JP2005296480A - 生理用ナプキン - Google Patents

Abstract

【課題】 経血の吸収速度が高く、また加圧時の肌側表面への経血の戻りが少なく、また液吸収層に吸収されて経血の色が肌側表面から目立ちにくい生理用ナプキンを得る。
【解決手段】 表面シート５は多数の液透過孔５ａを有する樹脂フィルムで形成されており、表面シート５と液吸収層７との間には、多数の液透過孔１１ａを有する樹脂フィルムで形成されたバリヤー層１１が介在している。バリヤー層１１は帯状に形成され、隣り合うバリヤー層１１の間に液通過領域１２が形成されている。表面シート５の液透過孔５ａを透過した経血は、液通過領域１２から液吸収層７に吸収されるようになる。またバリヤー層１１が液の戻りを防止し、また経血の色を隠蔽するように機能する。
【選択図】図４

Description

本発明は、生理用ナプキンに係り、特に表面シートを透過した液を縦方向に拡散させ且つ液吸収層へ速やかに吸収させて横漏れを防止でき、また液吸収層に吸収された経血の色の隠蔽機能の高い生理用ナプキンに関する。

生理用ナプキンは、肌側表面に与えられた経血が液吸収層に速やかに吸収されること、与えられた液の横方向への洩れが生じにくいこと、液吸収層に吸収された経血が肌側表面に戻りにくいことなどが要求され、さらに液吸収層に吸収された経血の色を肌側表面から直接に目視できないように隠蔽しやすいことが好まれている。これらの要求を満たすために、一般には、表面シートの構造を工夫し、または表面シートと液吸収層との間にさらに他の部材を介在させている。

以下の特許文献１には、液体の取り入れを容易とし、且つ肌側表面に液が戻りにくく、さらに液体の色の隠蔽機能を向上させることを目的とした生理用ナプキンが開示されている。

特許文献１に記載の生理用ナプキンは、肌側表面に位置する第１通過層が樹脂フィルムで形成されて、この樹脂フィルムに１．４〜３．０ｍｍ^２の範囲の大きな開孔面積の開孔部が形成されている。また、第１通過層の下に位置する第２通過層が、空隙率の高い高ロフト弾性繊維材料により形成されている。また発明と対照させる構造として、第１通過層が前記のように開孔面積の大きな開孔部を有する樹脂フィルムで形成され、第２通過層が、開孔面積の小さい開孔部を有する樹脂フィルムで形成されたものが開示されている。

さらに、以下の特許文献２、特許文献３および特許文献４には、液透過性の表面シートと液吸収層との間に第２層が備えられた吸収性物品が開示されている。これら第２層は、いずれも不織布で形成され、この不織布には液吸収層に向けて窪んだ多数の凹部が形成されている。

前記凹部を有する第２層を用いることで、短時間に多量の液が与えられたときに前記凹部内で液体を保持して横方向への洩れの防止効果を高め、また前記凹部内に与えられた液を第２層内で拡散させることにより、肌側表面への液の戻りを抑制しようとしているものである。
特表平１１−５０７５７３号公報 特開２０００−１４００１５号公報 特開昭５５−９４２５１号公報 特開平６−３８９９８号公報

前記特許文献１に記載の発明は、第１通過層に開孔面積の大きな開孔部が形成されて液の通過機能が高められているが、第１通過層の下に、第２通過層である繊維層および液吸収層が位置しているため、肌側表面から体圧が作用したときに、液吸収層に吸収されている経血が、前記第２通過層を透過しさらに大きな開孔面積の前記開孔部を通じて肌側表面に戻りやすい。また、第２通過層の空隙内に経血が保持されやすく、第１通過層の大きな開孔面積の開孔部を通して前記経血の色が目視されることにより、肌側表面で経血の色が目立ちやすい。

また、前記特許文献１に記載された対照構造では、開孔面積の大きな開孔部が形成された第１通過層の下に、第２通過層として小さな開孔面積の開孔部が形成された樹脂フィルムが配置されている。この第２通過層を設けることにより、液吸収層に吸収された経血の色が肌側表面において目立たなくなる効果を発揮させることが可能と考えられるが、この第２通過層は、第１通過層を通過した経血に対して抵抗物として作用する。そのため、第１通過層と第２通過層との間に経血が滞留しやすく、滞留した経血は第１通過層と第２通過層との間において各層の面方向に広がるやすい。そのために横洩れを生じさせやすくなっている。さらには滞留した経血が第１通過層の開孔部を通過して肌側表面に戻りやすい。

次に、前記特許文献２ないし特許文献４に記載の吸収性物品では、表面シートを通過した液が、不織布で形成された第２層の凹部内に一時保持され、その後に第２層の繊維間を通過して液吸収層に吸収される。

これら吸収性物品が使い捨ておむつとして使用されて、尿などの比較的粘度の低い液が短時間のうちに多量に与えられた場合には、この尿を前記凹部で一時的に保持でき、また尿を第２層の繊維間を通過させて液吸収層に吸収させることが可能である。しかしながら、生理用ナプキンとして使用される場合のように、比較的粘度の高い経血が与えられたときには、経血が第２層の繊維間を通過しにくいため、前記凹部内において経血が滞留しやすく、この経血が表面シートを透過して肌側表面に戻りやすい。

本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、比較的粘度の高い経血を速やかに保持することができ、横方向への拡散を防止でき、さらに経血の色の隠蔽機能の高い生理用ナプキンを提供することを目的としている。

本発明は、肌側表面に位置する液透過性の表面シートと、着衣側表面に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された液吸収層とを有する生理用ナプキンにおいて、
前記表面シートと前記液吸収層との間に、複数のバリヤー層が設けられ、前記バリヤー層は、少なくとも前記表面シートに向く肌側表面が樹脂層で形成され、各バリヤー層は横方向に間隔を空けて縦方向に延びており、隣り合う前記バリヤー層の間に、横方向の幅よりも縦方向に長い液通過領域が形成され、この液通過領域を通過した液が前記液吸収層で吸収可能とされていることを特徴とするものである。

本発明の生理用ナプキンは、表面シートの下に設けられた前記バリヤー層により、液吸収層から表面シートへの液の戻りを防止でき、且つ液吸収層に吸収された経血の色を前記バリヤー層で隠蔽できる。また、隣り合うバリヤー層の間には液通過領域が設けられ、この液通過領域が縦方向に長く延びているため、表面シートを透過した経血が前記液通過領域に沿って縦方向に拡散しながら液吸収層に吸収される。したがって、経血を液吸収層に速やかに与えることができ、また経血の横方向への拡散を防止して、経血の横漏れを阻止しやすい。

本発明は、好ましくは前記バリヤー層には多数の液透過孔が形成されている。
前記バリヤー層に液透過孔が形成されていると、経血は前記液通過領域だけではなく前記液透過孔を通過することができるため、表面シートに与えらた経血を液吸収層に速やかに移行させやすくなる。

この場合に、前記表面シートは、少なくとも肌側表面が樹脂層で形成されて多数の液透過孔を有しており、前記表面シートと前記バリヤー層とが重ねられている領域において、前記表面シートの液透過孔の開孔面積よりも前記バリヤー層の液透過孔の開孔面積の方が小さく、且つ前記表面シートでの液透過孔の開孔面積率よりも前記バリヤー層での液透過孔の開孔面積率の方が小さいものとして構成することが好ましい。

表面シートの液透過孔の開孔面積を大きくすることにより、表面シートの表面に液が残りにくくなり、またバリヤー層での液透過孔の開孔面積を小さくすることにより、液吸収層から表面シートに向けての液の戻りが少なくなり、また液吸収層に吸収された経血の色を隠蔽する機能を高くできる。

本発明は、例えば、複数の前記バリヤー層は、帯状に形成されて縦方向に延びており、前記液通過領域の直下に前記液吸収層が位置しているものである。

この場合に、横方向に隣り合うバリヤー層間は、完全に分離されていてもよいし、または液通過領域を横断する連結部によって、縦方向に間隔を空けた位置で部分的に連結されていてもよい。

また本発明は、複数の前記バリヤー層は、帯状に形成されて縦方向に延びており、このバリヤー層が、２層重ねて設けられているものとして構成することができる。

この場合に、上層に位置するバリヤー層とバリヤー層との間の液通過領域の下に、下層のバリヤー層が位置するように、上下のバリヤー層が互い違いに配置されていることが好ましい。このように構成することにより、液吸収層から表面シートへの液の戻りを防止しやすくなる。

また本発明は、前記液通過領域には、その両側に位置する帯状の前記バリヤー層と一体のシートで形成された凹部が形成され、この凹部は前記液吸収層に向けて窪んで形成されているものとして構成できる。

バリヤー層を形成しているシートで凹部を形成することにより、表面シートを通過した液が凹部で一時保持されるが、この凹部は縦方向に向けて長く延びているため、経血は凹部内で縦方向に流れて、直ちに液吸収層に吸収されるようになる。

この場合に、前記凹部を形成している前記シートに、液を流出させる開口部が形成されていることが好ましい。

前記開口部は、表面シートに形成された液透過孔よりもさらに広い開口面積を有しているものとして構成される。前記凹部内に入り込んだ経血が、前記開口部から流れ出て液吸収層に速やかに吸収されるようになる。

本発明の生理用ナプキンは、液吸収層に吸収された経血が表面シートに向けて戻りにくく、また経血が縦長の液通過領域に沿って縦方向に拡散しながら液吸収層に吸収されるため、液の吸収速度が速く、横漏れも生じにくい。さらにバリヤー層が存在することにより、液吸収層に吸収された経血の色が肌側表面において目立ちにくくなる。

図１は本発明の第１の実施の形態の生理用ナプキンを肌側表面を手前に向けて示す平面図、図２は図１のＩＩ−ＩＩ線の断面図、図３は図２の部分拡大図、図４は表面シートとバリヤー層の詳細を示す部分斜視図、図５は生理用ナプキンの肌側表面を拡大した図面代用写真である。

図１に示す生理用ナプキン１は、Ｙ方向に向けて縦長形状であり、縦方向中心線Ｏｙを介して左右対称形状である。生理用ナプキン１の前縁部１ａと後縁部１ｂは、縦方向の前後に突出する突曲線形状である。左右両側部には、左右方向へ突出するウイング部２，２が形成されている。このウイング部２，２は、横方向中心線Ｏｘよりもやや前縁部１ａ側に偏った位置に設けられている。ウイング部２，２よりも前方には、前方右縁部１ｃと前方左縁部１ｄが形成され、ウイング部２，２よりも後方には、後方右縁部１ｅと後方左縁部１ｆが形成されている。

図２に示すように、この生理用ナプキン１の基本的な構造は、着用者の股間部に向けられる肌側表面に位置する液透過性の表面シート５と、下着のクロッチ部に向けられる着衣側表面に位置する液遮断性の裏面シート６とを有しており、前記表面シート５と前記裏面シート６との間に液吸収層７が設けられている。図１において破線で示すように、液吸収層７の前縁部７ａは前方に向く突曲線形状であり、生理用ナプキン１の前縁部１ａよりも内側に間隔を空けて位置し、液吸収層７の後縁部７ｂも後方に向く突曲線形状であり、生理用ナプキン１の後縁部１ｂから内側に間隔を空けて位置している。

液吸収層７の右縁部７ｃは、生理用ナプキン１の前方右縁部１ｃおよび後方右縁部１ｅよりも内側に間隔を空けて位置し、液吸収層７の左縁部７ｄは、生理用ナプキン１の前方左縁部１ｄおよび後方左縁部１ｆよりも内側に間隔を空けて位置している。前記液吸収層７の前縁部７ａ、後縁部７ｂ、右縁部７ｃおよび左縁部７ｄよりも外側に外れた領域において、前記表面シート５と裏面シート６とがホットメルト型接着剤で接着されている。

なお、生理用ナプキン１の肌側表面において、縦方向中心線Ｏｙから左右に所定距離を空けて、左右両側に液不透過性の側部シートが設けられていてもよいし、この側部シートによって、縦方向に延びて肌側表面から立ち上がる防漏壁が形成されていてもよい。

図１に示すように、この生理用ナプキン１は、横方向中心線Ｏｘから前後に等距離を空けた長さ寸法Ｌ１で且つ縦方向中心線Ｏｙから左右に等距離を空けた幅寸法Ｗ１の範囲が、主受液領域１０とされている。この主受液領域１０では、表面シート５と液吸収層７との間にバリヤー層１１が配置されている。

図４に示すように、前記バリヤー層１１は、横方向（Ｘ方向）の幅寸法がＷａで、前記主受液領域１０において縦方向に連続して延びる帯形状の樹脂フィルムである。図４では、前記バリヤー層１１が３本のみ図示されているが、前記主受液領域１０には、３本よりもさらに多くのバリヤー層１１が、横方向に間隔を空けて縦方向に連続して延びている。前記バリヤー層１１は、主受液領域１０において縦方向に途切れることなく連続して延びているが、このバリヤー層１１が主受液領域１０の縦方向の長さ寸法Ｌ１よりも短いものであって、前記縦方向の長さ寸法Ｌ１の全長に渡って存在するように並べられていてもよい。

隣り合うバリヤー層１１の間は、バリヤー層１１が存在しない液通過領域１２である。この液通過領域１２は、横方向（Ｘ方向）の幅寸法がＷｂであり、縦方向の長さ寸法は前記主受液領域１０の全長に渡って延びている。

この生理用ナプキン１が女性の股間部に装着されたときに、前記主受液領域１０が膣口に対向できるように、主受液領域１０の長さ寸法Ｌ１と幅寸法Ｗ１が定められている。前記長さ寸法Ｌ１の好ましい範囲は４０〜７０ｍｍであり、前記幅寸法Ｗ１の好ましい範囲は２０〜３０ｍｍであるが、前記バリヤー層１１を配置する領域の寸法は前記範囲に限られるものではない。

前記液通過領域１２の幅寸法Ｗｂは、例えば０．５〜１０ｍｍであり、好ましくは１〜８ｍｍ、または３〜８ｍｍである。前記液通過領域１２の幅寸法Ｗｂは、それぞれのバリヤー層１１の幅寸法Ｗａと同じであってもよいし、前記幅寸法Ｗａよりも小さくまたは大きくてもよい。例えば、主受液領域１０の面積に対する前記液通過領域１２の占める面積率は５〜７０％である。ただし、前記幅寸法Ｗｂは前記幅寸法Ｗａと同じかそれ以下であることが好ましく、主受液領域１０の面積に対する前記液通過領域１２の占める面積率は２５〜５０％であることが好ましい。

前記範囲であれば、バリヤー層１１の存在によって、液吸収層７に吸収された経血が表面シート５に逆戻りするのを効果的に防止でき、また液吸収層７に吸収された経血の色をバリヤー層１１と表面シート５とで効果的に隠蔽できる。さらに表面シート５を透過した経血が前記液通過領域１２を経て液吸収層７に吸収されやすくなる。

第１の実施の形態の生理用ナプキン１では、前記表面シート５が合成樹脂フィルムで形成されており、この表面シート５には多数の液透過孔５ａが規則的にまたはランダムに配置されて形成されている。また前記バリヤー層１１も合成樹脂フィルムで形成され、バリヤー層１１には多数の液透過孔１１ａが規則的にまたはランダムに配置されて形成されている。

少なくとも前記主受液領域１０すなわち前記バリヤー層１１および液通過領域１２が設けられている領域では、前記表面シート５に形成された個々の液透過孔５ａの開口面積が、バリヤー層１１に形成された個々の液透過孔１１ａの開口面積よりも広くなっている。表面シート５とバリヤー層１１とを同じ面積で比較したときに、表面シート５での液透過孔５ａの開孔面積率がバリヤー層１１での液透過孔１１ａの開孔面積率よりも大きくなっている。

例えば所定の開孔面積と開孔面積率の液透過孔を有する樹脂フィルムを用い、この樹脂フィルムを伸長させて前記液透過孔の開孔面積および開孔面積率を向上させる。そして伸長前の樹脂フィルムでバリヤー層１１を形成し、伸長させた樹脂フィルムで表面シート５を形成することができる。この場合には、バリヤー層１１が表面シート５よりも厚みが大きくなるため、隣り合うバリヤー層１１とバリヤー層１１との間に位置する液通過領域１２を、伸長前の樹脂の厚み分の深さの溝とすることができる。この溝により液通過領域１２に与えられた経血を縦方向に導くことができ、経血が液吸収層７に迅速に吸収されるとともに、液通過領域１２に与えられた経血が、バリヤー層１１と表面シート５との間に移行しにくくなって、生理用ナプキン１の横方向で経血が洩れるのを防止しやすくなる。

表面シート５の個々の液透過孔５ａの開孔面積は、バリヤー層１１の個々の液透過孔１１ａの開孔面積の１．５〜１０倍の範囲が好ましく、さらに好ましくは２〜６倍である。また、液透過孔５ａの開孔面積率と液透過孔１１ａの開孔面積率との比の好ましい範囲も前記と同等である。また、表面シート５の液透過孔５ａの縦方向および横方向の配列ピッチと、バリヤー層１１の縦方向および横方向の配列ピッチとが互いにずれている。

図５は、前記主受液領域１０の肌側表面を拡大した図面代用写真である。バリヤー層１１の液透過孔１１ａの開孔面積および開孔面積率を、表面シート５の液透過孔５ａの開孔面積および開孔面積率よりも小さくし、また液透過孔５ａの配列ピッチと液透過孔１１ａの配列ピッチとを互いにずらすことにより、肌側表面から見たときに、液透過孔５ａと液透過孔１１ａとの重なり部分が、適度に分布したものとなる。

図５に示すものは、表面シート５が横方向（Ｘ方向）に向けて延伸されており、個々の液透過孔５ａが横方向へ細長い形状である。またバリヤー層１１は、表面シート５と同じものを延伸しないで用いている。液透過孔５ａが横方向（Ｘ方向）へ長く形成され、液通過領域１２が縦方向（Ｙ方向）に長く形成されていることにより、液透過孔５ａと液通過領域１２との重なり部分が適度な面積率を占めるようになる。

前記バリヤー層１１の個々の液透過孔１１ａの開孔径は０．３〜３．５ｍｍの範囲であり、１．０〜２．５ｍｍの範囲が好ましく、個々の液透過孔１１ａの開孔面積は０．０７〜９．６１ｍｍ^２であり、好ましくは０．７８〜４．９１ｍｍ^２の範囲である。また液透過孔１１ａの開孔面積率は２０〜６０％であり、好ましくは３５〜５０％である。前記バリヤー層１１の厚み寸法は０．１５〜１．０ｍｍであり、好ましくは０．３〜０．７ｍｍである。前記表面シート５は前記バリヤー層１１と同じ樹脂フィルムを１．５〜４倍の範囲内で伸長させたものが好ましく使用される。

例えば、多数の孔を有する基材上で樹脂フィルムを軟化させ、前記基材の裏側からエアー吸引するパーフォレーション法によって、前記液透過孔を形成することができる。このパーフォレーション法によると、図３に示すように、バリヤー層１１の液透過孔１１ａが液吸収層７に向けて徐々に狭くなるテーパ穴となり、バリヤー層１１の裏面側には液透過孔１１ａの周囲から液吸収層７に突出するリブ１１ｂが形成される。同様に、表面シート５の液透過孔５ａもバリヤー層１１に向って径が徐々に狭くなるテーパ穴であり、液透過孔５ａの周囲からバリヤー層１１に向って突出するリブ５ｂが形成されている。

前記表面シート５およびバリヤー層１１は、ＬＬＤＰＥ（直鎖状低密度ポリエチレン）、ＬＤＰＥ（低密度ポリエチレン）、ＨＤＰＥ（高密度ポリエチレン）、ＰＰ（ポリプロピレン）、タフマー等の熱可塑性樹脂材料の単独もしくはブレンドした樹脂材料で形成される。または前記樹脂材料を多層化した多層フィルムによって形成される。また、前記樹脂材料に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを１０〜４０質量％の範囲で練り込んで白色化させたものが使用される。表面シート５とバリヤー層１１を白色化させることにより、液吸収層７に吸収された経血の色を隠蔽することができる。

また、前記表面シート５およびバリヤー層１１を形成している樹脂材料は、エステル系などの親水油剤が０．１〜２．５質量％塗布されまたは練り込まれて、親水化処理されている。

前記表面シート５とバリヤー層１１は互いに固定されている。例えば表面シート５とバリヤー層１１は、液の透過を妨げないように１〜１０ｇ／ｍ^２の範囲で塗工されたホットメルト型接着剤で接着されている。または表面シート５とバリヤー層１１はドット状に配列したエンボス部で加圧加熱されて溶着されている。エンボス部の面積率は１〜４０％であり、好ましくは１〜１５％である。

裏面シート６は、ＰＥ（ポリエチレン）樹脂フィルムなどの液遮断性シートで形成されている。前記液吸収層７は、粉砕パルプと高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）との混合体がティッシューペーパで包まれて構成されている。

液吸収層７と前記バリヤー層１１との間は、液の透過を妨げないように、１〜１０ｇ／ｍ^２の範囲で塗工されたホットメルト型接着剤で接着され、液吸収層７と裏面シート６もホットメルト型接着剤により接着されている。

この生理用ナプキン１は、下着のクロッチ部の内面に装着されて、裏面シート６の外面に設けられた感圧接着剤層の接着力により前記クロッチ部に固定される。またウイング部２，２が前記クロッチ部の両側縁部で下着の外面に向けて折られ、ウイング部２，２において裏面シート６の外面に設けられた感圧接着剤層が下着のクロッチ部の外面に接着される。

生理用ナプキン１が身体の股間部に装着されると、主受液領域１０が膣口に対向し、膣口から排出された経血は主として前記主受液領域１０に与えられる。主受液領域１０において、経血は表面シート５の比較的大きな液透過孔５ａ内を透過し、バリヤー層１１間に形成された液通過領域１２において液吸収層７に接触し、液吸収層７の親水力によって液吸収層７に吸収される。また、図５に示すように、バリヤー層１１と表面シート５とが重なり合っている部分では、表面シート５の液透過孔５ａとバリヤー層１１の液透過孔１１ａとが重なって液通過孔が形成されているため、主受液領域１０に与えられた経血の一部は、この液通過孔を経て液吸収層７に与えられる。

前記液通過領域１２は、所定の幅寸法Ｗｂで縦方向に向って延びている。主受液領域１０に対し、短時間に多量の経血が与えられると、この経血は、表面シート５の液透過孔５ａを通過し、液通過領域１２において縦方向に向けられながら液吸収層７に吸収される。この液通過領域１２の左右両側にバリヤー層１１が設けられているため、液通過領域１２に与えられた経血は、その両側においてバリヤー層１１で阻止され、表面シート５とバリヤー層１１との間に入りにくくなる。よって、経血は主受液領域１０から左右両側へ流出しにくくなり、生理用ナプキン１から横方向へ経血が洩れにくくなる。

表面シート５には開孔面積および開孔面積率の大きな液透過孔５ａが形成されているため、表面シート５の表面に液が残りにくい。しかし、図５に示すように、表面シート５とバリヤー層１１との重なりにより、生理用ナプキン１の肌側表面から液吸収層７に通じる液透過孔の面積は狭められ、且つ分散することになって、液吸収層７に吸収された経血が表面シート５の表面に戻りにくい。また、液吸収層７に吸収された経血の色が生理用ナプキン１の肌側表面において目立たなくなる。

図６は前記第１の実施の形態の変形例である生理用ナプキン１Ａを示すものであり、図３と同じ部分拡大断面図である。

図６に示す生理用ナプキン１Ａは、前記主受液領域１０において、前記表面シート５と液吸収層７との間に、バリヤー層１１が２層に重ねられて設けられている。上層ではバリヤー層１１が横方向（Ｘ方向）に間隔を空けて配置され、且つバリヤー層１１が縦方向に向けて延びており、隣り合うバリヤー層１１の間に液通過領域１２ａが形成されている。また下層には、上層と同じくバリヤー層１１が横方向に間隔を開けて設けられ、隣り合うバリヤー層１１の間に液通過領域１２ｂが設けられている。

そして、上層のバリヤー層１１の間の前記液通過領域１２ａの下に、下層のバリヤー層１１が位置し、上層のバリヤー層１１の下に下層の液通過領域１２ｂが位置するように、上層のバリヤー層１１と下層のバリヤー層１１とが、横方向（Ｘ方向）に向けて互い違いに配置されている。

図６に示すように、バリヤー層１１は、前記パーフォレーション法によって樹脂フィルムに液透過孔１１ａが形成されたものであり、液透過孔１１ａの周囲から液吸収層７に向けて突出する前記リブ１１ｂが形成されている。このリブ１１ｂが形成されたバリヤー層１１を少なくとも上層側に使用すると、上層に位置するバリヤー層１１と下層に位置するバリヤー層１１との間に、前記リブ１１ｂの高さ分だけの隙間ｈが形成される。

上層のバリヤー層１１間の液通過領域１２ａは、前記隙間ｈおよび樹脂フィルムの厚み分だけ深く形成されるため、表面シート５の液透過孔５ａを通過した経血が、上層の液通過領域１２ａにおいて縦方向に自由に動きながら、下層の液通過領域１２ｂを通過して液吸収層７に吸収されるようになる。

また、図６に示すように、下層のバリヤー層１１にも、液透過孔１１ａの周囲から液吸収層７に向って突出するリブ１１ｂが形成されているため、下層のバリヤー層１１の間に形成された液通過領域１２ｂも所定の深さを有する溝として機能する。よって、上層に位置するバリヤー層１１の液透過孔１１ａを透過した経血は、下層のバリヤー層１１の間の液通過領域１２ｂにおいて縦方向に自由度を有して移動しながら、その下に位置する液吸収層７に引き込まれる。

前記のように、上層に所定の深さの溝となる液通過領域１２ａが位置し、下層にも所定の深さの溝となる液通過領域１２ｂが配置されているため、表面シート５の下にバリヤー層１１が２層に設けられていても、肌側表面に与えられた経血が液吸収層７に速やかに移行できる。しかも、表面シート５の下にバリヤー層１１が２層に設けられていると、液吸収層７に吸収された経血が表面シート５に戻りにくく、また液吸収層７に吸収された経血の色が生理用ナプキン１Ａの肌側表面で目立たなくなる。

図７は、前記実施の形態に使用されているバリヤー層の変形例を示す部分拡大斜視図である。

このバリヤー層１１Ａは、前記実施の形態のバリヤー層１１と同様に白色化され且つ親水処理化された樹脂フィルム１３と、この樹脂フィルム１３に接合された繊維層１４とから構成されている。また、バリヤー層１１Ａには液透過孔１１ａが形成されている。前記液透過孔１１ａは、樹脂フィルム１３のみを貫通して形成されていてもよいし、前記樹脂フィルム１３と繊維層１４の双方を貫通して形成されていてもよい。

前記繊維層１４は親水性の不織布であり、繊維層１４は前記樹脂フィルム１３に接着剤で接着され、または熱溶融で接合され、あるいは繊維層１４と樹脂フィルム１３とがドット状のエンボス部において熱融着されている。前記不織布を構成する繊維は、ＰＥ、ＰＰ、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などの合成樹脂繊維で親水処理されたものが使用される。あるいは前記不織布にセルロース系繊維が含まれていてもよい。

図７に示すバリヤー層１１Ａは、その縁部に親水性の繊維層１４が現れているため、表面シート５の液透過孔５ａを透過した経血は、前記繊維層１４に引き付けられて、隣り合うバリヤー層１１Ａの間の液通過領域１２内に導かれやすくなる。

図８は、さらに他の変形例であるバリヤー層１１Ｂを示す平面図である。
このバリヤー層１１Ｂは、幅寸法が場所によって相違しており、幅広部と幅狭部とが縦方向（Ｙ方向）に向けて交互に形成されている。したがって、隣り合うバリヤー層１１Ｂの間に形成されている液通過領域１２ｄも、幅広部と幅狭部とが縦方向に向けて交互に繰り返して形成される。前記液通過領域１２ｄは、主に前記幅広部が経血を液吸収層７に導く機能を発揮し、主に幅狭部が液吸収層７から表面シート５への経血の戻りを防止しする機能を発揮しやすく、またこの幅狭部が、液吸収層７に吸収された経血の色を隠蔽する機能を発揮できる。

図９と図１０は前記実施の形態の変形例である生理用ナプキン１Ｂおよび生理用ナプキン１Ｄを示すものであるが、表面シート５の図示を省略して、液吸収層７とバリヤー層１１との位置関係のみを示している。

図９に示す生理用ナプキン１Ｂは、バリヤー層１１の横方向の間隔、すなわち液通過領域１２の幅寸法が、縦方向中心線Ｏｙから左右に一定の範囲の中央領域においてＷｄで示すように広くなっており、それよりも左右両外側では前記幅寸法はＷｅで示すように狭くなっている。前記幅寸法は、縦方向中心線Ｏｙから左右外側に向うにしたがって、徐々に変化し、または段階的に変化していてもよい。

図９に示す生理用ナプキン１Ｂでは、縦方向中心線Ｏｙに近い中央領域において、表面シート５を透過した経血を液吸収層７に導きやすくなり、それよりも左右両外側では、液吸収層７から表面シート５への液の戻りが生じにくく、また前記左右両外側では、液吸収層７に吸収された経血の色を隠蔽する機能を高く発揮できる。

図１０に示す生理用ナプキン１Ｄは、逆に縦方向中心線Ｏｙを含む中央領域において液通過領域１２の幅寸法Ｗｆが狭くなっており、それよりも左右両外側では、前記液通過領域１２の幅寸法Ｗｇが広くなっている。

前記幅寸法ＷｄとＷｇは０．５〜１０ｍｍであり、１〜５ｍｍが好ましい。またＷｅとＷｆは最短で０．５ｍｍ以上である。

なお、図９と図１０に示す例において、各バリヤー層１１の幅寸法は同じであってもよいし、場所によって幅寸法が変化してもよい。

また、前記実施の形態において、隣り合うバリヤー層１１どうしが、液通過領域１２を挟んで互いに完全に分離されて形成されていてもよいし、液通過領域１２内において縦方向に間隔を開けた場所で、隣り合う前記バリヤー層１１どうしが、連結部を介して一体に形成されているものであってもよい。

図１１は本発明の第２の実施の形態の生理用ナプキン１０１を示すものであり、図３と同じ拡大断面図であり、図１２は図４と同じ部分拡大斜視図である。

第２の実施の形態の生理用ナプキン１０１は、表面シート５と液吸収層７との間に開孔シート１１０が介在している。この実施の形態では、前記開孔シート１１０が、前記第１の実施の形態のバリヤー層１１と同じように白色化処理および親水処理された樹脂フィルムで形成され、また多数の液透過孔１１ａが形成されている。液透過孔１１ａの開孔面積および開孔面積率は、表面シート５の液透過孔５ａの開孔面積および開孔面積率よりも小さい。

前記開孔シート１１０は、図１２に示すように変形加工されており、横方向（Ｘ方向）に向けて凸部と凹部が繰り返し、且つ凸部と凹部は縦方向（Ｙ方向）へ連続して延びている。そして、開孔シート１１０に形成された凸部の頂部がバリヤー層１１１として機能し、このバリヤー層１１１は表面シート５の真下に接触している。また開孔シート１１０に形成された凹部が液通過領域１１２として機能しており、この液通過領域１１２の底部は前記液吸収層７に接触している。

前記生理用ナプキン１０１では、表面シート５の液透過孔５ａを通過した経血が、開孔シート１１０の凹部である液通過領域１１２内に導かれる。経血はこの液通過領域１１２の底部にて縦方向に向けられながら、液吸収層７の親水力により引き付けられ、凹部の底部に形成された液透過孔１１ａを透過して液吸収層７に吸収されて保持される。

経血は、縦方向に延びる液通過領域１１２によって縦方向へ方向付けされるため、表面シート５と開孔シート１１０との間で経血が横方向へ移行しにくくなり、横漏れが生じにくくなる。また、表面シート５と開孔シート１１０とが重ねられているために液吸収層７から表面シート５に液が戻りにくく、また液吸収層７に吸収された経血の色が肌側表面にて目立たなくなる。

図１３は、前記第２の実施の形態の変形例となる生理用ナプキン１０１Ａを示す部分拡大斜視図である。

この生理用ナプキン１０１Ａは、前記第２の実施の形態の生理用ナプキン１０１において、前記開孔シート１１０と液吸収層７との間に、さらに他の開孔シート１１０Ａが介在しているものである。この開孔シート１１０Ａは、凸部１１１ａと凹部１１２ａが、縦方向（Ｙ方向）に交互に配置され、凸部１１１ａと凹部１１２ａが横方向（Ｘ方向）へ連続して延びている。この開孔シート１１０Ａは、その上に位置する開孔シート１１０と同じ樹脂フィルムであってもよい。ただし、開孔シート１１０Ａに形成された液透過孔１１３の開孔面積および開孔面積率が、開孔シート１１０の液透過孔１１ａの開孔面積および開孔面積率よりも大きいことが好ましい。

図１３に示す生理用ナプキン１０１Ａでは、表面シート５の液透過孔５ａを透過した経血が、その下の開孔シート１１０の液通過領域１１２によって縦方向へ方向付けられながら、その下の開孔シート１１０Ａに与えられ、開孔シート１１０Ａの液透過孔１１３を経てその下の液吸収層７に吸収される。

図１３に示す生理用ナプキン１０１Ａでは、液吸収層７から表面シート５への液の戻りを防止でき、液吸収層７に吸収された経血の色を肌側表面から目立たないように隠蔽できるようになる。また、前記のように下層側の開孔シート１１０に形成された液透過孔１１３の開孔面積および開孔面積率を大きくし、また表面シート５の液透過孔５ａの開孔面積および開孔面積率を大きくすることにより、主受液領域１０に与えられた経血が液吸収層７に引き込まれやすくなる。

図１４（Ａ）は、前記開孔シート１１０の好ましい構造を示す部分斜視図である。
図１４（Ａ）に示す開孔シート１１０は、予め所定の液透過孔１１ａが形成された開孔樹脂フィルムを、互いに噛み合う凹凸部をそれぞれ有するエンボスロール間で挟んで、凹凸状に成型したものである。エンボス加工によって凹凸部を形成すると、凸部の側壁（凹部の側壁）においてフィルムおよび開孔が引き伸ばされ、凸の頂部や凹の底部に位置する前記液透過孔１１ａよりも大きな開孔面積の開口部１１ｄが形成される。

図１４（Ａ）に示す開孔シート１１０を使用すると、液通過領域１１２に流れ込んできた経血が、前記開口部１１ｄを通過して液吸収層７に移行しやすくなる。しかも、凸の頂部であるバリヤー層１１１と凹の底部である液通過領域１１２には極端に拡開されていない液透過孔１１ａが存在しているため、生理用ナプキン１を受液側から見たときに、液吸収層７に吸収された経血の色が目立たなくなる。

図１４（Ｂ）に示す開孔シート１１０Ｂは、図４（Ａ）に示す開孔シート１１０の液吸収層７に対面する側に、図７に示したのと同じ親水性の繊維層１４を接合したものである。この親水性の繊維層１４は、前記開口部１１ｄに露出しているため、液通過領域１１２に至った経血が繊維の親水力により開口部１１ｄから引き付けられ、速やかに液吸収層７に移行させられるようになる。

図１５ないし図１７のそれぞれは、第２の実施の形態において、表面シート５の下に配置される開孔シートの変形例を示す部分斜視図である。

図１５に示す開孔シート２１０は、前記バリヤー層１１および前記開孔シート１１０と同様に多数の液透過孔１１ａを有する樹脂フィルムで形成されている。この開孔シート２１０には、横方向（Ｘ方向）の幅寸法よりも縦方向の長さ寸法が長い凹部２１２が形成されており、この凹部２１２は縦方向に向けて互い違いに配置されている。凹部２１２が形成されていない部分がバリヤー層２１１であり、前記凹部２１２が液通過領域として機能している。

また、図１５に示す開孔シート２１０を凹凸エンボスロールを使用して凹凸状に形成すると、図１４（Ａ）に示したのと同様に、凹部２１２の側壁に液透過孔１１ａよりも拡開された開口部を形成することができる。さらに図１５の変形例において、図１４（Ｂ）に示したのと同じ親水性の繊維層１４を接合して、凹部２１２の側壁に拡開して形成された開口部から前記繊維層１４を露出させてもよい。

図１６に示すシート３１０は、白色化処理され且つ親水化処理された樹脂フィルムで形成されているが、この樹脂フィルムには多数の液透過孔１１ａが形成されていない。シート３１０には、図１５と同様に、横方向の幅寸法よりも縦方向の寸法が長い凹部３１２が形成され、この凹部３１２は縦方向に互い違いに配置されている。そして、個々の凹部３１２の左右両側の側壁部には、縦方向に長く延びる開口部３１３が形成されている。この開口部３１３は、前記液透過孔５ａや１１ａよりも十分に大きい開孔面積を有しており、開口部３１３は少なくとも凹部３１２の縦方向の長さ寸法の１／２以上の長さで開口している。

多数の液透過孔５ａを有する表面シート５と液吸収層７との間に前記シート３１０を介在させると、凹部３１２が形成されていない部分がバリヤー層３１１として機能し、凹部３１２が液通過領域として機能する。表面シート５の液透過孔５ａを通過した経血は凹部３１２内に導かれ、縦方向に移行しながら開口部３１３を経て液吸収層７で吸収される。

なお、図１６に示すシート３１０を、多数の液透過孔１１ａを有する樹脂フィルムで形成することも可能である。

図１７に示すシート３１０Ａは、図１６に示したシート３１０の裏面に、親水性の不織布３１４が接合されている。この不織布３１４は、エアースルー不織布などのように、親水処理された合成樹脂繊維で形成された液透過性である。あるいはセルロース系繊維を含む不織布であってもよい。不織布３１４が開口部３１３に現れていると、凹部３１２内に導かれた経血が、不織布３１４に引き付けられて液吸収層７に移行できるようになる。

また、図１１と図１２に示す開孔シート１１０の液通過領域１１２、図１５に示す液通過領域（凹部２１２）、図１６と図１７に示す液通過領域（凹部３１２）の幅寸法の好ましい範囲は、図３および図４に示すＷｂと同じである。また、図９と図１０に示すように、液通過領域の幅寸法を幅方向の位置に応じて相違させてもよい。

図１８は、本発明の他の構造の生理用ナプキン４０を示す平面図である。
この生理用ナプキン４０では、前記バリヤー層１１が存在している主受液領域１０の左右両側に縦方向圧縮溝４１，４１が形成され、主受液領域１０の前方と後方に横方向圧縮溝４２，４２が形成されている。

以下の実施例および比較例の生理用ナプキンを製造した。
（実施例１）
図３および図４に示したのと同等の構造の生理用ナプキンを実施例１とした。

親水性油剤を０．３質量％、酸化チタンを７質量％含むＰＥ樹脂で樹脂フィルムを形成し、パーフォレーション法によって多数の液透過孔を形成した。樹脂フィルムの目付けは２７ｇ／ｍ^２、個々の液透過孔の開孔面積を０．３ｍｍ^２、開孔面積率を２５％とした。これを基本開孔フィルムとした。

前記基本開孔フィルムを幅寸法Ｗａが３ｍｍとなるように切断してバリヤー層１１とした。このバリヤー層１１をＷｂ＝２ｍｍの間隔を開けて配置し、バリヤー層１１間の液通過領域１２の幅寸法を前記２ｍｍとした。

前記基本開孔フィルムを横方向（Ｘ方向）へ向けて２００％の長さに延伸し、液透過孔を横方向へ拡張したものを表面シート５として用いた。

液吸収層７として、目付けが５００ｇ／ｍ^２の粉砕パルプを、目付けが１５ｇ／ｍ^２のティッシューペーパで包んだものとした。
裏面シート６を、坪量が２３．５ｇ／ｍ^２のＰＥフィルムで形成した。

（実施例２）
前記基本開孔フィルムで、図１１と図１２に示す凹凸形状を有する開孔シートを形成した。バリヤー層１１１の幅寸法を３ｍｍ、液通過領域１１２となる凹部の幅寸法２ｍｍ、凹部の深さを２．０ｍｍとした。なお、凹凸を形成するエンボスロール間に０．５ｍｍのクリアランスを設け、開孔フィルムの開孔が潰れないようにした。
それ以外の構成は実施例１と同じである。

（実施例３）
図６に示すように、バリヤー層１１と上下に二重に配置し、上層のバリヤー層１１間の液通過領域１２ａの下に下層のバリヤー層１１が対向するようにした。

上層と下層のバリヤー層１１は、前記基本開孔フィルムを使用し、共に幅寸法Ｗａが３ｍｍとし、バリヤー層１１間の間隔、すなわち液通過領域１２ａ，１２ｂの幅寸法Ｗｂを２ｍｍとした。
それ以外の構成は実施例１と同じである。

（比較例１）
前記基本開孔フィルムを表面シート５として用いた。

表面シート５と液吸収層７との間に、芯部がＰＰで鞘部がＰＥの芯鞘型複合合成繊維（４．４ｄｔｅｘ、平均繊維長５１ｍｍ）で形成したエーアスルー不織布（目付け２０ｇ／ｍ^２、厚み０．５ｍｍ）を配置した。
それ以外の構成は実施例１と同じである。

（比較例２）
前記基本開孔フィルムを表面シート５として使用し、表面シート５と液吸収層７との間に、前記基本開孔フィルムを切断することなく配置した。
それ以外の構成は実施例１と同じである。

（比較例３）
実施例１と同様に前記基本開孔フィルムを横方向に２００％の長さに延伸したものを表面シート５として使用した。

表面シート５と液吸収層７との間に、前記基本開孔フィルムを切断することなく配置した。
それ以外の構成は実施例１と同じである。

（試験方法）
前記各実施例および比較例の生理用ナプキンを、肌側表面を上に向けて平面に配置し、前記各材料が積層されている領域（主受液領域１０）へ、オートピューレットで人工経血を４回滴下させた。

１回目…人工経血３ｇを、９０ｇ／１分の流量で与えた。
２回目…１回目の滴下が完了した後、１分間経過した後に、人工経血４ｇを、９６ｇ／１分の流量で与えた。
３回目…２回目の滴下が完了した後、３分間経過した後に、人工経血３ｇを、９０ｇ／１分の流量で与えた。
４回目…３回目の滴下が完了した後、１分間経過した後に、人工経血４ｇを、９６ｇ／１分の流量で与えた。

ここで、人工経血は、４リットルのイオン交換水に、グリセリン３００ｇ、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を３０ｇ、塩化ナトリウム４０ｇを加えて攪拌し、赤色食紅で着色したものを用いた。

前記各回の人工経血の滴下開始から時間計測を開始し、実施例および比較例の肌側表面から経血が液吸収層７に完全に吸収されるまでの時間を測定した。

次に前記４回の滴下が完了した後に、実施例および比較例の肌側表面に、濾紙を乗せさらにアクリル板を乗せて、このアクリル板の上に５ｋｇの重りを載せた。３分間放置した後に、濾紙、アクリル板および重りを除去し、色差計を用いて人工経血を与えた受液面の色と、白色との間の色差（ΔＥ）を測定した。
測定結果を以下の表１に示す。

上記表１のように、実施例１ないし３はいずれも人工経血の吸収時間が速く、また液吸収層７から表面シート５への人工経血の戻りも生じにくい。

本発明の第１の実施の形態の生理用ナプキンを示す平面図、 図１に示す生理用ナプキンのＩＩ−ＩＩ線の断面図、 図２の部分拡大図、 表面シートとバリヤー層との配置関係を示す部分拡大斜視図、 図１に示す生理用ナプキンの主受液領域を拡大した図面代用写真、 第１の実施の形態の変形例である生理用ナプキンを示す拡大断面図、 バリヤー層の変形例を示す拡大斜視図、 バリヤー層の変形例を示す拡大平面図、 バリヤー層の配置状態の変形例を示す一部断面図、 バリヤー層の配置状態の変形例を示す一部断面図、 本発明の第２の実施の形態の生理用ナプキンの部分拡大図、 前記第２の実施の形態の生理用ナプキンの部分斜視図、 第２の実施の形態の変形例となる生理用ナプキンの部分斜視図、 （Ａ）（Ｂ）は第２の実施の形態の開孔シートの好ましい例を示す部分斜視図、 第２の実施の形態の開孔シートの変形例を示す斜視図、 第２の実施の形態の開孔シートの変形例を示す斜視図、 第２の実施の形態の開孔シートの変形例を示す斜視図、 本発明の他の構造の生理用ナプキンを示す平面図、

符号の説明

１ 生理用ナプキン
５ 表面シート
５ａ 液透過孔
６ 裏面シート
７ 液吸収層
１０ 主受液領域
１１ バリヤー層
１１ａ 液透過孔
１２ 液通過領域
１１０ 開孔シート
１１１ バリヤー層
１１２ 凹部（液通過領域）

Claims (8)

1. 肌側表面に位置する液透過性の表面シートと、着衣側表面に位置する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された液吸収層とを有する生理用ナプキンにおいて、
   前記表面シートと前記液吸収層との間に、複数のバリヤー層が設けられ、前記バリヤー層は、少なくとも前記表面シートに向く肌側表面が樹脂層で形成され、各バリヤー層は横方向に間隔を空けて縦方向に延びており、隣り合う前記バリヤー層の間に、横方向の幅よりも縦方向に長い液通過領域が形成され、この液通過領域を通過した液が前記液吸収層で吸収可能とされていることを特徴とする生理用ナプキン。
2. 前記バリヤー層には多数の液透過孔が形成されている請求項１記載の生理用ナプキン。
3. 前記表面シートは、少なくとも肌側表面が樹脂層で形成されて多数の液透過孔を有しており、前記表面シートと前記バリヤー層とが重ねられている領域において、前記表面シートの液透過孔の開孔面積よりも前記バリヤー層の液透過孔の開孔面積の方が小さく、且つ前記表面シートでの液透過孔の開孔面積率よりも前記バリヤー層での液透過孔の開孔面積率の方が小さい請求項２記載の生理用ナプキン。
4. 複数の前記バリヤー層は、帯状に形成されて縦方向に延びており、前記液通過領域の直下に前記液吸収層が位置している請求項１ないし３のいずれかに記載の生理用ナプキン。
5. 複数の前記バリヤー層は、帯状に形成されて縦方向に延びており、このバリヤー層が、２層重ねて設けられている請求項１ないし３のいずれかに記載の生理用ナプキン。
6. 上層に位置するバリヤー層とバリヤー層との間の液通過領域の下に、下層のバリヤー層が位置するように、上下のバリヤー層が互い違いに配置されている請求項５記載の生理用ナプキン。
7. 前記液通過領域には、その両側に位置する帯状の前記バリヤー層と一体のシートで形成された凹部が形成され、この凹部は前記液吸収層に向けて窪んで形成されている請求項１ないし３のいずれかに記載の生理用ナプキン。
8. 前記凹部を形成している前記シートに、液を流出させる開口部が形成されている請求項７記載の生理用ナプキン。