インク供給チューブ19が撓み、インク供給チューブ19内のインクに圧力変動が生じるが、この圧力変動は、上記サブタンク18によって吸収されるようになっている。すなわち、サブタンク18は、圧力ダンパユニットとして機能している。したがって、記録ヘッド17から吐出されるインクは、圧力変動が抑制された状態となっている。
一方、図4(A)に示すように、上記キャリッジ16の移動経路上における非印刷領域(ホームポジョン)には、記録ヘッド17のノズル開口を封止することができるヘッドメンテナンス機構21が配置されている。そして、ヘッドメンテナンス機構21は、有底状のゴム等の弾性素材により形成されたキャップ部材22を備え、キャップ部材22は、その上部開口が記録ヘッド17のノズル形成面17aを覆ってノズル開口を封止し得るようになっている。そして、キャリッジ16がホームポジョンに移動したときに、ヘッドメンテナンス機構21が記録ヘッド17側に移動(上昇)して、キャップ部材22によって記録ヘッド17のノズル開口を封止することができるように構成されている。
このキャップ部材22は、プリンタ11の休止期間中において記録ヘッド17のノズル開口を覆い、ノズル開口の乾燥を防止するキャップとして機能する。また、ヘッドメンテナンス機構21は、廃インクチューブ23を備え、同廃インクチューブ23は、その一端が上記キャップ部材22の底部に接続されているとともに、他端が上記インクカートリッジ14に接続されている。さらに、ヘッドメンテナンス機構21は、上記廃インクチューブ23の途中に吸引ポンプ24を備え、吸引ポンプ24を駆動させることにより、吸引ポンプ24より上流側に位置するキャップ部材22の内部を減圧させるようになっている。そして、キャップ部材22が記録ヘッド17のノズル開口を覆った状態で、キャップ部材22の内部を減圧させることにより、記録ヘッド17のノズル開口からインクを吸引するクリーニング動作を実行することが可能となっている。
そして、記録ヘッド17のノズル開口から吸引されるインクは、廃インクチューブ23を介して上記インクカートリッジ14に排出されるようになっている。
つぎに、上記カートリッジ装着部13に装着されるインクカートリッジ14について説明する。図2に示すように、インクカートリッジ14は偏平な略直方体の形状を有している。上記インクカートリッジ14は、ケース本体部32に蓋ケース33を合致させて構成されている。このインクカートリッジ14内にインクが貯留されているインクパック34が収容されている。上記インクパック34は、ケース本体部32に収容されており、そのために上記ケース本体部32には、必要な深さが与えられている。そして、蓋ケース33側に廃液貯留部である廃インク貯留部35が設けられている。また、ケース本体部32および蓋ケース33は、合成樹脂材料、例えば、ポリプロピレンを用いてインジェクション成形でつくれらている。
上記インクパック34は、図1,図3,図4(C)等に示すように、袋部41とインク導出部材42とを備える。袋部41は可撓性の素材から形成されており、ガスバリヤー性の向上のために、例えば外側をナイロンフィルム材、内側をポリエチレンフィルム材により挟み込んだ構成のアルミニウムラミネートフィルム材から形成されている。そして、袋部41は、これら2枚の略長方形形状のアルミニウムラミネートフィルム材を重ね合わせて、それらの周囲を熱溶着等の方法によって接合することにより形成され、内部にインクを貯留している。
上記インク導出部材42は、例えばプラスチックにより形成される略円筒形状をなし、その内部はインク供給口42aを形成している。そして、このインク供給口42aを介してインクパック34内に収容されたインクが取り出される。また、インク供給口42aには、インク供給時にのみ開弁される図示しない弁機構が設けられており、袋部41内のインクが漏れ出ないようになっている。
図2に示すように、インクカートリッジ14は、上述のように、上部に開口を有した略箱形状のケース本体部32と、このケース本体部32の開口を覆う略板形状の蓋ケース33とから構成されている。上記インクカートリッジ14の前面(ケース本体部32の前面)32aの中央部には、収容されるインクパック34の支持部43が設けられている。上記支持部43にインク導出部材42を合致させることにより、インク導出部材42とケース本体部32との相対位置が設定されるようになっている。
図2(B)および図3に示すように、蓋ケース33は、図2,図3および図5(B)に示すように、略長方形の板状部33aと、同板状部33aの周縁よりも内側の位置において板状部33aから枠状に直角に起立している内枠部45とを備えている。上記のように、蓋ケース33側に、板状部33aと内枠部45によって構成された下向きに開放した箱状の空間が構成されている。この空間は、深さが浅く形成されており、ここに廃インク貯留部35が配置されている。
上記廃インク貯留部35は、キャップ部材22から吸引されてきた廃インクを貯留する機能を果たす。このような廃インクを貯留する手段としては、流路面積が小さくて迷路のような流路構造において毛細管現象で廃インクを保持するもの、あるいは、不織布,紙,発泡材等の吸収材料で廃インクを保持するもの等が採用できる。この実施例では、吸収材料を用いた形式である。
上記吸収材料は、連続気泡とされたスポンジ材25である。このスポンジ材25は図3および図5(B)等に示すように、薄い板状の形状とされている。上記スポンジ材25には、廃インクの吸収を行うとともに空気が通過できる空気流路26が設けられている。上記空気流路26には、流入部29と流出部30が設けられ、空気が流入部29から空気流路26内に流入し、流出部30から出て行くようになっている。
図5に示された空気流路26は、2つのスポンジ材25aと25bを組み合わせて構成されている。一方のスポンジ材25aは略コ字型をした形状であり、他方のスポンジ材25bは長方形である。上記スポンジ材25aの内側の空間は長方形であり、上記スポンジ材25bの縦,横の寸法は、スポンジ材25aの空間の縦,横の寸法よりも小さく設定されている。上記の縦,横の寸法の差によって空気流路26の通路幅Wが定められる。両スポンジ材25a,25bの相対位置を正確に定めて、空気流路26の通路形状を維持する必要がある。そのために、上記板状部33aの内面に対をなしたリブ27a,27bが複数箇所に設けられている。上記リブ27a,27bは、図5(A)および(C)に示すように、平行に配置され、リブ27aと27bの間隔は、通路幅Wを所定の値に設定できるようになっている。
この例での空気流路26は、2つのスポンジ材25aと25bを組み合わせて構成したものなので、空気流路26は、通路の空間がスポンジ材25の厚さ方向に貫通したスリット状の空間とされている。また、上記のようにスポンジ材を2つ組み合わせるのではなく、3つまたは4つのスポンジ材を組み合わせることによって、種々な形状の空気流路26を構成することができる。
また、図5(B)に示すように、内枠部45の高さとスポンジ材25の厚さTは略同じ寸法とされ、内枠部45の端面に合成樹脂製のフィルム材28が熱溶着で接合されている。フィルム材28は、長方形状を有しており、例えば、内枠部と熱溶着により接合可能なポリオレフィン、PET等から形成されている。そして、フィルム材28は、上記のようにその周縁部分が上記内枠部45に熱溶着されることにより内枠部45の内側を封止するようになっている。したがって、上記廃インク貯留部35は、スポンジ材25を収容した状態でフィルム材28によってその開口が封止されている。
図5に示されている空気流路26の形状は、空気流路26が上記のようにコ字型のスポンジ材25aの内側に長方形のスポンジ材25bを組み合わせて形成されているので、コ字型の流路形状となっている。図5に示した例では、廃インク貯留部35の中央部よりも流入部29から離隔したスポンジ材25の部分を経由して流出部30に至る流路形状とされている。すなわち、インクカートリッジ14がカートリッジ装着部13に向けて差し込まれたり抜き取られたりする方向に延びている流入路26aと流出路26bが平行に配置され、上記流入路26aと流出路26bに直交した状態で流入路26aと流出路26bを接続する接続路26cによって、空気流路26が形成されている。上記のように、接続路26cが流入部29や流出部30から最も遠い箇所に配置されていることにより、後述のように、スポンジ材25の奥の方から廃インクの吸収が進行する。
上記の空気流路26は、略コ字型の直線的な形状であるが、この直線部分にある程度の蛇行形状を付与して、廃インクが空気流路26の内壁に接触しやすくすることもできる。
上記空気流路26内に廃インクが送り込まれてくると、廃インクは空気流路26の内壁に接触しながら流下して行き、このような流動の途上でスポンジ材25に吸収されて行く。また、廃インクと空気とが混合した状態で空気流路26内に送り込まれると、空気は空気流路26を通過して行き、廃インクは流動しながらスポンジ材25に吸収される。このように空気が流動するときには、廃インクの流動が空気の流動で乱されるので、空気流路26の内壁に廃インクが接触しやすくなり、廃インクの吸収が促進される。
図6は、上記カートリッジ装着部13に配置されている接続部31と、インクカートリッジ14との対応関係を示す斜視図である。上記接続部31は、図1に示したカートリッジ装着部13の奥に配置されている。接続部31には、廃インク貯留部35の流入部29に接続される中空針36と、流出部30に接続される中空針37とが取り付けられている。上記中空針36には廃インクチューブ23が接続され、もう1つの中空針37には下流側に向う後述の接続流路38が接続されている。また、袋部41のインク供給口42a内に差し込まれるインク供給針44が接続部31に取り付けられている。このインク供給針44は、上記インク供給チューブ19に接続されている。
そして、図2(A)に示すように、上記流入部29,流出部30および支持部43は、いずれもインクカートリッジ14の前面32aに配置されている。
図6において、インクカートリッジ14を矢印46の方へ押込むと、インクカートリッジ14の前面に配置された流入部29,流出部30および支持部43の各々に対して、中空針36,37およびインク供給針44が同時に突き刺さり、廃インクチューブ23と空気流路26の流入路26aとが連通する。同様にして接続流路38と流出路26bとが連通し、また、インクパック34とインク供給チューブ19とが連通する。
つぎに、インクカートリッジ14が複数配置されたインク噴射装置について説明する。
この例では、インクカートリッジ14は3つ接続されている。図4(A)は、複数のインクカートリッジ14が配置され、各インクカートリッジ14の廃インク貯留部35が直列状に連通されている。すなわち、吸引ポンプ24に最も近い最上流に配置されている廃インク貯留部35の流出部30が、1つ下流側の廃インク貯留部35の流入部29に接続されている。すなわち、図4(A)に示された中央のインクカートリッジ14の廃インク貯留部35の流入部29に、左側に図示された最上流のインクカートリッジ14の流出部30が、上記接続流路38を介して接続されている。同様にして、中央のインクカートリッジ14の流出部30が、右側に図示された最下流のインクカートリッジ14の流入部29に、接続流路38を介して連通状態とされている。そして、最下流のインクカートリッジ14の流出部30は大気に開放されている。
上記3つのインクカートリッジ14は、直列状に連通された各廃インク貯留部35のうち、使用量が最も多いインクパック34が収容されたインクカートリッジ14の廃インク貯留部35が最も上流側になるよう配置されている。また、上記3つのインクカートリッジ14は、使用量の多いインクのインクパック34が収容されたインクカートリッジ14に設けられた廃インク貯留部35が上流側で、使用量の少ないインクのインクパック34が収容されたインクカートリッジ14に設けられた廃インク貯留部35が下流側となる順で配列されている。
したがって、例えば、通常のユーザであれば、テキスト印刷のためのブラックインクが貯留されているブラックインクパック34bのインク使用量が最も多く、このブラック用インクパック34bが格納されたインクカートリッジ14が吸引ポンプ24に最も近い最上流に配置されている。このブラック用のインクカートリッジ14の隣には、ブラックインクのつぎにインク使用量の多いインクパック、例えば、ライトシアン用インクパック34c格納されたインクカートリッジ14が配置されている。さらに、このライトシアン用のインクカートリッジ14の隣には、ライトシアンインクのつぎにインク使用量の多いインクパック、例えば、ライトマゼンタ用インクパック34mが格納されたインクカートリッジ14が配置されている。
図7は、上記流入部29および流出部30に配置されている弁の構造を示す断面図である。流入部29および流出部30の各弁は同じ構造なので、ここでは流入部29側について説明する。
流入部29に配置されている弁47は、弁47の外殻部材をなす円筒部48が蓋ケース33の端部に一体に成形され、この円筒部48内に、上記中空針36が差し込まれる環状の弾性シール材49と、上記弾性シール材49に着座する弁体50と、弁体50を付勢する圧縮コイルスプリング51が配置されている。
上記弾性シール材49は、エラストマー等の弾性材料で作られており、中空針36の直径よりもわずかに小さな内径とされた開口すなわち挿入孔49aが設けられ、挿入孔49aの内面が中空針36の外周面に密着して、確実な廃インクのシールができるようになっている。この挿入孔49aの内径は開口側(図7(A)の右方)に向って次第に大径となっていて、中空針36が差し込みやすくなっている。そして、この弾性シール材49は、円筒部48の大径部48a内に密着するように弾性的に押し込まれている。
弾性シール材49の端部には、環状の弁座49bが形成され、ここに弁体50が着座して弁47が閉じられるようになっている。弁体50は、円筒部48内に摺動可能な状態で挿入され、その一端側の端面に成形した着座面50aが弁座49bに着座するようになっている。
弁体50が弁座49bに着座できるように付勢する圧縮コイルスプリング51は、弁体50と円筒部48の内端部48bとの間に配置されている。なお、符号52は、廃インク貯留部35への流入口である。
上記円筒部48の内面には、弁体50の着座面50aが弁座49bから離されたときに廃インクや空気の流通を可能とするために、連通溝48cが円筒部48の軸線方向に形成されている。上記連通溝48cは、図7(C)に示すように、対向した状態で2つ配置され、弁体50が開くと挿入孔49aから連通溝48cと流入口52を経て、廃インクや空気が廃インク貯留部35の空気流路26内に流入する。したがって、図7(A)に示すように、弁47と空気流路26との連通関係が成立する。この点は図5(A),図8(A)等に示されている。なお、中空針36の尖端部には流通孔36aが設けられている。
図7(A)は、中空針36が弁47から離れた位置にある状態を示している。この状態では、圧縮コイルスプリング51の付勢力で弁体50の着座面50aが弁座49bに着座していて、廃インク貯留部35内の廃インクが逆流して外部に流出することが阻止されている。
上記カートリッジ装着部13において、インクカートリッジ14が矢線Xの方向に押込まれると、中空針36が弾性シール材49の挿入孔49a内を相対的に通過して、圧縮コイルスプリング51を押し縮めながら弁体50が後退し、これと同時に着座面50aが弁座49bから離れる。したがって、中空針36内に吸引ポンプ24から送り込まれて来た廃インクや空気は、流通孔36aから上記連通溝48cと流入口52を経て、廃インク貯留部35の空気流路26に流入する。
上記のような弁47の構造により、中空針36が弾性シール材49に差し込まれているときには、廃インク漏れや空気漏れが発生しない。また、中空針36が抜き取られるときには、圧縮コイルスプリング51の付勢力で中空針36の後退と同時に弁体50が移動して、弁座49bに着座する。したがって、中空針36の後退過渡期においても、中空針36の外周面に挿入孔49aが密着しているので、廃インクが外部に漏れることがない。
また、中空針36が弁47に差し込まれるときには、最初に中空針36と挿入孔49aとの密着がなされ、また中空針36が抜き取られるときには、最後に中空針36が挿入孔49aから離れる。したがって、中空針36が差し込まれるときや、抜き取られるときのいずれにおいても、廃インクが漏れることがない。そして、抜き取られた中空針の表面は廃インクで濡れていない。
上記第1の実施例によって得られる作用効果を列記すると、つぎのとおりである。
上記のように、複数のインクカートリッジ14の廃インク貯留部35は、上流側の廃インク貯留部35の流出部30が下流側の廃インク貯留部35の流入部29に接続されて直列状に連通され、上記廃インク貯留部35には、吸引ポンプ24が空気を吸引したときに、上記流入部29から流出部30に向けて空気を通過させる空気流路26が設けられ、上記複数の廃インク貯留部35のうち最下流に位置する廃インク貯留部35の流出部30が大気に開放されている。このように、上流側の廃インク貯留部35の流入部から最下流側の廃インク貯留部35の流出部30に至る全流路が空気を通過させる、いわゆる通気性の良好な状態で大気に連通しているため、廃インク貯留部35が廃インクで満たされるような状態になっても、空気が廃インク中に滞留することがなく、廃インク貯留部35の内圧が異常に高くなることがない。したがって、吸引ポンプ24の動作を停止したときに、廃インク貯留部35内の廃インクが記録ヘッド17の方へ逆流することがない。
さらに、廃インク貯留部35の内圧が高くならないので、記録ヘッド17のノズル形成面17aに異常な高圧が作用することがなく、それによりノズル開口のメニスカスの形状を正常に維持して、インク滴の吐出が適正に行われる。
また、最上流側の廃インク貯留部35が廃インクで満たされたら、さらに吸引されてくる廃インクは最上流側の廃インク貯留部35の空気流路26を通過して、1つ下流側の廃インク貯留部35に流入しそこで貯留される。したがって、最上流側が廃インクで充満状態になったら、余剰の廃インクは下流側の廃インク貯留部35に貯留され、このような廃インクの下流側への送り込みが順次下流側へ展開されることによって、各廃インク貯留部35には内圧上昇のない適正な廃インク貯留がなされる。
上記のように、複数のインクカートリッジ14にそれぞれ配置された廃インク貯留部35に、廃インクが分散された状態で貯留されるので、装置本体の一部に配置した廃インク貯留部を小容量化したりなくしたりすることができ、装置本体のコンパクト化にとって有効である。
上記インクカートリッジ14は、直列状に連通された廃インク貯留部35のうち、使用量が最も多いインクのインクパック34が収容されたインクカートリッジ14の廃インク貯留部35が最も上流側になるよう配置されている。このため、最も上流側にあるインクパック34のインクが早期の内になくなるので、このインクカートリッジ14を交換するのと同時に、廃インク貯留のなされていない廃インク貯留部35におき換えられる。このように、最も上流側の廃インク貯留部35が早期の内にリフレッシュされるので、下流側の廃インク貯留部35の容量を少なくしてインクカートリッジ14のコンパクト化を図ることができる。
上記複数のインクカートリッジ14は、使用量の多いインクのインクパック34が収容されたインクカートリッジ14に設けられた廃インク貯留部35が上流側で、使用量の少ないインクのインクパック34が収容されたインクカートリッジ14に設けられた廃インク貯留部35が下流側となる順で配列されている。このため、上流側のインクパック34のインクが下流側のインクパック34のインクよりも早期の内になくなるので、廃インクが多く貯留されている廃インク貯留部35を備えたインクカートリッジ14が先行的に交換されてゆく。このように、上流側の廃インク貯留部35が早期の内にリフレッシュされるので、下流側の廃インク貯留部35の容量を少なくしてインクカートリッジ14のコンパクト化を図ることができる。
上記のように、上記廃インク貯留部35に連通してインクを流入させる流入部29と廃インク貯留部35から廃インクを流出させる流出部30が設けられ、上記廃インク貯留部35には、吸引ポンプ24が空気を吸引したときに、上記流入部29から流出部30に向けて空気を通過させる空気流路26が設けられている。このように、廃インク貯留部35の上流側の流入部29から下流側の流出部30に至る空気流路26が空気を通過させる、いわゆる通気性の良好な状態とされているため、廃インク貯留部35が廃インクで満たされるような状態になっても、空気が廃インク中に滞留することがなく、廃インク貯留部35の内圧が異常に高くなることがない。したがって、吸引ポンプ24の動作を停止したときに、廃インク貯留部内35の廃インクが記録ヘッド17の方へ逆流することのないインクカートリッジ14が得られる。
上記空気流路26が、廃インク貯留部35の中央部よりも流入部29から離隔した部分を経由して流出部30に連通していることから、空気流路26に流入してきた廃インクが、流入部29から遠く離れた廃インク貯留部35の部分から貯留され始め、いわゆる廃インク貯留部35の奥の方から順次流入部29や流出部30の方に向って廃インクの貯留が進行する。したがって、廃インク貯留部35の全域にわたって余すところなく十分に廃インク貯留がなされる。
上記空気流路26が、上記廃インク貯留部35の構成部材であるスポンジ材25a,25b等を複数個組み合わせて形成されていることから、上記構成部材の形状を適宜選定して組み合わせて、所要の形状の空気流路26を簡単に形成することができる。
上記廃インク貯留部35は、インクを吸収するスポンジ材25を含んで構成され、上記スポンジ材25は合成樹脂製のフィルム材28により密閉した状態で覆われている。このため、廃インクが上記空気流路26を通過する途上において、確実にスポンジ材25に吸収され、貯留性の良好な廃インク貯留部35が形成できる。さらに、廃インク貯留部35の内圧が高くなると上記フィルム材28が弾性的に膨らむ現象が発生し、このように弾性的に膨らんだことによる弾性復元力が廃インクに作用して、廃インクが逆流するという問題がある。しかし、上記空気流路26が設けられていることにより、フィルム材28が弾性的に膨らむという現象が回避できるので、上記のような廃インクの逆流が発生しない。
上記流入部29と流出部30に、インクカートリッジ14をカートリッジ装着部13から外したときに廃インク貯留部35内の廃インクが外部へ流出することを阻止する弁47が設けられているため、インクカートリッジ14をカートリッジ装着部13から外したとき、廃インク貯留部35に廃インクが充満していても、上記弁47によって廃インクが流入部29や流出部30から外部に漏洩することがなく、カートリッジ装着部13やインクカートリッジ14の表面部分が廃インクで汚れるようなことが防止できる。
上記弁47は、廃インクの流入または流出を行うための中空針36,37の挿入を受け入れる弾性シール材49と、上記中空針36,37が弾性シール材49から抜かれたときに上記弾性シール材49の開口49aを封止する弁体50とを備えているため、インクカートリッジ14をカートリッジ装着部13に取り付けたときに、中空針36,37の外周面が上記弾性シール材49で確実にシールされ、廃インク漏れが発生しない。また、中空針36,37を弾性シール材49から抜き取る過渡期に廃インク漏れが発生しやすいのであるが、弾性シール材49の開口49aが弁体50によって封止されるので、このような廃インク漏れが発生しない。さらに、中空針36,37が弾性シール材49の開口49aから抜き取られるときに、中空針36,37の外周面が拭われるので、中空針36,37の外周面が廃インクで濡れ、それが乾燥して表面の平滑性がそこなわれることがなく、次回、中空針36,37を弾性シール材49に差し込むときには、円滑に差し込むことができる。
上記流入部29と流出部30および上記インクパック34のインク導出部材42の支持部43がインクカートリッジ14の前面32aに配置されているため、カートリッジ装着部13とインクカートリッジ14間におけるインクパック34からのインクや吸引された廃インク等の流通が、インクカートリッジ14の前面においてなされる。したがって、インクや廃インク等の各液体の流通路の配置が簡素化される。さらに、インクカートリッジ14を差し込み式等で装着するのと同時に、流入部29,流出部30およびインク導出部材42のカートリッジ装着部13に対する接続が、1回の装着動作で成立し、インクカートリッジ14の取扱いが簡素化される。
図8は、本発明の液体カートリッジの第2の実施例を示す。
この実施例は、スポンジ材25に凹溝25cを設けて空気流路26を構成したものである。それ以外は、上記実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
上記構成により、凹溝25cの横側面はもとより底面部分においても廃インクの吸収ががなされるので、吸収効率をたかめるのに有効である。また、凹溝25cは型成形で求めることができるので、廃インク貯留部35の製作が簡素化される。それ以外は、上記実施例と同様の作用効果を奏する。
図9は、本発明の液体カートリッジの第3の実施例を示す。
この実施例は、上記空気流路26が、流入部29から廃インク貯留部35の略中央部を経由して流出部30に連通している。それ以外は、上記各実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
上記構成により、廃インク中の空気は廃インク貯留部35の略中央部に滞留しやすいのであるが、空気流路26が廃インク貯留部35の略中央部を通過していることにより、空気の滞留を実質的に問題にならないレベルに減少させることができる。とくに、廃インク貯留部35を構成する一面が可撓性のある合成樹脂製フィルム材28で封止されているような場合には、廃インク貯留部35の略中央部に空気が停滞しやすくなるのであるが、上記のような空気流路26の配置によってこのような問題が解消される。それ以外は、上記各実施例と同様の作用効果を奏する。
図10は、本発明の液体カートリッジの第4の実施例を示す。
この実施例は、空気流路26が蓋ケース33側に設けた突条や凹溝によって形成されている。同図(A)は、蓋ケース33の板状部33aの内面に2本の平行な突条33bを一体に成形したもので、両突条33bの高さと間隔は空気流路26としての流路面積が確保できるように設定されている。また、同図(B)は、蓋ケース33の板状部33aの内面に凹溝33cを一体に成形したもので、凹溝33cの深さと幅は空気流路26としての流路面積が確保できるように設定されている。それ以外は、上記各実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
上記構成により、ポリプロピレンのような合成樹脂材料で蓋ケース33をインジェクション成形するときに、同時に突条33bや凹溝33cが成形できるので、空気流路26が簡単に構成できる。それ以外は、上記各実施例と同様の作用効果を奏する。
図11は、本発明の液体カートリッジの第5の実施例を示す。
この実施例は、ケース本体部32側にインクパック34と廃インク貯留部35を配置している。廃インク貯留部35は、ちょうど凹字型の形状とされ、その形状部の内側にインクパック34が配置されている。そして、空気流路26は凹字型の廃インク貯留部35の中央部を通過する状態でコ字型の流路形状とされている。それ以外は、上記各実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
上記構成により、ケース本体部32側にインクパック34,廃インク貯留部35,フィルム材28,流入部29,流出部30およびインク導出部材42等が配置され、インクカートリッジ14のケースを構成する片側のケース部分に上記各構造部分を集約することができて、インクカートリッジ14の構成が簡素化される。それ以外は、上記各実施例と同様の作用効果を奏する。
図12および図13は、本発明の液体カートリッジの第6の実施例を示す。
この実施例は、インクカートリッジ14の配列の仕方に関する。図12は、3つのインクカートリッジ14を水平方向に横ならびに配列したものである。図13は、上下方向に積み重ねたような配列にしたものである。それ以外は、上記各実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
上記構成により、装置全体のレイアウトに適したインクカートリッジ14の配置が可能となる。図12の場合は、インクカートリッジ14の上方のスペースが活用しやすくなり、図13の場合は、インクカートリッジ14の横側のスペースが活用しやすくなる。それ以外は、上記各実施例と同様の作用効果を奏する。
上記各実施例は、インクジェット式プリンタを対象にしたものであるが、本発明によってえられたインクカートリッジおよびそれを装着した液体噴射装置は、インクジェット式プリンタ用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施例では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式プリンタについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
インクジェット式プリンタの斜視図である。 インクカートリッジを上方から見た斜視図と断面図である。 インクカートリッジの蓋ケースを下方から見た分解斜視図である。 装置の系統図および部分的な断面図である。 廃インク貯留部の平面図と断面図である。 インクカートリッジと接続部の接続前の関係を示す要部斜視図である。 弁の断面図である。 廃インク貯留部の平面図と断面図である。 廃インク貯留部の平面図である。 空気流路の斜視図である。 廃インク貯留部の平面図である。 インクカートリッジの配列を示す斜視図である。 インクカートリッジの配列を示す斜視図である。
符号の説明
11 液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ,12 フレーム,13 カートリッジ装着部,14 インクカートリッジ,15 ガイド部材,16 キャリッジ,17 記録ヘッド,17a ノズル形成面,18 サブタンク,19 インク供給チューブ,P 印刷用紙,21 ヘッドメンテナンス機構,22 キャップ部材,23 廃インクチューブ,24 吸引ポンプ,25 スポンジ材,25a スポンジ材,25b スポンジ材,25c 凹溝,26 空気流路,26a 流入路,26b 流出路,26c 接続路,27a リブ,27b リブ,28 フィルム材,29 流入部,30 流出部,31 接続部,32 ケース本体部,32a 前面,33 蓋ケース,33a 板状部,33b 突条,33c 凹溝,34 インクパック,34b ブラック用インクパック,34c ライトシアン用インクパック,34m ライトマゼンタ用インクパック,35 廃インク貯留部,36 中空針,36a 流通孔,37 中空針,38 接続流路,41 袋部,42 インク導出部材,42a インク供給口,43 支持部,44 インク供給針,45 内枠部,46 矢印,47 弁,48 円筒部,48a 大径部,48b 内端部,48c 連通溝,49 弾性シール材,49a 挿入孔,開口,49b 弁座,50 弁体,50a 着座面,51 圧縮コイルスプリング,52 流入口

Claims (12)

  1. 装置本体のカートリッジ装着部に取り付けられる液体カートリッジ内に、被噴射物に液体を噴射する液体噴射ヘッドに供給される液体を貯留する液体容器と、上記液体噴射ヘッドから吸引ポンプによって吸引された廃液を貯留する廃液貯留部とが配置され、
    上記液体カートリッジには、廃液貯留部に連通して廃液を流入させる流入部と廃液貯留部から廃液を流出させる流出部が設けられ、
    上記液体噴射ヘッドから複数種類の液体を噴射可能とするよう、上記液体カートリッジが複数配置されるとともに、上記各液体カートリッジの廃液貯留部は、上流側の廃液貯留部の流出部が下流側の廃液貯留部の流入部に接続されて直列状に連通され、
    上記廃液貯留部には、吸引ポンプが空気を吸引したときに、上記流入部から流出部に向けて空気を通過させる空気流路が設けられ、
    上記複数の廃液貯留部のうち最下流に位置する廃液貯留部の流出部が大気に開放されていることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 上記液体カートリッジは、直列状に連通された廃液貯留部のうち、使用量が最も多い液体の液体容器が収容された液体カートリッジの廃液貯留部が最も上流側になるよう配置されている請求項1記載の液体噴射装置。
  3. 上記複数の液体カートリッジは、使用量の多い液体の液体容器が収容された液体カートリッジに設けられた廃液貯留部が上流側で、使用量の少ない液体の液体容器が収容された液体カートリッジに設けられた廃液貯留部が下流側となる順で配列されている請求項1または2記載の液体噴射装置。
  4. 装置本体のカートリッジ装着部に取り付けられる液体カートリッジ内に、被噴射物に液体を噴射する液体噴射ヘッドに供給される液体を貯留する液体容器と、上記液体噴射ヘッドから吸引ポンプによって吸引された廃液を貯留する廃液貯留部とが配置され、
    上記廃液貯留部に連通して廃液を流入させる流入部と廃液貯留部から廃液を流出させる流出部が設けられ、上記廃液貯留部には、吸引ポンプが空気を吸引したときに、上記流入部から流出部に向けて空気を通過させる空気流路が設けられていることを特徴とする液体カートリッジ。
  5. 上記空気流路は、廃液貯留部の中央部よりも流入部から離隔した部分を経由して流出部に連通している請求項4記載の液体カートリッジ。
  6. 上記空気流路は、廃液貯留部の略中央部を経由して流出部に連通している請求項4記載の液体カートリッジ。
  7. 上記空気流路は、上記廃液貯留部の構成部材を複数個組み合わせて形成されている請求項4〜6のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
  8. 上記空気流路は、上記廃液貯留部の構成部材に凹溝を設けることにより形成されている請求項4〜6のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
  9. 上記廃液貯留部は、液体を吸収する吸収材を含んで構成され、上記吸収材は合成樹脂製のフィルム材により密閉した状態で覆われている請求項4〜8のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
  10. 上記流入部と流出部に、液体カートリッジをカートリッジ装着部から外したときに廃液貯留部内の液体が外部へ流出することを阻止する弁が設けられている請求項4〜9のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
  11. 上記弁は、液体の流入または流出を行うための中空針の挿入を受け入れる弾性シール材と、上記中空針が弾性シール材から抜かれたときに上記弾性シール材の開口を封止する弁体とを備えている請求項10記載の液体カートリッジ。
  12. 上記流入部と流出部および上記液体容器の液体導出部材の支持部が液体カートリッジの前面に配置されている請求項4〜11のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
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