JP2005290531A - 加工性、密着性、耐食性に優れた容器用鋼板 - Google Patents

加工性、密着性、耐食性に優れた容器用鋼板 Download PDF

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茂 平野
Hiroichi Yokoya
博一 横矢
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Abstract

【課題】 SnまたはNiめっき鋼板にリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミを含有したフェノール樹脂皮膜を付与した加工性、密着性、耐食性、耐錆性に優れた容器用鋼板。
【解決手段】 少なくとも鋼板片面にP量として1〜100mg/m2 のリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上を含むフェノール樹脂を、C量として0.1〜100mg/m2 付与した加工性、密着性、耐食性に優れた容器用鋼板。また、少なくとも鋼板片面に、50〜5000mg/m2 のNiまたはSnの1種以上を含むめっき層を有し、その上に、P量として1〜100mg/m2 のリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上を含むフェノール樹脂を、C量として0.1〜100mg/m2 付与すること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、製缶素材として、特に加工性、ラミネート密着性、耐食性、耐錆性に優れた容器用鋼板に関するものである。
従来、飲料や食品に用いられる金属容器は、2ピース缶と3ピース缶に大別される。DI缶に代表される2ピース缶は、絞りしごき加工が行われた後、缶内面側に塗装が、缶外面側には塗装及び印刷が行われる。3ピース缶は、缶内面に相当する面に塗装が、缶外面側に相当する面に印刷が行われた後、缶胴部の溶接が行われる。
何れの缶種においても、製缶前後に塗装工程が不可欠な工程である。塗装には、溶剤系もしくは水系の塗料が使用され、その後、焼付けが行われるが、この塗装工程において、塗料に起因する廃棄物(廃溶剤等)が産業廃棄物として排出され、排ガス(主に炭酸ガス)が大気に放出されている。近年、地球環境保全を目的とし、これら産業廃棄物や排ガスを低減しようとする取組みが行われている。この中で、廃溶剤や排ガスが殆ど発生しない塗装代替技術としてフィルムをラミネートする技術が注目され、急速に広まってきている。
これまでに、2ピース缶においては、フィルムをラミネートし製缶する缶の製造方法やこれに関連する発明が多数提供されている。例えば、絞りしごき缶の製造方法{特許第1571783号公報(特許文献1)}、絞りしごき缶{特許第1670957号公報(特許文献2)}、薄肉化深絞り缶の製造方法{特開平2−263523号公報(特許文献3)}、絞りしごき缶用被覆鋼板{特許第1601937号公報(特許文献4)}が挙げられる。
また、3ピース缶においては、3ピース缶用フィルム積層鋼帯およびその製造方法{特開平3−236954号公報(特許文献5)}、缶外面に多層有機皮膜を有する3ピース缶用{特開平3−113494号公報(特許文献6)}、ストライプ状の多層有機皮膜を有する3ピース缶用鋼板{特開平5−111979号公報(特許文献7)}、3ピース缶ストライプラミネート鋼板の製造方法{特開平5−147181号公報(特許文献8)}が挙げられる。
一方、ラミネートフィルムの下地に用いられる鋼板には、多くの場合、電解クロメート処理を施したクロメート皮膜が用いられている。クロメート皮膜は、2層構造を有し、金属Cr層の上層に水和酸化Cr層が存在している。従って、ラミネートフィルム(接着剤付きのフィルムであれば接着層)はクロメート皮膜の水和酸化Cr層を介して鋼板との密着性を確保している。この密着機構の詳細については明らかにされていないが、水和酸化Crの水酸基とラミネートフィルムのカルボニル基あるいはエステル基などの官能基との水素結合によって密着性が発揮すると言われている。
特許第1571783号公報 特許第1670957号公報 特開平2−263523号公報 特許第1601937号公報 特開平3−236954号公報 特開平3−113494号公報 特開平5−111979号公報 特開平5−147181号公報
上記の発明は、確かに、地球環境の保全を大きく前進せしめる効果が得られるが、近年、地球環境問題のクローズアップと共に人体にとって望ましくない6価のCrイオンを使用しない製品やCrを全く使用しない製品への関心が高まって来た。この様な状況に対して、ラミネート容器用鋼板に対しても、クロメート皮膜と同等の優れた製缶加工性、特に、フィルム密着性、加工フィルム密着性、耐食性などを有するCrを使用しない鋼板が求められる様になった。
本発明者等は、Crを使用しない、即ち、クロメート皮膜に代わる新たな皮膜としてフェノール樹脂を活用した皮膜を鋭意検討した結果、フェノール樹脂にリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミが添加された樹脂皮膜は、ラミネートフィルムと非常に強力な共有結合を形成し、従来のクロメート皮膜同等以上の優れた加工性、密着性、耐食性、耐錆性が得られることを知見し本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも鋼板片面にP量として1〜100mg/m2 のリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上を含むフェノール樹脂を、C量として0.1〜100mg/m2 付与する事を特徴とした加工性、密着性、耐食性、耐錆性に優れた容器用鋼板。
(2)少なくとも鋼板片面に、50〜5000mg/m2 のNiまたはSnの1種以上を含むめっき層を有し、その上に、P量として1〜100mg/m2 のリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上を含むフェノール樹脂を、C量として0.1〜100mg/m2 付与する事を特徴とした加工性、密着性、耐食性、耐錆性に優れた容器用鋼板である。
後述する表1に示すように、本発明により製造された容器用鋼板は、優れた加工性、密着性、耐食性、耐錆性を有することが明らかになった。
以下に本発明の作用である加工性、密着性、耐食性に優れた容器用鋼板について詳細に説明する。
本発明で用いられる原板は特に規制されるものではなく、通常、容器材料として使用される鋼板を用いる。この原板の製造法、材質なども特に規制されるものではなく、通常の鋼片製造工程から熱間圧延、酸洗、冷間圧延等の工程を経て製造される。この原板に、Sn、Niを含む表面処理層を付与する方法については特に規制するものでは無く、例えば、電気めっき法や真空蒸着法やスパッタリング法などの公知技術を用いれば良く、拡散層を付与するための加熱処理を組み合わせても良い。
こうして付与されたSnまたはNiの1種以上を含む表面処理層の付着量は、50〜5000mg/m2 に規制される。SnまたはNiは化学的に安定な金属であることから、SnまたはNiをめっきされた鋼板は優れた耐食性を発揮する。また、SnやNiは、優れた固体潤滑作用を有している為、これらの金属がめっきされた鋼板は絞りやしごき加工等の優れた製缶加工性を発揮し、また、SnやNiは溶接性に優れていることから、これらの金属をめっきされた鋼板は優れた高速溶接安定性を発揮する。
この効果は、SnまたはNiの1種以上を含む表面処理層の付着量が50mg/m2 以上必要である。付着量の増加に伴い、耐食性、加工性、溶接性の向上効果も増加する傾向にあるが、5000mg/m2 以上ではその向上効果が飽和するため、5000mg/m2 以上付着する事は経済的に不利である。従って、SnまたはNiの1種以上を含む表面処理層の付着量は50〜5000mg/m2 にする必要がある。
次いで、密着性と耐食性を確保するために本発明の本質とする処のフェノール樹脂を活用した皮膜が付与される。
本発明で付与されるフェノール樹脂は、前述の如く、ラミネートされるフィルムあるいは接着層と共有結合を発生し、高い密着性を確保せしめる効果を発揮する。このフェノール樹脂には、通常のフェノール樹脂の他、フェノール変性樹脂あるいは一部をアミン化したフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール系の樹脂は常法に製造可能で、例えば、フェノール化合物、ナフトール化合物またはビスフェノール類とホルムアルデヒドを重縮合し製造される。
このフェノール樹脂の効果を発揮させるには、この樹脂皮膜の付着量をC量で0.1〜100mg/m2 にする必要がある。付着量が0.1mg/m2 を下回ると樹脂皮膜が鋼板表面を十分に被覆出来ないため、密着性を発揮することが出来ない。しかし、フェノール樹脂皮膜の付着量がC量で0.1mg/m2 以上になると樹脂皮膜が鋼板表面を概ね被覆し始めるため密着性が向上し始める。樹脂皮膜の付着量が多くなる程、密着性の向上効果は増加するものの、樹脂皮膜の付着量がC量で100mg/m2 を超えると加工により樹脂が凝集破壊するため密着性や耐食性が劣化し、製缶加工時に一部剥離する。また、フェノール樹脂は絶縁皮膜のため100mg/m2 を超えると溶接性も劣化する。従って、フェノール樹脂の付着量はC量で0.1〜100mg/m2 に規制される。
上記の樹脂系のみでは十分な耐食性、耐錆性が確保されないため、リン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上を含ませる事により、密着性及び耐錆性が著しく向上する。この機構は明確ではないが、リン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミが、ラミネートされるフィルムとフェノール構造を有する樹脂との結合反応を促進すると共に下地のSnまたはNiと反応してフェノール構造を有する樹脂との密着性を向上させる効果によるものと考えられる。また、密着性の向上に伴い耐食性、耐錆性も向上するものと考えられる。
この様な密着性の向上効果は、含有されるリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上が、P量として1mg/m2 以上で発揮し始め、含有量の増加に伴い、密着性、耐食性、耐錆性は向上する。一方、含有されるリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミが多くなり過ぎると外観が変色し、商品価値が損なわれる。従って、フェノール樹脂に含有されるリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミは、P量として、100mg/m2 以下にする必要がある。
以上述べたフェノール樹脂皮膜を付与する方法は特に規制しない。例えば、適当な溶剤にフェノール樹脂、リン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミを溶解させた処理液に浸漬し、リンガーロール等で絞り、乾燥させて得る事が出来る。樹脂の付着量は処理液の濃度やリンガーロールの絞り量で制御すればよい。
以下に本発明の実施例及び比較例について述べ、その結果を表1に示す。
冷間圧延後、焼鈍、調圧されためっき原板に、公知の酸性浴でNiあるいはSnめっきを施し、引続き、10%のフェノール樹脂溶液に必要に応じて、リン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミを添加した液に浸漬し、リンガーロールで軽く絞り、120℃で乾燥させて試験材を作製し、以下に示す(A)〜(C)の各項目について性能評価を行った。
(A)フィルム密着性評価試験
試験材に厚さ25umのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィルムをラミネートした後、缶蓋(End)加工を行い、カウンターシンク等の加工部のフィルム密着剥離状況を、4段階(◎:全く剥離無し、○:実用上問題無い程度の極僅かな剥離有り、△:僅かな剥離有り、×:大部分で剥離)で評価した。
(B)加工性評価試験
試験材に厚さ25umのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィルムをラミネートした後、絞り−しごき加工を連続して行い、缶体のかじり性やフィルムの密着状況を、4段階(◎:全くかじりまたは剥離無し、○:実用上問題無い程度の極僅かなかじりまたは剥離有り、△:僅かなかじりまたは剥離有り、×:大部分でかじりまたは剥離)で評価した。
(C)耐食性評価試験
厚さ20umのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィルムをラミネートした試験材に、地鉄に達するまでクロスカットを入れ、1.5%クエン酸−1.5%食塩混合液からなる試験液中に大気開放下55℃×4日間浸漬した。試験終了後、スクラッチ部近傍の腐食状況、スクラッチ部のピッティング状況およびフィルム剥離状況を4段階(◎:剥離が無く腐食も認められない、○:実用上問題無い程度の極僅かな剥離が有るが腐食は認められない、△:僅かな剥離があり微小な腐食が認められる、×:大部分で剥離し激しい腐食が認められる)で評価した。
(D)耐錆性評価試験
試験材を湿潤循環試験器に静置し、60℃で乾湿繰り返し(湿度95%、2時間と湿度30%、2時間)を30日間行い、錆の発生状況を4段階(◎:発錆が認められない、○:実用上問題無い程度の極僅かな発錆が認められる、△:小さな発錆が認められる、×:大部分で発錆が認められる)で評価した。
(E)溶接性評価試験
試験材に厚さ25umのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィルムをラミネートした後、以下の溶接条件でシーム溶接性を評価した。ラップ代0.5mm、加圧力45kgf、溶接ワイヤースピード80m/minの条件で、電流を変更して溶接を実施し、十分な溶接強度が得られる最小電流値と散りなどの溶接欠陥が目立ち始める最大電流値からなる適正電流範囲の広さから総合的に判断し、4段階(◎:非常に広い、○:広い、△:実用上問題なし、×:狭い)で評価した。
Figure 2005290531


特許出願人 新日本製鐡株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1

Claims (2)

  1. 少なくとも鋼板片面にP量として1〜100mg/m2 のリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上を含むフェノール樹脂を、C量として0.1〜100mg/m2 付与する事を特徴とした加工性、密着性、耐食性に優れた容器用鋼板。
  2. 少なくとも鋼板片面に、50〜5000mg/m2 のNiまたはSnの1種以上を含むめっき層を有し、その上に、P量として1〜100mg/m2 のリン酸、リン酸アルミまたは重リン酸アルミの1種以上を含むフェノール樹脂を、C量として0.1〜100mg/m2 付与する事を特徴とした加工性、密着性、耐食性に優れた容器用鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2071055A4 (en) * 2006-09-08 2016-03-16 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp STEEL PLATE FOR A CONTAINER AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR

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