JP2005290325A - 固体高分子電解質、固体高分子電解質膜、及びナトリウム硫黄電池 - Google Patents
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Abstract
Description
常温付近でナトリウムイオン等の陽イオン伝導性を有する新規固体高分子に関する。又、本発明は、新規固体高分子を用いたナトリウム硫黄電池に関する。
ナトリウム硫黄電池は、大電力を貯蔵可能な二次電池として、近年特に注目されている。このナトリウム硫黄電池は、負極側の電極活物質としてナトリウム(Na)、正極側の電極活物質として硫黄(S)あるいはその溶融塩(SCl4)等を用いて、固体電解質により溶融状態の両極活物質を混合しないようにした二次電池で、300〜400℃、通常は350℃前後といった高温で作動するものである。このナトリウム硫黄電池は、自己放電がない、電極活物質が液状であるため高性能である、電解質が固体なので長寿命である、完全密閉型であるためメンテナンスフリー化が図れる、等の利点を有しており、次世代の大電力貯蔵用電池として最も期待が寄せられている。
ナトリウム硫黄電池の一般的な構成は、一方に陰極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には正極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過性を有するβ−アルミナなどの固体電解質で隔離したものである。一般に、ナトリウム硫黄電池は、ナトリウムを含む負極活物質が収納された負極室と、負極室の外側に配置され、硫黄を含む正極活物質を含浸した多数枚の炭素繊維布からなる正極領域が収納された正極室と、負極室と正極室との間に位置して負極活物質と正極活物質とを隔離し、かつナトリウムイオンに対して伝導性を有する固体電解質とを備えて概略構成される。
固体電解質は、有底円筒管であり、その材質は、ナトリウムイオン(Na+)を選択的に透過させる性質を有するセラミックス等からなるものであって、例えばβ−アルミナ(Na2O・11Al2O3)や、安定剤としてMgOやLi2O等が添加されたβ″−アルミナ(3Na2O・16Al2O3)等が用いられる。
次に、正極活物質として硫黄(S)を用いた場合における、ナトリウム硫黄電池の充放電反応について説明する。この場合のナトリウム硫黄電池の負極における放電反応は、下記の式(4)に示す通りである。すなわち、負極活物質であるナトリウム(Na)は、電子(e−)を放出してナトリウムイオン(Na+)を生成する。電子(e−)は外部回路へと流れ、ナトリウムイオン(Na+)は固体電解質に選択的に透過されて正極活物質へと運搬される。
一方、正極における放電反応は、下記の式(5)に示す通りである。すなわち、正極活物質中に入ったナトリウムイオン(Na+)は、硫黄(S)、及び外部回路から供給された電子(e−)と反応して、多硫化ナトリウム(Na2Sx)を生成する。ナトリウム硫黄電池の充電時には、放電反応と逆の反応、すなわち式(4)、式(5)とも矢印と逆方向への反応が起こり、ナトリウム(Na)及び硫黄(S)が生成する。
2Na → 2Na+ + 2e− (4)
2Na+ + xS + 2e− → Na2Sx (5)
2Na → 2Na+ + 2e− (4)
2Na+ + xS + 2e− → Na2Sx (5)
下記特許文献1には、アルミナベースのセラミックス製固体電解質の技術が開示されている。
ナトリウム−硫黄電池の固体電解質に用いられるβアルミナは、その原材料の純度や製造条件によりナトリウムイオン伝導特性が変化するため、最適な製造条件の選定が困難であった。また、ベータアルミナセラミックスのナトリウムイオン伝導性の向上のために、αアルミナ原料としては高純度のものが必要とされる。このためαアルミナの純度を上げるために製造にかかるコストが高く、実用化の障害となっていた。
また、ナトリウム−硫黄電池に用いるβアルミナは、電池の正極室と負極室との隔壁の役割も果たしている。隔壁の破損が起こると両活物質が爆発的に反応を起こし危険であるため、βアルミナには高い機械的強度も要求される。しかし、出発原料であるαアルミナの純度が低いと焼成中に低温で液相が生成し、結晶の成長が促進され、βアルミナセラミックスの強度が低くなるという問題があった。
本発明の目的は、従来ナトリウム−硫黄電池に用いられて来たβアルミナの代替となる、ナトリウムイオン等の陽イオン伝導性が良く、且つ機械的強度に優れた、新規固体高分子電解質を提供することにある。
本発明者は鋭意研究した結果、特定の主鎖骨格及び官能基を有する高分子化合物によって、上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
即ち、第1に、本発明は固体高分子電解質自体に関し、キノン構造を主鎖とし、該キノン構造のカルボニル基と共役して陽イオン(但し、プロトン及びアンモニウムイオンを除く)を非局在化できる官能基を有する。本発明の固体高分子電解質は、下記一般式(1)で表される(式中、Aはカルボニル基と共役してプロトン及びアンモニウムイオンを除く陽イオンを非局在化できる官能基、nは2以上の整数)固体高分子電解質。
陽イオンとしては、プロトン及びアンモニウムイオンであれば限定されない。この中で、アルカリ金属イオンが好ましい。
ここで、官能基Aの具体例としては、
−ONa,
−SO3Na,
−PO3Na2,
が好ましく例示される。
−ONa,
−SO3Na,
−PO3Na2,
が好ましく例示される。
特に、陽イオンがナトリウムイオンであり、官能基Aが−ONaであって、高分子電解質が下記一般式(2)で表されるポリジソジウムオキシベンゾキノンが好ましく例示される。
官能基Aが−ONaである場合を例にして、固体高分子電解質のプロトン伝導性を説明する。下記化学式(2)で表される固体高分子電解質のNa原子は下記化学式(6)のようにキノン構造のカルボニル基と共役して非局在化する。即ち、該Na原子はキノン構造と共鳴する。
下記化学式(7)のように、非局在化したNa原子は、高分子の主鎖であるキノン構造中の隣接するカルボニル基を介して、Na+となって移動する。本発明の高分子電解質は隣接するカルボニル基間の距離は短く、Na+移動は容易である。下記化学式(7)では、上記化学式(2)で表される固体高分子電解質のNa+伝導を説明したが、他の陽イオンの場合も同様に固体高分子電解質中を伝導する。
本発明の固体高分子電解質の分子量は重量平均分子量で100以上である。ここで、重量平均分子量が100未満になると固体電解質としての機能が充分に発揮できない。
第2に、本発明は固体高分子電解質膜に関し、上記固体高分子電解質の1種以上からなる固体高分子電解質膜である。本発明の高分子電解質膜は、良好なNa+伝導性を示す。成膜法については、限定されない。本発明の固体高分子電解質粉末を適当なバインダーと混合し、製膜することができる。又、本発明の固体高分子電解質は、フッ素系樹脂ではなく、且つ3次元的構造ではないので、適当な溶媒に溶解することができる。製膜方法として、溶液を平板上にキャストするキャスト法、ダイコータ、コンマコ一夕等により平板上に溶液を塗布する方法、溶融した高分子材料を延伸等する方法等の一般的な方法も採用できる。
第3に、本発明は、上記固体高分子電解質膜を負極活物質と正極活物質との隔離膜に用いた陽イオン金属硫黄電池である。即ち、陽イオン生成物を含む負極活物質が収納された負極室と、硫黄又は硫黄化合物を含む正極活物質が収納された正極室と、該負極室と正極室との間に位置して負極活物質と正極活物質とを隔離し、かつ陽イオンに対して伝導性を有する固体電解質からなる陽イオン金属硫黄電池において、該固体電解質が、キノン構造を主鎖とし、該キノン構造のカルボニル基と共役して陽イオン(但し、プロトン及びアンモニウムイオンを除く)を非局在化できる官能基を有する下記一般式(1)で表される(式中、Aはカルボニル基と共役してプロトン及びアンモニウムイオンを除く陽イオンを非局在化できる官能基、nは2以上の整数)固体高分子電解質であることを特徴とする陽イオン金属硫黄電池である。
特に、陽イオン生成物がナトリウムであって、固体電解質が下記一般式(2)で表されるポリジソジウムオキシベンゾキノンであることを特徴とするナトリウム硫黄電池。
第4に、本発明は固体高分子電解質の製造法に関する。下記一般式(3)で表される固体高分子電解質は、1,4−ジフルオロ−3,6−ジアルコキシベンゼンを、バナジウム触媒の存在下に重合させ、得られた中間重合体をアルカリ雰囲気下に加水分解して得られる。
ここで、バナジウム触媒としてバナジウムジカルボニル錯体が例示され、特にVO(CH3COCHCOCH3)2又はVO(CF3COCHCOCH3)2が好ましく例示され、該触媒とトリフルオロスルホン酸の存在下、溶媒としてメチルスルホニルエーテルを用いて1,4−FMBを重合させ、得られた中間重合体を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解して得られる。
本発明の固体電解質及び固体電解質膜は、ナトリウムイオン伝導性、熱安定性、化学安定性、機械強度に優れており、従来のナトリウム硫黄電池で無機固体電解質膜として用いられているβ−アルミナの代替となる、新規な有機高分子固体電解質である。
特に、従来のβ−アルミナを用いた固体電解質は十分なナトリウムイオン伝導性を発揮するためには、350℃以上の高温を必要とし、エネルギー効率が悪かったのに対して、本発明の高分子固体電解質は常温で十分なナトリウムイオン伝導性を発揮する。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。
[固体高分子電解質の合成]
(実施例1)
上記一般式(2)で表されるポリジソジウムオキシベンゾキノンを上記反応式(3)により合成した。出発物質の1,4−ジフルオロ−3,6−ジアルコキシベンゼン(1,4−FMB)10gに、バナジウム触媒として、VO(CH3COCHCOCH3)22gと、CF3SO3H3g、(CH3SO2)O3gをフラスコに入れ、150℃のオイルバスで48時間還流する。その後4NNaOH300mlをフラスコ内に追加し、80℃で、24時間還流を行った。
[固体高分子電解質の合成]
(実施例1)
上記一般式(2)で表されるポリジソジウムオキシベンゾキノンを上記反応式(3)により合成した。出発物質の1,4−ジフルオロ−3,6−ジアルコキシベンゼン(1,4−FMB)10gに、バナジウム触媒として、VO(CH3COCHCOCH3)22gと、CF3SO3H3g、(CH3SO2)O3gをフラスコに入れ、150℃のオイルバスで48時間還流する。その後4NNaOH300mlをフラスコ内に追加し、80℃で、24時間還流を行った。
得られたポリマーをろ過、純水洗浄した後乾燥させた。純度85.2%、73%の収率で目的のポリジソジウムオキシベンゾキノン(Poly(disodiumuoxybenzoquinone))を得た。
(実施例2)
触媒をVO(acac)2からVO(CF3COCHCOCH3)2に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、純度98.25%、59%の収率で目的のポリジソジウムオキシベンゾキノンを得た。この触媒を使用することにより、収量は減少したものの、純度の大幅な向上が見られた。
触媒をVO(acac)2からVO(CF3COCHCOCH3)2に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、純度98.25%、59%の収率で目的のポリジソジウムオキシベンゾキノンを得た。この触媒を使用することにより、収量は減少したものの、純度の大幅な向上が見られた。
[伝導度]
実施例1で合成した固体高分子電解質を製膜し、作製した膜の伝導度を測定した所、大気開放下で、3.8×10−4S/cmであった。この結果から、NaS電池の固体高分子として使用できることが確認された。
実施例1で合成した固体高分子電解質を製膜し、作製した膜の伝導度を測定した所、大気開放下で、3.8×10−4S/cmであった。この結果から、NaS電池の固体高分子として使用できることが確認された。
本発明の固体高分子電解質は、陽イオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有しており、膜状に成形することが出来る。又、本発明の固体高分子電解質膜は、NaS電池等に広く用いることが出来る。
本発明の固体高分子電解質は、常温でも陽イオン伝導性が高いことにより、NaS電池の動作温度を下げることが出来、その実用化に寄与する。
Claims (8)
- 陽イオンがアルカリ金属イオンであることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子電解質。
- 請求項1から3のいずれかに記載の固体高分子電解質の1種以上からなる固体高分子電解質膜。
- 陽イオン生成物を含む負極活物質が収納された負極室と、硫黄又は硫黄化合物を含む正極活物質が収納された正極室と、該負極室と正極室との間に位置して負極活物質と正極活物質とを隔離し、かつ陽イオンに対して伝導性を有する固体電解質からなる陽イオン金属硫黄電池において、該固体電解質が、キノン構造を主鎖とし、該キノン構造のカルボニル基と共役して陽イオン(但し、プロトン及びアンモニウムイオンを除く)を非局在化できる官能基を有する下記一般式(1)で表される(式中、Aはカルボニル基と共役してプロトン及びアンモニウムイオンを除く陽イオンを非局在化できる官能基、nは2以上の整数)固体高分子電解質であることを特徴とする陽イオン金属硫黄電池。
- バナジウム触媒がVO(CH3COCHCOCH3)2又はVO(CF3COCHCOCH3)2のバナジウムのジカルボニル錯体であり、該触媒とトリフルオロスルホン酸の存在下、溶媒としてメチルスルホニルエーテルを用いて1,4−ジフルオロ−3,6−ジアルコキシベンゼンを重合させ、得られた中間重合体を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解することを特徴とする請求項7に記載のポリジオキシベンゾキノンの製造方法。
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2004
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