JP2005287220A - 生産量受給制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】出力制御不可能な発電設備による成り行き電力を含む場合でも、合計電力量が定められた期間で目標値に一致するように発電設備の出力を制御する。
【解決手段】出力制御可能な発電設備12の出力制御を、目標値と出力制御不可能な発電設備30の出力予測値を用いて行なう。
【選択図】図4
【解決手段】出力制御可能な発電設備12の出力制御を、目標値と出力制御不可能な発電設備30の出力予測値を用いて行なう。
【選択図】図4
Description
本発明は、出力変化率の制約を有する出力制御可能な操業設備と出力制御不可能な操業設備を有する事業者が、一定時間毎に変動し得る目標値の生産量を需要家に供給する際、又は、出力変化率の制約を有する出力制御可能な操業設備と出力制御不可能な操業設備を有する事業者が、一定期間毎に前もって決定される可変の購入量を含めて、一定時間毎に変動し得る目標値の生産量を需要家に供給する際の生産量受給制御方法に係り、特に、発電事業者が電力会社の送電網を利用して電力を供給する際に、ある定められた期間毎の受給バランスをとるように、発電設備に各制御インタバルにおいて、いくら発電させるかの指令を決定するのに用いるのに好適な、操業設備の出力を高精度で予測して生産量を受給制御することが可能な生産量受給制御方法に関する。
図1に示すように、発電設備12を備えた発電事業者10が、電力会社20の送電網22を利用して電力を供給先40に供給することを電力託送と称する。この電力託送においては、電力会社20との契約で、ある定められた時間単位で託送量が事前に決められる。ある定められた時間単位で、この託送量が供給先40の需要電力量より少なすぎると電力会社20からペナルティ料金を請求されるし、多すぎると発電にかかった料金よりも安価な料金で、多すぎた電力を電力会社20に買い取られてしまう。従って、電力託送において発電事業者10が経済性を追求する上では、この過不足を生じないようにすることが非常に重要である。
電力を供給する側は、図1に示したように、自らの発電設備12で発電する電力以外に、製鉄所32や清掃工場34等で得られる余剰電力や、電力会社20からの購入電力も用いることができる。余剰電力は、例えば製鉄所32では、製鉄所で発電した電力のうち生産に必要な電力を引いた残りの電力であるので、その電力量を特定の値に制御することはできない。又、清掃工場34においても、ごみを焼却して得られた電力のうち、工場内で使用した残りが余剰電力であって、その電力量を特定の値に制御することは原則としてできない。従って、これら余剰電力は、出力制御できない成り行き電力であり、この成り行き電力を供給する設備は、出力制御不可能な発電設備30ということになる。又、供給電力として、電力会社20からの購入電力も組み合わせることができるが、その値は前日に電力会社20に通知しなければならないので、当日に上述の過不足を生じさせないための制御には使用できない。
即ち、電力託送において、ある定められた時間単位で需給の過不足を生じないということは、次式を守ることであり、この式(1)が成り立つように制御することが課題となる。
発電量+成り行き電力量+購入電力量=需要電力量 …(1)
需要電力量と購入電力量(購入しない場合は0)は予め分かっているので、その期間での出力制御不可能な成り行き電力量が事前に分かるのであれば、式(1)から次式のように発電量が決定できる。
発電量=需要電力量−成り行き電力量−購入電力量 …(2)
ところが、既に述べたように、成り行き電力量は事前には分からないし、且つ変動する。それ故、(1)式を成り立たせるためには、電力需給制御装置50で、発電量を何がしか制御する必要がある。
このような目的で、特許文献1及び2には、出力制御できない電源の出力予測情報を用いた電力デマンド制御方法が提案され、特許文献3乃至6には、商用電力の購入と出力制御できない電源の出力予測情報を用いてコストを最小にする電力デマンド制御方法が提案されている。
一般に、電力量とは、時々刻々の電力値の積分値(積算値)である。ある定められた期間での成り行き電力量は、図2に示すように、その期間内で時々刻々変動する電力値の積算値である。
購入電力量は、ある定められた期間での電力量であり、期間内の時々刻々の値は、特に指定されない。電力量が電力の積算値であるという関係が分かるように敢えて言うならば、期間内での購入電力は一定値と考えることができる。発電量は適当な制御インタバルで制御することになるので、一定値ではなく、図2のように変動する値となる。
(1)式は、ある定められた期間の終了時点でチェックされるので、成り行き電力量がそのとき初めて分かったのでは、その時点では発電量の制御をしようが無く、式(1)を成り立たせることができない。即ち、発電量の制御は、ある定められた期間の途中の時点で何度か行なわなければならない。途中の時点で、終了時点において(1)式を成り立たせるためには、成り行き電力量については、その先どうなるかの情報が無いので、その予測値を用いざるを得ない。その予測値の精度が悪いと、(1)式の左辺と右辺のずれが大きくなり、経済的な損失も大きくなる。従って、予測値は精度が高ければ高いほど良い。精度は高くても、発電量の制御を、ある定められた期間の早い時点で行なって、それ以降は修正しないということにすると、残りの時間が大きいため、(1)式のずれが大きくなる恐れがある。では、残りの時間が小さい時点で発電量の制御を1回だけ行なえばいいのではないかとも考えられるが、発電設備には出力変化率制約があるため、これが上手くいかない。即ち、残りの時間が小さい時点で成り行き電力量の実績値を初めて得たとすると、それまでの時間が長いため、実績値と予測値のずれが大きくなっている恐れがある。その場合は、残りの短い時間で、そのずれを解消させるため発電量を大きく変化させなければならないが、出力変化率制約のため、それができない場合がある。以上のように、発電量の制御は、ある定められた期間の途中の時点で、複数回行なう必要がある。
しかしながら、従来の電力のデマンド制御では、電力会社からの受電電力量が30分間で契約電力量に過不足が無いようにすることを目的としたものであり、発電電力量を目標値に合わせるものではない。従って、達成するための手段となる設備の時間変化率制約を考慮するという概念すら無かった。
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、出力制御不可能な操業設備の出力を的確に予測して、生産量受給を高精度で制御することを課題とする。
本発明は、出力変化率の制約を有する出力制御可能な操業設備と出力制御不可能な操業設備を有する事業者が、一定時間毎に変動し得る目標値の生産量を需要家に供給する際、又は、出力変化率の制約を有する出力制御可能な操業設備と出力制御不可能な操業設備を有する事業者が、一定期間毎に前もって決定される可変の購入量を含めて、一定時間毎に変動し得る目標値の生産量を需要家に供給する際の生産量受給制御方法であって、該制御可能な操業設備の出力制御を、前記目標値と出力制御不可能な操業設備の出力予測値を用いて行なうようにして、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、出力制御不可能な操業設備の出力を前もって予測し、制御可能な操業設備の出力を早めに出力変化率の制約の範囲内で変化させておくことにより、目標値を達成することができる。
以下図面を参照して、電力託送の発電設備に適用した本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態においては、図1に示した出力制御可能な複数の発電設備12の制御インタバル毎の出力制御を、制御時点に対応する一定時間後の目標値が、該出力制御可能な複数の発電設備12が全て最大出力変化率で推移した場合の最大制御可能積算出力値と出力制御不可能な発電設備30の出力予測値の和としての最大可能出力値と、該出力制御可能な複数の発電設備12が全て最大出力変化率で推移した場合の最小制御可能積算出力値と該出力制御不可能な操業設備30の出力予測値の和としての最小可能出力値との範囲内か否かを判定し、該目標値が該範囲以上であるときは該制御インタバルでの制御を該最大出力変化率に基づく上限値で、又、該目標値が該範囲以下であるときは該制御インタバルでの制御を該最大出力変化率に基づく下限値で行なう。
具体的には、図3に示す如く、出力制御不可能な発電設備30の成り行き電力及び出力制御可能な発電設備12の発電量とも、その時点までの実績値は既知なので、その積算値が計算できる。購入電力量は既知である。残り期間に対し、成り行き電力については、その予測値を用いて、その積算値を計算する。これらの合計値に、残り期間の発電量積算値を加えたものが目標値(需要電力量)になれば良いので、残り期間の発電量積算値の理想的な値は、図3のハッチングのようになる。問題は、発電設備に出力変化率制約があるため、この理想的な値を達成することができるか否かである。
ここで、ある時点kまでの発電量が、図4のように推移してきたとする。出力変化率制約は、次式(2)のように書けるので、ある時点kでの発電量をp(k)とすると、次の時点では最大可能発電量はp(k)+Δ、最小可能発電量はp(k)−Δとなる。
|今回出力−前回出力|≦Δ …(3)
更に、その次の時点では最大可能発電量はp(k)+2Δ、最小可能発電量はp(k)−2Δとなる。この最大可能発電量p(k)+Δ、p(k)+2Δ、・・・をプロットしたのが、図4における上限で推移した場合の発電量であり、最小可能発電量p(k)−Δ、p(k)−2Δ、・・・をプロットしたのが、下限で推移した場合の発電量である。
残り期間がL時点(制御インタバルがL個)有るとすると、残り期間の発電量積算値のとり得る範囲が、次のように与えられる。
図3で示した残り期間の発電量積算値の理想値が、この(4)式を満たしていれば達成可能なので、次の時点の発電量は、例えば現時点と同じp(k)で良い。しかしながら、次の(5)式が成立する場合には、残り期間の発電量を下限で推移させたとしても、(1)式の左辺が右辺を上回る、即ち余分な発電をしてしまうことになるので、経済的損失を最小にするには、残り期間の発電量を下限で推移させるのが最善の方法である。
一方、次の(6)式が成立するときには、残り期間の発電量を上限で推移させたとしても、(1)式の左辺が右辺を下回る、即ち、供給電力量が不足してしまうことになるので、経済的損失を最小にするには、残り期間の発電量を上限で推移させるのが最善の方法である。
具体的には、図5に示す手順で、出力が制御可能な電源の現在時刻kでの出力電力量G(k)を計算する。なお、定められた期間における目標電力量をW、購入する所要電力量をB、その期間の最終時刻をKとし、計算は時刻1、2、・・・、Kで行なわれる。更に、時刻kでの成り行き電力量予測値をF(k)、合計電力量の時刻k−1までの積算値をS(k−1)とする。
分かり易さのため、簡単な数値例を挙げる。制御可能な発電設備12は2台あり、制御周期は1分とし、一定時間の目標値を達成するまで、あと2分、即ち2回制御できるとする。購入商用電力量は0とする。目標値を達成するには、あと2回のトータル発電量が70(単位は省略)必要とする。制御可能な発電設備12の出力は1号機、2号機とも1分当たり最大1変化させることが可能という変化率制約を有しており、前回出力は、それぞれ10と7であったとする(表1参照)。今回と次回の制御不可能な電力量の予測値が、それぞれ18と15であるとすると、
今回と次回の最大制御可能積算値=73
今回と次回の最小制御可能積算値=61
となるので、目標値を達成するのに必要な70は、この範囲内にある。例えば、1号機と2号機の合計出力を、今回は18、次回は19にすれば、今回と次回の電力量合計は丁度70になる。
今回と次回の最大制御可能積算値=73
今回と次回の最小制御可能積算値=61
となるので、目標値を達成するのに必要な70は、この範囲内にある。例えば、1号機と2号機の合計出力を、今回は18、次回は19にすれば、今回と次回の電力量合計は丁度70になる。
これに対し、次回の成り行き電力量の予測値が15ではなく10であったとする。このときは
今回と次回の最大制御可能積算値=68
今回と次回の最小制御可能積算値=56
となるので、70は、この範囲より上になる。そこで、1号機、2号機とも、その出力は最大限増やしていき、
1号機出力:11、12
2号機出力:8、9
として、電力量合計目標の70は達成できないが、不足を最小限に抑える。
今回と次回の最大制御可能積算値=68
今回と次回の最小制御可能積算値=56
となるので、70は、この範囲より上になる。そこで、1号機、2号機とも、その出力は最大限増やしていき、
1号機出力:11、12
2号機出力:8、9
として、電力量合計目標の70は達成できないが、不足を最小限に抑える。
製鉄所32における余剰電力とは、主として生産過程で発生した副生ガスを燃料として発電した発電量から製鉄所の生産で使用された電力量を引いた残りである。製鉄所の生産は余剰電力をある値にするようにという目的で行なわれるわけではなく、余剰電力量とは全く無関係に生産計画が立案され、それに基づいて操業される。従って、余剰電力量は制御不可能である。又、例えば圧延設備で大型圧延機が稼働すると多大な電気を使用するので、大型圧延機が稼働するしないで、余剰電力量は大きく変動する。
現在時刻をk、製鉄所32における余剰電力量をw(k)、副生ガス発生量をg(k)、工場iでの使用電力量をf(i,k)、使用計画量をp(j,k)とすると、時刻kでの逆送電力量を予測する回帰モデルは次のように書ける。
ここで、a、bg、bf、bp、cは回帰係数、Lはモデルの次数である。
又、清掃工場34における排熱発電電力とは、ごみを燃焼したときに発生する排熱を蒸気ボイラーに送り、そこで得られた蒸気を蒸気タービンに送って発電する。ごみは、紙、プラスチック、厨芥など種々雑多なものが混在しているため、その発熱量は時間的に変動する。その結果、排熱発電電力は変動する。又、ごみの収集量に応じて焼却量が決められるので、この意味でも排熱発電電力は変動するし、その発電量を制御することはできない。
現在時刻をk、清掃工場における排熱発電電力量をw(k)、ごみ発熱量をh(k)、ごみ投入量をr(k)とすると、時刻kでの排熱発電電力量を予測する回帰モデルは次のように書ける。
ここで、a、bh、br、cは回帰係数、Lはモデルの次数である。
ある定められた期間は次々に続く。従って、上記の方法は期間1つに対しては有効であるが、複数期間を同時に考慮することは難しい。例えば、結果として次の期間では供給量が大きく不足したとする。この場合は、実は、その期間の最終発電量を可能な限り大きくしておいた方が良かった筈であるし、不足した場合のペナルティは、過剰の場合の損失コストより大きいので、場合によっては、その期間では供給量を過剰にしておき、次の期間では不足が無いようにした方が、トータルの経済的損失は少なくなったということがある。
このような戦略を導くためには、出力制御可能な複数の発電設備12の制御インタバル毎の出力制御を、制御時点に対応する一定時間後の積算出力予測値と目標値との差を目的関数とし、該出力制御可能な複数の発電設備の各々の最大出力変化率を制約条件として数理計画法を用いて求めた結果に基づいて行なう。
即ち、制御出力を決定する時点を、ある定められた期間1の時点kとし、成り行き電力の予測値は、ある定められた期間2、・・・、Mまで得られるとする。ある定められた期間mの時点iでの発電量をp(m,i)、成り行き電力の予測値をg(m,i)、ある定められた期間mの目標値(需要電力量)をd(m)、購入電力量をb(m)、ある定められた期間1のこれまでの発電量積算値をP、成り行き電力の積算値をGとする。ある定められた期間で供給量−需要量をxとして、xがゼロにならないことによる損失コストを関数f(x)と表わす。そうすると、ある定められた期間1、・・・、Mまでの損失コストを最小にする問題は次のように書ける。
従って、これを数理計画法で解けば良い。
現在の電力取引における基準時間単位は30分であり、30分毎の需給電力量に応じて金額精算がされる。又、一般に電力需要はマクロに見ると、昼間多く夜間は少ないというパターンで、これが繰り返される。従って、1日を周期と見て、稼動設備の優先順位を決定するのが自然であり、ある定められた期間を1日とするのが良い。
成り行き電力量の予測値を用いない場合と、予測値を用いて本発明により制御した場合の実施例の比較を図6に示す。図6は商用電力を購入しない場合で、定められた期間を30分とし、4期間分の結果を示している。図6の左側(a)が成り行き電力量の予測値を用いない場合の結果であり、右側(b)が予測値を用いて本発明により制御した場合の結果である。どちらも、上図は、成り行き電力量F、出力が制御可能な発電設備12の出力電力量G、その合計電力量(F+G)それぞれの期間内での積算値ΣF、ΣG、Σ(F+G)及びゼロから開始して30分後に目標電力量Wとなる目標値曲線からなる。下図は、成り行き電力量F、出力が制御可能な発電設備12の出力電力量G、その合計電力量(F+G)からなる。
期間2において、予測情報を用いない左側の図(a)では、成り行き電力量Fが、その期間の後半に急激に増加したため、出力電力量Gを可能な限り減少させたが、結果として合計発電量は目標値Wを少しオーバーしている。これに対して、予測値を用いて本発明により制御した場合の右側の図(b)では、早めにGを減少させることにより、合計電力量が目標値に完全に合っている。
図7は商用電力を購入する場合で、定められた期間を30分とし、4期間分の結果を示している。図の左側(a)が成り行き電力量の予測値を用いない場合の結果であり、右側(b)が予測値を用いて本発明により制御した結果である。どちらも、上図は、ゼロから開始して30分後に目標電力量Wとなる目標値直線と、購入電力量Bとなる購入電力量直線、及び、成り行き電力量Fの期間内積算値ΣF、出力が制御可能な発電設備12の出力電力量Gの期間内積算値ΣG、合計電力量Σ(F+G+(k/30)Bからなる。下図は、成り行き電力量F、出力が制御可能な発電設備12の出力電力量G、購入電力量B/30、その合計電力量(F+G+B/30)からなる。
期間3において、予測情報を用いない左側の図(a)では、合計発電量が目標値Wに対して大きく不足している。期間4でも少し不足である。これに対し、予測値を用いて本発明により制御した場合の右側の図(b)では、合計電力量が目標値に完全に一致している。
このように、発電設備の能力変化のため、成り行き電力量に発電設備の出力電力量を加えただけでは大幅に目標電力量を下回る場合は、成り行き電力量の予測値を用いて現実に必要最小限の商用電力を購入しておくことにより、購入電力量に成り行き電力量と発電設備の出力電力量を加えた合計電力量で目標電力量に制御することが可能となる。しかも、出力に時間変化率制約があるため、成り行き電力量が急激に変化して、その合計電力量を定められた期間での目標電力量に一致させることができない場合でも、成り行き電力量の予測値を用いるので、成り行き電力量の急変に対して早めに対応を取ることができ、合計電力量を定められた期間での目標電力量に可能な限り一致させることができるようになる。
発電設備は複数あるが、ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)等の効率の高い発電設備は、停止後は、ある時間休めて、それから起動し通常運転に入るまで、前記のある定められた時間単位よりも長い時間が必要となる。例えば、GTCCでは、天然ガスや重油を燃焼させてガスタービンを回して発電し、更にガスタービンから出る高温の排ガスをボイラーに送り得られる蒸気を蒸気タービンに送って発電させるので、その起動(立ち上げてから通常運転に入るまで)には約1時間必要である。又、停止したときに直ぐに再起動させると大きな温度変化を急激に与えることになり、設備に悪影響を及ぼしてしまう。そのため停止後は、ある程度の時間を置く必要があり、その結果、停止後は起動まで数時間かかる。従って、ある定められた時間単位で受給の不足が生じそうだと分かったときに、急に設備を起動させても間に合わない。それ故、どの発電設備を、どのタイミングで起動させるかは、前もって計画する必要がある。本発明は、このように起動に時間のかかる操業設備を含む場合にも有効である。
なお、前記説明においては、本発明が発電設備を例にとって説明されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、プラントにおける操業設備一般に広く適用できる。出力制御可能な発電設備や出力制御可能な発電設備の数も、複数に限定されず、いずれか一方又は、両者が単数であっても良い。
10…発電事業者
12…発電設備
20…電力会社
22…送電網
30…出力制御不可能な発電設備
32…製鉄所
34…清掃工場
40…供給先
50…電力需給制御装置
12…発電設備
20…電力会社
22…送電網
30…出力制御不可能な発電設備
32…製鉄所
34…清掃工場
40…供給先
50…電力需給制御装置
Claims (11)
- 出力変化率の制約を有する出力制御可能な操業設備と出力制御不可能な操業設備を有する事業者が、一定時間毎に変動し得る目標値の生産量を需要家に供給する際、又は、出力変化率の制約を有する出力制御可能な操業設備と出力制御不可能な操業設備を有する事業者が、一定期間毎に前もって決定される可変の購入量を含めて、一定時間毎に変動し得る目標値の生産量を需要家に供給する際の生産量受給制御方法であって、
該出力制御可能な操業設備の出力制御を、前記目標値と出力制御不可能な操業設備の出力予測値を用いて行なうことを特徴とする生産量受給制御方法。 - 前記出力制御可能な操業設備の制御インタバル毎の出力制御を、制御時点に対応する一定時間後の目標値が、該出力制御可能な操業設備が最大出力変化率で推移した場合の最大制御可能積算出力値と該出力制御不可能な操業設備の出力予測値の和としての最大可能出力値と、該出力制御可能な操業設備が最大出力変化率で推移した場合の最小制御可能積算出力値と該出力制御不可能な操業設備の出力予測値の和としての最小可能出力値との範囲内か否かを判定し、該目標値が該範囲以上であるときは該制御インタバルでの制御を該最大出力変化率に基づく上限値で、又、該目標値が該範囲以下であるときは該制御インタバルでの制御を該最大出力変化率に基づく下限値で行なうことを特徴とする請求項1に記載の生産量受給制御方法。
- 前記出力制御可能な操業設備が複数あり、前記最大可能出力値が、該出力制御可能な複数の操業設備が全て最大出力変化率で推移した場合の最大制御可能積算出力値と前記出力制御不可能な操業設備の出力予測値の和とされ、前記最小可能出力値が、該出力制御可能な複数の操業設備が全て最大出力変化率で推移した場合の最小制御可能積算出力値と前記出力制御不可能な操業設備の出力予測値の和とされていることを特徴とする請求項2に記載の生産量受給制御方法。
- 前記出力制御可能な操業設備の制御インタバル毎の出力制御を、制御時点に対応する一定時間後の積算出力予測値と目標値との差を目的関数とし、該出力制御可能な操業設備の最大出力変化率を制約条件として数理計画法を用いて求めた結果に基づいて行なうことを特徴とする請求項1記載の生産量受給制御方法。
- 前記出力制御可能な操業設備が複数あり、該出力制御可能な複数の操業設備の各々の最大出力変化率を制約条件とすることを特徴とする請求項4に記載の生産量受給制御方法。
- 前記操業設備が発電設備であり、前記生産量が電力であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の生産量受給制御方法。
- 前記出力制御不可能な発電設備が、製鉄所における余剰電力又は清掃工場における排熱発電電力であることを特徴とする請求項6に記載の生産量受給制御方法。
- 前記出力制御不可能な発電設備が製鉄所における余剰電力であり、且つ、前記予測値が製鉄所における少なくとも生産計画及び各工場の電力使用時間履歴データを用いた回帰モデルによる回帰予測値であることを特徴とする請求項7に記載の生産量受給制御方法。
- 前記出力制御不可能な発電設備が清掃工場における排熱発電電力であり、且つ、前記予測値が清掃工場における少なくともごみ投入量及びごみ発熱量の時間履歴データを用いた回帰モデルによる回帰予測値であることを特徴とする請求項7に記載の生産量受給制御方法。
- 前記一定時間が30分であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の生産量受給制御方法。
- 前記出力制御可能な操業設備又は発電設備が、出力上限制約と、一旦停止した後に再び起動するのにある一定の時間を要するという再起動遅延時間制約を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の生産量受給制御方法。
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