JP2005293987A - 金属セパレータ用の金属板材料及びこれを用いた金属セパレータ材料 - Google Patents
金属セパレータ用の金属板材料及びこれを用いた金属セパレータ材料 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】表面に貴金属の膜204が施される金属セパレータ200用の金属板材料を、重量%で、C:≦0.02%,Si:≦1.0%,Mn:≦3.5%,Cu:≦0.1%,Ni:12.0〜15.0%,Cr:16.0〜18.0%,Mo:3.0〜5.0%,N:≦0.020%,O:≦0.0050%,残部Fe及び不可避的不純物の組成を有するものとする。
【選択図】 図5
Description
この種の燃料電池ではセパレータを用いて燃料ガスと酸化性ガスとを分離状態に保ちつつ、そのセパレータによってそれら燃料ガス,酸化性ガスを流通させるための流路(ガス流路)を形成するようにしている。
このセパレータはまた、約80℃の硫酸雰囲気という厳しい腐食環境下に長時間曝されるため、極めて高い耐食性も要求される。
しかしながらこの場合、セパレータの肉厚が必然的に厚肉となってしまうために、セパレータ自体ひいては燃料電池が重く、また大型化してしまうといった問題があった。
この金属セパレータ200は全体として波打形状をなしていて多数の溝206が形成されており、この溝206がガス流通用の流路とされている。
尤も貴金属の膜を厚く形成すれば、そのようなピンホールの数を少なくしたりピンホールの生成を抑制したりすることができるが、この場合高価な貴金属の膜の厚みが厚くなることに伴ってコストが高くなってしまう。
このように貴金属の膜を形成した後に圧延加工を施すことで、貴金属の膜のピンホールを良好に目潰しして封孔でき、また貴金属の膜の金属板材料に対する密着強度を高めることが可能となる。
例えば金属板材料として既存のステンレス鋼を用いた場合、その圧下率を10%とすると加工硬化の程度が高く、プレス成形性が悪化(低下)してガス流路形成のための溝加工を行ったときに加工割れ(プレス割れ)を起してしまう。
従って圧延加工に際して圧下率5%程度の軽圧下を行わざるを得ない。
従って圧延加工に際して10%程度の圧下を行っても、後においてプレス割れを生じないような材料の開発が求められていた。
しかしながらこれら特許文献2,特許文献3に開示のものは、ステンレス鋼をそのまま金属セパレータ材料とするものであって、本発明のように表面に金等の貴金属の膜を形成して金属セパレータ材料とするといったものではなく、そこには本発明の解決課題は存していない点で本発明とは異なっている。
ところが本発明者等が各種研究,試験を行ったところ、圧延加工した後においてプレス成形を行う場合には、上記とは逆にMoの添加はプレス成形性を高め、またCuはプレス成形性を悪化させる事実が判明した。
かかる本発明によれば、従来実現できていなかった10%程度の圧下率での圧延加工が可能となり、量産規模で容易且つ正確に一定した品質で圧延加工を行えるようになる。
このようにすることでプレス成形性を更に高めることができ、プレス成形時の加工割れの発生をより一段と抑制することが可能となる。
C≦0.02%
Cは炭化物を生成することにより、成形時に炭化物を起点とした割れが発生し成形性が損われるため、できる限り低減するのが良く、本発明では0.02%以下とする。但し望ましくは0.01%以下である。
Siは脱酸元素であるが、1.0%を超えると成形性が低下するため上限を1.0%とする。但し望ましくは0.05%以上である。
Mnは有効なオーステナイト相安定元素であるが、3.5%を超えると熱間加工性が悪化するため上限を3.5%とする。但し望ましい下限値は0.1%である。
Cuは冷間圧延後の成形性を損ねるのでできる限り低減するのが良く、本発明では0.1%以下とする。
Niはオーステナイト相安定化のために極めて重要な合金元素である。12.0%未満ではオーステナイト相を安定させ難く、また一方で15.0%を超える程含有させるとコストが高くなるため、12.0〜15.0%とする。
Crは母材の耐食性を確保する上で極めて重要な基本合金元素である。その含有量が高い程高耐食となる。必要とされる耐食性は316L同等以上の耐食性であり、本発明では16.0〜18.0%とする。
Moは耐食性を向上させることと、冷間圧延後のプレス成形性を向上させることから3.0%以上含有させる。3.0%未満では成形性向上の効果は少ない。一方5.0%を超えると加工性が悪化するので上限を5.0%とする。
Nは炭化物を生成することにより、成形時に炭化物を起点とした割れが発生し成形性が損われるため、できる限り低減するのが良く、本発明では0.020%以下とする。
Oは炭化物を生成することにより、成形時に炭化物を起点とした割れが発生し成形性が損われるため、できる限り低減するのが良く、本発明では0.0050%以下とする。
表1に示す組成の鋼を真空誘導炉(50kgインゴット)にて150φ×350L(mm)に溶製し、加熱温度1200℃の条件で厚み30t(mm)に鍛造した。
続いて厚み28t(mm)に切削して、その後加熱温度1200℃の条件で熱間圧延し、厚み3t(mm)とした。
その後1100°/空冷の条件の下で焼鈍を行った。尚このときの雰囲気はH2:Ar=9:1とした。
続いて厚み0.6t(mm)まで冷間圧延を行い、その後上記と同様の条件で焼鈍を行った上で再び冷間圧延を行い、続いて上記と同様の条件で焼鈍処理を行った。
尚このクラッド圧延前における金属板材料の厚みは0.1〜0.3t(mm)である。
具体的には先ず粗成形を行い、次いで仕上成形を行った。そしてこれに続いて打抜きを行い、図1に示す固体高分子形燃料電池の金属セパレータ10を得た。
尚プレス成形のための金型移動量は0.5mmで、得られた金属セパレータ10の寸法は55×55mmである。
尚プレス成形性の評価は、n=3で割れがなければ○とし、割れの認められたものは×とした。
尚ここでは圧下率の影響を調べるため、厚み0.1t(mm)のものに対して圧下率を0〜70%まで変化させて圧延を行った。
その結果が図2に示してある。
この図2の結果から分るように、本発明例のものはプレス割れが発生するに到る圧下量を多くとることができること、即ち冷間圧延後のプレス成形性が良好であることが分る。
結果が図3(A),(B)に示してある。
尚プレス成形性の良否の判定は上記と同様とした。
結果が図4(A),(B)に示してある。
尚プレス成形性の良否の判定は上記と同様とした。
12 金属板材料
14 金の膜
16 溝
Claims (4)
- 表面に金等の貴金属の膜が形成され、冷間圧延及びプレス成形によりガス流路のための溝が形成されて固体高分子形燃料電池の金属セパレータを構成する金属セパレータ用の金属板材料であって、
重量%で、
C :≦0.02%
Si:≦1.0%
Mn:≦3.5%
Cu:≦0.1%
Ni:12.0〜15.0%
Cr:16.0〜18.0%
Mo:3.0〜5.0%
N :≦0.020%
O :≦0.0050%
残部Fe及び不可避的不純物の組成を有することを特徴とする金属セパレータ用の金属板材料。 - 請求項1において、JIS G 0551に規定の結晶粒度番号が9以上であることを特徴とする金属セパレータ用の金属板材料。
- 請求項1,2の何れかにおいて、厚みが0.1〜0.3mmで、冷間圧延ままで前記プレス成形される金属セパレータ用の金属板材料。
- 請求項1〜3の何れかにおける前記金属板材料の表面に前記貴金属の膜が1〜500nmの厚みで設けられて成る金属セパレータ材料。
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JP2004106230A JP2005293987A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 金属セパレータ用の金属板材料及びこれを用いた金属セパレータ材料 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011016380A1 (ja) * | 2009-08-05 | 2011-02-10 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 燃料電池用セパレータ材料、それを用いた燃料電池スタック |
CN105514460A (zh) * | 2015-12-29 | 2016-04-20 | 北京科技大学 | 一种高导电率金属双极板的高效轧制成形工艺 |
JP2016069666A (ja) * | 2014-09-29 | 2016-05-09 | 日立金属株式会社 | 固体酸化物形燃料電池用帯鋼 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004106230A patent/JP2005293987A/ja active Pending
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CN105514460A (zh) * | 2015-12-29 | 2016-04-20 | 北京科技大学 | 一种高导电率金属双极板的高效轧制成形工艺 |
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