JP2005296282A - 内服用吸着剤の分包包装体及びその製造方法 - Google Patents

内服用吸着剤の分包包装体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】気体を吸脱着する内服用吸着剤の分包包装用であり、通常の取扱い温度において形状変化が小さく、内服用吸着剤が軟質包装材料に捕捉されにくい分包包装体及びその製法を提供する。
【解決手段】分包包装体は、10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.3〜10mLの空気を放出する内服用吸着剤が包装されている分包包装体であって、その分包包装体の30℃における実測定体積が、包装されている内服用吸着剤の体積の250%以上である。製法は、室温より5℃低い温度乃至−40℃の内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填後に気密包装するか、内服用吸着剤の充填後に空気あるいは窒素ガスなどを充填した後に気密包装する。
【選択図】なし

Description

本発明は、内服用吸着剤の分包包装体及びその製造方法に関する。詳しくは、10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.3〜10mLの空気を放出する内服用吸着剤が包装されている分包包装体であって、その分包包装体の30℃における実測定体積が、包装されている内服用吸着剤の体積の250%以上であることを特徴とする分包包装体に関する。本発明によれば、医薬品、医薬部外品、又は健康食品として使用することが可能な内服用吸着剤の分包包装体が提供される。
粉末を軟質のプラスチック容器に充填することは広く実施されている技術である。しかしながら、ある種の内服用吸着剤は、本来の吸着を期待される物質のほかに、空気を吸脱着する性質を持つ。これは、周囲の環境の温度を上昇させることにより、内服用吸着剤に吸着されている空気が脱着ないし放出され、あるいは周囲の環境の圧力を低下させることによっても同様に内服用吸着剤に吸着されている空気が脱着ないし放出される現象である。この現象は、可逆的であり、周囲の環境の温度を低下させると、周囲の空気が内服用吸着剤に吸着され、あるいは周囲の環境の圧力を上昇させることによっても同様に周囲の空気が内服用吸着剤に吸着される。
このような性質をもつ内服用吸着剤の代表例として、経口的な服用が可能で、腎臓や肝臓の機能障害を治療することができる経口吸着剤が開発され、利用されている(特許文献1)。その経口吸着剤は、特定の官能基を有する多孔性の球形炭素質物質(すなわち、表面改質球状活性炭)からなり、生体に対する安全性や安定性が高く、同時に腸内での胆汁酸の存在下でも有毒物質の吸着性に優れ、しかも、消化酵素等の腸内有益成分の吸着が少ないという有益な選択吸着性を有し、また、便秘等の副作用の少ない経口治療薬として、例えば、肝腎機能障害患者に対して広く臨床的に利用されている。なお、前記特許文献1に記載の吸着剤は、石油ピッチなどのピッチ類を炭素源とし、球状活性炭を調製した後、酸化処理、及び還元処理を行うことにより製造されていた。また、前記の選択吸着性、すなわち、有毒物質に対しては優れた吸着性を示し、腸内有益成分の吸着が少ないという有益な選択吸着性を更に向上させた経口投与用吸着剤も知られている(特許文献2)。この特許文献2に記載の経口投与用吸着剤は、細孔直径20〜15000nmの細孔体積が0.04mL/g以上で0.10mL/g未満という特定範囲の細孔体積において、前記の選択吸着性が向上する現象を発見したことに基づくものであり、有毒物質を充分に吸着すると共に、特に、腸内有益成分の吸着を抑制することが望ましい疾患に対して極めて有効である。
前記の経口投与用吸着剤における吸着能は、熱や光の作用によって性能が低下することはないが、長時間空気中に放置することにより、空気中の水分により次第に吸着能が低下する。この性能低下を防ぐためには、気密容器に保存することが必要である。
気密容器とは、日本薬局方の定義によると、日常の取扱いをし、あるいは通常の保存状態において、液状又は固形の異物又は水分が侵入せず、内容医薬品が損失し、風解し、潮解し、又は蒸発しない様に保護することができる容器をいう。例えば、チューブ、缶、分包、又はプラスチック容器などである。
内服用吸着剤を気密包装する場合に用いられる包装形態には、缶包装、パッキンを付与した蓋を使用する瓶包装、そして三方シール包装、四方シール包装、スティック包装等の分包包装があり、特に分包包装は、1回に服用するべき内服用吸着剤を包装することができる点で、優れた包装形態である。
これらの内服用吸着剤の分包包装体も、既に本発明者らによって提案されており、公知である(特許文献3)。すなわち、特許文献3には、
「10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.3〜10mLの空気を放出する内服用吸着剤が包装されている分包包装体であって、分包包装体の10℃から30℃までの体積膨張率が0〜0.064mL/℃・g(内服用吸着剤)であり、25℃における分包包装体の内部圧力が40〜740mmHgであることを特徴とする内服用吸着剤の分包包装体」が記載されており、こうした分包包装体は、例えば、室温より5℃高い温度乃至300℃で充填するか、あるいは減圧下で充填することによって製造可能であることも知られている。
10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.3〜10mLの空気を放出する内服用吸着剤をこのような方法で包装すると、包装する直前における吸着剤中に内包されている空気が外部に放出されるので、その吸着剤を分包包装体用容器内に気密包装した後に、内服用吸着剤の温度が低下すると、分包包装体用容器中に含まれている空気を内服用吸着剤が吸着し、内部圧力が低下するので、真空包装状態になる。従って、軟質包装材料からなる分包包装体用容器を用いると、その容器内の空気が内服用吸着剤によって吸着されていくのに伴って内部体積が減少し、容器内空気の全量が内服用吸着剤によって吸着され尽くすと、包装材料の内部表面が相互に密着して分包包装体の全体が扁平化し、内服用吸着剤も包装材料と緊密に接触し、内服用吸着剤が包装材料の内部表面間に捕捉される。
特公昭62−11611号公報 特許第3522708号 特許第2607422号
前記のような扁平化包装形態で内服用吸着剤を包装した分包包装体の場合には、通常の取扱いにおいて周囲の温度の影響を受けて分包包装体が変形して膨張することはなく、輸送や保存中に体積が増加しない点で非常に有利である。しかし、一方で、開封時に内容物である内服用吸着剤が全量一度に出てこないことがある。すなわち、内服用吸着剤の一部が包装材料の壁面に物理的に押し込まれて付着し、容易に剥がれないという現象である。このような現象は、用法用量が決まっている医薬品や医薬部外品にとっては、有効性を担保する量を服用させることができないことになり、問題がある。この付着の原因の一つは、包装材料の内面が柔らかく、相対的に硬い内服用吸着剤が包材にめり込んでしまうことにより生じる。この解決策のひとつとして、包装材料の内面を改良することにより付着を防止することが挙げられ、既に本発明者らは、特願2003−177334号明細書でその一例を提案している。
しかしながら、気密容器用の材料としては種々の材料が存在しており、任意の材料を採用した場合でも、内服用吸着剤が包材にめり込んでしまうという前記の欠点を示さない気密包装方式を開発することが望まれていた。
従って、本発明の課題は、気体を吸脱着する性質を有する内服用吸着剤を包装した分包包装体の形状が、通常の取扱いにおいて周囲温度の影響を受けて変化せず、しかも、軟質包装材料を用いた場合においても内服用吸着剤が軟質包装材料に捕捉されにくい包装様式を提供することにある。
前記の課題は、本発明により、
10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.3〜10mLの空気を放出する内服用吸着剤が包装されている分包包装体であって、その分包包装体の30℃における実測定体積が、包装されている内服用吸着剤の体積の250%以上であることを特徴とする分包包装体によって解決することができる。
本発明による分包包装体の好ましい態様においては、分包包装体の30℃における実測定体積が、式(1):
V=(D/2)×π×H (1)
(式中、Vは、理論的最大体積であり、Dは、分包包装体用容器の短い方向の長さであり、Hは、分包包装体用容器の長い方向の長さである)
で計算される理論的最大体積(V)に対して10乃至100%である。
また、本発明による分包包装体の好ましい態様においては、分包包装体用容器がシール可能なプラスチックフィルムを内層にもつ単層又は多層フィルムで、透湿度が0〜5g/m・24hである材料からなる。
また、本発明は、
次の(ア)、(イ)、又は(ウ)のいずれかの方法により、内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填することを特徴とする、前記の分包包装体の製造方法にも関する:
(ア)室温より5℃低い温度乃至−40℃の内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填後に気密包装する;
(イ)内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填し、そして容器内に空気あるいは窒素ガスを充填したのち、気密包装する;あるいは、
(ウ)室温より5℃低い温度乃至−40℃の内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填した後、容器内に空気あるいは窒素ガスを充填して、気密包装する。
本発明による分包包装体は、常温において適度な内部体積を有しており、通常の取扱い周囲温度における体積変化が小さいので、気体を吸脱着する内服用吸着剤を包装しているにもかかわらず、輸送や保存に不都合が無く、しかも、開封して服用する際にも、内服用吸着剤が分包包装体用容器(例えば、分包包装袋)に付着して取り出しにくくなることもない。
本発明で使用される内服用吸着剤は、保存中に、温度の変化によって空気を吸着したり放出したりする内服用吸着剤であれば、どのような内服用吸着剤でもよい。例えば、10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.3〜10mLの空気を放出する内服用吸着剤である。
本明細書において「空気放出量」は次のようにして測定する。内服用吸着剤を防湿包装袋に充填し、ヒートシールして包装体とする。この包装体をメスシリンダー内壁に固定する。水を加え、包装体全体が水に浸るようにする。このメスシリンダーを10℃の恒温槽中に固定し、液面の目盛りを読みとり、30℃まで昇温して、液面の増加量を読みとる。水自体の10℃から30℃までの体積膨張量を差引き、内服用吸着剤重量で除して、1g当たりの空気放出量とする。
このような内服用吸着剤の例は、医薬として使用することができる炭、活性炭、球形炭素質吸着剤、アルミニウム・鉄・チタン・珪素等の酸化物や水酸化物、ヒドロキシアパタイト等である。好ましい内服用吸着剤は、例えば、前記特許文献1や前記特許文献2に記載の球形炭素質吸着剤である。前記特許文献1に記載の球形炭素質吸着剤は、直径0.05〜1mm、細孔半径80オングストローム以下の空隙量0.2〜1.0mL/g、酸性基と塩基性基の両方を有する多孔性の球形炭素質物質である。
酸性基と塩基性基の好ましい範囲は、全酸性基(A)0.30〜1.20meq/g、全塩基性基(B)0.20〜0.70meq/g、A/B 0.40〜2.5である。全酸性基(A)と全塩基性基(B)は、前記特許文献1や前記特許文献2に記載されているとおり、以下の常法によって定量することができる。
(イ)全酸性基(A)
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形吸着炭1gを添加し、48時間振とう後、球形吸着炭を濾別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量。
(ロ)全塩基性基(B)
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球形吸着炭1gを添加し、24時間振とう後、球形吸着炭を濾別し、中和滴定により求められるHClの消費量。
前記特許文献1や前記特許文献2に記載の球形炭素質吸着剤を肝腎疾患治療薬として用いる場合、その投与量は対象(動物あるいはヒト)、年齢、個人差、病状等に依存する。例えば、ヒトの場合、経口投与量は、通常、1日当たり1〜10gであり、1回で服用されるか、又は2〜4回に分けて服用されている。場合により、1日量は適宜増減されてもよい。1包の分包包装体用容器には、1回服用量ないしその整数分の1量、例えば、0.1〜10gの内服用吸着剤を充填する。更にビタミン類や、服用補助剤、他の医薬品や滑沢剤等を加えて充填することも可能である。服用法の例は、分包包装体用容器を開封して、内服用吸着剤を口の中に入れ、水等と共にのみこむことである。また、内服用吸着剤を水又はジュース等に懸濁して、飲むこともできる。
本発明による分包包装体の30℃における実測定体積は、包装されている内服用吸着剤の体積の250%以上であり、好ましくは275%以上、より好ましくは300%以上である。分包包装体の30℃における実測定体積が、包装されている内服用吸着剤の体積の250%未満になると、低温で放置した場合、内服用吸着剤が包装体内の空気を吸着してしぼみ、分包包装体の包材に内服用吸着剤が多量に付着することがある。
本明細書において、分包包装体の「実測定体積」は、例えば、以下の方法によって測定することができる。内服用吸着剤を防湿包装袋に充填し、ヒートシールして包装体とする。メスシリンダーのような体積を測定する器具に一定量の水を入れ、30℃の恒温水槽につけて30℃に加温する。メスシリンダー内の水の中に分包包装体を浸漬して30℃に保ち、メスシリンダーの水量の増加分を分包包装体の「実測定体積」とする。
また、本明細書において、包装されている「内服用吸着剤の体積」とは、内服用吸着剤をJIS K1474−5.7で測定したかさ密度の逆数と内服用吸着剤の質量の積であり、例えば、JIS K1474−5.7に示されたかさ密度測定器に内服用吸着剤を流し込んで、一定体積の質量を測定することにより、単位質量当たりの体積を計算で求めることができる。
本発明の分包包装体の30℃における実測定体積は、式(1):
V=(D/2)×π×H (1)
(式中、Vは、理論的最大体積であり、Dは、分包包装体用容器の短い方向の長さであり、Hは、分包包装体用容器の長い方向の長さである)
で計算される理論的最大体積(V)に対して、好ましくは、10%〜100%、より好ましくは15%〜100%、最も好ましくは20%〜100%である。ここで、分包包装体用容器の短い方向の長さとは、分包包装体用容器が、例えば、スティック状分包包装袋の場合に、スティック状分包包装袋の底面又は上面の直径であり、分包包装体用容器の長い方向の長さとは、分包包装体用容器が、例えば、スティック状分包包装袋の場合に、スティック状分包包装袋の高さに相当する。本発明の分包包装体の体積が、理論的最大体積(V)に対して10%未満になると、低温で放置した場合、内服用吸着剤が包装体内の空気を吸着してしぼむ。これを開封して内服用吸着剤を取り出したとき、分包包装体の包材内面に内服用吸着剤が多量に付着することがある。
このような内服用吸着剤を分包包装した場合、その分包包装体の30℃における実測定体積が、包装されている内服用吸着剤の体積の250%以上となるように分包包装することができれば、その方法は問わないが、汎用可能な方法としては、次の(ア)、(イ)、又は(ウ)の3方法を例示することができる。
(ア)室温より5℃低い温度乃至−40℃(好ましくは0℃〜−40℃、より好ましくは−5℃〜−40℃)の内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填した後に気密包装する;
(イ)内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填し、そして容器内に空気あるいは窒素ガスを充填したのち、気密包装する;あるいは、
(ウ)室温より5℃低い温度乃至−40℃(好ましくは0℃〜−40℃、より好ましくは−5℃〜−40℃)の内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填した後、容器内に空気あるいは窒素ガスなどを充填して、気密包装する。
前記の方法(ア)及び(ウ)において、室温とは充填場所の気温を意味し、その範囲は日本薬局方の規定にある1〜30℃である。充填する際の「室温より5℃低い温度乃至−40℃の内服用吸着剤」とは、例えば、充填場所の気温が15℃の場合には、充填時内服用吸着剤の温度が−40℃〜10℃であることを意味し、充填場所の気温が30℃の場合には、充填時内服用吸着剤の温度を−40℃〜25℃とすることを意味する。充填時内服用吸着剤の温度が、室温より5℃低い温度を超える場合、運搬や保存の際に分包包装体が扁平化する。これを開封して内服用吸着剤を取り出したとき、内服用吸着剤が分包包装体用容器内面に付着することがある。すなわち、気密包装後の外部の温度変動により、分包包装体用容器内部の空気が内服用吸着剤に吸着されて、分包包装体が大きく変形する。これに対して、充填時内服用吸着剤の温度が、室温より5℃低い温度乃至−40℃である場合、シール後、室温に上昇するまで、内服用吸着剤が分包包装体用容器内に空気を放出することにより、分包包装体の形状が最大体積となって安定する。そして、室温付近の温度変化で分包包装体はほとんど変形しない。特に、充填時内服用吸着剤の温度が0℃以下あるいは0℃未満の場合には、分包包装体を運搬や保存する際の通常の環境下において分包包装体の形状が最大体積となるので、環境変化によって分包包装体の形状が変化することがなく、運搬や保存の際に極めて好都合である。充填時内服用吸着剤の温度が、−40℃よりも低い場合、夏場の車内等に放置された場合、空気の膨張によって分包包装体が破損することがあるので好ましくない。
本発明において、分包包装体用容器材料としては、医薬容器に使用可能な材料であれば、任意のものを用いることができる。例えば、紙類、プラスチック類、アルミニウム箔等の金属類、あるいは、これらの材料を重ねた複合材料等である。医薬品のあるものは、空気や湿気によって、劣化したり活性が低下する。本発明で用いる内服用吸着剤は、大気中で、経時的に、吸着能が低下する恐れがあるが、気密包装することにより、吸着能が保持される。吸着能の安定保存のため、防湿性とガスバリア性に優れた気密性包装材料からなる分包包装体用容器を用いるのが望ましい。また、空気や湿気を比較的容易に透過する紙類やセロハン紙を用いて一次包装を行い、次に、防湿性の包装材料を用いて、二次包装をすることもできる。これは二重包装である。しかし、内服用吸着剤に吸着されている空気による体積膨張、体積収縮が速いため、二重包装体の一次包装を空気や湿気が比較的自由に流通する、紙類等の材料を用いても、気温変化による一次包装体の変形をまぬがれない。従って、この場合でも、本発明の目的である分包包装体の変形を抑制するような工夫が必要である。気密性包装材料は、通常の取扱いにおいて、空気及び湿気を透過しない材料である。好ましくは、透湿度0〜20g/m・24hの材料である。より好ましくは、透湿度0〜5g/m・24hの材料である。透湿度は、JIS Z0208[防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)]により、湿度40℃、相対湿度90%の条件で測定される。
外層にグラシンやセロハン又は引裂方向性を有するプラスチックフィルムを積層する場合、開封用のミシン目やノッチなしで、又はハサミなしで、指で容易に引裂開封することができるという利点がある。
本発明の分包包装体用容器に用いる包装材料のフィルムの厚さは、好ましくは、10〜500μm、より好ましくは、20〜300μmである。分包包装体用容器の形と大きさは、充填する内服用吸着剤量と任意の添加剤量に応じて任意に選ぶことができる。1回服用量ないしその整数分の1量、0.1〜10gの内服用吸着剤を充填することができるスティック状の分包包装体用容器、三方シール又は四方シールの分包包装体用容器、有底袋等が好ましい。
気密性包装材料の例には、防湿性包装材料として市販されている種々のフィルムがある。例えば、単層フィルムでは、紙類、アルミニウム、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。積層フィルムでは、紙類の層、アルミニウム層、シリカ層、ポリエステル層、ポリ塩化ビニリデン層、ポリ塩化ビニリデン共重合体層、ポリクロロトリフロロエチレン層、エチレンビニルアルコール共重合体層、ポリビニルアルコール層、ポリアクリルニトリル層、セルロース層、ポリスチレン層、ポリカーボネート層、ポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリエステル層、ナイロン層、ポリ塩化ビニル層、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル層、ポリプロピレン層、ポリ−4−メチルペンテン−1層、ポリエーテルイミド層、又はポリアリレート層等を含むフィルムがある。
一般に、積層フィルムは、加工性がよく、防湿性に有利なため、単層フィルムより好ましい。ポリ塩化ビニリデン層、ポリクロロトリフロロエチレン層、又はアルミニウム層を含むフィルムが好ましく、特にアルミニウム層を含むフィルムがより好ましい。積層フィルムの構成例は次の通りである。
(1)弾性率が高く、寸法安定性の良いプラスチックフィルム、セロハン、紙等からなる外層、
(2)ガスバリア性と防湿性に優れるアルミニウム層等からなる中間層、及び
(3)ヒートシール性や超音波シール性のあるシーラント層等からなる内層。
中間層が弾性率が高く、寸法安定性の良いものである場合、外層はプラスチック塗膜層でもよい。更に、これらの各層の間に、プラスチックフィルム層やプラスチック塗膜層、セロハン層、紙層等を形成することもできる。目的に応じて、外層又は中間層を省略することもできる。シーラント層は内表面全面或いはシール部分のいずれかに形成することができる。また、多数の小孔を有するシーラント層を用いてもよい。シーラント層なしで、通常の接着剤を用いて分包包装体用容器を形成することもできる。プラスチックフィルムやプラスチック塗膜層に用いるプラスチックの例は、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、延伸ポリプロピレン、ポリプロピレン、延伸ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンアクリルアルキレートコポリマー、ポリクロロトリフロロエチレン、テフロン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、セルロース、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン等である。ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、各種ポリエチレン、各種ポリプロピレンが好ましい。また、高温充填には、耐熱性ポリマーが好ましい。耐熱性ポリマーの例は、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート等である。
紙の例は、グラシン、乳白グラシン、コーモラント紙、セロハン、ハトロン紙、上質紙、模造紙、硫酸紙等であり、特にグラシンや乳白グラシン、コーモラント紙、セロハンが好ましい。ガスバリア性と防湿性に優れる中間層の例は、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着層等のアルミニウム層、ポリクロロトリフロロエチレン層、ポリ塩化ビニリデン層、ポリ塩化ビニリデン共重合体層、エチレンビニルアルコール共重合体層、シリカ蒸着層等である。特にアルミニウム層、ポリクロロトリフロロエチレン層、ポリ塩化ビニリデン層、又はエチレンビニルアルコール共重合体層が好ましく、アルミニウム層がより好ましい。シーラント層の例は、各種のオレフィンポリマー、オレフィン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレンアクリルアルキレートコポリマー、ポリブタジエン、コポリエステル系ポリマー等である。特にポリ塩化ビニリデン、各種ポリエチレン、エチレンアクリルアルキレートコポリマーが好ましい。また、高温充填には、耐熱性ポリマーが好ましい。耐熱性ポリマーの例は、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリレート等であり、特にヒドロキシ安息香酸ポリエステル又はポリエーテルイミドが好ましい。以上に示した包装材料は、多重包装でない場合の包装材料、及び、多重包装の場合の最外包装袋用包装材料として好ましい。
アルニミウム層を含む包装材料として、特に好ましい構成例は、以下の通りである。外層:グラシン、乳白グラシン、コーモラント紙、セロハン、ポリエステル、ポリエチレン、上質紙、又は耐熱性ポリマー中間層:アルミニウム層(箔又は蒸着)内層:ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレンアクリルアルキレートコポリマー、又は耐熱性ポリマー必要に応じて、各層の間に接着層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体層又はポリエチレン層等を設ける。また、それぞれの層自身の構成も1種の材料を用いた構成に限定されず、2種以上の材料を組合わせることもできる。
アルミニウム層を含まない包装材料の好ましい例を、表1及び表2に示す。
Figure 2005296282
Figure 2005296282
[林 直一、三浦秀雄(1990)医薬品の開発 第12巻 製剤素材2、pp.475〜536、広川書店、東京、より引用]
前記表1及び表2における記号の意味は、以下の通りである。
PVC:ポリ塩化ビニル、PVDC:ポリ塩化ビリデン、LDPE:低密度ポリエチレン、PE:ポリエチレン、OPP:延伸ポリプロピレン、HDPE:高密度ポリエチレン、PET:ポリエステル、CPP:共重合体型ポリプロピレン、OEVAL:延伸EVAL、OHDPE:延伸HDPE、EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、J2:セロハンの一種(藤森工業の社内規格)、OPE:延伸PE、PT:プレーンタイプ、PVA:ポリビニルアルコール、EVAL:エチレン−ビニルアルコール共重合体、MO:1軸配向、PP:ポリプロピレン、ONylon:延伸ナイロン、OPVA:延伸ポリビニルアルコールである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。実施例及び比較例における室温は23〜24℃であった。
なお、充填する内服用吸着剤としては、前記特許文献1(特公昭62−11611号公報)の実施例1に記載の方法によって製造した内服用吸着剤を試料1として使用した。試料1は、10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.46mLの空気を放出する。JCL−SD系ラット経口投与による急性毒性試験では、投与可能な最大量(雌ラット18000mg/Kg、雄ラット16000mg/Kg)においても異常は観察されなかった。
《実施例1:分包包装体の作製》
ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレン構成の積層フィルムを用いて、以下の3種類の空のスティック状の分包包装袋(1)〜(3)を作成した。すなわち、スティック状分包包装袋(1)は、シール部を除外した長さが約65mm、幅が約30mm、そしてヒートシール幅が約7mmであり、スティック状分包包装袋(2)は、シール部を除外した長さが約70mm、幅が20mm、そしてヒートシール幅約7mmであり、スティック状分包包装袋(3)は、シール部を除外した長さが約110mm、幅が40mm、そしてヒートシール幅が約7mmであった。これらのスティック状分包包装袋を作製し、各条件温度の内服用吸着剤を充填して試験に使用した。
具体的には、空のスティック状分包包装袋(1)は包材を80mm×75mmの大きさに裁断し、空のスティック状分包包装袋(2)は包材を85mm×55mmの大きさに裁断し、スティック状分包包装袋(3)は、包材を125mm×95mmの大きさに裁断して、ヒートシーラー(富士インパルス製)を用いて縦シール並びに横シールを約7mmの幅でヒートシールを行い作製した。
空のスティック状分包包装袋(1)に内服用吸着剤2gを充填し、分包内に水が入らないように注意し、水浴に分包を浸漬した。水浴の温度を15℃にし、分包内の内服用吸着剤温度が15℃±0.5℃であることを確認した後、水浴から取り出し、5秒以内に開口部をヒートシールした。同様に、水浴温度15℃の条件で、スティック状分包包装体(1)の15℃充填品を更に4包(合計5包)作製した。更に、同様にして、水浴温度11℃の条件で、スティック状分包包装体(1)の11℃充填品を5包作製した。また、空のスティック状分包包装袋(1)及び(3)に内服用吸着剤2gを充填し、−30℃の冷凍庫に一晩放置し、分包内の内服用吸着剤温度が−30℃±0.5℃であることを確認した後、冷凍庫から取り出し、5秒以内に開口部をヒートシールし、スティック状分包包装体(1)の−30℃充填品及びスティック状分包包装体(3)の−30℃充填品を各々5包作製した。更に同様に、スティック状分包包装袋(1)を用いて、−5℃の充填品を5包作製した。
更に、空のスティック状分包包装袋(2)に内服用吸着剤1gを充填し、分包内に水が入らないように注意し、水浴に分包を浸漬した。水浴の温度を15℃にし、分包内の内服用吸着剤温度が15℃±0.5℃であることを確認した後、水浴から取り出し、5秒以内に開口部をヒートシールして、スティック状分包包装体(2)の15℃充填品(合計5包)を得た。同様にして、水浴温度11℃の条件で、スティック状分包包装体(2)の11℃充填品を5包作製した。また、空のスティック状分包包装袋(2)に内服用吸着剤1gを充填し、−30℃の冷凍庫に一晩放置し、分包内の内服用吸着剤温度が−30℃±0.5℃であることを確認した後、冷凍庫から取り出し、5秒以内に開口部をヒートシールし、スティック状分包包装体(2)の−30℃充填品を5包作製した。更に同様に、スティック状分包包装袋(2)を用いて、−5℃の充填品を5包作製した。
《実施例2:ガス充填分包包装体の作製》
実施例1に示した空のスティック状分包包装袋(1)に内服用吸着剤2gを充填し、分包内に水が入らないように注意し、水浴に分包を浸漬した。水浴の温度を20℃にし、分包内の内服用吸着剤温度が20℃±0.5℃であることを確認した後、窒素ガスを充填して分包包装体が十分なふくらみを持つことを確認してからヒートシールして、ガス充填分包包装体を得た。
《実施例3:低温とガス充填を併用した分包包装体の作製》
実施例1に示した空のスティック状分包包装袋(1)に内服用吸着剤2gを充填し、分包内に水が入らないように注意し、水浴に分包を浸漬した。水浴の温度を15℃にし、分包内の内服用吸着剤温度が15℃±0.5℃であることを確認した後、窒素ガスを充填して分包包装体が十分なふくらみを持つことを確認してからヒートシールして、低温及びガス充填併用分包包装体を得た。
《比較例1:加温充填分包包装体の作製》
実施例1と同様にして、空のスティック状分包包装袋(1)、(2)、及び(3)を作製した。次いで、空のスティック状分包包装袋(1)及び(3)に内服用吸着剤2gを充填し、分包包装袋が倒れないようにビーカー内に立てかけて、65℃に設定した乾燥機内に入れて、内服用吸着剤温度が65℃±5℃であることを確認した後、乾燥機内から分包包装袋を取り出し、5秒以内に開口部をヒートシールし、内服用吸着剤が分包内の空気を吸着し、内容物が動かなくなるまで、立てた状態で保ち、スティック状分包包装体(1)及び(3)の比較対照品を作製した。空のスティック状分包包装袋(2)に内服用吸着剤1gを充填し、同様にしてスティック状分包包装体(2)比較対照品を作製した。
《実験例1:分包包装体の全体積の測定》
実施例1〜3及び比較例1で作製した分包包装体を用いて、分包包装体の体積(実測定体積)の測定を行った。また、分包包装体の体積の理論的最大体積との比を求めた。なお、分包包装体の体積の測定は、以下の方法で行った。
(1)ガラス製200mLメスシリンダーに水を入れた。
(2)30℃〜31℃に制御した水浴に前項(1)のメスシリンダーを浸漬し、メスシリンダー内の水温が30℃±0.5℃であることを確認し、メスシリンダー内の水量を150mLの標線に合わせた。
(3)一方、30℃〜31℃に制御した別の水浴に、実施例1〜3及び比較例1で作製した分包包装体2包をビニール袋に入れ、分包包装体が濡れないようにして、ビニール袋全体を30分以上浸漬し、分包包装体の温度を30℃に保った。
(4)前項(3)の分包包装体2包を前項(2)のメスシリンダー内に入れ、細い針金で抑えて分包包装体全体が水中に完全に浸漬した状態にし、このときのメスシリンダー水量の増加分を読み取り、この読み取り値を2で除し、1包当たりの分包包装体の全体積とした。
(5)次の計算式により、体積比を算出した。
体積比=全体積÷内服用吸着剤体積×100(%)
内服用吸着剤体積は、見かけのかさ密度が0.50g/mLであることから、分包包装体(1)及び(3)については4、分包包装体(2)については2を採用した。
各分包包装体の全体積、体積比、並びに理論的最大体積に対する割合(%)を以下の表3に示す。
Figure 2005296282
《実験例2:内服用吸着剤の付着量の測定》
実施例1〜3及び比較例で作製した分包包装体を用いて、輸送時の振動を考慮し、振動処理後に分包包装体を開封し、内服用吸着剤を取り出し、分包包装体内に付着して残る内服用吸着剤量(付着残量)を測定した。付着残量の測定は、以下の方法で行った。
(1)紙箱に分包包装体(1)及び(2)を入れ、レシプロシェーカーに紙箱を固定した。
(2)レシプロシェーカーを振動させた。振動条件は、振幅約3cm、振動数は1分当たり約300回とした。
(3)振動時間が0分後、60分後、及び120分後の分包包装体を取り出した。
(4)取り出した分包包装体の1包の全重量を天秤で測定した(測定値a)
(5)分包包装体の上部横シール部の下を鋏で切り開封し、分包包装体を逆さまにして、内服用吸着剤を取り出した。内服用吸着剤を取り出した後の分包包装体と、切り取った横シール部分の合計重量を測定した(測定値b)。
(6)前項(5)の重量を測定した後、分包包装体を切り開き、内面に付着した内服用吸着剤を刷毛で除き、空の分包包装体と、切り取った空の横シール部分の合計重量を測定した(測定値c)。
(7)次の計算式により、付着残量を求めた。
付着残量=(測定値b−測定値c)÷(測定値a−測定値c)×100(%)
各分包包装体の付着残量を以下の表4に示す。
Figure 2005296282
《実験例3:高温虐待時の分包包装体の破損評価》
夏場に駐車場に駐車した自動車内では、自動車内が80℃程度まで温度が上昇すると言われている。このような環境下に分包包装体が放置されることも考えられるため、分包包装体の高温虐待時の破損評価を行った。破損評価は以下の方法で行った。
(1)分包包装体をステンレス製バットに入れ、85℃に調整した熱風乾燥機内に4時間放置し、高温にて虐待した。
(2)高温虐待後、分包包装体を取り出して、破損状況を肉眼で観察した。
高温虐待による破損評価結果を以下の表5に示す。
Figure 2005296282
本発明は、気体を吸脱着する性質を有する内服用吸着剤を包装した分包包装体に有利に使用することができ、本発明による分包包装体は、その形状が通常の取扱いにおいて周囲温度の影響を受けても変化が小さく、しかも、軟質包装材料を用いた場合においても内服用吸着剤が軟質包装材料に捕捉されにくい。

Claims (4)

  1. 10℃から30℃までの昇温で1g当たり1.3〜10mLの空気を放出する内服用吸着剤が包装されている分包包装体であって、その分包包装体の30℃における実測定体積が、包装されている内服用吸着剤の体積の250%以上であることを特徴とする分包包装体。
  2. 分包包装体の30℃における実測定体積が、式(1):
    V=(D/2)×π×H (1)
    (式中、Vは、理論的最大体積であり、Dは、分包包装体用容器の短い方向の長さであり、Hは、分包包装体用容器の長い方向の長さである)
    で計算される理論的最大体積(V)に対して10%〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の分包包装体。
  3. 分包包装体用容器がシール可能なプラスチックフィルムを内層にもつ単層又は多層フィルムで、透湿度が0〜5g/m・24hである材料からなる、請求項1に記載の分包包装体。
  4. 次の(ア)、(イ)、又は(ウ)のいずれかの方法により、内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填して気密包装することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分包包装体の製造方法:
    (ア)室温より5℃低い温度乃至−40℃の内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填後に気密包装する;
    (イ)内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填し、そして容器内に空気あるいは窒素ガスを充填したのち、気密包装する;あるいは、
    (ウ)室温より5℃低い温度乃至−40℃の内服用吸着剤を分包包装体用容器に充填した後、容器内に空気あるいは窒素ガスを充填して、気密包装する。
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