ところで、特許文献1に開示されているキャビンは、キャビンの上部に設置した吊り下げ軸で観覧車の転輪に取り付けられるため、キャビンの搭乗者の眺望が妨げられ、また、搭乗者は圧迫感を感ずることがあった。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搭乗者に良好な眺望を提供できるとともに、圧迫感を減少させることができるキャビン、観覧車及び観覧車の制御装置、並びに観覧車の制御用コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明に係るキャビンは、取り付け面を介して取り付け対象に取り付けられるキャビンであって、前記キャビンの搭乗部は、前記取り付け面に対して交差する第1軸の周りと、前記第1軸に直交する第2軸の周りと、前記第2軸に直交する第3軸の周りとを、それぞれ独立に回転可能であることを特徴とする。
このキャビンは、キャビンの取り付け面に交差する第1軸と、前記第1軸に直交する第2軸と、前記第2軸に直交する第3軸との周りを、それぞれ独立に回転可能に構成される。これにより、キャビンの取り付け面が動いてキャビンの姿勢が変化した場合でも、搭乗部の姿勢を一定に維持するように構成できる。すなわち、キャビンの取り付け位置を問わず、搭乗部の姿勢を一定に維持できるので、従来キャビンの上部に設置した吊り下げ軸等の取り付け手段を排除できる。その結果、搭乗者に良好な眺望を提供できるとともに、圧迫感を減少させることができる。
次の本発明に係るキャビンは、取り付け対象への取り付け面を備えるキャビン取り付け部と、前記キャビン取り付け部によって、前記取り付け面に交差する第1軸の周りを回転可能に支持される搭乗部支持部と、前記搭乗部支持部によって、前記第1軸に直交する第2軸及び前記第2軸に直交する第3軸の周りを、それぞれ独立に回転可能に支持される搭乗部と、を備えることを特徴とする。
このキャビンでは、搭乗部は、キャビンの取り付け面に交差する第1軸と、前記第1軸に直交する第2軸と、前記第2軸に直交する第三軸との周りを、それぞれ独立に回転可能に支持される。これにより、キャビンの取り付け面が動いてキャビンの姿勢が変化した場合でも、搭乗部の姿勢を一定に維持するように構成できる。すなわち、キャビンの取り付け位置を問わず、搭乗部の姿勢を一定に維持できるので、従来キャビンの搭乗部の上部に設置した吊り下げ軸等の取り付け手段を排除できる。その結果、搭乗者に良好な眺望を提供できるとともに、圧迫感を減少させることができる。
次の本発明に係るキャビンは、前記キャビンにおいて、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させるための第1軸駆動手段を備えることを特徴とする。
このキャビンは、前記キャビンと同一の構成を備えるので、前記キャビンと同様の作用、効果を奏する。さらにこのキャビンは、第1軸の周りにキャビンを回転させるための第1軸駆動手段を備え、キャビンの自重を利用して第2軸及び第3軸の周りを回転させる。これにより、簡単な構成で、キャビンの姿勢が変化した場合において、搭乗部の姿勢を一定に維持するように構成できる。
次の本発明に係るキャビンは、前記キャビンにおいて、さらに、前記第2軸の周りに前記キャビンを回転させるための第2軸駆動手段と、前記第3軸の周りに前記キャビンを回転させるための第3軸駆動手段と、を備えることを特徴とする。
このキャビンは、前記キャビンと同一の構成を備えるので、前記キャビンと同様の作用、効果を奏する。さらにこのキャビンは、第2軸の周りにキャビンを回転させるための第2軸駆動手段と、第3軸の周りにキャビンを回転させるための第3軸駆動手段とを備える。これにより、搭乗部の自重によらず搭乗部の姿勢を変更できるので、姿勢変更の自由度が向上する。
次の本発明に係るキャビンは、前記キャビンにおいて、前記搭乗部の外形形状は略球形であることを特徴とする。
このキャビンは、前記キャビンと同一の構成を備えるので、前記キャビンと同様の作用、効果を奏する。さらにこのキャビンは、搭乗部の外形形状は略球形とするので、搭乗部を第3軸の周りに回転する構造が比較的容易に実現できる。
次の本発明に係るキャビンは、前記キャビンにおいて、前記搭乗部には、球面に沿った曲面を有する乗降ドアを備えることを特徴とする。
このキャビンは、前記キャビンと同一の構成を備えるので、前記キャビンと同様の作用、効果を奏する。さらにこのキャビンは、乗降口に、球面に沿った曲面を有する乗降ドアを備えるので、乗降ドアの開閉機構の省スペース化を図ることができるとともに、広い視界を得ることができる。また、乗降時には広い開口部を確保できるので、キャビンへの搭乗者が円滑に乗降できる。
次の本発明に係るキャビンは、前記キャビンにおいて、前記乗降ドアの少なくとも一部は透明体で構成されており、窓と乗降口との機能を備えることを特徴とする。
このキャビンは、前記キャビンと同一の構成を備えるので、前記キャビンと同様の作用、効果を奏する。さらにこのキャビンは、乗降ドアを透明体で構成するので、乗降口と窓との機能を兼備させることができる。これにより、窓と乗降ドアとを別個に設ける必要はないので、省スペース化、キャビンを構成する部品点数の削減を図ることができる。
次の本発明に係る観覧車は、前記キャビンを、前記取り付け面を介して外周部分に取り付ける転輪を備えることを特徴とする。
この観覧車は、転輪の外周部分に前記キャビンの取り付け面を介して前記キャビンを取り付ける。これにより、キャビンの取り付け位置を問わず、搭乗部の姿勢を一定に維持できるので、従来キャビンの上部に設置した吊り下げ軸等の取り付け手段を排除できる。その結果、搭乗者に良好な眺望を提供できるとともに、圧迫感を減少させることができる。また、転輪の回転によってキャビンの姿勢が変化した場合でも、搭乗部の姿勢を一定に維持できる。
次の本発明に係る観覧車は、前記観覧車において、前記キャビンが乗降位置に近づくにしたがって前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、前記キャビンが乗降位置に到達したときには前記キャビンの乗降口を前記転輪の回転軸方向に向けることを特徴とする。
この観覧車は、前記観覧車と同一の構成を備えるので、前記観覧車と同様の作用、効果を奏する。さらに、この観覧車は、第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、キャビンが乗降位置に到達したときにはキャビンの乗降口を転輪の回転軸方向に向ける。これにより、搭乗者は直線移動するだけでキャビンの搭乗部へ乗降できるので、乗降が容易になる。
次の本発明に係る観覧車は、前記観覧車において、前記キャビンが前記乗降位置を離れた後には、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、前記キャビンの窓を前記転輪の径方向外側に向けることを特徴とする。
この観覧車は、前記観覧車と同一の構成を備えるので、前記観覧車と同様の作用、効果を奏する。さらに、この観覧車は、キャビンが乗降位置を離れた後には、第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、キャビンの窓を転輪の径方向外側に向ける。これにより、搭乗者は観覧車の外側の景色を見ることができるので、搭乗者の視界に観覧車の構造部分が入る時間を短くできる。その結果、搭乗者は、より好ましい眺望と開放感とを得ることができる。
次の本発明に係る観覧車は、前記観覧車において、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、前記キャビンが前記観覧車の頂部を通過した後には、前記キャビンの窓を前記転輪の径方向外側に向けることを特徴とする。
この観覧車は、前記観覧車と同一の構成を備えるので、前記観覧車と同様の作用、効果を奏する。さらに、この観覧車は、キャビンが観覧車の頂部を通過した後には、第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、キャビンの窓を転輪の径方向外側に向ける。これにより、搭乗者は観覧車の外側の景色を見ることができるので、搭乗者の視界に観覧車の構造部分が入る時間を短くできる。その結果、搭乗者は、より好ましい眺望と開放感とを得ることができる。
次の本発明に係る観覧車の制御装置は、前記キャビンが取り付けられる転輪と、前記転輪を回転可能に支持する支柱とを備える観覧車を制御するにあたり、前記キャビンの位置を判定する位置判定部と、前記位置判定部により判定された前記キャビンの位置に基づいて、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させる姿勢制御部と、を含んで構成されることを特徴とする。
この観覧車の制御装置は、キャビンの位置に基づいて第1軸の周りに前記キャビンを回転させる。これにより、キャビンの位置に応じて、搭乗者が観覧車の外側を見るようにキャビンの姿勢を制御できるので、搭乗者に、より好ましい眺望と開放感とを与えることができる。
次の本発明に係る観覧車の制御装置は、前記観覧車の制御装置において、前記姿勢制御部は、前記キャビンが乗降位置に近づくにしたがって前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、前記キャビンが乗降位置に到達したときには前記キャビンの前記乗降口を前記転輪の回転軸方向に向けることを特徴とする。
この観覧車の制御装置は、前記観覧車の制御装置と同一の構成を備えるので、前記観覧車の制御装置の奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この観覧車の制御装置は、キャビンの位置に基づいて第1軸の周りに前記キャビンを回転させるように制御する。これにより、キャビンが観覧車の乗降位置に到達したときには、キャビンの乗降口を転輪の回転軸方向に向けて、搭乗者の乗降を容易にすることができる。
次の本発明に係る観覧車の制御装置は、前記観覧車の制御装置において、前記姿勢制御部は、前記キャビンが前記乗降位置を離れた後に、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、前記キャビンの窓を前記転輪の径方向外側に向ける手順を含むことを特徴とする。
この観覧車の制御装置は、前記観覧車の制御装置と同一の構成を備えるので、前記観覧車の制御装置の奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この観覧車の制御装置は、キャビンが乗降位置を離れた後には、第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、キャビンの窓を転輪の径方向外側に向けるように制御する。これにより、搭乗者は観覧車の外側の景色を見ることができるので、搭乗者の視界に観覧車の構造部分が入る時間を短くできる。その結果、搭乗者は、より好ましい眺望と開放感とを得ることができる。
次の本発明に係る観覧車の制御装置は、前記観覧車の制御装置において、前記姿勢制御部は、前記キャビンが前記観覧車の頂部を通過した後に、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、前記キャビンの窓を前記転輪の径方向外側に向ける手順を含むことを特徴とする。
この観覧車の制御装置は、前記観覧車の制御装置と同一の構成を備えるので、前記観覧車の制御装置の奏する作用、効果と同様の作用、効果を奏する。さらに、この観覧車の制御装置は、キャビンが観覧車の頂部を通過した後には、第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、キャビンの窓を転輪の径方向外側に向けるように制御する。これにより、搭乗者は観覧車の外側の景色を見ることができるので、搭乗者の視界に観覧車の構造部分が入る時間を短くできる。その結果、搭乗者は、より好ましい眺望と開放感とを得ることができる。
次の本発明に係る観覧車の制御用コンピュータプログラムは、前記キャビンが取り付けられる転輪と、前記転輪を回転可能に支持する支柱とを備える観覧車を制御するにあたり、前記キャビンの位置を取得する手順と、前記キャビンの位置に基づいて前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させる手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
次の本発明に係る観覧車の制御用コンピュータプログラムは、前記観覧車の制御用コンピュータプログラムにおいて、前記キャビンが乗降位置に近づくにしたがって前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させ、前記キャビンが乗降位置にきたときには前記キャビンの前記乗降口を前記転輪の回転軸方向に向けることを特徴とする。
次の本発明に係る観覧車の制御用コンピュータプログラムは、前記観覧車の制御用コンピュータプログラムにおいて、前記キャビンが前記乗降位置を離れた後には、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させて、前記キャビンの窓を前記転輪の径方向外側に向けることを特徴とする。
次の本発明に係る観覧車の制御用コンピュータプログラムは、前記観覧車の制御用コンピュータプログラムにおいて、前記キャビンが前記観覧車の頂部を通過した後には、前記第1軸の周りに前記キャビンを回転させて、前記キャビンの窓を前記転輪の径方向外側に向けることを特徴とする。
これらの観覧車の制御用コンピュータプログラムにより、前記観覧車の制御装置の機能がコンピュータを利用して実現できる。
以上説明したように、本発明に係るキャビン、観覧車及び観覧車の制御装置、並びに観覧車の制御用コンピュータプログラムでは、搭乗者に良好な眺望を提供するとともに、圧迫感を減少させることができる。
実施例1に係るキャビンは、キャビンの第1軸(Z軸)、第2軸(X軸)及び第3軸(Y軸)それぞれの周りに、独立して回転可能である点に特徴がある。次に、実施例1に係るキャビンについて説明する。図1は、実施例1に係るキャビンを示す全体図である。キャビン1は、キャビン取り付け部10と、搭乗部支持部20と、搭乗部30とを備えて構成される。次に、それぞれの構成について説明する。
図2−1、図2−2は、実施例1に係るキャビンが備える取り付け部を示す説明図である。キャビン取り付け部10は、取り付けフランジ11と、支持リング12と、回転リング13とで構成される。取り付けフランジ11は、取り付け対象3に取り付けるための取り付け面11pを備える。そして、取り付けフランジ11は、取り付け対象3に対して少なくとも3点で固定される。これにより、取り付けフランジ11を含むキャビン取り付け部10を備えるキャビン1は、取り付け対象3に対して固定される。ここで、取り付け面11pは、少なくとも3点が決定されれば定まる。また、取り付け面11pは、3個の取り付け点により決定される仮想的な面であればよく、必ずしも面としての実体を備えている必要はない。なお、取り付け対象3としては、例えば観覧車の転輪や、搬送システムの台車等があげられる。
取り付けフランジ11には、キャビン1全体を支持するとともに、取り付けフランジ11を介してキャビン1を取り付け対象3に支持するための支持リング12が設けられている。支持リング12は、取り付けフランジ11とは別個に製造して、取り付けフランジ11に固定してもよいし、取り付けフランジ11と一体に製造してもよい。支持リング12には、回転リング13が回転可能に支持されている。これにより、回転リング13は、取り付け面11pに交差する第1軸(図1、図2−1、図2−2のZ軸)を中心として回転可能に構成される。このように、第1軸(Z軸)が、回転リング13の回転軸となる。
図2−3、図2−4は、第1軸と取り付け面との関係を示す側面図である。図2−3に示すように、取り付け面11pと第1軸とのなす傾き角度θは通常90度であり、第1軸は取り付け面11pに対して直交する。しかし、取り付け対象3との関係では、前記傾き角度θは90度には限られない。例えば、取り付け対象3の設計や仕様、あるいは製造誤差やばらつき等によって、キャビン取り付け部10'の取り付け面11pと第1軸とのなす傾き角度θは、90度よりも小さくなる場合(ここではθ1)もある(図2−4参照)。
図3は、回転リングの支持構造の一例を示す断面図である。図3に示すように、回転リング13は、フランジ部13fで支持リング12に支持される。回転リング13は、そのフランジ部13fを、回転リング13の回転軸Zと平行な方向に配置される2個のスラスト軸受け14、及び回転リング13と支持リング12との間に配置されるラジアル軸受け15で支持することによって、支持リング12へ回転可能に支持される。また、回転リング13の回転軸Z側には、内歯歯車12giが形成されている。この内歯歯車12giに、取り付けフランジ11あるいは支持リング12等に取り付けられる第1アクチュエータ16の外歯歯車16goを噛み合わせ、第1アクチュエータ16により回転リング13を回転させる。なお、回転リング13への動力伝達手段は、内歯歯車12giと外歯歯車16goとの組み合わせによる他、チェーンとスプロケットとの組み合わせや、ベルトとプーリーとの組み合わせを用いてもよい。次に、搭乗部支持部20について説明する。
図4−1、図4−2は、実施例1に係るキャビンが備える搭乗部支持部の構造を示す説明図である。搭乗部支持部20は、支持台座21と、これに取り付けられる脚部22と、この脚部22に取り付けられるとともに搭乗部支持体23を第2軸の周りに回転可能に支持する軸受け24と、搭乗部30を支持する搭乗部支持体23とを含んで構成される。支持台座21は、キャビン取り付け部10が備える回転リング13(図1、図2−1、図2−2等参照)に取り付けられて、前記第1軸(Z軸)、すなわち、回転リング13の回転軸の周りを回転する。
支持台座21には、脚部22が取り付けられている。そして、脚部22の支持台座21への取り付け側の反対側には、軸受け24が取り付けられており、この軸受け24によって搭乗部支持体23を両持ちで支持する。これにより、搭乗部支持体23は、前記第1軸(Z軸)に直交する第2軸(X軸)の周りを回転する。なお、単独の脚部と軸受けとにより、搭乗部支持体23を片持ちで支持してもよい。
搭乗部支持体23は、環状の形状であって、内部23iに配置される搭乗部30を、前記第2軸に直交する第3軸(Y軸)の周りを回転可能に支持する。ここで、図4−1に示すように、第2アクチュエータ27によって、搭乗部支持体23を第2軸(X軸)の周りで回転させてもよい。このようにすれば、搭乗部30の姿勢を第1軸(Z軸)と第2軸(X軸)との周りに対してそれぞれ独立かつ任意に制御できるので、搭乗部30の姿勢制御の自由度が向上する。次に、搭乗部30の支持構造について説明する。
図5は、搭乗部の支持構造の一例を示す断面図である。図5に示すように、搭乗部30を構成する搭乗部回転リング31は、搭乗部回転リング31のフランジ部31fで搭乗部支持体23に支持される。搭乗部回転リング31は、そのフランジ部31fが、搭乗部回転リング31の回転軸、すなわち、第3軸(Y軸)と平行な方向に配置される2個のスラスト軸受け25、及び搭乗部回転リング31と搭乗部支持体23との間に配置されるラジアル軸受け26で支持される。これによって、搭乗部回転リング31は、搭乗部支持体23へ回転可能に支持される。次に、搭乗部30の構成について説明する。
図6−1、図6−2は、搭乗部の構成を示す説明図である。搭乗部30の外形形状は略球形であり、搭乗部回転リング31と、乗降ドア32と、搭乗部回転リング31に固定される搭乗部ボディシェル36を含んで構成される。ここで、搭乗部30に乗降ドア32が備えられている側を、搭乗部30の正面(あるいはキャビン1の正面)とし、ここがキャビン1への乗降口38となる(図6−1、図1参照)。搭乗部回転リング31は、搭乗部支持部20が備える搭乗部支持体23に回転可能に支持されて、搭乗部30を第3軸(Y軸)の周りで回転させる。同時に、搭乗部回転リング31は、搭乗部30の強度メンバーとしての機能を果たす。なお、搭乗部30の外形形状は略球形に限られない。
ここで、図4−1に示すように、第3アクチュエータ37によって、搭乗部30を第3軸(Y軸)の周りで回転させてもよい。このようにすれば、搭乗部30の姿勢を第1軸(Z軸)、第2軸(X軸)及び第3軸(Y軸)の周りに対してそれぞれ独立かつ任意に制御できるので、搭乗部30の姿勢制御の自由度が向上する。
搭乗部回転リング31には、底板34が取り付けられており、乗降口38を通って人員が搭乗する。実施例1に係る搭乗部30では、底板34に座席35が据え付けられており、搭乗した人員は、座席35に着席する。また、搭乗部回転リング31には、乗降ドア32の回転軸33が設けられており、乗降ドア32はこの回転軸33を中心として上下に開閉する。
図7−1〜図7−3は、乗降ドアの説明図である。図7−1に示すように、この乗降ドア32は、球面に沿った曲面を有する2枚の透明板32a、32bで構成されている。透明板32a、32bは、それぞれ回転軸33を中心として回転できるように構成される。乗降ドア32が閉じているとき、透明板32aと透明板32bとは、それぞれ接している。乗降ドア32を開くときには、透明板32aと透明板32bとは、回転軸33を中心として、それぞれ離間するように動作する。
搭乗部30は、外形形状及び内形形状ともに略球形であるので、乗降ドア32は、搭乗部30の内側に沿って開閉する。乗降ドア32を開くと、人員が搭乗部30の内部へ乗り込むことができる。乗降ドア32を閉じると、搭乗部30の内部へ乗り込んだ人員は、乗降ドア32を通して外部を見ることができる。このように、乗降ドア32は、搭乗部30の乗降口と窓との機能を備えている。これにより、窓と乗降ドアとを別個に設ける必要はないので、キャビン1の省スペース化、構成部品の削減を図ることができる。
かかる構成により、乗降ドア32の開閉機構の省スペース化を図ることができるとともに、広い視界を得ることができる。一方、乗降時には広い開口部を確保できるので、人員が円滑に乗降できる。なお、実施例1においては、乗降ドア32を開いたとき、乗降ドア32は搭乗部30の内部に格納されるが、搭乗部30の外部に移動するように構成してもよい。
なお、図7−2に示す乗降ドア32'のように、2枚の透明板32a、32bを回転軸33'によって支持して、両者を左右に開閉させてもよいし、図7−3に示す乗降ドア32''のように、1枚の透明板32cによって乗降ドア32''を構成してもよい。ここで、透明板32a、32b、32cは、アクリルやポリカーボネイトその他の樹脂材料、又は合せガラス等を用いて製造することができる。このように乗降ドア32〜32''を構成すれば、開口部を大きくとることができるので、搭乗者の乗降が容易になる。また、乗降ドア32等の透明部分の面積も大きくとることができるので、良好な眺望が得られる。さらに、乗降ドア32等を開いたときには、乗降ドア32等は搭乗部30の内部に沿って収納されるので、キャビン1の省スペース化に貢献する。
なお、乗降ドア32等は必ずしも透明体で構成する必要はなく、例えば、マジックミラーを用いてもよい。このようにすれば、搭乗部30の内部からは外の景色を見ることができるが、外からは搭乗部30の内部を見ることはできないので、搭乗部30内のプライバシーを確保することができる。また、透明体で構成した乗降ドア32等に、例えばスモーク処理や紫外線カット処理、あるいは赤外線カット処理等を施し、搭乗部30内へ侵入する紫外線や赤外線を抑制してもよい。このようにすれば、搭乗部30内の環境を快適に保つことができる。さらに、乗降ドア32等の全体を透明体で構成する必要はなく、乗降ドア32等の一部に窓を設けてもよい。
(変形例)
図8−1、図8−2は、実施例1の変形例に係るキャビンを示す説明図である。このキャビン1aは、上記実施例1に係るキャビン1と略同一の構成であるが、環状の搭乗部支持体23の代わりに、略円弧状の搭乗部支持アーム23aにより搭乗部30aを支持する点が異なる。その他の構成は実施例1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。
この変形例に係るキャビン1aが備える搭乗部支持部20aは、支持台座21と、これに取り付けられる1機の脚部22aと、この脚部22aに取り付けられるとともに、搭乗部支持アーム23aを第1軸(Z軸)の周りに回転可能に支持する軸受け24aと、搭乗部30aを第2軸(X軸)の周りに回転可能に支持するとともに、搭乗部支持アーム23aに取り付けられる2機の軸受け24bとを含んで構成される。
支持台座21には、1機の脚部22aが取り付けられている。そして、脚部22aの支持台座21への取り付け側の反対側には、軸受け24aが取り付けられており、この軸受け24aによって搭乗部支持アーム23aを片持ちで支持する。これにより、搭乗部支持アーム23aは、第3軸(Y軸)の周りを回転可能に支持されるので、搭乗部支持アーム23aに支持される搭乗部30aは、第3軸(Y軸)の周りを回転できる。
搭乗部支持アーム23aは略円弧状であり、両端部23atには、それぞれ軸受け24bが取り付けられている。軸受け24bは、搭乗部30aを構成する搭乗部支持リング31aを、第2軸(X軸)の周りに回転可能に支持する。ここで、搭乗部支持リング31aは搭乗部30aの強度メンバーである。このような構成により、搭乗部30aは前記第2軸(X軸)の周りを回転することができる。他の構成は、実施例1に係るキャビン1と同様なので、説明を省略する。このような構成でも、キャビン1aは、第1〜第3軸の周りをそれぞれ独立して回転することができる。また、この変形例に係るキャビン1aでは、搭乗部30aが備える座席35の背面に脚部22aが配置されるので、キャビン1aに搭乗している搭乗者の視界に脚部22aが入ることはない。これにより、このキャビン1aではさらに良好な視界を確保できる。
次に、実施例1に係るキャビンの動作について説明する。なお、実施例1の変形例に係るキャビン1aの動作も実施例1に係るキャビン1の動作と同様なので、以下の説明では、実施例1に係るキャビン1の動作について説明する。また、第1軸(Z軸)のみ第1アクチュエータ16により制御し、第2軸(X軸)及び第3軸(Y軸)は、搭乗部30の自重に基づく重力バランスを利用することにより、搭乗部30の姿勢を制御するものについて説明する。
図9−1〜図9−3は、実施例1に係るキャビンの姿勢変化を示す説明図である。図9−1に示すように、第1軸(Z軸)が地面Lに対して鉛直である場合、搭乗部30は搭乗部回転リング31により第3軸(Y軸)の周りを回転可能に構成されているので、搭乗部30が備える底板34の底板面34pは、地面Lと平行になる。このとき、底板34に取り付けられる座席35の座面35pも、地面Lに対して平行になる。
図9−2に示すように、キャビン1の取り付け対象3が傾き、キャビン1の取り付け面11pが地面Lに対して傾いた場合には、搭乗部30の搭乗部回転リング31が第3軸(Y軸)の周りを回転する。その結果、搭乗部30が備える底板34の底板面34p、及び底板34に取り付けられる座席35の座面35pは、地面Lと平行になる。これにより、キャビン1が備える搭乗部30は、キャビン1の取り付け面11pが傾いた場合であっても、地面Lに対して平行の姿勢を維持することができる。
図9−3は、キャビン1の状態が図9−2に示す状態において、キャビン1の第1軸(Z軸)の周りに搭乗部30を回転させ、第2軸(X軸)を地面Lに対して平行にした状態を示している。このようにすれば、地面Lとキャビン1の取り付け面11pとのなす傾き角度θが大きい場合において、第2軸(X軸)周りに搭乗部30が回転することを抑制できる。また、第1軸(Z軸)のみならず、前記第2アクチュエータ27及び前記第3アクチュエータ37によって第2あるいは第3軸の周りにも搭乗部30を回転可能にしてもよい。このようにすれば、前記傾き角度θの大きさによらず、搭乗部30の底板面34pを地面Lと略平行に保ちつつ、搭乗部30を任意の方向に向けることができる。
次に、実施例1に係るキャビンを観覧車に搭載した例を説明する。ここで、キャビン1は、観覧車用キャビンとして機能する。また、第1軸(Z軸)のみ第1アクチュエータ16により制御し、第2軸(X軸)及び第3軸(Y軸)は、搭乗部30の自重に基づく重力バランスを利用することにより、搭乗部30の姿勢を制御するものを説明する。
図10は、実施例1に係るキャビンを搭載した観覧車の一例を示す全体図である。図10に示す観覧車100は、支柱101に転輪102が回転可能に取り付けられている。転輪102はトラス構造で構成され、その外周部102osには実施例1に係るキャビン1が取り付けられる。そして、転輪102は、観覧車回転軸XRの周りを回転可能に支持される。転輪102は、動力源であるモータ106によって回転され、転輪102の外周部102osに取り付けられるキャビン1を観覧車回転軸XRの周りに回転させる。なお、観覧車回転軸XRは、前記第2軸(X軸)に平行な軸である。
図11は、実施例1に係るキャビンの取り付け部を示す説明図である。図11に示すように、キャビン1は、その取り付け面11pが、取り付け対象である転輪102の外周部102osに取り付けられる。このとき、キャビン1のキャビン取り付け部10が備える取り付けフランジ11と、外輪103の取り付け台座103pとが、4本のボルト107によって締結され、キャビン1が外輪103に取り付けられる。
図12−1、図12−2は、実施例1に係るキャビンを搭載した観覧車の他の例を示す全体図である。図12−1に示す観覧車100aは、外輪103aと、支柱101aによって構成されている。外輪103aは、2組の支柱101aに備えられるモータ106aによって駆動され、観覧車回転軸XRの周りを回転する。上記観覧車100と同様に、キャビン1は外輪103aの外周部103aosに取り付けられて、外輪103aとともに観覧車回転軸XRの周りを回転する。実施例1に係るキャビンは、このような観覧車に対しても適用できる。
図12−2に示す観覧車100bは、支柱101bに転輪102bが回転可能に取り付けられている。転輪102bは、支柱101bに回転可能に支持されるハブ104と、キャビン1を外周部102bosに取り付ける外輪103bと、両者を連結するスポーク105とで構成される。ハブ104はモータ106によって駆動される。スポーク105は、ハブ104と外輪103bとを連結するが、スポーク105には引張力のみが作用して外輪103bを支持する。ハブ104の回転力はスポーク105を介して外輪103bに伝えられて、外輪103bに取り付けられるキャビン1を観覧車回転軸XRの周りに回転させる。
なお、実施例1に係るキャビンが適用できる観覧車は上記3形式に限定されるものではない。次に、実施例1に係るキャビンを備える観覧車100の制御方法の一例について説明する。次の説明では、実施例1に係るキャビンを観覧車100に搭載した例について説明するが、他の形式の観覧車に実施例1に係るキャビンを搭載した場合も同様である。
図13は、実施例1に係る観覧車の制御方法を示す説明図である。観覧車100が搭載する実施例1に係るキャビン1は、第1軸(Z軸)の周りを第1アクチュエータ16(図1参照)によって回転可能に構成されている。観覧車100の運転中には転輪102が回転し、転輪102に取り付けられるキャビン1が観覧車回転軸XRの周りを回転する。実施例1に係る観覧車の制御方法では、キャビン1の位置、すなわち、観覧車回転軸XRに対するキャビン1の回転角度αに基づいて、キャビン1を第1軸(Z軸)の周りに回転させる点に特徴がある。
キャビン1の搭乗部30には、乗降ドア32を開けて搭乗する。このとき、観覧車100の乗降位置108(この例では回転角度α=α0=0[rad])からキャビン1の搭乗部30へ搭乗する。なお、実際の観覧車では運転中に乗降するため、乗降位置108は、α=α0=0[rad]に限られず、±π/18[rad](10度)程度のマージンを持たせている。乗降位置108は、観覧車回転軸XR方向であって、観覧車100の下部に設けられる。観覧車100の乗降位置108において、キャビン1の乗降ドア32が乗降側を向くように、すなわち、キャビン1の第2軸(X軸)が観覧車回転軸XRと直交するように、キャビン1をその第1軸の周りに回転させる。このようにすれば、乗降位置108から直線で移動するのみでキャビン1内へ搭乗できるので、容易にキャビン1内へ搭乗できる。また、搭乗時には、キャビン1の進行方向前方を横切る必要はないので、安全性を十分に確保できる。
観覧車100の転輪102が回転して、キャビン1がある程度上昇したら、すなわち、観覧車回転軸XRに対するキャビン1の回転角度αがある程度大きくなったら、キャビン1の乗降ドア32が転輪102の径方向外側(矢印r方向)を向くように、キャビン1をその第1軸の周りに回転させる。このとき、キャビン1の第2軸(X軸)は、観覧車回転軸XRと平行になり、キャビン1の正面が転輪102の径方向外側を向く。これにより、キャビン1の搭乗者は、観覧車の外輪を見ることなく、乗降ドア32を通して景観を見ることができる。このときのキャビン1の回転角度はα1であり、π/6[rad]前後である。
観覧車100の転輪102がさらに回転して、キャビン1が観覧車100の頂部109に接近したら、すなわち、観覧車回転軸XRに対するキャビン1の回転角度αが180度に近くなったら、キャビン1をその第1軸の周りに回転させる。このときのキャビン1の回転角度はα3であり、π×5/6[rad]前後である。キャビン1が観覧車100の頂部を通過する前後、すなわち、観覧車回転軸XRに対するキャビン1の回転角度αがπ[rad]前後の位置で、キャビン1の乗降ドア32がほぼ観覧車回転軸XRの方向を向く。すなわち、キャビン1の第2軸(X軸)が、観覧車回転軸XRとほぼ平行になり、キャビン1の正面が転輪102の径方向外側を向く。
キャビン1が観覧車100の頂部109を通過してから、すなわち、観覧車回転軸XRに対するキャビン1の回転角度がα=α5(π[rad])を通過してからは、キャビン1の乗降ドア32が転輪102の径方向外側を向くように、キャビン1をその第1軸の周りに回転させる。そして、観覧車100の転輪102がさらに回転して、キャビン1が観覧車100の頂部からある程度下降したら、すなわち、観覧車回転軸XRに対するキャビン1の回転角度αがπ[rad]を超えてある程度大きくなったら、キャビン1の乗降ドア32が転輪102の径方向外側(矢印r方向)を向くように、キャビン1をその第1軸の周りに回転させる。このときのキャビン1の回転角度はα5であり、π×7/6[rad]前後である。このとき、キャビン1の第2軸(X軸)は、観覧車回転軸XRと平行になり、キャビン1の正面が転輪102の径方向外側を向く。これにより、キャビン1の搭乗者は、キャビン1が下降を始めてからも観覧車の転輪102を見ることなく、乗降ドア32を通して景観を見ることができる。
観覧車100の転輪102がさらに回転してキャビン1が下降し、乗降位置108に近づいたら、すなわち、観覧車回転軸XRに対するキャビン1の回転角度αが2π[rad]度に近くなったら、観覧車100の乗降位置108において、キャビン1の乗降ドア32が乗降側を向くように、すなわち、キャビン1の第2軸(X軸)が観覧車回転軸XRと直交するように、キャビン1をその第1軸の周りに回転させる。このときのキャビン1の回転角度はα7であり、π×11/6[rad]前後である。これにより、キャビン1の搭乗者は、キャビンから容易に降りることができる。また、下車時にキャビン1の進行方向前方を横切ることはないので、下車時の安全性が十分に確保される。なお、キャビン1から降りる位置は、キャビン1に乗る位置よりも、キャビン1の進行方向(図13の矢印R方向)後方とすることが好ましい。
実施例1に係るキャビン1は、搭乗部30の側部で搭乗部支持体23あるいは搭乗部支持アーム23aにより支持されて、第2軸(X軸)の周りを回転する。従来の観覧車では、キャビンの上部で観覧車の転輪に支持されていたため、転輪の回転中、他のキャビンの支持部が搭乗者の視界に入り、眺望を損ねるという問題があった。しかし、実施例1に係るキャビン1及び実施例1に係る観覧車の制御方法によれば、観覧車100を運転している間のほとんどの時間において、キャビン1が備える搭乗部30の乗降ドア32、すなわちキャビン1の窓を、観覧車100の転輪102の径方向外側に向けることができる。これにより、キャビンの支持部により搭乗者の眺望を損ねることを抑制して、良好な眺望及び開放感を搭乗者に与えることができる。
なお、上記説明では、キャビン1の搭乗部30は、第1軸(Z軸)の周りのみ第1アクチュエータ16により回転が制御されている。しかし、さらに前記第2アクチュエータ27及び前記第3アクチュエータ37を用いて、第2あるいは第3軸の周りにも搭乗部30を回転可能にしてもよい。このようにすれば、第1軸、第2軸及び第3軸それぞれの周りに独立して搭乗部30を回転制御させることができるので、搭乗部30の姿勢制御の自由度が向上する。例えば、キャビンの回転角度αがα1〜α2の区間において、キャビン1の正面を観覧車回転軸XRの方向に向けることもできる。また、搭乗部30内に、搭乗部の姿勢制御装置を備え、搭乗者が自分の搭乗する搭乗部30の姿勢を自由に操作できるようにしてもよい。また、上記説明において、キャビン1を第1軸の周りに回転させる位置、すなわちキャビン1の回転角度は、上記値に限定されるものではない。例えば、転輪102の回転速度やキャビン1の回転速度、あるいはキャビン1の仕様等によって適宜変更できる。
図14は、実施例1に係る観覧車の制御系の一例を示す説明図である。図15は、実施例1に係る観覧車の制御方法の手順を示すフローチャートである。図14に示す制御系に備えられる観覧車の制御装置50により、実施例1に係る観覧車の制御方法を実現できる。まず、実施例1に係る観覧車の制御装置50の構成について説明する。
実施例1に係る観覧車の制御装置50は、位置判定部51と、姿勢制御部52とを含んで構成される。これらが、実施例1に係る観覧車の制御方法を実行する部分となる。位置判定部51と、姿勢制御部52と、記憶部53とは、観覧車の制御装置50の入出力ポート(I/O)54を介して接続される。これにより、位置判定部51と、姿勢制御部52とは、それぞれ双方向でデータをやり取りできるように構成される。なお、装置構成上の必要に応じて片方向でデータを送受信するように構成してもよい(以下同様)。
また、入出力ポート(I/O)54には、観覧車100が備える転輪102の位置を検出する位置検出センサ57が接続されている。位置検出センサ57は、例えば光学センサを用いることができる。観覧車の制御装置50は、転輪102に取り付けられているキャビン1の姿勢制御に必要な情報を取得することができる。また、入出力ポート(I/O)54には、転輪102に取り付けられるキャビン1の姿勢を制御するための姿勢制御信号を、キャビン1に備えられる受信機56へ送信する送信機55が接続されている。これにより、観覧車の制御装置50が備える姿勢制御部52からの姿勢制御信号により、キャビン1を第1軸の周りに回転させることができる。
記憶部53には、実施例1に係る観覧車の制御方法の処理手順を含むコンピュータプログラムや、その他の観覧車100の制御プログラムが格納されている。ここで、記憶部53は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。また、位置判定部51や姿勢制御部52は、メモリ及びCPUにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、位置判定部51や姿勢制御部52へすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、実施例1に係る観覧車の制御方法の処理手順を実現できるものであってもよい。また、この観覧車の制御装置50は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、位置判定部51及び姿勢制御部52の機能を実現するものであってもよい。次に、この観覧車の制御装置50を用いて、実施例1に係る観覧車の制御方法を実現する手順を説明する。次の説明においては、適宜図1、13を参照されたい。
まず、観覧車の制御装置50が備える位置判定部51は、位置検出センサ57から各キャビン1の位置を判定し、姿勢制御部52はその位置が姿勢制御を要する位置か否かを判定する(ステップS101)。次に、この判定方法の一例を説明する。例えば、図14中、P点のキャビン1を基準とし、当該キャビン1が位置検出センサ57の位置に到達したときの時間をt=t0(=0)とする。転輪102の回転各速度をβ[rad/sec.]とすると、t=t0から時間tが経過したときのP点におけるキャビン1の回転角度αは、式(1)で求めることができる。
β×(t−t0)[rad]・・・(1)
隣接するキャビン1同士の間隔をγ[rad]とすると、P点のキャビン1から、転輪102の回転方向(図14中の矢印R方向)に向かってn番目のキャビン1の回転角度αは、式(2)で求めることができる。ここでn=0のときに、P点位置におけるキャビン1の回転角度αとなる。
α=[β×(t−t0)+n×γ][rad]・・・(2)
なお、式(1)、(2)から求めたキャビン1の位置は、位置検出センサ57の位置における回転角度α=0(rad)としたときの回転角である。また、回転角度αは、0≦α<2×πなので、回転角度αが2×π[rad]以上の場合には、式(2)によって求めた回転角度αから2×πを減算する。
上記式(1)、(2)から、位置判定部51は、観覧車100が備えるすべてのキャビン1の位置、すなわち位置検出センサ57の位置を基準とした回転角度αを求める。姿勢制御部52はその判定結果を取得し、これに基づいてキャビン1の位置が姿勢制御を要するか否かを判定する。例えば、実施例1においては、乗降位置108でキャビン1の乗降ドア32が乗降側を向くように制御する。このため、回転角度α=α7の位置に到達したキャビン1は、姿勢制御するキャビンであると姿勢制御部52が判定する。また、実施例1においては、観覧車100の頂部109を境としてキャビン1を反転させる。このため、回転角度α=α3の位置に到達したキャビン1も、姿勢制御するキャビンであると姿勢制御部52が判定する。位置判定部51、及び姿勢制御部52は、観覧車100が備えるすべてのキャビンに対して、姿勢制御を要する位置か否かを判定する(ステップS102;No)。
位置判定部51及び姿勢制御部52がすべてのキャビン1に対して姿勢制御を要する位置か否かを判定したら(ステップS102;Yes)、姿勢制御部52はその判定結果に基づいて、姿勢制御を要する位置に到達したキャビン1の姿勢を変更する(ステップS103)。具体的には、キャビン1に備えられる第1アクチュエータ16を駆動して、キャビン1の搭乗部30を第1軸の周りに回転させる。
姿勢制御部52は姿勢制御信号を生成し、この姿勢制御信号は、入出力ポート(I/O)54を介して送信機55へ送られる。前記姿勢制御信号は、送信機55で電波に変換されて姿勢が変更されるキャビン1の受信機56で受信される。なお、姿勢制御信号は、このような電波による送受信の他、有線(例えばトロリー線)による方法も用いることができる。姿勢が変更されるキャビン1の第1アクチュエータ16は、この信号を受けて当該キャビン1の搭乗部30を第1軸の周りに回転させる。観覧車の制御装置50は、上記ステップS101〜S103を一定時間(例えば0.5秒)毎に繰り返すことにより、キャビン1の姿勢を制御する。
第1アクチュエータ16は、キャビン1の姿勢制御開始から終了まで、一定の速度で駆動することができる。また、搭乗部30が動き始めるときは第1アクチュエータ16の速度を徐々に大きくするとともに、搭乗部30が停止するときは第1アクチュエータ16の速度を徐々に小さくするように駆動してもよい。これにより、搭乗部30の姿勢変更にともなって発生する衝撃を緩和して、乗り心地を快適にすることができる。このとき、姿勢制御部52は、徐々に第1アクチュエータ16が加減速するように姿勢制御信号を生成する。
以上、実施例1に係るキャビンによれば、キャビンの取り付け面に交差する第1軸と、前記第1軸に直交する第2軸と、前記第2軸に直交する第三軸との周りを、搭乗部がそれぞれ独立に回転可能に支持される。これにより、キャビンの取り付け面が動いてキャビンの姿勢が変化した場合でも、搭乗部の姿勢を一定(水平)に維持するように構成できる。その結果、キャビンの取り付け位置を問わず、従来キャビンの搭乗部の上部に設置した吊り下げ軸等の取り付け手段を排除できるので、搭乗者に良好な眺望を提供できるとともに、圧迫感を減少させることができる。
また、実施例1に係るキャビンを搭載した観覧車によれば、転輪の外周部分に実施例1に係るキャビンの取り付け面を介して、前記キャビンを取り付ける。これにより、キャビンの取り付け位置を問わず、搭乗部の姿勢を一定に維持できるので、従来キャビンの上部に設置した吊り下げ軸等の取り付け手段を排除できる。その結果、搭乗者に良好な眺望を提供できるとともに、圧迫感を減少させることができる。また、転輪の回転によってキャビンの姿勢が変化した場合でも、搭乗部の姿勢を一定に維持できる。
また、実施例1に係るキャビンを搭載した観覧車の制御装置及び制御方法、並びに制御用コンピュータプログラムによれば、キャビンの位置に基づいて第1軸の周りに前記キャビンを回転させる。これにより、キャビンの位置に応じて、搭乗者が観覧車の外側を見るようにキャビンの姿勢を制御できるので、搭乗者に、より好ましい眺望と開放感とを与えることができる。
また、キャビンの位置に基づいて第1軸の周りに前記キャビンを回転させるように制御する。これにより、キャビンが観覧車の乗降位置に到達したときには、キャビンの乗降口を転輪の回転軸方向に向けて、搭乗者の乗降を容易にすることができる。さらに、キャビンが乗降位置を離れた後には、第1軸の周りに前記キャビンを回転させることにより、キャビンの窓を転輪の径方向外側に向けるように制御する。これにより、搭乗者は観覧車の外側の景色を見ることができるので、搭乗者の視界に観覧車の構造部分が入る時間を短くできる。その結果、搭乗者は、より好ましい眺望と開放感とを得ることができる。